説明

野縁保持具

【課題】異なる溝幅を有する野縁部材に対応して、野縁部材と野縁受部材を接続する野縁保持具を提供する。
【解決手段】野縁部材4,5の野縁側溝部2,3に取付可能とする第1の野縁取付部13及び第2の野縁取付部15と、野縁受部材9に取付可能とする受部材取付部16とを具備して、第1及び第2の野縁部材4,5及び野縁受部材9を互いに直交させた状態で接続して格子体10を構成する野縁保持具1であって、第1の野縁取付部13及び第2の野縁取付部15は、異なる幅寸法H1,H2の第1及び第2の野縁側溝部2,3を有する第1及び第2の野縁部材4,5に対応して、第1の野縁側溝部2に係合可能な第1の係止部19と、第2の野縁側溝部3に係合可能な第2の係止部35とを備えたことにより、溝幅H1,H2の異なる野縁保持具1と野縁受部材9を接続して格子体10を組み立てる際の部品点数を減らして、生産コストの削減を図るとともに、作業の効率化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野縁部材を保持する野縁保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井より吊下げられた吊下げ部材にハンガーを取り付け、このハンガーに野縁受部材を取り付け、野縁保持具を用いて複数の野縁部材と野縁受部材とを格子状に組み立て、野縁部材の下面に天井パネルを取り付けて天井を形成していた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−214897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の野縁保持具では、異なる溝幅の溝部を有する野縁部材に対して、野縁の溝幅に合わせて野縁保持具を選択する必要があり、溝幅に合わせた野縁保持具を用意するのは、生産性のうえでも無駄が多く、また、野縁部材の溝幅に合わせて野縁保持具を選んで作業を行うことで、作業が繁雑になるなど問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解消するものであり、異なる溝幅を有する野縁部材に対応して、野縁部材と野縁受部材を接続する野縁保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明の野縁保持具は、野縁部材の長手方向に沿って形成された溝部に取付可能とする野縁側取付部と、天井より吊下げ部材を介して吊下げられた野縁受部材に取付可能とする受部材側取付部とを具備して、前記野縁部材及び前記野縁受部材を互いに直交させた状態で接続して格子体を構成する野縁保持具であって、野縁側取付部は、異なる幅寸法の前記溝部を有する前記野縁部材に対応して、幅広な前記溝部に係合可能な幅広側係止部と、幅狭な前記溝部に係合可能な幅狭側係止部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明の野縁保持具は、前記幅広側係止部を、方形状の保持具本体の対向する一対の両端部より立ち上げられ、幅広な前記溝部に挿入可能な一対の幅広側立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて、幅広な前記溝部の内面に前記野縁部材の長手方向に沿って係合可能に設けられ、前記野縁部材を幅広な前記溝部に沿ってスライド自在に保持するものとし、前記幅狭側係止部を、前記保持具本体に前記幅広側立ち上げ部と略同一方向に立ち上げられ、且つ前記幅広側立ち上げ部間の間隔より幅狭に形成され、幅狭な前記溝部に挿入可能な一対の幅狭側立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて、幅狭な前記溝部の内面に前記野縁部材の長手方向に沿って係合可能に設けられ、前記野縁部材を幅狭な前記溝部に沿ってスライド自在に保持するものとすることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明の野縁保持具は、前記受部材側取付部は、前記保持具本体から上向きに立ち上げられた受部材側立ち上げ部と、前記受部材側立ち上げ部と前記野縁受部材とを締結する締結手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明の野縁保持具は、前記受部材側取付部は、前記受部材側立ち上げ部上端を略水平方向に延設して、前記保持具本体上面と対向する挟持部と、前記挟持部と前記保持具本体とで前記野縁受部材を挟持可能とする締付機構とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明の野縁保持具は、前記締付機構は、前記野縁保持具と前記天井とを連結する振れ止め手段を連結可能とする保持具側連結受部を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明の野縁保持具は、前記受部材側取付部は、前記挟持部の先端を折り曲げて、前記野縁受部材に係止可能とする受部材側係止部を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明の野縁保持具は、前記野縁部材に設けた野縁側連結受部と、前記野縁受部材に設けた受部材側連結受部とを具備し、前記野縁側連結受部と前記受部材側連結受部とを連結する連結手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明の野縁保持具は、前記受部材側連結受部は、消火機器を備えた横杆を前記野縁部材に固定する消火機器固定手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の野縁保持具。