説明

酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液およびその製造方法

【課題】ナノレベルのルチル型結晶の酸化チタン微粒子が分散している、透明性に優れた酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液およびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液であって、前記混合有機溶媒が親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなる酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法であって、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなる混合有機溶媒に、水、有機酸、チタン塩およびドープ金属の塩を添加して撹拌する工程を有する酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白色顔料として知られている酸化チタンは、屈折率及び誘電率が大きく、紫外線で励起しやすい特性を有している。そのため、その特性を利用した紫外線吸収剤、光学材料、電気・電子材料、光触媒、装飾材料、映像表示材料、吸着材料、化粧材料等に利用されている。また、酸化チタンにはアナターゼ型とルチル型の代表的な二つの結晶型があり、それぞれの特性に応じて使い分けられている。
【0003】
透明な酸化チタン微粒子含有樹脂を調製する場合、酸化チタンによる光の散乱効果を抑制させるため、酸化チタン微粒子のサイズをナノレベルまで微小化しなければならない。一般にナノサイズの微粒子は、凝集すると再度一次分散化させることは非常に困難である。そのため、ナノレベルの微粒子を樹脂中に均一に分散させるには、粉状微粒子を樹脂に混ぜ込む方法ではなく、透明性の高い酸化チタン微粒子有機溶媒分散液と樹脂を十分に混合した後、溶媒を除去する方法がより望ましい。また、透明な酸化チタン有機溶媒分散液の調製は、粉状酸化チタンを機械的な方法で有機溶媒中に分散させる方法、好ましくは粉状態を経由しない方法が望ましく、さらに好ましくは合成段階から有機溶媒中で行う方法がより望ましい。
【0004】
粉状態を経由しない酸化チタンの製造法としては、金属塩のアルコール溶液に、水を添加して金属塩の加水分解、重縮合を行うことで金属酸化物微粒子を調製するゾルゲル反応が代表的である。しかし、ゾルゲル反応は大量の水を使用するため、その有機溶媒分散液の製造には生成した酸化チタンの表面処理と溶媒置換の工程が必須である。また、通常のゾルゲル反応で生成する酸化チタンは、非晶質状態であり、前記用途として利用するためには特性が不十分である。そのため、一般にゾルゲル反応で生成した酸化チタンには、加熱や焼成による結晶化工程が必要となる。しかし、非晶質状態の酸化チタンは、通常の加熱条件や焼成条件においてはアナターゼ型結晶にしか結晶化しない。
【0005】
特許文献1では、水が溶解したアルコール系溶媒中にチタンアルコキシドと有機酸を添加し、加熱することでアナターゼ型結晶酸化チタン微粒子のアルコール系溶媒分散液を調製している。また特許文献2では、チタンアルコキシドのアルコール系溶媒中に酢酸を添加して、反応液中でチタンと酢酸の予備反応物を生成させ、この予備反応物を有機酸などの触媒を用いて加水分解・重縮合させることでアナターゼ型酸化チタン微粒子分散液を調製している。
【0006】
前記特許文献1および2は、有機酸を利用したアナターゼ型結晶酸化チタン微粒子のアルコール系溶媒中での合成例である。アナターゼ型結晶は、ルチル型結晶よりも屈折率が低く、かつ高い光触媒活性機能を有している。そのため、高屈折率材料用に添加する酸化チタンとしては、屈折率の優位性と光触媒活性機能による樹脂劣化の懸念から、アナターゼ型結晶よりもルチル型結晶が望まれている。また、分散液と樹脂との相溶性を高めるためには、前記例のようなアルコール系溶媒のみの分散液よりも有機溶媒分散液がより望ましい。しかし、前記のようなアナターゼ型結晶酸化チタン微粒子のアルコール系溶媒分散液に比べ、ルチル型結晶酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の合成は非常に困難であり、その製造方法や分散液はほとんど一般化されていない。
【特許文献1】特開2007−217268号公報
【特許文献2】特開2004−203726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、分散安定剤を含む酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液であって、該分散安定剤が屈折率1.50以上の有機酸を主成分とするものであって、屈折率1.50未満のものは含有されていないか又は含有されていても酸化チタン微粒子中のチタン原子1モルに対して、0.1モル以下しか含有されておらず、かつこの分散液を酸化チタン濃度を1重量%として、波長450nmの光で、光路長1.0cmで測定したときの透過率が80%以上であることを特徴とする酸化チタン微粒子分散液に関するものである。しかし、特許文献1に記載されている方法では、酸化チタンのアナターゼ型結晶しか合成できず、また分散媒として利用できる溶媒はアルコール系溶媒に限られている。そのため、トルエンやキシレン等の有機溶媒を含有するルチル型結晶酸化チタン微粒子分散液の合成には適さない。
【0008】
また、特許文献2は、金属カルボン酸塩とアルコールとを出発原料とするか、または、金属アルコキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とを出発原料として金属酸化物を生成させる方法で、鉱酸、有機酸、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物、βジケトン金属錯体、金属アルコキシド、第1スズ化合物、有機スズ化合物、固体酸、アミノ基含有化合物、イオン交換樹脂および三フッ化ホウ素エーテラートからなる群より選ばれる少なくとも1種の存在下で金属酸化物の生成を行うことを特徴とする、金属酸化物の製造方法に関するものである。しかし、特許文献2に記載されている方法も、アナターゼ型結晶酸化チタン微粒子しか記載されておらず、同手法によるルチル型結晶酸化チタン微粒子の合成は期待できない。
【0009】
これまでに知られている有機酸を含有する酸化チタン微粒子分散液、或いは有機酸を活用した酸化チタン微粒子の製造方法に関する例には、アナターゼ型結晶とルチル型結晶それぞれの記載がある。しかし、実際にはアナターゼ型結晶の製造例しか記載しておらず、ルチル型結晶の製造例は明確ではない。また、有機溶媒と記載されている部分は、実際はアルコール系溶媒のみである。そのため、従来の技術によるルチル型結晶酸化チタン微粒子有機溶媒分散液の製造は困難である。
