説明

酸性イオン液体触媒を用いるアルキル化芳香族化合物の製造方法

【課題】アルキル化芳香族化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】ヒドロキシル基を含まない芳香族化合物をアルキル化する方法であって、少なくとも一種のヒドロキシル非含有芳香族化合物を、酸性イオン液体触媒の存在下で、少なくとも一種のオレフィンオリゴマーと反応させることを含む方法、ただし、オレフィンオリゴマーは、炭素数が約C12乃至約C70の範囲にあり、かつ少なくとも一種のモノオレフィン単量体を酸性イオン液体触媒の存在下でオリゴマー化することにより合成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシル基を含まない芳香族化合物を、酸性イオン液体触媒の存在下でオレフィンオリゴマーと反応させることにより、ヒドロキシル非含有芳香族化合物をアルキル化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香族炭化水素のアルキル化の触媒として、種々のルイス酸又はブレンステッド酸触媒を用いることはよく知られている。代表的な市販の触媒としては、リン酸/多孔質けいそう土、ハロゲン化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化アンチモン、塩化第二スズ、塩化亜鉛、ポリ(フッ化水素)オニウム、フッ化水素、酸性イオン交換樹脂類、酸性粘土類、合成又は天然ゼオライト類、および非晶質シリカ・アルミナなどの固体酸類を挙げることができる。プロピレンのような低分子量オレフィンによるアルキル化は、液相でも気相でも実施することができる。C16+オレフィンのような高級オレフィンによるアルキル化では、液相でしばしばフッ化水素を存在させてアルキル化が行われる。高級オレフィンによるベンゼンのアルキル化は難しく、一般にフッ化水素処理を必要とする。そのような方法は特許文献1に開示されていて、それも如何なる目的であれ参照内容として本明細書の記載内容とする。
【0003】
フッ化水素のような酸の使用に伴う一つの問題は、これらの酸が極めて腐食性であり、特別な取扱いおよび装置を必要とすることにある。また、これらの酸の使用が環境問題に影響を及ぼす可能性もある。別の問題は、これらの酸の使用が生成物の厳密な化学組成という点ではあまり望ましい制御をもたらさないことにある。
【0004】
特許文献2には、ブテン−1、ブテン−2およびイソ−ブテンのうちの一種以上を含むオレフィン供給原料を、イオン液体と接触させることにより、オレフィン供給原料を重合させることが開示されている。
【0005】
特許文献3には、芳香族炭化水素をイオン液体の存在下でオレフィンと反応させることにより、芳香族炭化水素をアルキル化する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4503277号明細書、ハイムズ(Himes)、「芳香族炭化水素アルキル化法におけるHF再生(HF Regeneration in Aromatic Hydrocarbon Alkylation Process)」
【特許文献2】米国特許第5304615号明細書、アンブラー(Ambler)、外
【特許文献3】米国特許第5994602号明細書、アブダル−サダ(Abdul-Sada)、外
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フッ化水素のような酸の使用に伴う一つの問題は、これらの酸が極めて腐食性で、よって特別な取扱いおよび装置を必要とすることにある。また、これらの酸の使用が環境問題に影響を及ぼす可能性もある。別の問題は、これらの酸の使用が生成物の厳密な化学組成という点ではあまり望ましい制御をもたらさないことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
最も広義の態様では、本発明は、少なくとも一種のモノオレフィン単量体を酸性イオン液体触媒の存在下でオリゴマー化することにより製造された、炭素数が約C12乃至約C70の範囲にあるオレフィンオリゴマーからアルキル置換基が誘導された、ヒドロキシル非含有アルキル芳香族化合物にある。
【0009】
別の態様では、本発明は、ヒドロキシル基を含まない芳香族化合物をアルキル化する方法であって、少なくとも一種のヒドロキシル非含有芳香族化合物を、酸性イオン液体触媒の存在下で、少なくとも一種のオレフィンオリゴマーと反応させることを含む方法にある。ただし、オレフィンオリゴマーは、炭素数が約C12乃至約C70の範囲にあり、かつ少なくとも一種のモノオレフィンを酸性イオン液体触媒の存在下でオリゴマー化することにより合成されたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ヒドロキシル基を含まない芳香族化合物を、酸性イオン液体触媒の存在下でオレフィンオリゴマーと反応させることにより、ヒドロキシル非含有芳香族化合物をアルキル化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明には様々な変更や代替形態が可能であるが、本明細書では本発明の特定の態様について詳細に記述する。しかし、本明細書における特定の態様の記述は、本発明を開示する特定の形態に限定しようと意図するものではなく、むしろ反対に、本発明は、添付した特許請求の範囲で規定した本発明の真意および範囲に含まれる全ての変更形、等価形および代替形を包含することができることを理解されたい。
