説明

酸素濃縮装置及び酸素濃縮装置の検査時期判定方法

【課題】運転時間のみならず、それ以外の他の指標との関係で、要検査の必要性を告知等することができる酸素濃縮装置等を提供すること。
【解決手段】稼動時間情報を積算し、積算稼動時間情報を生成する積算稼動時間情報生成部と、積算稼動時間情報が、要検査時間情報を超えたか否かを判断する要検査時間判断部と、酸素濃縮装置の最初の稼動開始時刻情報と稼動終了時刻情報に基づいて通算使用期間情報を生成する通算使用期間情報生成部と、通算使用期間情報が、要検査通算使用期間情報を超えたか否かを判断する要検査通算使用期間情報判断部と、要検査時間判断部で要検査時間情報を越えたと判断し、及び/又は要検査通算使用期間情報判断部で要検査通算使用期間情報を超えたと判断した際に、表示部に要検査情報を表示する要検査情報表示判断部と、を備える酸素濃縮装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中から酸素を分離生成する酸素濃縮装置及び酸素濃縮装置の検査時期判定方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
肺に疾病を抱える患者が高濃度の酸素を吸引するために使用する酸素濃縮器は種々提案されており、大気の一部を用いてコンプレッサにより圧縮空気を作り、該圧縮された空気を吸着用の筒体内部に送り込み、該吸着筒体内の吸着剤に窒素を吸着させることにより生成した酸素を、鼻カニューラを用いて、患者に摂取させる比較コンパクトな酸素濃縮装置が知られている。
このような酸素濃縮装置は、多くの機械部品等から成るため、一定時間、稼動すると磨耗等で、動作不良等が生じるおそれがあった。このため、この不良状態の発生等を防ぐため、メンテナンスをする時期を定めていた。
このメンテナンスをする時期は、特許文献1のように、酸素濃縮装置の運転時間の積算時間としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−136658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、酸素濃縮装置は、たとえ運転時間が短くても、例えば、使用開始時から一定の時間が経過すると部材の経時劣化により、その不良が発生し易くなる等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、運転時間のみならず、それ以外の他の指標との関係で、要検査の必要性を告知等することができる酸素濃縮装置及び酸素濃縮装置の検査時期判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、本発明にあっては、計時装置と、各種表示情報を表示する表示部と、を備える、酸素を生成する酸素濃縮装置であって、酸素濃縮装置の稼動時間情報を、それ以前の前記稼動時間情報に積算し、積算稼動時間情報を生成する積算稼動時間情報生成部と、前記積算稼動時間情報が、検査をすべき基準時間情報である要検査時間情報を超えたか否かを判断する要検査時間判断部と、酸素濃縮装置の最初の稼動開始時刻情報と稼動終了時刻情報に基づいて通算使用期間情報を生成する通算使用期間情報生成部と、前記通算使用期間情報が、検査をすべき基準期間情報である要検査通算使用期間情報を超えたか否かを判断する要検査通算使用期間情報判断部と、前記要検査時間判断部で前記要検査時間情報を越えたと判断し、及び/又は前記要検査通算使用期間情報判断部で前記要検査通算使用期間情報を超えたと判断した際に、前記表示部に要検査情報を表示する要検査情報表示判断部と、を備えることを特徴とする酸素濃縮装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、酸素濃縮装置の稼動時間情報を、それ以前の稼動時間情報に積算し、積算稼動時間情報を生成する積算稼動時間情報生成部を有している。このため、酸素濃縮装置の実際の使用時間である稼動時間情報と、これら稼動時間情報の積算情報である積算稼動時間情報を得ることができる。
また、積算稼動時間情報が、検査をすべき基準時間情報である要検査時間情報を超えたか否かを判断する要検査時間判断部を有するため、積算稼動時間が検査をすべき時期であるか否かも判断することができる。
【0008】
酸素濃縮装置の最初の稼動開始時刻情報と稼動終了時刻情報に基づいて通算使用期間情報を生成する通算使用期間情報生成部と、通算使用期間情報が、検査をすべき基準期間情報である要検査通算使用期間情報を超えたか否かを判断する要検査通算使用期間情報判断部とを有している。
