説明

酸素吸収樹脂組成物

【課題】酸素吸収性能に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂が、メタキシリレンジアミン、アジピン酸及びセバシン酸の少なくとも三成分を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:セバシン酸=0.985〜0.997:0.3〜0.7:0.7〜0.3のモル比で重縮合してなる末端アミノ基濃度が30μeq/g以下のポリアミド樹脂であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた酸素吸収性能を示し、且つ、臭気発生のない酸素吸収樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、包装容器としては、金属缶、ガラス瓶、各種プラスチック包装等の容器が知られているが、包装容器内の酸素による品質劣化が問題となっている。このため、近年、脱酸素包装技術の一つとして、熱可塑性樹脂に鉄系脱酸素剤等を配合した酸素吸収樹脂組成物からなる酸素吸収層を配した多層材料で容器を構成し、容器のガスバリア性の向上を図ると共に、容器自体に酸素吸収機能を付与した包装容器の開発が行われている。例えば、酸素吸収性多層フィルムは、ヒートシール層及びガスバリア層が積層してなる従来のガスバリア性多層フィルムの間に、場合により熱可塑性樹脂からなる中間層を介して酸素吸収剤を分散した熱可塑性樹脂層である酸素吸収層を加え、外部からの酸素透過を防ぐ機能に容器内の酸素を吸収する機能を付与したものとして利用され、押し出しラミネートや共押し出しラミネート、ドライラミネート等の従来公知の製造方法を利用して製造されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、ポリマーからなり、酸素捕捉特性を有する組成物では、酸化可能有機成分としてポリアミド、特にキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属からなる樹脂組成物が知られており、酸素捕捉機能を有する樹脂組成物やその樹脂組成物を成形して得られる酸素吸収剤、包装材料、包装用多層積層フィルムの例示もある(特許文献2〜6参照)。
【0004】
しかしながら、鉄粉等の酸素吸収剤を用いるものは、食品等の異物検知に使用される金属探知機に検知される、不透明性の問題により内部視認性が不足する、さらに、鉄粉の混入により風味が損なわれるアルコール等の飲料への使用ができない、といった課題を有していた。また、鉄粉の酸化反応を利用しているため、被保存物が高水分系であるものでしか、酸素吸収の効果を発現することができなかった。
【0005】
ポリアミド樹脂と遷移金属触媒にて酸化反応を示すものとして、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合によって得られるポリアミドである、MXD6が使用されているが、MXD6に遷移金属を混合した系では、酸素吸収樹脂組成物として使用し、被保存物を良好に保存するには、酸素吸収能力が低い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−234832号公報
【特許文献2】特開平5−140555号公報
【特許文献3】特開2001−252560号公報
【特許文献4】特開2003−341747号公報
【特許文献5】特開2005−119693号公報
【特許文献6】特開2001−179090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点を解決した、酸素吸収性能に優れた樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定のポリアミドと遷移金属をブレンドすることにより、酸素吸収性能に優れた酸素吸収樹脂組成物を得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂が、メタキシリレンジアミン、アジピン酸及びセバシン酸の少なくとも三成分を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:セバシン酸=0.985〜0.997:0.3〜0.7:0.7〜0.3のモル比で重縮合してなる末端アミノ基濃度が30μeq/g以下のポリアミド樹脂であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、高い酸素吸収性能を有する酸素吸収樹脂組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の酸素吸収樹脂組成物は、少なくとも、メタキシリレンジアミン、アジピン酸及びセバシン酸の少なくとも三成分を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:セバシン酸=0.985〜0.997:0.7〜0.3:0.3〜0.7のモル比で重縮合してなる末端アミノ基濃度が30μeq/g以下のポリアミド樹脂(以下、当該ポリアミド樹脂を特に「ポリアミド樹脂A」と称する)と遷移金属触媒を含有する、樹脂組成物である。以下、ポリアミド樹脂Aと遷移金属触媒について、詳細を説明する。
