説明

金型付着物の少ない樹脂組成物及びその製造方法

本発明は、成形用原料として使用され、成形金型への付着物の堆積が少ない樹脂組成物を提供することを目的として、該樹指組成物は、押出機の原料フィード口1より樹脂を供給し、可塑化部2で可塑化した後、可塑化部2の下流に位置する第1ペント口3から減圧下に排気しながら、可塑化部2で可塑化された樹脂を混練部5に送り、混練部5の上流に位置する副原料フィード口4から充填剤を供給し、可塑化された樹脂と充填剤を混練部5で混練して樹脂組成物としながら、混練部5の下流に位置する第2ベント口6から減圧下に排気しながら、押出機の出口に設けられたダイ7から排出して、得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、金型で成形した場合に、該金型への高沸点物の累積付着量が低下された樹脂組成物および該樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
ポリフェニレンサルファイド(PPS)のようなポリアリーレンサルファイド(PAS)では、金型で成形する場合に、金型へ付着物が堆積して成形操作が困難になったり、成形品に悪影響を及ぼすので、金型から付着物を頻繁に除去する必要がある。
特開平11−100505号公報(第1頁右欄18行−第2頁左下欄12行参照。)には、PPSが、樹脂構造や製造原料により、金属腐蝕性ガスを発生するという問題点を持っているので、金属腐蝕性ガス捕捉剤等を添加する技術が開示されている。しかし、上記技術は、金型への付着物の堆積防止については、何も開示していない。
特開平6−306170号公報(請求項1〜7、段落番号[0017]参照。)や特開平6−306171号公報(請求項1〜7、段落番号[0017]参照。)には、空気又は水の供給口とベント口を設けた2軸押出機を使用して、PPSを溶融押出することにより水分及びオリゴマー成分をベント口より除去すると共に架橋などにより分子量を増加させたりする方法が開示されている。しかし、上記技術では、金型への付着物の堆積防止効果が不十分である。
【発明の開示】
本発明の目的は、成形用原料として使用され、成形金型への付着物の堆積が少ない樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、押出機に樹脂を供給して可塑化しながら、減圧下に排気した後、充填剤をサイドフィードして可塑化された樹脂と混練しながら、減圧下に排気することにより樹脂組成物ペレットを得て、該樹脂組成物ペレットを使用すると、射出成形金型等で成形する場合に金型への付着量が著しく少なくなることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は押出機の原料フィード口(1)より樹脂を供給する工程、供給された樹脂を可塑化部(2)で可塑化した後、可塑化部(2)の下流に位置する第1ベント口(3)から減圧下に排気する工程、可塑化部(2)で可塑化された樹脂を混練部(5)に送り、混練部(5)の上流に位置する副原料フィード口(4)から充填剤を供給し、可塑化された樹脂と充填剤を混練部(5)で混練して樹脂組成物としながら、混練部(5)の下流に位置する第2ベント口(6)から減圧下に排気する工程、及び、得られた樹脂組成物を押出機の出口に設けられたダイ(7)から排出する工程からなる樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第2は、押出機が二軸スクリュー押出機であることを特徴とする本発明の第1に記載の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第3は、第1ベント口(3)と副原料フィード口(4)との間に位置するスクリュウにシール部(9)を設けることを特徴とする本発明の第1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第4は、樹脂がポリアリーレンサルファイドである本発明の第1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第5は、第1ベント口(3)及び/又は第2ベント口(6)から排気される物質が、少なくとも該樹脂に由来する分解物若しくは樹脂組成物に含まれる高沸点物である本発明の第1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第6は、フィードされる充填剤が無機充填剤である本発明の第1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第7は、アミノシラン化合物を原料フィード口(1)から供給する本発明の第1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第8は、本発明の第1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法で得られた樹脂組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る、ベント口が可塑化部と混練部との2個所に設けられた押出機の一例を示す図である。