このため、酸素濃縮装置が最初に稼動してからの経過時間を通算使用期間情報として取得することができると共に、この通算使用期間情報が、検査をすべき時期であるか否かも判断することができる。
【0009】
さらに、要検査時間判断部で要検査時間情報を越えたと判断し、及び/又は要検査通算使用期間情報判断部で要検査通算使用期間情報を超えたと判断した際に、表示部に要検査情報を表示する要検査情報表示判断部とを有している。
このため、酸素濃縮装置の構成部品等の不良等の状態を、酸素濃縮装置の実際の運転時間の累計である積算稼動時間情報だけでなく、同装置の稼動開始からの経過時間である通算使用期間情報に基づいて判断することもでき、その結果を表示部に表示し、使用者に告知することができる。
このため、酸素濃縮装置の使用者は、この表示を視認することで、検査時期が来たことを知ることができ、同装置の構成部品等の不良が生じる前に検査、メンテナンス、オーバーホールをすることができる。
このような、酸素濃縮装置は、患者の疾病の治療に用いられる。このため、その不良等の発生を精度良く未然に防ぐための検査等を適切に行うことが、特に重要となっている。
この点、前記構成によれば、使用者に適切な時期に検査等を告知するができるので、極めて酸素濃縮装置の不良等の発生を極めて高精度に防ぐことができる。
【0010】
好ましくは、気体を圧縮する気体圧縮機と、前記気体圧縮機の流量を変化させるための流量調節部と、前記流量調節部で調節された流量情報に基づいて、前記稼動時間情報を変化させるための稼動時間変化情報生成部と、を備えることを特徴とする酸素濃縮装置である。
【0011】
前記構成によれば、気体を圧縮する気体圧縮機と、気体圧縮機の流量を変化させるための流量調節部と、流量調節部で調節された流量情報に基づいて、稼動時間情報を変化させるための稼動時間変化情報生成部と、を備えている。
酸素濃縮装置は、その気体圧縮機における流量の大小で、その構成部品等の不良等の発生の可能性も変化する。すなわち、例えば、流量が大きいほど、短時間で不良等が発生し易くなる傾向にある。
このため、前記構成では、流量情報の大小に基づいて、稼動時間情報を変化させることで、例えば、流量情報が大きい場合は、流量情報が小さい場合に比べ、より早く稼動時間情報が経過するようにすることができ、より高精度に酸素濃縮装置の不良等を防ぐことができる。
【0012】
好ましくは、酸素濃縮装置を稼動又は停止させるスイッチ部を有し、前記スイッチ部で酸素濃縮装置が稼動し、前記スイッチ部で酸素濃縮装置が停止するまでの間に、複数回、前記稼動時間変化情報生成部が動作する構成となっていることを特徴とする酸素濃縮装置である。
【0013】
前記構成によれば、酸素濃縮装置を稼動又は停止させるスイッチ部を有し、スイッチ部で酸素濃縮装置が稼動し、スイッチ部で酸素濃縮装置が停止するまでの間に、複数回、稼動時間変化情報生成部が動作する構成となっている。
このため、例えば、酸素濃縮装置の1回の稼動(スイッチで稼動し、スイッチで停止するまでの間)の間に、使用者が流量を変化させた場合でも、その変化に応じて、稼動時間情報を生成することができる。このため、より正確に検査すべき時期か否かを判断でき、より高精度に酸素濃縮装置の不良等を防ぐことができる。
【0014】
前記課題は、本発明によれば、計時装置と、各種表示情報を表示する表示部と、を備える、酸素を生成する酸素濃縮装置の検査時期判定方法であって、積算稼動時間情報生成部が、酸素濃縮装置の稼動時間情報を、それ以前の前記稼動時間情報に積算し、積算稼動時間情報を生成する積算稼動時間情報生成工程と、要検査時間判断部が、前記積算稼動時間情報が、検査をすべき基準時間情報である要検査時間情報を超えたか否かを判断する要検査時間判断工程と、通算使用期間情報生成部が、酸素濃縮装置の最初の稼動開始時刻情報と稼動終了時刻情報に基づいて通算使用期間情報を生成する通算使用期間情報生成工程と、要検査通算使用期間情報判断部が、前記通算使用期間情報が、検査をすべき基準期間情報である要検査通算使用期間情報を超えたか否かを判断する要検査通算使用期間情報判断工程と、要検査情報表示判断部が、前記要検査時間判断部で前記要検査時間情報を越えたと判断し、及び/又は前記要検査通算使用期間情報判断部で前記要検査通算使用期間情報を超えたと判断した際に、前記表示部に要検査情報を表示する要検査情報表示判断工程と、を備えることを特徴とする酸素濃縮装置の検査時期判定方法により達成される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、運転時間のみならず、それ以外の他の指標との関係で、要検査の必要性を告知等することができる酸素濃縮装置及び酸素濃縮装置の検査時期判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態にかかる酸素濃縮装置の外観斜視図である。
