説明

重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤

重質炭酸カルシウム粉砕工程(微粒子化重質炭酸カルシウムスラリー製造工程)において、使用する粒子の分散効果及び安定性に優れた重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤である。すなわち、体積平均粒子径Yμmの重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径0.00001Y〜0.01Yμm、かつ0.01〜0.7μmに湿式粉砕する工程に用いられる分散剤であって、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、ポリマー(A)を構成する全単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が60〜100%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤に関する。さらに詳しくは、紙塗被塗料に適した重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤に関する。
【背景技術】
従来、顔料(重質炭酸カルシウム、カオリンなど)の分散剤として、分散剤中のカルボキシル基がアルカリ金属、アルカリ土類金属塩で10〜99.99モル%中和され、有機アミンで0.01〜5モル%中和されたα、β−不飽和カルボン酸塩共重合体が知られている(例えば、特開平11−217534号公報)。
しかし、従来の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を用いた場合、粉砕により微粒子化が進むにつれて、粒子の分散効果及び安定性が低下するのを防止するため、乾式粉砕してから、湿式粉砕により微粒化する必要がある。
さらに、乾式粉砕工程及び湿式粉砕工程を併用しても、スラリー濃度が70重量%以上で体積平均粒子径0.7μm以下に微粒化しようとすると、スラリー粘度が上昇するため、重質炭酸カルシウムの粉砕効率が低下し微粒子化が難しくなるという問題がある。
したがって、本発明は、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程において、簡便に(乾式粉砕工程を必要とせず湿式粉砕工程だけで)微粒化を達成できる重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を提供することを目的とする。
本発明のその他の目的は、以下の発明の説明により明らかになる。
【発明の開示】
本発明者はこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の(共)重合体が上記目的を達成することを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、体積平均粒子径Yμmの重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径0.00001Y〜0.01Yμm、かつ0.01〜0.7μmに湿式粉砕する工程に用いられる分散剤であって、(メタ)アリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)を構成する全単量体単位の個数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が60〜100個数%である。
本発明の好ましい実施態様においては、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、ポリマー(A)を構成する全単量体単位の個数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が61〜100個数%であってもよい。
また、本発明の好ましい実施態様においては、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、ポリマー(A)が(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び/又は(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)を含んでなり、(メタ)アクリル酸塩単位が、アルカリ金属塩単位、アルカリ土類金属塩単位及び/又はアンモニウム塩単位であってもよい。
本発明の重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法は、重質炭酸カルシウムスラリーを製造する方法において、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)を構成する全単量体単位の個数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が50〜100個数%である分散剤を用い、重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径Yμmから体積平均粒子径0.00001Y〜0.01Yμmかつ0.01〜0.7μmに湿式粉砕する工程を含む。
本発明の好ましい実施態様においては、重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法は、重質炭酸カルシウムが、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムであってもよい。
また、本発明の好ましい実施態様においては、重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法は、湿式粉砕後の体積平均粒子径が0.00001Y〜0.001Yかつ0.01〜0.4μmであって、重質炭酸カルシウムスラリーの重質炭酸カルシウム濃度が75〜85重量%であってもよい。
本発明の重質炭酸カルシウムスラリーは、前記本発明にかかる重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含む。
本発明の紙塗被塗料は、前記本発明にかかる重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含む。
本発明の塗被紙は、前記紙塗被塗料を塗被したものである。
本発明の紙塗被塗料の製造方法は、前記重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含んでなる重質炭酸カルシウムスラリーと、顔料、フィラー、バインダー及び/又は前記重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤とを混合する工程を含む。
以上説明した本発明、実施形態、実施形態に含まれる構成要素は可能な限り組み合わせることができる。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、重質炭酸カルシウムの湿式粉砕工程(微粒子化重質炭酸カルシウムスラリー製造工程)において、粉砕度、粒子の分散効果及び安定性に極めて優れている。さらに、スラリー濃度が上がっても、粒子の分散効果、安定性及び減粘効果に優れており、従来にない流動性に極めて優れた高濃度重質炭酸カルシウムスラリーを製造し得る。また、乾式粉砕工程を経なくても、湿式粉砕工程のみで微粒化重質炭酸カルシウムスラリーを得ることができる。この重質炭酸カルシウムスラリーの流動性の向上は、紙塗被塗料に用いた場合、紙塗被時の塗被操業性(高速塗被性)を向上させるのみならず紙塗被塗料の高濃度化に極めて有効なものとなる。すなわち、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を用いた重質炭酸カルシウムスラリーを紙塗被塗料成分に用いた場合には、紙塗被塗料を高品質化(微粒子化及び低粘度化等)できる他に、紙塗被塗料の高濃度化が容易に行なえるというメリットがある。従って、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、塗被紙の製造における操業性の向上及び品質の向上に寄与し、さらに紙塗被塗料の高濃度化による乾燥負荷軽減等に起因して原価低減ができるため、特に塗被紙の製造に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、(共)重合体は、重合体及び/又は共重合体を意味する。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)としては、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体及びアクリル酸−メタクリル酸共重合体が含まれる。また、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)としては、アクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体及びアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体が含まれる。(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)としては、アクリル酸塩重合体、メタクリル酸塩重合体及びアクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体が含まれる。そして、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)は、それぞれ単一の(共)重合体でもよく、(A1)、(A2)又は(A3)に包含される複数の(共)重合体の混合物でもよい。また、共重合体の場合、重合形式はブロック、ランダム及びこれらの混合のいずれでもよい。
(メタ)アクリル酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等が含まれる。
