説明

酸素燃焼型石炭火力発電システム

【課題】本発明の目的は酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、燃焼排ガス中の凝縮水の発生や酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得る酸素燃焼型石炭火力発電システムを提供することにある。
【解決の手段】酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、酸素製造装置12で発生した酸素を燃焼排ガスで昇温する酸素昇温用熱交換器4を燃焼排ガス系統に設置し、酸素を流下させる酸素供給系統14を酸素製造装置12からこの酸素昇温用熱交換器4を経由して混合用排ガス系統15に接続するように配設し、酸素昇温用熱交換器4によって昇温させた酸素を混合用排ガス系統15を流下する燃焼排ガスと混合させて所望の温度の支焼ガスを形成し、混合用排ガス系統15を通じてこの支焼ガスを石炭ボイラ1に供給するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭を燃料とする酸素燃焼方式の石炭ボイラを備えた酸素燃焼型石炭火力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化が地球規模の環境問題として取り上げられている。大気中の二酸化炭素濃度の増加が地球温暖化の主要因であることが明らかにされており、二酸化炭素排出量の削減が重要になっている。
【0003】
石炭を燃料とする石炭ボイラを有する石炭火力発電所は二酸化炭素の有力な排出源であり、石炭ボイラから排出する燃焼排ガス中の二酸化炭素を高効率で分離、回収することが課題になっている。
【0004】
石炭を燃料とする石炭ボイラを有する従来の石炭火力発電所では、空気を用いて燃料を燃焼する空気燃焼方式を採用しているが、空気には燃焼に関与しない約80%の窒素が含まれ、この窒素が燃焼排ガス中の二酸化炭素を高効率で分離、除去する際の阻害要因になっている。
【0005】
この阻害要因を取り除くために、例えば特許第3068888号公報には、石炭を酸素で燃焼する石炭燃焼型火力発電システムに設置される酸素燃焼方式の石炭ボイラが開示されている。
【0006】
前記特許第3068888号公報に開示された酸素燃焼方式の石炭ボイラでは、石炭を燃焼するボイラから排出された燃焼排ガスは、脱硝装置、ボイラに供給する支燃ガスを排ガスの熱により昇温させるエアヒータ、ボイラに供給する蒸気発生用の給水を排ガスの熱により昇温させる給水加熱器を通過し、乾式電気集塵機で燃焼排ガス中の灰を除去する。
【0007】
さらにこの燃焼排ガスは、脱硫装置、湿式電気集塵機で硫黄酸化物を除去し、脱水装置で水分を除去した後に、CO吸脱着装置によって燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収され、煙突から大気中に排出される。
【0008】
一方、乾式電気集塵機の下流で燃焼排ガスの一部は分岐されて混合用排ガス系統に送られて、空気から酸素を分離する酸素発生装置で製造された燃焼用の酸素と混合されて燃焼用支燃ガスとなる。
【0009】
即ち、燃焼用の酸素は燃焼に適した酸素分圧とするため、酸素発生装置から供給される前記酸素と石炭燃焼後の燃焼排ガスの一部とを混合させて、酸素と二酸化炭素が混合したガスを燃焼用支燃ガスとして石炭ボイラに供給するように構成している。
【0010】
窒素を含有しない燃焼用支燃ガスによって前記石炭ボイラで石炭を燃焼することにより、燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高くできるため、二酸化炭素を高効率で分離、除去することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3068888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら前記特許第3068888号公報に開示されたような酸素燃焼方式の石炭ボイラでは、以下のような課題がある。
【0013】
酸素燃焼方式の石炭ボイラでは、脱硫装置で排ガス中の硫黄酸化物を除去するために噴霧する水噴霧によって排ガスの温度が低下するが、この水噴霧により低下した熱の回収、再利用がなされていず、火力発電システムの熱効率を無駄に低下させている問題点がある。
【0014】
また、酸素燃焼方式の石炭ボイラでは、燃焼排ガスの一部と酸素とを混合して燃焼用支燃ガスを生成させるが、両者が混合される際に燃焼排ガス中には水分や硫黄酸化物が含まれているため、低温の酸素と混合して温度が低下すると燃焼排ガス中の水分が凝縮した凝縮水が発生し、この凝縮水に硫黄酸化物が溶解することによって酸性水が発生して石炭火力発電システムを構成する系統の配管材料がこの酸性水によって腐食されるという問題がある。
【0015】
本発明の目的は酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の酸素燃焼型石炭火力発電システムは、石炭を燃焼する石炭ボイラと、空気から酸素を分離させて酸素を発生する酸素製造装置とを備え、前記石炭ボイラから排出された燃焼排ガスを流下させる燃焼排ガス系統と、この燃焼排ガス系統から分岐して前記燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給する混合用排ガス系統と、前記酸素製造装置で発生した酸素を流下させる酸素供給系統を前記混合用排ガス系統と接続して前記酸素供給系統を流れる酸素を前記混合用排ガス系統を流れる燃焼排ガスと混合させて石炭燃焼用の支燃ガスを形成し、前記混合用排ガス系統を通じてこの支焼ガスを前記石炭ボイラに供給するように構成した酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、酸素製造装置で発生した酸素を燃焼排ガスによって昇温する酸素昇温用熱交換器を前記燃焼排ガス系統に設置し、酸素を流下させる前記酸素供給系統を前記酸素製造装置からこの酸素昇温用熱交換器を経由して前記混合用排ガス系統に接続するように配設し、前記酸素昇温用熱交換器によって昇温させた酸素を前記混合用排ガス系統を流下する燃焼排ガスと混合させて所望の温度の支焼ガスを形成し、前記混合用排ガス系統を通じてこの支焼ガスを石炭ボイラに供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムを示す概略構成図。
