説明

重機の制御

本発明は、例えばタービンまたはプロペラなどの回転作業機械(P)の回転速度を制御するためのシステムであって、前記回転作業機械(P)は、少なくとも1台のモーター(M1)に連結され、前記モーター(M1)によって提供される所定の回転速度により回転されるように構成され、前記モーター(M1)は、制御システム(C)に接続され、前記モーター(M1)の前記回転速度は、前記制御システム(C)によって制御されるように構成されている。前記回転作業機械(P)は、調整可能に構成された負荷制御(PC)を有し、前記制御システム(C)は、前記回転作業機械(P)に接続されている。本発明により、選択可能な複数の回転速度の間でソフトに遷移を行うことができ、所要エネルギーの変更に合わせて前記モーター(M1)の前記サイズおよび回転速度をステップバイステップで調整してエネルギー消費を削減する。
【代表図】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーが100kWを超える機械など、重機の回転速度およびパワーの制御のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境と気候は今日重要な側面であり、多くの分野で考慮されている。この点は、特に工業とおよび運輸において重要であり、電気エネルギーおよび燃料の消費と、環境に有害な排気の排出量の削減とが考慮されている。本発明は、機械の始動、停止および動作が、エネルギーを効率的に使用して行われるような部品とその構成を使用することで、大型機械におけるエネルギーの有効利用と、機械のエネルギー効率の高い動作に寄与し、環境に有害な排気の排出量を削減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば船舶で使用されるような重機の回転速度およびパワーの制御のための既存のシステムの一部は、機械的負荷の制御のほかに、回転速度をゼロと最大(100%)で切り替えることができる。しかし、このシステムは、船舶が停泊中であっても、モーターを最大回転速度で回転させるため、機械的な負荷系により機械損失を発生させる。また、このような形の機械制御では騒音が問題となる。
【0004】
多くの場合、既存の電気機械式システムでは突入電流の問題が存在する。電気モーターが直接スターター(direct
start)と連結されると、いわゆる公称電流の10倍となる突入電流を消費する、すなわち、モーターが、この高速かつ大きな加速を行うために、極めて多くの電流を要求とする。この状態は、モーターの負荷に応じて、例えば、0.5秒から数秒間続く。この短時間の急加速を行うには、利用可能な電力が大量に必要となり、この電力は、加速をより精密に制御することで節約することができる。
【0005】
米国特許第4,525,655号明細書は、複雑な複円ギア系を介して共通のシャフトに機械的に連結された大小の2台の電気モーターを有する電気モーター駆動システムが開示している。小さなモーターは、作業の起動時に大きなモーターを加速するために使用され、モーターの始動で多量の電力が消費されるのを防ぐことができる。タコメータが比較回路に信号を送信し、2台のモーターに供給する電力を制御している。2台のモーターの速度が等しいときは、制御ユニットは2台のモーターに供給する電力を均衡させる。一方のモーターは、好ましくはもう一方のモーターの2倍のパワーを有する。
【0006】
英国特許第101,809号明細書は、ポニーモーターによって同期機械を始動するためのシステムを開示している。ポニーモーターが、同期モーターが所望の速度に達するのを補助すると、機械式スイッチによりポニーモーターがオフにされる。当該文献は1916年に刊行されており、ポニーモーターの原理が長年知られている原理であることがわかる。
【0007】
英国特許第539,203号明細書は、印刷機または他の機械に使用するための、大小の2台の電気モーター(交流または直流)の駆動装置に関する発明に関する。2台のモーターは、シャフトと電磁クラッチによって連結されている。モーターを制動するためにブレーキが使用される。モーターを反転させるために反転スイッチが使用される。小さなモーターは、クラッチによって印刷機を始動させ、その後、大きなモーターが、印刷機の動作を引き継ぎ、クラッチによって小さなモーターが切断される。
【0008】
米国特許第6,297,610号明細書は、複数の電気ユニットの制御に使用することができるシステムを開示している。
【0009】
このため、機械が作業を行わないときに、機械負荷損失を低減または解消し、モーターの制御が簡単であり、費用効率が高く、メンテナンスフリーな電気式駆動システムが求められている。モーターのアイドル動作時の高い騒音レベルに関する問題を軽減することが好ましい。これは、多くのタイプの代替の電気式駆動システムで問題となる電気的擾乱の解消にも当てはまる。また、回転速度の切り替え時に機械がソフトに加速し、同時に、加速に必要な所要量のパワーのみが機械に供給されるシステムも求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、重機の回転速度およびパワーの無段調節のためのシステムを提供することによって上記の問題を解決する。このシステムは、既存のシステムよりも小型で、設計が単純であり、複雑な部品点数が少なく、電気的擾乱を発生させず、費用効率が高い。このようなシステムは、コンピュータによる制御システム、電気制御ボード、および制御対象の作業機械に連結されたモーターを有する。上記の問題を解決するシステムは、例えば、通風機の制御、処理プラントのポンプまたはコンプレッサ、航空機または船舶の調節可能なウィングを有するプロペラの制御、風力タービンまたは水力発電機に使用できる。上述の本発明の目的は、上に記載し、添付の請求の範囲に記載のシステムを提供することによって達成される。
【0011】