【0012】
[定義]
オレフィン類:「オレフィン類」は、多数の方法によって得られた、炭素−炭素二重結合を1つ以上持つ不飽和脂肪族炭化水素の部類を意味する。「モノオレフィン」は、二重結合を一つ持つオレフィンを意味する。アルファオレフィン類もオレフィン類の定義に含まれる。
【0013】
アルファオレフィン類:「アルファオレフィン類」は、二重結合が第一炭素原子と第二炭素原子の間にあるオレフィン類を意味し、とりわけ反応性が高い。例としては1−オクテンおよび1−オクタデセンがあり、これらは生分解性が中位の界面活性剤の出発点として使用されている。線状オレフィン類も分岐オレフィン類もオレフィン類の定義に含まれる。
【0014】
線状オレフィン類:「線状オレフィン類」としては、ノルマルアルファオレフィンおよび線状アルファオレフィンが挙げられ、鎖に炭素−炭素二重結合が少なくとも1つ存在する直鎖で分岐していない炭化水素であるオレフィン類を意味する。
【0015】
二重結合異性化線状オレフィン類:「二重結合異性化線状オレフィン類」は、炭素−炭素二重結合が末端にない(すなわち、二重結合が鎖の第一炭素原子と第二炭素原子の間に位置していない)オレフィンを、5%より多く含む線状オレフィンの部類を意味する。
【0016】
部分的に分岐した線状オレフィン類:「部分分岐線状オレフィン類」は、二重結合を含む直鎖当り一個未満のアルキル分岐を含み、かつアルキル分岐がメチル又はそれ以上の基であってよい線状オレフィンの部類を意味する。部分分岐線状オレフィン類には二重結合異性化オレフィン類も含まれる。
【0017】
分岐オレフィン類:「分岐オレフィン類」は、二重結合を含む線状直鎖当り一個以上のアルキル分岐を含み、かつアルキル分岐がメチル又はそれ以上の基であってよいオレフィンの部類を意味する。
【0018】
ヒドロキシル非含有芳香族化合物:「ヒドロキシル非含有芳香族化合物」は、芳香環にも何れの置換基(群)にもヒドロキシル基を含まない芳香族化合物を意味する。
【0019】
未置換芳香族化合物:「未置換化合物」は、芳香環(群)に置換基が結合していない芳香族化合物を意味する。これらの化合物は、単環式でも、二環式でも、あるいは多環式でもよい。そのような化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、ベンゼンおよびナフタレン等が挙げられる。
【0020】
一置換芳香族化合物:「一置換化合物」は、芳香環に1個の置換基が結合している芳香族化合物を意味する。これらの化合物は、単環式でも、二環式でも、あるいは多環式でもよい。そのような化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、次の置換基のうちの一個を持つ芳香族化合物が挙げられる:−OR、−R、−X、−NH2、−NHRまたは−NR2等(ただし、Rはアルキル基であり、そしてXはハライドである)。
【0021】
二置換芳香族化合物:「二置換化合物」は、芳香環(群)に二個の置換基が結合している芳香族化合物を意味する。芳香族化合物は、単環式でも、二環式でも、あるいは多環式でもよい。そのような化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、次の中から選ばれた二個の置換基を持つ芳香族化合物が挙げられる:−OR、−R、−X、−NH2、−NHRまたは−NR2等(ただし、Rはアルキル基であり、そしてXはハライドである)。
【0022】
ブレンステッド酸:「ブレンステッド酸」は、プロトンを放出する物質と定義されているローリイ・ブレンステッド酸を意味する。この酸の強度はそのプロトンを放出しやすい傾向に依存する。容易にプロトンを放出する物質は一般に強い酸である。硫酸や塩酸は強いブレンステッド酸の例である。
【0023】
本発明の一態様は、アルキル化芳香族化合物の製造方法であって、少なくとも一種の芳香族化合物を、分子量が約160乃至約850で、かつ酸性イオン液体触媒の存在下でオレフィンをオリゴマー化することで合成したオレフィンオリゴマーと、反応させることを含む方法である。
【0024】
[芳香族化合物]
本発明のアルキル化反応には、少なくとも一種のヒドロキシル非含有芳香族化合物を使用することができる。つまり、芳香族化合物は、芳香環に直接結合するヒドロキシル基を含まず、また芳香環に結合した置換基の何れにもヒドロキシル基を含んでいない。少なくとも一種の芳香族化合物は、単環式芳香族炭化水素のうちの少なくとも一種、例えばベンゼン、トルエン、キシレン−異性体全て(すなわち、メタ−、オルト−及びパラ−)を含む、クメンまたはそれらの混合物を含んでいることが好ましい。また、少なくとも一種の芳香族化合物は、ナフタレンのような二環式及び多環式芳香族化合物も含んでいてもよい。
【0025】
芳香族化合物は、未置換芳香族化合物であっても、一置換化合物であっても、および/または二置換化合物であってもよい。
【0026】
(芳香族化合物源)
本発明に用いられる少なくとも一種の芳香族化合物は、当該分野でよく知られている方法により製造される。
【0027】
[オレフィンオリゴマー]
本発明に用いられるオレフィンオリゴマーは、低分子量のモノオレフィン単量体を、酸性イオン液体の存在下で反応させることにより合成することができる。オレフィンオリゴマーの炭素数は約C12−C70の範囲にある。オレフィンオリゴマーはプロピレンオリゴマーであることが好ましい。
【0028】
(モノオレフィン単量体)