アルカリ金属塩としては、リチウム、カリウム又はナトリウム等の塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム又はマグネシウム等の塩が挙げられる。これらの塩のうち、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩である。なお、これら塩は単独でもこれらの混合のいずれでもよい。
これらの塩以外に、有機アンモニウム塩等が使用できるが、分散効果、臭気及びコストの観点からあまり好ましくない。乾式粉砕工程なしに湿式粉砕工程だけで、微粒化するためには、ポリマー(A)の構成単位に塩を含まないか、(A)の構成単位の一部をアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び/又はアンモニウム塩とすることが好ましい。
有機アンモニウム塩としては、脂肪族アミン、脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物、アルカノールアミン、脂環式アミン又は芳香族アミン等の塩が含まれる。
脂肪族アミン塩としては、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩及び4級アンモニウム塩のいずれでもよい。1級アミン塩としては、炭素数1〜12のモノアルキルアミン塩等が用いられ、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン又はドデシルアミン等の塩が挙げられる。2級アミン塩としては、炭素数2〜24のジアルキルアミン塩等が用いられ、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン又はジドデシルアミン等の塩が挙げられる。3級アミン塩としては、炭素数3〜12のトリアルキルアミン塩等が用いられ、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン又はトリブチルアミン等の塩が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、炭素数4〜16のテトラアルキルアンモニウム塩等が用いられ、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物の塩としては、脂肪族アミンのエチレンオキシド付加物(付加モル数2〜20)又はプロピレンオキシド付加物(付加モル数2〜20)の塩、及びこれらのアミンを4級化剤(エチレンオキシド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル炭酸及び塩化メチル等)で4級化した4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカノールアミン塩としては、炭素数1〜20のアルカノールアミンの塩等が用いられ、メタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン又はブタノールアミンの塩等が挙げられ、さらに、これらのアルカノールアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
脂環式アミン塩としては、炭素数5〜8のシクロアルキルアミンの塩等が用いられ、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン又はシクロヘキシルメチルアミン等の塩が挙げられ、さらに、これらのシクロアルキルアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
芳香族アミン塩としては、炭素数6〜10のアリルアミンの塩等が用いられ、アニリン、ベンジルアミン、ベンジルメチルアミン又はトルイジン等の塩が挙げられ、さらに、これらのアリルアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)において、アクリル酸−メタクリル酸共重合体の場合、アクリル酸単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)において、(メタ)アクリル酸単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜100が好ましく、さらに好ましくは60〜100、特に好ましくは61〜100、最も好ましくは70〜99.9である。また、(メタ)アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0〜50が好ましく、さらに好ましくは0〜40、特に好ましくは0〜39、最も好ましくは0.1〜30である。なお、メタクリル酸単位を含む場合、アクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。また、メタクリル酸塩単位を含む場合、アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)において、アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体の場合、アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸塩以外に、他の単量体を構成単位として含んでもよい。分散効果の観点等からは、他の単量体単位を含まない方が好ましい。
他の単量体としては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩と共重合できる単量体であれば制限なく使用できる。このような単量体には、不飽和モノカルボン酸エステル、不飽和ジカルボン酸、α−ヒドロキシ不飽和モノカルボン酸、ヒドロキシルアルキル不飽和カルボン酸エステル、ポリアルキレングリコール不飽和単量体、(メタ)アクリロイル基含有アミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、スルホ基含有不飽和単量体、芳香族不飽和単量体、脂肪族不飽和単量体、脂環式不飽和単量体及びシアノ基含有不飽和単量体等が含まれる。
不飽和モノカルボン酸エステルとしては、炭素数4〜50の(メタ)アクリル酸エステル等が用いられ、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル及び(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸としては、炭素数4〜6の不飽和ジカルボン酸等が用いられ、マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等が挙げられる。
α−ヒドロキシ不飽和モノカルボン酸としては、α−ヒドロキシ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル等が用いられ、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシイソヘキシル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール不飽和単量体としては、アルキレン基の炭素数が2〜3、アルキレンの個数が2〜100であるポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル等が用いられ、ポリエチレングリコール(エチレン基10個)(メタ)アクリル酸モノエステル、ポリエチレングリコール(エチレン基20個)(メタ)アクリル酸モノエステル、デカオキシエチレン・ヘキサオキシプロピレン(メタ)アクリル酸モノエステル及びウンデカオキシエチレン・ベンタオキシプロピレン(メタ)アクリル酸モノエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有アミドとしては、炭素数3〜5の(メタ)アクリロイル基含有アミド等が用いられ、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステルとしては、炭素数4〜10のビニルエステル等が用いられ、酢酸ビニル、プロパン酸ビニル及び2−エチルヘキサン酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、アルキルの炭素数が1〜10のビニルアルキルエーテル及びポリアルキレングリコール(エチレン及び/又はプロピレン付加モル数1〜100)のモノビニルエーテル等が用いられ、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、ビニルデシルエーテル、テトラエチレングリコールビニルエーテル及びヘキサエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
スルホ基含有不飽和単量体として、炭素数2〜8の不飽和スルホン酸等が用いられ、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸及び2−アクルルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
芳香族不飽和単量体としては、炭素数8〜12の芳香族単量体等が用いられ、スチレン、ビニルスチレン及びビニルナフタレン等が挙げられる。
脂肪族不飽和単量体としては、炭素数2〜20の脂肪族不飽和単量体等が用いられ、エチレン、プロピレン、ブテン及びブタジエン等が挙げられる。
脂環式不飽和単量体としては、炭素数5〜15の脂環式不飽和単量体等が用いられ、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン等が挙げられる。
シアノ基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリロニトリル及びシアノスチレン等が挙げられる。