このため、本発明は、例えばタービンまたはプロペラなどの回転作業機械の回転速度およびパワーの制御のためのシステムを提供し、前記回転作業機械は、少なくとも1台のモーターまたは発電機に連結され、前記モーターによって与えられる回転速度で回転されるように構成されている。前記モーターまたは発電機は、制御システムに接続され、前記モーターまたは発電機の前記回転速度は、前記制御システムによって制御されるように構成されている。前記回転作業機械は、調整可能に構成された負荷制御を有する。前記制御システムは、前記回転作業機械に接続され、前記回転作業機械における前記負荷制御を制御するように構成されている。このため、本発明により、選択可能な複数の回転速度の間でソフトに遷移を行うことができ、所要パワーの変更に合わせて前記モーターの前記サイズおよび回転速度をステップバイステップで調整してエネルギー消費を削減する。
【0012】
本発明に係る好適な実施形態では、前記制御システムは、第1の制御ボードに接続されてこれを制御するように構成され、前記第1の制御ボードは、前記モーターまたは発電機に接続されてこれを制御するように構成されている。
【0013】
本発明に係る別の好適な実施形態では、前記第1の制御ボードは、少なくとも1組のサイリスタと、付属の制御電子部品を有する電流センサなどの少なくとも1つのセンサとを有する。前記システムが、利用可能な電力が限られているプラントで使用するのに適するように、前記サイリスタは突入電流および始動トルクを制御できるようにする。
【0014】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記モーターまたは発電機が回転速度を指示する信号を取得するように、前記制御ボードは、少なくとも2つの接触子も有する。前記接触子は、大きなパワーを必要とする比較的大きなモーターを扱うことができる。
【0015】
本発明に係る別の好適な実施形態では、前記制御ボードは、少なくとも2組のサイリスタと少なくとも2つのセンサとを有する。前記システムが、利用可能な電力が限られているプラントで使用するのに適するように、前記サイリスタは前記モーターまたは発電機の突入電流および突入トルクを制御できるようにする。
【0016】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記モーターまたは発電機の前記回転速度を無段階制御できるように、前記制御ボードは、少なくとも1つの周波数変換器と少なくとも1つのセンサとを有する。
【0017】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記システムは、シャフトを介して相互連結されている少なくとも1台の第1のモーターまたは発電機と少なくとも1台の第2のモーターまたは発電機とを有する。前記第1のモーターまたは発電機の前記始動負荷が大きくなり過ぎるのを抑え、前記加速がソフトかつ制御されて行われるように、前記第2のモーターまたは発電機は、前記第1のモーターまたは発電機が高速の回転速度に達するのを支援するように構成されている。
【0018】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記第1のモーターまたは発電機と前記第2のモーターまたは発電機とは、第1および第2の制御ボードにそれぞれ接続されてこれらによって制御されるように構成されている。
【0019】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記第1のモーターまたは発電機は少なくとも1種類の第1の速度を有し、前記第2のモーターまたは発電機は少なくとも1種類の第2の速度を有する。
【0020】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記第1のモーターまたは発電機の前記パワーは、前記第2のモーターまたは発電機の前記パワーの3〜10倍である。
【0021】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記サイリスタは、三相の逆並列接続されたサイリスタまたは相当するパワー半導体である。
【0022】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記システムは、周波数が50Hzの外部電力源に接続されている。
【0023】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記回転作業機械は、例えば100kWを超えるパワーを有する。
【0024】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記制御システムは、前記モーターとの間で負荷を連結するために、少なくとも1つのクラッチに連結されてこれを制御するように構成されている。
【0025】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記回転作業機械はギアに連結され、前記ギアは、前記第1のモーターまたは発電機と前記第2のモーターまたは発電機とに連結されている。前記ギアにより、前記作業機械と前記モーターまたは発電機の間で前記回転速度が調整可能となる。
【0026】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記回転作業機械はギアに連結されている。前記作業機械と前記モーターまたは発電機間の前記回転速度が調整可能となるように、前記ギアは、前記第1のモーターまたは発電機と、前記第2のモーターまたは発電機とに連結されている。
【0027】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記システムが情報を送受信することができるように、前記システムに遠隔制御システムが接続されている。
【0028】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記システムが回転速度を変更することができるように、前記少なくとも1台のモーターまたは発電機が、シャフトを介して非電気式のモーターまたは発電機に連結され、この非電気式のモーターまたは発電機は、前記システム全体を低性能で作動させるためにも使用することができる。
【0029】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記非電気式のモーターは、圧油源などの非電気式電力源によって駆動される。
【0030】