本発明に用いられる低分子量モノオレフィン単量体は、線状の、異性化線状の、分岐した、または部分分岐した線状のオレフィン類、もしくはそれらの混合物であってよい。
【0029】
モノオレフィン類は、様々な原料から誘導することができる。そのような原料としては、ノルマルアルファオレフィン法またはオレフィンメタセシス法によるノルマルアルファオレフィン類が挙げられる。オレフィンを誘導することができる別の原料としては、石油またはフィッシャー・トロプシュ・ワックスの分解によるものがある。フィッシャー・トロプシュ・ワックスは分解前に水素化処理されていてもよい。他の市販原料としては、パラフィン脱水素法やメタノール−オレフィン法(メタノール分解装置)等により誘導されたオレフィン類が挙げられる。別のオレフィン原料は、流動接触分解(FCC)装置により誘導されたものなどの精製オレフィン類であってもよい。別のオレフィン原料は、フィッシャー・トロプシュ合成法により誘導されたものであってもよい。
【0030】
また、モノオレフィン類は、基が酸性イオン液体触媒と反応しない限り、カルボン酸基およびヘテロ原子など他の官能基で置換されていてもよい。
【0031】
(異性化ノルマルアルファオレフィン単量体)
本発明の一態様では、用いるモノオレフィンはノルマルアルファオレフィンである。ノルマルアルファオレフィンは、二種類の酸性触媒のうちの少なくとも一種、固体でも液体であってもよい、を用いて異性化することができる。固体触媒は、少なくとも一種の金属酸化物を含み、平均孔径が5.5オングストローム未満であることが好ましい。より好ましくは、固体触媒は一次元の細孔組織を持つ分子ふるいであり、例えばSM−3、MAPO−11、SAPO−11、SSZ−32、ZSM−23、MAPO−39、SAPO−39、ZSM−22、またはSSZ−20がある。異性化に使用できる他の可能な酸性固体触媒としては、ZSM−35、SUZ−4、NU−23、NU−87、および天然又は合成フェリエライト類を挙げることができる。これらの分子ふるいは、当該分野でよく知られていて、ローズマリー・ゾスタク(Rosemarie Szostak)著、「分子ふるい便覧(Handbook of Molecular Sieves)」(ニューヨーク、バン・ノストランド・ラインホルド(Van Nostrand Reinhold)、1992年)にも記述されていて、それも如何なる目的であれ参照内容として本明細書の記載内容とする。使用することができる異性化触媒の液体種は、ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)5)である。
【0032】
ノルマルアルファオレフィン類の異性化法は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。工程温度は約50℃乃至約250℃の範囲であってよい。バッチ式で使用される代表的な方法は、所望の反応温度に加熱できる撹拌可能なオートクレーブ又はガラスフラスコである。連続法は固定床法で最も効率良く実施される。固定床法の空間速度は、0.1乃至10毎時質量空間速度又はそれ以上の範囲にあってよい。
【0033】
固定床法では、異性化触媒を反応器に充填し、少なくとも150℃の温度で、減圧でまたは乾燥した不活性ガスを流しながら活性化又は乾燥する。活性化後、異性化触媒の温度を所望の反応温度に調節し、そしてオレフィン流を反応器に導入する。部分分岐した異性化オレフィンを含む反応器からの流出液を収集する。得られた部分分岐異性化オレフィンは、所望のオレフィン分布と分岐度を得るために非異性化オレフィンおよび条件を選択したのとは異なった、オレフィン分布(すなわち、アルファオレフィン、ベータオレフィン;内部オレフィン、三置換オレフィン、およびビニリデンオレフィン)と分岐含量を有する。
【0034】
モノオレフィン単量体は、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテンまたはそれらの混合物であることが好ましい。より好ましくは、モノオレフィン単量体はプロピレンである。一般に、モノオレフィン単量体の炭素数は約C2−C10の範囲にある。好ましくは、モノオレフィン単量体の炭素数は約C3−C5の範囲にある。
【0035】
[酸性イオン液体触媒]
酸性イオン液体触媒は、錯体を生成させる少なくとも二つの成分から構成される。アルキル化反応またはオレフィンオリゴマー化法の何れかにおける酸性イオン液体触媒は独立に、第一成分と第二成分を含んでいる。触媒の第一成分は一般に、第13族金属のルイス酸化合物などの成分から選ばれたルイス酸化合物を含んでいて、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、ハロゲン化ガリウムおよびハロゲン化アルキルガリウムが挙げられる(国際純正および応用化学連合(IUPAC)、第三バージョン、2005年10月、周期表第13族金属参照)。第13族金属のルイス酸化合物以外の他のルイス酸化合物も使用することができる。第一成分として特に好ましいのは、ハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化アルキルアルミニウムである。とりわけ三塩化アルミニウムは、本発明の実施に使用できる触媒を製造するための第一成分として用いることができる。
【0036】
