説明

重合・発色性組成物およびそれに用いる化合物

【課題】ラジカル重合性で、先ず重合化反応を生起し、ひき続く光照射で発色する、染料が溶出しない重合・発色性組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表されるキサンテン系化合物と光重合開始剤とを含有する重合・発色性組成物。


(式中、R〜Rは置換基を表し、R〜Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。mおよびnは0〜3の整数を表し、lは0〜5の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンテン系化合物よりなる重合・発色性組成物、発色膜もしくは画像形成方法およびそれに用いる化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
キサンテン系化合物は染料として知られている(例えば下記特許文献1参照)。しかし同文献記載の酸化発色型のロイコ染料は、通常バインダーと混合して塗布(コート)しても染料が溶出してしまい、安定性の上で問題がある。そのためキサンテン系化合物の染料を用いて支持体上に再現性の良い画像層を形成するのは容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−228445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ラジカル重合で、先ず重合し、ひき続く光照射で発色する、染料が溶出するようなことがない重合・発色性組成物を提供することを目的とする。また重合性組成物をコートし、重合後、発色させるので曲面上にも着色ないしは画像形成できる重合・発色性組成物を提供することを目的とする。
さらに本発明は、前記の重合・発色組成物を用いた発色膜又は画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の、重合・発色組成物に用いることができるキサンテン系化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記の問題点は下記の手段により達成された。
(1)下記一般式(1)で表されるキサンテン系化合物と光重合開始剤とを含有する重合・発色性組成物。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、lは0〜5の整数を表す。RとRおよびRとRは互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
(2)前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(4)で表される(1)に記載の重合・発色性組成物。
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R、R、R、R、Rおよびlは前記一般式(1)と同義である。Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。)
(3)前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表されるキサンテン系化合物である(1)に記載の重合・発色性組成物。
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、R13、R14、R15およびlは前記一般式(1)のR、R、Rおよびlとそれぞれ同義である。R16およびR17はそれぞれ独立に水素原子、アリール基またはラジカル重合性基を表す。R18は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。)
(4)前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(6)で表されるキサンテン系化合物である(1)に記載の重合・発色性組成物。
【0012】
【化4】

【0013】
(式中、R23およびR29はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R26は水素原子、アルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R20は置換基を表し、R28は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。ただし、R23〜R26、R29およびR20の少なくとも1つはラジカル重合性基である。pは0〜5の整数を表す。R24とR25は互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
(5)前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(7)で表されるキサンテン系化合物である(1)に記載の重合・発色性組成物。
【0014】
【化5】

【0015】
(式中、R33は置換基を表し、R34およびR35はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R36は水素原子、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R30は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トルフルオロメチル基またはラジカル重合性基を表し、R38は水素原子、メチル基、メトキシ基またはクロル原子を表す。ただし、R33〜R36およびR30の少なくとも1つはラジカル重合性基である。R34とR35は互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
(6)前記ラジカル重合性基の数が1〜4である(5)に記載の重合・発色性組成物。
【0016】
(7)前記ラジカル重合性基の数が1または2である(5)または(6)に記載の重合・発色性組成物。
(8)前記キサンテン系化合物が有するラジカル重合性基が下記一般式(2)で表される基である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の重合・発色性組成物。
【0017】
【化6】

【0018】
(一般式(2)中、Lは単結合または2価の連結基を表し、Zは上記一般式(3−1)〜(3−3)のいずれかを表す。ここで、Aは置換基を表し、qは0〜4の整数を表す。)
(9)発色助剤を含有する(1)〜(8)のいずれか1項に記載の重合・発色性組成物。
(10)前記重合・発色性組成物が画像形成組成物である(1)〜(9)のいずれか1項に記載の重合・発色性組成物。
(11)前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の重合・発光性組成物を塗布後、波長365nm以上の光を照射し、該重合・発光性組成物を重合させた後、重合で照射する波長とは異なる波長を含む光を照射して発色させることを特徴とする発色膜または画像の形成方法。
(12)下記一般式(1)で表されるキサンテン系化合物。
【0019】
【化7】