【図2】図1の装置の操作パネルの概略平面図である。
【図3】酸素濃縮装置の内部構成等を示す概略ブロック図である。
【図4】第1の記憶部に格納されるデータ等を示す概略ブロック図である。
【図5】第2の記憶部に格納されるデータ等を示す概略ブロック図である。
【図6】本実施の形態にかかる酸素濃縮装置の検査時期判定方法等を示す主な動作等の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態にかかる酸素濃縮装置の外観斜視図、図2はその操作パネルの概略平面図である。
これらの図において、酸素濃縮装置10は、たとえば、上端に取っ手となるハンドル12を設けた縦長の本体ケース11を備えている。
本体ケース11の上端付近において、やや前傾して設けた操作パネル13には、左から順に、ダイヤル式の電源スイッチ14と、酸素出口15と、流量調節部である例えば酸素流量設定ボタン16と、例えば、LEDまたは液晶表示等にて、セグメント数字で表示を行う酸素流量表示部18が配置されている。また酸素出口15の上方には、該酸素出口15に形成された段差部に対して気密状態に係合されるとともに、着脱自在に設けられるカプラ21が示されている。このカプラ21には鼻カニューラ22等のチューブ23の開口部が連通するようにセットされている。
この電源スイッチ14に操作で、酸素濃縮装置10が稼動又は停止する構成となっている。また、酸素流量設定ボタン16で後述する気体圧縮機である例えば、コンプレッサの気体流量を変化させる構成となっている。
【0019】
本体ケース11の底蓋には、4つのゴム足が四隅に固定されており、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止している。
一方、外出時等の移動時に使用するキャリアが2本の固定ネジで底蓋に対して固定できるように構成されている。このキャリアには、上記の各ゴム足を収容できる孔部が対応位置に穿設されるとともに、図示のように四隅に樹脂製の自在キャスタが配置されている。
【0020】
図2は、上述した操作パネル13を拡大して示している。
電源スイッチ14は図示のオフ位置と約90度分時計周りに回転したオン位置との間で操作される。この電源スイッチ14のオン位置に相当する位置には緑と赤に点灯する例えば発光LED等を内蔵した運転状態ランプが設けられている。また、この運転状態ランプの上にはバッテリ残量モニタが設けられている。
【0021】
また、中央の酸素出口15の上には、警報表示部20が配置され、この警報表示部20の下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素ランプが設けられている。
酸素流量設定ボタン16は、上下矢印を印刷したフラットスイッチ16a,16bとして設けられている。この酸素流用設定ボタン16は、90%程度以上に濃縮された酸素を毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階または0.01L段階で押圧操作する度に酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部18で、その時の流量設定を表示することにより、酸素生成能力を変えることが可能である。
また、同調ランプ19は、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを点灯または点滅表示によりして患者に知らせるために設けられている。
【0022】
図3は、酸素濃縮装置10の内部構成等を示す概略ブロック図である。酸素濃縮装置100は、コンピュータを備えており、このため、酸素濃縮装置10は、図3に示す、メイン制御CPU(Central Processing Unit)22の他、図示しないRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。このため、メイン制御CPU22は、図3に示す第1の記憶部40や第2の記憶部60と接続されている。
図4は、第1の記憶部40に格納されるデータ等を示す概略ブロック図であり、図5は、第2の記憶部60に格納されるデータ等を示す概略ブロック図である。
図3乃至図5に示す第1の記憶部40及び第2の記憶部60は、説明の便宜上、分けて記載したが、実際にこのようにデータ等を分割して格納することを示すものではない。
【0023】