本発明に係る更に別の好適な実施形態では、前記非電気式のモーターの性能および動作をモニタして制御できるように、前記非電気式のモーターは、回転速度センサに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るシステムの好適な第1の実施形態を示す原理図である。
【図2】本発明に係るシステムの第2の実施形態を示す原理図である。
【図3】本発明に係るシステムの第3の実施形態を示す原理図である。
【図4】本発明に係るシステムの第4の実施形態を示す原理図である。
【図5】全実施形態における、モーターまたは発電機の可能な別の配置を示す原理図である。
【図6】本発明に係るシステムの第5の実施形態を示す原理図である。
【図7】本発明に係るシステムの第6の実施形態を示す原理図である。
【図8】本発明に係るシステムの第7の実施形態を示す原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明について、本発明を例示する添付の図面を参照して、下記に更に詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明に係るシステムの好適な実施形態を示す原理図である。図1に示すように、本システムは外部電力源から電力を供給される三相交流システムである。外部電力源は通常50Hzであるが、60Hz等など、ほかの周波数が使用されてもよい。純粋な正弦波形状の電流が、グリッドから直接引き出されて、システムに供給される。このため、システムが実質的な電気的擾乱を発生させることはため、コンバータやフィルタリングは不要である。一部のタイプの電気機械は、メカニカルシャフトにかかる力の方向のみに応じて、モーターと発電機の両方として作動させることができる。この理由から、図1〜図8には、モーターまたは発電機を表す「M1/G」で示している。
【0034】
システムは、2台の三相(3〜)二速電気モーターM1,M2を備え、これらは、好ましくは非同期モーターであり、ギアGに機械的に連結され、作業機械Pを駆動する。第1のモーターM1は2種類の回転速度H,Lを有し、第2のモーターM2も2種類の回転速度H,Mを有する。第1のモーターM1はもう一方のモーターM2より大きい、すなわち、第1のモーターM1はもう一方のモーターM2よりも高パワーである。例えば、第1の大きなモーターM1は、4極動作では最大出力が1500kWであり、8極動作では最大出力が400kWである。もう一方の小さなモーターM2は、4極動作では最大出力が200kWであり、6極動作では最大出力が500kWである。上で説明した電力の値は、50Hz、三相電流の電力源の場合である。周波数の異なる電力源が使用される場合には、上の最大出力の値の例は変わる。上で説明したように、モーターは好ましくは非同期モーターであるが、例えば同期モーターなどの別のタイプのモーターを使用することもできる。本発明の使用が発電機である場合、モーターは発電機となり、システムは、エネルギーを消費する一方ではなく、エネルギーをグリッドに供給する。また、組み合わせのシステム、いわゆる「モーター/発電機動作」も可能である、すなわち、電力の流れを双方向で切り替えることもできる。
【0035】
ギアGが、2台のモーターM1,M2間に連結されており、モーターM1,M2に恒久的に機械的な連結を与えている。この機械的な連結は、剛性シャフトの形である。ギアGの機能は、作業機械PとモーターM1,M2間の回転速度を調整することにある。本システムは、ギアGがなくても作動する。システムにギアGを使用するかどうかの判断は、作業機械Pの特性によって決まる。
【0036】
ギアGと作業機械Pとの間にクラッチCLが連結されている。クラッチCLは、電気的に制御され、作業機械Pが非作動時には切断され、作業機械の動作時に連結される。システムは、クラッチCLなしで機能しても(すなわち、システム全体が回転する)、あるいは、例えばM1,M2のそれぞれとギアGとの間に、複数のクラッチCLが連結されてもよい。クラッチCLの数は、価格、保守のしやすさ、摩耗、損失(効率)、寿命、および機能が重要となる評価の問題である。
【0037】
作業機械Pは、回転機械であり、例えば船舶または航空機のプロペラ、通風機、処理プラントのポンプまたはコンプレッサ、風力タービンまたは水力発電機などである。作業機械Pは、電気機械式/流体圧式の負荷制御/パワー制御PCを有し、例えばプロペラのブレードなどの角度を調整することにより、作業機械Pのパワーを無段階調整することが可能である。
【0038】
電気機械式/流体圧式負荷制御PCは、回転機械(作業機械P)内の機械装置である。負荷制御PCは、システムのパワーを調整し、パワーの方向を決定するために使用される。図1に示すように、負荷制御PCはコンピュータによる制御システムCと接続された負荷コントロールレバーPPによって作動される。負荷コントロールレバーPPについては、下で更に詳細に説明する。負荷制御PCは、異なるタイプでもよく、例えば、ピッチ制御、バルブによるスロットル制御(ポンプおよび通風機にみられることが多い)、ベーン制御、バルブによって制御される再循環/バイパス制御、スライド制御(電気機械的に制御されたスクリューコンプレッサの無段階の機械的負荷の制御)、あるいはデジタル制御信号が、個々のシリンダがアクティブかパッシブかを決定する、ピストン機械およびコンプレッサの全シリンダを制御しているシリンダ制御などがある。上に挙げた可能なタイプの負荷制御PCは全て、基本的には、制御システムCから、電気信号によって無段階制御されうる。負荷制御PCは、−100%〜+100%の範囲で無段階で調整することができる。ステップの大きなシリンダ制御を除き、負荷制御PCの無段階制御は、例えば0.5%の微小なステップで行われるため、−100%〜+100%の範囲の任意の値を原則として使用することができる。
【0039】
本システムは負荷制御PCがなくても使用することができ、この場合にはシステムがより簡潔で安価となるが、システムの柔軟性が大きく低下してしまう。負荷制御PCを使用しない場合には、ステップ応答の制御が粗くなり、作業機械Pの負荷/パワー制御を段階的にしか行うことができない。これは、作業機械Pの回転速度およびパワーの制御で段階的ステップが必要な場合に使用することができる。負荷制御PCのないシステムは最適なシステムでないが、特定の場合には十分となりうる。負荷制御PCを使用するかどうかの選択は、作業自体と、何を得たいかによって決まる。作業機械Pのパワーの方向の正方向から負方向への変換は、電気モーターM1,M2の巻線を、回転方向が反転するように(図示せず)電気機械的に変換しても行うことができる。