【0012】
本発明におけるポリアミド樹脂Aは、メタキシリレンジアミンとアジピン酸及びセバシン酸との重縮合反応で得られ、その際のモル比は、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:セバシン酸=0.985〜0.997:0.3〜0.7:0.7〜0.3が好ましく、0.985〜0.997:0.4〜0.6:0.6〜0.4が特に好ましい。メタキシリレンジアミンとアジピン酸及びセバシン酸との重縮合反応は、これらを溶融させる溶融重合や、ポリアミド樹脂のペレットなどを減圧下、加熱する固相重合などにより進行させることができる。また、重縮合反応においては、メタキシリレンジアミンやアジピン酸及びセバシン酸の他に、性能に影響しない程度で、他のジアミンや、各種脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸を共重合成分として組み込んでもよい。
【0013】
本発明におけるポリアミド樹脂Aとは、メタキシリレンジアミンとアジピン酸及びセバシン酸とを上記のモル比にて重縮合することによって得られる末端アミノ基濃度が30μeq/g以下のポリアミド樹脂であるが、末端アミノ基濃度が25μeq/g以下であると酸素吸収性能が向上するため好ましく、20μeq/g以下が特に好ましい。また、末端アミノ基濃度が30μeq/gより高いと、良好な酸素吸収性能を得ることができない。このように酸素吸収性能は、末端アミノ基濃度の低下に伴って向上する傾向があり、出来るだけ当該濃度を低下させることが好ましいが、経済合理性を考慮するとその下限値は5μeq/g以上とすることが好ましい。なお、末端アミノ基濃度が30μeq/gより高いと、良好な酸素吸収性能を得ることができない。
【0014】
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度を30μeq/g以下にするためには、
1)メタキシリレンジアミンとアジピン酸及びセバシン酸とのモル比を調整して重縮合を実施する方法
2)ポリアミド樹脂をカルボン酸と反応させて末端アミノ基を封止する方法
3)ポリアミド樹脂を固相重合する方法
等の方法を実施することが好ましく、これらの方法は、単独で若しくは組み合わせて実施することができる。以下、これらの方法について説明する。
【0015】
1)メタキシリレンジアミンとアジピン酸及びセバシン酸とのモル比を調整して重縮合を実施する方法においては、アジピン酸及びセバシン酸をメタキシリレンジアミンに対して過剰に用いることとし、具体的には、メタキシリレンジアミンとアジピン酸及びセバシン酸とのモル比(メタキシリレンジアミン/(アジピン酸及びセバシン酸))を0.985〜0.997とすることが好ましく、特に0.988〜0.995とすることが好ましい。該モル比が0.985を下回ると、ポリアミド樹脂の重合度が上昇しづらくなるため、好ましくない。
【0016】
2)ポリアミド樹脂をカルボン酸と反応させて末端アミノ基を封止する方法においては、ポリアミド樹脂の末端アミノ基とカルボン酸を反応させて、末端アミノ基濃度を調整する。用いるカルボン酸には特に制限がないが、カルボン酸無水物が好ましく、具体的には無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水酢酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、などが例示できる。また、ポリアミド樹脂とカルボン酸は、例えば、溶融重合時に添加する方法や、溶融重合によって得られたポリアミド樹脂に対してカルボン酸を添加後、溶融混練する方法によって反応させることが出来、ポリアミド樹脂の重合度を上げるためには溶融混練が好ましい。
【0017】
3)ポリアミド樹脂を固相重合する方法においては、溶融重合によって得られたポリアミド樹脂をさらに固相重合反応に供することによって、末端アミノ基濃度を調整する。固相重合はポリアミド樹脂のペレットを減圧下、加熱することによって進行する。固相重合時の圧力は、100torr以下とすることが好ましく、30torr以下とすることがより好ましい。また、固相重合時の温度は、130℃以上必要で、且つポリアミド樹脂の融点より10℃以上低くすることが好ましく、15℃以上低くすることがより好ましい。固相重合を実施することによって、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が低下する他、分子量が上昇し、また、粘度を調整することができる。
【0018】
本発明のポリアミド樹脂Aには、結晶性の低いものが好ましく用いられる。具体的には、半結晶化時間が150秒以上の結晶性の低いものや、DSCでの融点測定時に融点ピークが見られないものが好ましい。ポリアミド樹脂Aの半結晶化時間が150秒以上であると、より高い酸素吸収性能が得られる。
