説明

酸素ポンプ

【課題】上下方向に沿って配設される固体電解質筒状体に対してストレスを与えず、耐久性に優れた酸素ポンプを提供する。
【解決手段】酸素イオン伝導性を有する固体電解質筒状体30と、この固体電解質筒状体30の内面及び外面に配置される電極と、固体電解質筒状体を加熱する加熱手段31を備えた酸素ポンプである。固体電解質筒状体30の両端をそれぞれフレキシブル連結体55、56を介して固定側に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、固体電解質を含む電気化学的な酸素ポンプを有する酸素分圧制御装置により、酸素分圧を制御した雰囲気ガスを用いて、単結晶試料等を作成する方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
図3に示す酸素分圧制御装置は、バルブ2を通った不活性ガスの流量を設定値に制御するマスフローコントローラ(MFC)3と、このマスフローコントローラ3を通った不活性ガスを目的の酸素分圧に制御可能な電気化学的な酸素ポンプ4と、酸素ポンプ4で制御された不活性ガスの酸素分圧をモニタして試料育成装置などの次工程(装置)に供給する供給ガス用の酸素センサ5を有する。
【0004】
さらにこの装置は、所望の酸素分圧値を設定する酸素分圧設定部6と、酸素センサ5によるモニタ値を酸素分圧設定部6による設定値と比較して酸素ポンプ4から送り出される不活性ガスの酸素分圧を所定値に制御する酸素分圧制御部7と、酸素センサ5によるモニタ値を表示する酸素分圧表示部8を備える。なお、通常、不活性ガス中の酸素分圧は10-4atm程度である。
【0005】
電気化学的な酸素ポンプ4は、図4に示すように、酸素イオン伝導性を有する固体電解質筒状体4aの内外両面に白金よりなる電極4b、4cを形成している。固体電解質筒状体4aは、例えばジルコニア系の固体電解質で、図示しないヒータで600℃程度に加熱される。固体電解質筒状体4aの一方の開口から他方の開口に向けて軸方向に不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えばAr+O(10−4atm)である。内外両面の電極4b、4c間に直流電源Eの直流電圧を印加する。外面の電極4cに+極を印加し、内面の電極4bに−極を印加して電流Iを流すと、固体電解質筒状体4a内を流れる不活性ガス中の酸素分子(O)が電気的に還元されてイオン(O2−)化され、固体電解質を通して再び酸素分子(O)として固体電解質筒状体4aの外部に放出される。固体電解質筒状体4aの外部に放出された酸素分子は、空気等の補助ガスと共に排気される。固体電解質筒状体4aに供給されたAr+O(10−4atm)の不活性ガスは、酸素分子が低減されて目的の酸素分圧に制御された処理済みガス(精製ガス)となり、次工程(装置)に給送される。
【0006】
なお、図4の酸素ポンプ4は、固体電解質筒状体4aの内外両面の電極4b、4c間に上記と逆極性の直流電圧を印加してポンプ動作を行わせることも可能である。すなわち、外面の電極4cに−極を印加し、内面の電極4bに+極を印加すると、固体電解質筒状体4aの外面に沿って流れる空気などのガス中の酸素分子(O)が電気的に還元されてイオン(O2−)化され、固体電解質を通して再び酸素分子(O)として固体電解質筒状体4aの内部に放出される。この場合、固体電解質筒状体4aの内部を流れる不活性ガスの酸素分圧が上昇して、外部に給送される。
【0007】
このような酸素ポンプにより酸素分圧を制御したガスを供給すれば、結晶育成、合金化、熱処理、半導体製造工程などが酸素分圧を制御した不活性ガスなどの雰囲気下で行うことができる。
【特許文献1】特開2002−326887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4に示す酸素ポンプでは、1本の円形パイプ状の固体電解質筒状体を使用している。すなわち、この1本の固体電解質筒状体の内部空間に軸方向に被処理ガスを流し、固体電解質筒状体内を流れる間に固体電解質隔壁内外でイオン導電のポンプ作用を行う。
【0009】