【0040】
第1のモーターM1に、第1の電気制御ボードU1が接続され、第1のモーターM1を制御している。第1の電気制御ボードU1は、センサCS(例えば、電流と電圧を測定する電流センサ)を備え、電力を計算して所定の範囲内に保持する。また、制御ボードU1は、三相の組逆並列接続されたサイリスタの組T1と、第1のモーターM1の回転速度H,Lを制御している2つの電気式接触子S1,S2も備える。接触子S1か接触子S2の一方が接続されるか、あるいは、接触子S1,S2の両方が切断される。2つの接触子S1,S2が同時に接続されることはない。また、制御ボードU1は、センサCSからの信号を処理する局所制御ユニット(図示せず)も備え、サイリスタT1を制御し、当該ユニットに付与されるパワーの量を計算している。
【0041】
第2のモーターM2を制御している第2の電気制御ボードU2が、第2のモーターM2に接続されている。第2の制御ボードU2は、三相の逆並列接続されたサイリスタの組T2,T3を2組備え、モーターM2の回転速度H,Mを制御している。サイリスタの組T2,T3は、それぞれ、個々のセンサCSに接続されている。また、制御ボードU2は、例えば制御ボードU1と同様の局所制御ユニット(図示せず)も備える。センサCSと局所制御ユニットとは、第1の制御ボードU1に関して説明した機能と同じ機能を備える。
【0042】
三相の逆並列接続されたサイリスタT1,T2,T3は、モーターM1,M2の始動電流と始動トルクを制御することができ、制御システムCから制御される。モーターをソフトに始動するためにサイリスタを使用することは周知である。当業者は、サイリスタT1,T2,T3が、大きな突入電流を最小限に抑え、モーターM1,M2がソフトな加速を得るように、始動時のトルクが最小限に抑えられることを理解するであろう。このように始動エネルギーを低く抑えることにより、本システムが、利用可能な電力が限られている弱いグリッドに(例えば船舶上や電力グリッドが弱い地理的エリアにおいて)適したものとなる。サイリスタ制御は、2つの機能を担い、一方の機能は、始動時にソフトな加速を提供することにあり、もう一方の機能は、作動中にモーターM1,M2を保護して、システムに所定の過負荷がかかったときに、瞬時に切断することにある。システムが、利用可能な電力に限りのない発電所で使用される場合、サイリスタT1,T2,T3の代りに、例えば接触子、Y/D始動、抵抗始動、変圧器始動などの簡略な始動システムを設けてもよい。
【0043】
図示されていないが、代替案として、いわゆるサイリスタT1,T2,T3のバイパスを使用する方法がある。この場合、サイリスタT1,T2,T3に並列の接触子を使用し、サイリスタT1,T2,T3が、モーターM1,M2の始動時と加速時にその動作を行ったときに動作を引き継ぐ、すなわち、全ての電流を、サイリスタT1,T2,T3ではなく接触子を通過させる。この不図示の代替案の利点は、特定のユニットのパワー損失を低減できる点にあるが、機能を変えることはない。
【0044】
図1に示し、上で説明したように、2つの制御ボードU1,U2は構成が異なる。第1の制御ボードU1は、逆並列接続されたサイリスタの組T1を1組しか有さず、2つの機械式接触子S1,S2を有するが、もう一方の制御ボードU2は、逆並列接続されたサイリスタの組T2,T3を2組有する。第1のモーターM1は、前述のように、大きなパワーを必要とする比較的大きなモーターであり、このため、速度を制御するために接触子S1,S2を使用することが最も好ましく、これが安価な解決策でもある。もう一方のモーターM2は、第1のモーターM1より比較的小さなモーターであり、多くのパワーを必要としないため、第1の制御ボードU1のように接触子を使用する必要がない。このため、もう一方のモーターM2の速度を制御するには、2組の逆並列接続されたサイリスタT2,T3で十分である。このため、もう一方の制御ボードU2は、機械的な可動部品のない純粋に電気式の制御ボードであり、簡単であり、もう一方のモーターM2の制御に適している。また、制御ボードU2は、2つの速度間でスリップを生じさせることなく、ソフトな遷移を与えるために、一時的に、二速を同時に作動させることができるという、制御ボードU1にはない利点を有する。
【0045】
別の実施形態(図示せず)では、2台のモーターM1,M2が、第1の制御ボードU1と同じタイプの制御ボードによって制御されても、2台のモーターM1,M2が、第2の制御ボードU2と同じタイプの制御ボードによって制御されても、第1のモーターM1が、第2の制御ボードU2と同じタイプの制御ボードによって制御され、第2のモーターM2が、第1の制御ボードU1と同じタイプの制御ボードによって制御されてもよい。これらの代替の実施形態は可能な実施形態であるが、いずれも特に最適な組み合わせでない。好適かつ最適な実施形態は、図1に図示したものであり、上で説明したように、第1のモーターM1が第1の制御ボードU1によって制御され、第2のモーターM2が第2の制御ボードU2によって制御される。
【0046】