【0019】
また、ポリアミド樹脂Aは、加工性や酸素吸収性能を考慮すると、融点やガラス転移温度(以下、Tgと表記する)が低いものが好ましく用いられる。ポリアミド樹脂Aの融点は、200℃以下が好ましく、さらに190℃以下または融点を持たないものが特に好ましい。Tgは、90℃以下が好ましく、80℃以下が特に好ましい。
【0020】
ポリアミド樹脂Aの酸素透過係数は、0.2〜1.5cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)が好ましく、0.3〜1.0cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)がより好ましい。酸素透過係数が0.2〜1.5cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であると、ポリアミド樹脂Aとポリオレフィンをブレンドした際により高い酸素吸収性能が得られる。
【0021】
ポリアミド樹脂Aのメルトフローレート(以下、MFRと表記する)は、その加工性を考慮すると200℃で、3〜20g/10分、240℃で、4〜25g/10分のものが好ましく用いられる。MFRを上記の範囲とすることにより、ポリアミド樹脂Aを用いて外観に問題のないフィルムやシート等の加工品を得ることができる。ポリアミド樹脂AのMFRは、例えば分子量を調節して調整できる。分子量を調節する方法としては、重合進行剤としてリン系化合物を添加する方法や、ポリアミド樹脂Aを溶融重合後、固相重合する方法が、好適な方法として例示できる。なお、本明細書でいうMFRは、特に断りがない限り、JIS K7210に準拠した装置を用いて、特定の温度において、荷重2160gの条件下で測定した当該樹脂のMFRであり、「g/10分」の単位で測定温度と共に表記される。
【0022】
メタキシリレンジアミンとアジピン酸及びセバシン酸との重縮合で得られるポリアミド樹脂Aは、溶融重合の後、固相重合の2段階を経る方法で合成することが好ましい。ポリアミド樹脂Aの数平均分子量は、15000〜27000が好ましく、17000〜26000が特に好ましい。
【0023】
本発明のポリアミド樹脂Aを、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表記する)樹脂のようなポリエステル樹脂やナイロン樹脂、ポリオレフィン樹脂等にブレンドしても良い。これら各種樹脂とブレンドして得られる組成物を、ボトルやフィルム、シートに成形して、酸素バリア性多層容器とすることができる。また、さらに遷移金属触媒をブレンドすることによって酸素吸収多層容器とすることもできる。
【0024】
本発明のポリアミド樹脂Aを、ポリエステル樹脂やナイロン樹脂、ポリオレフィン樹脂等にブレンドする場合は、本発明のポリアミド樹脂Aを5〜60wt%加えて、各種成形容器に使用できる。ナイロン樹脂としてはナイロン6やナイロン66等の結晶性ナイロンや非結晶性ナイロンをブレンドすることができる。
【0025】
ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン類を、単独で、または組み合わせて使用することができる。これら、ポリオレフィン樹脂の中でも、酸素吸収性能の観点では、酸素透過係数が80〜200cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)が好ましく、この範囲の酸素透過係数を有するポリオレフィン樹脂を使用すると、良好な酸素吸収性能が得られる。酸素吸収性能やフィルム加工性から、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類やプロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等の各種ポリプロピレン類が特に好ましく用いられる。これらポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、熱可塑性エラストマーを添加してもよい。
【0026】
また、ポリアミド樹脂Aとの混合性を考慮すると、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を添加することが特に好ましい。無水マレイン酸変性物の添加量は、ポリオレフィン樹脂に対し、1〜30wt%が好ましく、3〜15wt%が特に好ましい。
【0027】
また、本発明のポリアミド樹脂Aや、ブレンドする際に用いる各種樹脂には、酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等を添加しても良い。特に、製造中に発生した端材をリサイクルし、再加工するためには、酸化防止剤を添加することが好ましい。
【0028】