【符号の説明】
1は原料フィード口、2は可塑化部、3は第1ベント口、4は副原料フィード口、5は混練部、6は第2ベント口、7はダイ、8は減圧装置、9はシール部、10はオープンベントである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
I.押出工程
本発明の樹脂組成物の製造方法で使用する押出機は、第1図に例示するような構造を有する。
第1図で、1は原料フィード口であり、樹脂成分を中心とする主たる原料は、フィード口1から押出機へ供給される。2は可塑化部であり、上記主たる原料はここで一旦可塑化される。4は副原料フィード口で一般的には充填剤などの副原料を押出機に供給する。5は混練部であり、可塑化された樹脂と副原料フィード口4より供給された充填剤が溶融混練される。7はダイであり、溶融混練されて得られた樹脂組成物が押出機より吐出される。押出機には、第1ベント口3および第2ベント口6を設けて、押出機内の上記主たる原料および樹脂組成物から、揮発成分、分解物、高沸点物などを減圧排気する。
第1ベント口3および第2ベント口6は真空ポンプ、スチームエジェクタなどの減圧装置8に結合され、可塑化された樹脂及び溶融混練された樹脂組成物から、揮発成分、分解物、高沸点物などを除去する。
このため、第1ベント口3は可塑化部2よりも下流に位置し、且つ副原料フィード口4よりも上流に位置することが好ましい。混練部5は、副原料フィード口4より供給された充填剤を混練するため、副原料フィード口4の下流に位置する。第2ベント口6は、溶融混練された樹脂組成物から、揮発成分、分解物、高沸点物などを除去するために、混練部5の下流に設ける。
本発明では、副原料フィード口4の上流及び下流に少なくとも一つずつベント口を設けるが、いずれか又は両者を二つ以上設けてもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記押出機を使用して下記工程により製造される。
(i)押出機の原料フィード口1より樹脂を供給する工程、
(ii)供給された樹脂を、可塑化部2で可塑化した後、可塑化部2の下流に位置する第1ベント口3から減圧下に排気する工程、
(iii)可塑化部2で可塑化された樹脂を混練部5に送り、混練部5の上流に位置する副原料フィード口4から充填剤を供給し、可塑化された樹脂と充填剤を混練部5で混練して樹脂組成物としながら、混練部5の下流に位置する第2ベント口6から減圧下に排気する工程、及び、
(iv)得られた樹脂組成物を押出機の出口に設けられたダイ7から排出する工程。
得られた樹脂組成物は、ダイ7から、通常ストランド状に押出され、ペレット状に切断されて、射出成形機などの原料ペレットとして使用される。
本発明で使用する押出機は、通常用いられるどのようなタイプの押出機でもよいが、好ましくは二軸スクリュー押出機(二軸押出機と略称する。)である。
二軸押出機は、スクリュー回転が同方向でも異方向でもよく、同方向二軸押出機ではスクリューは3条ネジでも2条ネジでもよく、異方向二軸押出機では平行軸でも斜軸でもよい。
通常、スクリューデザインを決定するスクリューエレメントとしては、順フライトからなる搬送用エレメントと、可塑化部用エレメントおよび混練部用エレメントからなるが、本発明において、押出機における可塑化部および混練部のスクリューデザインは、樹脂の性質や充填剤の種類に応じて適宜、設計されるべきものである。但し可塑化部の可塑化能力が低ければ、樹脂原料が十分に可塑化されないために、第一段階での減圧排気の効果が少なくなってしまうことは言うまでもない。
第1ベント口3からの減圧排気を効果的に行うには、可塑化部2以降、副原料フィード口4に至るまでの間に、押出機内部が減圧を維持できる状態にする必要がある。そのために、第1ベント口3と副原料フィード口4との間に位置するスクリューに、可塑化された樹脂が押出機内で完全に充満されるシール部9を設ける必要がある。可塑化部2とシール部9の間はいずれも可塑化された樹脂で押出機内部がシールされるために、第1ベント口3からの減圧排気を好適に行うことができる。
シール部9を構成するスクリュー形状は、2軸押出機の場合、逆フライトのほか、シールリング、逆ニーディング等、幾何学的にスクリュー回転に対して昇圧能力を有するものが好適に用いられる。また、必要に応じてニーディングディスク等のエレメントが組み合わされて構成されても構わない。
可塑化後の混練部のスクリューデザインは、最終的に得る樹脂組成物の諸性能から設計すべきであり、何ら本発明について限定されるものではない。2軸押出機の場合、かかる可塑化部や混練部には逆フライト、シールリング、順ニーディングディスク、逆ニーディングディスク等のスクリューエレメントが組み合わされて構成されることが一般的である。