【0020】
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、lは0〜5の整数を表す。RとRおよびRとRは互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
(13)下記一般式(4)で表されるキサンテン系化合物。
【0021】
【化8】

【0022】
(式中、Rは置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。lは0〜5の整数を表す。RとRおよびRとRは互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
(14)下記一般式(7)で表されるキサンテン系化合物。
【0023】
【化9】

【0024】
(式中、R33は置換基を表し、R34およびR35は水素原子、アルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R36は水素原子、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R30は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トルフルオロメチル基またはラジカル重合性基を表し、R38は水素原子、メチル基、メトキシ基またはクロル原子を表す。ただし、R33〜R36およびR30の少なくとも1つはラジカル重合性基である。R34とR35は互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
(15)前記ラジカル重合性基の数が1〜4である(14)に記載のキサンテン系化合物。
(16)前記ラジカル重合性基の数が1または2である(14)または(15)に記載のキサンテン系化合物。
(17)前記キサンテン系化合物が有するラジカル重合性基が下記一般式(2)で表される基である(12)〜(16)のいずれか1項に記載のキサンテン系化合物。
【0025】
【化10】

【0026】
(一般式(2)中、Lは単結合または2価の連結基を表し、Zは上記一般式(3−1)〜(3−3)のいずれかを表す。ここで、Aは置換基を表し、qは0〜4の整数を表す。)
【発明の効果】
【0027】
本発明の発色・重合性組成物は、それ自体が特定の波長の光照射でラジカル重合し、かつ、光照射で発色する。この発色重合体は、染料の発色残基が重合体中に化学結合しているので染料の発色残基が重合体から容易に溶出しない。本発明の重合・発色性組成物はこれを塗布(コート)し、重合後、発色させるので曲面上にも着色ないしは画像形成することができ、また画像の場合は重合膜に様々な画像を再現性よく形成できる。本発明のキサンテン系化合物は上記の発色・重合組成物に用いるのに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の発色・重合性組成物は下記一般式(1)で表されるキサンテン系化合物と光重合開始剤とを含有する。
最初に本発明のキサンテン系化合物を詳細に説明する。
<<キサンテン系化合物>>
下記一般式(1)で表されるキサンテン系化合物は好ましくは、前記一般式(4)で表される化合物であり、さらに好ましい順に挙げると前記一般式(5)、(6)、(7)の順に表される化合物であり、このうち一般式(7)で表される化合物が最も好ましい。
【0029】
【化11】

