説明

酸官能性の固体ブロック化イソシアネートの連続製造方法

【課題】粉末塗料用の架橋剤として有用な酸官能性ブロック化イソシアネートの連続製造方法ならびに該方法によって得られる酸官能性ブロック化イソシアネートを提供する。
【解決手段】上記課題は、100〜240℃で反応器に、(a)1つまたはそれ以上のポリイソシアネート;(b)1つまたはそれ以上のヒドロキシカルボン酸;および(c)1つまたはそれ以上の他のイソシアネートブロック化剤;を連続的に供給し、混合することを含んでなる方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末塗料用の架橋剤として有用な、付加的なカルボキシル官能価が少なくとも1である固体ブロック化イソシアネートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体のブロック化イソシアネートは、粉末塗料において周知である。例えば、少なくとも1カルボキシル基の付加的な官能価を有する固体のブロック化イソシアネートが、化学耐性を改善するため(特許文献1)、あるいは、ばらつきのない艶消し効果を得るため(特許文献2)、開発されている。この後者は粉末塗料において重要であるが、これは、粉末塗料において低光沢表面を達成するための別の方法には、その使用に固有の困難性があるか、またはその達成が十分ではないためである。
【0003】
例えば、特許文献3に開示されているいわゆる乾燥ブレンド法は、有意に異なるゲル化時間を有する2つの異なる樹脂および1つの架橋剤を含有する粉末塗料組成物を包含する。この方法は高価につくことに加えて、このような材料の過剰噴霧の再使用は、最終被覆におけるばらつきのある光沢を導く。
【0004】
特許文献4は、上記した課題を解決するための環式アミジンを開示している。この環式アミジンは、ある種のポリカルボン酸を架橋する。これら樹脂の使用は、良好な屋外耐候性を与えないエポキシド含有樹脂にほとんど限定されている。
【0005】
特許文献5は、ジ-、トリ-またはテトラキス-(β-カルボキシエチル)-シクロヘキサノンまたはシクロペンタノンを含むエポキシ化合物を使用する別の方法を開示している。この場合の艶消し効果は、架橋剤の脂肪族カルボキシル基とポリエステル樹脂中の芳香族カルボキシル基との異なる反応性に起因する。
【0006】
粉末塗料において艶消し効果を得るために使用される別の方法は、特許文献2に開示されるようなブロック化イソシアネートおよびカルボキシル基を含む上記の架橋剤を利用する。艶消し効果を得るために、この化合物は、追加の必要条件を満たさなければならない。即ち、これは酸価20〜150mg KOH/gを有していなければならず、また、NCO含量/酸価の比が0.075〜0.340を満たしていなければならない。
【0007】
これら硬化剤の合成は、ポリイソシアネートへのブロック化剤およびヒドロキシカルボン酸の同時添加によって行うことができる。別法として、(a)ポリイソシアネートとヒドロキシカルボン酸との反応およびその後のブロック化剤の添加、または、(b)ポリイソシアネートとブロック化剤との反応およびその後のヒドロキシカルボン酸の添加、からなる2工程の方法を使用しうることが開示されている。溶媒の使用が推奨されている。合成法のさらなる詳細については、例えば、特許文献2、特許文献6および特許文献7を参照。
【0008】
特許文献6は、ヒドロキシカルボン酸と芳香族ポリイソシアネート混合物との反応を開示し、一方、特許文献7は、第1段階においてポリイソシアネートをブロック化剤と反応させることによる、水溶性または水分散性ポリイソシアネートの製造方法を開示する。第2段階において、イソシアネート反応性化合物またはポリエーテルの水溶液を添加して、生成物の水溶解性を改善する。最後の段階において、生成物を水中に分散させる。
【0009】
上記のように、特許文献1は、化学耐性を改善するために2つの異なる官能基を含む粉末塗料用の架橋剤を開示している。この特許文献1において、これら架橋剤の製造方法のために、特許文献8が引用されている。特許文献8は、2工程の方法で、カルボン酸基を含むポリウレタンプレポリマーを合成する方法を開示している。実施例3は、第1段階においてジメチロールプロピオン酸を芳香族ポリイソシアネートと反応させることを具体的に開示している。第2段階において、この生成物をε-カプロラクタムと反応させる。その他の実施例においては、酒石酸がヒドロキシカルボン酸として使用されている。
【0010】
また、カルボキシル基をイソシアネート基と反応させうることも知られている。この反応は、アミドと二酸化炭素を生じる。この後者は気体であり、激しい発泡を導く。この副反応は、反応温度が高くなるほど、ますます優勢になる。さらに、カルボキシル基の導入は、最終生成物の比較的高い粘度の原因ともなりうる。これら2つの作用は、特許文献2に開示される架橋剤の製造において、甚だしい困難を導く。実験室スケールのバッチ法での該架橋剤の製造は実現可能であるが、さらに大きいスケールでの合成は、2つの理由から失敗するのが普通である。高温においては、酸-イソシアネートの反応が優勢になり、激しい発泡が観察される。生成物の品質が低下し、使用不能になる。他方において、比較的低い温度においては、反応混合物が粘稠になりすぎて、通常の製造用バッチ反応器においては撹拌することができない。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4480008号明細書
【特許文献2】欧州特許第0104424号明細書
【特許文献3】米国特許第3842035号明細書
【特許文献4】米国特許第3947384号明細書
【特許文献5】カナダ国特許第2001300号明細書
【特許文献6】米国特許第3959348号明細書