本発明では、制御システムCは、制御ボードU1,U2と、作業機械Pの負荷制御PCとの両方を制御する。制御システムCは、制御ボードU1,U2および負荷制御PCを制御するコンピュータによる制御システムと、システムのオペレータ用のユーザインタフェースの両方を備える。オペレータ用のインタフェースは、通常はコンピュータ画面である。ユーザインタフェースは、0(ゼロ)、L(低)、M(中)、H(高)のモード(回転速度)を選択するためのコマンドボタンと、パワーのグラフィカル表示と、作業機械Pの負荷を変更および制御するための負荷コントロールレバーPPとを有する。負荷コントロールレバーPPを作動させると、制御システムCは、例えばプロペラのブレードの角度を制御するためのコマンド信号を負荷制御PCに供給する。負荷は、上で説明したように、−100%〜+100%の範囲で無段階制御することができる。荷重制御レバーPPは、FOR(順回転)、N(ニュートラル)、およびREV(反転)の3つのメイン位置を有する。負荷コントロールレバーPPの位置がNのときは、負荷制御PCにゼロコマンドが供給され、モーターM1,M2が選択された回転速度で回転するが、作業機械Pは作業を行わない。負荷コントロールレバーPPの位置がFORときは、正の最大コマンドが負荷制御PCに供給され、モーターM1,M2が、選択された回転速度かつ順方向のフルパワーパワー(正のフルパワー)で回転する。負荷コントロールレバーPPが位置REVに引かれると、パワーの方向が徐々に反転し、負荷制御PCが、作業機械Pから、選択された回転速度に関連する最大の反転パワーを供給する。「パワー」のグラフィカル表示は、任意の時点で作業機械Pに供給されているパワーの大きさをグラフィカルに表示している。
【0047】
コマンドボタン0,L,M,Hは、例えばコンピュータ画面上のボタンであり、オペレータは、これらのボタンを使用して、作業機械Pのモード、すなわち、作業機械Pの回転速度を選択することができる。例えば、図1では、4種類の回転速度が図示されているが、選択できる回転速度の数が異なっていてもよい。しかし、回転速度は電気式機械M1,M2の極数と、電力源周波数によって決まるため、回転速度が任意の回転速度を取ることができるとは限らない。例えば、制御ボードU1,U2のサイリスタT1,T2、T3の代わりに、周波数変換器FCまたは非電気式のモーターHMを使用する場合には、運転モーターM2の回転速度を最小にすれば、低速の回転速度の範囲において、通常回転速度の代りに任意の回転速度を使用することができる。また、電力源周波数を50Hzと60Hzで変更することができる。これにより、回転速度を0,L,M,H間でより変動的に(floating)切り替えることができ、システムの柔軟性が向上する。このような変動周波数は、例えば船舶などの閉鎖型のプラントで可能である。周波数変換器FCを使用する場合については、図3を参照して下記で更に詳細に説明する。
【0048】
オペレータが、特定のコマンドボタン0,L,M,Hを押下した後に、画面上のボタンのライトにより、システムが選択したモード(回転速度)に到達したことを確認できる。コマンドボタン0は、回転速度を0に、コマンドボタンLは、回転速度を低速に、コマンドボタンMは、回転速度を中速に、コマンドボタンHは、回転速度を高速にそれぞれ設定する。図1に示すように、第1のモーターM1は回転速度HとLを、第2のモーターM2は回転速度HとMを有する。また、負荷コントロールレバーPPは、パワーを制御するために使用される。図1の実施形態の4つのモードにおける回転速度とパワーの値の例を、下記の表11に示す。上で説明したように、システムは通常50Hzの電力源で作動するが、別の周波数も可能である。また、表1には、60Hzの電力源のパワーと回転速度も示すが、50Hzが始点として使用される。
【0049】
【表1】

【0050】
上の表1に示すように、モード0では、システムがオフにされ、モーターM1,M2は回転されず、パワーを出力しない。モードLでは、第1のモーターM1が、低速の回転速度(750rpm)で回転する。作業機械Pのパワーは、負荷コントロールレバーPPによって選択される負荷制御PCの負荷レベルに応じて、0〜400kWの値を取る。モードLでは、第2のモーターM2が、中速の回転速度(1000rpm)で回転する。作業機械Pのパワーは、負荷制御PCの負荷レベルに応じて、0〜500kWの値を取る。選択されたモードがHのときは、第1のモーターM1が高速の回転速度H(1500rpm)で回転される。高速の回転速度Hにおける作業機械Pのパワーは、負荷制御PCの負荷のレベルに応じて、0〜1500kWの値を取る。
【0051】
上の説明は、各種の選択モードにおける回転速度とパワーのみを挙げたが、異なるモード間の遷移について触れることも重要である。オペレータが、システムをモード0に設定した場合、制御システムCのインタフェースのランプが点灯し、システムがこの選択されたモードにあることを示す。次にオペレータがコマンドボタンLを押下すると、システムがモード0からモードLに移行する。この0からLへの遷移を「TR1」と呼ぶことができる。次に、制御システムCからの制御信号が、第1の制御ボードU1のサイリスタT1と接触子S2を作動させると、第1のモーターM1が回転速度0から回転速度L(750rpm)に加速する。当業者が周知のサイリスタT1の特性のため、第1のモーターM1は、所要回転速度Lに達するまで、低い始動電流によりソフトに加速する。2台のモーターM1,M2がシャフトを介して機械的に連結されているため、第1のモーターM1は、第2のモーターM2と共に回転速度Lで回転する。
【0052】
上で説明した遷移TR1において、負荷制御PCを下げることにより、制御システムCは、必要な加速エネルギーを低減することができる。高い加速エネルギーを得るには、多くの生成された利用可能なエネルギーを必要とする。利用可能なエネルギーが不足している場合、加速エネルギーを低減させる必要がある。これは、2つの方法で行うことができる。第1の方法は、制御システムCにより、負荷制御PCに対してコマンドを供給させ、負荷制御PCをゼロの方に調整することによって負荷を低減させる方法である。これは、制御システムCによって自動的に行うことができ、負荷コントロールレバーPPが一時的に無効にされる。制御システムCは、遠隔制御システムRCから利用可能なエネルギーに関する情報を取得する。必要な加速エネルギーを低減させる第2の方法では、クラッチCLを使用する。制御システムCは、クラッチCLを切断するコマンドを供給し、マシンM1,M2にかかっている全ての負荷を取り除く。回転速度Lに達すると、制御システムCは、再連結するコマンドをクラッチCLに供給し、負荷制御PCの負荷レベルを所要レベルに上げる。いわゆる「ソフトクラッチ」を導入することによって、再連結が、ソフトに(すなわち直接機械的に連結せずに)で行われる。「ソフトクラッチ」の用語は、当業者に周知である。これらの動作が行われると、システムがモードLとなり、モーターM1,M2の回転速度Lが750rpmになり、負荷制御PCによって、パワーが0kW〜400kW間で無段階制御される。