【0030】
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表す。ここで、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、lは0〜5の整数を表す。RとRおよびRとRは互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。
【0031】
ここで、上記一般式(1)、(4)〜(7)における置換基について説明する。
、RおよびRにおける置換基はどのような基であっても構わないが、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、カルバモイルアミノ基、カルバモイルオキシカルボニル基が挙げられ、さらにラジカル重合性基が挙げられる。
ここで、RとRもしくはRと、RとRもしくはRとが互いに結合して含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。
【0032】
、RおよびRの置換基のうち、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルバモイルアミノ基、カルバモイルオキシカルボニル基、ラジカル重合性基(詳細は後述する)が好ましい。
【0033】
アルキル基は炭素原子数1〜10が好ましく、特に炭素原子数1〜6であるものが好ましく、アリール基は炭素原子数6〜12が好ましく、特に炭素原子数6〜10であるものが好ましく、また、アラルキル基は炭素原子数7〜12が好ましく、特に炭素原子数7〜10であるものが好ましく、ハロゲン原子は塩素原子、フッ素原子が好ましく、アルコキシ基は炭素原子数1〜10が好ましく、特に炭素原子数1〜6であるものが好ましく、アリールオキシ基は炭素原子数6〜12が好ましく、特に炭素原子数6〜10であるものが好ましく、アルキルチオ基は炭素原子数1〜10が好ましく、特に炭素原子数1〜6であるものが好ましく、アリールチオ基は炭素原子数1〜10が好ましく、特に炭素原子数1〜6であるものが好ましく、アシル基はアルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基を含み、炭素原子数1〜18が好ましく、特に2〜16であるものが好ましく、アルコキシカルボニル基は炭素原子数2〜18が好ましく、特に炭素原子数2〜16であるものが好ましく、カルバモイル基はN−アルキルもしくはN−アリール置換のカルバモイル基を含み、炭素原子数1〜18が好ましく、特に炭素原子数2〜16が好ましく、スルファモイル基はN−アルキル、N−アリールもしくはN−ヘテロ環置換のスルファモイル基を含み、炭素原子数0〜18が好ましく、特に好ましくは炭素原子数1〜16が好ましく、カルバモイルアミノ基はN−アルキル、N−アリールもしくはN−ヘテロ環置換のカルバモイルアミノ基を含み、炭素原子数1〜18が好ましく、特に好ましくは炭素原子数2〜16が好ましく、カルバモイルオキシカルボニル基はN−アルキル、N−アリールもしくはN−ヘテロ環置換のカルバモイルオキシカルボニル基を含み、炭素原子数2〜18が好ましく、特に炭素原子数3〜16であるものが好ましい。
【0034】
これらの置換基は更に置換基で置換されていてもよく、該置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子が好ましい。このうち、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数1〜12のアシル基、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
【0035】
、RおよびRとしては、具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、フェノキシエチル、メトキシメチル、フェノキシメチル、p−メトキシフェノキシメチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メトキシエトキシ、フェノキシ、メチルチオ、フェニルチオ、フッ素原子、塩素原子、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、アセチル、ベンゾイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイルが挙げられる。
【0036】
なお、R、RおよびRのうちR、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基がより好ましく、塩素原子、メチル基、メトキシ基が特に好ましい。また、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子が好ましい。ここで、Rは、一般式(6)のR23、R29、一般式(7)のR33を包含するものであり、以後にさらに説明する。
【0037】
とRもしくはRと、RとRもしくはRとが互いに結合して含窒素ヘテロ環(例えば、ピペリジン環、ピロリジン環、ピロリン環、モルホリン環)を形成していてもよい。
【0038】
、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表すが、これらのうち、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ラジカル重合性基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
特に、R、R、RおよびRがアルキル基、アラルキル基、アリール基である場合、これらの基は更に、好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基などで置換されていてもよい。
、R、RおよびRは、具体的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、フェノキシエチル、ベンジル、フェネチル、フェニル、p−トリル、ナフチルが挙げられる。
【0039】
とR、RとRとは、互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環(例えば、ピペリジン環、ピロリジン環、ピロリン環、モルホリン環)を形成していてもよい。
【0040】
lは0〜5の整数を表すが、1または2が好ましく、1が特に好ましい。また、Rをオルト位に有するものが特に好ましい。mは0〜3の整数を表すが、0または1が好ましく、nは0〜3の整数を表すが、0〜2の整数が好ましく、0または1がより好ましい。
【0041】
一般式(4)において、R、R、R、R、Rおよびlは、前記一般式(1)と同義であり、好ましい範囲も同じである。Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。
は前記一般式(1)のRに包含されるものであり、水素原子およびこれらに対応するRで挙げた好ましい基が好ましい。