ところで、図3に示すように、酸素濃縮装置10は、外部から空気を取り入れる空気取入口22を有している。このように取り入れられた空気は、気体圧縮機である例えば、コンプレッサ23で圧縮等される構成となっている。そして、このコンプレッサ23は、モータ24と接続され、このモータ24によって駆動する構成となっている。
コンプレッサ23で圧縮された圧縮空気は、図3に示す2つの切換弁25a、25b(電磁弁、3方弁)を介して、第1吸着筒体26a及び第2吸着筒体26bにそれぞれ交互に供給されることになる。
これら第1吸着筒体26a及び第2吸着筒体26b内には、ゼオライト等の触媒吸着剤が配置されており、このゼオライトにより圧縮空気中の窒素が吸着され、これにより、高濃度の酸素が生成される構成となっている。
【0024】
また、このように、第1吸着筒体26a及び第2吸着筒体26bで生成された高濃度の酸素(例えば、90%程度以上)は、図3のバッファ(貯蔵容器)27に貯蔵される。このバッファ27に貯蔵されている高濃度の酸素は、図3に示す流量圧力調整器28で圧力が一定に自動調整された後、図3の酸素出口15から排出される構成となっている。
【0025】
一方、図3に示すように、切換弁25a、25bには、排気口29が接続されており、この排気口29から排気が可能な構成となっている。
また、図3に示すように、上述した電源スイッチ14、酸素流量設定ボタン16及び警報表示部20が、メイン制御CPU22に接続されている。
このメイン制御CPU22には、上述の切換弁25a、25も接続され、その動作が制御される構成となっている。
また、図3に示すように、酸素濃縮装置10は、計時装置である例えば、リアルタイムカレンダ時計30を備え、メイン制御CPU22に接続されている。
【0026】
図6は、本実施の形態にかかる酸素濃縮装置10の検査時期判定方法等を示す主な動作等の概略フローチャートである。
以下、図6のフローチャートに沿って、酸素濃縮装置10の検査時期判定方法等の動作等を説明しながら図4及び図5の構成等について説明する。
【0027】
先ず、使用者が図1の酸素濃縮装置10を使用するに当たり、図1乃至図3に示す電源スイッチ14を操作して、装置を稼動させると、図6のST1で、稼動開始日レジスタが「0」、すなわち、未登録か否かが判断される。
具体的には、図4の稼動開始日判断部(プログラム)41が動作し、図5の稼動開始日レジスタ61に稼動開始日データが既に登録されているか否かを判断する。
ST1で稼動開始日レジスタ61に、稼動開始日データが登録されていない場合は、ST2に進み、図3のリアルタイムカレンダ時計30の日付を稼動開始日レジスタ61として登録する。この日付が、最初の稼動開始時刻情報の一例となっている。
このように、リアルタイムカレンダ時計30の日付を稼動開始日レジスタ61に登録することで、使用者の開始日付を確実に記録することができる。
【0028】
次に、ST3で、リアルタイムカレンダ時計の時刻データを開始時刻データとして登録する。具体的には、図4の当該時刻データ取得部(プログラム)42が動作し、図3のリアルタイムカレンダ時計30の当該時刻を図5の開始時刻データレジスタ62に登録する。
次に、ST4に進み、当該機器の設定流量データを取得する。酸素濃縮装置10のコンプレッサ23の圧縮空気の量である流量は、上述のように図3の酸素流量設定ボタン16で変更することができるようになっている。このため、このように使用者等によって変更された酸素流量データは、図5の設定流量データレジスタ63に登録される構成となっている。
具体的には、使用者等が酸素流量設定ボタン16を操作すると、図4の設定流量取得部(プログラム)43が動作し、その操作によって変更等された酸素流量データが、図5の設定流量データレジスタ63に登録される。
【0029】
次にST5へ進む。ST5では、設定流量が、2.5L以上か否かが判断される。具体的には、図4の加速係数判断部(プログラム)44が動作し、図5の設定流量データレジスタ63の酸素流量データを参照し、その酸素流量データが2.5L以上か否か判断する。
ST5で酸素流量データが、2.5L以上の場合は、ST6へ進み、2.5L未満の場合は、ST7へ進む。
ST6では、加速係数を「1.6」とし、ST7では、加速係数を「1.0」とする。
【0030】
具体的には、加速係数判断部(プログラム)42が、図5の加速係数判断用データレジスタ64に格納されているデータ(設定流量が2.5L以上の場合は、加速係数が1.6、2.5L未満の場合は、加速係数1.0)を参照して判断する。