(A1)、(A2)又は(A3)が他の単量体単位を含む場合、他の単量体単位の含有量(個数%)は以下のとおりである。(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0.1〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.1〜1である。また、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.1〜1である。また、(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0.1〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.1〜1である。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)の重量平均分子量(Mw)は、8,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは9,000〜40,000、特に好ましくは10,000〜20,000である。すなわち、(A1)、(A2)又は(A3)のMwは、8,000以上が好ましく、さらに好ましくは9,000以上、特に好ましくは10,000以上であり、また、50,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以下、特に好ましくは20,000以下である。この範囲であると、重質炭酸カルシウム粉砕工程において粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。なお、Mwは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される(以下同様)。
ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいればよいが、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A2)からなることが好ましく、さらに好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体からなること、又はこれらの共重合体とアクリル酸重合体、メタクリル酸重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸共重合体とからなることである。さらにポリマー(A)は、特に好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体からなること、又はこれらの共重合体とアクリル酸重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸共重合体とからなることであり、最も好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体からなること、又はこの共重合体とアクリル酸重合体とからなることである。
ポリマー(A)に含まれる(メタ)アクリル酸単位の含有量(個数%)は、(A)を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、50〜100が好ましく、さらに好ましくは55〜100、特に好ましくは60〜100、次の特に好ましくは61〜100、さらに特に好ましくは65〜100、さらに次に特に好ましくは70〜100、最も好ましくは75〜99.9である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
また、ポリマー(A)に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、(A)を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0〜50が好ましく、さらに好ましくは0〜45、特に好ましくは0〜40、次に特に好ましくは0〜39、さらに特に好ましくは0〜35、さらに次に特に好ましくは0〜30、最も好ましくは0.1〜25である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。なお、ポリマー(A)に(メタ)アクリル酸塩単位が含まれる場合、この含有量の下限(個数%)は、(A)を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0.1が好ましく、さらに好ましくは0.2、特に好ましくは0.5、次に特に好ましくは1、さらに次に特に好ましくは5である。
ポリマー(A)中に(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A1)及び(A2)の合計重量に基づいて、0.1〜100が好ましく、さらに好ましくは0.1〜99.9、特に好ましくは10〜90、最も好ましくは20〜80である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
ポリマー(A)中に(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A1)及び(A2)の合計重量に基づいて、0.1〜99.9が好ましく、さらに好ましくは10〜90、特に好ましくは20〜80である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
ポリマー(A)中に(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A1)及び(A2)の合計重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは5〜10である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、8,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは9,000〜40,000、特に好ましくは10,000〜20,000である。すなわち、(A)のMwは、8,000以上が好ましく、さらに好ましくは9,000以上、特に好ましくは10,000以上であり、また、50,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以下、特に好ましくは20,000以下である。この範囲であると、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
ポリマー(A)の数平均分子量(Mn)は、4,000〜41,000が好ましく、さらに好ましくは4,200〜41,000、特に好ましくは4,400〜41,000である。この範囲であると、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。なお、Mnは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される(以下同様)。
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.2〜2.0が好ましく、さらに好ましくは1.2〜1.9、特に好ましくは1.2〜1.8である。この範囲であると、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)を製造する重合法は、特に限定されるものではなく、通常の重合法(溶液重合法、塊状重合法及び逆相懸濁重合法等)を用いることができる。しかし、溶液重合法を用いることが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸塩との共重合により製造してもよく、また、(メタ)アクリル酸(共)重合体を得てから、この(共)重合体を塩基等で中和して製造してもよい。
また、(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)の場合、(メタ)アクリル酸塩の(共)重合により製造してもよく、また、(メタ)アクリル酸の(共)重合体を得てから、この(共)重合体を塩基等で中和して製造してもよい。
溶液重合法の場合に使用できる溶媒としては、通常のポリカルボン酸重合用溶媒等が使用でき、水及び/又はアルコール等が含まれる。水としては、水道水、脱イオン水及び工業用水等が挙げられる。アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコール等が用いられ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びエチレングリコール等が挙げられる。これらのうち、水、水及びアルコールの混合溶媒が好ましく、さらに好ましくは水及びアルコールの混合溶媒、特に好ましくは脱イオン水及びイソプロピルアルコールの混合溶媒である。
水とアルコールとを混合して使用する場合、混合重量比(水/アルコール)は、0.1〜99.9/0.1〜99.9に任意に混合できるが、0.1〜50/50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは0.1〜40/60〜99.9、特に好ましくは0.1〜30/70〜99.9である。この範囲であれば、ポリマー(A)のMwとMnとの比(Mw/Mn)を1.2〜2.0に調整しやすく、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
溶剤の使用量(重量%)は通常の方法と同様であり、例えば、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、(A1)の重量に基づいて100〜500程度であり、また(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(A2)の重量に基づいて100〜1,000程度である。また(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、(A3)の重量に基づいて100〜1,000程度である。
逆相懸濁重合法の場合に使用できる溶媒としては、水及び/又はアルコール(溶液重合法と同じ)以外に、炭素数6〜18の炭化水素等が使用でき、アルカン及びアレーン等が含まれる。
アルカンとしては、ヘキサン、イソヘキサン、オクタン、2−エチルヘキサン、デカン及びイソオクチルデカン等が挙げられる。
アレーンとしては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びt−ブチルベンゼン等が挙げられる。