一般式(5)において、R13、R14、R15、R16、R17、lは、それぞれ、一般式(1)において対応するR、R、R、R、R、lと同義であり、好ましい範囲も同様である。R18は一般式(4)におけるRと同義であり、好ましい範囲も、Rと同様である。
【0042】
一般式(6)においてR23、R24、R25、R26、R28はそれぞれ、一般式(5)におけるR13、R14、R15、R16、R18と同義であり、好ましい範囲も一般式(5)のものと同様である。
29は、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アラルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、アルキル基、アラルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基は、R、RおよびRの対応する基の好ましい範囲と同じである。
【0043】
20は、置換基を表すが、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、ラジカル重合性基が好ましく、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子は、R、RおよびRの対応する基の好ましい範囲と同じである。なお、アルキル基はメチル基、トリフルオロメチル基が特に好ましく、アルコキシ基はメトキシ基が特に好ましい。
pは0〜5の整数を表すが、より好ましくは0〜1である。
【0044】
一般式(7)のR33は一般式(6)のR23における置換基と同義であり、好ましいものも同様である。
33は、特に、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルバモイルアミノ基、カルバモイルオキシカルボニル基、ラジカル重合性基(詳細は後述する)が好ましい。
このうち、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基は、R、RおよびRで挙げた対応する基の好ましい範囲と同じである。
【0045】
アルコキシカルボニル基としては、置換基を有していてもよく、該置換基としては置換可能な基であれば何でもよく、例えば、飽和もしくは不飽和の基であってもよく、エチレン性二重結合を有する基や後述のラジカル重合性基であってもよい。
アルコキシカルボニル基の総炭素原子数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6であり、例えばメトキシカルボニル、i−プロピルオキシカルボニルが挙げられる。
カルバモイルオキシカルボニル基は、カルバモイルオキシカルボニル基の窒素原子は、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換されていてもよい。また、これらの置換基は、エチレン性二重結合を有する基や後述のラジカル重合性基であってもよい。
カルバモイルオキシカルボニル基の総炭素原子数は、好ましくは2〜12、より好ましくは1〜6であり、例えばN−メチルカルバモイルオキシカルボニル、N−フェニルカルバモイルオキシカルボニルが挙げられる。
【0046】
カルバモイルアミノ基としては、アルコキシカルボニル基の場合と同様の置換基を有してもよい。また、カルバモイルアミノ基のカルバモイル部やアミノ部の窒素原子は、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基で置換されていてもよい。また、これらの置換基は、エチレン性二重結合を有する基や後述のラジカル重合性基であってもよい。また、これらの置換基はR、RおよびRにおける置換基であってもよい。
カルバモイルアミノ基は、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基が好ましく、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基がより好ましく、例えば、カルバモイルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ等が挙げられる。
【0047】
30は、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基またはラジカル重合性基を表すが、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基またはラジカル重合性基が好ましい。
30は、アルキル基は炭素原子数1〜2であるものが好ましく、アルコキシ基は炭素原子数1〜5、特に炭素原子数1〜2、であるものが好ましい。
また、R34、R35、R36で表される基のうち、アルキル基は炭素原子数1〜10、特に炭素原子数1〜6であるものが好ましく、アリール基は炭素原子数6〜12、特に炭素原子数6〜10であるものが好ましい。これらの基は更に、好ましくは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基などで置換されていてもよい。
34とR35とは、互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成してもよい。
【0048】
38は水素原子、メチル基、メトキシ基、塩素原子を表す。
【0049】
次に、ラジカル重合性基を説明する。
本発明の一般式(1)で表されるキサンテン系化合物は、少なくとも1つのラジカル重合性基を有する。このラジカル重合性基は重合性組成物に固定させるのに効果的であるのみならず、モノマーラジカルがキサンテンに作用する際、モノマーラジカルがラジカル重合性基と反応するために、キサンテン環の9位〔一般式(1)では、−Ph−(R)lが置換した環の炭素原子の水素原子〕の水素原子に対するモノマーラジカルの水素ラジカル(H・)引き抜きの確率・効率が低下する。この結果、重合・発色性組成物がラジカル重合で重合性組成物に変化して固定されるが、この時に、発色が抑制される。
【0050】
ラジカル重合性基は、化合物中1〜4個が好ましく、1〜2個が好ましく、一般式(1)を例について示すと、R、R,R、R、Rに存在することが好ましく、R、R,Rに存在することがより好ましく、このうちRに存在する場合が最も好ましく、なかでも、ベンゼン環のオルト位置に存在する場合が、容易に合成できる点で好ましい。
ラジカル重合性基は、光照射によりラジカルにより重合反応を生起する基であり、具体的にはエチレン性二重結合を有する基であればどのような基でも構わない。このような基としては、基の末端にエチレン性二重結合を有するものが好ましく、単結合もしくは2価の連結基を介して、−CH=CH、−C(CH)=CHが結合する基がより好ましい。なかでも、末端にアクリル基、メタクリル基、スチリル基、アリル基を有するものが好ましい。
本発明においては、ラジカル重合性基はさらに好ましくは、下記一般式(2)で表される基である。
【0051】
【化12】

