重合方法及び重合装置
【課題】反応物の供給量を制御して、重合器内の滞留時間を一定に保つことにより、生成するポリマーの性状を安定化させる重合方法及び重合装置を提供すること。
【解決手段】重合器内の重合条件下において、液体又は固体の反応物を連続的に重合する方法において、静電容量式液面計を装着して、該液面計により該重合器内の液位を計測し、該液位に基づいて該重合器への反応物の供給速度及び/あるいは該重合器からの生成物の排出速度を制御することにより、該液位を所望の水準に維持することを特徴とする重合方法。本発明はまた、上記方法を実施するのに適した重合装置を開示する。
【解決手段】重合器内の重合条件下において、液体又は固体の反応物を連続的に重合する方法において、静電容量式液面計を装着して、該液面計により該重合器内の液位を計測し、該液位に基づいて該重合器への反応物の供給速度及び/あるいは該重合器からの生成物の排出速度を制御することにより、該液位を所望の水準に維持することを特徴とする重合方法。本発明はまた、上記方法を実施するのに適した重合装置を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂の連続重合方法及び装置にかかわり、特にα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体モノマーを触媒及び/あるいは重合開始剤の存在下において連続的に重合させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モノマーを重合させてポリマーを得る重合器において、重合器内の反応物の量を把握し、重合反応を制御する技術に関しては、特許文献1に記載されているように、回分式重合器において静電容量式液面計により重合器内の液面を一定の範囲内に範囲に制御して、重合器の熱収支を維持し、重合器壁面へのスケールの付着を防止する重合方法が提案されている。
【0003】
一方、連続重合器においては、ポリマーの性状を経時的に安定させるために、触媒等の添加量、重合器内の温度分布、攪拌強度等と共に、反応時間すなわち重合器内の滞留時間を一定とすることが重要な技術課題である。具体的には、滞留時間は連続重合器内においてモノマーが存在して反応が進行する部分の容積と、モノマーの供給速度により算出されるため、反応が進行する部分の容積に基づいて、モノマーの供給量を制御する必要がある。
【0004】
ポリエチレン等の最も一般的なポリオレフィン系のポリマーの重合においては、連続重合器内には重合温度において気体状態のモノマーが充満しており、重合反応が進行する部分の容積は、すなわち重合器の内容積である。従って、例えば重合器の内容積とモノマーの供給量により滞留時間が定まり、モノマーの供給量を制御することで、滞留時間の制御が可能である。
【0005】
これに対して、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマーの連続重合においては、固相あるいは液相状態にあるモノマーと、エステル化反応の生成物である水が気相として連続重合器内で共存している。反応の進行を早めるために重合器内を減圧して生成物である水を除去する方法が採用されており、重合器内に気/液の界面、すなわち液面が形成されている。従って、重合反応が進行する部分の容積は固相あるいは液相状態にあるモノマーの占める容積であり、重合器の内容積ではない。このため、液量を計測しなければ滞留時間を求めることができず、滞留時間を制御するためには液面の計測技術が必須である。
【0006】
容器内の液面を計測する技術としては、静電容量式の液面計が適用できることが知られている。しかし、ポリエステル系ポリマーの連続重合器においては、ポリマーの粘度が高く、且つ重合器の入口から出口に向かって反応物の流れがあるため、液面計への付着あるいは粘性抵抗等により正確な液面表示ができない。さらに重合反応を均一に進めるために重合器内の反応物を攪拌する攪拌翼が設置され、液面計の種類及び据付方法が大きく制約される。
【0007】
【特許文献1】特開平5−125195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリエステル樹脂の連続重合方法及びその装置に関し、重合器内の反応物の量を所定の量に保ち、反応器内の滞留時間を一定とするための重合方法及び重合装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決手段を要約すると、以下のとおりである。しかしながら、本発明の精神の範囲内で、以下に示す手段の変形も取り得ることは明らかである。
【0010】
(1)重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に重合するにあたり、重合器の液位を静電容量式液面計により計測し、該液位に基づいて該重合器への反応物の供給速度及び/あるいは該重合器からの生成物の排出速度を制御する重合方法。これによって、反応系の液位を所望の水準に維持することができる。
【0011】
(2)上記反応物はポリエステルの原料である上記重合方法。
【0012】
(3)上記反応物はα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体である上記重合方法。
【0013】
(4)上記重合器は横型連続重合器及び/又は縦型連続重合器である上記重合方法。
【0014】
(5)攪拌機を備えた重合器と、重合器内に設置された静電容量式液面計と、該重合器に、該重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に供給する原料供給手段と、上記重合器から反応生成物を排出する排出手段と、該液面計の信号により液位、たとえば該液面計の浸漬深さを求め、上記原料供給手段及び上記排出手段を制御する制御手段とを備える重合装置。
【0015】
(6)上記重合器は、反応の上流側に横型連続重合器を、下流側に縦型連続重合器を連結関係に配置した上記重合装置。
【0016】
(7)上記重合器は横型連続重合器であって、上記静電容量式液面計が上記重合器の原料入口近傍又は排出口近傍に設置された上記重合装置。
【0017】
(8)上記重合器は縦型連続重合器であって、上記重合器に複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置した上記重合装置。
【0018】
(9)該静電容量式液面計の中心電極に対向する円筒電極の面に、反応系の液体が流通する複数の穴を形成した上記重合装置。これにより、円筒電極の内面と外面の間の物質移動を促進して、液面計による液位計測の信頼性を向上することができる。
【0019】
(10)該静電容量式液面計の対向する平板電極を、反応生成物の流れ方向に実質的に平行に取り付けた上記重合装置。これにより、円筒電極の内面と外面の間の物質移動を促進して、液面計による液位計測の信頼性を向上することができるとともに、物質移動に伴う抵抗を減少して液面計の耐久性を向上することができる。
【0020】
(11)前記横型連続重合装置に上記静電容量式液面計を設置した上記重合装置。
【0021】
(12)前記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置した上記重合装置。
【0022】
(13)上記横型連続重合装置の入口近傍又は出口近傍に静電容量式液面計を、上記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を該縦型重合器の軸方向に設置した上記重合装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、たとえばポリエステル樹脂の連続重合にあたり、重合器内の反応物を含む液位を所定の水準に保ち、反応器内における反応物の所望の滞留時間を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明において対象とする連続重合装置において、液面計は反応器の反応物(原料及び反応生成物)を含む液相の有効深さ(L)の少なくとも1/5以上(液面からの深さ)、好ましくは1/4〜4/5の深さまで測定できるように設置されていることが望ましい。ここで有効深さ(L)とは、重合器に形成される予め設定された液相の深さである。実際には、連続重合器の液位は時間とともに変化しているが、上記のように、液位を測定できるように設定することにより、液位の変動があっても、適正な測定ができる。
【0025】
上記のように、液位をある深さに亘って検出する方法の他に、液面のトップに追従して液面を検出する液面計を用いることも可能であるが、追従システムが複雑化し、コストが上昇するので、工夫を要する。
【0026】
上記のとおり、本発明において使用される静電容量式液面計は、液面のトップレベルを維持するために用いられるON−OFF型ではなくて、ある範囲に亘って液位を測定できるものでなければならない。従って、液面計は、液相にある深さに亘って浸漬される浸漬型(図1、図2、図10、図11、図12の横型重合器に設置された液面計がその例である)又は一つひとつの液面計はON−OFF型であるが、全体として浸漬型として機能する液面計(図11、図12における縦型重合器に設置した液面計がその例である)が必要である。
【0027】
たとえば、縮合物が副生物として生成するポリエステルの一例である、α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体を、触媒及び/あるいは重合開始剤の存在下において連続的に重合させ、生分解性にすぐれたポリエステルを製造する方法又は装置において、重合器内の液面を連続的に計測し、この計測に基づいてモノマーと触媒及び/あるいは重合開始剤の供給量を制御して、重合器内の滞留時間を一定に保つことにより、生成するポリマーの性状を安定化させることができる。
【0028】
重合器内においては、粘度の高い反応物が攪拌された状態で存在する。この反応物の量を重合器内の液位を計測することにより評価し、これに基づいて反応物の供給速度を制御し、重合器内の反応物の滞留時間を所望の範囲内に調整する。本発明の重合器内においては、液体相と気相が共存しており、反応物は基本的に液体又は固体として、液相内に存在する。
【0029】