本発明において使用される遷移金属触媒としては、第一遷移元素、例えばFe、Mn、Co、Cu、の化合物が挙げられる。また、遷移金属の有機酸塩、塩化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩などの単独、または、それらの混合物等も遷移金属触媒の一例として挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸などC2〜C22の脂肪族アルキル酸の塩、あるいは、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘキサハイドロフタル酸、など2塩基酸の塩、ブタンテトラカルボン酸の塩、安息香酸、トルイック酸、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸など芳香族カルボン酸塩の単独、または、混合物が挙げられる。遷移金属触媒の中でも、Coの有機酸塩が酸素吸収性の観点から、好ましく、安全性や加工性からステアリン酸Coが特に好ましい。
【0029】
遷移金属触媒はポリアミド樹脂Aに添加し、各種樹脂とブレンドする際は、その後、各種樹脂と混合することが好ましい。また、遷移金属触媒は、ポリアミド樹脂Aに対する該触媒中の全遷移金属の濃度が、10ppm〜5000ppm、好ましくは50ppm〜3000ppmとなるように添加することが好ましい。この場合、添加量が上記の範囲を外れる場合と比較して、ポリアミド樹脂Aの酸素吸収性能を高めることができるとともに、粘度の低下による樹脂加工性の悪化を防止することが出来る。
【0030】
遷移金属触媒を添加したポリアミド樹脂Aと、先に例示したポリオレフィン樹脂とを混合し、酸素吸収樹脂組成物とすることが好ましい。酸素吸収樹脂組成物中の遷移金属触媒を含んだポリアミド樹脂Aの含有量は、20〜60重量%が好ましく、25〜50重量%が、特に好ましい。酸素吸収樹脂組成物中の遷移金属触媒を含んだポリアミド樹脂Aの含有量が、20重量%より下回ったり、60重量%を超えた場合は、酸素吸収能力が低くなる。また、60重量%を超えると、ポリアミド樹脂Aの酸化による樹脂劣化が生じ、強度低下等の問題が発生する。
【0031】
本発明で得られたポリアミド樹脂Aに安定化剤等を適宜添加してもよい。特に、リン化合物は、安定化剤として好ましく用いられ、具体的には、ジ亜リン酸塩が好ましい。リン化合物は、ポリアミド樹脂Aが安定し、酸素吸収性能に影響するため、200ppm以下が好ましく、特に、100ppm以下が好ましい。
【0032】
本発明の酸素吸収樹脂組成物は、樹脂組成物として酸素吸収剤材料として用いることができる。すなわち、ペレット状またはシート状の酸素吸収樹脂組成物を通気性包装材料に充填し、小袋状脱酸素剤と使用しても良い。ペレット状とする際は、酸素との接触を保つため、粉砕し粉末状とすることが好ましい。また、シート状とする際は、延伸して、ポリアミド樹脂Aと各種樹脂の海島状の層間に空隙を設けることが好ましい。延伸する際の各種樹脂としては、ナイロン6、PET、高密度ポリエチレンなどが好ましく用いられる。
【0033】
また、本発明の酸素吸収樹脂組成物は、フィルム状、シート状として、少なくとも、ポリオレフィン樹脂を含有するシーラント層、酸素吸収樹脂組成物を含有する酸素吸収層及びガスバリア性物質を含有するガスバリア層の酸素吸収多層体として用いることが好ましい。その際、酸素吸収樹脂組成物には、前述の各種樹脂をブレンドしても良い。
【0034】
この場合、シーラント層は、先に例示したポリオレフィン樹脂から選ばれ、中でも各種ポリエチレン類や各種ポリプロピレン類を用いることが好ましい。ガスバリア性物質としては、シリカ、アルミナ、アルミ等の各種蒸着フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、MXD6、ポリ塩化ビニリデン、アミン−エポキシ硬化剤等のガスバリア性樹脂、アルミ箔等の金属箔等、公知のガスバリア性物質が用いられる。
【0035】
酸素吸収層として使用する際の酸素吸収樹脂組成物の厚みは、特に制限はないが、5〜100μmが好ましく、10〜50μmが特に好ましい。この場合、厚みが上記範囲を外れる場合に比べて、酸素吸収樹脂組成物が酸素を吸収する性能をより高めることができるとともに加工性や経済性が損なわれることを防止することができる。また、シーラント層の厚みは、シーラント層が酸素吸収樹脂組成物を含有する層との隔離層となるため、少ない方が好ましいが、特に、2〜50μmが好ましく、5〜30μmが特に好ましい。この場合、厚みが上記範囲を外れる場合に比べて、酸素吸収樹脂組成物の酸素を吸収する速度をより高めることができるとともに加工性が損なわれることを防止することができる。フィルム、シートに加工する際、加工性を考慮すると、シーラント層と酸素吸収層の厚み比が、1:0.5〜1:3にあることが好ましく、1:1〜1:2.5が特に好ましい。
【0036】