イオン液体触媒を作る第二成分は、有機塩または塩の混合物である。これらの塩の特徴は、一般式:Q+-(ただし、Q+はアンモニウム、ホスホニウム、ボロニウム、ヨードニウム又はスルホニウムカチオンであり、そしてA-は負の荷電イオン、例えばCl-、Br-、ClO4-、NO3-、BF4-、BCl4-、PF6-、SbF6-、AlCl4-、ArF6-、TaF6-、CuCl2-、FeCl3-、SO3CF3-、SO37-、および3−スルファトリオキシフェニルである)にある。第二成分として用いるのに好ましいのは、炭素原子数約1−約9のアルキル部を一個以上含む第四級アンモニウムハライド類、例えばトリメチルアミン塩酸塩、メチルトリブチルアンモニウム、および1−ブチルピリジニウム、または炭化水素置換イミダゾリウムハライド、例えば1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロリドである。
【0037】
第一成分の存在が、イオン液体にルイス又はフランクリン酸特性を与えることになる。一般に、第一成分対第二成分のモル比が大きくなるほど、イオン液体混合物の酸度も高くなる。酸性イオン液体触媒の第一成分および第二成分としてそれぞれ、三塩化アルミニウムとトリメチルアミン塩酸塩を用いるとき、約1:1より大きく約2:1までのモル比で存在することが好ましい。
【0038】
任意に、酸性イオン液体触媒は、第三成分を含んでいてもよい。第三成分はブレンステッド酸であることが好ましい。ブレンステッド酸には、塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)、トリフルオロメタンスルホン酸、安息香酸、パラ−トルエンスルホン酸、および硫酸等が含まれる。
【0039】
[オレフィンオリゴマーの製造]
本発明に用いられるオレフィンオリゴマーは、低分子量モノオレフィン単量体を酸性イオン液体の存在下でオリゴマー化することにより合成される。オレフィンオリゴマーは、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、ペンテンオリゴマーおよびそれらの混合物から選ばれることが好ましい。好ましくはオレフィンオリゴマーは、プロピレンまたはイソプロピレンを酸性イオン液体の存在下でオリゴマー化することにより合成されたプロピレンオリゴマーである。オレフィンオリゴマーの炭素数は、約12−約60の範囲にあることが好ましい。
【0040】
オレフィンオリゴマーは、前述したように、連続式、バッチ式または準バッチ式反応法で、約−20℃乃至約100℃および大気圧乃至約100psigの圧力で、モノオレフィン単量体を酸性イオン液体触媒と反応させることにより製造することができる。これらの工程条件は限定的なものではない。オレフィンのオリゴマー化における工程条件の最適化も本発明の範囲内にある。
【0041】
[アルキル化芳香族化合物の製造方法]
芳香族化合物又は芳香族化合物の混合物を含む炭化水素供給物、オレフィンオリゴマーおよび酸性イオン液体触媒を、撹拌し続けている反応域に導入することによりアルキル化法を実施する。アルキル化法に用いられる酸性イオン液体触媒は、オレフィンオリゴマー化法に用いられる酸性イオン液体触媒と同じであっても同じでなくてもよい。得られた反応混合物は芳香族化合物、オレフィンオリゴマーおよび酸性イオン液体を含んでいるが、これを、オレフィンから芳香族アルキレートへの実質的な変換(すなわち、少なくとも80モル%のオレフィンが反応していること)を可能にするほど充分な時間、アルキル化条件の下でアルキル化域に保持する。所望の時間ののち、アルキル化域から反応混合物を取り出して液−液分離器に送り、酸性イオン液体触媒から炭化水素生成物を分離する。酸性イオン液体触媒を、閉ループサイクルで反応器に再循環させてもよい。炭化水素生成物を更に処理して、余分な未反応芳香族化合物と任意にオレフィン化合物を、所望のアルキレート生成物から取り除く。余分な芳香族化合物も反応器に再循環させる。
【0042】
反応器域ではいろいろな種類の反応器構成を使用することができる。これらとしては、以下に限定されるものではないが、バッチ式及び連続式撹拌タンク形反応器、反応器上昇管構成、沸騰床反応器、および当該分野でよく知られている他の反応器構成を挙げることができる。そのような多くの反応器が当該分野の熟練者に知られていて、アルキル化反応に適している。撹拌は、アルキル化反応では重要であり、じゃま板付き又は無しの回転羽根車、静的混合機、上昇管内での動的混合、あるいは当該分野でよく知られているその他任意の撹拌装置により供することができる。
【0043】
アルキル化法は、約−10℃乃至約100℃の温度で実施することができる。供給成分の実質部分が液相に留るほど充分な圧力でこの方法を実施する。一般には、供給物および生成物を液相に維持するには0乃至1000psigの圧力で充分である。
【0044】
少なくとも一種の芳香族化合物又は芳香族化合物の混合物とオレフィンオリゴマーとを、別々に反応域に注入してもよいし、あるいは注入に先立って混合してもよい。単一反応域を使用しても複数反応域を使用してもよく、芳香族化合物とオレフィンオリゴマーを反応域の一箇所、数箇所又は全箇所に注入してもよい。反応域を同じ工程条件で維持する必要はない。
【0045】
芳香族化合物とオレフィンオリゴマーの充填モル比は、約0.5:1乃至100:1の範囲にあってよい。
【0046】
アルキル化法はバッチ法でも連続法でも実施することができる。酸性イオン液体触媒を連続法で用いてもバッチ法で用いても、再循環させることができる。
【0047】