そして、ST8では、加速係数データを登録する。具体的には、加速係数判断部(プログラム)42が判断した、加速係数(例えば、「1.0」又は、「1.6」)が図5の加速係数データレジスタ65に登録される。
【0031】
次いで、ST9に進む。ST9では、15分経過したか否かが判断される。
具体的には、図4の時間経過判断部(プログラム)45が動作し、図5の開始時刻データレジスタ62の開始時刻データ、経過時間データレジスタ66及び図3のリアルタイムカレンダ時計30を参照して、経過時間データレジスタ66に登録されている値と比較し、例えば15分経過したか否かが判断される。
【0032】
ST9で、15分経過したと判断されると、次いで、ST10へ進む。ST10では、経過時間レジスタ66の時間データに、図5の加速係数データレジスタ65の加速係数データ(「1.0」又は「1.6」)を乗じ、当該積算時間データを生成し、積算時間データレジスタ67に登録する。
具体的には、図4の積算時間データ生成部(プログラム)46が動作して、図5の経過時間データレジスタ66の経過時間データ及び加速係数データレジスタ65の加速係数データを参照して、経過時間データに加速係数データを乗じ、当該積算時間データを求め、図5の積算時間データレジスタ67に登録する。
【0033】
次いで、ST11で、積算時間データを登録済みオーバーホール時間データに加算し、オーバーホール時間データを更新する。
具体的には、図4のオーバーホール時間生成部(プログラム)47が動作し、図5のオーバーホール時間レジスタ68に登録済みのオーバーホール時間データに、積算時間データレジスタ67の積算時間データを加算して、オーバーホール時間データを更新する。
したがって、積算時間データが、稼動時間情報の一例であり、積算時間データ生成部(プログラム)46が、稼動時間変化情報生成部の一例である。また、オーバーホール時間レジスタ68が、積算稼動時間情報の一例であり、オーバーホール時間生成部(プログラム)47が、積算稼動時間情報生成部の一例である。
【0034】
このように、ST11で、酸素濃縮装置10の累積の使用時間であるオーバーホール時間データをオーバーホール時間レジスタ68に登録することができる。
次いで、ST12で、リアルタイムカレンダ時計30の当該時刻データを終了時刻データとして登録する。
具体的には、図4の当該時刻データ取得部(プログラム)42が動作し、リアルタイムカレンダ時計30の当該時刻データを取得して、この時刻データを図5の終了時刻データレジスタ69に終了時刻データとして登録する。
この終了時刻データが、稼動終了時刻情報の一例となっている。
【0035】
次いで、ST13で、稼動開始日データと終了時刻データとの差分データを求める。具体的には、稼動開始日基準オーバーホール判断部(プログラム)48が動作し、図5の稼動開始日データレジスタ61の稼動開始データと終了時刻データレジスタ69を参照して、差分データを求める。
【0036】
次いで、ST14で、この差分データは、1,035日以上あるか否かが判断される。具体的には、図4の稼動開始日基準オーバーホール判断部(プログラム)48が動作し、図5の稼動開始日基準オーバーホール用基準期間データレジスタ70に登録されているデータ、例えば1,035日を参照して判断する。
この差分データが、通算使用期間情報の一例であり、稼動開始日基準オーバーホール判断部(プログラム)48が、通算使用期間情報生成部の一例である。
なお、酸素濃縮装置10は、実際の使用時間から一定期間、例えば1,035日程度経過すると、その構成部品等が経時劣化し、これにより不良が生じることがある。
そこで、本実施の形態では、一定の経時劣化が生じる可能性のある1,035日を基準としてオーバーホール等をするよう判断する構成となっている。
したがって、稼動開始日基準オーバーホール用基準期間データが、要検査通算使用期間情報の一例であり、稼動開始日基準オーバーホール判断部(プログラム)48が、要検査通算使用期間情報判断部の一例である。
なお、本実施の形態では、稼動開始日基準オーバーホール用基準期間データを、例えば1,035日という単一の期間としている。しかし、本発明では、これに限らず、酸素濃縮装置10の機種によって、それぞれ異なる期間に設定することもできる。
このように構成することで、オーバーホールの時期をより適切に利用者等に告知することができ、同装置10の構成部品の動作不良等の発生を未然に防ぐことができる。
【0037】
ST14で、差分データが、1,035日以上である場合は、経時劣化が生じるおそれがあると判断し、ST15で、図3の警報表示部20に、「オーバーホール」の表示がなされる。
