説明

重合体、重合体組成物、重合体の製造方法およびブロック共重合体の製造方法

【課題】重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖に複数のラジカル重合が可能な二重結合とを備え、有機溶媒に可溶な重合体の提供。
【解決手段】チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤と、ラジカル重合開始剤との存在下で、1分子中に2つのラジカル重合可能な二重結合を有し、かつ、非対称構造であるモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合して得られる、重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖にラジカル重合が可能な複数の二重結合とを備えている重合体。この重合体は、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエンのいずれかに溶解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体、重合体組成物、重合体の製造方法およびブロック共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子中に二重結合などの反応活性点を有する重合体は、その反応活性点に基づく反応性、重合性、架橋・硬化性などの特性を利用して、接着剤、塗料、各種処理剤、成形材料などの種々の用途に用いられている。
【0003】
分子中に反応活性点を導入する方法としては、1分子中に2つの二重結合を有するモノマーを重合する方法が挙げられる。
特許文献1(特開2007−297526号公報)には、アリル(メタ)アクリレートおよびビニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の2官能性(メタ)アクリレートを含む不飽和単量体を、ルイス酸の存在下でラジカル重合する方法が記載されている。この重合方法によると、2官能性(メタ)アクリレートを10質量%以上の高い割合で用いた場合にも、分子間架橋のない、熱可塑性の重合体が得られることが記載されている。このように、1分子中に2つの二重結合を有するモノマーを重合すると、側鎖に複数の二重結合を有する重合体が得られる。
【0004】
また、分子中に反応活性点を導入する他の方法としては、特定のチオカルボニルチオ化合物を連鎖移動剤として実施する可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合法が挙げられる(例えば特許文献2、3参照)。このRAFT重合法を用いると、分子末端にチオカルボニルチオ基を有するポリマーを得ることができる。分子末端のチオカルボニルチオ基は、反応活性点として働く。そのため、このチオカルボニルチオ基末端を開始点として新たな重合をおこなうことができ、さまざまなブロック共重合体を得られるとされている。
【0005】
また、非特許文献1(Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry, Vol.45, Issue 1, 26-40 (2007))には、アリルメタクリレ―トのRAFT重合が記載されている。この文献によれば、特定のチオカルボニルチオ化合物を連鎖移動剤として、アリルメタクリレ―トのRAFT重合をおこなうことにより、重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖に複数の二重結合であるアリル基とを備え、有機溶媒に可溶な重合体が得られるとされている。なお、アリル基にはラジカル反応性はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−297526号公報
【特許文献2】特開2007−238646号公報
【特許文献3】特表2000−515181号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry, Vol.45, Issue 1, 26-40 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖に複数のラジカル重合が可能な二重結合とを有する重合体は知られていない。
【0009】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖に複数のラジカル重合が可能な二重結合とを備え、有機溶媒に可溶な重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤と、ラジカル重合開始剤とを特定の割合で重合系に添加し、それらの存在下で、1分子中に2つのラジカル重合が可能な二重結合を有し、かつ、非対称構造であるモノマーを重合することにより、重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖に複数のラジカル重合が可能な二重結合とを備え、有機溶媒に可溶な重合体が得られることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明によれば、
重合末端にチオカルボニルチオ基と、
側鎖にラジカル重合が可能な複数の二重結合と、を備え、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエンのいずれかに溶解する、重合体が提供される。
【0012】
さらに、本発明によれば、
上記本発明の重合体を有機溶媒に溶解して得られる、重合体組成物が提供される。
【0013】
さらに、本発明によれば、上記本発明の重合体の製造方法であって、
前記チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤と、ラジカル重合開始剤との存在下で、