【特許文献7】米国特許第4098933号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第2708611号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、当分野においては、少なくとも1つの付加的なカルボン酸官能基を含む固体ブロック化イソシアネートを製造する方法であって、その生成物が実験室反応において達成される品質を満たすような方法を提供することが求められている。具体的には、この方法は、最少の発泡を示し、それと同時に、処理中に生じる妥当に高い粘度を取扱うことができるものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、酸官能性ブロック化イソシアネートの連続製造方法を提供するものである。この方法は、100〜240℃で反応器に、
(a)1つまたはそれ以上のポリイソシアネート;
(b)1つまたはそれ以上のヒドロキシカルボン酸;および
(c)1つまたはそれ以上の他のイソシアネートブロック化剤;
を連続的に供給し、混合することを含んでなる。
また、本発明は、上記方法に従って製造した酸官能性ブロック化イソシアネートをも提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
明細書および特許請求の範囲において使用した成分量や反応条件などに関する全ての数字または表現は、実施例に記載したもの以外あるいは特記したところ以外は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものと理解すべきである。
【0015】
本発明の方法は、押出機、静的ミキサー、管(チューブ)反応器、反応射出成形(RIM)機、または他の同様の連続供給反応器において、制限なく実施することができる連続法に関する。
【0016】
驚くべきことに、高粘度の取扱いおよび発泡の課題に対する解決は、同様に行った実験室スケール反応の品質を満たすばらつきのない生成物の製造を可能にする連続法において見い出された。驚くべきことに、連続反応器設計を使用することによって、発泡の課題を解決することができ、バッチ法において重度の撹拌困難性を導く生成物の高粘度を解決することができた。
【0017】
本明細書中に開示した方法は、分子あたりに1を超えるブロック化イソシアネート、20〜150、場合により25〜80の範囲内の酸価、ならびに、0.075〜0.340、場合により0.100〜0.300のNCO含量/酸価の比を有する固体化合物の製造を与える。これら固体のブロック化イソシアネートは、ヒドロキシル官能性ポリマーおよびポリエポキシドを含有する艶消し粉末塗料用の架橋剤として使用するのに適する。
【0018】
即ち、本発明は、酸官能性ブロック化イソシアネートの連続製造方法であって、反応器に、
(a)1つまたはそれ以上のポリイソシアネート;
(b)1つまたはそれ以上のヒドロキシカルボン酸;および
(c)1つまたはそれ以上の他のイソシアネートブロック化剤;
を連続的に供給し、混合することによる方法に関する。
【0019】
反応器中の温度は、少なくとも100℃、ある場合には少なくとも110℃、他の場合には少なくとも125℃であってよく、また、240℃まで、ある場合には200℃まで、他の場合には175℃までであってよい。反応器中の温度は、上に記載した値のいずれかまたはそれらの間のいずれかの値であってよい。
【0020】
下記の式(I)は、本発明の方法に従って製造することができる物質の非限定的な例を示すものである:
【化1】

式(I)において、
Xは、(q+m)官能性の有機基を表し、これは、(m+q)官能基を有するC〜C28の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族結合基あるいはOHおよび酸官能基が形式通りに脱離された数平均分子量が154〜1500のポリエステルであってよく;
Rは、(n+p)官能性の有機基を表し、これは、(n+p)官能基を有するC〜C18の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族結合基であってよく;
Zは、活性水素が除去された、イソシアネートブロック化剤に由来する残基を表し、これは、活性水素が除去された、活性水素基含有のC〜C32の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族または芳香族基であってよく;
mは、1〜3の範囲内の整数を表し、1または2、ある場合には1であってよく;
nは、1〜4の範囲内の整数を表し、1〜3、ある場合には1または2、他の場合には1であってよく;
pは、1〜5の範囲内の整数を表し、1〜4、ある場合には1〜3、他の場合には2〜4、ある場合には1または2、他の場合には1であってよく;
qは、1〜4の範囲内の整数を表し、1〜3、ある場合には1または2、他の場合には1であってよく;そして
p+qの合計は2より大きい。
【0021】
本発明のある態様においては、
Xは、1〜28個、ある場合には2〜28個、他の場合には1〜17個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の脂肪族、環式脂肪族、アリール脂肪族または芳香族基を表し、またXは、OHおよび酸官能性基が形式通りに脱離された数平均分子量が154〜1500のポリエステルであることもできる。
【0022】
本発明の別の態様においては、
Rは、2〜18個、ある場合には6〜13個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の脂肪族、環式脂肪族、アリール脂肪族または芳香族基を表し、これは、所望により1〜4個の塩素原子またはメトキシ基で置換されていてもよいか、または骨格鎖中に1〜2個の酸素原子をさらに含んでいてもよい。
【0023】
XおよびRに関するさらなる説明は、下記の出発物質の説明から確かめることができる。
【0024】
本発明のある態様において、ブロック化剤は、下記の式で示される1つまたはそれ以上の化合物である:
【化2】

[式中、Rは、C〜C24の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族基から選択され、Zは、ヒドロキシル、メルカプタン、オキシム、ラクタム、トリアゾール、ピラゾール、第二アミン、マロン酸エステル、アセチル酢酸エステル、およびシクロペンタノンエステルから選択される活性水素含有基である]。