したがって、この「オーバーホール」の表示を見た使用者が、オーバーホールを実行することで、酸素濃縮装置10の構成部品等の経時劣化等による不良の発生を未然に防止することができる。
なお、ST15は、具体的には、稼動開始日基準オーバーホール判断部(プログラム)48が動作し、「オーバーホール」の文字を、図2及び図3の警報表示部20に表示させる。
このように、「オーバーホール」が要検査情報の一例であり、稼動開始日基準オーバーホール判断部(プログラム)48が、要検査情報表示判断部の一例である。
【0038】
一方、ST14で、差分データが、1,035日未満の場合は、ST16に進む。ST16では、オーバーホール時間レジスタ68のオーバーホール時間データが、14,500時間を越えているか否かを判断する。
具体的には、図4のオーバーホールレジスタ値判断部(プログラム)49が動作し、図5のオーバーホール時間レジスタ68のオーバーホール時間データが、オーバーホールレジスタ基準値データレジスタ71に登録されているオーバーホールレジスタ基準値データ(例えば、14,500時間)を超えているか否かを判断する。
【0039】
酸素濃縮装置10は、実際の運転時間が一定期間、例えば14,500時間を超える場合は、その構成部品等の磨耗等のため、動作不良を発生させるおそれがある。そこで、本実施の形態では、オーバーホール時間データが、14,500時間を超えている場合、すなわち、酸素濃縮装置10の実際の使用時間の累計が14,500時間を超えている場合は、かかる動作不良が生じるのも未然に防ぐために、オーバーホールをすべき旨の判断を行う。
なお、オーバーホールレジスタ基準値データが、要検査時間情報の一例であり、オーバーホールレジスタ値判断部(プログラム)49が、要検査時間判断部の一例である。
【0040】
そして、ST16で、オーバーホール時間データが14,500時間を越えている場合は、ST15へ進み、上述のように、「オーバーホール」を警報表示部20に表示し、その必要性を利用者等に告知する構成となっている。
【0041】
なお、本実施の形態では、上述のように、オーバーホール時間データを生成する基準となる積算時間データを生成する際、酸素流量の量が多いほど、時間が多く経過するように処理している(ST4乃至ST8)。
通常、酸素流量が多いほど、酸素濃縮装置10に不良が発生し易くなることから、流量が多い場合は、加速係数を1.6とし、オーバーホールを早めに実行するようになっている。
【0042】
このように、本実施の形態では、病気の治療等に用いる酸素濃縮装置10は、その用途から動作不良等の発生は極力許されない装置となっている。このため、本実施の形態では、そのオーバーホールの時期を、同装置10を実際使用した運転時間の累計だけで判断するのではなく、同装置10の運転開始からの時間の経過でも判断している。
このため、より精度良く、オーバーホールの時期を利用者等に告知することができ、同装置10の構成部品の動作不良等の発生を未然に防ぐことができる。
【0043】
ところで、ST16で、オーバーホールレジスタ値が14,500時間を越えていない場合は、未だオーバーホールの時期ではないとして、オーバーホールの表示は実行されない。
そして、ST17へ進み、電源スイッチ14がOFF(オフ)となっているか否か判断し、OFFの場合は、終了する。
【0044】
一方、ST17で、電源スイッチ14がON(オン)の場合は、ST3以下の工程を繰り返すことになる。
特に、ST3乃至ST11の動作を繰り返すことにより、酸素流量の変化をより緻密に把握することができ、この酸素流量の変化に対応して、緻密に加速係数も変更させることができる。
このように、本実施の形態では、スイッチがON状態、すなわち、酸素濃縮装置10が稼動状態であれば、複数回、加速係数データを取得するので、極めて正確にオーバーホール時期を定めることができる。
【0045】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。
本実施の形態では、差分データ(稼動開始日からの経過時間)で基準値(1,035日)を超えた場合は、オーバーホールレジスタ値(運転時間の累計)を判断することがない構成となっている。
しかし、これに限らず、先に、オーバーホールレジスタ値を判断し、この値が基準値(14,500時間)を超えた場合、差分データを判断しない構成としても構わない。さらに、双方の基準値が超えた場合のみ、オーバーホール表示がなされる構成としても構わない。
【符号の説明】
【0046】