1分子中に2つのラジカル重合が可能な二重結合を有し、かつ、非対称構造である第1モノマーを含む、モノマー成分をラジカル重合する工程を備え、
前記モノマー成分100モル部に対して、
前記チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の添加量が0.2モル部以上20モル部以下であり、
前記ラジカル重合開始剤の添加量が0.1モル部以上10モル部以下である、重合体の製造方法が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば、上記本発明の製造方法で得られた重合体のチオカルボニルチオ基末端を開始点として、1分子中に1つの二重結合を有する第3モノマーを重合する工程を備える、ブロック共重合体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖に複数のラジカル重合が可能な二重結合とを備え、有機溶媒に可溶な重合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例4で得られた重合体のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例4で得られた重合体および連鎖移動剤のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】実施例6で得られた重合体のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】実施例9で得られたブロック共重合体のH−NMRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0018】
本発明の重合体は、重合末端にチオカルボニルチオ基と、側鎖にラジカル重合が可能な複数の二重結合とを備えている。そして、本発明の重合体は、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエンのいずれかに溶解する。
【0019】
(重合体の製造方法)
以下、本発明の重合体の製造方法について、具体例を用いて説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態の重合体の製造方法は、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤と、ラジカル重合開始剤との存在下で、1分子中に2つのラジカル重合が可能な二重結合を有し、かつ、非対称構造である第1モノマーを含む、モノマー成分をラジカル重合する工程を備えている。
【0021】
そして、モノマー成分100モル部に対して、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の添加量は、好ましくは0.2モル部以上であり、さらに好ましくは0.8モル部以上であり、とくに好ましくは1.5モル部以上である。連鎖移動剤の添加量を上記下限値以上とすることにより、重合体のゲル化を抑制し重合物を得ることができる。
なお、本実施形態において、モノマー成分とは、後述する第一モノマーおよび第二モノマーを表す。第二モノマーを添加しない場合は、第一モノマーのみを表す。
【0022】
また、モノマー成分100モル部に対して、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の添加量は好ましくは20モル部以下であり、さらに好ましくは10モル部以下であり、とくに好ましくは5モル部以下である。連鎖移動剤の添加量を上記上限値以下とすることにより、重合体の収率の低下を抑制することができる。
【0023】
また、モノマー成分100モル部に対して、ラジカル重合開始剤の添加量は好ましくは0.1モル部以上であり、さらに好ましくは0.4モル部以上であり、とくに好ましくは0.8モル部以上である。ラジカル重合開始剤の添加量を上記下限値以上とすることにより、重合体の収率を増加させることができる。
【0024】
また、モノマー成分100モル部に対して、ラジカル重合開始剤の添加量は好ましくは10モル部以下であり、さらに好ましくは5モル部以下であり、とくに好ましくは3モル部以下である。ラジカル重合開始剤の添加量を上記上限値以下とすることにより、重合体の分子量の低下を抑制することができる。
【0025】
本実施形態の重合体の製造方法において、重合開始剤の添加量は、チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の添加量よりも少ないことが好ましい。
チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の添加量に対する重合開始剤の添加量の比は、とくに限定はされないが、0.03以上1.0以下の範囲にあるのが好ましく、0.05以上0.8以下の範囲にあるのがさらに好ましく、0.1以上0.6以下の範囲にあるのがとくに好ましい。連鎖移動剤と重合開始剤の添加量の比が上記範囲内にあると、重合体のゲル化を抑制しつつ、重合体の分子量の低下を抑制することができる。
【0026】
反応温度は、50℃以上80℃以下で行うことが好ましい。さらに好ましくは60℃以上70℃以下である。反応温度が上記範囲内にあると、重合体のゲル化を抑制しつつ、重合体の収率の低下を抑制することができる。
【0027】
溶媒はモノマー100体積部に対して、500体積部以下で行うことが好ましい。さらに好ましくは100体積部以下である。重合系における溶媒が上記範囲内にあると、重合体のゲル化を抑制しつつ、重合体の収率の低下を抑制することができる。
【0028】
つづいて、本実施形態の重合体の製造方法で使用する各成分について説明する。
【0029】
(第1モノマー)