連続重合器内には攪拌装置等の構造物が設置されており、非接触の超音波液面計等では攪拌装置等の妨害により液面を計測することができない。接触式の液面計のうち、静電容量式液面計は測定対象物質が絶縁性であっても計測可能であり、好適な計測手法である。静電容量式の液面計を挿入し、該液面計へのモノマー類の浸透による静電容量の変化を液位の変化として検出し、該重合器に供給するモノマー類の量を制御し、該重合器内の液位を所定の範囲に維持するようにする。これによりモノマー類の該重合器内での滞留時間を所望の水準に保つことができ、生成するポリマーの反応率を一様にし、安定した性状のポリマーを得る。
【0030】
本発明において、静電容量式液面計は攪拌機の機能を阻害しないような位置に設置される。従って、横型重合器においては、反応物の入口近傍及び/又は出口近傍の、攪拌機の攪拌に障害とならない位置であって、かつ重合器の全体の液面が測定できる位置に設置する。横型重合装置において、攪拌機の攪拌翼と翼の間に液面計を設けることも可能であるが、コスト面からは、上記のように、入口及び/又は出口近傍に設けるのが良い。
【0031】
連続重合器においては、反応の進行を加速するために攪拌操作が実施される。これにより連続重合器内の液面は静止状態とはならず、上下動を繰り返すため、液面計の出力は微細な変動を示す。このような状態の液面の高さを評価するには、一定の時間ごとに液面計の出力を平均化することが有効である。攪拌機は通常回転運動を繰り返すため、一枚だけの回転翼では理想的には回転周期ごとに元の状態に戻るはずである。しかし通常は複数の回転翼が並べられた構造を持っており、他の攪拌翼からの影響もあって、回転周期ごとの平均では不十分である。すなわち、攪拌翼の回転周期よりも長い時間間隔で、液面計の出力を平均することが望ましい。
【0032】
液面計の出力を一定の時間間隔で平均する回路を取り付け、これにより得られた平均値を液面の高さに関する情報として、制御装置に送り、連続重合器への供給ポンプあるいは排出ポンプの流量制御に利用する。
【0033】
一般的に化学反応において、反応速度は温度、圧力及び反応物の濃度により定まり、実際の反応器における反応率への適用に当たっては、反応速度を反応の時間に亘って積分しなければならない。これにさらに、加熱あるいは冷却の方式及び反応熱の発生に起因する反応器内の温度分布、反応物の供給と反応器の形状にかかわる反応物の拡散の影響、及びこれと密接に関連する、攪拌と反応物の供給、生成物の排出を含む、反応器内の反応物の流動等の影響を考慮しなければならない。
【0034】
連続重合器において、重合器内の圧力が一定で、温度分布が一様で、重合器内の攪拌が十分行われて触媒及び/あるいは重合開始剤の量が確保されていれば、反応速度は一定となり、重合反応の反応率を決めるのは滞留時間τ(h)である。滞留時間τ(h)の定義は、反応場の容積V(m3)と反応物の供給速度F(m3/h)から次式により算出される。
【0035】
τ=V/F ………………………………式(1)
ポリオレフィン系ポリマー、例えばポリプロピレンの重合においては、モノマーであるプロピレンは重合条件においてガスであり、重合器に供給されたプロピレンは容器内に拡散し、連鎖的に重合反応を起こす。従って(1)式の反応場の容積Vは重合器の内容積に等しく、滞留時間は重合器の内容積とモノマーの供給速度から算出することができる。すなわち、モノマーの供給速度を一定とすることで滞留時間を一定に保つことができる。
【0036】
ポリエステル系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレートの重合においては、次式に示すようにエチレングリコール(HO−C2H4−OH)とテレフタル酸(HO−(CO)−C6H4−(CO−OH)を反応させ、生成したエステルを脱水縮合させて重合物を得る。
【0037】
【化1】
【0038】
ポリエステル系ポリマーの重合においては、モノマーは重合条件において液体(エチレングリコール、ラクチド)あるいは固体(テレフタル酸)であり、重合器内において凝縮相を形成している。従って、重合器内をモノマーで満たす満液運転をする場合には、ポリオレフィン系の場合と同じく重合器の容積をモノマー供給速度で割ることにより算出することができる。
【0039】
しかし、ポリエステル系ポリマーの重合においては反応の過程において、ガス状の副生物が発生し、これを減圧下で除去しながら脱水縮合を進めるため、重合器内を反応物で満たして重合させることはできず、重合器内において凝縮相とガス相の2相が共存することになる。この場合には、重合器の内容積と反応の場の容積は一致しないことになる。従って、滞留時間の算出にあたっては、重合器内の反応物の示す容積すなわち凝縮相の容積を評価することが必要になる。
【0040】
ポリ乳酸は、分子内にエステル結合を持つポリエステルの一種であり、環境中において水分及び微生物等の働きにより次第に分解されるという、生分解性にすぐれたプラスティック素材で、今後さまざまな用途に利用が広がると期待されている。
【0041】
ポリ乳酸の合成法としては、最も代表的なα−ヒドロキシカルボン酸である乳酸を直接重合させるほかに、乳酸の環状の二量体であるラクチドを、次式に示すように、2−エチルヘキサン酸スズのような触媒の働きにより、1−ドデカノールのような重合開始剤と反応させて開環してエステルを形成させ(式(4))、これに連鎖的にラクチドが反応してポリ乳酸を生成する(式(5))方式も知られている。
【0042】
【化2】
【0043】
ここで、Rは重合開始剤としてアルコールを使用した場合はそのアルコールのアルキル基であり、水を重合開始剤とした場合はHである。
【0044】
ポリ乳酸の重合においては、減圧条件下での操作はないが、パージガスラインあるいは各センサプローブの挿入口等があるため、重合器内を反応物で満たして重合を進めることはできない。反応温度においてラクチドは溶融しており、これに反応温度における蒸気圧分のラクチドが共存している。反応は液相において進行するため、滞留時間を管理する上で、液位の把握は重要である。一方、ポリ乳酸の生産性を高めるために、重合器を二段直列に配置して反応率を高める工夫もなされている。生成物であるポリ乳酸と原料であるラクチドは互いに溶融した状態で存在し、反応の進行とともに重合器内の反応物の粘度が上昇し、ラクチドが液相中を拡散する際の抵抗となり、反応を抑制する方向に作用する。このため、反応時間すなわち連続重合器内の滞留時間を厳密に管理することが重要となる。
【0045】
本発明によれば、重合器の重量を計測して空の重合器の重量との差を計測することにより重合器内に存在する反応物の容積を計測する方法に比べ、制御の精度が高い。なぜならば、上記重量計測法では、重合器の支持架台等の影響により重合器の重量を正確に評価することは困難であり、さらに重合器の重量に対して内容物の重量の比が小さく測定精度が低いという問題があるが、本発明ではこのような問題がない。
【0046】
また、重合器の底面で反応物の深さに比例する圧力を計測し、これに基づいて液の深さを評価する方法もあるが、横型連続重合器の場合には液の深さは浅く、精度の面で問題があるのに対し、本発明では、この問題がない。
【0047】
また、液面の高さを計測する方法においては、重合器内の液面の高さを計測して液量を算出することができる。液面の高さを検出する方法としては、重合器の上部に超音波、マイクロ波、放射線等の発信装置を取り付け、超音波、マイクロ波、放射線等が液面から反射してくる時間を計測し、液面までの距離を計測する方法が知られている。例えば、図3に示すように回分式の槽型反応器の上面に液面計と設置し、液面からの反射波を計測することにより、液面の高さに関する情報を得ることができる。
【0048】
しかし、連続重合器においては、攪拌設備等を備えた重合器構造の複雑さ、200℃程度の温度条件、常圧から1kPa程度の減圧までの幅広い圧力条件等の理由により反射波を計測する方法には困難が伴う。本発明によれば、このような問題がない。
【0049】
また、一般的な連続重合器である横型連続重合器に対して本発明を適用する場合は、図1に示すように、液面に対して垂直方向に回転する攪拌翼が備え付けられ、これが回転することにより、液面の上に攪拌翼が露出し、例えば、超音波式の液面計を使用すると、この攪拌翼が超音波を散乱させることになる。また縦型連続重合器では、攪拌翼は液面に平行に回転するため、最上位の攪拌翼よりも液面が下位に位置する場合、液面を計測することは不可能である。
【0050】
また、液面にフロートを浮かせ、フロートの上下への移動量を計測する方法がある。しかしこの方法では、フロートおよびそれに付随する信号検出装置が攪拌の障害となる惧れがある。本発明で採用した静電容量式液面計はそのような障害を起こさないように設置できる。
【0051】
更に、重合器に側管を取り付け、側管の液位から重合器内の液面の位置を計測する方法がある。しかしこの方法では、高粘度のポリマーを測定対象とした場合に、側管の液面の挙動が正確には重合器内の液面の挙動を反映できず、時間的な遅れを伴うという問題がある。本発明によれば、上記の問題がない。
【0052】
また、上記の方法と類似する方法として、重合器の側面に窓を取り付け、窓から液面の位置を直接計測する方法がある。しかしこの方法では、縦型連続重合器の場合には、重合器の上部から下部に亘って、加熱用ジャケットを貫通して窓を取り付ける必要があり、現実的ではない。また攪拌機構を持つ連続重合器に設置する場合、攪拌翼の挙動と液面の挙動を明確に区別する必要がある。本発明で採用した静電容量式液面計においては、重合器それ自体に対する制約がなく、容易に液面計を設置することができる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、上記の各種液面検出方法より好適な方法として、反応物中に二つの電極によって構成されるプローブを浸漬し、この電極の間に浸透する反応物の誘電率に比例する静電容量を計測する方法を採用したものである。反応物中にプローブが浸漬されると、対向する電極間が反応物により満たされる。反応物によって満たされた電極面積すなわち浸漬深さに比例して、電極間の静電容量が変化する。図8に示すように、液面計が浸漬される深さ、すなわち液面の高さに比例した出力が得られ、これに基づいて液面の高さを知ることができる。この方法は電極間の静電容量を計測するため、ポリマー等の非導電性物質にも適用が可能である。
【0054】
本発明において対象となる重合反応系の液体相は実質的に電気絶縁性であり、従って、静電容量式液面計が適している。また、測定に使用する電流は直流が適している。
【0055】