10・・・酸素濃縮装置、11・・・本体ケース、12・・・ハンドル、13・・・操作パネル、14・・・電源スイッチ、15・・・酸素出口、16・・・酸素流量設定ボタン、18・・・酸素流量表示部、19・・・同調ランプ、20・・・警報表示部、21・・・カプラ、22・・・鼻カニューラ、23・・・チューブ、24・・・モータ、25a、b・・・切換弁、26a・・・第1吸着筒体、26b・・・第2吸着筒体、27・・・バッファ(貯蔵容器)、28・・・流量圧力調整器、29・・・排気口、30・・・リアルタイムカレンダ時計、40・・・第1の記憶部、41・・・移動開始日判断部(プログラム)、42・・・当該時刻データ取得部(プログラム)、43・・・設定流量取得部(プログラム)、44・・・加速係数判断部(プログラム)、45・・・時間経過判断部(プログラム)、46・・・積算時間データ生成部(プログラム)、47・・・オーバーホール時間生成部(プログラム)、48・・・稼動開始日基準オーバーホール判断部(プログラム)、49・・・オーバーホールレジスタ値判断部(プログラム)、60・・・第2の記憶部、61・・・稼動開始日レジスタ、62・・・開始時刻データレジスタ、63・・・設定流量データレジスタ、64・・・加速係数判断用データレジスタ、65・・・加速係数データレジスタ、66・・・経過時間データレジスタ、67・・・積算時間データレジスタ、68・・・オーバーホール時間レジスタ、69・・・終了時刻データレジスタ、70・・・稼動開始日基準オーバーホール用基準期間データレジスタ、71・・・オーバーホールレジスタ基準値データレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時装置と、
各種表示情報を表示する表示部と、を備える、酸素を生成する酸素濃縮装置であって、
酸素濃縮装置の稼動時間情報を、それ以前の前記稼動時間情報に積算し、積算稼動時間情報を生成する積算稼動時間情報生成部と、
前記積算稼動時間情報が、検査をすべき基準時間情報である要検査時間情報を超えたか否かを判断する要検査時間判断部と、
酸素濃縮装置の最初の稼動開始時刻情報と稼動終了時刻情報に基づいて通算使用期間情報を生成する通算使用期間情報生成部と、
前記通算使用期間情報が、検査をすべき基準期間情報である要検査通算使用期間情報を超えたか否かを判断する要検査通算使用期間情報判断部と、
前記要検査時間判断部で前記要検査時間情報を越えたと判断し、及び/又は前記要検査通算使用期間情報判断部で前記要検査通算使用期間情報を超えたと判断した際に、前記表示部に要検査情報を表示する要検査情報表示判断部と、を備えることを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項2】
気体を圧縮する気体圧縮機と、
前記気体圧縮機の流量を変化させるための流量調節部と、
前記流量調節部で調節された流量情報に基づいて、前記稼動時間情報を変化させるための稼動時間変化情報生成部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
【請求項3】
酸素濃縮装置を稼動又は停止させるスイッチ部を有し、
前記スイッチ部で酸素濃縮装置が稼動し、前記スイッチ部で酸素濃縮装置が停止するまでの間に、複数回、前記稼動時間変化情報生成部が動作する構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置。
【請求項4】
計時装置と、
各種表示情報を表示する表示部と、を備える、酸素を生成する酸素濃縮装置の検査時期判定方法であって、
積算稼動時間情報生成部が、酸素濃縮装置の稼動時間情報を、それ以前の前記稼動時間情報に積算し、積算稼動時間情報を生成する積算稼動時間情報生成工程と、
要検査時間判断部が、前記積算稼動時間情報が、検査をすべき基準時間情報である要検査時間情報を超えたか否かを判断する要検査時間判断工程と、
通算使用期間情報生成部が、酸素濃縮装置の最初の稼動開始時刻情報と稼動終了時刻情報に基づいて通算使用期間情報を生成する通算使用期間情報生成工程と、
要検査通算使用期間情報判断部が、前記通算使用期間情報が、検査をすべき基準期間情報である要検査通算使用期間情報を超えたか否かを判断する要検査通算使用期間情報判断工程と、
要検査情報表示判断部が、前記要検査時間判断部で前記要検査時間情報を越えたと判断し、及び/又は前記要検査通算使用期間情報判断部で前記要検査通算使用期間情報を超えたと判断した際に、前記表示部に要検査情報を表示する要検査情報表示判断工程と、を備えることを特徴とする酸素濃縮装置の検査時期判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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