【0053】
システムがモードLのときに、オペレータがコマンドボタンMを作動させると、制御システムCは、サイリスタT1と接触子S2を切断し、同時に第2のモーターM2の第2の制御ボードU2のサイリスタT3を接続する。TR2と呼ぶこの遷移モードの初期では、前述のように、2台のモーターM1,M2は低速の回転速度L(例えば750rpm)にある。サイリスタT3が作動されると、第2のモーターM2を回転速度M(1000rpm)まで加速させる。したがって、第1のモーターM1も回転速度Mで回転させる。その後、モーターM2によって提供される負荷制御PCによって、システムのパワーが、0kW〜500kWで無段階制御される。このようにして、回転速度LとMの間でソフトな遷移を得ることができる。
【0054】
回転速度MとH間の遷移は、多少異なる方法で行われる。TR3と呼ぶこの遷移は、モーターM1,M2が回転速度Mで回転しており、サイリスタT3が接続され、他のサイリスタT1,T2と接触子S1,S2が切断されていることに基づいている。遷移TR3では、第2のモーターが、いわゆるポニーモーターとして機能し、第1のモーターM1が高速回転速度Hに達するのを補助する支援モーターとなる。オペレータが制御システムCのコマンドボタンHを作動させると、サイリスタT3が切断され、同時にサイリスタT2が接続される。第2のモーターM2が、回転速度Hに加速する。制御システムCは、この加速をモニタし、モーターM1,M2が回転速度Hに到達したことを検知すると、モーターM1に接続された第1の制御ボードU1のサイリスタT1と接触子S1を作動させる。サイリスタT2が切断され、モーターM1が、実質的な始動電流なしでグリッドにソフトに同期される。次に、モーターM1,M2が、固定の高速の回転速度H(1500rpm)で回転し、負荷制御PCによって、システムのパワーを0kW〜1500kWに変更することができる。
【0055】
モードHからM、HからL、Hから0、MからL、Mから0、Lから0、0からM、および0からHへの遷移は、上で説明したのと対応するように行われ、ここでは更に詳細に説明しない。
【0056】
図1に示すように、遠隔制御システムRCがシステムに接続されている。この遠隔制御システムRCは、システムのほかの箇所との間で情報を交換し、例えば、グリッドがシステムのほかの箇所に供給しているエネルギーや、このグリッドの容量に関する情報を提供する。このような遠隔制御システムRCは、システムが、利用可能なエネルギーを超えるエネルギーをグリッドから引き出すことを防止する、すなわち、システムの過負荷を防ぐ負荷またはパワー制御が行われる。
【0057】
図1に記載し、詳細に説明した構成要素および機能、ならびに代替の構成は、図2〜8に示す実施形態でも可能である。このため、以下では、図1の実施形態と他の実施形態のそれぞれの大きな差異のみを説明する。
【0058】
図2は、制御ボードU2とモーターM2の回転速度以外、図1に示した実施形態と非常に似ている本発明の第2の実施形態を示す。図2の実施形態は、部品点数と価格との両方に鑑みて、図1の好ましい実施形態を簡略化した解決策である。図2に示すシステムの構成要素は、図1に関して上で詳細に説明したものと同じであり、このため、図2に関して更に詳細に説明することはしない。制御ボードU2は、図1のように第2のモーターM2を制御する。制御ボードU2は、センサCSと、(図1の2組のサイリスタとは異なり)1組の逆並列接続されたサイリスタT2とを備える。1組のみのサイリスタT2を使用するのは、第2のモーターM2が1種類の回転速度しか持たないことに関連している。制御パネルCはコマンドボタン0,L,M,Hを有し、モーターM2の回転速度Hに対応するのは、制御パネルCのコマンドボタンMである。1種類の回転速度しか持たないモーターM2は、図1の対応するモーターM2よりも簡潔かつ安価なモーターである。モードと、モード間の遷移とは、図1説明したものとほぼ同じである。
【0059】
図3は、制御ボードU2とモーターM1,M2の回転速度とが図1と異なる第3の実施形態を示す。図3の制御ボードU2は、電流および電圧を測定し、電力を計算するセンサCSを備える。センサCSのほかに、制御ボードU2は、周波数変換器FCも備える。第1のモーターM1は、回転速度HとMで作動することができ、第2のモーターM2は、回転速度Lを有する一速モーターである。第2のモーターM2の回転速度は、周波数変換器FCにより、0から回転速度Hの間で無段階制御される。第2のモーターM2の回転速度は、制御システムCから遠隔制御される。周波数変換器FCを使用することにより、回転速度を自由に上下に調整して、モーターM2を所望の回転速度に保持できるようになる。また、周波数変換器FCは、第1のモーターM1に負荷がかかっておらず、自身の制御パネルU1によって制御されていない場合に、第1のモーターM1を所望の回転速度に加速するのにも寄与する。
【0060】
周波数変換器に関連する周知の問題として、電気グリッドに多くの擾乱を発生させる点がある。この問題は、第1の制御ボードU1にサイリスタT1と接触子S1,S2と、周波数変換器FCを備えた第2の制御ボードUとを使用することにより、本発明において解消されている。パワーが、モーターM2から、中〜高速のモーターM1に移される。周波数変換器は標準的な部品であり、周波数変換器のタイプと商品名を選択することは、当業者にとって容易であろう。
【0061】
図4に、本発明に係る第4の可能な実施形態が示される。この実施形態は、モーターM1,M2以外は、図1に示した実施形態と非常に似ている。大きなモーターM1が高速の回転速度Hを有し、小さなモーターM2が2種類の回転速度HとLを有する。この場合も、第2のモーターM2は、第1のモーターM1が高速の回転速度Hに達するのを補助する補助モーターとして機能する。制御パネルCは、モーターM1,M2の回転速度に対応して、モード選択用の3つのコマンドボタン0,L,Hを備える。異なる回転速度間の遷移は、図1に関して説明したとおりである。
【0062】