固体電解質筒状体は酸素イオン伝導を適切な値に保つため500℃以上に加熱して使用する。固体電解質材料の熱膨張係数は、例えばジルコニアで概略10×10−6程度と一般的なセラミック材料に比して大きい。このため、ガス精製の性能を得るために500mm長の固体電解質筒状体を加熱すると、端部は計算上で0.2mmを超える変位が発生することになる。ところが、実際には管端部は分岐管等に対し気密構造で固定されており、熱応力が発生する。このようなストレスが生じれば、固体電解質筒状体の破損を招き、固体電解質筒状体の寿命を短くする。このストレスの大きさは固体電解質筒状体の加熱温度と熱膨張率及び長さの影響を受ける。しかし、加熱温度と熱膨張率は固体電解質筒状体の材質によって決まり、長さは長いほどストレスは大きくなるが、固体電解質筒状体の効率的な利用を考えると長い方が有利であるので通常長い物が使用される。したがって、ストレスを開放するためには固体電解質筒状体を軸方向の自由度を持って保持することが考えられる。
【0010】
一方で、固体電解質筒状体の軸方向への伸縮を許容すれば、固体電解質の一部や電極の一部がはがれるおそれがある。固体電解質等の一部がはがれれば、その剥がれた一部が精製ガス(処理済みガス)に混入したりして、試料作成室等に供給するガスの品質が低下する。さらに、酸素分圧制御装置の循環経路のガスの流れに支障を来す場合もある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みて、固体電解質筒状体に対してストレスを与えず、耐久性に優れた酸素ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の酸素ポンプは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質筒状体と、この固体電解質筒状体の内面及び外面に配置される電極と、固体電解質筒状体を加熱する加熱手段を備えた酸素ポンプにおいて、固体電解質筒状体の両端をそれぞれフレキシブル連結体を介して固定側に取付けたものである。
【0013】
本発明の酸素ポンプによれば、固体電解質筒状体の両端をそれぞれフレキシブル連結体を介して固定側に取付けたので、固体電解質筒状体は軸方向の伸縮が許容され、固体電解質筒状体に対して軸心方向のストレスが発生しない。
【0014】
複数の固体電解質筒状体を一鉛直面上に所定ピッチで配設したり、複数の固体電解質筒状体にて柱状の固体電解質筒状体束を構成したりてもよい。また、加熱手段を平面状のヒータにて構成して、固体電解質筒状体をサンドイッチ状に挟んだり、加熱手段を、固体電解質筒状体を包囲状に巻設する電熱線にて構成したりすることができる。なお、複数の固体電解質筒状体にて柱状の固体電解質筒状体束を構成する場合、複数の固体電解質筒状体を円周方向に沿って配設すればよい。
【0015】
ところで、固体電解質筒状体の軸方向への伸縮が許容されれば、熱膨張等で、固体電解質の一部や電極の一部がはがれるおそれがある。そこで、固体電解質筒状体に下方からガスが流入するようにすれば、上方から処理済みガスが流出することになるので、固体電解質等の剥がれたものは下方に留まって、処理済みのガス供給側へ流出させない。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、固体電解質筒状体には軸心方向のストレスが発生しない。このため、主として破損原因となる要因を削除しているので、固体電解質筒状体の寿命は長くなる。
【0017】
平面状のヒータにて、固体電解質筒状体をサンドイッチ状に挟むことができ、コンパクトな酸素ポンプを構成することができる。特に、サンドイッチ状に挟む場合、複数の固体電解質筒状体を一鉛直面上に所定ピッチで配設するようにすれば、コンパクト化を一層図ることができ、この酸素ポンプを使用する酸素分圧制御装置への組み込み性が向上する。しかも、複数の固体電解質筒状体を備えるので、精製能力の向上を図ることができる。
【0018】
複数の固体電解質筒状体にて柱状の固体電解質筒状体束を構成すれば、加熱手段としてこの固体電解質筒状体束の外周側に配置されて外周を包囲状とする電熱線(ヒータ)、内周側に配置されて内周を包囲状とする電熱線(ヒータ)、又は外周側と内周側の両者を包囲状とする電熱線(ヒータ)を使用することができる。このため、固体電解質筒状体束の各固体電解質筒状体30をより効率よく加熱することができ、しかも、複数の固体電解質筒状体を備えるので、精製能力の向上を図ることができる。
【0019】
固体電解質筒状体に下方からガスを供給することによって、剥がれたものはこの下方に留まって、処理済みのガス供給側へ流出させない。このため、純粋な精製ガスを供給することができ、ガス供給側の試料作成室等での作業が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図1と図2に基づいて説明する。本発明に係る酸素ポンプは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質筒状体30と、この固体電解質筒状体30の内面及び外面に配置される電極(図示省略)と、固体電解質筒状体30を加熱する加熱手段31を備える。この場合、固体電解質筒状体30の内面及び外面に白金めっき等を施して、電極を構成する。この酸素ポンプは、複数本(図例では5本)の固体電解質筒状体30を有し、各固体電解質筒状体30は断熱構造体35に包囲されている。なお、各固体電解質筒状体30と断熱構造体35とは図示省略のケーシング内に収容されている。