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、一つの野縁保持具に異なる溝幅の溝部を有する野縁部材を取付可能に取付部を備えたことにより、溝幅の異なる野縁保持具と野縁受部材を接続して格子体を組み立てる際の部品点数を減らして生産コストの削減を図るとともに、作業の効率化を図ることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、第1の係止部と野縁部材の溝部の両側縁部の内面との接触面積を増大させて、第1の係止部と野縁部材の溝部の両側縁部の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具と野縁部材との係合状態を安定化させることができるとともに、第2の係止部と幅狭な野縁部材の両側縁部の内面との接触面積を増大させて、第2の係止部と幅狭な野縁部材の両側縁部の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具と幅狭な野縁部材との係合状態を安定化させることができる。また、野縁部材を野縁部材の溝部に沿ってスライド自在に保持するとともに、幅狭な野縁部材を幅狭な野縁部材の溝部に沿ってスライド自在に保持することにより、格子体の平面形状を天井の形状に合わせた任意の形状に簡便に設定することができ、各野縁部材を野縁保持具に対してスライド自在とすることで、各野縁部材にかかる力を分散させて、各野縁部材が野縁保持具から脱落することを防止することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、締結手段を介して、野縁保持具を野縁受部材に固定することにより、野縁受部材から野縁保持具、しいては野縁部材が脱落することを防ぐことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、挟持部によって野縁保持具に野縁受部材を挟持することにより、野縁受部材の固定を確実に行うことができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、保持具側連結受部を介して振れ止め手段によって野縁保持具と天井を連結することで、野縁部材の揺れを抑えて、野縁部材が野縁受部材から落下することを防ぐことができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、受部材側係止部によって挟持部を野縁受部材に係止することで、野縁受部材の固定をさらに確実に行うことができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、野縁保持具以外に野縁部材と野縁受部材を連結する手段を備えたことにより、野縁部材が野縁保持具から離脱した場合や、野縁部材が野縁保持具ごと野縁受部材から離脱した場合に、野縁部材が落下することを防ぐことができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、消火機器を備えた横桟が地震等の揺れによって、落下したり、その設置位置にずれが生じることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例における野縁保持具の斜視図である。
【図2】同上、野縁保持具に第1の野縁部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】同上、野縁保持具に第2の野縁部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】同上、野縁保持具に第1の野縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図5】同上、野縁保持具に第2の野縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】同上、野縁側連結体の斜視図である。
【図7】同上、野縁保持具の使用状態を示す斜視図である。
【図8】同上、野縁側連結部付近の斜視図である。
【図9】同上、野縁保持具の他の使用状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施例における振れ止め部材を示す斜視図である。
【図11】同上、野縁保持具に第1の野縁部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の第3実施例における野縁側連結部付近の断面図である。
【図13】同上、野縁側連結部付近の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明における実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0024】
図1〜図8は本発明の実施形態の一例を示すものであり、本実施例の野縁保持具1は、それぞれ長手方向に沿って溝部として野縁側溝部2,3が形成された断面略C形状の形鋼からなる複数の野縁部材4,5と、天井(図示せず)より垂設されて吊下げられた吊下げ部材としての吊下げボルト(図示せず)に略S型形状の形鋼からなるハンガー8を介して接続された断面略C形状の形鋼からなる野縁受部材9とを、互いに直交させて一体化して、野縁部材4,5の下面に石膏ボード、コンパネ等の板材からなる天井パネル(図示せず)が取付可能な格子体10を構成するものである。
【0025】
本実施例では、長手方向(図中、X方向)と水平方向に直交する方向である短手方向(図中、Y方向)の幅H1,H2の異なる2種類の野縁部材として、幅を大きく設定された幅広な第1の野縁部材5と、幅を小さく設定された幅狭な第2の野縁部材6を用いる。ここで、第1の野縁部材5の幅H1は、第2の野縁部材6の幅H2の約2倍の大きさに設定されている。
【0026】
野縁保持具1は、方形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる保持具本体11の下部には、第1の野縁部材5の第1の野縁側溝部2の断面略J型に形成された第1の野縁側両側縁部12と係合可能な第1の野縁取付部13と、第2の野縁部材6の第2の野縁側溝部3の断面略J型に形成された第2の野縁側両側縁部14と係合可能な第2の野縁取付部15が設けられている。
【0027】