オレフィンオリゴマー化法とアルキル化法を、連続配置された二つの別々の反応器内で行うこともできる。第一反応器内で、前述した方法工程に従ってオレフィンオリゴマー化を行う。次に、オレフィンオリゴマー化生成物を第二反応器に送って、そこで上述した方法工程に従ってアルキル化法を行う。
【0048】
オレフィンオリゴマーを製造するのに用いた触媒(群)およびアルキル化法の触媒(群)を、再循環させることができる。
【0049】
上述したオレフィンオリゴマー化及びアルキル化反応の生成物が、本発明のヒドロキシルを含まないアルキル化芳香族化合物である。
【0050】
従って、本発明の別の態様は、少なくとも一種のモノオレフィン単量体を酸性イオン液体触媒の存在下でオリゴマー化することにより製造された、炭素数が約C12乃至C70の範囲にあるオレフィンオリゴマーから、アルキル置換基が誘導された、ヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物にある。
【0051】
その他の態様も当該分野の熟練者には明らかであろう。
【0052】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を説明するために提示するのであって、決して本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【実施例】
【0053】
[実施例1] トリメチルトリブチルアンモニウムクロロアルミン酸塩イオン液体触媒の製造
無水三塩化アルミニウムおよびメチルトリブチルアンモニウムクロリドを、減圧下、100℃で一晩乾燥した。
【0054】
乾燥室内でイオン液体触媒の製造を行った。メチルトリブチルアンモニウムクロリド550.6グラムを、電磁撹拌子を備えたビーカーに入れた。無水塩化アンモニウム622.7グラムを第二のビーカーに入れた。電磁撹拌子を活動させながら、メチルトリブチルアンモニウムクロリドのビーカーに固体塩化アルミニウムを少量ずつ穏やかに加えた。塩化アルミニウムを添加するにつれて、反応熱が生じ、反応混合物は「ペースト状」になり始め、そののち一部が液体になり始めた。塩化アルミニウムの添加速度を遅くして、ビーカーの温度上昇をやわらげた。塩化アルミニウムを更に添加すると、液体が更に生じて、実際に反応混合物は自由に動き出した。三塩化アルミニウムの全量を添加した後、反応混合物を周囲温度まで放冷し、そして一晩撹拌した。翌朝、反応混合物を、130℃で乾燥したガラスろ過器でろ過した。ろ過した最終イオン液体触媒を窒素中でガラスびんに保管した。
【0055】
[実施例1a] トリメチルアンモニウムクロロアルミン酸塩イオン液体触媒の製造
機械撹拌機、温度計および水冷還流冷却器を取り付けた1000mLの乾燥した三つ口丸底ガラスフラスコに、トリメチルアンモニウム塩酸塩67.2グラム(0.7モル)を入れた。塩酸塩を減圧下(400mmHg)で約15時間105℃に加熱した後、窒素雰囲気中で室温まで冷却した。撹拌しながら、フラスコの温度を135℃に上げながら、塩酸塩に三塩化アルミニウム187.8グラム(1.4モル)を少量ずつ、窒素中で約25分かけて加えた。次に、フラスコの内容物を70℃に加熱し、1時間45分撹拌し、そののち窒素中で室温まで冷却した。生成物の液体トリメチルアンモニウムクロロアルミン酸塩イオン液体を、使用するまで窒素中で保存した。
【0056】
[実施例2] プロピレンオリゴマーの製造
800mLオートクレーブを窒素でパージした。実施例1aで製造したイオン液体触媒30mL、およびヘキサン20mLを、注射器でオートクレーブに入れた。次に、オートクレーブを約30乃至約60秒間排気して、オートクレーブ内の窒素を除去した。次いで、オートクレーブを撹拌しながら、約0℃乃至約90℃の温度で平衡にした。プロピレンガスを約50psigの圧力まで加え、反応時間中50psigで維持した。反応を約1時間乃至約6時間行った。次に、オートクレーブへのプロピレン供給を中止し、発熱及び/又は冷却体を取り除いた。その後、オートクレーブを大気圧にして開放した。イオン液体触媒から炭化水素層をデカントした。次いで、イオン液体触媒層をヘキサンで洗い、ヘキサン層を反応器から集めた炭化水素と一緒にした。次に、炭化水素層を水とかき混ぜて、あらゆる微量のイオン液体触媒を取り除いた。そののち、炭化水素層を水から分離し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した。60℃で回転式蒸発を行って如何なる揮発物質も除去することにより、集めた炭化水素層からプロピレンオリゴマー生成物を単離した。
【0057】
[実施例2a] 連続流式反応器でのイオン液体によるプロピレンのオリゴマー化
底部のガラスガス注入口、電磁撹拌子および針状ガス抜きを備えた清浄で乾燥したおよそ80mLのガラス反応器を、電磁撹拌式熱板で加熱した、温度計を備えた湯浴に入れた。反応器に、実施例1aのイオン液体およそ10ml、次いでヘキサンおよそ25mLを充填した。湯浴を氷で0から7℃の間で冷却し、そしてガス注入口からプロピレンガスを導入して、およそ1.0リットル/分でおよそ7時間にわたってイオン液体に吹き込み、その間湯浴を40から51℃で維持した。
【0058】
プロピレンガス流を止め、そしてヘキサンおよそ40mLを反応器に加えた。次に、反応器の内容物を分液漏斗に移し、そして氷およそ10gを分液漏斗に加えた。有機層を水で洗い、無水MgSO4にて乾燥し、ろ過し、そしてヘキサンを減圧下(およそ20mmHg)、80℃で蒸留してオリゴマー化したプロピレンを得た。この反応を4回繰り返し、そして各回のオリゴマー化プロピレン生成物を一緒にして、およそ260gのオリゴマー化プロピレンが生じた:ゲルろ過クロマトグラフィー多角光散乱(MALS)分析では、MWn=769、DI=1.51。