【0021】
断熱構造体35は、断熱材からなる半割体37、37を備え、半割体37、37の合わせ面37a、37a間に所定寸の隙間40が形成される。すなわち、この隙間40を、固体電解質筒状体30の外径寸法よりも僅かに大きく設定し、隙間40に固体電解質筒状体30を半割体37に接触しないように配置する。
【0022】
ここで、断熱材とは、熱エネルギーの移動を遮断する材料であり、無機質のものと有機質のものがある。一般に温度の高い場合には無機質材料が,温度の低い場合には有機質材料が使用される。無機質断熱材としては,セラミック繊維・ガラス繊維・アスベストなどを用いる繊維質断熱材,ケイ酸カルシウム・炭酸マグネシウムなどを用いる粉末質断熱材,パーライト・泡ガラスなどによる多孔質断熱材がある。このため、固体電解質筒状体30は600℃程度に加熱手段31にて加熱されるので、この温度に対応できるものから選択できる。
【0023】
また、各合わせ面37a、37aに、矩形状の凹所41,41が設けられ、凹所41,41にて形成される空間42に、加熱手段31を構成する一対のヒータ43、43が配置されている。なお、凹所41、41にはカバー材39が装着される。このように、本酸素ポンプは、複数の固体電解質筒状体30を一鉛直面上に所定ピッチで配設するとともに、加熱手段31を構成する平面状のヒータ43,43にて、複数の固体電解質筒状体30にて構成された筒状体群29をサンドイッチ状に挟むことになる。
【0024】
各々のヒータ43は、図示省略の温度検出器(例えば熱電温度計)が付設され、ヒータ43の温度が監視される。ここで、熱電温度計とは熱電対を使った温度計である。すなわち、測温接点をヒータ側(ヒータ自体又はヒータを支持している図示省略の支持体)に接続し、この測温接点と基準接点との間の起電力を測ることになる。
【0025】
各固体電解質筒状体30は、その上端側及び下端側がフレキシブル連結体55,56を介して前記図示省略のケーシングに取付けられている。すなわち、ケーシングには、その上部と下部に空間部が設けられ、この空間部に突出した固体電解質筒状体30の上下端にはそれぞれ連結用管継手59、60が付設されている。また、上方の空間部にはガス合流管61が配置され、下方の空間部にはガス分岐管62が配置され、このガス合流管61及びガス分岐管62に、フレキシブル連結体55,56を介して連結用管継手59、60が連結される。
【0026】
フレキシブル連結体55,56はフレキシブル管であって、フレキシブル本体55a、56aと、連結用管継手59、60に接続される接続部55b、56bと、ガス合流管61又はガス分岐管62に接続される接続部55c、56cとからなる。また、図2に示すように、フレキシブル本体55a、56aはループ状に形成される。
【0027】
ガス合流管61及びガス分岐管62は、それぞれ、その長手方向に延びる軸心孔66と、この軸心孔66に連通される複数(この場合、固体電解質筒状体30に対応して5個)の連結部67とが形成されている。なお、連結部67は軸心孔66に沿って所定ピッチ(一定ピッチ)に配置される。そして、各連結部67にフレキシブル連結体55,56が接続される。
【0028】
ガス合流管61はケーシングの上壁に固着されるとともに、その軸心孔66に連通される連結管68が接続される。この場合、合流管61の軸心孔66はケーシングの一方の側壁側(図1における右側)に開口し、この開口部がケーシングの一方の側壁に固定される前記連結管68に連結される。
【0029】
ガス分岐管62はケーシングの下壁に固着されるとともに、その軸心孔66に連通される連結管69が接続される。この場合、分岐管62の軸心孔66はケーシングの他方の側壁側(図1における左側)に開口し、この開口部がケーシングの一方の側壁に固定される前記連結管69に連結される。このため、連結管69は、分岐管62から他方の側壁側へ突出した後、一方の側壁側へUターンすることになる。
【0030】
この場合、下方の連結管69から分岐管62及びフレキシブル連結体56を介して、下方から固体電解質筒状体30にガスが流入し、酸素分子が低減されて目的の酸素分圧に制御された処理済みガス(精製ガス)となり、この処理済みガスがこの固体電解質筒状体30の上方から、フレキシブル連結体55及び合流管61を介して上方の連結管68へ流出する。