これらのうち、ヘキサン、オクタン、トルエン及びキシレンが好ましく、さらに好ましくはヘキサン及びトルエン、特に好ましくはヘキサンである。
溶剤の使用量(重量%)は通常の方法と同様であり、例えば、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、(A1)の重量に基づいて、水100〜500、炭化水素等100〜1,000程度であり、また(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(A2)の重量に基づいて、水100〜1,000、炭化水素等100〜2,000程度である。また(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、(A3)の重量に基づいて、水100〜500、炭化水素等100〜2,000程度である。
(共)重合反応には、重合開始剤を用いることができる。溶液重合法の場合、重合開始剤としては、アゾ化合物、過硫酸塩、過硼酸塩、過酸化物及びレドックス触媒等が含まれる。
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−アルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。
過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
過硼酸塩としては、過硼酸アンモニウム、過硼酸カリウム及び過硼酸ナトリウム等が挙げられる。
過酸化物としては、過酸化水素及び過酸化ベンゾイル等が挙げられる。
レドックス触媒としては、アスコルビン酸−過酸化水素等が挙げられる。
これらのうち、アゾ化合物及び過硫酸塩が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムである。
これらの重合開始剤は、1種を選択して用いることができ、また、2種以上を選択してこれらを混合して用いることもできる。
また、塊状重合法及び逆相懸濁重合法を採用する場合には、重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物及びレドックス触媒等が使用できる。
アゾ化合物、過酸化物及びレドックス触媒としては、溶液重合法と同じものが使用でき、油溶性のものが好ましい。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−アルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。過酸化物としては、過酸化水素及び過酸化ベンゾイル等が挙げられる。レドックス触媒としては、アスコルビン酸−過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ化合物及び過酸化物が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物である。これらの重合開始剤は、1種を選択して用いることができ、また、2種以上を選択してこれらを混合して用いることもできる。
また、その他の重合法においても、公知の重合開始剤が使用できる。
重合開始剤を使用する場合、重合開始剤の使用量は、ポリマー(反応生成物)が目的とする重量平均分子量及び数平均分子量となるように、調節される。溶液重合法の場合、ポリマーの重量平均分子量及び数平均分子量は、重合濃度、重合温度、単量体の仕込み速度などに大きく影響されるため、重合開始剤の使用量は、ポリマー(A)に対して、数%と比較的少量ですむ。一方、塊状重合法及び逆相懸濁重合法の場合、いずれも反応速度が速く、目的とする重量平均分子量及び数平均分子量を得るためには、重合開始剤の使用量は、比較的多く必要となる。
ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいればよい。このため、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)からなる場合、(A1)及び(A2)をそれぞれ製造してから混合してもよく、また、(A1)を得てからこの一部を中和して製造してもよく、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよい。
また、ポリマー(A)が(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる場合、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよい(水溶液にすると(A2)が生成するから、この場合は固体で保存する)。また、ポリマー(A)が(A1)、(A2)及び(A3)からなる場合、(A1)、(A2)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、また、(A1)を得てからこの一部を中和して製造してもよく、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、(A1)又は(A2)を得てから一部を中和して製造してもよい。
さらに、ポリマー(A)が(A2)及び(A3)からなる場合、(A2)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、(A1)又は(A2)を得てから一部を中和して製造してもよい。
また、ポリマー(A)が(A2)からなる場合、(A2)を直接製造してもよく、(A1)を得てから一部を中和して製造してもよい。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤には、ポリマー(A)以外に、必要に応じ、水、耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、保水剤及び蛍光染料等の添加物を含んでいてもよい。これら添加物としては、紙塗被塗料、紙加工、繊維処理及びエマルション塗料等に添加される公知の添加物が使用できる。
耐水化剤としては、炭酸アンモニウムジルコニウム、ポリアミド尿素ホルムアルデヒド、グリオキザール、ポリアミドポリアミン及び/又はスチレン−アクリル酸エステル樹脂等を含む耐水化剤が挙げられる。防腐防黴剤としては、イソチアゾリン化合物及び/又はチアゾール化合物等を含む防腐防黴剤が挙げられる。消泡剤としては、脂肪酸エステル、シリコーンオイル及び/又はポリエーテル等を含む消泡剤が挙げられる。潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム及び/又はポリエチレンワックス等を含む潤滑剤が挙げられる。分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物及び/又はポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸の中和度95〜100モル%)等を含む分散剤が挙げられる。保水剤としては、カルボキシメチルセルロース及び/又はメタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル(メタアクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体中、アクリル酸アルキルエステル単量体が40モル%以上、重量平均分子量10万〜200万)等を含む保水剤が挙げられる。蛍光染料としては、ジアミノスチルベン系等を含む蛍光染料が挙げられる。
水を含む場合、水の含有量は、目的に応じ任意に調整できる。しかし、ポリマー(A)が混合される重質炭酸カルシウムスラリーの固形分の低下を防止するという観点から、最小限に抑えることが好ましい。一方、取り扱い性の観点から、多量であることが好ましい。したがって、水を使用する場合、水の含有量(重量%)は、ポリマー(A)の重量に基づいて、0.1〜400が好ましく、さらに好ましくは0.2〜150、特に好ましくは0.3〜100である。
耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、保水剤及び/又は蛍光染料等を含む場合、これらの合計含有量(重量%)は目的に応じ任意に調整できるが、ポリマー(A)の重量に基づいて、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3である。
水を含まない場合、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤の形態は、重質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムスラリーへの添加・溶解性の観点等から、微粉末状粒子の形態が好ましい。微粉末状粒子の大きさ(mm)は、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.001〜1である。なお、この大きさは、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径である。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、ポリマー(A)を含んでいればよく、必要により含有する水、耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、保水剤及び蛍光染料等は、その製造工程中の任意の段階で配合できる。なお、水は、重合溶媒として使用したものをそのまま用いることができ、必要に応じて濃度調整(加熱留去、減圧留去及び/又は加水等)してもよい。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、重質炭酸カルシウムを粉砕工程で微粒子化する重質炭酸カルシウムスラリー製造において、粒子の分散効果が極めて高く、粒子の安定性を向上させることができるので、紙塗被塗料、紙加工、繊維処理及びエマルション塗料等に使用される重質炭酸カルシウムに適用できる。特に、紙塗被塗料に使用される重質炭酸カルシウムに対して適用するとその利用価値が高い。なお、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、特に湿式法に適しているが、湿式法及び乾式法のいずれにも適用できる。