本実施形態における第一モノマーとしては、1分子中に2つのラジカル重合が可能な二重結合を有し、かつ、非対称構造であればとくに限定はされないが、入手容易性の点から、(メタ)アクリル酸ビニルが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸、メタクリル酸の両方を示す。
本実施形態では、第1モノマーとして上記モノマーのうちの1種類のみを使用しても、2種類以上を使用してもよい。
【0030】
なお、第1モノマーが非対称構造であるのが好ましい理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。1分子中に2つのラジカル重合が可能な二重結合を有し、かつ、非対称構造であるモノマーは、分子内の2つの二重結合の反応性がそれぞれ異なる。そのため、ラジカルは反応性がより高い二重結合に付加して重合が進んでいく。その結果、反応性がより低い二重結合は反応せず重合体中に残り、側鎖に二重結合を有する重合体を得ることができると考えられる。
【0031】
(第2モノマー)
本実施形態のモノマー成分には、1分子中に1つの二重結合を有する第2モノマーをさらに含んでいてもよい。本実施形態における第2モノマーとしては、1分子中に1つの二重結合を有していればとくに限定はされない。
【0032】
本実施形態における第2モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのアルキル基の炭素数が1〜20のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシルなどのシクロアルキル基の炭素数が3〜20のアクリル酸シクロアルキルエステル;アクリル酸トリシクロデシル、アクリル酸トリシクロデシロキシエチル、アクリル酸トリシクロデシロキシプロピルなどのトリシクロアルキル基の炭素数が5〜20のアクリル酸トリシクロアルキルエステル;アクリル酸アミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルなどのアルキル基の炭素数が1〜20のアクリル酸アミノアルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどのアルキル基の炭素数が1〜20のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシルなどのシクロアルキル基の炭素数が3〜20のメタクリル酸シクロアルキルエステル;メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸トリシクロデシロキシエチル、メタクリル酸トリシクロデシロキシプロピルなどのトリシクロアルキル基の炭素数が5〜20のメタクリル酸トリシクロアルキルエステル;メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルなどのアルキル基の炭素数が1〜20のメタクリル酸アミノアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどのスチレン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのビニル誘導体;メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルなどの(メタ)アクリロキシ基を有するシラン化合物;マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジエチルエステルなどの不飽和二塩基酸のジアルキルエステル、ヒンダートアミノ基を有するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル、ベンゾトリアゾール基を有するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどグリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸グリシジルアルキルエステル、水酸基を含有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステルがとくに好ましい。
本実施形態では、第2モノマーとして上記モノマーのうちの1種類のみを使用しても、2種類以上を使用してもよい。
【0033】
本実施形態の第2モノマーの添加量はとくに限定されず、目的に応じて任意の量を添加することができる。
【0034】
(チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤)
本実施形態におけるチオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤としては、とくに限定されないが、一般的にRAFT重合法に用いられるものを使用できる。例えば、下記一般式(1)で表されるものを用いることができる。
【化1】

【0035】
(上記一般式(1)において、Zは水素原子、塩素原子、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計原子数3〜20の1価の複素環式基、−OH、−SR1、―N(R1)2、―OC(=O)R1、−C(=O)OR1、−C(=O)N(R1)2、−P(=O)(OR1)2、または−P(=O)(R1)2を示す。上記R1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の1価芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計数3〜20の1価の複素環式基、−OR'、−SR'、−N(R')2または重合体鎖を有する1価の基を示す。各R'は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子と異項原子との合計原子数3〜18の1価の複素環式基を示す。上記Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子と異項原子との合計数3〜18の1価の複素環式基を示す。上記Zの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素、合計原子数3〜20の1価の複素環式基、カルボキシル基、R1の水素はそれぞれ置換されていてもよく、前記Rの炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基、合計数3〜18の1価の複素環式基の水素はそれぞれ置換されていてもよい。)