【0031】
ところで、本発明の酸素ポンプは、一方の側壁側の固体電解質筒状体30Aへ流入するガスは、他方の側壁側の開口部から分岐管62に入って、この分岐管62の軸心孔66を一方の側壁側へ流れた後、流入することになる。そして、この固体電解質筒状体30Aを流れた精製されたガスは、フレキシブル連結体55を介して合流管61の軸心孔66の開口側へ流入して、連結管68を介して酸素センサ側に流出する。また、他方の側壁側の固体電解質筒状体30Eへ流入するガスは、他方の側壁側の開口部から分岐管62に入って、他方の側壁側の連結部67からフレキシブル連結体56を介して流入し、この固体電解質筒状体30Eで精製されたガスが合流管61の軸心孔66の他方の側壁側の連結部67に流入して、この軸心孔66を開口側へ流れ、連結管68を介して酸素センサ側に流出する。
【0032】
このように、各固体電解質筒状体30の上下動は許容しているが、上下のフレキシブル連結体55、56にて上下位置を所定の高さ位置に対応させている。すなわち、フレキシブル連結体55、56はヒータ43に対応する位置に保持でき、しかも固体電解質筒状体30の上下動を許容する剛性を具備する必要がある。なお、断熱構造体35に固体電解質筒状体30の水平方向の移動を規制する規制部材を配置するのも好ましい。
【0033】
本発明によれば、固体電解質筒状体30の上端及び下端をそれぞれフレキシブル連結体55、56を介して固定側に取付けているので、固体電解質筒状体30は軸方向の伸縮が許容され、固体電解質筒状体30に対して軸心方向のストレスが発生しない。このため、主として破損原因となる要因を削除しているので、固体電解質筒状体の寿命は長くなる。
【0034】
ところで、固体電解質筒状体30の軸方向への伸縮が許容されれば、熱膨張等で、固体電解質の一部や電極の一部がはがれるおそれがある。しかしながら、このような場合でも、本発明では、固体電解質筒状体30に下方からガスが流入するので、上方から処理済みガスが流出することになって、固体電解質等の剥がれたものはこの下方に留まって、処理済みのガス供給側へ流出させない。このため、純粋な精製ガスを供給することができ、ガス供給側の試料作成室等での作業が安定する。
【0035】
さらに、複数の固体電解質筒状体30を一鉛直面上に所定ピッチで配設するとともに、加熱手段31を構成する平面状のヒータ43にて、固体電解質筒状体30をサンドイッチ状に挟む。これによって、コンパクトな酸素ポンプを構成することができ、この酸素ポンプを使用する酸素分圧制御装置への組み込み性が向上する。しかも、複数本の固体電解質筒状体30を備えるので、精製能力の向上を図ることができる。
【0036】
なお、この実施形態の酸素ポンプでは、ガス分岐管62から各固体電解質筒状体30にガスを供給する分フレキシブル連結体56と、ガス流入用管69が接続されるガス分岐管62と、ガス流出用管68が接続されるガス合流管61と、各固体電解質筒状体30からガス合流管61に供給するフレキシブル連結体55とを備えた流量制御機構が構成される。この流量制御機構によって、ガス流入用管69から固体電解質筒状体30までの上流側流路と、固体電解質筒状体30からガス流出用管68までの下流側流路とにおいて、流路長さを相違させるとともに、固体電解質筒状体毎の上流側流路と下流側流路との合計長さを一定にした。
【0037】
したがって、流量制御機構によって、酸素ポンプでは、並設される固体電解質筒状体30毎に、上流側と下流側とで流路の長さを相違させ、この酸素ポンプ内を流れ込んで、分岐した後、合流するガスの流路の長さを一致させている。このため、各固体電解質筒状体30を流れるガスの流量が同一となって、各固体電解質筒状体30の処理能力が同一となっている。
【0038】
ところで、前記実施形態では、加熱手段31として平面状のヒータ43を使用したが、平面状のヒータ43を使用せずに、固体電解質筒状体30を包囲状とする電熱線(ヒータを用いてもよい。この場合、複数のリング状の電熱線を軸方向に沿って所定のピッチで配置したものであっても、1本の電熱線を固体電解質筒状体30の周り螺旋状(コイル状)に巻設したものであってもよい。このように、包囲状とする電熱線を用いれば、固体電解質筒状体30を全周方向から加熱することができ、効率のよい加熱が可能となる。
【0039】
また、前記実施形態では、各固体電解質筒状体30を一鉛直面上に配設しているが、他の実施形態として、複数の固体電解質筒状体30にて柱状の固体電解質筒状体束を構成してもよい。この場合、複数の固体電解質筒状体30を円周方向に沿って配設したり、複数本を束ねるように配設したりすることができる。また、円周方向に沿って配設する場合、複数の同心円上に配設したものであってもよい。