【図2】本発明の第2実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムを示す概略構成図。
【図3】本発明の第3実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムを示す概略構成図。
【図4】本発明の第4実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムを示す概略構成図。
【図5】本発明の第5実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムを示す概略構成図。
【図6】本発明の第6実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムを示す概略構成図。
【図7】比較例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける排ガス処理系統の温度変化状況図。
【図8】本発明の第4実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける排ガス処理系統の温度変化状況図。
【図9】本発明の実施例と比較例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける排ガス処理系統における熱損失状況図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムについて図面を引用して以下に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムについて図1を用いて説明する。
【0021】
図1は本発明の第1実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムを示す概略構成図である。
【0022】
図1に示した本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムは、石炭を燃焼して高温の燃焼ガスを発生させる石炭ボイラ1を備えている。
【0023】
この石炭ボイラ1では発生させた高温の燃焼ガスによって該石炭ボイラ1に設けた熱交換器(図示せず)で蒸気タービン(図示せず)に供給する蒸気を発生させている。
【0024】
前記石炭ボイラ1からは約400℃となった燃焼排ガスが排出されるが、この石炭ボイラ1から排出された燃焼排ガスが流下する該石炭ボイラ1の下流側の燃焼排ガス系統21には、燃焼排ガスに含まれた窒素酸化物を除去する脱硝装置2と、石炭ボイラ1にから排出された燃焼排ガスの熱により昇温させるエアヒータ(以下、A/Hと記す)3と、石炭ボイラ1に供給する蒸気発生用の給水を燃焼排ガスの熱により昇温させる給水加熱器5と、燃焼排ガス中の灰を除去する乾式電気集塵機6と、酸素製造装置12で製造された酸素を燃焼排ガスの熱により温度に昇温する酸素昇温用熱交換器4とが順次設置されている。
【0025】
前記酸素昇温用熱交換器4の下流側の燃焼排ガス系統21には、該酸素昇温用熱交換器4を流下した燃焼排ガスに含まれる硫黄分を除去する脱硫装置7と、燃焼排ガス中の塵芥物を除去する湿式電気集塵機8と、燃焼排ガス中に含まれる水分を除去する脱水装置9が順次設置され、この脱水装置9の下流側の燃焼排ガス系統21に燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するCO吸脱着装置10が設置され、前記CO吸脱着装置10の下流側の燃焼排ガス系統21に該CO吸脱着装置10によって二酸化炭素を回収された燃焼排ガスを大気中に排出する煙突11が設置されている。
【0026】
前記脱水装置9の下流側となる該脱水装置9とCO吸脱着装置10との間の燃焼排ガス系統21の途中から分岐して燃焼排ガスの一部を石炭ボイラ1に供給する混合用排ガス系統15が配設されている。
【0027】
前記酸素昇温用熱交換器4に酸素を供給するため、空気13から酸素を分離して支燃ガス用の酸素を製造する酸素製造装置12が設置されている。
【0028】
前記酸素製造装置12で製造された酸素を燃焼排ガスの熱により温度に昇温する酸素昇温用熱交換器4は、前記乾式電気集塵機6と脱硫装置7との間の燃焼排ガス流路に設置されているので、前記酸素製造装置12で発生した約30℃の酸素は燃焼排ガス系統21に設置した前記酸素昇温用熱交換器4に供給して燃焼排ガスと熱交換されて約50℃に昇温した後に酸素供給系統14を通じて流下し、前記A/H3の上流側にて前記酸素供給系統14を前記混合用排ガス系統15と接続させて、酸素と燃焼排ガスとが混合する混合部20を設けることにより、酸素供給系統14を流下する昇温した酸素によって前記混合用排ガス系統15を流下する燃焼排ガスを昇温させて前記混合部20にて酸素と燃焼排ガスとが混合した所望の温度の支燃ガスを形成するようになっている。
【0029】
前記酸素製造装置12で発生した低温の酸素は前記酸素昇温用熱交換器4によって昇温されるが、昇温される酸素の温度は、酸素昇温用熱交換器4で昇温した酸素を供給する前記酸素供給系統14がA/H3の上流側に位置する前記混合部20にて前記混合用排ガス系統15と接続していることから、この混合用排ガス系統15を通じて供給される分岐した燃焼排ガスの温度とほぼ同じ温度となるように前記酸素昇温用熱交換器4によって昇温される。