また、保持具本体11の上部には、野縁受部材9を挟持して野縁受部材9の固定を行う受部材取付部16を備えている。
【0028】
第1の野縁取付部13は、保持具本体11の対向する一対の両端部17,17より略平行に立ち上げられ、第1の野縁部材5の第1の野縁側溝部2に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部18と、各第1の立ち上げ部18の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、第1の野縁側両側縁部12の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第1の野縁部材5を第1の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部19が設けられている。
【0029】
受部材取付部16は、一対の両端部と水平方向に直交する保持具本体の他方の端部より第1の立ち上げ部18とは反対方向へ略平行となるように垂直上向きに立ち上げられた受部材側立ち上げ部20と、この受部材側立ち上げ部20の上端を略水平方向に延設して、保持具本体と平行に形成され、保持具本体上面と対向する挟持部21と、挟持部21の先端を野縁受部材の側面形状に合わせて折り曲げて形成された受部材側係止部22とを有している。
【0030】
また、受部材取付部16は、受部材側立ち上げ部20と野縁受部材9とを締結する締結手段23として、受部材側立ち上げ部20に形成された取付側貫通部20Aと野縁受部材9に形成された受部材側貫通部9Aに挿通可能な第1の雄螺子部としての第1のボルト24と、受部材側立ち上げ部20外面から取付側貫通部20Aと受部材側貫通部9Aに挿通された第1のボルト24に野縁受部材9の内側より螺着可能な第1の雌螺子部としての第1のナット25を備えている。ここで第1のナット25は受部材側立ち上げ部20に固定されているものでも、受部材側立ち上げ部20と別体としても構わないものとする。また、第1の雌螺子部25としては、取付側貫通部20A及び受部材側貫通部9Aのいずれか一方又はその両方に第1のボルト24が螺合可能な螺子溝を螺刻したものとしても構わないものとする。さらに、第1のボルト24・第1のナット25はそれぞれ、取付側貫通部20A又は受部材側貫通部9Aに対して軟質ゴム製の座金部材24A,25Aを介して取り付けられることが好ましい。
【0031】
さらに、受部材取付部16には、挟持部21下面と保持具本体11上面によって野縁受部材9の挟持を可能とする締付機構26として、挟持部21の略中央部分に形成された挟持部側貫通部27と保持具本体11の略中央部分に形成された本体側貫通部28に挿通可能な第2の雄螺子部としての第2のボルト29と、挟持部21上方から挟持部側貫通部27と本体側貫通部28に挿通された第2のボルト29に保持具本体11下方より螺着可能な第2の雌螺子部としての第2のナット30を備えている。ここで第2のナット30は保持具本体11に固定されているものでも、保持具本体11と別体としても構わないものとする。また、第2の雌螺子部30としては、挟持部側貫通部27と本体側貫通部28のいずれか一方又はその両方に第2のボルト29が螺合可能な螺子溝を螺刻したものとしても構わないものとする。さらに、第2のボルト29・第2のナット30はそれぞれ、挟持部側貫通部27又は本体側貫通部28に対して軟質ゴム製の座金部材29A,30Aを介して取り付けられることが好ましい。
【0032】
また、締付機構26において、第2のボルト29の頭部に設けられた第1の環状部31と、一方が第1の環状部31に接続されて、他方が天井(図示せず)に接続されることにより、天井(図示せず)と第1の環状部31とを連結する揺れ止め手段たる第1のワイヤ32を備えている。
【0033】
さらに、前述の受部材側係止部22は、挟持部21の先端部分から中間部分にかけて、平行に形成された2条のスリット33,33によって区画された挟持部21の先端部分の両端を、下方に折り曲げて形成されたものである。
【0034】
第2の野縁取付部15には、保持具本体11の第1の立ち上げ部18,18間に第1の立ち上げ部18と略平行に立ち上げられ、且つ第1の立ち上げ部18,18間の間隔M1より幅狭な間隔M2に形成され、第2の野縁側溝部3に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部34,34と、各第2の立ち上げ部34,34の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて、第2の野縁両側縁部14の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第2の野縁部材6を第2の野縁側溝部3に沿ってスライド自在に保持する第2の係止部35が設けられている。
【0035】
ここで、各第1の立ち上げ部18,18は、保持具本体11側の基端から第1の係止部19側の先端にかけて、互い距離が近付くように傾斜して形成されており、第3の立ち上げ部40,40及び第2の立ち上げ部34,34についても同様に保持具本体11側の基端から第3の係止部41,41及び第2の係止部35,35側の先端にかけて、互いの距離が近付くように傾斜して形成されている。
【0036】