本発明に用いる押出機のスクリューの、L/D(スクリュー長さ/スクリュー径)は25以上のものが好ましい。L/Dが25よりも短いスクリューでは、本発明における可塑化、減圧排気、副原料供給、溶融混練、減圧排気といったプロセスを行うことが困難になる場合がある。さらに好ましくは、L/Dが35以上のスクリューである。
原料の押出機への供給方法は、樹脂原料をフィード口1から、充填剤等の副原料を副原料フィード口4から供給することが一般的であるが、副原料の一部をフィード口1から供給することや樹脂原料の一部を副原料フィード口4から押出機に供給しても、本発明の効果を得ることができる。
また必要に応じて液体原料をプランジャーポンプやギアポンプ等を用いて、フィード口1やフィード口4から、押出機に供給してもよい。更に、該組成物もしくはその成形品の回収品のような、類似の樹脂組成物をフィード口1及び副原料フィード口4から押出機に供給してもよい。
副原料フィード口4からの充填剤の供給は一般的に使用されている方法が用いられ、本発明の効果を十分に得ることができる。例えば、押出機のシリンダーバレルの側面からスクリューフィーダーにより供給するサイドフィード法、シリンダー上部より縦型スクリューフィーダーで押出機に供給する方法、フィード口に副原料を直接落下させる方法等がある。
第1ベント口3及び第2ベント口6の減圧度は、同じでも異なってもよく0〜380Torr(0〜50.7kPa)、実用的には1〜200Torr(0.13〜26.7kPa)、好ましくは10〜100Torr(1.3〜13.3kPa)である。
第1ベント口3及び第2ベント口6からの排気は別々でも、共通でもよく、第1ベント口3及び第2ベント口6からの排気速度は、第1ベント口3及び第2ベント口6が上記減圧度を保てる速度である。
各ベント口と減圧装置8との間には、トラップなどを設けて高沸点物等を捕集するようにしてもよい。
II.樹脂及び充填剤など
本発明で使用する樹脂は、熱可塑性樹脂であれば特に制限はないが、具体的には、ポリアリーレンサルファイド(PAS)、特にポリフェニレンサルファイド(PPS)、又はそのポリマーアロイのように該樹脂を含むものでもよい。
PPSは、酸素存在下に熱処理して得られる分岐型(架橋型)、靭性タイプ分岐型、直鎖型のいずれのものでもよいが、熱処理工程のない直鎖型PPSが、本発明の効果が大きい。アロイとしては、PPSと、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ナイロン66系、ポリエーテルイミド等とのアロイが挙げられる。
充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、アモルファス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維;チタン酸カリウィスカー、シリコンカーバイドウィスカー、グラファイトウィスカー、窒化シリコンウィスカー、アルミナ−酸化ホウ素ウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭素ナノチューブ、フラーレン;軽質炭酸カルシウム、重質ないし微粉化炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム粉末;霞石閃長岩微粉末;モンモリロナイト、ベントナイト等のクレーなどのクレー(ケイ酸アルミニウム粉末);溶融シリカ、結晶シリカなどのシリカ(二酸化ケイ素)粉末;ケイ藻土などのケイ酸含有化合物;タルク、軽石、スレート、マイカなどの天然鉱物、及びその粉砕品;アルミナ、アルミナコロイド(アルミナゾル)、アルミナ・ホワイト、硫酸アルミニウムなどのアルミナ含有化合物;硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト(黒鉛)などの鉱物;ガラスビーズ、ガラスフレーク、発泡ガラスビーズなどのガラス系フィラー;フライアッシュ球、火山ガラス中空体、軽石バルーン、合成無機中空体、炭素中空球;無煙炭粉末、人造氷晶石(クリオライト)、酸化チタン、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、亜硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミニウム、硫化モリブデン、チタン酸カリウム等、及びその粉体が挙げられる。
樹脂100重量部に対する充填剤の配合量は、400重量部以下、好ましくは5〜200重量部である。
充填剤の配合量が上記範囲より多すぎると押出機からの排出量が低下し、また樹脂組成物から得られる成形品の機械的物性などが低下するおそれがある。