【0036】
連鎖移動剤として具体的には、ジチオ安息香酸ベンジル、1−フェニルエチルジチオ安息香酸塩、2−フェニルプロプ−2−イルジチオ安息香酸塩、1−アセトキシルエチルジチオ安息香酸塩、ヘキサキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス−(2−(チオベンゾイルチオ)プロプ−2−イル)ベンゼン、1−(4−メトキシフェニル)エチルジチオ安息香酸塩、ジチオ酢酸ベンジル;エトキシカルボニルメチルジチオアセタート、2−(エトキシカルボニル)プロプ−2−イルジチオベンゾアート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアート、第三ブチルジチオベンゾアート、2,4,4−トリメチルペント−2−イルジチオベンゾアート、2−(4−クロロフェニル)プロプ−2−イルジチオベンゾアート、3−および4−ビニルベンジルジチオベンゾアート、S−ベンジルジエトキシホスフィニルジチオフォルマート、第三ブチルトリチオペルベンゾアート、2−フェニルプロプ−2−イル4−クロロジチオベンゾアート、2−フェニルプロプ−2−イル1−ジチオナフタラート、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾアート、ジベンジルテトラチオテレフタラート、ジベンジルトリチオカーボネート、カルボキシメチルジチオベンゾアートなどのジチオベンゾアート末端基を持つポリ(酸化エチレン);1−ピロールカルボジチオ酸ベンジル、1−(2−ピロリジノン)カルボジチオ酸ベンジル、(1,2−ベンゼンジカルボキシイミド)カルボジチオ酸ベンジル、1−ピロールカルボジチオ酸2−シアノプロプ−2−イル、1−ピロールカルボジチオ酸2−シアノブト−2−イル、1−イミダゾールカルボジチオ酸ベンジル、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸S−(2−シアノプロプ−2−イル)、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸S−ベンジル、1−(2−ピロリジノン)カルボジチオ酸、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸S−(2−エトキシカルボニルプロプ−2−イル)、キサントゲン酸O−エチルS−(1−フェニルエチル)、キサントゲン酸O−エチルS−(2−(エトキシカルボニル)プロプ−2−イル)、キサントゲン酸O−エチルS−(2−シアノプロプ−2−イル)、キサントゲン酸O−エチルS−シアノメチル、キサントゲン酸O−フェニルS−ベンジル、キサントゲン酸O−ペンタフルオロフェニルS−ベンジル、3,3−ジ(ベンジルチオ)プロプ−2−エンジチオ酸ベンジルなどが挙げられる。
【0037】
なお、本実施形態において、上記一般式(1)で表される連鎖移動剤のZ基およびR基は、重合体の末端部分に取り込まれることとなる。
【0038】
(ラジカル重合開始剤)
本実施形態におけるラジカル重合開始剤としては、とくに限定はされないが、通常の重合法に用いられるものを使用できる。例えば、有機過酸化物またはアゾビス系化合物などを使用できる。
【0039】
有機過酸化物としては、例えば、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジシクロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサド、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、2−ジエチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレートなどが挙げられる。
【0040】
アゾビス系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニル)、2,2'−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)などが挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態の重合体の製造方法においては、ラジカル開始種として、アゾビス系化合物が好ましく、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルなどが重合温度条件下で有効にラジカルを発生できる点からとくに好ましい。
【0041】
(重合条件)
本実施形態の重合体は、溶液重合、バルク重合、懸濁重合などで得られる。
本実施形態の重合体は、有機溶媒の存在下で溶液重合をすることが好ましい。この場合に使用できる有機溶媒としては、モノマーと本実施形態の重合体を溶解し、一定値以下の連鎖移動係数を有するものが好ましく用いられる。