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を適用できる重質炭酸カルシウムとしては、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムが適している。カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムは、粗粒カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムでもよく、粒度調整されたカルサイト結晶型重質炭酸カルシウムでもよい。すなわち、天然の石灰石(粒子径1mm〜7cm程度)をそのまま湿式粉砕する場合にも適用でき、また乾式で粉砕した石灰石(重質炭酸カルシウム)をその後に湿式粉砕する場合にも適用できる。乾式粉砕後の重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径は、通常1μm〜2mmであり、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは1〜20μmである。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、以上のような体積平均粒子径(Y)μmの重質炭酸カルシウムを0.00001Y〜0.01Y(好ましくは0.00001Y〜0.001Y、さらに好ましくは0.00001Y〜0.0001Y)μm、かつ0.01〜0.7(好ましくは0.01〜0.65、さらに好ましくは0.01〜0.4、特に好ましくは0.01〜0.3)μmの大きさに粉砕するのに適している。
体積平均粒子径0.00001Y〜0.01Yに粉砕するとは、粉砕前の粒子径YをY/100,000〜Y/100の粒子径に粉砕することを意味し、粉砕度としては1/100,000〜1/100に相当する。このように、湿式粉砕後の体積平均粒子径を湿式粉砕前の体積平均粒子径で割った値を粉砕度と定義する。
粉砕工程で得られる重質炭酸カルシウムスラリー中の重質炭酸カルシウムの濃度(重量%)(スラリー濃度)としては、スラリーの重量に基づいて、70〜85が好ましく、さらに好ましくは75〜85、特に好ましくは80〜85である。
また、粉砕工程で得られる重質炭酸カルシウムスラリーのpHは、8.4〜9.1が好ましい。
すなわち、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、高い粉砕度で重質炭酸カルシウムを粉砕して上記範囲の微粒子、かつ高濃度の重質炭酸カルシウムスラリーを得るのに適している。さらに、スラリー濃度が75重量%以上、かつ体積平均粒子径が0.01〜0.4μmである高濃度超微粒子スラリーを得るのに好適であり、特にスラリー濃度が80重量%以上、かつ体積平均粒子径が0.01〜0.4μmである高濃度超微粒子スラリーを得るのに好適である。本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕用分散剤を用いると、乾式粉砕工程がなくても、このような高濃度超微粒子スラリーが容易に製造できる。このような高濃度超微粒子スラリーは、スラリー中の粒子がより均一に分散し、また、粒子の分散が安定しており、スラリーの粘度の上昇が抑えられている。なお、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、粉砕度、分散効率及び安定性の観点等から、スラリー濃度が70重量%未満、かつ体積平均粒子径が0.8μmを越える重質炭酸カルシウムスラリーを得るのには適していない。
なお、体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001(ISO 13320−1:1999)に準拠したレーザー光回折散乱法{商品名:マイクロトラック(MICROTRAC UPA、Leeds and Northerup製)等のレーザー光回折散乱粒度分布測定装置、レーザー光波長;780nm、測定温度;25℃、分散媒;水)}により測定される。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤の使用量(重量%)は、ポリマー(A)の重量として、重質炭酸カルシウムの重量に基づいて、0.01〜4が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3、特に好ましくは0.01〜2である。この範囲であると、粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、粉砕工程中の任意の段階で添加できる。また、添加方法は、使用する全量を一括添加してもよく、分割添加してもよいが、分割添加が好ましい。さらに好ましくは分散剤の一部を粉砕工程の初期に、残りを粉砕工程の途中に分割して添加することである。
なお、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、重質炭酸カルシウムを粉砕できる装置を使用する粉砕工程であれば、装置の種類にかかわりなく当該工程に使用することができる。このような粉砕装置としては、例えば、一般流体用攪拌機(プロペラミキサー、タービンミキサー及びデソルバー等)、高速回転高せん断型攪拌分散機(ホモミキサー、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ボールミル、コーレスミキサー、ディスクキャビテーションミキサー及びステイターローラー等)、コロイドミル(TKマイコロイダー、TKホモミックラインミル、TKハイラインミル、シャーロットコロイドミル等)、加圧ノズル(ジェット流)式分散機(ガウリン及びホモジナイザー等)、超音波式乳化機(ディスパーソニック及びウルトラジェッター等)、機械的振動攪拌機及び静電場を利用した攪拌機等が使用できる。これらのうち、一般流体用攪拌機及び高速回転高せん断型攪拌分散機が好ましく、さらに好ましくはプロペラミキサー、ホモミキサー、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ボールミル及びコーレスミキサーである。またこれらの粉砕装置は、1種類のみを用いてもよく、粉砕工程を分割して、分割した工程にそれぞれ別の装置を用いてもよい。(1種類のみ用いることが簡便性の観点等から好ましい。)。また、粉砕条件(温度等)にも制限がなく、従来と同様な条件等が適用できる。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム以外の、顔料等の粉砕工程用の分散剤としても適用できる。このような顔料としては、重質炭酸カルシウム(結晶型:アラゴナイト又はバテライト)、クレイ、軽質炭酸カルシウム(結晶型:カルサイト、アラゴナイト又はバテライト)、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ、フェライト及びアルミナ等が挙げられる。
さらに、粉砕工程以外に、顔料分散工程用の分散剤としても使用できる。例えば、クレイ、軽質炭酸カルシウム(結晶型:カルサイト、アラゴナイト又はバテライト)、重質炭酸カルシウム(結晶型:カルサイト、アラゴナイト及びバテライト)、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ、フェライト及びアルミナ等の無機顔料用分散剤としても使用できる。
そして、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を用いて得られる重質炭酸カルシウムスラリーを紙塗被塗料に適用すると、紙へ塗被する際の塗被操業性(高速塗工性等)が向上するのみならず紙塗被塗料の高濃度化にも貢献する。さらに、本発明の分散剤中の(メタ)アクリル酸塩単位の含有量が少ないため、本発明の分散剤を用いると、塗被紙の耐水性が向上する。また、本発明の分散剤を用いると分散剤の使用量が少なくてすむため、コストメリットが高くなると共に、塗被紙の耐水性がさらに向上する。
本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含む重質炭酸カルシウムスラリーは、紙塗被塗料にバインダーとともに顔料又はフィラー成分として含有される。紙塗被塗料の場合における本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含む重質炭酸カルシウムスラリーの使用量(重量部)は、紙塗被塗料の顔料又はフィラー100重量部に対して、任意の割合で使用可能であるが、10〜100が好ましく、さらに好ましくは30〜100、特に好ましくは50〜100、最も好ましくは60〜100である。この範囲であると、紙塗被塗料をさらに低粘度化及び高濃度化にすることができ好ましい。
紙塗被塗料に含有されるカルサイト結晶型重質炭酸カルシウム以外の顔料としては、無機顔料(重質炭酸カルシウム(結晶型:アラゴナイト又はバテライト)、クレイ、軽質炭酸カルシウム(結晶型:カルサイト、アラゴナイト又はバテライト)、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等)及び有機顔料(ポリスチレン系プラスチックピグメント等)等が挙げられる。これらの顔料成分は、1種又は2種以上を選択してカルサイト結晶型重質炭酸カルシウムと共に使用できる。
顔料又はフィラーは、紙塗被塗料の主成分として利用され、塗被紙の要求性能、塗被方法に基づき、その使用量(重量部)は様々であり、バインダー及び顔料又はフィラーの合計100重量部に対して70〜90が好ましい(紙塗被塗料をブレード塗工する場合、80〜90が好ましく、軽量コート紙用の紙塗被塗料をサイズプレス塗工する場合、70〜80が好ましい)。この範囲であると紙塗被塗料の減粘効果(低粘度化)がさらに良好となる。
これらの紙塗被塗料におけるバインダーとしては、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、変性スチレンブタジエンラテックス、アクリルラテックス及び酢酸ビニルラテックス等が含まれる。
スチレンブタジエンラテックスとしては、スチレン及びブタジエンの共重合体等が使用でき、オレイン酸ナトリウム等の乳化剤を用いて乳化重合により得られる。