【0030】
そして前記酸素供給系統14を通じて供給された昇温した酸素は混合用排ガス系統15を通じて供給された分岐した燃焼排ガスと前記混合部20で混合して石炭燃焼用の支焼ガスを形成し、更にA/H3によって燃焼排ガスの熱により所望の温度に昇温された支焼ガスとなって前記混合用排ガス系統15を通じて前記石炭ボイラ1に供給される。
【0031】
上記のように構成した本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、石炭を燃焼する石炭ボイラ1から排出された約400℃の高温の燃焼排ガスは、脱硝装置2、石炭ボイラ1に供給する支燃ガスを燃焼排ガスの熱により昇温させるA/H3を通過したのち、石炭ボイラ1に供給する蒸気発生用の給水を燃焼排ガスの熱により昇温させる給水加熱器5、乾式電気集塵機6、及び酸素昇温用熱交換器4を通過することによって、燃焼排ガスの温度を50℃まで降下させる。
【0032】
給水加熱器5を通過した燃焼排ガスは、乾式電気集塵機6によって燃焼排ガス中の灰を除去して酸素昇温用熱交換器4に供給されて約50℃まで降下する。
【0033】
酸素昇温用熱交換器4を通過した燃焼排ガスは、脱硫装置7、湿式電気集塵機8で燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去したのち、脱水装置9で燃焼排ガス中の水分を除去される、
そして前記脱水装置9を通過した燃焼排ガスは、CO吸脱着装置10によって燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収され、煙突11より大気中に排出される。
【0034】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、燃焼排ガスの一部は脱水装置9の下流側となる該脱水装置9とCO吸脱着装置10との間の燃焼排ガス系統21から分岐した混合用排ガス系統15を配設することによって燃焼排ガス系統21を流下する燃焼排ガスの一部を分岐して混合用排ガス系統15を通じて石炭ボイラ1に供給する。
【0035】
一方、酸素製造装置12によって空気13から製造した30℃の酸素は、酸素供給系統14を通じて前記酸素昇温用熱交換器4に供給され、前記酸素昇温用熱交換器4によって燃焼排ガスの熱により50℃に昇温される。
【0036】
前記酸素昇温用熱交換器4で50℃に昇温された酸素は、前記酸素供給系統14がA/H3の上流側の位置にて前記混合用排ガス系統15と合流することによって燃焼排ガスと混合され、所望温度の石炭燃焼用の支燃ガスを形成して石炭ボイラ1に供給され、石炭を燃焼する支焼ガスとして使用される。
【0037】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、混合用排ガス系統15を配設して燃焼排ガス系統21から燃焼排ガスの一部を分岐する前記燃焼排ガス系統21の分岐点が、脱水装置9の下流側で該脱硫装置9とCO吸脱着装置10との間となる位置の燃焼排ガス系統21に設置されているため、燃焼排ガス系統21を流下する燃焼排ガス中の水分、硫黄酸化物は前記脱硫装置7及び脱水装置9によって既に除去されていることから、燃焼排ガス中の水分凝縮及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生による火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食は未然に防止できる。
【0038】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、酸素昇温用熱交換器4と乾式電気集塵機6を、同一の容器内に設ける構成としても良い。
【0039】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、脱硫装置7の入口、出口の燃焼排ガスの温度が同等であり、脱硫装置7の水噴霧による燃焼排ガスの温度低下は無い。
【0040】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける排ガス系統の熱収支では、脱硫装置7で廃棄されていた熱を酸素昇温用熱交換器4で回収されるように構成したことから、酸素燃焼型石炭火力発電システムのシステム熱効率の向上に寄与する。
【0041】
また、酸素製造装置12で製造した酸素は、酸素昇温用熱交換器4によって燃焼排ガスと熱交換させて混合用排ガス系統15を流れる分岐された燃焼排ガスと同じ温度に昇温することによって、支燃ガスを形成する酸素と分岐された燃焼排ガスとが合流した際の温度変化がなく、前記燃焼排ガス中の水分凝縮と酸性水の発生が防止されるため、火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を防止することができる。
【0042】
また、本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、脱水装置9の下流側で、脱水装置9とCO吸脱着装置10との間の燃焼排ガス系統21から混合用排ガス系統15を通じて燃焼排ガスを分岐させて石炭ボイラ1に供給しているので、前記脱水装置9で燃焼排ガス中から脱水させた水分の量だけ石炭ボイラ1に供給する燃焼排ガスの容量を減少させることが可能となる。
【0043】
次に、本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率の向上について比較例の酸素燃焼型石炭火力発電システムと比較して説明すると以下の通りとなります。
【0044】
図7及び図8は図1に示した本発明の実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける排ガス処理系統の温度変化状況を比較例の酸素燃焼型石炭火力発電システムの排ガス処理系統の温度変化状況と比較して示したものである。