プローブの形状としては、図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)に示すように、二つの電極の配置及び形状により、図4に示す円筒電極型と図5に示す平行平板電極型に分類できる。図4(a)は円筒電極の縦断面図であり、(b)はその正面断面図である。また、図5(a)は平行板電極の縦断面図で、(b)はその生面断面図である。図に示した配置で測定対象物中に浸漬し、電極間に測定対象物が進入することによる静電容量の変化を電気的に検出する。一般的には、中心電極71の周りを円筒状の対向電極72で保護する図4の円筒電極型が各種の用途に広く使用されている。これに対して、図5に示すように、平板状の中心電極73の両側を互いに平行な対向電極74で挟んだ3枚積層の構造とすることにより、2枚を平行に対向させた電極に比べて、外乱を受けにくい高精度の平行平板電極型の液面計とすることができる。平行平板電極型の液面計では電極間の間隔を一定に保つために、支持部材75を装着することが好ましい。
【0056】
円筒型電極を使用する静電容量式の液面計を高粘度のポリマーの液面計測に適用する場合、中心電極と対向する保護管を兼ねる外周の電極の間に被測定物であるポリマーが十分に浸透し、外周と同じ液位にあることが必要である。水のような粘度の低い液体の場合、管の内側と外側の液位が等しくなることは容易に達成される。しかし、生成するポリマーは粘度が高いため、粘性抵抗により管の内側の液位が低くなる傾向にある。また、攪拌や流れ等の外乱があると、若干の時間的な遅れを生じる。
【0057】
このような問題点を解決するために、例えば、外周側の電極に穴を開け、ここを通って内部の液が更新できるようにすれば、円筒電極の内外での液位の差を小さくし、あるいは時間的な遅れを小さくすることができる。
【0058】
また、平行な板を対向させ、この電極をポリマーの流れ方向に平行に設置することにより、液位の差をなくすことができ、且つ液の更新が容易に行えるようになる。
【0059】
連続重合器への適用に当たってのもう一つの問題点として、液面計の出力は浸漬される反応物の誘電率に比例するため、反応の進行に伴い誘電率が変化する場合には注意が必要である。図1に示すように連続重合器の入口側に設置する場合は、入口の原料の誘電率に準拠して、図2に示すように連続重合器の出口側に設置する場合は、出口の生成物の誘電率に準拠して、それぞれ出力を調整しなければならない。
【0060】
静電容量式液面計の出力に基づいて、連続重合器への供給量及び/あるいは排出量を調節し、連続重合器内の液面を一定の範囲に制御することにより、連続重合器内の滞留時間を一定の範囲内に保つ。これにより重合反応の反応率を所定の水準に維持し、生成するポリマーの性状を安定させる。
【0061】
連続重合器としては、横型又は縦型のものを利用することができる。いずれも重合器内には攪拌装置を設置する。この攪拌装置により、反応物の攪拌、反応物の搬送、排出等を促進することができる。攪拌装置を設置するため、その攪拌装置と接触しないように液面計を配置する。生成物が高粘度であるので、攪拌装置を持たない、押し出しによる管型の連続重合器は適さない。
【0062】
横型の重合器では、重合器の中心軸が水平方向に位置する。液面は重合器の中心軸方向に実質的に平行に形成され、反応物の流れは重合器の軸方向に進む。液面計は図7に示すように、重合器の半径方向に挿入する形で設置される。一般には、管の中心には攪拌機の軸41があるので、図7に示すように、液面計51を重合器14の底まで通すためには軸41からずれた位置に設置する。液面計51を挿入する位置には攪拌翼は装着しないようにする。
【0063】
縦型の重合器では、重合器の中心軸は垂直方向に位置する。液面は重合器の半径方向にほぼ平行に配置され、反応物の流れは重合器の中心軸方向に進む。液面計の設置の仕方として、二つの方法がある。一つは、重合器の中心軸方向に平行に挿入する場合で、この場合は横型の重合器の場合と同じく、液面計の出力は液面の高さの関数として出力される。しかしこの方法では、重合器内に攪拌装置を設置する場合、攪拌装置はこの液面計を避ける必要があり、このために重合器内に攪拌できない領域が発生する。
【0064】
もう一つは、管の半径方向に設置する場合であるが、この場合には液面計は液面と平行に設置されることになり、液面の位置によっては液面計が液中に浸漬されない場合も発生し得る。これを避けるために、複数の液面計を液面に実質的に平行に軸方向に並べて挿入する。この場合には、横型の場合とは異なり、液に浸漬されている位置の液面計は浸漬状態(on−状態とする)と同じ信号を出力し、液に浸漬されていない位置の液面計は非浸漬状態(off−状態とする)と同じ信号を出力する。この複数の液面計からの信号を処理して、図9に示すように、液面の高さがステップ状の信号として得られる。
【0065】
静電容量式液面計の出力に基づくポンプ出力の制御に関しては、例えば、図7に示す例では、図8に示すように、所定の液位に対応する液面計の出力を設定しておき、これと測定値との差分に比例してポンプ出力を増減させる方法、あるいは測定値の時間的変化に応じてポンプ出力を変化させる方法等、公知の制御方式を適用することができる。
【0066】
また、図9に示すon−off式の液面計の場合には、所定の液面から増減があった場合に、例えば、ステップ状にポンプ出力を増減させる方法を適用することができる。あるいは所定の液面から上昇した場合には、一定速度でポンプ出力を低下させ、液面が低下すると、一定速度でポンプ出力を増加させることもできる。
【0067】
ポンプとしては、ギヤポンプ、プランジャーポンプ等を利用することができる。ギヤポンプを使用する場合にはモーターの回転数の制御によりポンプ出力、すなわち供給ポンプの場合は連続重合器への供給量を、排出ポンプの場合は連続重合器からの排出量を制御することができる。プランジャーポンプの場合は、モーターの回転数あるいはプランジャーのストローク長を制御することによりポンプ出力を制御することができる。
【0068】
α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体の開環重合反応において、連続重合器内の液位を静電容量式液面計により計測し、この出力に基づいて連続重合器への供給量及び/あるいは排出量を制御することにより、連続重合器内の液位を所定の液位に保つ。これにより、連続重合器内の滞留時間をほぼ一定とし、反応率の変動を抑制し、生成するポリマーの性状を安定させることができる。
【0069】
静電容量式の液面計を備えた連続重合器を用い、モノマーと触媒及び/あるいは重合開始剤の混合物を該連続重合装置に供給する系統を備え、該連続重合器からポリマーを排出する系統を備え、該静電容量式の液面計からの該連続重合器内の液位に関する出力に基づいて、モノマーと触媒及び/あるいは重合開始剤の混合物の供給速度及び/あるいはポリマーの排出速度を制御し、該連続重合器内における滞留時間をほぼ一定の範囲内に維持し、生成するモノマーの性状を安定させる。
【0070】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0071】
図1に示す連続重合装置は、重合器14の出口近傍に静電容量式液面計51を設置したものである。液面はモーター1に接続された攪拌機2によって脈動するが、静電容量式液面計により平均液位が検出され、その検出値に基づいて制御装置55により、ポンプ5の原料の供給量が制御される。液面計は、攪拌機の攪拌軸41に対して障害とならないように、図7のように配置する。
【実施例2】
【0072】
図2に示す構成は図1とほぼ同様であるが、液面計を重合器14の入口近傍に設置する点が異なっている。図1と図2の構成を比較した場合、図1の構成が、反応物による液面変化を正しく捉えることができるので、より好ましい。
【実施例3】
【0073】
ラクチドの開環重合において、静電容量式液面計を横型連続重合器及び縦型連続重合器に適用した実施例を、図10により説明する。
【0074】
ポリエステルの重合においては、重合の前半は反応物の粘度が低いが、反応の進行につれて粘度が上昇し、かつ反応の発熱量も大きくなる。そのために、反応の前半においては横型重合器を用い、反方の後半においては縦型重合器を用いるのが合理的である。そのため、図10〜12においてはこのような構成をとっている。
【0075】
ラクチドの重合には触媒として2−エチルヘキサン酸スズを、重合開始剤として1−ドデカノールを使用する。温度を110℃に設定したラクチド貯槽11よりラクチド供給の管路を3系統設け、このうち第二のモノマー供給系統22は全ラクチド供給量の5%を分担し、触媒貯槽12から触媒供給管路32を経て供給される所定量の触媒と合流させ、触媒混合器8にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0076】
ラクチド貯槽11からの第三のモノマー供給系統23は全ラクチド供給量の10%を分担し、重合開始剤貯槽13から重合開始剤供給管路33を経て供給される所定量の重合開始剤と合流させ、重合開始剤混合器7にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0077】
ラクチド貯槽11からの第一のモノマー供給系統21は全ラクチド供給量の85%を分担し、管路の温度を110℃に設定し、混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0078】
静電容量式液面計51は、横型連続重合器14の出口側に取り付け、出力は制御装置55を経由して供給ポンプ5に接続され、横型連続重合器14へのラクチドと触媒及び重合開始剤の混合物の供給量を制御する。重合開始後、横型連続重合器14の上面に取り付けられたのぞき穴(図示せず)から、液面の高さが横型攪拌装置2の回転軸を覆うのを確認して、これを標準の液面高さに設定し、液面計の出力と対応させた。この液面の高さは、滞留時間で5時間に相当する。このときの液面計の出力は1.67Vであった。
【0079】
横型連続重合器14から排出ポンプ6により排出されたポリマーは、縦型攪拌装置3を備えた縦型連続重合器15に供給される。縦型連続重合器15においては、重合開始時の仕込み量と、供給量及び排出量のバランスにより、滞留時間をおよそ5時間確保して反応させた後、ポリマーは排出ポンプ6により排出される。
【0080】
約10時間にわたって供給ポンプ5の流量を制御しながら、液面計51の出力をプロットした例を図6に示す。最初設定水準よりも高い出力が得られたので、供給ポンプ5の出力を低下させて供給量を絞った。これにより液面は次第に低下し、30時間を経過したあたりから設定水準を下回るようになったので、今度は逆に供給ポンプ5の出力を上昇させて供給量を増やした。これによりほぼ安定した液面の高さを維持することができ、5時間の滞留時間を確保することができた。
【0081】