【0040】
複数の固体電解質筒状体30にて柱状の固体電解質筒状体束を構成すれば、加熱手段31としてこの固体電解質筒状体束の外周側に配置されて外周を包囲状とする電熱線(ヒータ)、内周側に配置されて内周を包囲状とする電熱線(ヒータ)、又は外周側と内周側の両者を包囲状とする電熱線(ヒータ)を使用することができる。このため、固体電解質筒状体束の各固体電解質筒状体30をより効率よく加熱することができ、しかも、複数の固体電解質筒状体を備えるので、精製能力の向上を図ることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、固体電解質筒状体30の上端と下端とのいずれか一方をフレキシブル連結体にて連結するようなものでもよい。また、固体電解質筒状体30の数の増減は任意であり、少なくとも1本あればよい。鉛直面上に配設する場合でも、定ピッチでなく、不等ピッチでもよい。さらには、各固体電解質筒状体30を上下方向に沿って配設することなく、水平方向等に沿って配設してもよい。
【0042】
実施形態では、下方の分岐管62に接続される連結管69側を長くしているが、上方の合流管61に接続される連結管68側を長くしてもよい。さらに実施形態では、ガスが下方の連結管69から流入して各固体電解質筒状体30にて処理された後、上方の連結管68から流出するものであるが、逆に、ガスが上方の連結管68から流入して各固体電解質筒状体30にて処理された後、下方の連結管69から流出するものであってもよい。
【0043】
加熱手段31のヒータ43として、前記実施形態では固体電解質筒状体30をサンドイッチ状に挟んだものであったが、前面側と後面側とのいずれか一方に配置するものであってもよい。また、複数の固体電解質筒状体30にて柱状の固体電解質筒状体束を構成したものに対する加熱手段31に、平面状のヒータ43を使用してもよく、この場合であっても、2枚の平面状のヒータ43でサンドイッチ状に挟んでも、一枚の平面状のヒータ43を前面側と後面側とのいずれか一方に配置するものであってもよく、さらには、4枚の平面状のヒータ43で、固体電解質筒状体束を前後左右の4方向を包囲するように配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を示す酸素ポンプの内部の要部正面図である。
【図2】前記酸素ポンプの断面側面図である。
【図3】。 従来の酸素分圧制御装置の簡略図である。
【図4】酸素ポンプの原理の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
30 固体電解質筒状体
31 加熱手段
43 ヒータ
55 フレキシブル連結体
56 フレキシブル連結体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素イオン伝導性を有する固体電解質筒状体と、この固体電解質筒状体の内面及び外面に配置される電極と、固体電解質筒状体を加熱する加熱手段を備えた酸素ポンプにおいて、
固体電解質筒状体の両端をそれぞれフレキシブル連結体を介して固定側に取付けたことを特徴とする酸素ポンプ。
【請求項2】
複数の固体電解質筒状体を一鉛直面上に所定ピッチで配設したことを特徴とする請求項1の酸素ポンプ。
【請求項3】
複数の固体電解質筒状体にて柱状の固体電解質筒状体束を構成したことを特徴とする請求項1の酸素ポンプ。
【請求項4】
加熱手段を平面状のヒータにて構成するとともに、この平面状のヒータにて固体電解質筒状体をサンドイッチ状に挟んだことを特徴とする請求項2又は請求項3の酸素ポンプ。
【請求項5】
前記加熱手段は固体電解質筒状体を包囲状に巻設する電熱線からなることを特徴とする請求項2又は請求項3の酸素ポンプ。
【請求項6】
固体電解質筒状体を上下方向に沿って配設して、下方からガスが流入することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの酸素ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−150259(P2008−150259A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341753(P2006−341753)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】