【0010】
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、ナノレベルのルチル型結晶の酸化チタン微粒子が分散している、透明性に優れた酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液は、少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液であって、前記混合有機溶媒が親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなることを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決する酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法は、少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法であって、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなる混合有機溶媒に、水、有機酸、チタン塩およびドープ金属の塩を添加して撹拌する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ナノレベルのルチル型結晶の酸化チタン微粒子が分散している、透明性に優れた酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明につき詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施形態の一例であり、これらの内容に特定されない。
これまで知られている有機酸を含有する酸化チタン微粒子分散液、或いは有機酸を用いた酸化チタン微粒子の製造方法の中で実際に再現可能なものは、アナターゼ型結晶酸化チタン微粒子に関する例のみであり、また溶媒としてもアルコール系溶媒のみである。しかし、高屈折率材料(光学素子)用に添加する酸化チタンとしては、屈折率の優位性と光触媒活性機能による樹脂劣化の懸念から、アナターゼ型結晶よりもルチル型結晶が望まれている。また、分散液と樹脂との相溶性を高めるためには、アルコール系溶媒のみの分散液よりも有機溶媒分散液がより望ましい。
【0015】
本発明に係る酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液は、少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液であって、前記混合有機溶媒が親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなることを特徴とする。
【0016】
親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒からなる混合有機溶媒中で有機酸を用いて酸化チタンの結晶化を行うことにより、粒径のそろったルチル型結晶酸化チタン微粒子が低温下で合成できる。このとき、有機溶媒中でルチル型結晶酸化チタン微粒子が合成できるため、そのままルチル型結晶酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液となる。
【0017】
前記酸化チタン微粒子の結晶型は、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型、非晶質等が挙げられるが、本発明は、ルチル型結晶を主成分とするものである。さらに好ましくは、前記酸化チタン微粒子中のルチル型結晶の含有比率が、60体積%以上99.9体積%以下、好ましくは90体積%以上99.9体積%以下であることが望ましい。
【0018】
また、酸化チタン微粒子の平均粒径が2nm以上80nm以下、好ましくは2nm以上50nm以下であることが望ましい。酸化チタン微粒子の粒径が、2nm未満では結晶性の低下や量子サイズ効果等による特性変化により、結晶体と比較して微粒子の特性は低くなり、80nmを超えると、微粒子の沈殿や分散液の白濁が起こる。そのため、前記酸化チタン微粒子の平均粒径が2nm以上80nm以下の範囲であることが望ましい。
【0019】
また、光触媒活性機能や結晶構造を制御するために、Ti以外の元素をドープしたものであってもよい。ドープする元素としては、Al、Sn、Si、Zr、Ce、Hf、W、Fe、Co、Ni、Mn、Rh、Nb、Bi、In、Yから選ばれる少なくとも1種以上の元素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このとき、前記ドープ元素は、前記酸化チタン微粒子中で酸化物の状態で存在することが望ましいが、これに限定されるものではない。ドープする元素としては、Sn、Siが好ましい。
【0020】
前記酸化チタン微粒子がSnを含有することが好ましい。前記酸化チタン微粒子中のSnのモル比率が、酸化チタン中のTiのモル数に対して0.5モル%以上40モル%以下であることが好ましい。
【0021】
前記酸化チタン微粒子がSiを含有することが好ましい。前記酸化チタン微粒子中のSiのモル比率が、酸化チタン中のTiのモル数に対して0.5モル%以上50モル%以下であることが好ましい。
【0022】
本発明において、混合有機溶媒は親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなることを特徴とする。
親水性有機溶媒とは、水を任意の割合で溶解することが可能な有機溶媒であり、アルコール系、ケトン系、ニトリル系の有機溶媒である。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール等の第一級アルコール系、2−プロパノール、2−ブタノール等の第二級アルコール系、1,1,1−トリメチルメタノール等の第三級アルコール系、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール系、アセトン等のジアルキルケトン系、アセトニトリル、プロピオニトリル、ピバロニトリル等のニトリル系である。好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、アセトンである。
【0023】
前記親水性有機溶媒が、アルコール系あるいはケトン系の有機溶媒であることが好ましい。