例えば、トルエン、キシレン、または「ソルベッソ100もしくは150」(芳香族炭化水素混合物、エクソン社製の商品名)などの芳香族炭化水素類;へプタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族系炭化水素類;ミネラルスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペンなどの芳香族―脂肪族炭化水素類混合溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどの酢酸エステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノールなどの脂肪族アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;非プロトン系溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アルキルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどが挙げることができ、これらの有機溶媒は単独または混合溶媒として使用される。
【0042】
重合に際して、上記各成分は、あらかじめ混合物とした上で重合系に添加してもよいし、別々に重合系に添加してもよい。また、この混合物を分割して重合系に添加してもよい。
【0043】
本実施形態の重合体の製造方法では、重合時間、攪拌条件などの重合条件、精製溶媒などの精製方法は、公知の方法が用いられる。
【0044】
(重合体)
以下、本実施形態の重合体について説明する。
本実施形態の重合体は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn1)が好ましくは3,000以上30,000以下であり、さらに好ましくは3,000以上25,000以下である。数平均分子量(Mn1)が上記上限値以下であると、本実施形態の重合体は、有機溶媒に対する溶解性がより一層優れる。
【0045】
本実施形態の重合体は、SECにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn1)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn1)が10.0以下であるのが好ましく、5.0以下であるのがとくに好ましい。Mw/Mn1が上記上限値以下であると、本実施形態の重合体は、有機溶媒に対する溶解性がより一層優れる。
【0046】
本実施形態の重合体は、SECにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn1)と、H−NMRより測定した分子総末端数から算出される数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)で表される分岐度が、好ましくは2.0以上9.0以下である。分岐度が上記範囲内であると、本実施形態の重合体は、有機溶媒に対する溶解性がより一層優れる。
【0047】
(重合体組成物)
本実施形態の重合体は有機溶媒に溶解するため、有機溶媒に溶解させることにより、重合体組成物として用いることができる。有機溶媒はとくに限定されず、一般的に公知の有機溶媒を用いることができる。
なお、本実施形態の重合体が有機溶媒に溶解しているかどうかの確認は、重合体溶液が透明かどうかで確認してもよいし、重合体溶液が孔径0.2μm以下のフィルターを通過するかどうかで確認してもよい。
【0048】
また、本実施形態の重合体組成物には、安定剤、滑剤、顔料、耐衝撃性改良剤、加工助剤、補強剤、着色剤、難燃剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防かび剤、抗菌剤、光安定剤、耐電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、離型剤、発泡剤、香料などの各種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル繊維などの各種繊維;タルク、マイカ、モンモリロナイト、シリカ、木粉などの充填剤;各種カップリング剤などの任意成分を必要に応じて配合することができる。
【0049】
(ブロック共重合体の製造方法)
本実施形態の重合体は、重合末端にチオカルボニルチオ基を有している。そのため、このチオカルボニルチオ基末端を開始点として新たな重合をおこなうことができ、さまざまなブロック共重合体を得ることができる。
【0050】
以下、本実施形態の重合体を用いたブロック共重合体の製造方法について説明する。
本実施形態のブロック共重合体の製造方法では、本実施形態の重合体のチオカルボニルチオ基末端を開始点として、1分子中に1つの二重結合を有する第3モノマーを重合する。
【0051】
(第3モノマー)
本実施形態における第3モノマーとしては、1分子中に1つの二重結合を有していればとくに限定はされない。具体的には、上記第2モノマーで挙げたモノマーを使用することができる。
【0052】
本実施形態の重合体を用いてブロック共重合体を作製する場合は、本実施形態の重合体には上記第2モノマー成分を共重合していることが好ましい。
この場合、第2モノマーの含有量はとくに限定されないが、第1モノマーと第2モノマーの合計量を100モル%としたとき、好ましくは5モル%以上95モル%以下であり、さらに好ましくは20モル%以上80モル%以下であり、とくに好ましくは40モル%以上60モル%以下である。第2モノマー成分を含有することにより、得られるブロック共重合体は、有機溶媒に対する溶解性がより一層優れる。
【0053】
本実施形態の重合体およびブロック共重合体は反応活性点を有するため、その反応活性点に基づく反応性、重合性、架橋・硬化性などの特性を利用して、例えば、樹脂改質剤、樹脂表面改質剤、アスファルト改質剤、相容化剤、粘着剤、接着剤、制振材料、分散剤、分散安定剤、乳化剤、界面活性剤、ハイドロゲル、塗料、コーティング剤、バインダー、インキなどの用途に適用できる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0055】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