また、本実施例では、野縁側連結部36として、方形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる連結体本体37の下部に野縁保持具1と同様の第1の野縁取付部13及び第2の野縁取付部15を備えて、野縁部材4,5にスライド自在に取付可能とした野縁側連結体38と、受部材取付部として一対の両端部17,17と水平方向に直交する連結体本体37の別の一対の両端部39,39より第1の立ち上げ部18とは反対方向へ略平行に立ち上げられ、受部材側溝部4に挿入可能な一対の第3の立ち上げ部40,40と、各第3の立ち上げ部40,40の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、受部材側両側縁部16の内面に野縁受部材9の長手方向(図中、Z方向)に沿って係合可能に設けられ、野縁受部材9を受部材側溝部4に沿ってスライド自在に保持する第3の係止部41と、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板を下方を開放した断面略凸状に折り曲げ形成して、その両肩部42A下面を第3の係止部41によって支持可能に設けたカバー部材42と、カバー部材42の天面部42B中央に形成された貫通部42Cから連結体本体37中央部分に形成された貫通部37Aに挿通可能な第3の雄螺子部としての第3のボルト43と、第3のボルト43を連結体本体37下面から螺着可能な第3の雌螺子部としての第3のナット44とを有し、カバー部材42を第3のボルト43・第3のナット44による締め付けにより連結体本体37に固定可能とするものであり、第3のボルト43の頭部には棒状の金属材料を円環状に折り曲げて形成された第2の環状部45を溶接等によって一体に設けている。ここで第3のナット44は連結体本体37に固定されているものでも、連結体本体37と別体としても構わないものとする。また、第3の雌螺子部44としては、貫通部42C及び貫通部37Aのいずれか一方又はその両方に第3のボルト43が螺合可能な螺子溝を螺刻したものとしても構わないものとする。さらに、第3のボルト43・第3のナット44はそれぞれ、貫通部42C及び貫通部37Aに対して軟質ゴム製の座金部材43A,44Aを介して取り付けられることが好ましい。
【0037】
一方、受部材側連結部46として、金属板を断面略コ型に折り曲げ形成された受部材側連結体47と、野縁側連結体38の上面部及び下面部にそれぞれ形成された上面部側貫通部48及び下面部側貫通部49と、野縁側連結体38の上面部側から上面部側貫通部48及び下面部側貫通部49に挿通可能な第4の雄螺子部としての第4のボルト50と、第4のボルト50を下面部側から螺着する第4の雌螺子部としての第4のナット51とを有し、第4のボルト50・第4のナット51による締め付けにより受部材側連結体47の上面部及び下面部で野縁受部材9の上面部及び下面部を挟持可能に設けており、第4のボルト50の頭部には棒状の金属材料を円環状に折り曲げて形成された第3の環状部52を溶接等によって一体に設けている。ここで第4のナット51は受部材連結体47に固定されているものでも、受部材連結体47と別体としても構わないものとする。また、第4の雌螺子部51としては、上面部側貫通部48及び下面部側貫通部49のいずれか一方又はその両方に第4のボルト50が螺合可能な螺子溝を螺刻したものとしても構わないものとする。さらに、第4のボルト50・第4のナット51はそれぞれ、上面部側貫通部48及び下面部側貫通部49に対して軟質ゴム製の座金部材50A,51Aを介して取り付けられることが好ましい。
【0038】
そして、野縁側連結部36と受部材連結部46とを連結する連結手段として、第2の環状部45と第3の環状部52とを連結可能とする第2のワイヤ53を備えている。
【0039】
また、野縁側連結部36材のカバー部材42において、その最頂部42bはスプリンクラーヘッド等の消火機器54を取付金具55を介して固定する断面矩形状の横杆56の上面部及び左右両側面を外嵌可能に形成されている。そして、横桟56は、カバー部材42下面と野縁側連結体38上面の間に配置されて、第4のボルト50を、カバー部材42の貫通部、横杆56の上面部及び下面部に連通して形成された貫通部、そして連結体本体37の貫通部の順に挿通して、連結体本体37の下面から第4のナット51を螺着することにより、カバー部材42と野縁側連結体38の間で挟持固定されるものである。
【0040】
また、横杆56は、野縁側連結部36を備えた野縁部材4,5の両隣に平行に配置され、野縁側連結部36を有さない野縁部材4,5に対しては、その野縁部材4,5上面を水平移動可能に設置されている。さらに、横杆56は、横杆の下面に固定されたゴム製の板材からなる弾性部材を介して野縁保持具1又は野縁部材4,5上に配置されている。
【0041】
次に、上記構成についてその作用を説明する。最初に、第1の野縁部材5及び野縁受部材9を一体化させて格子体10を組み立てる方法について説明する。野縁保持具1の第1の立ち上げ部18を第1の野縁部材5の第1の野縁側溝部2に挿入して、第1の係止部19を第1の野縁側両側縁部12の内面に第1の野縁部材5の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させて、第1の野縁部材5を第1の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持する。
【0042】
また、野縁受部材9を、受部材側立ち上げ部20、挟持部21、そして保持具本体9によってコ字型に区画された空間内に挿通して、野縁受部材9の上面部及び下面部をそれぞれ、受部材取付部16の挟持部21下面及び保持具本体11上面に対向させた後、締結手段23である第1のボルト24・第1のナット25の締め付けにより野縁受部材9の一方の側面部と受部材側立ち上げ部20とを固定するとともに、締付機構26である第2のボルト29・第2のナット30の締め付けにより野縁受部材9の上面部と下面部をそれぞれ、挟持部21下面と保持具本体11上面により挟持して、さらに、挟持部21の先端を折り曲げて受部材側係止部22を形成して、この受部材側係止部22を野縁受部材9の側面部に係止させ、受部材取付部16に野縁受部材9を固定する。
【0043】
このように、第1の野縁部材5及び野縁受部材9を、野縁保持具1を介して互いに直交させて、一体化された格子体10を組み立てられ、第1の野縁部材5の下面部には天井パネル(図示せず)が取り付けられる。
【0044】
ここで、第2の野縁部材6と野縁受部材9を一体化させて格子体10を組み立てる場合には、野縁保持具1の第2の立ち上げ部25を第2の野縁部材6の第2の野縁側溝部3に挿入して、第2の係止部35と第2の野縁両側縁部14を係合させて、第2の野縁部材6を第2の野縁側溝部3に沿ってスライド自在に保持して、第2の野縁部材6及び野縁受部材9を、互いに直交させて、一体化された格子体10を組み立てられ、第2の野縁部材6の下面部には天井パネル(図示せず)が取り付けられる。格子体10を組み立てる際に、第1の野縁部材5及び第2の野縁部材6のどちらを用いるかは、格子体10の下面部に取り付けられる天井パネルの重量に応じて適宜変更可能とする。