【0045】
図7及び図8に示したこれらの酸素燃焼型石炭火力発電システムの排ガス処理系統の温度変化状況から明らかなように、本実施例における排ガス処理系統では酸素昇温用熱交換器4によって脱硫装置7より上流側で燃焼排ガスの廃熱を回収しているので、比較例の排ガス処理系統では脱硫装置で廃棄していた熱が有効利用されていることを示している。
【0046】
図9に本発明の実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける排ガス処理系統の熱損失、及び比較例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける排ガス処理系統の熱損失とを試算して比較して示した。
【0047】
図9に示した両者の熱損失の試算例から明らかなように、比較A/H出口排ガスの保有熱を100%とすると、比較例のシステムでは4.1%の熱を廃棄している。
【0048】
これに対して本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、廃棄熱を1.2%まで大幅に減少させることができるため、両者の差の2.9%の熱を有効に回収して再利用され、本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率向上に大きく寄与している。
【0049】
また、本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、石炭ボイラ1で燃料の石炭を燃焼させる支燃ガスを形成するために分岐した燃焼排ガスの一部と混合させる酸素を、酸素昇温用熱交換器4によって流下する燃焼排ガスとの熱交換によって昇温させ、分岐した燃焼排ガスの温度と同等の温度にして両者を混合させることが可能となるので、この混合させる燃焼排ガス中の水の凝縮と、この凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生をそれぞれ回避できることによって、酸素燃焼型石炭火力発電システムを構成する配管系統の腐食を防止することができる。
【0050】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても、図8で示したものと同等の排ガス処理系統の温度変化状況を得ること、並びに図9に示した排ガス処理系統の熱損失の低減を図ることが可能となる。
【0051】
本実施例によれば、酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムが実現できる。
【実施例2】
【0052】
次に本発明の第2実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムについて図2を用いて説明する。
【0053】
図2に示した本発明の第2実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムは、図1に示した第1実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムと基本的な構成及び作用は同じであるので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分のみ以下に説明する。
【0054】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、A/H3の下流側の燃焼排ガス系統21に、前記酸素昇温用熱交換器4が設置され、この酸素昇温用熱交換器4の下流側の燃焼排ガス系統21に給水加熱器5及び乾式電気集塵機6が順次設置されている。
【0055】
そして前記A/H3、酸素昇温用熱交換器4、給水加熱器5、乾式電気集塵機6を順次通過した燃焼排ガスは、その温度を50℃まで降下させている。
【0056】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、酸素昇温用熱交換器4と給水加熱器5とを両者に共通した同一の容器内に設ける構成を採用しても良い。
【0057】
本実施例における酸素昇温用熱交換器4の設置位置は、ボイラ給水および酸素の昇温目標温度、すなわち必要とする吸熱量により、また、機器および配管の配置の最適化により、決定される。
【0058】
上記した本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても図1に示した第1実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムと同じ効果を達成することが可能となる。
【0059】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても、図8で示したものと同等の排ガス処理系統の温度変化状況を得ること、並びに図9に示した排ガス処理系統の熱損失の低減を図ることが可能となる。
【0060】
よって本実施例によれば、酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムが実現できる。
【実施例3】
【0061】
次に本発明の第3実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムについて図3を用いて説明する。
【0062】
図3に示した本発明の第3実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムは、図1に示した第1実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムと基本的な構成及び作用は同じであるので、これらの実施例に共通した構成の説明は省略し、相違する部分のみ以下に説明する。