本発明では、さらに上記樹脂又は樹脂組成物に、アミノシラン化合物を添加してもよい。アミノシラン化合物の添加時期や添加方法は特に限定されず、予め樹脂に、フィード口1から、及び/又は副原料フィード口4から添加してもよいが、好ましくはPASとの反応性を考慮して、フィード口1から樹脂と共に添加するなど、充填剤供給前に添加するのが好ましい。
アミノシラン化合物を添加することにより、PASのバリ特性改良、ウエルド強度改善以外の効果として、金型付着物の量を減らせることができる。
アミノシラン化合物の添加量は0.01〜5.0重量部/樹脂100重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部/樹脂100重量部である。
アミノシラン化合物としては、具体的には、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
III.樹脂組成物の成形
上記で得られた樹脂組成物は、通常ペレットの形状で、射出成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形等に使用される。
射出成形機など金型へ付着する付着物は、少なくとも樹脂に含まれる若しくは樹脂組成物に由来する高沸点物であり、樹脂、樹脂組成物不純物、樹脂組成物分解物、樹脂添加剤、樹脂オリゴマー、結束剤などである。
本発明の樹脂組成物は、該原料ペレットを成形した場合に、該金型への付着物の量が少ない。
金型への付着量の目安として、実施例に示す条件で、連続500ショット射出成形し、射出成形機のガスベント部(可動側のキャビティ隣接部)に付着する累積付着物を掻き取ったり低沸点溶剤で洗い落としたりして採取して、乾燥重量を測定し、ガスベント部累積付着量として、金型付着量を相対評価した。500ショット成形後の累積付着量は、組成物の種類や成形品の形状や大きさにもよるが、本発明により従来に較べて、15%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上減少する。このため、金型の清掃頻度が少なくて済む。
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものでない。
[実施例1]
(1)使用原料
PPS:呉羽化学工業(株)製、フォートロンKPS W214A。
ガラス繊維:旭ファイバー硝子(株)製、商品名CS03MAFT523A。
アミノシラン化合物:東芝シリコーン(株)製、商品名TSL8331。
滑剤:日本油脂(株)製、商品名ユニスターH−476。
(2)押出機
日本製鋼所(株)製、TEX65(スクリュー径65mm、L/D38.5)
押出機のスクリューの概略を第1図に示す。
原料フィード口1:C1
オープンベント10:C4
可塑化部2:C6〜C7(構成:上流側より順ニーディング、逆ニーディング、逆フライト)
第1ベント口3:C8
副原料フィード口4:C10
シール9:C9(構成:上流側より順フライト、逆フライト)
混練部5:C12(構成:上流側より順ニーディング、逆ニーディング、逆フライト)
第2ベント口6:C13
(3)押出条件
押出量:180kg/時、スクリュー回転数:157rpm
シリンダー温度(℃):樹脂フィード側からダイヘッド側に向けて次の通り。
(C1)50−(C2)250−(C3)300−(C4)300−(C5)310−(C6)310−(C7)290−(C8)290−(C9)290−(C10)290−(C11)290−(C12)300−(C13)300−(C14)310−(C15)310(ダイヘッド側)
(4)組成物の混練及び押出方法
上記PPS、アミノシラン化合物および滑剤を表1に示す比率でヘンシェルミキサー(三井三池製作所(株)製)へ加え、300rpmで5分間混合して得られた混合物を押出機のフィード口1から供給した。
ガラス繊維は副原料フィード口4から、2軸スクリューサイドフィーダーを用いて供給した。
混合物及びガラス繊維は、表1に示す処方の組成になるように、重量フィーダーを用いて制御した。
スクリュー回転数および押出量は、上記のように設定し、樹脂組成物をストランド状に押出した後、ペレットを得た。
(射出成形時の金型付着量)
上記で得られたペレットを用い、下記条件で、連続500ショット射出成形し、射出成形機のガスベント部(可動側)に付着する付着物を採取してガスベント部累積付着重量を測定し、金型付着量を相対評価した。結果を表1に示す。
射出成形サンプル重量:舟形状2g/個
射出成形機:東芝機械(株)製、東芝IS30FPA
成形条件:シリンダー温度315−320−305−290℃、射出圧力74MPa、射出速度1m/分、射出時間2秒、冷却時間5秒、成形サイクル12秒、金型温度60℃
(比較例1)
従来行われている方法として、第1ベント口3を設けず、第2ベント口6の減圧度を強化して30torrにした以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造し、実施例1と同様にして金型付着量を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