【0052】
式中、Lは単結合または2価の連結基を表し、Zは上記一般式(3−1)〜(3−3)のいずれかの基を表す。Aは置換基を表し、qは0〜4の整数を表す。
【0053】
[連結基L]
Lは単結合または2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、置換シクロアルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基、及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、又はカルボニル基(−CO−)との組合せ等が挙げられる。
このような2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アルキルシクロアルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基、アルキレンカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基、オキシアルキレンカルボニル基が挙げられる。また、上記に示した2価の連結基が2つ以上連結したものも挙げられる。
2価の連結基としては、本発明においては、下記の基が好ましい。
なお、(*)部分の結合手はエチレン性二重結合を有する基〔好ましくは、上記一般式(3−1)〜(3−3)〕と結合する。
【0054】
−C(=O)−O−X−O−(*)
−C(=O)−O−X−(*)
−C(=O)−O−C(=O)−NH−X−O−(*)
−C(=O)−O−C(=O)−NR31−X−O−(*)
−C(=O)−NH−X−O−(*)
−C(=O)−NR31−X−O−(*)
−C(=O)−NH−X−(*)
−C(=O)−NR31−X−(*)
−C(=O)−O−X−NH−(*)
−C(=O)−O−X−NR31−(*)
−C(=O)−NH−X−NH−(*)
−C(=O)−NR31−X−NR31−(*)
−X−O−(*)
−X−NH−(*)
−X−NR31−(*)
【0055】
ここで、R31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表し、X、XおよびXはそれぞれ独立にアルキレン基を表す。X、XおよびXにおけるアルキレン基は炭素原子数が1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。また、X、XおよびXは置換基を有してもよく、このような置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基が挙げられ、また、これらの置換基は、エチレン性二重結合を有する基〔好ましくは、上記一般式(3−1)〜(3−3)で表される基や、−O−C(=O)−CH=CH、−O−C(=O)−C(CH)=CH、−NH−C(=O)−CH=CH、−NH−C(=O)−C(CH)=CH、−NR31−C(=O)−CH=CH、−NR31−C(=O)−C(CH)=CHまたはこれらの基が置換したアルキル基もしくはアリール基〕であることも好ましい。
【0056】
本発明においては上記の2価の連結基に加え、単結合も好ましい。
特に、各一般式において、窒素原子にラジカル性重合基が置換する場合、例えば一般式(1)においては、R〜Rがラジカル性重合基である場合、Lは単結合であることが好ましい。
【0057】
[置換基A]
Aは置換基を表し、該置換基としては、R、RおよびRで挙げた置換基が挙げられる。なかでも、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基が好ましい。これらの好ましい基は、R、RおよびRにおけるこれらの好ましい範囲と同じである。
また、Aの置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、これらの置換基はエチレン性二重結合を有する基や後述のラジカル重合性基であっても構わない。
qは0〜4の整数を表すが、0または1が好ましく、0がより好ましい。
【0058】
次に、本発明に係わるキサンテン系化合物の具体例を示す。
表記中、Buはブチル、Etはエチル、Phはフェニル、Meはメチルを示す。
【0059】
【化13】