【0063】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、A/H3の下流側の燃焼排ガス系統21に給水加熱器5が設置され、この給水加熱器5の下流側の燃焼排ガス系統21に前記酸素昇温用熱交換器4が設置され、この酸素昇温用熱交換器4の下流側の燃焼排ガス系統21に乾式電気集塵機6が設置されている。
【0064】
そして前記A/H3、給水加熱器5、酸素昇温用熱交換器4、乾式電気集塵機6を順次通過した燃焼排ガスは、その温度を50℃まで降下させている。
【0065】
よって、本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおける酸素昇温用熱交換器4の上流側に設置された給水加熱器5では、該給水加熱器5を通過する燃焼排ガスの温度が高くなるので、前記給水加熱器5によって燃焼排ガスから回収する熱回収量を多くでき、その分だけ前記給水加熱器5を小型化することが可能となる。
【0066】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、酸素昇温用熱交換器4と乾式電気集塵機6とを両者に共通した同一の容器内に設ける構成を採用しても良い。
【0067】
本実施例における酸素昇温用熱交換器4の設置位置は、ボイラ給水および酸素の昇温目標温度、すなわち必要とする吸熱量により、また、機器および配管の配置の最適化により、決定される。
【0068】
上記した本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても図1に示した第1実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムと同じ効果を達成することが可能となる。
【0069】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても、図8で示したものと同等の排ガス処理系統の温度変化状況を得ること、並びに図9に示した排ガス処理系統の熱損失の低減を図ることが可能となる。
【0070】
よって本実施例によれば、酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムが実現できる。
【実施例4】
【0071】
次に本発明の第4実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムについて図4を用いて説明する。
【0072】
図4に示した本発明の第4実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムは、図1の第1実施例に示した各実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムと基本的な構成及び作用は同じであるので、これらの実施例に共通した構成の説明は省略し、相違する部分のみ以下に説明する。
【0073】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、A/H3の下流側の燃焼排ガス系統21に給水加熱器5が設置され、この給水加熱器5の下流側に乾式電気集塵機6が設置され、この乾式電気集塵機6の下流側に酸素昇温用熱交換器4が順次設置されている。
【0074】
更に本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、燃焼排ガス系統21から分岐して燃焼排ガスの一部を石炭ボイラ1に供給する混合用排ガス系統15の分岐位置が、酸素昇温用熱交換器4の下流側で、該酸素昇温用熱交換器4と脱硫装置7との間の燃焼排ガス系統21の位置に設置されている。
【0075】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、配設された混合用排ガス系統15を通じて燃焼排ガス系統21から燃焼排ガスの一部を分岐する前記燃焼排ガス系統21の分岐点が、酸素昇温用熱交換器4の下流側で該酸素昇温用熱交換器4と脱硫装置7との間となる位置の燃焼排ガス系統21に設置されており、前記給水加熱器5がA/H3の直下の下流側に設置されていることから、前記給水加熱器5を流下する燃焼排ガスの温度が高く、該給水加熱器5によって燃焼排ガスから回収する熱回収量が多くなるので、その分だけ前記給水加熱器5を小型化することが可能となる。
【0076】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、酸素昇温用熱交換器4と乾式電気集塵機6とを両者に共通した同一の容器内に設ける構成を採用しても良い。
【0077】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても、図8で示したものと同等の排ガス処理系統の温度変化状況を得ること、並びに図9に示した排ガス処理系統の熱損失の低減を図ることが可能となる。
【0078】
本実施例によっても、酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムが実現できる。
【実施例5】
【0079】
次に本発明の第5実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムについて図5を用いて説明する。
【0080】
図5に示した本発明の第5実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムは、この酸素燃焼型石炭火力発電システムを構成する部分的な構成が、図4の第4実施例に示した各実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムとその基本的な構成及び作用は同じであるので、これらの実施例に共通した構成の説明は省略し、相違する部分のみ以下に説明する。