変性スチレンブタジエンラテックスとしては、スチレン、ブタジエン及び他のモノマーの共重合体等が使用できる。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル等が挙げられる。
アクリルラテックスとしては、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体等が使用できる。
酢酸ビニルラテックスとしては、酢酸ビニル、高級脂肪酸ビニルエステル、マレイン酸ジエステル及び/又はエチレンの共重合体等が使用でき、ポリビニルアルコールやヒドロキシエチルセルロース等の保護コロイドである乳化分散剤を利用し、酢酸ビニルを乳化重合して得られる。
これらの他に、酢酸ビニル−アクリル共重合体ラテックス、塩化ビニル共重合体ラテックス、ABSラテックス、NBRラテックス及びCRラテックス等の合成ラテックス等も使用できる。ラテックス以外のバインダーとしては、水溶性バインダー等が含まれ、天然バインダー、半合成バインダー及び合成バインダー等が使用できる。天然バインダーとしては、デンプン等のスターチ、こんにゃく等のマンナン、アルギン酸等の海藻類、大豆タンパク等の植物性粘質物、デキストリン等の微生物性粘着物及びカゼイン等のタンパク質等が挙げられる。半合成バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース等の変性セルロース及びカルボキシメチルスターチ等の変性スターチ等が挙げられる。合成バインダーとしては、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸の中和度95〜100モル%)等が挙げられる。ラテックス以外のバインダーを使用する場合、この使用量(重量%)は、顔料及び/又はフィラーの重量に基づいて、0.01〜20である。
このような紙塗被塗料は、通常水性分散液体の形で使用され、必要に応じてその他の添加剤(例えばポリメタクリル酸−アクリル酸エステルなどの保水性・流動性改良剤、ポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸の中和度95〜100モル%)等の顔料分散剤、脂肪酸エステルなどの消泡剤、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤、グリオキザールやポリアミド尿素ホルムアルデヒドあるいはポリアミドポリアミン系樹脂等の耐水化剤、湿潤剤、防腐剤及び蛍光染料等)が添加される。
紙塗被塗料は既知の方法で、原紙に塗被でき、例えば、スプレーコーター、カーテンフローコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、サイズプレス、ロッドコーター及びエアナイフコーター等により原紙に塗被できる。塗被後、乾燥し必要に応じてカレンダーリング、スーパーカレンダーリング又はソフトニップカレンダーリングの仕上げを行う。塗被温度は通常10〜60℃、乾燥温度は通常90〜150℃であり、カレンダーリング、スーパーカレンダーリング又はソフトニップカレンダーリングの温度は通常30〜200℃である。
なお、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、粉砕工程中に重質炭酸カルシウムの粉砕度が上がり微粒子化される重質炭酸カルシウムスラリー製造において、微粒子に分散させる効果(分散効果)、微粒化された粒子を凝集させることなく安定に保つ特性(安定性)及び重質炭酸カルシウムスラリーの粘度を減少させる効果(減粘効果)が顕著である。
しかし、本分散剤は、重質炭酸カルシウム以外の無機顔料の微粒子化、分散に有効な分散剤等として使用することもできる。したがって、紙塗被塗料の製造において、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含んでなる重質炭酸カルシウムスラリー、顔料、フィラー及び/又はバインダーを混合する任意の工程で、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を混合してもよい。
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を表す。
【実施例1】
滴下ライン、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム40%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜100℃を保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却した後、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら、徐々に水酸化ナトリウム50%水溶液2.2部で中和してアクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A21)(アクリル酸単位は98個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1を得た。
【実施例2】
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液14.4部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A22)(アクリル酸単位:85個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤2を得た。
【実施例3】
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液25.6部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A23)(アクリル酸単位:75個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤3を得た。
【実施例4】
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液36.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A24)(アクリル酸単位:65個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤4を得た。
【実施例5】
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液42.2部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A25)(アクリル酸単位:60個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤5を得た。
【実施例6】
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液47.8部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A26)(アクリル酸単位:55個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤6を得た。
【実施例7】
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の250部をさらに80%水酸化カリウム水溶液48.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩−アクリル酸カリウム塩共重合体(A27)(アクリル酸単位:52個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤7を得た。
【実施例8】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの反応容器に、水300部、イソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム30%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜90℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却した後、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化マグネシウム1.6部で中和した後、さらに50%水酸化ナトリウム水溶液36.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸マグネシウム塩−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A28)(アクリル酸単位:65個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤8を得た。
【実施例9】
滴下ライン、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム40%水溶液200部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜85℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化リチウム0.3部で中和した後さらに50%水酸化ナトリウム水溶液21.1部で中和して、アクリル酸−アクリル酸リチウム塩−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A29)(アクリル酸単位:80個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤9を得た。
【実施例10】