【0045】
このように、本実施例の野縁保持具1によって第1又は第2の野縁部材4,5及び野縁受部材9を格子体10に組み立てるとともに、格子体10を天井(図示せず)から垂設された第1の吊下げボルト(図示せず)に取り付けて、天井(図示せず)に吊下げるものである。そして野縁保持具1に第1又は第2の野縁部材4,5を取り付ける第1又は第2の野縁側取付部13,15と野縁受部材9を取り付ける受部材側取付部17からなる第1又は第2の野縁部材4,5及び野縁受部材9より格子体10を組み立てる構成と、格子体10を天井(図示せず)へ接続する構成とを野縁保持具1にまとめて一つに備えたことにより、第1又は第2の野縁部材4,5と野縁受部材9により組み立てられる格子体10を天井(図示せず)に接続する構造が単純になり、部品点数の低減を図るとともに、格子体10の組み立てや天井(図示せず)への接続等の作業を容易にすることができる。
【0046】
さらに、野縁保持具1の第1の係止部19を第1の野縁側両側縁部12の内面に第1の野縁部材5の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させることで、第1の係止部19と第1の野縁側両側縁部12の内面との接触面積を増大させて、第1の係止部19と第1の野縁側両側縁部12の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具1と第1の野縁部材5との係合状態を安定化させることができる。同様に第2の係止部35を第2の野縁両側縁部14の内面に第2の野縁部材6の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させることで、第2の係止部35と第2の野縁両側縁部14の内面との接触面積を増大させて、第2の係止部35と第2の野縁両側縁部14の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具1と第2の野縁部材6との係合状態を安定化させることができる。
【0047】
また、第1及び第2の野縁部材4,5を第1及び第2の野縁側溝部2,3に沿ってスライド自在に保持することにより、地震等により揺れが発生した場合に、野縁保持具1と野縁部材が相互にスライドすることによって地震時の揺れによって各野縁部材4,5にかかる力を分散させるというクッション性を野縁保持具1は有することなり、各野縁部材4,5が野縁保持具1から脱落することを防止するとともに、格子体10の平面形状を天井又は天井パネル(図示せず)の形状に合わせた任意の形状に簡便に設定することができる。
【0048】
また、野縁保持具1の野縁取付部13,15を野縁部材4,5の野縁側両側縁部12,14に係止させる際に生じる「カチッ」という音によって、野縁保持具と野縁部材に確実に装着されたことを確認できる為、野縁保持具1と野縁部材4,5の固定状態を確認する作業が短縮され施工性が向上する。
【0049】
さらに野縁保持具1に、異なる幅M1,M2を有する第1又は第2の野縁部材4,5を選択的に取付可能に備えたことにより、比較的重量の大きな天井パネルを格子体10の下面部に取り付ける場合には、幅M1が大きく機械的強度の大きな第1の野縁部材5を野縁保持具1に取り付けることで、格子体10の機械的強度を高め、重量の大きな天井パネルを安定させて取り付けることが可能となる。また、比較的重量の小さな天井パネルを格子体10の下面部に取り付ける場合には、幅M2が小さく軽量な第2の野縁部材6を野縁保持具1に取り付けることで、格子体10の軽量化を図り、格子体10の天井(図示せず)への着脱作業を容易にする等の作業性の向上や格子体10に係る材料費の低減を図ることができる。
【0050】
ここで、各第1の立ち上げ部18,20は、保持具本体11側の基端から第1の係止部19側の先端にかけて、互い距離が近付くように傾斜して形成されており、第3の立ち上げ部40,40及び第2の立ち上げ部25についても同様に、保持具本体11側の基端から第3の係止部41及び第2の係止部35側の先端にかけて、互いの距離が近付くように傾斜して形成したことにより、第1の立ち上げ部18を第1の係止部19側から野縁側溝部2,3に挿入すると、第1の立ち上げ部18は傾斜が大きくなる方向へ弾性変形していき、第1の係止部19が第1の野縁側溝部2を通過すると第1の立ち上げ部18は弾性復元力により弾性変形する前の状態へと戻ろうとして、第1の係止部19と第1の野縁側両側縁部12は係合するので、第1の立ち上げ部18を第1の係止部19側から野縁側溝部2,3に押し込むだけで、簡便に第1の係止部19と野縁側両側縁部12,14とを係合させることができる。また、係合状態にある第1の係止部19と野縁側両側縁部12,14は、弾性復元力により第1の立ち上げ部18が野縁側両側縁部12,14の外面に押圧されているので容易に係合状態が解除され難い構造となっており、安定した係合状態を確保することができる。
【0051】
第1のワイヤ32によって野縁保持具1を天井(図示せず)に接続されたことによって、地震等により発生した野縁部材の揺れを軽減し、野縁部材が野縁受部材から落下することを防ぐことができる。
【0052】
さらに、第2のワイヤ53によって第2の環状部45と第3の環状部52とを連結することにより、野縁部材4,5が野縁保持具1から離脱した場合や、野縁部材4,5が野縁保持具1ごと野縁受部材9から離脱した場合に、第2のワイヤ53によって野縁部材4,5が野縁受部材9に吊下げされることで、野縁部材4,5が落下することを防ぐことができる。
【0053】
また、スプリンクラーヘッド等の消火機器54を取付金具55を介して固定する横杆56をカバー部材42と野縁側連結体38の間で挟持固定することにより、消火機器54を備えた横桟56が地震等の揺れによって落下したり、その横桟56及び消火機器54設置位置にずれが生じることを防ぐことができる。