【0025】
本発明の方法に従って製造しうる硬化剤は、n+p個のイソシアネート基を含むポリイソシアネート、n個のヒドロキシ基およびm個のカルボキシル基を含むヒドロキシカルボン酸、ならびに、イソシアネート基と反応しうるブロック化剤ZHから製造することができる。
【0026】
有用なイソシアネートは、周知の標準的な文献、例えば、「Methoden der Organischen Chemie」(Houben-Weyl)、Bd.14/2、4. Auflage、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1963、p.61-70 および W.Siefken、Liebigs Ann.Chem. 562、p.75-136に開示されている(これら文献の関連部分は、参考として本明細書の一部を構成する)。
【0027】
有用なポリイソシアネートには、下記のものが含まれるが、これらに限定はされない:1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-テトラメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、ω,ω-ジイソシアナトジプロピルエーテル、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および1,4-ジイソシアネート、2,4-および2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(「イソホロンジイソシアネート」)、2,5-および3,5-ビス-(イソシアナトメチル)-8-メチル-1,4-メタノデカヒドロナフタリン、1,5-、2,5-、1,6-および2,6-ビス-(イソシアナトメチル)-4,7-メタノヘキサヒドロインダン、1,5-、2,5-、1,6-および2,6-ビス-(イソシアナト)-4,7-メタノヘキサヒドロインダン、ジシクロヘキシル-2,4'-および4,4'-ジイソシアネート、ω,ω-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジイソシアナト-ジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジクロロジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'メトキシ-ジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3-ジメチル-ジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジフェニル-ジフェニル、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート、N,N'-(4,4'-ジメチル-3,3'-ジイソシアナト-ジフェニル)-ウレトジオン、m-キシリレンジイソシアネート、2,2'-、2,4'-および4,4'-ジシクロヘキシルメタン、2,4,4'-トリイソシアナト-ジフェニルエーテル、4,4',4''-トリイソシアナトトリフェニルメタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェートならびにこれら全ての混合物。
【0028】
さらに、上記したジおよびトリイソシアネートと2〜12個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシ基を含む多官能アルコールとを反応させることによって得られるポリイソシアネートも同様に使用することができる。また、オロゴマー化によって得ることができ、次の基:即ち、イソシアヌレート、ウレトジオン、アロファネート、ビウレット、ウレトンイミンおよび尿素のいずれかを含むポリイソシアネートを、本発明において使用することもできる。
【0029】
本発明のある態様において、イソシアネートは、1,6-テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび2,2'-、2,4'-および4,4'-ジシクロヘキシルメタンまたはこれらの混合物、ならびに、オリゴマー化によってこれらジイソシアネートから製造され、次の基:即ち、イソシアヌレート、ウレトジオン、アロファネート、ビウレット、ウレトンイミンおよび尿素のいずれかを含む生成物である。
【0030】
本発明において使用することができるヒドロキシカルボン酸には、OHおよび酸基を含むポリマーが含まれ、その非限定的な例はポリエステルに基づくものである。また、無水トリメリト酸とC〜C15ジオールの縮合によって得られるポリエステルオリゴマーを使用することもできる。さらに、低分子量化合物、例えばグリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)アルカン酸、例えばビス-(4-ヒドロキシフェニル)酢酸およびジアルキロールアルカン酸、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールヘキサン酸およびこれらの組合せを使用することもできる。
【0031】
また、モノマーヒドロキシカルボン酸の混合物、あるいは、モノマーヒドロキシカルボン酸とOHおよび酸基を含むポリマーとの混合物を、本発明において使用することもできる。
本発明のある態様において、ヒドロキシカルボン酸はジメチロールプロピオン酸である。
【0032】
アルコール、例えば、メタノール、エタノール、シクロヘキサノールおよびフェノールを、本発明においてブロック化剤として使用することができる。また、オキシム、メルカプタン、ラクタム(γ-ピロリドン、ラウリンラクタム、ε-カプロラクタム)、トリアゾール、ジメチルピラゾール、第二アミン、例えばジイソプロピルアミンおよびベンジル-tert-ブチルアミン、シクロペンタノン-α-エチルエーテル、さらに、マロン酸エステルおよびアセチル酢酸エステルをブロック化剤として使用することもできる。さらなるブロック化剤は、「Methoden der Organischen Chemie」(Houben Weyl)、Bd.14/2、第4版、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1963、p.61に開示されている(この文献の関連部分は、参考として本明細書の一部を構成する)。本発明のある態様においては、ε-カプロラクタムがブロック化剤である。