疎水性有機溶媒とは、水を任意の割合で溶解しない有機溶媒であり、ハイドロカーボン系、ケトン系、エステル系、エーテル系の有機溶媒である。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のハイドロカーボン系、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のエステル系、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系である。ケトン系やエステル系、エーテル系は前記分散液の製造過程において着色する可能性があるため、好ましくはハイドロカーボン系である。具体的にはトルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサンである。前記疎水性有機溶媒が、芳香族系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系またはエステル系の有機溶媒であることが好ましい。
【0024】
本発明の有機溶媒分散液に含有される前記混合有機溶媒の含有量は、70重量%以上99.9重量%以下、好ましくは85重量%以上99.9重量%以下であることが望ましい。
前記混合有機溶媒中の親水性有機溶媒の比率が、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の合計に対して35体積%以上80体積%以下が好ましい。ただし、前記親水性溶媒の体積比率が少なくなると水を添加した際に均一系にならない。そのため、前記体積比率は、40体積%以上80体積%以下が望ましい。
【0025】
また、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の組み合わせは、水を添加した際に均一系になるようにそれぞれから任意の種類だけ選択することができる。より好ましくは、前記親水性有機溶媒と前記疎水性有機溶媒からそれぞれ1種ずつ選択することである。より好ましくは低級アルコール類とハイドロカーボン類である。
【0026】
本発明における有機酸は、スルホン酸又はカルボン酸であることが好ましい。具体的にはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロエチルスルホン酸、カンファースルホン酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、安息香酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸等である。pKa値が大きい有機酸の場合、ルチル型結晶の含有比率が少なくなる可能性があるため、有機酸のpKa値が、−15以上1以下であることが好ましい。pKa値とは、酸の強さを定量的に表すための指標のひとつであり、酸から水素イオンが放出される解離反応の平衡定数Kaの負の常用対数である。pKa値が小さいほど強い酸であることを示す。
【0027】
また、炭素数の少ない有機酸の場合、疎水性有機溶媒への相溶性が悪く、酸化チタンの結晶化が進行しない場合がある。ルチル型結晶の割合が高くなる有機酸は、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸等である。
【0028】
本発明の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液に含有される有機酸の含有量が、前記酸化チタン微粒子中のTiのモル数に対して10モル%以上1000モル%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液には、酸化チタン微粒子調製時に使用した水が含有される。水の含有量は、1重量%以上10重量%未満が好ましい。1重量%未満になると、酸化チタン微粒子調製時に酸化チタンの結晶化が進行し難くなり、10重量%以上になると、透明性のある有機溶媒分散液が得られない。
【0030】
本発明の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液に含有されている酸化チタン微粒子の含有量が0.1重量%以上30重量%以下であることが好ましい。占める酸化チタン微粒子の比率が30重量%を超える場合、酸化チタン微粒子の凝集が起こり易くなり、分散状態を保てなくなる。
【0031】
本発明に係る酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法は、少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法であって、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなる混合有機溶媒に、水、有機酸、チタン塩およびドープ金属の塩を添加して撹拌する工程を有することを特徴とする。
【0032】
具体的には、酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液は、前記親水性有機溶媒と前記疎水性有機溶媒の混合有機溶媒に水、前記有機酸、前記酸化チタン微粒子の原料となるチタン塩、前記ドープ金属の塩を添加して撹拌することで製造できる。このとき、それぞれの成分を添加する順序は、前記に限られたものではない。また、撹拌は室温で行うこともできるが、加熱あるいは加熱還流、マイクロ波照射をしてもよい。
【0033】
前記ドープ金属の塩としては、それぞれのドープ金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、アルコキシド等であるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、前記チタン塩としては、例えば四フッ化チタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、硫酸チタン、炭酸チタン、リン酸チタン、シュウ酸チタン、テトラアルコキシチタンから選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、前記酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液に表面処理剤を添加して、有機溶媒中での分散性をさらに向上させることも可能である。前記表面処理剤としては、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が好ましい。シランカップリング剤としては、例えば信越化学工業株式会社製KBMシリーズ、KBEシリーズ、KAシリーズ等が挙げられる。一方、チタンカップリング剤としては、例えば味の素ファインテクノ株式会社製KR TTS、KR 46B、KR 55、KR 41B、KR 38S、KR 138S、KR 238S、338X、KR 44、KR 9SA等が挙げられる。
【0036】
本発明に係る酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法において、混合有機溶媒、水、有機酸、チタン塩およびドープ金属の塩等の使用割合は、上記の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液で説明した各成分の含有量に相当する割合で使用する。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