【0054】
また、横杆56は、野縁側連結部36を備えた野縁部材4,5の両隣に平行に配置され、野縁側連結部36を有さない野縁部材4,5に対しては、その野縁部材4,5上面を水平移動可能に設置されていることにより、地震等の揺れによって、横桟56及び消火機器54の設置位置にずれが生じた場合においても、横桟56の固定されていない側を動かすことによって、容易に正しい設置位置に戻すことができる。
【0055】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、野縁部材たる第1及び第2の野縁部材4,5の長手方向(図中、X方向)に沿って形成された溝部たる第1及び第2の野縁側溝部2,3に取付可能とする野縁側取付部たる第1の野縁取付部13及び第2の野縁取付部15と、天井(図示せず)より吊下げ部材たる吊下げボルト(図示せず)を介して吊下げられた野縁受部材9に取付可能とする受部材側取付部たる受部材取付部16とを具備して、第1及び第2の野縁部材4,5及び野縁受部材9を互いに直交させた状態で接続して格子体10を構成する野縁保持具1であって、第1の野縁取付部13及び第2の野縁取付部15は、異なる幅寸法H1,H2の第1及び第2の野縁側溝部2,3を有する第1及び第2の野縁部材4,5に対応して、幅広な前記溝部たる第1の野縁側溝部2に係合可能な幅広側係止部たる第1の係止部19と、幅狭な前記溝部たる第2の野縁側溝部3に係合可能な幅狭側係止部たる第2の係止部35とを備えている。
【0056】
この場合、一つの野縁保持具1に異なる溝幅H1,H2の第1及び第2の野縁側溝部2,3を有する野縁部材4,5を取付可能する第1の係止部19と第2の係止部35を備えたことにより、溝幅H1,H2の異なる野縁保持具1と野縁受部材9を接続して格子体10を組み立てる際の部品点数を減らして、生産コストの削減を図るとともに、作業の効率化を図ることができる。
【0057】
また、本実施例は請求項2に対応しており、第1の係止部19を、方形状の保持具本体11の対向する一対の両端部17,17より立ち上げられ、第1の野縁側溝部2に挿入可能な一対の幅広側立ち上げ部たる第1の立ち上げ部18,18の先端を外側に折り曲げて、第1の野縁側溝部2の内面に第1の野縁部材4の長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第1の野縁部材4を第1の野縁側溝部2に沿ってスライド自在に保持するものとし、第2の係止部35を、保持具本体11に第1の立ち上げ部18,18と略同一方向に立ち上げられ、且つ前記第1の立ち上げ部18,18間の間隔より幅狭に形成され、第2の野縁側溝部3に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部34,34の先端を外側に折り曲げて、第2の野縁側溝部3の内面に前記野縁部材の長手方向に沿って係合可能に設けられ、第2の野縁部材5を第2の野縁側溝部3に沿ってスライド自在に保持するものである。
【0058】
この場合、第1の係止部19と野縁部材4の第1の野縁側溝部2の両側縁部の内面との接触面積を増大させて、第1の係止部19と野縁部材4の第1の野縁側溝部2の両側縁部の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具1と野縁部材4との係合状態を安定化させることができるとともに、第2の係止部35と第2の野縁側溝部3の両側縁部の内面との接触面積を増大させて、第2の係止部35と第2の野縁側溝部3の両側縁部の接触部分にガタが生じる恐れを防止して、野縁保持具1と幅狭な野縁部材5との係合状態を安定化させることができる。また、野縁部材4,5を第1及び第2の野縁側溝部2,3に沿ってスライド自在に保持することにより、格子体10の平面形状を天井(図示せず)の形状に合わせた任意の形状に簡便に設定することができ、各野縁部材4,5を野縁保持具1に対してスライド自在とすることで、各野縁部材4,5にかかる力を分散させて、各野縁部材4,5が野縁保持具1から脱落することを防止することができる。
【0059】
さらに、本実施例は請求項3に対応しており、受部材側取付部16は、保持具本体11から上向きに立ち上げられた受部材側立ち上げ部20と、受部材側立ち上げ部20と野縁受部材9とを締結する締結手段23とを備えている。
【0060】
この場合、締結手段23を介して、野縁保持具1を野縁受部材9に固定することにより、野縁受部材9から野縁保持具1、しいては野縁部材4,5が脱落することを防ぐことができる。
【0061】
また、本実施例は請求項4に対応しており、受部材側取付部16は、受部材側立ち上げ部20上端を略水平方向に延設して、保持具本体11上面と対向する挟持部21と、挟持部21と保持具本体11とで野縁受部材9を挟持可能とする締付機構26とを備えたことにより、挟持部21によって野縁保持具1に野縁受部材9を挟持して、野縁受部材9の固定を確実に行うことができる。
【0062】
さらに、本実施例は請求項5に対応しており、締付機構26は、野縁保持具1と天井(図示せず)とを連結する振れ止め手段たる第1のワイヤ32を連結可能とする保持具側連結受部たる第1の環状部31を備えている。
【0063】
この場合、第1の環状部31を介して第1のワイヤ32によって野縁保持具1と天井(図示せず)を連結することで、野縁部材4,5の揺れを抑えて、野縁部材4,5が野縁受部材9から落下することを防ぐことができる。
【0064】
また、本実施例は請求項6に対応しており、受部材側取付部16は、挟持部21の先端を折り曲げて、野縁受部材9に係止可能とする受部材側係止部22を備えている。
【0065】
この場合、受部材側係止部22によって挟持部21を野縁受部材9に係止することで、野縁受部材9の固定をさらに確実に行うことができる。
【0066】
さらに、本実施例は請求項7に対応しており、第1及び第2の野縁部材4,5に設けた野縁側連結受部36と、野縁受部材9に設けた受部材側連結受部46とを具備し、野縁側連結受部36と受部材側連結受部46とを連結する連結手段たる第2のワイヤ53を備えている。