【0033】
本発明の種々の固体材料を製造するための方法は、あらゆる適する連続製造方法で行うことができる。非限定的な例として、図1に示すように、少なくとも2つの成分(10および12)を混合ユニット14において混合する。あらゆる適する混合ユニットを使用することができる。例えば、混合ユニットは、Y字形チューブのように単純なものであることができ、また、混合ヘッドであることもできる。即ち、多くの設計が可能である。混合ヘッド中の混合要素は、成分の混合を増大させるために物質流れを制御することによって混合を促進する。また、積極的に動く混合要素も有用である。これは、例えば撹拌装置であり、特に、高粘度が存在するときに有用である。成分の粘度が大きく異なるときには、高剪断を創製する要素、例えばジェット分散装置などが適している。
【0034】
本方法のある態様においては、(a)、(b)および/または(c)を、少なくとも1つのY字形チューブ、少なくとも1つの静的ミキサー要素を有する混合ユニット、積極的に撹拌する混合要素を有する混合ユニットおよびこれらの組合せから選択される混合要素を用いて混合する。
【0035】
これら2つの成分を混合したなら、この材料を、直接ベルト16上に置くことができる。この場合、材料をベルト上でオーブン(示されていない)を通って輸送することができるが、これは必ずしも必要ではない。
【0036】
本発明の別の態様においては、混合した原料を、チューブを通ってポンプ送りする。このチューブは、混合過程および熱の散逸を改善するために、静的混合要素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、チューブ中の積極的に動く要素を、追加の混合のために使用することができる。押出機が、このような積極的に動く混合要素(この場合、この要素は押出機スクリューである)を含む装置である。いくつかのスクリュー要素を使用して、混合を改善するか、物質流れを改善するか、または全体の流速および滞留時間を制御することができる。
【0037】
本発明において、一方の成分は、上記したポリイソシアネートまたはその混合物を含有し、もう一方の成分は、ヒドロキシカルボン酸およびブロック化剤を含有する。これら2つの成分が1を超える個々の原料からなるときには、これらを、貯蔵タンクなどにおいて予め混合しなければならない。2つの混和性液体の場合には、通常、これは貯蔵タンク中の混合装置(例えば撹拌機)によって行う。一方の原料が固体であるときには、それを、液体である他の原料中に溶解させる。ある場合には、比較的高い温度を使用して、溶液調製過程を促進するのが好ましい。また、比較的高い温度は、このような溶液の安定性を高めるのにも好ましい。
【0038】
ある場合には、比較的高い温度は、経時的に溶液を劣化させることがある。20〜160℃の温度を溶液の調製に使用することができ、ある場合には、混合温度は20〜100℃である。このような溶液の貯蔵を、20〜160℃の温度で、場合により20〜70℃の温度で行うことができる。
【0039】
また、全ての成分を個々に導入することもできる。これは、必要な溶液調製工程がより少なくなるので、方法全体の効率の点で有益になりうる。周囲条件で固体の原料は、粉末供給装置を使用して粉末として導入することができるか、または溶融した液体として使用することができる。
【0040】
ポリイソシアネート、ブロック化剤およびヒドロキシカルボン酸の添加は、任意の順序で行うことができる。初めに、ブロック化剤およびヒドロキシカルボン酸を、予備段階の過程で互いに溶解させ、次いで、ポリイソシアネートに導入することができる。また、初めにブロック化剤およびヒドロキシカルボン酸を反応器中に導入し、これらをその中で互いに溶解させ、次いでポリイソシアネートを添加することもできる。さらに、ポリイソシアネートを導入し、2つの他の成分(ブロック化剤、ヒドロキシカルボン酸)のいずれかを段階的にまたは一緒に添加することもできる。
【0041】
別の態様においては、初めにブロック化剤をポリイソシアネートと反応させ、次いでヒドロキシカルボン酸を添加する。別法によれば、初めにヒドロキシカルボン酸をポリイソシアネートと反応させ、次いでブロック化剤を添加することができる。
【0042】
ポリイソシアネートの混合物を使用するときには、初めに、ポリイソシアネートの1つをブロック化剤および/またはヒドロキシカルボン酸と予備段階で反応させ、次いで、残りの成分と1工程で反応させることができる。
【0043】
本発明の1つの態様においては、3工程の方法を使用することができる。この態様においては、予備段階混合物を、ポリイソシアネートから、ブロック化剤および/またはヒドロキシカルボン酸ならびにヒドロキシカルボン酸および/またはブロック化剤を用いて調製し、残りのイソシアネートを最後の工程で添加する。この添加順序は逆にすることができる。
【0044】
異なる添加順序を、バッチ型様式における独立した工程において部分的に行うことができ、また、ある場合には連続様式で行うことができる。
【0045】
本発明のある態様においては、押出機の構成を使用する。その理由は、このような装置が、通常は各成分を添加しうるいくつかの添加口を有しているがゆえに、最大の自由度を与えることができるためである。
【0046】
本方法において使用される温度は、使用される特定の原料に依存するであろう。通常、芳香族イソシアネートは、その固有の比較的高い反応性のゆえに、脂肪族イソシアネートよりも低い温度を必要とする。さらに、触媒を使用して反応速度を増大させることができる。通常は、導入される成分を、その添加の直前に予備加熱して、連続反応器中での反応時間を最適化する。固体原料を使用するときには、それをその融点以上に予備加熱することができる。押出機型の装置を使用するときには、固体原料を該押出機において溶融することができる。この場合には、粉末供給装置をポンプの代わりに使用して、原料の添加速度を調節することができる。