実施例1
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液(A)を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表1に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は3nmである。
【0038】
実施例2
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を25℃で4日間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表1に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は3nmである。
【0039】
実施例3
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水3mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶が生成していることを確認した。結果を表1に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は4nmである。
【0040】
実施例4
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水1mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶が生成していることを確認した。結果を表1に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は3nmである。
【0041】
実施例5
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ10mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表1に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は85nmである。
【0042】
実施例6
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ200mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表2に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は5nmである。
【0043】
実施例7
トルエン10mlと2−プロパノール40mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表2に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は91nmである。
【0044】
実施例8
トルエン15mlと2−プロパノール35mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表2に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は15nmである。
【0045】
実施例9
トルエン30mlと2−プロパノール20mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水3mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表2に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は89nmである。
【0046】
実施例10
トルエン25mlとメタノール35mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表2に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は105nmである。
【0047】
実施例11
メシチレン25mlと2−プロパノール30mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表3に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は98nmである。
【0048】
実施例12
トルエン25mlとエタノール30mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表3に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は89nmである。
【0049】
実施例13
トルエン20mlとアセトン30mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。しかし、分散液は若干黄変した。結果を表3に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は107nmである。
【0050】
実施例14
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物1.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表3に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は6nmである。
【0051】
実施例15
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物7.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表3に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は4nmである。
【0052】
実施例16
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、ベンゼンスルホン酸0.8gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表4に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は94nmである。
【0053】
実施例17