【0067】
この場合、野縁保持具1以外に野縁部材4,5と野縁受部材9を連結する手段を備えたことにより、野縁部材4,5が野縁保持具1から離脱した場合や、野縁部材4,5が野縁保持具1ごと野縁受部材9から離脱した場合に、野縁部材4,5が落下することを防ぐことができる。
【0068】
また、本実施例は請求項8に対応しており、受部材側連結受部46は、消火機器54を備えた横杆56を第1及び第2の野縁部材4,5に固定する消火機器固定手段として第4のボルト50・第4のナット51の締付により横桟56をカバー部材42を備えている。
【0069】
この場合、消火機器54を備えた横桟56が地震等の揺れによって、落下したり、その設置位置にずれが生じることを防ぐことができる。
【0070】
また、実施例上の効果として、第1のボルト24・第1のナット25をそれぞれ取付側貫通部20A又は受部材側貫通部9Aに対してゴム製の座金部材24A,25Aを介して取り付け、また第2のボルト29・第2のナット30をそれぞれ、挟持部側貫通部27又は本体側貫通部28に対してゴム製の座金部材29A,30Aを介して取り付け、さらに第3のボルト43・第3のナット44をそれぞれ貫通部42C及び貫通部37Aに対してゴム製の座金部材43A,44Aを介して取り付け、また第4のボルト50・第4のナット51はそれぞれ上面部側貫通部48及び下面部側貫通部49に対してゴム製の座金部材50A,51Aを介して取り付けることにより、第1〜4のボルト24,29,43,50及び第1〜4のナット25,30,44,51による締付箇所のガタつきを防止することにより、第1〜4のボルト24,29,43,50及び第1〜4のナット25,30,44,51による接続を安定させるとともに、ガタつきによる異音を防ぐことができる。
【0071】
また、横杆56を弾性材料57を介して、野縁保持具1又は野縁部材4,5に配置されたことにより、野縁保持具1を介して野縁部材4,5に配置された横杆56の位置が、他の野縁保持具1を介さないで野縁部材4,5に配置された横杆56の位置より高くなることにより生じる横杆56と野縁部材4,5との隙間に弾性部材57が配置されることとなり、横杆56が地震等による振動で上下動し野縁部材4,5に衝突した際の衝撃を緩衝して、衝撃により生じるガタつきや異音を防止して、静音性に優れた野縁保持具1を提供することができる。
【0072】
さらに、図9に示すように、第1の環状部31と第2の環状部45とを第3のワイヤ58で連結することにより、野縁部材4,5と野縁受部材9の連結をさらに強固で安定したものとするとともに、第2のボルト29の回転を規制することで、第2のボルト29が離脱することを防止することができる。
【実施例2】
【0073】
次に図10〜図11は、本発明の第2実施例を示すものである。同図において、図1〜図9と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0074】
本実施例の野縁保持具1では、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板を下方を開放した断面略コ型に折り曲げ形成して、第2のボルト29が挿通可能に形成された挟持部側貫通部27と本体側貫通部28と連通可能な振れ止め側貫通部59を備えた天板部60と、天板部60の長手方向の両端より略垂直下向きに垂設した一対の脚部61,61とを備えた振れ止め部材62を備えており、振れ止め側貫通部59には第2のボルト29に螺合可能な螺子溝が第5の雌螺子部63として螺刻されている。
【0075】
図11に示すように、野縁保持具1が装着された野縁部材4,5に対して、振れ止め部材62を保持具本体11の上方より脚部61,61で野縁部材4,5の両側面部を外側から挟み込むように設置して、第2のボルト29に振れ止め貫通部59の螺子溝63に螺合して、振れ止め部材62の固定が完了する。
【0076】
以上のように本実施例では、野縁保持具1に振れ止め部材62を備えたことにより、野縁部材4,5の両側面部が脚部61,61によって外側から挟み込まれるように保持され、野縁保持具1に対する野縁部材4,5の水平方向の揺動が抑えられ、野縁部材4,5が野縁保持具1から脱落することを防止することができる。また、脚部61,61と野縁保持具1の両側面部をビス止め(図示せず)することで、野縁保持具1と野縁部材4,5の固定を強固なものとすることができる。
【実施例3】
【0077】
次に図12〜図13は、本発明の第1実施例を示すものである。同図において、図1〜図9と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0078】
本実施例では、野縁側連結部36の変形例として、矩形のステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の板材を、その長手方向に断面略C形に形成した連結体本体64を備えている。この連結体本体64の凸曲面65の略中央部分を、野縁部材4,5の上面部の内面に対向させた状態で、連結体本体を野縁部材4,5内部に収容した場合に、連結体本体の短手方向の両端をそれぞれ、野縁部材4,5の野縁側両側縁部12,14の内面に野縁部材4,5の長手方向(図中、Y方向)に沿って係合可能に設けられており、野縁部材4,5を野縁側両側縁部12,14に沿ってスライド自在に保持可能に備えている。また連結体本体64の中央部分には、第2のボルト29を螺着可能とする螺子孔66が形成されている。
【0079】
そして、この野縁側連結部36に備えた振れ止め部材67は、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板を下方を開放した断面略コ型に形成して、第4のボルト50が挿通可能な振れ止め側貫通部68を備えた天板部69と、天板部の長手方向の両端より略垂直下向きに設けた一対の脚部70,70とを備えており、振れ止め側貫通部68には第4のボルト50に螺合可能な螺子溝71が第6の雌螺子部として螺刻されているとともに、前述の脚部70,70は上から下に向かって天板部69の長手方向と直交する方向に向けて間隔を広げて形成された二股の脚体72を備えている。