【0047】
触媒を使用しないときには、全ての成分が連続法において一度に添加され、最低混合温度が、ばらつきのない反応開始を確実にするために必要とされる。
芳香族イソシアネートを使用するときには、最低混合温度は40℃以上であり、脂肪族イソシアネートを使用するときには、最低混合温度は80℃以上である。
触媒を使用するときには、さらなる温度低下が可能である。
【0048】
連続反応器の温度設定は、下記の2つの目的達成を助ける:
(a)最低反応温度に調節して、各成分の反応を助けること;および
(b)過程中の発熱を制御して、過加熱および品質低下を回避すること。
【0049】
反応の構成に依存して、反応器中の異なる温度設定が2つの目的達成を助けることができる。反応器中の反応混合物の最適温度範囲は、100〜240℃、ある場合には120〜200℃であることができる。ある種の温度プロフィールを、反応時間全体にわたって創製することが予測される。しかし、220℃の温度限界を超えては短い変動が起こるであろう。
【0050】
上記した温度になる異なる領域のための設定は、装置それ自体における熱の散逸に依存して、大きく異なることができる。方法の構成中のある種の初期時間の後に、物質の流れおよび熱の散逸は変化することができる。方法中の物質流れおよび熱温度プロフィールに関して安定な方法条件を維持するのが望ましい。通常、これらの変数は、連続反応器中に導入される生成物特性化温度センサーおよび滞留時間によって制御される。
【0051】
生成物の排出温度は容易に測定することができ、100〜220℃、ある場合には140〜190℃の範囲内であることができる。
【0052】
ウレタン形成を促進する既知の触媒を、本方法に使用することができる。適する触媒には、下記のものが含まれるが、これらに限定はされない:ルイス酸、例えばジアルキルスズジカルボキシレート(ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート)、モノアルキルスズトリカルボキシレート、トリアルキルスズモノカルボキシレート、亜鉛カルボキシレート、ビスマス塩、ジアルキルスズジカルボキシレート、ならびに、脂肪族および芳香族アミン(例えばN,N-ジメチルベンジルアミン)。通常、触媒は、得られる組成物を基準に、0.00001〜1重量%、ある場合には0.02〜0.3重量%のレベルで使用される。
【0053】
上記した方法によって得られる酸官能性ブロック化イソシアネートを、粉末塗料組成物において使用することができる。このような粉末熱硬化性組成物は、樹脂および/または官能性ポリマー(イソシアネート基と反応する活性水素含有基を含む)、本発明の酸官能性ブロック化イソシアネート(架橋剤として)、および所望による添加剤(例えば、充填剤、含量、流れ制御剤、脱ガス剤および触媒)を、配合機(非限定的な例として、Henshelブレード配合機)においてドライブレンドすることによって製造することができる。この配合機を、それに導入した原料の均質なドライブレンドが得られるに十分な時間運転する。次いで、この均質なドライブレンドを、80〜140℃の温度範囲内で運転される押出機(通常は二軸スクリュー共回転押出機)において溶融ブレンドする。得られた混合物を冷却し、例えば15〜30ミクロンの平均粒子サイズまで粉砕する。
【0054】
活性水素含有基を含む樹脂および/または官能性ポリマー中の活性水素含有基は、1つまたはそれ以上のOH基、1つまたはそれ以上のSH基、1つまたはそれ以上の第一アミン、1つまたはそれ以上の第二アミン、およびこれらの組合せを含むことができる。
【0055】
粉末塗料用の本発明の酸官能性ブロック化イソシアネートは、木材、金属、プラスチック、ガラス、織物または無機物質から作製された基材、および/またはこれら材料から作製され既に被覆された基材、またはこれら材料のあらゆる所望の組合せからなる基材の被覆に適している。温度感受性の構造成分(例えば電子成分)を既に含む予め組立てられた比較的高品質の物品またはMDFボードの工業被覆、ならびに、家具、コイル、日用品、自動車車体および関連の追加部品の被覆における適用が、ここで特に挙げられる。
【実施例】
【0056】
本発明を、下記の実施例においてさらに具体的に説明するが、これらに対する多くの修飾および変更が当業者には明らかであるので、該実施例は説明のみを意図するものである。他に特記することがなければ、全ての部数および割合(%)は重量によるものである。また、は登録商標を表す。
【0057】
実施例1a:静的ミキサーを使用する連続法
図2に示す構成を用いて、艶消し粉末塗料用に適する酸官能性のε-カプロラクタムブロック化イソシアネートを合成した。2つの容器AおよびBを用いて、各反応性成分を調製した。混合要素(静的ミキサー1および2)を有する2つの金属チューブに、加熱/冷却サーモスタット22および排出ユニット28(これは冷却用ベルトであった)を装着した。静的ミキサー1は、長さ118cmおよび直径2cmを有していた。静的ミキサー2は、長さ2mおよび直径4cmを有していた。
【0058】
容器Aにおいて、イソホロンジイソシアネート:テトラメチレンジイソシアネートの3.08:1混合物を調製した(以下、これを成分Aと称する)。容器Bにおいて、ジメチロールプロピオン酸:ε-カプロラクタムの1.68:1溶液を50℃に維持した(以下、これを成分Bと称する)。2つのポンプ(24および26)を用いて、それぞれ容器AおよびBに貯蔵した成分の供給比および供給速度を調節した。供給比は、成分A:成分Bが1.14:1になるように設定した。
【0059】
ミキサー1のサーモスタットの温度は100〜120℃に設定し、ミキサー2のサーモスタットの温度は90〜110℃に設定した。ミキサー1の起点の温度は95℃に設定した。排出時の生成物の温度は167〜187℃と測定され、これは、ほとんどミキサー2のサーモスタットの温度設定に依存していた。最終生成物は、NCO含量 1.5〜1.9重量%、Tg 60〜63℃、および酸価 約68〜70mg KOH/gを有していた。