また、多層体とする際、加工性を考慮すると、ガスバリア性物質を含有するガスバリア層と酸素吸収樹脂組成物を含有する酸素吸収層間にポリオレフィン樹脂を含有する中間層を介在することが好ましい。この中間層の厚みは、加工性から、シーラント層厚みとほぼ同一とすることが好ましい。この場合、加工によるバラツキを考慮すると、厚み比が±10%以内であれば、同一とする。
【0037】
得られた酸素吸収多層体は、ガスバリア層の外層に紙基材を積層して、酸素吸収紙容器として用いることができる。紙基材と積層して紙容器の加工性は、ガスバリア層の内側部が60μm以下とすることが好ましく、50μm以下が特に好ましい。ガスバリア層より内部の厚みが大きくなると、紙基材を積層し、容器形状に成形する際、容器への加工性に問題が生じる。
【0038】
得られた酸素吸収多層体は、フィルムとして作製し、袋状、蓋材に加工して用いることができる。また、得られた酸素吸収多層体は、シートとして作製し、トレイ、カップに成形することができる。また、得られた袋状容器やカップ状容器は、80〜100℃のボイル処理、100〜135℃のセミレト、レトルト、ハイレトルト処理を行うことができる。また、袋状容器に食品等の内容物を充填し、開封口を設け、電子レンジ加熱調理時にその開封口から蒸気を放出する、電子レンジ調理対応の易通蒸口付パウチに好ましく用いることができる。
【0039】
本酸素吸収樹脂組成物は、被保存物の水分の有無によらず、酸素吸収することができるため、粉末調味料、粉末コーヒー、コーヒー豆、米、茶、豆、おかき、せんべい等の乾燥食品や医薬品、ビタミン剤等の健康食品に好適に使用することができる。その他、本発明にて得られた、酸素吸収樹脂組成物は従来の鉄粉を使用した酸素吸収樹脂組成物と異なり、鉄の存在のため保存できないアルコール飲料や炭酸飲料に好適に用いることができる。
【0040】
その他、被保存物としては、精米、米飯、赤飯、もち等の米加工類、スープ、シチュー、カレー等の調理食品、フルーツ、羊羹、プリン、ケーキ、饅頭等の菓子類、ツナ、魚貝等の水産製品、チーズ、バター、卵等の乳加工品、肉、サラミ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品、にんじん、じゃがいも、アスパラ、しいたけ等の野菜類を挙げることができる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例において、各種物性値は以下の測定方法及び測定装置により測定した。
【0042】
(Tgの測定方法)
Tgは、JIS K7122に準拠して測定した。測定装置は(株)島津製作所製「DSC−60」を使用した。
【0043】
(融点の測定方法)
融点は、ISO11357に準拠して、DSC融解ピーク温度を測定した。測定装置は(株)島津製作所製「DSC−60」を使用した。
【0044】
(数平均分子量の測定方法)
数平均分子量は、GPC−LALLSにて測定した。測定装置は昭和電工(株)製「Shodex GPC−2001」を使用した。
【0045】
(MFRの測定方法)
各樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠した装置((株)東洋精機製作所製「メルトインデックサ」)を用いて、特定の温度において、荷重2160gの条件下で測定し、温度と共にその値を記載した(単位:「g/10分」)。なお、JIS K7210に準拠してMFRを測定した場合はその旨、特に記載した。
【0046】
(酸素透過係数の測定方法)
酸素透過係数は、MOCON社製「OX−TRAN−2/21」を使用し、23℃・60%RH、セル面積50cmの条件下で測定した。
【0047】
(末端アミノ基濃度の測定方法)
試料0.5gを30mlのフェノール/エタノール=4/1(体積比)に溶解させ、メタノール5ml加え、滴定液として0.01規定の塩酸にて自動滴定装置(平沼製作所製「COM−2000」)にて滴定した。試料を加えず滴定した同様の操作をブランクとし、下記式より末端アミノ基濃度を算出した。
末端アミノ基濃度(μeq/g)=(A−B)×f×10/C
(A;滴定量(ml)、B;ブランク滴定量(ml)、f;規定液のファクター、C;試料量(g))。
【0048】
(末端カルボキシル基濃度の測定方法)
試料0.5gを30mlのベンジルアルコールに溶解させ、メタノール10ml加え、滴定液として0.01規定の水酸化ナトリウム溶液にて自動滴定装置(平沼製作所製「COM−2000」)にて滴定した。試料を加えず滴定した同様の操作をブランクとし、下記式より末端カルボキシル基濃度を算出した。
末端カルボキシル基濃度(μeq/g)=(A−B)×f×10/C
(A;滴定量(ml)、B;ブランク滴定量(ml)、f;規定液のファクター、C;試料量(g))。
【0049】
(半結晶化時間の測定方法)