【0080】
図13に示すように、連結体本体64が装着された野縁部材4,5に対して、振れ止め部材67を保持具本体11の上方より脚部70,70で野縁部材4,5の両側面部を外側から挟み込むように設置して、第4のボルト50に振れ止め貫通部68の螺子溝71に螺合して、振れ止め部材67の固定が完了する。
【0081】
以上のように本実施例では、野縁保持具1に振れ止め部材67を備えたことにより、野縁部材4,5の両側面部が脚部70,70によって外側から挟み込まれるように保持され、野縁保持具1に対する野縁部材4,5の水平方向の揺動が抑えられ、野縁部材4,5が野縁保持具1から脱落することを防止することができる。
【0082】
また、脚部70,70に二股の脚体72,72を備えたことにより、野縁部材4,5の両側面部に対して、略垂直に当接する二つの脚体72,72により保持することが可能となり、野縁部材4,5の水平方向の揺動に対して、脚部70,70の変形を抑えることにより、野縁部材4,5の水平方向の揺動をさらに抑えることが可能となる。
【0083】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 野縁保持具
2 野縁側溝部
3 野縁側溝部
4 野縁部材
5 野縁部材
9 野縁受部材
10 格子体
11 保持具本体
13 第1の野縁取付部
15 第2の野縁取付部
16 受部材取付部
17 両端部
18 第1の立ち上げ部(幅広側立ち上げ部)
19 第1の係止部
20 受部材側立ち上げ部
21 挟持部
22 受部材側係止部
23 締結手段
26 締付機構
31 第1の環状部(保持具側連結受部)
32 第1のワイヤ32(揺れ止め手段)
34 第2の立ち上げ部
35 第2の係止部
36 野縁側連結部
42 カバー部材(消火機器固定手段)
46 受部材側連結部
50 第4のボルト(消火機器固定手段)
51 第4のナット(消火機器固定手段)
53 第2のワイヤ(連結手段)
54 消火機器
56 横杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野縁部材の長手方向に沿って形成された溝部に取付可能とする野縁側取付部と、
天井より吊下げ部材を介して吊下げられた野縁受部材に取付可能とする受部材側取付部とを具備して、
前記野縁部材及び前記野縁受部材を互いに直交させた状態で接続して格子体を構成する野縁保持具であって、
野縁側取付部は、異なる幅寸法の前記溝部を有する前記野縁部材に対応して、幅広な前記溝部に係合可能な幅広側係止部と、幅狭な前記溝部に係合可能な幅狭側係止部とを備えたことを特徴とする野縁保持具。
【請求項2】
前記幅広側係止部を、方形状の保持具本体の対向する一対の両端部より立ち上げられ、幅広な前記溝部に挿入可能な一対の幅広側立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて、幅広な前記溝部の内面に前記野縁部材の長手方向に沿って係合可能に設けられ、前記野縁部材を幅広な前記溝部に沿ってスライド自在に保持するものとし、
前記幅狭側係止部を、前記保持具本体に前記幅広側立ち上げ部と略同一方向に立ち上げられ、且つ前記幅広側立ち上げ部間の間隔より幅狭に形成され、幅狭な前記溝部に挿入可能な一対の幅狭側立ち上げ部の先端を外側に折り曲げて、幅狭な前記溝部の内面に前記野縁部材の長手方向に沿って係合可能に設けられ、前記野縁部材を幅狭な前記溝部に沿ってスライド自在に保持するものとすることを特徴とする請求項1記載の野縁保持具。
【請求項3】
前記受部材側取付部は、前記保持具本体から上向きに立ち上げられた受部材側立ち上げ部と、前記受部材側立ち上げ部と前記野縁受部材とを締結する締結手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の野縁保持具。
【請求項4】
前記受部材側取付部は、前記受部材側立ち上げ部上端を略水平方向に延設して、前記保持具本体上面と対向する挟持部と、前記挟持部と前記保持具本体とで前記野縁受部材を挟持可能とする締付機構とを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の野縁保持具。
【請求項5】
前記締付機構は、前記野縁保持具と前記天井とを連結する振れ止め手段を連結可能とする保持具側連結受部を備えたことを特徴とする請求項4記載の野縁保持具。
【請求項6】
前記受部材側取付部は、前記挟持部の先端を折り曲げて、前記野縁受部材に係止可能とする受部材側係止部を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の野縁保持具。
【請求項7】
前記野縁部材に設けた野縁側連結受部と、
前記野縁受部材に設けた受部材側連結受部とを具備し、
前記野縁側連結受部と前記受部材側連結受部とを連結する連結手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の野縁保持具。
【請求項8】
前記受部材側連結受部は、消火機器を備えた横杆を前記野縁部材に固定する消火機器固定手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の野縁保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−63983(P2011−63983A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215051(P2009−215051)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(595165726)株式会社内山産業 (17)
【出願人】(509045450)
【出願人】(000152424)株式会社日建設計 (55)
【Fターム(参考)】