【0060】
実施例1b:実施例1aの架橋剤の評価
実施例1aで得た物質を、樹脂としてポリエステルポリオール(RUCOTE 194、Bayer Material Science、Pittsburgh、PA)、追加の架橋剤(エポキシド:ARALDIT 910、Ciba specialty Chemicals、Basel、スイス国)、および下記の表に挙げた他の成分を使用する粉末塗料配合物において使用した。使用した重量および各成分の機能は、下記の表に記載した。さらに、押出条件をも記載した。
【表1】

【0061】
下記の表は、先の表に示した方法条件下で調製した艶消し粉末架橋剤を試験するために使用した粉末塗料配合物および押出条件を示すものである。
【0062】
アセトン耐性に対して下記の採点を使用した。被覆フィルムが、アセトン浸漬パッドによる50回の往復ぬぐいを通過(合格)しなかったときには、割り当てた採点は、1〜50の間の負の数であった。例えば、−20は、フィルムが20回のアセトン往復ぬぐいの後に破壊されたことを示す。フィルムが50回のアセトン往復ぬぐいを通過したときには、フィルムを、1分間の蒸発時間の後に、指爪による引掻きに対して、下記の尺度に従って採点した:
0:損傷なし;
1:若干の損傷はあるが、フィルムは剥がれなかった;
2:フィルムを指爪によって除去することができた。
【0063】
また、フィルムの光沢を、往復ぬぐいを行ったスポットにおいて、下記の尺度に従って採点した:
lm:最初と比較してわずかな艶消し;
m:有意の艶消しが観察された。
【表2】

【0064】
実施例2a:積極的に動くミキサー要素を有する連続反応器(即ち押出機)を使用する連続法
二軸スクリュー押出機(Werner & Pfleiderer ZSK 53)を図3に示す構成で使用した。3つの成分(A、B1、およびB2)を、ポンプを用いて添加した。成分B1はε-カプロラクタムであり、これを溶融形態で添加し、成分B2はジメチロールプロピオン酸であり、これを粉末供給装置を用いて添加し、成分Aは実施例1aのものと同一であった。また、全ての成分の比も、実施例1aにおける比と同一であった。
【0065】
6つの温度制御部を用いて押出機中の温度を調節した。ゾーン1および2は200℃に設定し、ゾーン3は155〜170℃の範囲内とし、ゾーン4は150〜165℃の範囲内とし、そしてゾーン5および6は140〜160℃の範囲内とした。モーター32によって駆動する押出機スクリューは292rpmに設定した。押出量は80〜100ポンド/時であった。生成物の排出温度は、170℃であると測定された。最終生成物のTgは57〜62℃であり、NCO含量は0.30〜0.34%の範囲内であり、酸価は62.0〜72.5mg KOH/gの範囲内であった。
【0066】
実施例2b:実施例2aで調製した架橋剤の試験
実施例2aで得られた生成物の3つの試料を、RUCOTE 194 (固体ポリエステルポリオール;Bayer Material Science、Pittsburgh、PAから入手可能;OH価 45mg KOH/gを有する)を用いて試験した。試験配合物を下記の表に示す。
【表3】

押出条件:ゾーン1=90℃、ゾーン2=90℃、RPM=250、%トルク=80〜60二重パス押出。
【0067】
試験結果:
【表4】

【0068】
実施例1bおよび2bからわかるように、生成物の性能は優秀である。両方法は、ばらつきのない低光沢粉末塗料用の艶消し架橋剤を与えることがわかった。
【0069】
本発明を例示の目的で上に詳しく説明したが、このような詳細が該目的のためだけのものであること、ならびに、特許請求の範囲によって限定されることを除いて、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、当業者ならそれに変更を加えうることを理解すべきである。
【0070】
本発明は、下記に挙げる態様を包含するものである。
1.酸官能性ブロック化イソシアネートの連続製造方法であって、100〜240℃で反応器に、
(a)1つまたはそれ以上のポリイソシアネート;
(b)1つまたはそれ以上のヒドロキシカルボン酸;および
(c)1つまたはそれ以上の他のイソシアネートブロック化剤;
を連続的に供給し、混合することを含んでなる方法。
2.ポリイソシアネートが、下記の式:
【化3】

[式中、Rは、C〜C24の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族基から選択される結合基である]
で示される1つまたはそれ以上のポリイソシアネートである上記第1項に記載の方法。
【0071】
3.ポリイソシアネートが、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-テトラメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、ω,ω-ジイソシアナトジプロピルエーテル、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および1,4-ジイソシアネート、2,4-および2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(「イソホロンジイソシアネート」)、2,5-および3,5-ビス-(イソシアナトメチル)-8-メチル-1,4-メタノデカヒドロナフタリン、1,5-、2,5-、1,6-および2,6-ビス-(イソシアナトメチル)-4,7-メタノヘキサヒドロインダン、1,5-、2,5-、1,6-および2,6-ビス-(イソシアナト)-4,7-メタノヘキサヒドロインダン、ジシクロヘキシル-2,4'-および4,4'-ジイソシアネート、ω,ω-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジイソシアナトジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジクロロジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-メトキシジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3-ジメチルジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジフェニルジフェニル、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート、N,N'-(4,4'-ジメチル-3,3'-ジイソシアナトジフェニル)ウレトジオン、m-キシリレンジイソシアネート、2,2'-、2,4'-および4,4'-ジシクロヘキシルメタン、2,4,4'-トリイソシアナトジフェニルエーテル、4,4',4''-トリイソシアナトトリフェニルメタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよびこれらの混合物からなる群から選択される上記第1項に記載の方法。
【0072】
4.ヒドロキシカルボン酸が、下記の式:
【化4】

[式中、Xは、(m+q)官能基を有するC〜C28の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族結合基あるいは数平均分子量が154〜1500のポリエステルを表し;
mは、1〜3の整数であり;そして
qは、1〜4の整数である]
で示される1つまたはそれ以上の化合物である上記第1項に記載の方法。
5.ヒドロキシカルボン酸が、OHおよびカルボン酸基を含むポリマー、グリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)アルカン酸、ジアルキロールアルカン酸、ジメチロールヘキサン酸およびこれらの組合せからなる群から選択される上記第1項に記載の方法。
【0073】
6.ブロック化剤が、下記の式:
【化5】

[式中、Rは、C〜C24の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族基から選択され、Zは、ヒドロキシル、メルカプタン、オキシム、ラクタム、トリアゾール、ピラゾール、第二アミン、マロン酸エステル、アセチル酢酸エステル、およびシクロペンタノンエステルから選択される活性水素含有基である]
で示される1つまたはそれ以上の化合物である上記第1項に記載の方法。
7.酸官能性ブロック化イソシアネートが、下記の式:
【化6】

[式中、
Xは、(m+q)官能基を有するC〜C28の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族結合基あるいはOHおよび酸官能基が形式通りに脱離された数平均分子量が154〜1500のポリエステルを表し;
Rは、(n+p)官能基を有するC〜C18の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族結合基を表し;
Zは、活性水素が除去された、活性水素基含有のC〜C32の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族または芳香族基を表し;
mは、1〜3の範囲内の整数を表し;
nは、1〜4の範囲内の整数を表し;
pは、1〜5の範囲内の整数を表し;
qは、1〜4の範囲内の整数を表し;そして
p+qの合計は2より大きい
で示される構造を有する上記第1項に記載の方法。
【0074】
8.(a)、(b)および/または(c)を、少なくとも1つのY字形チューブ、少なくとも1つの静的ミキサー要素を有する混合ユニット、積極的に撹拌する混合要素を有する混合ユニットおよびこれらの組合せから選択される混合要素を用いて混合する上記第1項に記載の方法。
9.混合後の反応を、静的混合要素を含むかまたは含まないチューブにおいて、および/または、混合要素として直接働く押出機および/またはベルトにおいて行う上記第1項に記載の方法。
10.成分(a)、(b)および/または(c)の少なくとも2つの添加順序を、成分を任意の連続順序、同時順序で添加することによって、または成分を一緒に添加する前にそのいずれかを可溶化または反応させるために任意の予備段階過程を使用することによって行う上記第1項に記載の方法。
11.(a)が、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、異なるジイソシアネートの混合物、異なるポリイソシアネートの混合物、および異なるジイソシアネートとポリイソシアネートとの混合物から選択され、(b)が、モノマーヒドロキシカルボン酸、OHおよび酸基を含むポリマー、モノマーヒドロキシカルボン酸の混合物、およびモノマーヒドロキシカルボン酸とOHおよび酸基を含むポリマーとの混合物から選択され、(c)が、オキシム、メルカプタン、ラクタム、マロン酸エステル、アセチル酢酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるイソシアネート用ブロック化剤である上記第1項に記載の方法。
【0075】
12.(a)、(b)および(c)のいずれかを予備段階過程で一緒にして1つの成分を形成させる上記第11項に記載の方法。
13.(a)、(b)および(c)のいずれかをサブ成分に分割する上記第11項に記載の方法。
14.成分(a)が1,6-テトラメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートの混合物であり、成分(b)がジメチルプロピオン酸であり、成分(c)がε-カプロラクタムである上記第11項に記載の方法。
15.静的混合要素を有するチューブ反応器において行う上記第1項に記載の方法。
16.押出機において行う上記第1項に記載の方法。
17.(a)、(b)および(c)と、(d)ルイス酸、モノアルキルスズトリカルボキシレート、トリアルキルスズモノカルボキシレート、亜鉛カルボキシレート、ビスマス塩、ジアルキルスズジカルボキシレート、および芳香族アミンから選択される触媒とを混合することをさらに含んでなる上記第1項に記載の方法。
18.上記第1項の方法に従って製造した酸官能性ブロック化イソシアネート。