この間に、排出ポンプ6により排出されたポリマーの平均分子量及びラクチドの転化率を、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定した結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
それによると、いずれのポリマーも重量平均分子量はおよそ12万、ラクチド転化率は82%で、安定した性状のポリ乳酸が得られた。
【0084】
本実施例によれば、ラクチドの開環重合によるポリ乳酸の製造において、図10に示す横型連続重合器及び縦型連続重合器よりなる二段の重合装置を用い、静電容量式の液面計により横型連続重合器の液位を制御することにより、横型連続重合器内の滞留時間を5時間確保でき、安定した性状のポリ乳酸を得ることができた。
【実施例4】
【0085】
ラクチドの開環重合において、静電容量式液面計を縦型連続重合器に適用した実施例を、図11により説明する。ラクチドの重合には触媒として2−エチルヘキサン酸スズを、重合開始剤として1−ドデカノールを使用する。温度を110℃に設定したラクチド貯槽11よりラクチド供給の管路を3系統設け、このうち第二のモノマー供給系統22は全ラクチド供給量の5%を分担し、触媒貯槽12から触媒供給管路32を経て供給される所定量の触媒と合流させ、触媒混合器8にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0086】
ラクチド貯槽11からの第三のモノマー供給系統23は全ラクチド供給量の10%を分担し、重合開始剤貯槽13から重合開始剤供給管路33を経て供給される所定量の重合開始剤と合流させ、重合開始剤混合器7にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0087】
ラクチド貯槽11からの第一のモノマー供給系統21は全ラクチド供給量の85%を分担し、管路の温度を110℃に設定し、混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0088】
横型連続重合器14において、初期の仕込み量及び供給量と排出量のバランスにより、およそ5時間の滞留時間を確保して反応させたポリマーは排出ポンプ6により排出され、縦型攪拌装置3を備えた縦型連続重合器15に供給される。
【0089】
縦型連続重合器15においては、軸方向に5台の静電容量式液面計52を等間隔で重合器に挿入した。静電容量式液面計52はon状態、すなわち反応物に浸漬した状態で5Vの出力を示し、off状態、すなわち反応物に浸漬していない状態で1Vの出力を示すように調整されている。5台の静電容量式液面計52からの出力は制御装置56に入力され、下から3段目の液面計の出力がon状態であれば、排出ポンプ6の排出量を減らし、off状態であれば排出ポンプ6の排出量を増やすよう設定した。下から3段目の液面計の位置が液面に一致していれば、滞留時間は5時間に相当する。
【0090】
これにより横型連続重合器14においておよそ5時間、縦型連続重合器15においておよそ5時間の滞留時間が設定された。生成物であるポリマーは縦型連続重合器15より排出ポンプ6により排出される。このポリマーをサンプリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより分析したところ、表1とほぼ同等の平均分子量及びラクチド転化率を持つ、安定した性状のポリ乳酸が得られた。
【0091】
本実施例によれば、ラクチドの開環重合によるポリ乳酸の製造において、横型連続重合器及び縦型連続重合器よりなる二段の重合装置を用い、静電容量式の液面計により縦型連続重合器の液位を制御することにより、縦型連続重合器内の滞留時間を5時間確保でき、安定した性状のポリ乳酸を得ることができた。
【実施例5】
【0092】
ラクチドの開環重合において、静電容量式液面計を縦型連続重合器に適用した実施例を、図12を用いて説明する。図12においては、横型重合器及び縦型重合器の両方に静電容量式液面計を設置している。ラクチドの重合には触媒として2−エチルヘキサン酸スズを、重合開始剤として1−ドデカノールを使用する。実施例4と同様にモノマーを分岐して触媒及び重合開始剤を希釈、混合して横型連続重合器に供給した。
【0093】
図12の横型連続重合器14において、初期の仕込み量及び供給量と排出量のバランスにより、およそ4時間の滞留時間を確保して反応させたポリマーは排出ポンプ6により排出され、縦型攪拌装置3を備えた縦型連続重合器15に供給される。実施例4と同様に静電容量式液面計を配列して液面を計測して、下から4段目の液面計のon/offにより、縦型連続重合器内15の滞留時間を6.5時間確保し、得られたポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフにより分析した。分析結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
それによると、いずれのポリマーも重量平均分子量はおよそ14万、ラクチド転化率は90%で、安定した性状のポリ乳酸が得られた。
【0096】
本実施例によれば、ラクチドの開環重合によるポリ乳酸の製造において、横型連続重合器及び縦型連続重合器よりなる二段の重合装置を用い、静電容量式の液面計により縦型連続重合器の液位を制御することにより、縦型連続重合器内の滞留時間を6.5時間確保でき、安定した性状のポリ乳酸を得ることができた。
【0097】
上記実施例の説明は生分解性を持つポリ乳酸を対象にしてきたが、本発明は他のα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体、例えばグリコール酸の二量体であるグリコリドの重合にも適用できる。さらにはポリエチレンテレフタレートのような汎用的なポリエステルについても、同様に重合装置内に設置した静電容量式の液面計により重合装置内の液位を計測して、これに基づいて重合装置に供給するモノマーの量を制御して、重合装置内の滞留時間を一定範囲内に確保することにより、開環重合反応の反応率を均一とし、生成するポリマーの性状を一様なものとすることができる。
【0098】
α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体をモノマーとする開環重合において、生成するポリマーの性状を安定させるために、静電容量式の液面計を使用して連続重合器内の反応物の量を計測し、これに基づいて反応物の供給量及び/あるいは排出量を制御して、連続重合器内の反応物の滞留時間を所定の値に維持する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明になる液面の計測法及び滞留時間の制御方式の一例を説明する概略図。
【図2】本発明になる液面の計測法及び滞留時間の制御方式の他の例を説明する概略図。
【図3】従来技術による液面の計測法を説明する概略図。
【図4】円筒電極型静電容量式液面計の構造例を説明する断面図。
【図5】平行平板電極型静電容量式液面計の構造例を説明する断面図。
【図6】静電容量式液面計による液位の実測例を示すグラフ。
【図7】横型連続重合器への静電容量式液面計の装着例を示す断面図。
【図8】静電容量式液面計の動作の一例を示す線図。
【図9】静電容量式液面計の動作の他の例を示す線図。
【図10】本発明を横型連続重合器へ適用した実施例3の構成を示す概略図。
【図11】本発明を横型連続重合器へ適用した実施例4の構成を示す概略図。
【図12】本発明を横型連続重合器へ適用した実施例5の構成を示す概略図。
【符号の説明】
【0100】
1…攪拌駆動装置、2…横置き攪拌装置、3…縦置き攪拌装置、5…供給ポンプ、6…排出ポンプ、7…触媒混合器、8…重合開始剤混合器、9…混合器、11…モノマー貯槽、12…触媒貯槽、13…重合開始剤貯槽、14…横型連続重合器、15…縦型連続重合器、21…第一のモノマー供給系統、22…第二のモノマー供給系統、23…第三のモノマー供給系統、32…触媒供給系統、33…重合開始剤供給系統、41…攪拌軸、42…超音波式液面計、43…回分式槽型重合器、51…静電容量式液面計、52…静電容量式液面計、55…制御装置、56…制御装置、71…中心電極、72…対向電極、73…中心電極、74…対向電極、75…支持部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂の連続重合方法及び装置にかかわり、特にα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体モノマーを触媒及び/あるいは重合開始剤の存在下において連続的に重合させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モノマーを重合させてポリマーを得る重合器において、重合器内の反応物の量を把握し、重合反応を制御する技術に関しては、特許文献1に記載されているように、回分式重合器において静電容量式液面計により重合器内の液面を一定の範囲内に範囲に制御して、重合器の熱収支を維持し、重合器壁面へのスケールの付着を防止する重合方法が提案されている。
【0003】
一方、連続重合器においては、ポリマーの性状を経時的に安定させるために、触媒等の添加量、重合器内の温度分布、攪拌強度等と共に、反応時間すなわち重合器内の滞留時間を一定とすることが重要な技術課題である。具体的には、滞留時間は連続重合器内においてモノマーが存在して反応が進行する部分の容積と、モノマーの供給速度により算出されるため、反応が進行する部分の容積に基づいて、モノマーの供給量を制御する必要がある。
【0004】
ポリエチレン等の最も一般的なポリオレフィン系のポリマーの重合においては、連続重合器内には重合温度において気体状態のモノマーが充満しており、重合反応が進行する部分の容積は、すなわち重合器の内容積である。従って、例えば重合器の内容積とモノマーの供給量により滞留時間が定まり、モノマーの供給量を制御することで、滞留時間の制御が可能である。
【0005】
これに対して、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマーの連続重合においては、固相あるいは液相状態にあるモノマーと、エステル化反応の生成物である水が気相として連続重合器内で共存している。反応の進行を早めるために重合器内を減圧して生成物である水を除去する方法が採用されており、重合器内に気/液の界面、すなわち液面が形成されている。従って、重合反応が進行する部分の容積は固相あるいは液相状態にあるモノマーの占める容積であり、重合器の内容積ではない。このため、液量を計測しなければ滞留時間を求めることができず、滞留時間を制御するためには液面の計測技術が必須である。