各温度にて、ペレットを溶融させ、各温度にて樹脂を結晶化させた場合、すべてが結晶化する時間を結晶化時間といい、結晶化50%到達時間を半結晶化時間という。半結晶化時間の測定は、脱偏光強度法により行った。即ち、溶融したサンプルペレットに光を照射し、サンプルペレットの結晶化とともに、光の透過量が減少、透過量が頂点に来たときを結晶化とし、その時間を結晶化時間とし、光の透過量が50%に到達した時間を半結晶化時間とした。なお、結晶化時間及び半結晶化時間は、測定温度で異なるが、以下の記載においては、各温度の半結晶化時間の内、最も半結晶化時間の短いものを「半結晶化時間」として記載した。また、結晶化時間及び半結晶化時間の測定にはコタキ製「ポリマー結晶化速度測定装置MK−701型」を使用した。
【0050】
(ポリアミド樹脂の溶融重合による合成条件)
反応缶内でジカルボン酸を170℃にて加熱し、溶融した後、内容物を攪拌しながら、芳香族ジアミンをジカルボン酸とのモル比が約1:1となるように徐々に連続的に滴下し、かつ温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃に昇温し、反応を継続した。反応終了後、反応缶内を窒素にて微加圧し、穴を有するダイヘッドからストランドを押出し、ペレタイザーでペレット化した。
【0051】
(ポリアミド樹脂の固相重合による合成条件)
上記の方法で溶融重合して得られたペレットを加熱装置付き回転式タンブラーに仕込み、回転させながらタンブラー内を1torr以下まで減圧した後、窒素で常圧にする操作を3回行った。その後、タンブラーを回転させながら装置内を30torr以下としながら加熱し、装置内が150℃以上になるよう調整し、その温度で所定時間、反応させた。その後、60℃まで冷却し、ポリアミド樹脂を得た。
【0052】
(実施例1)
メタキシリレンジアミン:セバシン酸:アジピン酸を0.992:0.5:0.5の割合のモル比で使用し、前記合成条件にて溶融重合及び固相重合を行ってポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド1と表記する)。なお、滴下時間は2時間、溶融重合の反応時間は1時間、固相重合時の装置内圧力は1torr以下、重合温度は160℃、重合時間は4時間とした。ポリアミド1は、Tg69℃、融点については、DSCピークが観察されなかった。半結晶化時間は2000秒以上、末端アミノ基濃度18.5μeq/g、末端カルボキシル基濃度91.6μeq/g、数平均分子量は23200、240℃のMFRが12.0g/10分であった。また、得られたポリアミド1単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、0.35cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。
【0053】
ポリアミド1に遷移金属触媒として、ステアリン酸コバルトをコバルト濃度400ppmとなるよう二軸押出機にて、溶融したポリアミド1にサイドフィードにて添加した。さらに、得られたポリアミドとステアリン酸コバルトの混合物(以下、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1と表記する)を240℃にて溶融し、厚さ50μmの単層の酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た。そのフィルムを10×10mmのフィルムとし、該フィルムを袋内の湿度が30%、及び100%のアルミ箔積層フィルムからなるガスバリア袋に、空気100ccと共にそれぞれ2枚ずつ充填密封し、23℃下に保管して、保管開始から7日間の酸素吸収量を調査した。これらの結果を表2に示した。
【0054】
(実施例2)
メタキシリレンジアミン:セバシン酸:アジピン酸を0.993:0.35:0.65の割合のモル比で使用し、前記合成条件にて溶融重合及び固相重合を行ってポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド2と表記する)。なお、滴下時間は2時間、溶融重合の反応時間は1時間、固相重合時の装置内圧力は1torr以下、重合温度は160℃、重合時間は4時間とした。ポリアミド2は、Tg79℃、融点は187℃、半結晶化時間は2000秒以上、末端アミノ基濃度17.5μeq/g、末端カルボキシル基濃度68.6μeq/g、数平均分子量は19200、240℃のMFRが24.0g/10分であった。また、得られたポリアミド2単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、0.28cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。以後、実施例1と同様にフィルムを製造して、該フィルムの酸素吸収量の測定を行った。これらの結果を表2に示した。
【0055】
(実施例3)