19.上記第18項に記載の酸官能性ブロック化イソシアネートを含んでなる粉末塗料組成物。
20.上記第9項の方法に従って製造した酸官能性ブロック化イソシアネート。
21.上記第20項に記載の酸官能性ブロック化イソシアネートを含んでなる粉末塗料組成物。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の方法の実施に使用する装置の模式図である(その1)。
【図2】本発明の方法の実施に使用する装置の模式図である(その2)。
【図3】本発明の方法の実施に使用する装置の模式図である(その3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸官能性ブロック化イソシアネートの連続製造方法であって、100〜240℃で反応器に、
(a)1つまたはそれ以上のポリイソシアネート;
(b)1つまたはそれ以上のヒドロキシカルボン酸;および
(c)1つまたはそれ以上の他のイソシアネートブロック化剤;
を連続的に供給し、混合することを含んでなる方法。
【請求項2】
ポリイソシアネートが、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-テトラメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、ω,ω-ジイソシアナトジプロピルエーテル、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および1,4-ジイソシアネート、2,4-および2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(「イソホロンジイソシアネート」)、2,5-および3,5-ビス-(イソシアナトメチル)-8-メチル-1,4-メタノデカヒドロナフタリン、1,5-、2,5-、1,6-および2,6-ビス-(イソシアナトメチル)-4,7-メタノヘキサヒドロインダン、1,5-、2,5-、1,6-および2,6-ビス-(イソシアナト)-4,7-メタノヘキサヒドロインダン、ジシクロヘキシル-2,4'-および4,4'-ジイソシアネート、ω,ω-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジイソシアナトジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジクロロジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-メトキシジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3-ジメチルジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジフェニルジフェニル、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート、N,N'-(4,4'-ジメチル-3,3'-ジイソシアナトジフェニル)ウレトジオン、m-キシリレンジイソシアネート、2,2'-、2,4'-および4,4'-ジシクロヘキシルメタン、2,4,4'-トリイソシアナトジフェニルエーテル、4,4',4''-トリイソシアナトトリフェニルメタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒドロキシカルボン酸が、OHおよびカルボン酸基を含むポリマー、グリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)アルカン酸、ジアルキロールアルカン酸、ジメチロールヘキサン酸およびこれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ブロック化剤が、下記の式:
【化1】

[式中、Rは、C〜C24の直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族、芳香族またはアリール脂肪族基から選択され、Zは、ヒドロキシル、メルカプタン、オキシム、ラクタム、トリアゾール、ピラゾール、第二アミン、マロン酸エステル、アセチル酢酸エステル、およびシクロペンタノンエステルから選択される活性水素含有基である]
で示される1つまたはそれ以上の化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(a)、(b)および/または(c)を、少なくとも1つのY字形チューブ、少なくとも1つの静的ミキサー要素を有する混合ユニット、積極的に撹拌する混合要素を有する混合ユニットおよびこれらの組合せから選択される混合要素を用いて混合する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
混合後の反応を、静的混合要素を含むかまたは含まないチューブにおいて、および/または、混合要素として直接働く押出機および/またはベルトにおいて行う請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(a)、(b)および(c)と、(d)ルイス酸、モノアルキルスズトリカルボキシレート、トリアルキルスズモノカルボキシレート、亜鉛カルボキシレート、ビスマス塩、ジアルキルスズジカルボキシレート、および芳香族アミンから選択される触媒とを混合することをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法によって製造した酸官能性ブロック化イソシアネート。
【請求項9】
請求項8に記載の酸官能性ブロック化イソシアネートを含んでなる粉末塗料組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−161050(P2006−161050A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353412(P2005−353412)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】