【0006】
容器内の液面を計測する技術としては、静電容量式の液面計が適用できることが知られている。しかし、ポリエステル系ポリマーの連続重合器においては、ポリマーの粘度が高く、且つ重合器の入口から出口に向かって反応物の流れがあるため、液面計への付着あるいは粘性抵抗等により正確な液面表示ができない。さらに重合反応を均一に進めるために重合器内の反応物を攪拌する攪拌翼が設置され、液面計の種類及び据付方法が大きく制約される。
【0007】
【特許文献1】特開平5−125195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリエステル樹脂の連続重合方法及びその装置に関し、重合器内の反応物の量を所定の量に保ち、反応器内の滞留時間を一定とするための重合方法及び重合装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決手段を要約すると、以下のとおりである。しかしながら、本発明の精神の範囲内で、以下に示す手段の変形も取り得ることは明らかである。
【0010】
(1)重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に重合するにあたり、重合器の液位を静電容量式液面計により計測し、該液位に基づいて該重合器への反応物の供給速度及び/あるいは該重合器からの生成物の排出速度を制御する重合方法。これによって、反応系の液位を所望の水準に維持することができる。
【0011】
(2)上記反応物はポリエステルの原料である上記重合方法。
【0012】
(3)上記反応物はα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体である上記重合方法。
【0013】
(4)上記重合器は横型連続重合器及び/又は縦型連続重合器である上記重合方法。
【0014】
(5)攪拌機を備えた重合器と、重合器内に設置された静電容量式液面計と、該重合器に、該重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に供給する原料供給手段と、上記重合器から反応生成物を排出する排出手段と、該液面計の信号により液位、たとえば該液面計の浸漬深さを求め、上記原料供給手段及び上記排出手段を制御する制御手段とを備える重合装置。
【0015】
(6)上記重合器は、反応の上流側に横型連続重合器を、下流側に縦型連続重合器を連結関係に配置した上記重合装置。
【0016】
(7)上記重合器は横型連続重合器であって、上記静電容量式液面計が上記重合器の原料入口近傍又は排出口近傍に設置された上記重合装置。
【0017】
(8)上記重合器は縦型連続重合器であって、上記重合器に複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置した上記重合装置。
【0018】
(9)該静電容量式液面計の中心電極に対向する円筒電極の面に、反応系の液体が流通する複数の穴を形成した上記重合装置。これにより、円筒電極の内面と外面の間の物質移動を促進して、液面計による液位計測の信頼性を向上することができる。
【0019】
(10)該静電容量式液面計の対向する平板電極を、反応生成物の流れ方向に実質的に平行に取り付けた上記重合装置。これにより、円筒電極の内面と外面の間の物質移動を促進して、液面計による液位計測の信頼性を向上することができるとともに、物質移動に伴う抵抗を減少して液面計の耐久性を向上することができる。
【0020】
(11)前記横型連続重合装置に上記静電容量式液面計を設置した上記重合装置。
【0021】
(12)前記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置した上記重合装置。
【0022】
(13)上記横型連続重合装置の入口近傍又は出口近傍に静電容量式液面計を、上記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を該縦型重合器の軸方向に設置した上記重合装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、たとえばポリエステル樹脂の連続重合にあたり、重合器内の反応物を含む液位を所定の水準に保ち、反応器内における反応物の所望の滞留時間を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明において対象とする連続重合装置において、液面計は反応器の反応物(原料及び反応生成物)を含む液相の有効深さ(L)の少なくとも1/5以上(液面からの深さ)、好ましくは1/4〜4/5の深さまで測定できるように設置されていることが望ましい。ここで有効深さ(L)とは、重合器に形成される予め設定された液相の深さである。実際には、連続重合器の液位は時間とともに変化しているが、上記のように、液位を測定できるように設定することにより、液位の変動があっても、適正な測定ができる。
【0025】
上記のように、液位をある深さに亘って検出する方法の他に、液面のトップに追従して液面を検出する液面計を用いることも可能であるが、追従システムが複雑化し、コストが上昇するので、工夫を要する。
【0026】
上記のとおり、本発明において使用される静電容量式液面計は、液面のトップレベルを維持するために用いられるON−OFF型ではなくて、ある範囲に亘って液位を測定できるものでなければならない。従って、液面計は、液相にある深さに亘って浸漬される浸漬型(図1、図2、図10、図11、図12の横型重合器に設置された液面計がその例である)又は一つひとつの液面計はON−OFF型であるが、全体として浸漬型として機能する液面計(図11、図12における縦型重合器に設置した液面計がその例である)が必要である。
【0027】
たとえば、縮合物が副生物として生成するポリエステルの一例である、α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体を、触媒及び/あるいは重合開始剤の存在下において連続的に重合させ、生分解性にすぐれたポリエステルを製造する方法又は装置において、重合器内の液面を連続的に計測し、この計測に基づいてモノマーと触媒及び/あるいは重合開始剤の供給量を制御して、重合器内の滞留時間を一定に保つことにより、生成するポリマーの性状を安定化させることができる。
【0028】
重合器内においては、粘度の高い反応物が攪拌された状態で存在する。この反応物の量を重合器内の液位を計測することにより評価し、これに基づいて反応物の供給速度を制御し、重合器内の反応物の滞留時間を所望の範囲内に調整する。本発明の重合器内においては、液体相と気相が共存しており、反応物は基本的に液体又は固体として、液相内に存在する。
【0029】
連続重合器内には攪拌装置等の構造物が設置されており、非接触の超音波液面計等では攪拌装置等の妨害により液面を計測することができない。接触式の液面計のうち、静電容量式液面計は測定対象物質が絶縁性であっても計測可能であり、好適な計測手法である。静電容量式の液面計を挿入し、該液面計へのモノマー類の浸透による静電容量の変化を液位の変化として検出し、該重合器に供給するモノマー類の量を制御し、該重合器内の液位を所定の範囲に維持するようにする。これによりモノマー類の該重合器内での滞留時間を所望の水準に保つことができ、生成するポリマーの反応率を一様にし、安定した性状のポリマーを得る。
【0030】
本発明において、静電容量式液面計は攪拌機の機能を阻害しないような位置に設置される。従って、横型重合器においては、反応物の入口近傍及び/又は出口近傍の、攪拌機の攪拌に障害とならない位置であって、かつ重合器の全体の液面が測定できる位置に設置する。横型重合装置において、攪拌機の攪拌翼と翼の間に液面計を設けることも可能であるが、コスト面からは、上記のように、入口及び/又は出口近傍に設けるのが良い。
【0031】
連続重合器においては、反応の進行を加速するために攪拌操作が実施される。これにより連続重合器内の液面は静止状態とはならず、上下動を繰り返すため、液面計の出力は微細な変動を示す。このような状態の液面の高さを評価するには、一定の時間ごとに液面計の出力を平均化することが有効である。攪拌機は通常回転運動を繰り返すため、一枚だけの回転翼では理想的には回転周期ごとに元の状態に戻るはずである。しかし通常は複数の回転翼が並べられた構造を持っており、他の攪拌翼からの影響もあって、回転周期ごとの平均では不十分である。すなわち、攪拌翼の回転周期よりも長い時間間隔で、液面計の出力を平均することが望ましい。
【0032】
液面計の出力を一定の時間間隔で平均する回路を取り付け、これにより得られた平均値を液面の高さに関する情報として、制御装置に送り、連続重合器への供給ポンプあるいは排出ポンプの流量制御に利用する。
【0033】
一般的に化学反応において、反応速度は温度、圧力及び反応物の濃度により定まり、実際の反応器における反応率への適用に当たっては、反応速度を反応の時間に亘って積分しなければならない。これにさらに、加熱あるいは冷却の方式及び反応熱の発生に起因する反応器内の温度分布、反応物の供給と反応器の形状にかかわる反応物の拡散の影響、及びこれと密接に関連する、攪拌と反応物の供給、生成物の排出を含む、反応器内の反応物の流動等の影響を考慮しなければならない。
【0034】
連続重合器において、重合器内の圧力が一定で、温度分布が一様で、重合器内の攪拌が十分行われて触媒及び/あるいは重合開始剤の量が確保されていれば、反応速度は一定となり、重合反応の反応率を決めるのは滞留時間τ(h)である。滞留時間τ(h)の定義は、反応場の容積V(m3)と反応物の供給速度F(m3/h)から次式により算出される。
【0035】
τ=V/F ………………………………式(1)
ポリオレフィン系ポリマー、例えばポリプロピレンの重合においては、モノマーであるプロピレンは重合条件においてガスであり、重合器に供給されたプロピレンは容器内に拡散し、連鎖的に重合反応を起こす。従って(1)式の反応場の容積Vは重合器の内容積に等しく、滞留時間は重合器の内容積とモノマーの供給速度から算出することができる。すなわち、モノマーの供給速度を一定とすることで滞留時間を一定に保つことができる。
【0036】
ポリエステル系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレートの重合においては、次式に示すようにエチレングリコール(HO−C2H4−OH)とテレフタル酸(HO−(CO)−C6H4−(CO−OH)を反応させ、生成したエステルを脱水縮合させて重合物を得る。