図1〜4,6では、第1のモーターM1が、シャフトを介してギアGに機械的に連結され、第2のモーターM2も、シャフトを介して同じギアGに機械的に連結されている。代替の簡単な構成として、第2のモーターM2を、ギアGを介さずにシャフトを介して第1のモーターM1に連結し、このため第1のモーターM1に2つのシャフトを設ける方法がある。このような可能な構成が図5に示される。図5のモーターM1,M2は一速モーターである、すなわち、モーターM1は回転速度Hを有し、モーターM2は回転速度Lを有する。このため、制御システムCには、選択可能なモードが0,L,Hの3つしか図示されていない。この解決策は、他の実施形態を機械的に変更しただけであり、ギアGを機械的に簡潔化したものであるが、制御の点では変更が行われていない。図5に示す実施形態は、ほかの実施形態のように、ギアGやクラッチCLを省略することによっても簡略化できる。図5に示す簡略な構成は、図1〜4,6に示す全ての実施形態の代わりの簡略な構成として使用することができる。
【0063】
図6は、本発明の第5の実施形態を示す図である。この実施形態は、上記の実施形態の2台のモーターに代えて、4台のモーターM1,M2,M3,M4を備える。4台のモーターM1,M2,M3,M4は、同じ特性を有する二速モーターである。それぞれのモーターに一速または三速を使用してもよい。図6のモーターM1,M2,M3,M4は高速Hと低速Lの2種類の速度を有して図示されているが、他の回転速度も可能である。制御ボードU1,U2,U3,U4が、モーターM1,M2,M3,M4に接続されてこれを制御している。この制御ボードU1,U2,U3,U4は、全て、同じ構造と機能を有する。この4つの制御ボードU1,U2,U3,U4は、1組の逆並列接続されたサイリスタT1,T2,T3,T4と、センサCSと、2つの接触子S11とS12、S21とS22、S31とS32、またはS41とS42と、をそれぞれ備える。制御ボードU1,U2,U3,U4は、同様の構造と機能を有しうるが、図示した構造に代えて、例えば、2組の逆並列接続されたサイリスタと2つのセンサを有していてもよい(図示せず)。制御システムCは、制御ボードU1,U2,U3,U4を制御する。図6の実施形態におけるパワーと回転速度の無段階制御は、上に挙げた実施形態に関して説明したのと同じように行われる。図6において、システムは4台のモーターを備えるが、2〜10台の範囲の任意の台数の、同じ並列モーターを使用することができる。図6の制御システムでは、スイッチおよびインジケータDが追加されており、これらは他の実施形態には存在しない。スイッチ/インジケータDは、ユーザによって作動されると、作業機械Pから得るパワーの大きさに応じて、モーターM1,M2,M3,M4のうちの1〜4台を接続する動的な機能を有する。図6に示す実施形態は、数台の駆動モーターにまたがって作業機械Pに大きなパワーを供給する必要がある場合に主に使用される。
【0064】
図6に示した構成の不図示の代替例として、4台のモーターM1,M2,M3,M4に第5のモーターを追加する場合がある。この第5の追加のモーターは、図3に示したような、小さな周波数制御モーターである。
【0065】
図7は、システムが1台のモーターM1のみを有する本発明の第6の実施形態を示す。モーターM1は、高速Hと低速Lの2種類の回転速度を有する二速モーターである。三速モーターまたは四速モーターを使用することもできる。したがって、制御ボードU1も拡張する必要がある。上で説明した実施形態のように、モーターM1も制御ボードU1によって制御される。制御ボードU1は、2つのセンサCSと2組の逆並列接続されたサイリスタT2,T3を備える。制御ボードU1の別の構造(図示せず)として、制御ボードU1が、センサCSと、1組の逆並列された接続サイリスタと、2つの接触子を格納していてもよい。制御ボードU1は、上で説明したように、同じ構造と機能を有する制御システムCによって制御される。モーターM1は2種類の回転速度HとLを有するため、制御システムCには、モード0,L,Hを選択する3つのコマンドボタンしかない。この実施形態では、ポニーモーターが使用される他の実施形態とは異なり、サイリスタT2,T3のみがモーターM1のあらゆる加速を行ない、システムの動作を担っている。図7に示したこのシステムは、グリッドの負荷が大きくなり、上に挙げた変形例よりも強力なグリッドが必要となる。
【0066】
図8は、本発明の第7の実施形態を示し、図3に示した実施形態の変形例である。第7の実施形態では、システムは、図3の周波数変換器FCの代わりに、非電気式のモーター/タービンHMを有する。この非電気式のモーター/タービンHMは、通常は、液圧または空気圧駆動であるが、他のタイプの非電気式のモーター/タービンを使用してもよい。非電気式のモーター/タービンHMは、個別の電力源Sによって駆動される。非電気式のモーター/タービンHMは、電気式ではないため、その動作を測定する回転速度センサSPが必要となる。回転速度センサSPが、非電気式のモーター/タービンHMを電気的に監視している。非電気式のモーター/タービンHMは、回転速度が0からLに、0からHに遷移できるように制御され、システム全体を低性能で作動させるためにも使用することができる。戻りRは、非電気式のモーター/タービンから戻る駆動媒体の量であり、例えばポンプを介して電力源Sに再循環される。
【0067】
モーターM1は、回転速度HとLを有する二速の電気モーターまたは発電機であり、それぞれセンサCSに接続されている2組の逆並列接続されたサイリスタT2,T2を格納している制御ボードU1によって制御される。制御システムCは、上に挙げた他の実施形態と同様に、制御ボードU1と、モーターM1と、モーター/タービンHMとを制御する。モーターM1は、原則として一速から四速の任意の速度を有しうる。
【0068】
本発明に係るシステムに使用される部品は、入手可能な市販品の(off-the-self)部品であり、各種部品の好適なタイプと商品名を当業者は理解するであろう。例外は制御システムCに接続されるソフトウェアであり、これは標準的なソフトウェアではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えばタービンまたはプロペラなどの回転作業機械(P)の回転速度およびパワーの制御のためのシステムであって、