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、カンファースルホン酸1.2gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表4に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は105nmである。
【0054】
実施例18
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、トリフルオロメタンスルホン酸0.8gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表4に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は83nmである。
【0055】
実施例19
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、トリフルオロ酢酸0.6gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌する。得られる透明溶液を50℃で2時間撹拌することで、ルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液を製造した。分散液を濃縮して得られる固体のXRD測定をした結果、ルチル型結晶であることを確認した。結果を表4に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は98nmである。
【0056】
実施例20
実施例1に代表される手法で製造されたルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液(A)にアクリル酸 3−(トリメトキシシリル)プロピル1.0gを添加し、60℃で3時間撹拌した。得られた分散液は、有機溶媒分散液(A)よりも有機溶媒中での分散状態が良好であった。結果を表5に記載する。
【0057】
実施例21
実施例1に代表される手法で製造されたルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液(A)にアリルトリメトキシシラン1.0gを添加し、60℃で3時間撹拌した。得られた分散液は、有機溶媒分散液(A)よりも有機溶媒中での分散状態が良好であった。結果を表5に記載する。
【0058】
実施例22
実施例1に代表される手法で製造されたルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液(A)に3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン1.0gを添加し、60℃で3時間撹拌した。得られた分散液は、有機溶媒分散液(A)よりも有機溶媒中での分散状態が良好であった。結果を表5に記載する。
【0059】
実施例23
実施例1に代表される手法で製造されたルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液(A)にメタクリル酸 3−(トリメトキシシリル)プロピル1.0gを添加し、60℃で3時間撹拌した。得られた分散液は、有機溶媒分散液(A)よりも有機溶媒中での分散状態が良好であった。結果を表5に記載する。
【0060】
実施例24
実施例1に代表される手法で製造されたルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液(A)にメタクリル酸 (3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン1.0gを添加し、60℃で3時間撹拌した。得られた分散液は、有機溶媒分散液(A)よりも有機溶媒中での分散状態が良好であった。結果を表5に記載する。
【0061】
実施例25
実施例1に代表される手法で製造されたルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液(A)にビニルトリメトキシシラン1.0gを添加し、60℃で3時間撹拌した。得られた分散液は、有機溶媒分散液(A)よりも有機溶媒中での分散状態が良好であった。結果を表5に記載する。
【0062】
比較例1
トルエン(5ml)と2−プロパノール45mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、p−トルエンスルホン酸−水和物0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌した。しかし、得られた分散液の透明性と分散液を濃縮して得られる固体のルチル型結晶の割合は非常に低かった。結果を表6に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は188nmである。
【0063】
比較例2
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、メタンスルホン酸0.9gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌した。しかし、得られた分散液の透明性と分散液を濃縮して得られる固体のルチル型結晶の割合は非常に低かった。結果を表6に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は176nmである。
【0064】
比較例3
トルエン25mlと2−プロパノール25mlの混合有機溶媒に四塩化スズ50mgを添加し撹拌する。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸3.3gとチタンイソプロポキシド1.5g、水5mlを添加し、室温で十分撹拌した。しかし、得られた分散液の透明性と分散液を濃縮して得られる固体のルチル型結晶の割合は非常に低かった。結果を表6に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は284nmである。
【0065】
比較例4
ブタノール150gと純水4.6gの混合有機溶媒にチタン(IV)ブトキシド11.9gを加えたところ溶液は白濁した。30秒間撹拌した後、p−トルエンスルホン酸−水和物1.7gをブタノール25mlに溶かした溶液を撹拌しながら加えた。室温で1時間撹拌した後、水冷式冷却管を装着して110℃に保持したオイルバス中で撹拌しながら6時間過熱した後、放冷して酸化チタン微粒子分散液を得た。得られた分散液を濃縮して得られる白色固体をXRD測定した結果、アナターゼ型酸化チタンであることを確認した。結果を表6に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は102nmである。
【0066】
比較例5