【0037】
【化1】
【0038】
ポリエステル系ポリマーの重合においては、モノマーは重合条件において液体(エチレングリコール、ラクチド)あるいは固体(テレフタル酸)であり、重合器内において凝縮相を形成している。従って、重合器内をモノマーで満たす満液運転をする場合には、ポリオレフィン系の場合と同じく重合器の容積をモノマー供給速度で割ることにより算出することができる。
【0039】
しかし、ポリエステル系ポリマーの重合においては反応の過程において、ガス状の副生物が発生し、これを減圧下で除去しながら脱水縮合を進めるため、重合器内を反応物で満たして重合させることはできず、重合器内において凝縮相とガス相の2相が共存することになる。この場合には、重合器の内容積と反応の場の容積は一致しないことになる。従って、滞留時間の算出にあたっては、重合器内の反応物の示す容積すなわち凝縮相の容積を評価することが必要になる。
【0040】
ポリ乳酸は、分子内にエステル結合を持つポリエステルの一種であり、環境中において水分及び微生物等の働きにより次第に分解されるという、生分解性にすぐれたプラスティック素材で、今後さまざまな用途に利用が広がると期待されている。
【0041】
ポリ乳酸の合成法としては、最も代表的なα−ヒドロキシカルボン酸である乳酸を直接重合させるほかに、乳酸の環状の二量体であるラクチドを、次式に示すように、2−エチルヘキサン酸スズのような触媒の働きにより、1−ドデカノールのような重合開始剤と反応させて開環してエステルを形成させ(式(4))、これに連鎖的にラクチドが反応してポリ乳酸を生成する(式(5))方式も知られている。
【0042】
【化2】
【0043】
ここで、Rは重合開始剤としてアルコールを使用した場合はそのアルコールのアルキル基であり、水を重合開始剤とした場合はHである。
【0044】
ポリ乳酸の重合においては、減圧条件下での操作はないが、パージガスラインあるいは各センサプローブの挿入口等があるため、重合器内を反応物で満たして重合を進めることはできない。反応温度においてラクチドは溶融しており、これに反応温度における蒸気圧分のラクチドが共存している。反応は液相において進行するため、滞留時間を管理する上で、液位の把握は重要である。一方、ポリ乳酸の生産性を高めるために、重合器を二段直列に配置して反応率を高める工夫もなされている。生成物であるポリ乳酸と原料であるラクチドは互いに溶融した状態で存在し、反応の進行とともに重合器内の反応物の粘度が上昇し、ラクチドが液相中を拡散する際の抵抗となり、反応を抑制する方向に作用する。このため、反応時間すなわち連続重合器内の滞留時間を厳密に管理することが重要となる。
【0045】
本発明によれば、重合器の重量を計測して空の重合器の重量との差を計測することにより重合器内に存在する反応物の容積を計測する方法に比べ、制御の精度が高い。なぜならば、上記重量計測法では、重合器の支持架台等の影響により重合器の重量を正確に評価することは困難であり、さらに重合器の重量に対して内容物の重量の比が小さく測定精度が低いという問題があるが、本発明ではこのような問題がない。
【0046】
また、重合器の底面で反応物の深さに比例する圧力を計測し、これに基づいて液の深さを評価する方法もあるが、横型連続重合器の場合には液の深さは浅く、精度の面で問題があるのに対し、本発明では、この問題がない。
【0047】
また、液面の高さを計測する方法においては、重合器内の液面の高さを計測して液量を算出することができる。液面の高さを検出する方法としては、重合器の上部に超音波、マイクロ波、放射線等の発信装置を取り付け、超音波、マイクロ波、放射線等が液面から反射してくる時間を計測し、液面までの距離を計測する方法が知られている。例えば、図3に示すように回分式の槽型反応器の上面に液面計と設置し、液面からの反射波を計測することにより、液面の高さに関する情報を得ることができる。
【0048】
しかし、連続重合器においては、攪拌設備等を備えた重合器構造の複雑さ、200℃程度の温度条件、常圧から1kPa程度の減圧までの幅広い圧力条件等の理由により反射波を計測する方法には困難が伴う。本発明によれば、このような問題がない。
【0049】
また、一般的な連続重合器である横型連続重合器に対して本発明を適用する場合は、図1に示すように、液面に対して垂直方向に回転する攪拌翼が備え付けられ、これが回転することにより、液面の上に攪拌翼が露出し、例えば、超音波式の液面計を使用すると、この攪拌翼が超音波を散乱させることになる。また縦型連続重合器では、攪拌翼は液面に平行に回転するため、最上位の攪拌翼よりも液面が下位に位置する場合、液面を計測することは不可能である。
【0050】
また、液面にフロートを浮かせ、フロートの上下への移動量を計測する方法がある。しかしこの方法では、フロートおよびそれに付随する信号検出装置が攪拌の障害となる惧れがある。本発明で採用した静電容量式液面計はそのような障害を起こさないように設置できる。
【0051】
更に、重合器に側管を取り付け、側管の液位から重合器内の液面の位置を計測する方法がある。しかしこの方法では、高粘度のポリマーを測定対象とした場合に、側管の液面の挙動が正確には重合器内の液面の挙動を反映できず、時間的な遅れを伴うという問題がある。本発明によれば、上記の問題がない。
【0052】
また、上記の方法と類似する方法として、重合器の側面に窓を取り付け、窓から液面の位置を直接計測する方法がある。しかしこの方法では、縦型連続重合器の場合には、重合器の上部から下部に亘って、加熱用ジャケットを貫通して窓を取り付ける必要があり、現実的ではない。また攪拌機構を持つ連続重合器に設置する場合、攪拌翼の挙動と液面の挙動を明確に区別する必要がある。本発明で採用した静電容量式液面計においては、重合器それ自体に対する制約がなく、容易に液面計を設置することができる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、上記の各種液面検出方法より好適な方法として、反応物中に二つの電極によって構成されるプローブを浸漬し、この電極の間に浸透する反応物の誘電率に比例する静電容量を計測する方法を採用したものである。反応物中にプローブが浸漬されると、対向する電極間が反応物により満たされる。反応物によって満たされた電極面積すなわち浸漬深さに比例して、電極間の静電容量が変化する。図8に示すように、液面計が浸漬される深さ、すなわち液面の高さに比例した出力が得られ、これに基づいて液面の高さを知ることができる。この方法は電極間の静電容量を計測するため、ポリマー等の非導電性物質にも適用が可能である。
【0054】
本発明において対象となる重合反応系の液体相は実質的に電気絶縁性であり、従って、静電容量式液面計が適している。また、測定に使用する電流は直流が適している。
【0055】
プローブの形状としては、図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)に示すように、二つの電極の配置及び形状により、図4に示す円筒電極型と図5に示す平行平板電極型に分類できる。図4(a)は円筒電極の縦断面図であり、(b)はその正面断面図である。また、図5(a)は平行板電極の縦断面図で、(b)はその生面断面図である。図に示した配置で測定対象物中に浸漬し、電極間に測定対象物が進入することによる静電容量の変化を電気的に検出する。一般的には、中心電極71の周りを円筒状の対向電極72で保護する図4の円筒電極型が各種の用途に広く使用されている。これに対して、図5に示すように、平板状の中心電極73の両側を互いに平行な対向電極74で挟んだ3枚積層の構造とすることにより、2枚を平行に対向させた電極に比べて、外乱を受けにくい高精度の平行平板電極型の液面計とすることができる。平行平板電極型の液面計では電極間の間隔を一定に保つために、支持部材75を装着することが好ましい。
【0056】
円筒型電極を使用する静電容量式の液面計を高粘度のポリマーの液面計測に適用する場合、中心電極と対向する保護管を兼ねる外周の電極の間に被測定物であるポリマーが十分に浸透し、外周と同じ液位にあることが必要である。水のような粘度の低い液体の場合、管の内側と外側の液位が等しくなることは容易に達成される。しかし、生成するポリマーは粘度が高いため、粘性抵抗により管の内側の液位が低くなる傾向にある。また、攪拌や流れ等の外乱があると、若干の時間的な遅れを生じる。
【0057】
このような問題点を解決するために、例えば、外周側の電極に穴を開け、ここを通って内部の液が更新できるようにすれば、円筒電極の内外での液位の差を小さくし、あるいは時間的な遅れを小さくすることができる。
【0058】
また、平行な板を対向させ、この電極をポリマーの流れ方向に平行に設置することにより、液位の差をなくすことができ、且つ液の更新が容易に行えるようになる。
【0059】
連続重合器への適用に当たってのもう一つの問題点として、液面計の出力は浸漬される反応物の誘電率に比例するため、反応の進行に伴い誘電率が変化する場合には注意が必要である。図1に示すように連続重合器の入口側に設置する場合は、入口の原料の誘電率に準拠して、図2に示すように連続重合器の出口側に設置する場合は、出口の生成物の誘電率に準拠して、それぞれ出力を調整しなければならない。
【0060】
静電容量式液面計の出力に基づいて、連続重合器への供給量及び/あるいは排出量を調節し、連続重合器内の液面を一定の範囲に制御することにより、連続重合器内の滞留時間を一定の範囲内に保つ。これにより重合反応の反応率を所定の水準に維持し、生成するポリマーの性状を安定させる。
【0061】
連続重合器としては、横型又は縦型のものを利用することができる。いずれも重合器内には攪拌装置を設置する。この攪拌装置により、反応物の攪拌、反応物の搬送、排出等を促進することができる。攪拌装置を設置するため、その攪拌装置と接触しないように液面計を配置する。生成物が高粘度であるので、攪拌装置を持たない、押し出しによる管型の連続重合器は適さない。
【0062】
横型の重合器では、重合器の中心軸が水平方向に位置する。液面は重合器の中心軸方向に実質的に平行に形成され、反応物の流れは重合器の軸方向に進む。液面計は図7に示すように、重合器の半径方向に挿入する形で設置される。一般には、管の中心には攪拌機の軸41があるので、図7に示すように、液面計51を重合器14の底まで通すためには軸41からずれた位置に設置する。液面計51を挿入する位置には攪拌翼は装着しないようにする。
【0063】