【0060】
【化14】

【0061】
(キサンテン系化合物の製造)
本発明のキサンテン系化合物の製造は、特開昭61−137876号公報の2〜4頁の記載や特開昭60−54381号公報の2〜9頁に記載の方法に準じて容易に合成することができる。
なお、重合・発色性組成物を調製もしくは形成する際は、脱酸素雰囲気で実施することが好ましい。
【0062】
<<重合・発色性組成物>>
本発明の重合・発色性組成物は少なくとも上記キサンテン系化合物と光重合開始剤を含有する。キサンテン系化合物の固形分含有量は組成物の全固形分中、好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜5質量%、特に好ましくは1質量%〜5質量%である。
本発明の重合・発色性組成物はキサンテン系化合物と光重合開始剤以外に、発色助剤や必要な場合、これら以外の他の成分を含有してもよい。
【0063】
(光重合開始剤)
本発明で用いられる光重合開始剤は光照射で重合が開始される開始剤であればどのようなものでも構わないが、好ましくは、340nm以上に吸収をもつ開始剤である。なかでも365nm以上に吸収をもつ開始剤が好ましく、具体例には365nmもしくは405nmに吸収をもつ開始剤が好ましい。例えば、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アントラキノン系光重合開始剤、ナフトキノン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤およびオキシム系光重合開始剤から選択される1種以上が挙げられる。
重合・発色性組成物中の光重合開始剤の固形分含有量は、重合・発色性組成物の全固形分に対し好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜5質量%、特に好ましくは1質量%〜5質量%である。
また、これらの光重合開始剤とともに、更に公知の光増感剤を使用してもよい。
【0064】
(発色助剤)
本発明において、発色性をさらに向上させるために、発色助剤を用いるのが好ましい。発色助剤は光重合開始剤のうち365nm以上に吸収を持つ開始剤を用いることができる。例えば、アセトフェノン系やスルホニウム塩系が挙げられる。
具体的には、例えばIrg.907、 Irg.184、 Irg.2959、 Irg.250、 DARUCURE 1173、 CYRACURE UVI−6990,(以上、いずれも商品名)、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウム・トリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
重合・発色性組成物中の発色助剤の固形分含有量は、重合・発色性組成物の全固形分に対し好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜5質量%、特に好ましくは1質量%〜5質量%である。
【0065】
(その他の成分)
本発明の組成物には、キサンテン系化合物、光重合開始剤、発色助剤以外に、残部としてモノマー、その他のバインダー溶剤などを含有することができる。本発明においては、モノマーを使用することが好ましい。
使用しうるモノマーとしては、メチルメタクリレート(MMA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは単独でも2種以上併用してもよい。
重合・発色性組成物のモノマー、バインダーの固形分含有量は全固形分に対し、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは50〜80質量%である。溶剤は、重合・発色性組成物の総質量に対し0〜30質量%が好ましい。
【0066】
(発色膜または画像形成方法)
本発明の発色膜または画像形成方法は、重合・発色性組成物を塗布後、波長365nm以上の光を照射し、該重合・発光性組成物を重合させた後、重合で照射する波長とは異なる波長を含む光を照射して発色させ、発色膜または画像を形成方法させる。
最初の第一の工程で、波長365nm以上の光を照射して重合させ、次に、第二の工程で、第一の工程で照射光とは異なる光を照射し発色させる。
本発明では、このように、重合反応(分子間反応)と発色反応(分子内反応、重合反応した後、光照射で水素の脱離で発色する)を別工程で(段階的に)起こすことができる。
ここで、第二の工程で照射する光は、第一の工程で照射する光の波長成分を含んでもよいが、第二の工程で照射する光は、少なくとも第一の工程で照射される波長以外の波長であるか、第一の工程で照射される波長以外の波長の光を含む。
【0067】
画像形成方法の条件を説明する。
1)波長
重合処理照射光は、好ましくは365nm以上を有する波長、より好ましくは365nmもしくは405nmを有する波長、特に好ましくは、365nm以上405nm以下の波長を用いる。
発色処理は特に波長の制限はなく、全色(例えば200〜600nm範囲の複数含む光源でフィルターを使用して透過波長を選択しない時の光)でよいが、365nm未満の波長が好ましい。
2)照射光のエネルギー量
重合は、好ましくは0.001J/cm〜20J/cmより好ましくは0.01J/cm〜15J/cm特に好ましくは0.1J/cm〜10J/cmである。
発色反応は、好ましくは1J/cm〜4500J/cmより好ましくは1J/cm〜1500J/cm特に好ましくは1J/cm〜100J/cmであり、最も好ましくは1J/cm〜20J/cmである。
【0068】
本発明の重合・発色性組成物を用いた重合反応体としてラジカル重合性基の個数などにより熱可塑性、或いは硬化体(3次元)のものが得られる。
【実施例】
【0069】
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。なお、下記例中、特に断わりのない限り「部」は「質量部」を示す。
【0070】
合成例、実施例
〔合成例1〕
具体的化合物例A1の合成
以下のルートで合成した。
【0071】
【化15】