前記回転作業機械(P)は、少なくとも1台のモーターまたは発電機(M1)に連結され、前記モーターまたは発電機(M1)によって与えられる回転速度で回転されるように構成され、
前記モーターまたは発電機(M1)は、制御システム(C)に接続され、前記モーターまたは発電機(M1)の前記回転速度は、前記制御システム(C)によって制御されるように構成され、
前記回転作業機械(P)は、調整可能に構成された負荷制御(PC)を有し、前記制御システム(C)は、前記回転作業機械(P)に接続され、前記回転作業機械(P)における前記負荷制御(PC)を制御するように構成され、これにより、選択可能な複数の回転速度の間でソフトに遷移を行うことができ、所要エネルギーの変更に合わせて前記モーターまたは発電機(M1)の前記サイズおよび回転速度をステップバイステップで調整してエネルギー消費を削減するシステム。
【請求項2】
前記制御システム(C)は、第1の制御ボード(U1)に接続されてこれを制御するように構成され、前記第1の制御ボード(U1)は、前記モーターまたは発電機(M1)に接続されてこれを制御するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の制御ボード(U1)は、少なくとも1組のサイリスタ(T1)と、電流センサなどの少なくとも1つのセンサ(CS)とを有する請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の制御ボード(U1)は、少なくとも2つの接触子(S1,S2)も有する請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御ボード(U1)は、少なくとも2組のサイリスタ(T2,T3)と少なくとも2つのセンサ(CS)とを有する請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御ボード(U1)は、少なくとも1つの周波数変換器(FC)と少なくとも1つのセンサ(CS)とを有する請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、シャフトを介して相互連結されている少なくとも1台の第1のモーターまたは発電機(M1)と少なくとも1台の第2のモーターまたは発電機(M2)とを有し、前記第2のモーターまたは発電機(M2)は、前記第1のモーターまたは発電機(M1)が高速の回転速度に達するのを支援するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のモーターまたは発電機(M1)と前記第2のモーターまたは発電機(M2)とは、第1および第2の制御ボード(U1,U2)にそれぞれ接続されてこれらによって制御されるように構成されている請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のモーターまたは発電機(M1)は少なくとも1種類の第1の速度(H)を有し、前記第2のモーターまたは発電機(M2)は少なくとも1種類の第2の速度(L)を有する請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のモーターまたは発電機(M1)の前記パワーは、前記第2のモーターまたは発電機(M2)の前記パワーの3〜10倍である請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記サイリスタ(T1,T2,T3)は、三相の逆並列接続されたサイリスタまたは相当するパワー半導体である請求項3または5に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、周波数が50Hzの外部電力源に接続されている請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記回転作業機械(P)は、例えば100kWを超えるパワーを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御システム(C)は、少なくとも1つのクラッチ(CL)に連結されてこれを制御するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記回転作業機械(P)はギア(G)に連結され、前記ギア(G)は前記モーターまたは発電機(M1)に連結されている請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記回転作業機械(P)はギア(G)に連結され、前記ギア(G)は、前記第1のモーターまたは発電機(M1)と前記第2のモーターまたは発電機とに連結されている請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムに遠隔制御システム(RC)が接続されている請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1台のモーターまたは発電機(M1)が、シャフトを介して非電気式のモーターまたは発電機(HM)に連結され、前記非電気式のモーター(HM)は、前記制御システム(C)によって制御されている請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記非電気式のモーター(HM)は、電力源(S)によって駆動される請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記非電気式のモーター(HM)は、回転速度センサ(SP)に接続されている請求項18に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−501642(P2011−501642A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529890(P2010−529890)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/NO2008/000373
【国際公開番号】WO2009/054727
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510101653)
【Fターム(参考)】