【0081】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、A/H3の下流側の燃焼排ガス系統21に酸素昇温用熱交換器4が設置され、この酸素昇温用熱交換器4の下流側に給水加熱器5が設置され、この給水加熱器5の下流側に乾式電気集塵機6が順次設置されている。
【0082】
更に本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、燃焼排ガス系統21から分岐して燃焼排ガスの一部を石炭ボイラ1に供給する混合用排ガス系統15の分岐位置が、乾式電気集塵機6の下流側で、該乾式電気集塵機6と脱硫装置7との間の燃焼排ガス系統21の位置に設置されている。
【0083】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、配設された混合用排ガス系統15を通じて燃焼排ガス系統21から燃焼排ガスの一部を分岐する前記燃焼排ガス系統21の分岐点が、乾式電気集塵機6の下流側で該乾式電気集塵機6と脱硫装置7との間となる位置の燃焼排ガス系統21に設置されており、前記酸素昇温用熱交換器4がA/H3の直下の下流側に設置されていることから、前記酸素昇温用熱交換器4を流下する燃焼排ガスの温度が高く、該酸素昇温用熱交換器4によって燃焼排ガスから回収する熱回収量が多くなるので、その分だけ前記酸素昇温用熱交換器4を小型化することが可能となる。
【0084】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、酸素昇温用熱交換器4と給水加熱器5とを両者に共通した同一の容器内に設ける構成を採用しても良い。
【0085】
本実施例における酸素昇温用熱交換器4の設置位置は、ボイラ給水および酸素の昇温目標温度、すなわち必要とする吸熱量により、また、機器および配管の配置の最適化により、決定される。
【0086】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても、図8で示したものと同等の排ガス処理系統の温度変化状況を得ること、並びに図9に示した排ガス処理系統の熱損失の低減を図ることが可能となる。
【0087】
本実施例によっても、酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムが実現できる。
【実施例6】
【0088】
次に本発明の第6実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムについて図6を用いて説明する。
【0089】
図6に示した本発明の第5実施例である酸素燃焼型石炭火力発電システムは、この酸素燃焼型石炭火力発電システムを構成する部分的な構成が、図4の第4実施例に示した酸素燃焼型石炭火力発電システムとその基本的な構成及び作用は同じであるので、これらの実施例に共通した構成の説明は省略し、相違する部分のみ以下に説明する。
【0090】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、A/H3の下流側の燃焼排ガス系統21に給水加熱器5が設置され、この給水加熱器5の下流側に酸素昇温用熱交換器4が設置され、この酸素昇温用熱交換器4の下流側に乾式電気集塵機6が順次設置されている。
【0091】
更に本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムでは、燃焼排ガス系統21から分岐して燃焼排ガスの一部を石炭ボイラ1に供給する混合用排ガス系統15の分岐位置が、乾式電気集塵機6の下流側で、該乾式電気集塵機6と脱硫装置7との間の燃焼排ガス系統21の位置に設置されている。
【0092】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、配設された混合用排ガス系統15を通じて燃焼排ガス系統21から燃焼排ガスの一部を分岐する前記燃焼排ガス系統21の分岐点が、乾式電気集塵機6の下流側で該乾式電気集塵機6と脱硫装置7との間となる位置の燃焼排ガス系統21に設置されており、前記給水加熱器5がA/H3の直下の下流側に設置されていることから、前記給水加熱器5を流下する燃焼排ガスの温度が高く、該給水加熱器5によって燃焼排ガスから回収する熱回収量が多くなるので、その分だけ前記給水加熱器5を小型化することが可能となる。
【0093】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいては、酸素昇温用熱交換器4と乾式電気集塵機6とを両者に共通した同一の容器内に設ける構成を採用しても良い。
【0094】
本実施例における酸素昇温用熱交換器4の設置位置は、ボイラ給水および酸素の昇温目標温度、すなわち必要とする吸熱量により、また、機器および配管の配置の最適化により、決定される。
【0095】
本実施例の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいても、図8で示したものと同等の排ガス処理系統の温度変化状況を得ること、並びに図9に示した排ガス処理系統の熱損失の低減を図ることが可能となる。
【0096】