縦型の重合器では、重合器の中心軸は垂直方向に位置する。液面は重合器の半径方向にほぼ平行に配置され、反応物の流れは重合器の中心軸方向に進む。液面計の設置の仕方として、二つの方法がある。一つは、重合器の中心軸方向に平行に挿入する場合で、この場合は横型の重合器の場合と同じく、液面計の出力は液面の高さの関数として出力される。しかしこの方法では、重合器内に攪拌装置を設置する場合、攪拌装置はこの液面計を避ける必要があり、このために重合器内に攪拌できない領域が発生する。
【0064】
もう一つは、管の半径方向に設置する場合であるが、この場合には液面計は液面と平行に設置されることになり、液面の位置によっては液面計が液中に浸漬されない場合も発生し得る。これを避けるために、複数の液面計を液面に実質的に平行に軸方向に並べて挿入する。この場合には、横型の場合とは異なり、液に浸漬されている位置の液面計は浸漬状態(on−状態とする)と同じ信号を出力し、液に浸漬されていない位置の液面計は非浸漬状態(off−状態とする)と同じ信号を出力する。この複数の液面計からの信号を処理して、図9に示すように、液面の高さがステップ状の信号として得られる。
【0065】
静電容量式液面計の出力に基づくポンプ出力の制御に関しては、例えば、図7に示す例では、図8に示すように、所定の液位に対応する液面計の出力を設定しておき、これと測定値との差分に比例してポンプ出力を増減させる方法、あるいは測定値の時間的変化に応じてポンプ出力を変化させる方法等、公知の制御方式を適用することができる。
【0066】
また、図9に示すon−off式の液面計の場合には、所定の液面から増減があった場合に、例えば、ステップ状にポンプ出力を増減させる方法を適用することができる。あるいは所定の液面から上昇した場合には、一定速度でポンプ出力を低下させ、液面が低下すると、一定速度でポンプ出力を増加させることもできる。
【0067】
ポンプとしては、ギヤポンプ、プランジャーポンプ等を利用することができる。ギヤポンプを使用する場合にはモーターの回転数の制御によりポンプ出力、すなわち供給ポンプの場合は連続重合器への供給量を、排出ポンプの場合は連続重合器からの排出量を制御することができる。プランジャーポンプの場合は、モーターの回転数あるいはプランジャーのストローク長を制御することによりポンプ出力を制御することができる。
【0068】
α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体の開環重合反応において、連続重合器内の液位を静電容量式液面計により計測し、この出力に基づいて連続重合器への供給量及び/あるいは排出量を制御することにより、連続重合器内の液位を所定の液位に保つ。これにより、連続重合器内の滞留時間をほぼ一定とし、反応率の変動を抑制し、生成するポリマーの性状を安定させることができる。
【0069】
静電容量式の液面計を備えた連続重合器を用い、モノマーと触媒及び/あるいは重合開始剤の混合物を該連続重合装置に供給する系統を備え、該連続重合器からポリマーを排出する系統を備え、該静電容量式の液面計からの該連続重合器内の液位に関する出力に基づいて、モノマーと触媒及び/あるいは重合開始剤の混合物の供給速度及び/あるいはポリマーの排出速度を制御し、該連続重合器内における滞留時間をほぼ一定の範囲内に維持し、生成するモノマーの性状を安定させる。
【0070】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0071】
図1に示す連続重合装置は、重合器14の出口近傍に静電容量式液面計51を設置したものである。液面はモーター1に接続された攪拌機2によって脈動するが、静電容量式液面計により平均液位が検出され、その検出値に基づいて制御装置55により、ポンプ5の原料の供給量が制御される。液面計は、攪拌機の攪拌軸41に対して障害とならないように、図7のように配置する。
【実施例2】
【0072】
図2に示す構成は図1とほぼ同様であるが、液面計を重合器14の入口近傍に設置する点が異なっている。図1と図2の構成を比較した場合、図1の構成が、反応物による液面変化を正しく捉えることができるので、より好ましい。
【実施例3】
【0073】
ラクチドの開環重合において、静電容量式液面計を横型連続重合器及び縦型連続重合器に適用した実施例を、図10により説明する。
【0074】
ポリエステルの重合においては、重合の前半は反応物の粘度が低いが、反応の進行につれて粘度が上昇し、かつ反応の発熱量も大きくなる。そのために、反応の前半においては横型重合器を用い、反方の後半においては縦型重合器を用いるのが合理的である。そのため、図10〜12においてはこのような構成をとっている。
【0075】
ラクチドの重合には触媒として2−エチルヘキサン酸スズを、重合開始剤として1−ドデカノールを使用する。温度を110℃に設定したラクチド貯槽11よりラクチド供給の管路を3系統設け、このうち第二のモノマー供給系統22は全ラクチド供給量の5%を分担し、触媒貯槽12から触媒供給管路32を経て供給される所定量の触媒と合流させ、触媒混合器8にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0076】
ラクチド貯槽11からの第三のモノマー供給系統23は全ラクチド供給量の10%を分担し、重合開始剤貯槽13から重合開始剤供給管路33を経て供給される所定量の重合開始剤と合流させ、重合開始剤混合器7にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0077】
ラクチド貯槽11からの第一のモノマー供給系統21は全ラクチド供給量の85%を分担し、管路の温度を110℃に設定し、混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0078】
静電容量式液面計51は、横型連続重合器14の出口側に取り付け、出力は制御装置55を経由して供給ポンプ5に接続され、横型連続重合器14へのラクチドと触媒及び重合開始剤の混合物の供給量を制御する。重合開始後、横型連続重合器14の上面に取り付けられたのぞき穴(図示せず)から、液面の高さが横型攪拌装置2の回転軸を覆うのを確認して、これを標準の液面高さに設定し、液面計の出力と対応させた。この液面の高さは、滞留時間で5時間に相当する。このときの液面計の出力は1.67Vであった。
【0079】
横型連続重合器14から排出ポンプ6により排出されたポリマーは、縦型攪拌装置3を備えた縦型連続重合器15に供給される。縦型連続重合器15においては、重合開始時の仕込み量と、供給量及び排出量のバランスにより、滞留時間をおよそ5時間確保して反応させた後、ポリマーは排出ポンプ6により排出される。
【0080】
約10時間にわたって供給ポンプ5の流量を制御しながら、液面計51の出力をプロットした例を図6に示す。最初設定水準よりも高い出力が得られたので、供給ポンプ5の出力を低下させて供給量を絞った。これにより液面は次第に低下し、30時間を経過したあたりから設定水準を下回るようになったので、今度は逆に供給ポンプ5の出力を上昇させて供給量を増やした。これによりほぼ安定した液面の高さを維持することができ、5時間の滞留時間を確保することができた。
【0081】
この間に、排出ポンプ6により排出されたポリマーの平均分子量及びラクチドの転化率を、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定した結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
それによると、いずれのポリマーも重量平均分子量はおよそ12万、ラクチド転化率は82%で、安定した性状のポリ乳酸が得られた。
【0084】
本実施例によれば、ラクチドの開環重合によるポリ乳酸の製造において、図10に示す横型連続重合器及び縦型連続重合器よりなる二段の重合装置を用い、静電容量式の液面計により横型連続重合器の液位を制御することにより、横型連続重合器内の滞留時間を5時間確保でき、安定した性状のポリ乳酸を得ることができた。
【実施例4】
【0085】
ラクチドの開環重合において、静電容量式液面計を縦型連続重合器に適用した実施例を、図11により説明する。ラクチドの重合には触媒として2−エチルヘキサン酸スズを、重合開始剤として1−ドデカノールを使用する。温度を110℃に設定したラクチド貯槽11よりラクチド供給の管路を3系統設け、このうち第二のモノマー供給系統22は全ラクチド供給量の5%を分担し、触媒貯槽12から触媒供給管路32を経て供給される所定量の触媒と合流させ、触媒混合器8にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0086】
ラクチド貯槽11からの第三のモノマー供給系統23は全ラクチド供給量の10%を分担し、重合開始剤貯槽13から重合開始剤供給管路33を経て供給される所定量の重合開始剤と合流させ、重合開始剤混合器7にて混合する。この経路は混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0087】
ラクチド貯槽11からの第一のモノマー供給系統21は全ラクチド供給量の85%を分担し、管路の温度を110℃に設定し、混合器9を経て横型攪拌装置2を備えた横型連続重合器14に接続される。
【0088】
横型連続重合器14において、初期の仕込み量及び供給量と排出量のバランスにより、およそ5時間の滞留時間を確保して反応させたポリマーは排出ポンプ6により排出され、縦型攪拌装置3を備えた縦型連続重合器15に供給される。
【0089】
縦型連続重合器15においては、軸方向に5台の静電容量式液面計52を等間隔で重合器に挿入した。静電容量式液面計52はon状態、すなわち反応物に浸漬した状態で5Vの出力を示し、off状態、すなわち反応物に浸漬していない状態で1Vの出力を示すように調整されている。5台の静電容量式液面計52からの出力は制御装置56に入力され、下から3段目の液面計の出力がon状態であれば、排出ポンプ6の排出量を減らし、off状態であれば排出ポンプ6の排出量を増やすよう設定した。下から3段目の液面計の位置が液面に一致していれば、滞留時間は5時間に相当する。
【0090】
これにより横型連続重合器14においておよそ5時間、縦型連続重合器15においておよそ5時間の滞留時間が設定された。生成物であるポリマーは縦型連続重合器15より排出ポンプ6により排出される。このポリマーをサンプリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより分析したところ、表1とほぼ同等の平均分子量及びラクチド転化率を持つ、安定した性状のポリ乳酸が得られた。