【0072】
16gの化合物(1)を150mlのN−メチルピロリドンに加えて30℃に加温し溶かした。この溶液に、8.4gの化合物(2)、炭酸カリウム、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を加えて60℃で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルと水で分液した後に、シリカカラムで単離した。得られた結晶を乾燥し、A1を7.5g得た。収率39%。
その他の化合物(A2、A3、A4、A10、A11、A12、P1)も同様の方法により合成した。
なお、比較のキサンテン化合物P1の化学構造は、比較例1で記載した。
【0073】
〔実施例1〕
具体的化合物例A1を1部、酢酸ビニルを50部、光重合開始剤Irg.819を1部、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)およびシクロヘキサノン混合溶媒48部、DPHA(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)0.75部を混合し、スピンコーターでガラスに塗布した。その後、365nm以上405nm以下の波長の光(100mW)で約20秒間照射し硬化した。その後、画像形成したい箇所に、全波長の光(200〜600nmの光)(100mW)で約5分間照射し、目的とする画像(マスク露光により、文字画像を形成)を形成した。上記染料を用いた膜は、水中(pH7)に80℃で1時間浸漬しても染料の溶出は生じず、画像を保持することができた。
同様の方法でA2からA4においても染料の溶出は生じず、画像を保持することができた。
【0074】
〔比較例1〕
比較のキサンテン化合物P1を1部、酢酸ビニルを50部、光重合開始剤Irg.819を1部、PGMEAおよびシクロヘキサノン混合溶媒48部、DPHA(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)0.75部を混合し、スピンコーターでガラスに塗布した。その後、365nm以上405nm以下の波長の光(100mW)で約20秒間照射し硬化した。その後、画像形成したい箇所に、全波長の光(200〜600nmの光)(100mW)で約5分間照射し、実施例1と同様にして目的とする画像を形成した。その後、膜に水中(pH7)に80℃で1時間)放置すると染料の溶出が生じ、膜中の画像は消失した。
【0075】
【化16】

【0076】
〔実施例2〕
具体的化合物例A1を1部、MMAを50部、発色助剤ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを1部、光重合開始剤Irg.819を1部、PGMEA47部、DPHA(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)0.75部を混合し、スピンコーターでガラスに塗布した。その後、365nm以上405nm以下の波長の光(100mW)で約20秒間照射し硬化した。その後、画像形成したい箇所に、実施例1と同様に全波長の光(100mW)で約5分間照射し、実施例1と同様にして目的とする画像を形成した。上記染料を用いた膜はPGMEA中で80℃、1時間浸漬しても染料の溶出は生じず、画像を保持することができた。
実施例2と同様の方法で具体的化合物例A1を同量のA2〜A4、A10、A11、A12にそれぞれ変更し、同様の評価を行なった結果、いずれにおいても染料の溶出は生じず、画像を保持することができた。
【0077】
〔比較例2〕
比較のキサンテン化合物P1を1部、MMAを50部、発色助剤ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウム・トリフルオロメタンスルホネートを1部、光重合開始剤Irg.819を1部、PGMEA47部、DPHA(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)0.75部を混合し、スピンコーターでガラスに塗布した。その後、365nm以上405nm以下の波長の光(100mW)で約20秒間照射し硬化した。その後、画像形成したい箇所に、実施例1と同様に全波長の光(100mW)で約5分間照射し、実施例1と同様にして目的とする画像を形成した。その後、膜をPGMEA中に放置すると染料の溶出が生じ、膜中の画像は消失した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるキサンテン系化合物と光重合開始剤とを含有する重合・発色性組成物。
【化1】