滴下ライン、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸150部及びメタクリル酸179.2部からなる混合単量体、並びに過硫酸ナトリウム40%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜85℃に保った。滴下終了後2時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、局所排気設備(ドラフト)内で、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に25%アンモニア水2.6部で中和した後さらに50%水酸化ナトリウム水溶液27.3部で中和して、アクリル酸−アクリル酸アンモニウム塩−アクリル酸ナトリウム塩−メタクリル酸−メタクリル酸アンモニウム塩−メタクリル酸ナトリウム塩共重合体(A30)(アクリル酸単位及びメタクリル酸単位:70個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤10を得た。
【実施例11】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの反応容器に、水300部及びイソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下、メタクリル酸358.3部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル30%イソプロピルアルコール溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから5時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜95℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却した。その後、この反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に、水酸化ナトリウム50%水溶液9.3部で中和して、メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム塩共重合体(A31)(メタクリル酸単位:90個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤11を得た。
【実施例12】
滴下ライン、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム40%水溶液200部をそれぞれ別々の滴下ラインから4時間かけて一定速度で滴下して密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜105℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化ナトリウム50%水溶液33.3部を滴下して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A32)(アクリル酸単位:70個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤12を得た。
【実施例13】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの反応容器に、水300部及びイソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下、メタクリル酸300部部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル30%イソプロピルアルコール溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜95℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に50%水酸化ナトリウム水溶液38.9部で中和して、メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム塩共重合体(A33)(アクリル酸単位:65個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤13を得た。
【実施例14】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置及び温度計付きの反応容器に、水300部及びイソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下アクリル酸260.9部及び過硫酸ナトリウム30%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜90℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを減圧留去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化ナトリウム50%水溶液53.3部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A34)(アクリル酸単位:52個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤14を得た。
【実施例15】
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液41.1部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A35)(アクリル酸単位:61個数%)を40%含む本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤15を得た。
<比較例1>
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液55.6部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X1)(アクリル酸単位:48個数%)を40%含む比較用の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤16を得た。
<比較例2>
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液70.0部で中和してアクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X2)(アクリル酸単位:35個数%)を40%含む比較用の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤17を得た。
<比較例3>
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液81.1部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X3)(アクリル酸単位:25個数%)を40%含む比較用の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤18を得た。
<比較例4>
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液92.2部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X4)(アクリル酸単位:15個数%)を40%含む比較用の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤19を得た。
<比較例5>
実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液106.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X5)(アクリル酸単位:2個数%)を40%含む比較用の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤20を得た。
<比較例6>
特開平11−217534号公報に記載された実施例4に準じて、本発明の実施例1と同様な方法により、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ドデシルアミンのプロピレンオキシド2モル付加物で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩−アクリル酸ドデシルアミンのプロピレンオキシド2モル付加物塩共重合体(X9)(アクリル酸単位:27個数%)を40%含む比較用の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤21を得た。
実施例1〜15及び比較例1〜6の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1〜20の構成を表1に示した。

なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)のGPC測定条件は以下の通りである。
使用装置:東ソー(株)製形式HLC−8120GPC
カラム :東ソー(株)製形式G5000PWXLと形式G3000PWXLを直列に接続
検出器 :RI検出器、
データ処理機:東ソー(株)製形式SC−8020
カラム温度:40℃、
溶離液 :リン酸水素二ナトリウム水溶液▲1▼とリン酸二水素ナトリウム水溶液▲2▼との0.1Mリン酸緩衝液(混合比▲1▼/▲2▼:1/1)
溶離液流速:0.6ml、
試料濃度:0.4重量%溶離液溶液、
試料溶液注入量:50μl、
標準物質:東ソー(株)製TSK標準ポリエチレングリコール(光散乱法で測定された重量平均分子量(以下、Mと省略する)SE−150:(M)885,000、SE−70:(M)510,000、SE−30:(M)340,000、SE−15:(M)170,000、SE−8:(M)95,000、SE−5:(M)46,000、SE−2:(M)26,000)、和光純薬工業(株)製試薬(和光規格1級合格品ポリエチレングリコール6000:(M)7,500、和光純薬工業(株)製試薬(特級特級エチレングリコール:分子量62)