メタキシリレンジアミン:セバシン酸:アジピン酸を0.991:0.65:0.35の割合のモル比で使用し、前記合成条件にて溶融重合のみを行った。得られた合成品に末端アミノ基濃度を低下させるため、無水フタル0.5wt%加え、二軸押出機にて230℃で溶融混練し、末端アミノ基を封止した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド3と表記する)。なお、滴下時間は2時間、溶融重合の反応時間は1時間とした。ポリアミド3は、Tg67℃、融点については、DSCピークが観察されなかった。半結晶化時間は2000秒以上で、末端アミノ基濃度15.6μeq/g、末端カルボキシル基濃度71.6μeq/g、数平均分子量は19800、240℃のMFRが23.0g/10分であった。また、得られたポリアミド3単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、0.54cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。以後、実施例1と同様にフィルムを製造して、該フィルムの酸素吸収量の測定を行った。これらの結果を表2に示した。
【0056】
(比較例1)
メタキシリレンジアミンとアジピン酸を0.994:1の割合のモル比で使用し、前記合成条件にて溶融重合及び固相重合を行ってポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド4と表記する)。なお、滴下時間は2時間、溶融重合の反応時間は1時間、固相重合時の装置内圧力は1torr以下、重合温度は205℃、重合時間は6時間とした。ポリアミド4は、Tg85℃、融点237℃、半結晶化時間は25秒、末端アミノ基濃度19.6μeq/g、末端カルボキシル基濃度71.2μeq/g、数平均分子量は23000であった。また、240℃では、融点付近であるため、MFRが測定できず、250℃のMFRを測定し、250℃におけるMFRは、14.4g/10分であった。得られたポリアミド4単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ酸素透過係数は、0.09cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。以後、実施例1と同様にフィルムを製造して、該フィルムの酸素吸収量の測定を行った。これらの結果を表2に示した。
【0057】
(比較例2)
メタキシリレンジアミン:セバシン酸:アジピン酸を0.992:0.8:0.2の割合のモル比で使用し、前記合成条件にて溶融重合のみを行ってポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド5と表記する)。なお、滴下時間は2時間、溶融重合の反応時間は1時間とした。ポリアミド5は、Tg63℃、融点は172℃、半結晶化時間は1380秒で、末端アミノ基濃度39.6μeq/g、末端カルボキシル基濃度73.2μeq/g、数平均分子量は19800、240℃のMFRが28g/10分であった。また、得られたポリアミド5単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、0.94cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。以後、実施例1と同様にフィルムを製造して、該フィルムの酸素吸収量の測定を行った。これらの結果を表2に示した。
【0058】
(比較例3)
メタキシリレンジアミン:セバシン酸:アジピン酸を0.993:0.2:0.8の割合のモル比で使用し、前記合成条件にて溶融重合及び固相重合を行ってポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド6と表記する)。なお、滴下時間は2時間、溶融重合の反応時間は1時間、固相重合時の装置内圧力は1torr以下、重合温度は180℃、重合時間は3時間とした。ポリアミド6は、Tg81℃、融点は214℃、半結晶化時間は110秒で、末端アミノ基濃度22.1μeq/g、末端カルボキシル基濃度71.6μeq/g、数平均分子量は22000、240℃のMFRが14.0g/10分であった。また、得られたポリアミド6単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、0.12cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。以後、実施例1と同様にフィルムを製造して、該フィルムの酸素吸収量の測定を行った。これらの結果を表2に示した。
【0059】
(比較例4)
メタキシリレンジアミン:セバシン酸:アジピン酸を1.0:0.4:0.6の割合のモル比で使用し、前記合成条件にて溶融重合のみを行ってポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド7と表記する)。なお、滴下時間は2時間、溶融重合の反応時間は1時間とした。ポリアミド7は、Tg77℃、融点は184℃、半結晶化時間は2000秒以上で、末端アミノ基濃度45.1μeq/g、末端カルボキシル基濃度77.6μeq/g、数平均分子量は19800、240℃のMFRが28.0g/10分であった。また、得られたポリアミド7単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、0.34cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。以後、実施例1と同様にフィルムを製造して、該フィルムの酸素吸収量の測定を行った。これらの結果を表2に示した。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