チタニウムテトラn−ブトキシド10g、酢酸10g、n−ブタノール50g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル50g、1,3−ブタンジオール10gおよび特定化合物としてp−トルエンスルホン酸0.1gからなる混合物を入れた反応容器を、密閉化110℃まで加熱し、そのまま1時間保持した後、冷却することにより、均一透明溶液を得た。この均一透明溶液にガラス板を浸漬し、浸漬したままで溶液を昇温し、180℃で10分間保持した後、冷却し、基板を取り出した。得られた基板の表面に形成された膜は、薄膜XRD解析した結果、アナタース型酸化チタンに帰属される回折ピークが確認され、アナタース型酸化チタン結晶が生成していることが確認された。結果を表6に記載する。酸化チタン微粒子の平均粒径は95nmである。
【0067】
<測定方法>
(1)結晶型体積分率
結晶型体積分率はXRDの測定により評価した結果を示す。
○:60体積%以上99.9体積%以下
△:1体積%以上60体積%未満
−:1体積%未満
【0068】
(2)透明性
光路長2mmの石英セルに入れ、日立ハイテクノロジー社製分光光度計U−4000(製品名)で測定し求めた値を示す。
◎:非常に良好なもの(430nmでの透過率が95%以上かつ430nmでの散乱率が1%未満)。
△:良好なもの(430nmでの透過率が90%以上かつ430nmでの散乱率が2%未満)。
×:良好ではないもの(430nmでの透過率が90%未満)。
【0069】
(3)総合評価
高屈折率光学素子用材料として利用するための透明性と高屈折率性を兼ね備えた酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液として判定した結果を示す。
◎:非常に良好なもの(ルチルの結晶型体積分率が○で、アナターゼ、非晶質の結晶型体積分率が共に−であって、透明性が◎のもの)。
△:良好なもの(ルチルの結晶型体積分率が○で非晶質の結晶型体積分率が△であって、透明性が◎のもの)。
×:良好ではないもの(ルチルの結晶型体積分率が△のもの)。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液は、ナノレベルのルチル型結晶の酸化チタン微粒子が分散し、透明性に優れているので、光学素子用高屈折率材料として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液であって、前記混合有機溶媒が親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなることを特徴とする酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項2】
前記酸化チタン微粒子中のルチル型結晶の含有比率が、60体積%以上99.9体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項3】
前記酸化チタン微粒子の平均粒径が2nm以上80nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項4】
前記酸化チタン微粒子がSnを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項5】
前記酸化チタン微粒子中のSnのモル比率が、酸化チタン中のTiのモル数に対して0.5モル%以上40モル%以下であることを特徴とする請求項4に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項6】
前記酸化チタン微粒子がSiを含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項7】
前記酸化チタン微粒子中のSiのモル比率が、酸化チタン中のTiのモル数に対して0.5モル%以上50モル%以下であることを特徴とする請求項6に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項8】
前記親水性有機溶媒が、アルコール系あるいはケトン系の有機溶媒であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項9】
前記疎水性有機溶媒が、芳香族系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系またはエステル系の有機溶媒であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項10】
前記混合有機溶媒の含有量が、70重量%以上99.9重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項11】
前記混合有機溶媒中の親水性有機溶媒の比率が、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の合計に対して35体積%以上80体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項12】
前記有機酸が、スルホン酸又はカルボン酸であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項13】
前記有機酸のpKa値が、−15以上1以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項14】
前記有機酸の含有量が、前記酸化チタン微粒子中のTiのモル数に対して10モル%以上1000モル%以下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項15】
前記有機溶媒分散液に含有されている酸化チタン微粒子の含有量が0.1重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかの項に記載の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液。
【請求項16】
少なくとも混合有機溶媒および有機酸を含むルチル型結晶の酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法であって、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒のそれぞれ少なくとも1種類以上からなる混合有機溶媒に、水、有機酸、チタン塩およびドープ金属の塩を添加して撹拌する工程を有することを特徴とする酸化チタン微粒子の有機溶媒分散液の製造方法。

【公開番号】特開2010−138020(P2010−138020A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314996(P2008−314996)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】