<試薬>
実施例および比較例で使用した試薬を以下に示す。
(1)2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、和光純薬工業社製)
(2)メタクリル酸ビニル(VMA、和光純薬工業社製)
(3)2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアート(CTA、シグマアルドリッチジャパン社製)
(4)メタクリル酸メチル(MMA、和光純薬工業社製)
(5)スチレン(和光純薬工業社製)
(6)1,4‐ジオキサン(和光純薬工業社製)
なお、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルは、メタノールにより再結晶を行った。
各種モノマーおよび1,4‐ジオキサンは水素化カルシウムを添加して一昼夜攪拌した後に蒸留を行い精製して用いた。
2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアートは市販品の試薬をそのまま使用した。
【0057】
<測定>
(NMRの測定)
VARIAN製、UNITYINOVA−400S(1H=400MHz)を用い、内部標準テトラメチルシラン(TMS)入りの重クロロホルム中、室温で測定を行った。
【0058】
(SEC測定)
THFを溶出溶媒として東ソー社製HPLC−8220を用いてサイズ排除クロマトグラフィー測定をおこなった。カラムはガードカラムTSK−guard column HxL−L(4cm)と分析カラムG4000HxL(5μm、4×10)、G3000HxL(5μm、6×10)、G2000HxL(5μm、1×10)を直列に繋いで40℃、1.0mL/minの流速にて測定してポリスチレン換算による相対分子量を求めた。また、検出にはRIを用いた。
【0059】
<重合体>
(実施例1)
重合管に、モノマーとして、メタクリル酸ビニル(VMA、9.4mmol)と、連鎖移動剤として、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアート(CTA、0.0376mmol)と、開始剤として、AIBN(0.0188mmol)と、溶媒として、1,4−ジオキサン(0.5mL)と、攪拌子とをそれぞれ添加した。すなわち、VMA:CTA:AIBN=100:0.4:0.2になるように各成分を重合管に添加した。凍結脱気を3回行った後、封管し、60℃で7時間反応させた。
反応後、反応溶液を液体窒素で冷却して反応を止め、室温に戻した後、過剰量のメタノールで再沈殿を行った。その後、析出したポリマーをろ過回収後、減圧下、40℃で乾燥させ、紫色の固体を、収率20.2%で得た。収率は後述の方法で算出した。
なお、同様の条件で重合時間を16時間まで延ばしてみたところ、重合体はゲル化してしまった。
【0060】
(収率の算出方法)
以下の式(1)により収率を算出した。
収率(%)=100×(反応後に回収された紫色の固体の質量)/(仕込んだVMAの質量) (1)
【0061】
得られた重合体の数平均分子量Mn1および分子量分布(Mw/Mn1)は、SECで測定した。また、H−NMRを用いて測定した分子総末端数から算出される数平均分子量Mn2を測定した。具体的には、Mn2は以下のようにして算出した。
【0062】
(数平均分子量Mn2の算出方法)
以下の式(2)により数平均分子量Mn2を算出した。
【0063】
【数1】

【0064】
ここで、Mn2は数平均分子量、∫S 7.9ppmはCTAに由来するプロトン一つ分のH−NMRスペクトルのピーク面積、∫S 0.2-2.9ppmはポリマーの主鎖とメチル基に由来するプロトン五つ分のH−NMRスペクトルのピーク面積、112はモノマーであるVMAの分子量である。
【0065】
(実施例2〜4、比較例1〜2)
VMA、CTAおよびAIBNの添加量の比を表1に示した値にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様に所定時間重合をおこなった。なお、VMAの添加量は9.4mmolにそろえた。
【0066】
実施例1〜4、比較例1〜2の重合結果を表1に示す。実施例1〜4の重合体は、有機溶媒に溶解した(重合時間を延ばしてゲル化したものを除く)。また、CTAとAIBNの添加量を増やすと、重合時間を延ばしても重合体のゲル化が抑制された。その結果、CTAとAIBNの添加量が多いほど収率が向上した。
【0067】
なお、実施例4(重合時間16時間)で得られた重合体は、H−NMRスペクトルにより、構造を確認した(図1、2)。図1より、重合体の側鎖には、メタクリル酸ビニル(VMA)由来の二重結合が存在することを確認できた。また、図2より、重合体の末端には、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアート(CTA)由来のチオカルボニルチオ基が存在することを確認できた。
一方、比較例1〜2の重合体は重合初期でゲル化し、有機溶媒に不溶なものしか得られなかった。
【0068】
(実施例5〜7)
モノマーとして、メタクリル酸ビニル(VMA)に加えてメタクリル酸メチル(MMA)を添加し、モノマー(VMA+MMA)、CTAおよびAIBNの添加量の比を表2に示した値にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にして、7時間重合をおこなった。
【0069】
実施例5〜7の重合結果を表2に示す。実施例5〜7の重合体は、いずれも有機溶媒に溶解した。なお、実施例6で得られた重合体は、H−NMRスペクトルにより構造を確認した(図3)。図3より、VMAとMMAの仕込み比は、重合体中の組成比と一致することが確認できた。