(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、lは0〜5の整数を表す。RとRおよびRとRは互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(4)で表される請求項1に記載の重合・発色性組成物。
【化2】

(式中、R、R、R、R、Rおよびlは前記一般式(1)と同義である。Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表されるキサンテン系化合物である請求項1に記載の重合・発色性組成物。
【化3】

(式中、R13、R14、R15およびlは前記一般式(1)のR、R、Rおよびlとそれぞれ同義である。R16およびR17はそれぞれ独立に水素原子、アリール基またはラジカル重合性基を表す。R18は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。)
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(6)で表されるキサンテン系化合物である(1)に記載の重合・発色性組成物。
【化4】

(式中、R23およびR29はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R26は水素原子、アルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R20は置換基を表し、R28は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。ただし、R23〜R26、R29およびR20の少なくとも1つはラジカル重合性基である。pは0〜5の整数を表す。R24とR25は互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
【請求項5】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(7)で表されるキサンテン系化合物である請求項1に記載の重合・発色性組成物。
【化5】

(式中、R33は置換基を表し、R34およびR35はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R36は水素原子、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R30は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トルフルオロメチル基またはラジカル重合性基を表し、R38は水素原子、メチル基、メトキシ基またはクロル原子を表す。ただし、R33〜R36およびR30の少なくとも1つはラジカル重合性基である。R34とR35は互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
【請求項6】
前記ラジカル重合性基の数が1〜4である請求項5に記載の重合・発色性組成物。
【請求項7】
前記ラジカル重合性基の数が1または2である請求項5または6に記載の重合・発色性組成物。
【請求項8】
前記キサンテン系化合物が有するラジカル重合性基が下記一般式(2)で表される基である請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合・発色性組成物。
【化6】

(一般式(2)中、Lは単結合または2価の連結基を表し、Zは上記一般式(3−1)〜(3−3)のいずれかを表す。ここで、Aは置換基を表し、qは0〜4の整数を表す。)
【請求項9】
発色助剤を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の重合・発色性組成物。
【請求項10】
前記重合・発色性組成物が画像形成組成物である請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合・発色性組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合・発光性組成物を塗布後、波長365nm以上の光を照射し、該重合・発光性組成物を重合させた後、重合で照射する波長とは異なる波長を含む光を照射して発色させることを特徴とする発色膜または画像の形成方法。
【請求項12】
下記一般式(1)で表されるキサンテン系化合物。
【化7】

(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、lは0〜5の整数を表す。RとRおよびRとRは互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
【請求項13】
下記一般式(4)で表されるキサンテン系化合物。
【化8】

(式中、Rは置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つはラジカル重合性基である。lは0〜5の整数を表す。RとRおよびRとRは互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
【請求項14】
下記一般式(7)で表されるキサンテン系化合物。
【化9】

(式中、R33は置換基を表し、R34およびR35は水素原子、アルキル基、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R36は水素原子、アリール基またはラジカル重合性基を表し、R30は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トルフルオロメチル基またはラジカル重合性基を表し、R38は水素原子、メチル基、メトキシ基またはクロル原子を表す。ただし、R33〜R36およびR30の少なくとも1つはラジカル重合性基である。R34とR35は互いに結合して飽和または不飽和の含窒素ヘテロ環を形成していてもよい。)
【請求項15】
前記ラジカル重合性基の数が1〜4である請求項14に記載のキサンテン系化合物。
【請求項16】
前記ラジカル重合性基の数が1または2である請求項14または15に記載のキサンテン系化合物。
【請求項17】
前記キサンテン系化合物が有するラジカル重合性基が下記一般式(2)で表される基である請求項12〜16のいずれか1項に記載のキサンテン系化合物。
【化10】

(一般式(2)中、Lは単結合または2価の連結基を表し、Zは上記一般式(3−1)〜(3−3)のいずれかを表す。ここで、Aは置換基を表し、qは0〜4の整数を表す。)

【公開番号】特開2013−18972(P2013−18972A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134173(P2012−134173)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】