本実施例によっても、酸素燃焼型石炭火力発電システムの熱効率を向上させると共に、石炭ボイラから排出される燃焼排ガス中の凝縮水の発生、及び凝縮水への硫黄酸化物の溶解による酸性水の発生を抑制して火力発電システムの系統を構成する配管材料の腐食を未然に防止し得るようにした酸素燃焼型石炭火力発電システムが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は石炭を燃料とする酸素燃焼方式の石炭ボイラを備えた酸素燃焼型石炭火力発電システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1:ボイラ、2:脱硝装置、3:エアヒータ(A/H)、4:酸素昇温用熱交換器、5:給水加熱器、6:乾式電気集塵機、7:脱硫装置、8:湿式電気集塵機、9:脱水装置、10:CO吸脱着装置、11:煙突、12:酸素製造装置、13:空気、21:酸素供給系統、22:混合用排ガス系統。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を燃焼する石炭ボイラと、空気から酸素を分離させて酸素を発生する酸素製造装置とを備え、前記石炭ボイラから排出された燃焼排ガスを流下させる燃焼排ガス系統と、この燃焼排ガス系統から分岐して前記燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給する混合用排ガス系統と、前記酸素製造装置で発生した酸素を流下させる酸素供給系統を前記混合用排ガス系統と接続して前記酸素供給系統を流れる酸素を前記混合用排ガス系統を流れる燃焼排ガスと混合させて石炭燃焼用の支燃ガスを形成し、前記混合用排ガス系統を通じてこの支焼ガスを前記石炭ボイラに供給するように構成した酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、
酸素製造装置で発生した酸素を燃焼排ガスによって昇温する酸素昇温用熱交換器を前記燃焼排ガス系統に設置し、
酸素を流下させる前記酸素供給系統を前記酸素製造装置からこの酸素昇温用熱交換器を経由して前記混合用排ガス系統に接続するように配設し、
前記酸素昇温用熱交換器によって昇温させた酸素を前記混合用排ガス系統を流下する燃焼排ガスと混合させて所望の温度の支焼ガスを形成し、前記混合用排ガス系統を通じてこの支焼ガスを石炭ボイラに供給することを特徴とする酸素燃焼型石炭火力発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、
前記石炭ボイラの下流側に配設した前記燃焼排ガス系統に、燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、この脱硝装置の下流側に設置されて該燃焼排ガスと支燃ガスとの熱交換を行うエアヒータと、このエアヒータの下流側に設置されて該燃焼排ガスによりボイラ給水を加熱する給水加熱器と、この給水加熱器の下流側に設置されて燃焼排ガス中の灰を除去する電気集塵機と、この電気集塵機の下流側に設置されて燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、この脱硫装置の下流側に設置されて燃焼排ガス中の水分を除去する脱水装置と、この脱水装置の下流側に設置されて燃焼排ガス中のCOを回収するCO吸脱着装置を備えており、
前記脱水装置とCO吸脱着装置との間に位置する燃焼排ガス系統から前記混合用排ガス系統を分岐させ、分岐した燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給するように構成し、
前記酸素昇温用熱交換器を前記電気集塵機と脱硫装置との間に位置する燃焼排ガス系統に配設し、
前記酸素昇温用熱交換器での燃焼排ガスとの熱交換によって昇温した酸素を流下する前記酸素供給系統をエアヒータより上流側に位置する前記混合用排ガス系統に接続させて酸素と燃焼排ガスとのガス混合部を設け、
前記ガス混合部によって酸素と燃焼排ガスとを混合させた支燃ガスを所望の温度に昇温させることを特徴とする、酸素燃焼型石炭火力発電システム。
【請求項3】
請求項1に記載の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、
前記石炭ボイラの下流側に配設した前記燃焼排ガス系統に、燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、この脱硝装置の下流側に設置されて該燃焼排ガスと支燃ガスとの熱交換を行うエアヒータと、このエアヒータの下流側に設置されて該燃焼排ガスによりボイラ給水を加熱する給水加熱器と、この給水加熱器の下流側に設置されて燃焼排ガス中の灰を除去する電気集塵機と、この電気集塵機の下流側に設置されて燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、この脱硫装置の下流側に設置されて燃焼排ガス中の水分を除去する脱水装置と、この脱水装置の下流側に設置されて燃焼排ガス中のCOを回収するCO吸脱着装置を備えており、
前記脱水装置とCO吸脱着装置との間に位置する燃焼排ガス系統から前記混合用排ガス系統を分岐させ、分岐した燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給するように構成し、
前記酸素昇温用熱交換器を前記エアヒータと給水加熱器との間に位置する燃焼排ガス系統に配設し、
前記酸素昇温用熱交換器での燃焼排ガスとの熱交換によって昇温した酸素を流下する前記酸素供給系統をエアヒータより上流側に位置する前記混合用排ガス系統に接続させて酸素と燃焼排ガスとのガス混合部を設け、
前記ガス混合部によって酸素と燃焼排ガスとを混合させた支燃ガスを所望の温度に昇温させることを特徴とする、酸素燃焼型石炭火力発電システム。
【請求項4】
請求項1に記載の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、
前記石炭ボイラの下流側に配設した前記燃焼排ガス系統に、燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、この脱硝装置の下流側に設置されて該燃焼排ガスと支燃ガスとの熱交換を行うエアヒータと、このエアヒータの下流側に設置されて該燃焼排ガスによりボイラ給水を加熱する給水加熱器と、この給水加熱器の下流側に設置されて燃焼排ガス中の灰を除去する電気集塵機と、この電気集塵機の下流側に設置されて燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、この脱硫装置の下流側に設置されて燃焼排ガス中の水分を除去する脱水装置と、この脱水装置の下流側に設置されて燃焼排ガス中のCOを回収するCO吸脱着装置を備えており、