【0070】
<ブロック共重合体>
(実施例8)
重合管に、実施例4において16時間重合をおこなって得られた重合体(4.7mmol)と、モノマーとして、スチレン(8.6mmol)と、開始剤として、AIBN(0.141mmol)と、溶媒として、1,4−ジオキサン(0.5mL)と、攪拌子とをそれぞれ添加した。凍結脱気を3回行った後、封管し、60℃で所定時間反応させた。
反応後、反応溶液を液体窒素で冷却して反応を止め、室温に戻した後、過剰量のメタノールで再沈殿を行った。その後、析出したポリマーをろ過回収後、減圧下、40℃で乾燥させ、紫色の固体を得た。なお、同様の条件で重合時間を12時間まで延ばしてみたところ、重合体はゲル化してしまった。数平均分子量Mn1および分子量分布(Mw/Mn1)はSECで測定した。
【0071】
(実施例9)
実施例4において16時間重合をおこなって得られた重合体を、実施例6において7時間重合をおこなって得られた重合体に変えた以外は実施例8と同様に16時間重合をおこなった。
【0072】
実施例8〜9の重合結果を表3に示す。実施例8〜9のブロック共重合体は、有機溶媒に溶解した(重合時間を延ばしてゲル化したものを除く)。また、VMAとMMAの共重合体を用いた実施例9の方が重合体のゲル化が抑制され、その結果、収率が向上した。
なお、実施例9で得られた重合体の構造は、H−NMRスペクトルにより確認した(図4)。図4より、ブロック共重合体が得られたことが確認できた。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本実施形態の重合体およびブロック共重合体は、反応活性点に基づく反応性、重合性、架橋・硬化性などの特性を利用して、樹脂改質剤、樹脂表面改質剤、アスファルト改質剤、相容化剤、粘着剤、接着剤、制振材料、分散剤、分散安定剤、乳化剤、界面活性剤、ハイドロゲル、塗料、コーティング剤、バインダー、インキなど幅広い応用が可能であり、産業上の利用価値は高いといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合末端にチオカルボニルチオ基と、
側鎖にラジカル重合が可能な複数の二重結合と、
を備え、
アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエンのいずれかに溶解する、重合体。
【請求項2】
請求項1に記載の重合体において、
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn1)と、H−NMRより測定した分子総末端数から算出される数平均分子量(Mn2)との比(Mn1/Mn2)で表される分岐度が、2.0以上9.0以下である、重合体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の重合体において、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn1)が3,000以上30,000以下である、重合体。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の重合体において、
当該重合体が、(メタ)アクリル酸ビニルに由来する繰り返し単位を含む、重合体。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の重合体を有機溶媒に溶解して得られる、重合体組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の重合体組成物において、
当該重合体組成物は、孔径0.2μm以下のフィルターを通過する、重合体組成物。
【請求項7】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の重合体の製造方法であって、
前記チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤と、ラジカル重合開始剤との存在下で、
1分子中に2つのラジカル重合が可能な二重結合を有し、かつ、非対称構造である第1モノマーを含む、モノマー成分をラジカル重合する工程を備え、
前記モノマー成分100モル部に対して、
前記チオカルボニルチオ基を有する連鎖移動剤の添加量が0.2モル部以上20モル部以下であり、
前記ラジカル重合開始剤の添加量が0.1モル部以上10モル部以下である、重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の重合体の製造方法において、
前記第1モノマーが、(メタ)アクリル酸ビニルである、重合体の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の重合体の製造方法において、
前記モノマー成分が、1分子中に1つの二重結合を有する第2モノマーをさらに含む、重合体の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の重合体の製造方法において、
前記第2モノマーが(メタ)アクリル酸エステルである、重合体の製造方法。
【請求項11】
請求項7乃至10いずれか一項に記載の製造方法で得られた重合体のチオカルボニルチオ基末端を開始点として、1分子中に1つの二重結合を有する第3モノマーを重合する工程を備える、ブロック共重合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−82823(P2013−82823A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224219(P2011−224219)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】