【0059】
[実施例2b] 連続撹拌流式反応器でのイオン液体触媒によるプロピレンのオリゴマー化
底部排水弁を備え、かつ櫂形機械撹拌機、温度計、反応器底部のガラス注入口および針状ガス抜きを設けた水冷冷却器を取り付けた清浄で乾燥したおよそ1リットルのジャケット付きガラス反応器に、実施例1aのイオン液体触媒およそ130グラム、およびヘキサンおよそ100mLを入れた。撹拌機を高速度で動かし、反応器を10−16℃に冷却し、そしてガス分散管からプロピレンガスをおよそ1リットル/分でおよそ1時間、次いで0.4〜0.6リットル/分に下げておよそ7時間導入し、その間反応器温度を23〜36℃で維持した。プロピレン流を止め、撹拌機を止め、そして反応器からイオン液体触媒を排出させた。およそ24時間後の翌日、イオン液体触媒を反応器に戻し、撹拌機を始動させ、そして反応器温度を26から52℃で維持しながら、ガス分散管からプロピレンガスを0.4〜0.6リットル/分でおよそ8時間導入した。一連のプロピレンガスの停止、イオン液体触媒の排出およびおよそ24時間後の反応の再開を2回繰り返し、そののち反応器からイオン液体触媒を排出させ、有機層を単離して水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、そしてヘキサンを減圧下(およそ20mmHg、80℃)で蒸留して、オリゴマー化したプロピレンおよそ500グラムを得た。ゲルろ過クロマトグラフィー多角光散乱(MALS)分析によれば、MWn=917、DI=1.34であった。
【0060】
[実施例2c] 連続撹拌流式反応器でのイオン液体触媒によるプロピレンのオリゴマー化
緩やかな撹拌速度を利用し、そしてプロピレンガスを0.2〜0.4L/分でおよそ52時間にわたって連続して導入したこと以外は、実施例2bで用いた反応器構成を使用した。反応器から実施例1aのイオン液体触媒を排出させ、有機層を単離して水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、そしてヘキサンを減圧下(およそ20mmHg、80℃)で蒸留して、オリゴマー化したプロピレンおよそ460グラムが生成した。ゲルろ過クロマトグラフィー多角光散乱(MALS)分析によれば、MWn=650、DI=1.37であった。
【0061】
[実施例3] イオン液体触媒を用いた、オリゴマー化プロピレンによるトルエンのアルキル化
機械撹拌機、温度計および水冷還流冷却器を取り付けた100mLの乾燥三つ口丸底ガラスフラスコに、窒素中でトルエン17.5グラム(0.189モル)、次いでMWn=917で実施例2bの方法に従って製造したオリゴマー化プロピレン20.0グラムを入れた。この撹拌中の混合物に、実施例1aの方法に従って製造したメチル−トリ−n−ブチルアンモニウムアルミン酸塩イオン液体およそ2.0グラムを、室温で注射器により一度に加えた。反応混合物の温度は、5分以内に59℃まで上昇した。次に、反応生成物をおよそ50グラムの氷に注ぎ、水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして余分なトルエンを減圧下(およそ20mmHg、80℃)で蒸留して、黄色油が生成した。この油の赤外スペクトルは、705、727、756、783及び815cm(−1)に弱いバンドを示したが、それはトルエンの芳香環における複数の置換を表し、また1463及び1378cm(−1)に強いバンドを示したが、それはポリプロピレンを表している。質量分析(温度を−40乃至500℃でプログラムできるプローブ注入口を持つ、正の飛行時間型電界イオン化質量分析)による生成物の分析は、油が、正確な質量で分子量約200乃至900の範囲、ピーク分子量260付近のオリゴマー化プロピレントルエンアルキレート(およそ95%)と、未反応オリゴマー化プロピレンおよびパラフィン(およそ5%)との混合物からなることを示した。
【0062】
[実施例4] イオン液体触媒を用いた、オリゴマー化プロピレンによるオルト−キシレンのアルキル化
トルエンの代わりにo−キシレン20.1グラム(0.190モル)を用いたこと以外は、実施例3の方法と同じ方法で、イオン液体触媒を用いた、オルト−キシレンオリゴマー化プロピレンアルキレートの製造を行った。反応物の温度は31℃まで上昇し、そして余分なo−キシレンを取り除いて黄色油が生成した。この油の赤外スペクトルは、芳香環の1,2,4置換に特有の約817及び880cm-1に弱いバンドを示し、またポリプロピレンを表す1463及び1378cm-1に強いバンドを示した。質量分析(温度を−40乃至500℃でプログラムできるプローブ注入口を持つ、正の飛行時間型電界イオン化質量分析)による生成物の分析は、油が、正確な質量で分子量約200乃至600の範囲、ピーク分子量330付近のオリゴマー化プロピレンキシレンアルキレート(およそ95%)と、未反応オリゴマー化プロピレンおよび炭化水素(およそ5%)との混合物からなることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシル基を含まない芳香族化合物をアルキル化する方法であって、少なくとも一種のヒドロキシル非含有芳香族化合物を、酸性イオン液体触媒の存在下で、少なくとも一種のオレフィンオリゴマーと反応させることを含む方法、ただし、オレフィンオリゴマーは、炭素数が約C12乃至約C70の範囲にあり、かつ少なくとも一種のモノオレフィン単量体を酸性イオン液体触媒の存在下でオリゴマー化することにより合成されたものである。