【0091】
本実施例によれば、ラクチドの開環重合によるポリ乳酸の製造において、横型連続重合器及び縦型連続重合器よりなる二段の重合装置を用い、静電容量式の液面計により縦型連続重合器の液位を制御することにより、縦型連続重合器内の滞留時間を5時間確保でき、安定した性状のポリ乳酸を得ることができた。
【実施例5】
【0092】
ラクチドの開環重合において、静電容量式液面計を縦型連続重合器に適用した実施例を、図12を用いて説明する。図12においては、横型重合器及び縦型重合器の両方に静電容量式液面計を設置している。ラクチドの重合には触媒として2−エチルヘキサン酸スズを、重合開始剤として1−ドデカノールを使用する。実施例4と同様にモノマーを分岐して触媒及び重合開始剤を希釈、混合して横型連続重合器に供給した。
【0093】
図12の横型連続重合器14において、初期の仕込み量及び供給量と排出量のバランスにより、およそ4時間の滞留時間を確保して反応させたポリマーは排出ポンプ6により排出され、縦型攪拌装置3を備えた縦型連続重合器15に供給される。実施例4と同様に静電容量式液面計を配列して液面を計測して、下から4段目の液面計のon/offにより、縦型連続重合器内15の滞留時間を6.5時間確保し、得られたポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフにより分析した。分析結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
それによると、いずれのポリマーも重量平均分子量はおよそ14万、ラクチド転化率は90%で、安定した性状のポリ乳酸が得られた。
【0096】
本実施例によれば、ラクチドの開環重合によるポリ乳酸の製造において、横型連続重合器及び縦型連続重合器よりなる二段の重合装置を用い、静電容量式の液面計により縦型連続重合器の液位を制御することにより、縦型連続重合器内の滞留時間を6.5時間確保でき、安定した性状のポリ乳酸を得ることができた。
【0097】
上記実施例の説明は生分解性を持つポリ乳酸を対象にしてきたが、本発明は他のα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体、例えばグリコール酸の二量体であるグリコリドの重合にも適用できる。さらにはポリエチレンテレフタレートのような汎用的なポリエステルについても、同様に重合装置内に設置した静電容量式の液面計により重合装置内の液位を計測して、これに基づいて重合装置に供給するモノマーの量を制御して、重合装置内の滞留時間を一定範囲内に確保することにより、開環重合反応の反応率を均一とし、生成するポリマーの性状を一様なものとすることができる。
【0098】
α−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体をモノマーとする開環重合において、生成するポリマーの性状を安定させるために、静電容量式の液面計を使用して連続重合器内の反応物の量を計測し、これに基づいて反応物の供給量及び/あるいは排出量を制御して、連続重合器内の反応物の滞留時間を所定の値に維持する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明になる液面の計測法及び滞留時間の制御方式の一例を説明する概略図。
【図2】本発明になる液面の計測法及び滞留時間の制御方式の他の例を説明する概略図。
【図3】従来技術による液面の計測法を説明する概略図。
【図4】円筒電極型静電容量式液面計の構造例を説明する断面図。
【図5】平行平板電極型静電容量式液面計の構造例を説明する断面図。
【図6】静電容量式液面計による液位の実測例を示すグラフ。
【図7】横型連続重合器への静電容量式液面計の装着例を示す断面図。
【図8】静電容量式液面計の動作の一例を示す線図。
【図9】静電容量式液面計の動作の他の例を示す線図。
【図10】本発明を横型連続重合器へ適用した実施例3の構成を示す概略図。
【図11】本発明を横型連続重合器へ適用した実施例4の構成を示す概略図。
【図12】本発明を横型連続重合器へ適用した実施例5の構成を示す概略図。
【符号の説明】
【0100】
1…攪拌駆動装置、2…横置き攪拌装置、3…縦置き攪拌装置、5…供給ポンプ、6…排出ポンプ、7…触媒混合器、8…重合開始剤混合器、9…混合器、11…モノマー貯槽、12…触媒貯槽、13…重合開始剤貯槽、14…横型連続重合器、15…縦型連続重合器、21…第一のモノマー供給系統、22…第二のモノマー供給系統、23…第三のモノマー供給系統、32…触媒供給系統、33…重合開始剤供給系統、41…攪拌軸、42…超音波式液面計、43…回分式槽型重合器、51…静電容量式液面計、52…静電容量式液面計、55…制御装置、56…制御装置、71…中心電極、72…対向電極、73…中心電極、74…対向電極、75…支持部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に重合するにあたり、重合器の液位を静電容量式液面計により計測し、該液位に基づいて該重合器への反応物の供給速度及び/あるいは該重合器からの生成物の排出速度を制御することを特徴とする重合方法。
【請求項2】
上記反応物はポリエステルの原料である請求項1記載の重合方法。
【請求項3】
上記反応物はα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体である請求項1記載の重合方法。
【請求項4】
上記重合器は横型連続重合器及び/又は縦型連続重合器であることを特徴とする請求項1に記載の重合方法。
【請求項5】
攪拌機を備えた重合器と、重合器内に設置された静電容量式液面計と、該重合器に、該重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に供給する原料供給手段と、上記重合器から反応生成物を排出する排出手段と、該液面計の信号により液位を求め、上記原料供給手段及び上記排出手段を制御する制御手段とを備える重合装置。
【請求項6】
上記重合器は、反応の上流側に横型連続重合器を、下流側に縦型連続重合器を連結関係に配置した請求項5記載の重合装置。
【請求項7】
上記重合器は横型連続重合器であって、上記静電容量式液面計が上記重合器の原料入口近傍又は排出口近傍に設置された請求項5記載の重合装置。
【請求項8】
上記重合器は縦型連続重合器であって、上記重合器に複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置したことを特徴とする請求項5に記載の重合装置。
【請求項9】
該静電容量式液面計の中心電極に対向する円筒電極の面に、反応系の液体が流通する複数の穴を形成したことを特徴とする請求項5に記載の重合装置。
【請求項10】
該静電容量式液面計の対向する平板電極を、反応生成物の流れ方向に実質的に平行に取り付けたことを特徴とする請求項5に記載の重合装置。
【請求項11】
上記横型連続重合装置に上記静電容量式液面計を設置した請求項6記載の重合装置。
【請求項12】
上記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置した請求項6記載の重合装置。
【請求項13】
上記横型連続重合装置の入口近傍又は出口近傍に静電容量式液面計を、上記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を該縦型重合器の軸方向に設置した請求項6記載の重合装置。
【請求項1】
重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に重合するにあたり、重合器の液位を静電容量式液面計により計測し、該液位に基づいて該重合器への反応物の供給速度及び/あるいは該重合器からの生成物の排出速度を制御することを特徴とする重合方法。
【請求項2】
上記反応物はポリエステルの原料である請求項1記載の重合方法。
【請求項3】
上記反応物はα−ヒドロキシカルボン酸の環状二量体である請求項1記載の重合方法。
【請求項4】
上記重合器は横型連続重合器及び/又は縦型連続重合器であることを特徴とする請求項1に記載の重合方法。
【請求項5】
攪拌機を備えた重合器と、重合器内に設置された静電容量式液面計と、該重合器に、該重合器内の重合条件下で液体又は固体の反応物を連続的に供給する原料供給手段と、上記重合器から反応生成物を排出する排出手段と、該液面計の信号により液位を求め、上記原料供給手段及び上記排出手段を制御する制御手段とを備える重合装置。
【請求項6】
上記重合器は、反応の上流側に横型連続重合器を、下流側に縦型連続重合器を連結関係に配置した請求項5記載の重合装置。
【請求項7】
上記重合器は横型連続重合器であって、上記静電容量式液面計が上記重合器の原料入口近傍又は排出口近傍に設置された請求項5記載の重合装置。
【請求項8】
上記重合器は縦型連続重合器であって、上記重合器に複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置したことを特徴とする請求項5に記載の重合装置。
【請求項9】
該静電容量式液面計の中心電極に対向する円筒電極の面に、反応系の液体が流通する複数の穴を形成したことを特徴とする請求項5に記載の重合装置。
【請求項10】
該静電容量式液面計の対向する平板電極を、反応生成物の流れ方向に実質的に平行に取り付けたことを特徴とする請求項5に記載の重合装置。
【請求項11】
上記横型連続重合装置に上記静電容量式液面計を設置した請求項6記載の重合装置。
【請求項12】
上記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を重合器の軸方向に設置した請求項6記載の重合装置。
【請求項13】
上記横型連続重合装置の入口近傍又は出口近傍に静電容量式液面計を、上記縦型連続重合装置に、複数の静電容量式液面計を該縦型重合器の軸方向に設置した請求項6記載の重合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−111706(P2006−111706A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299667(P2004−299667)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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