実施例1〜15及び比較例1〜6で調整した重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1〜20の性能を以下の方法により評価し、これらの結果を表2〜5に示した。
<評価>
(1)重質炭酸カルシウムスラリーの調整
▲1▼ベーススラリーの調製−1
コーレス型ミキサー(特殊機化工業株式会社、TKホモジナイザーAM−20型)を用いて、評価用サンプル1部及び水333.3部を1,000rpmで撹拌混合した後、これに、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)1,000部を徐々に加え、全ての重質炭酸カルシウムを加え終わった後、20,000rpmで20分間撹拌して、ベーススラリー(A)を得た。
▲2▼ベーススラリーの調製−2
カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕サンプル、体積平均粒子径50μm)に変更した以外は、▲1▼のベーススラリーの調整−1に準じてベーススラリー(B)を得た。
▲3▼ベーススラリーの調製−3
カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕サンプル、体積平均粒子径500μm)に変更した以外は、▲1▼のベーススラリーの調整−1に準じてベーススラリー(C)を得た。
▲4▼ベーススラリーの調製−3
カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕サンプル、体積平均粒子径5,000μm)に変更した以外は、▲1▼のベーススラリーの調整−1に準じてベーススラリー(D)を得た。
▲5▼ベーススラリーの湿式粉砕1
ベーススラリー(A)1,000部を、メジア(硅砂、体積平均粒子径1mm)2,000部及び湿式粉砕できるアトライター(株式会社大石機械製作所製、SMT)にて1,500rpmで約30分間密閉下で湿式粉砕した後、目開き38μmのステンレス金網(JIS Z8801−1:2000)にてろ過して、微粉砕スラリーを得た。ついで、この微粉砕スラリーの蒸発残渣(スラリー重量1〜1.5g、160℃、20分)を75%に調整することによりスラリー(AII)を得た。
▲6▼ベーススラリーの湿式粉砕2
▲5▼と同様にして、ベーススラリー(A)1,000部を、メジア2,000部及びアトライターにて1,500rpmで60分間密閉下で湿式粉砕した後、目開き38μmのステンレス金網にてろ過して、微粉砕スラリーを得た。この微粉砕スラリーの蒸発残渣を75%に調整することによりスラリー(AIII)を得た。
▲7▼ベーススラリーの湿式粉砕3
▲5▼と同様にして、ベーススラリー(A)1,000部を、メジア2,000部及びアトライターにて1,500rpmで約90分間密閉下で湿式粉砕した後、目開き38μmのステンレス金網にてろ過して、微粉砕スラリーを得た。この微粉砕スラリーの蒸発残渣を75%に調整することによりスラリー(AIV)を得た。
▲8▼ベーススラリーの湿式粉砕4
▲7▼と同様にして、ベーススラリー(B)1,000部を、メジア2,000部及びアトライターにて1,500rpmで約90分間密閉下で湿式粉砕した後、目開き38μmのステンレス金網にてろ過して、微粉砕スラリーを得た。この微粉砕スラリーの蒸発残渣を75%に調整することによりスラリー(BIV)を得た。
▲9▼ベーススラリーの湿式粉砕5
▲7▼と同様にして、ベーススラリー(C)1,000部を、メジア2,000部及びアトライターにて1,500rpmで約90分間密閉下で湿式粉砕した後、目開き38μmのステンレス金網にてろ過して、微粉砕スラリーを得た。この微粉砕スラリーの蒸発残渣を75%に調整することによりスラリー(CIV)を得た。
▲10▼ベーススラリーの湿式粉砕4
▲7▼と同様にして、ベーススラリー(D)1,000部を、メジア2,000部及びアトライターにて1,500rpmで約90分間密閉下で湿式粉砕した後、目開き38μmのステンレス金網にてろ過して、微粉砕スラリーを得た。この微粉砕スラリーの蒸発残渣を75%に調整することによりスラリー(DIV)を得た。
(2)スラリーの粘度測定
スラリー(AII)〜(AIV)及び(BIV)〜(DIV)を25℃に温調し、撹拌モーターにて1,000rpmで5分間撹拌して均一にした直後にB型粘度計(株式会社トキメック製、TV−20型)を用い回転数60rpmで60秒後のスラリー粘度(N1)を測定した。また、25℃の恒温器にて7日間静置後、同様にしてスラリー粘度(N7)を測定した。これらの測定結果を表2及び3に示した。


本発明の分散剤(実施例1〜14)は、比較用の分散剤(比較例1〜6)に比較して、得られたスラリーの粘度(N1)が著しく低く、分散効果及び減粘効果に極めて優れていた。また、7日後の粘度(N7)も著しく低く、粒子の安定性が極めて優れていた。
(3)体積平均粒子径測定方法
レーザー光回折散乱式粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラック(MICROTRAC UPA、Leeds and Northerup製)を用い、条件(レーザー光波長;780nm、測定温度;25℃、分散媒;水、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムの濃度2.5%、計測時間6分)で体積平均粒子径を測定し、これらの測定結果を表4及び5に示した。


本発明の分散剤(実施例1〜15)は、比較例用の分散剤(比較例1〜6)に比較して、重質炭酸カルシウム粒子の体積平均粒子径が著しく小さく、分散効果に極めて優れていた。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、重質炭酸カルシウムの湿式粉砕工程(微粒子化重質炭酸カルシウムスラリー製造工程)に使用される。当該重質炭酸カルシウムスラリーは、例えば、紙塗被塗料の顔料として使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒子径Yμmの重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径0.00001Y〜0.01Yμm、かつ0.01〜0.7μmに湿式粉砕する工程に用いられる分散剤であって、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)を構成する全単量体単位の個数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が60〜100個数%であることを特徴とする重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤。
【請求項2】
ポリマー(A)を構成する全単量体単位の個数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が61〜100個数%である請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
ポリマー(A)が(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び/又は(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)を含んでなり、(メタ)アクリル酸塩単位が、アルカリ金属塩単位、アルカリ土類金属塩単位及び/又はアンモニウム塩単位である請求項1に記載の分散剤。
【請求項4】
重質炭酸カルシウムスラリーを製造する方法において、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)を構成する全単量体単位の個数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が50〜100個数%である分散剤を用い、重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径Yμmから体積平均粒子径0.00001Y〜0.01Yμmかつ0.01〜0.7μmに湿式粉砕する工程を含むことを特徴とする重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法。
【請求項5】
重質炭酸カルシウムが、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムである請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
湿式粉砕後の体積平均粒子径が0.00001Y〜0.001Yかつ0.01〜0.4μmであって、重質炭酸カルシウムスラリーの重質炭酸カルシウム濃度が75〜85重量%である請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含んでなる重質炭酸カルシウムスラリー。
【請求項8】
請求項1に記載の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含んでなる紙塗被塗料。
【請求項9】
請求項8に記載の紙塗被塗料を塗被してなる塗被紙。
【請求項10】
請求項1に記載の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を含んでなる重質炭酸カルシウムスラリーと、顔料、フィラー、バインダー及び/又は請求項1に記載の重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤とを混合する工程を含む紙塗被塗料の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/087574
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504176(P2005−504176)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003985
【国際出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】