実施例1〜3から明らかなように、本発明の酸素吸収樹脂組成物は、高湿度下、低湿度下にて良好な酸素吸収性能を示した樹脂組成物であった。
【0063】
(実施例4)
ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1を用いて、ポリ塩化ビニリデン/無水マレイン酸変性ポリエチレン/ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1/無水マレイン酸変性ポリエチレン/低密度ポリエチレン=240/10/30/10/20μmの厚みで共押しシートを作成した。シートを巻き出しヒーターで加熱後、ポリエチレンを内側にして加圧成形して、ビタミンC錠剤(水分活性0.32)を充填し、低密度ポリエチレン/アルミ箔のフィルムを張り合わせ、密封した。40℃下にて、1ヶ月保存し、容器外部よりビタミンC錠剤の色調を観察した。ビタミンCの色調は良好に保持されていた。
【0064】
(実施例5)
ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1にポリオレフィン樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(製品名;日本ポリエチレン(株)製 ノバテックLL UF641、MFR2.1g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃のMFR4.4g/10分、250℃のMFR5.2g/10分、以下LLDPEと表記する)及び無水マレイン酸変性ポリエチレン(製品名;三菱化学製 モディック M545、MFR6.0g/分(JIS K7210に準拠して測定)、以下MAPEと表記する)を、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1:LLDPE:MAPE=40:55:5の重量比で、240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットAを得た。
【0065】
得られた酸素吸収樹脂ペレットAを酸素吸収樹脂層とし、LLDPEをシーラント層及び中間層とした、2種3層フィルム1(厚さ;中間層10μm/酸素吸収樹脂層10μm/シーラント層10μm)を、幅800mmで、130m/分で、中間層面をコロナ放電処理し、フィルムロールを作製した。フィルムロールにコブ等の偏肉はなく、得られたフィルムの外観は良好で、HAZEは24%であった。低密度ポリエチレン(日本ユニカー(株)製NUC8008)を押し出しラミネートの接着性樹脂として、PET/接着剤/アルミ箔のアルミ箔面側と2種3層フィルム1のコロナ処理面側を積層し、PET(12)/接着剤(3)/アルミ箔(7)/接着性樹脂(20)/LLDPE(10)/酸素吸収樹脂(10)/LLDPE(10)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。尚、括弧内の数字は各層の厚さ(単位:μm)を意味する。本酸素吸収多層フィルムを用いて、LLDPE層側を内面にして5×10cmのガセット袋を作製し、栗羊羹50gを充填後、密封した。その後、検体を40℃・100%RH下にて保存した。1ヶ月保存後に開封し、羊羹の色調及び風味を調査した。栗羊羹の色調、風味は、良好に保持されていた。
【0066】
本発明は、特定のポリアミド樹脂と遷移金属を用いることにより、低湿度、高湿度における酸素吸収性能に優れ、様々な容器や用途に適用できる酸素吸収樹脂組成物であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂が、メタキシリレンジアミン、アジピン酸及びセバシン酸の少なくとも三成分を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:セバシン酸=0.985〜0.997:0.3〜0.7:0.7〜0.3のモル比で重縮合してなる末端アミノ基濃度が30μeq/g以下のポリアミド樹脂であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物。

【公開番号】特開2011−94021(P2011−94021A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248967(P2009−248967)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】