【請求項2】
少なくとも一種の芳香族化合物が、未置換芳香族化合物、一置換芳香族化合物および二置換芳香族化合物から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一種の芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、オルト−キシレンおよびそれらの混合物から選ばれる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一種の芳香族化合物がトルエンまたはオルト−キシレンである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
オレフィンオリゴマーが、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、ペンテンオリゴマー、イソペンテンオリゴマーおよびそれらの混合物から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
オレフィンオリゴマーがプロピレンオリゴマーである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アルキル化反応またはオレフィンオリゴマー化の何れかで用いる酸性イオン液体触媒が、独立に、第一成分と第二成分を含み、該第一成分が、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、ハロゲン化ガリウムおよびハロゲン化アルキルガリウムからなる群より選ばれる化合物を含み、そして該第二成分が、アンモニウム塩、ホスホニウム塩またはスルホニウム塩から選ばれる有機塩またはそれらの混合物を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸性イオン液体触媒が更にブレンステッド酸を含んでいる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ブレンステッド酸が、塩酸、臭化水素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、安息香酸、パラ−トルエンスルホン酸および硫酸等からなる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ブレンステッド酸が塩酸である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第一成分が、ハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化アルキルアルミニウムである請求項7に記載の方法。
【請求項12】
第一成分が三塩化アルミニウムである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該第二成分が、炭化水素置換アンモニウムハライド、炭化水素置換イミダゾリウムハライド、炭化水素置換ピリジニウムハライド、アルキレン置換ピリジニウムジハライドまたは炭化水素置換ホスホニウムハライドのうちの一種以上から選ばれる請求項7に記載の方法。
【請求項14】
第二成分が、炭素原子数約1乃至約9のアルキル部を1個以上含むアルキル置換アンモニウムハライドである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第二成分がトリメチルアミン塩酸塩を含んでいる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第二成分がアルキル置換イミダゾリウムハライドである請求項13に記載の方法。
【請求項17】
第二成分が少なくとも1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロリドを含んでいる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第一成分が三塩化アルミニウムであり、そして第二成分がトリメチルアンモニウム塩酸塩である請求項7に記載の方法。
【請求項19】
アルキル化反応およびオレフィンオリゴマー化の両方で用いる酸性イオン液体触媒が同じである請求項7に記載の方法。
【請求項20】
アルキル化反応の酸性イオン液体触媒が、オレフィンオリゴマー化法の酸性イオン液体触媒と異なる請求項7に記載の方法。
【請求項21】
アルキル化反応の酸性イオン液体触媒を再循環させる請求項1に記載の方法。
【請求項22】
アルキル化反応を連続法で行う請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法により製造されたヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項24】
少なくとも一種のモノオレフィン単量体を酸性イオン液体触媒の存在下でオリゴマー化することにより製造された、炭素数が約C12乃至C70の範囲にあるオレフィンオリゴマーからアルキル置換基が誘導された、ヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項25】