特開平6−306171号公報に記載されている例として、第1ベント口3をC13に、第2ベント口6をC14に設けた以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造し、実施例1と同様にして金型付着量を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
付着原因物質の少ない組成物ペレットを製造するために、ギヤポンプをC13に設け、全押出量に対して0.5重量%の割合で水を押出機内に注入した以外は、比較例2と同様にしてペレットを製造し、実施例1と同様にして金型付着量を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
アミノシラン化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造し、実施例1と同様にして金型付着量を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
(1)使用原料
PPS1:呉羽化学工業(株)製、フォートロンKPS W203A。
PPS2:呉羽化学工業(株)製、フォートロンKPS W214A。
ガラス繊維:日本電気硝子(株)製、商品名ECS03T747。
炭酸カルシウム:白石工業(株)商品名 ホワイトンP−30。
滑剤:日本油脂(株)製、商品名ユニスターH−476。
(2)押出機及び(3)押出条件
実施例1と同じである。
(4)組成物の混練及び押出方法
上記PPS1とPPS2の混合PPS樹脂(PPS1:PPS2=78:22重量比)、ガラス繊維、炭酸カルシウムおよび滑剤を表2に示す比率で使用した他は、実施例1と同様にしてペレットを製造し、該ペレットを用いて実施例1と同様にして射出成形し、金型付着量を評価した。結果を表2に示す。
(比較例4)
従来行われている方法として、第1ベント口3を設けず、第2ベント口6のみにした以外は、実施例3と同様にしてペレットを製造し、実施例3と同様にして金型付着量を評価した。結果を表2に示す。


【産業上の利用可能性】
本発明によれば、成形用原料として使用され、成形金型への付着物の堆積が少ない樹脂組成物が得られる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機の原料フィード口(1)より樹脂を供給する工程、供給された樹脂を可塑化部(2)で可塑化した後、可塑化部(2)の下流に位置する第1ベント口(3)から減圧下に排気する工程、可塑化部(2)で可塑化された樹脂を混練部(5)に送り、混練部(5)の上流に位置する副原料フィード口(4)から充填剤を供給し、可塑化された樹脂と充填剤を混練部(5)で混練して樹脂組成物としながら、混練部(5)の下流に位置する第2ベント口(6)から減圧下に排気する工程、及び、得られた樹脂組成物を押出機の出口に設けられたダイ(7)から排出する工程からなる樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
押出機が二軸スクリュー押出機であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
第1ベント口(3)と副原料フィード口(4)との間に位置するスクリュウにシール部(9)を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
樹脂がポリアリーレンサルファイドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
第1ベント口(3)及び/又は第2ベント口(6)から排気される物質が、少なくとも該樹脂に由来する分解物若しくは樹脂組成物に含まれる高沸点物である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
フィードされる充填剤が無機充填剤である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
アミノシラン化合物を原料フィード口(1)から供給する請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法で得られた樹脂組成物。

【国際公開番号】WO2005/056260
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516244(P2005−516244)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018764
【国際出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(390006323)ポリプラスチックス株式会社 (302)
【Fターム(参考)】