前記脱水装置とCO吸脱着装置との間に位置する燃焼排ガス系統から前記混合用排ガス系統を分岐させ、分岐した燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給するように構成し、
前記酸素昇温用熱交換器を前記給水加熱器と電気集塵機との間に位置する燃焼排ガス系統に配設し、
前記酸素昇温用熱交換器での燃焼排ガスとの熱交換によって昇温した酸素を流下する前記酸素供給系統をエアヒータより上流側に位置する前記混合用排ガス系統に接続させて酸素と燃焼排ガスとのガス混合部を設け、
前記ガス混合部によって酸素と燃焼排ガスとを混合させた支燃ガスを所望の温度に昇温させることを特徴とする、酸素燃焼型石炭火力発電システム。
【請求項5】
請求項1に記載の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、
前記石炭ボイラの下流側に配設した前記燃焼排ガス系統に、燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、この脱硝装置の下流側に設置されて該燃焼排ガスと支燃ガスとの熱交換を行うエアヒータと、このエアヒータの下流側に設置されて該燃焼排ガスによりボイラ給水を加熱する給水加熱器と、この給水加熱器の下流側に設置されて燃焼排ガス中の灰を除去する電気集塵機と、この電気集塵機の下流側に設置されて燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置とを備えており、
前記電気集塵機と脱硫装置との間に位置する燃焼排ガス系統から前記混合用排ガス系統を分岐させ、分岐した燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給するように構成し、
前記酸素昇温用熱交換器を前記電気集塵機と脱硫装置との間に位置する燃焼排ガス系統に配設し、
前記酸素昇温用熱交換器での燃焼排ガスとの熱交換によって昇温した酸素を流下する前記酸素供給系統をエアヒータより上流側に位置する前記混合用排ガス系統に接続させて酸素と燃焼排ガスとのガス混合部を設け、
前記ガス混合部によって酸素と燃焼排ガスとを混合させた支燃ガスを所望の温度に昇温させることを特徴とする、酸素燃焼型石炭火力発電システム。
【請求項6】
請求項1に記載の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、
前記石炭ボイラの下流側に配設した前記燃焼排ガス系統に、燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、この脱硝装置の下流側に設置されて該燃焼排ガスと支燃ガスとの熱交換を行うエアヒータと、このエアヒータの下流側に設置されて該燃焼排ガスによりボイラ給水を加熱する給水加熱器と、この給水加熱器の下流側に設置されて燃焼排ガス中の灰を除去する電気集塵機と、この電気集塵機の下流側に設置されて燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置とを備えており、
前記電気集塵機と脱硫装置との間に位置する燃焼排ガス系統から前記混合用排ガス系統を分岐させ、分岐した燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給するように構成し、
前記酸素昇温用熱交換器を前記エアヒータと給水加熱器との間に位置する燃焼排ガス系統に配設し、
前記酸素昇温用熱交換器での燃焼排ガスとの熱交換によって昇温した酸素を流下する前記酸素供給系統をエアヒータより上流側に位置する前記混合用排ガス系統に接続させて酸素と燃焼排ガスとのガス混合部を設け、
前記ガス混合部によって酸素と燃焼排ガスとを混合させた支燃ガスを所望の温度に昇温させることを特徴とする、酸素燃焼型石炭火力発電システム。
【請求項7】
請求項1に記載の酸素燃焼型石炭火力発電システムにおいて、
前記石炭ボイラの下流側に配設した前記燃焼排ガス系統に、燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、この脱硝装置の下流側に設置されて該燃焼排ガスと支燃ガスとの熱交換を行うエアヒータと、このエアヒータの下流側に設置されて該燃焼排ガスによりボイラ給水を加熱する給水加熱器と、この給水加熱器の下流側に設置されて燃焼排ガス中の灰を除去する電気集塵機と、この電気集塵機の下流側に設置されて燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置とを備えており、
前記電気集塵機と脱硫装置との間に位置する燃焼排ガス系統から前記混合用排ガス系統を分岐させ、分岐した燃焼排ガスの一部を前記石炭ボイラに供給するように構成し、
前記酸素昇温用熱交換器を前記給水加熱器と電気集塵機との間に位置する燃焼排ガス系統に配設し、
前記酸素昇温用熱交換器での燃焼排ガスとの熱交換によって昇温した酸素を流下する前記酸素供給系統をエアヒータより上流側に位置する前記混合用排ガス系統に接続させて酸素と燃焼排ガスとのガス混合部を設け、
前記ガス混合部によって酸素と燃焼排ガスとを混合させた支燃ガスを所望の温度に昇温させることを特徴とする、酸素燃焼型石炭火力発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−190940(P2011−190940A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55186(P2010−55186)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】