オレフィンオリゴマーが、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、ペンテンオリゴマー、イソペンテンオリゴマーおよびそれらの混合物から選ばれたものである、請求項24に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項26】
オレフィンオリゴマーがプロピレンオリゴマーである、請求項25に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項27】
モノオレフィン単量体が、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテンおよびそれらの混合物から選ばれたものである、請求項24に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項28】
酸性イオン液体触媒が第一成分と第二成分を含み、該第一成分が、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、ハロゲン化ガリウムおよびハロゲン化アルキルガリウムからなる群より選ばれた化合物を含み、そして該第二成分が、アンモニウム塩、ホスホニウム塩またはスルホニウム塩から選ばれた有機塩またはそれらの混合物から選ばれた塩を含む、請求項24に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項29】
酸性イオン液体触媒が更にブレンステッド酸を含んでいる、請求項28に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項30】
ブレンステッド酸が、塩酸、臭化水素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、安息香酸、パラ−トルエンスルホン酸および硫酸等からなる、請求項29に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項31】
ブレンステッド酸が塩酸である請求項30に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項32】
第一成分が、ハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化アルキルアルミニウムである、請求項28に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項33】
第一成分が三塩化アルミニウムである請求項32に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項34】
該第二成分が、炭化水素置換アンモニウムハライド、炭化水素置換イミダゾリウムハライド、炭化水素置換ピリジニウムハライド、アルキレン置換ピリジニウムジハライドまたは炭化水素置換ホスホニウムハライドのうちの一種以上から選ばれたものである、請求項28に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項35】
第二成分が、炭素原子数約1乃至約9のアルキル部を1個以上含むアルキル置換アンモニウムハライドである、請求項34に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項36】
第二成分がトリメチルアミン塩酸塩を含んでいる、請求項35に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項37】
第二成分がアルキル置換イミダゾリウムハライドである、請求項34に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項38】
第二成分が少なくとも1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロリドを含んでいる、請求項37に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項39】
第一成分が三塩化アルミニウムであり、そして第二成分がトリメチルアンモニウム塩酸塩である、請求項28に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項40】
芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、メタ−キシレン、パラ−キシレンおよびオルト−キシレンから選ばれたものである、請求項24に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。
【請求項41】
芳香族化合物がトルエンまたはオルト−キシレンである、請求項40に記載のヒドロキシル非含有アルキル化芳香族化合物。

【公表番号】特表2009−538934(P2009−538934A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513461(P2009−513461)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/070133
【国際公開番号】WO2007/143513
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(598037547)シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー (135)
【Fターム(参考)】