金型設計装置、金型設計方法、及びプログラム
【課題】任意の変位定義面情報を変更したとしても、それに応じた金型情報を生成できる金型設計装置を提供する。
【解決手段】基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部11と、変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部12と、受付部12が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、変位定義面情報を変更する変更部13と、変位定義面情報記憶部11で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部17と、生成された金型情報を出力する出力部18とを備える。
【解決手段】基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部11と、変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部12と、受付部12が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、変位定義面情報を変更する変更部13と、変位定義面情報記憶部11で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部17と、生成された金型情報を出力する出力部18とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板のプレスにおけるダイ形状の全部または一部を設計するための金型設計装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
平板のプレス加工においては、金型の形状の設計、すなわち、製品形状面の形状やしわ押さえ面の形状、余肉面の形状を設計することが行われてきており、またその設計においてシミュレーションも行われてきていた。なお、関連する先行技術として、例えば、次の特許文献1がある。
【0003】
そのように設計される製品形状面やしわ押さえ面等をCADによって作成する場合には、複数の面によって製品形状面等が構成されることになる。それらの面は、なめらかであることが要求されるため、その複数の面をつなげる際には、接線連続であることが要求される。また、そのようにして設計された面を変形させる際においても、複数の面の接線連続性が要求されるため、複数の面にまたがる変形を行う場合には、CADのモーフィング機能を用いて変形が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モーフィング機能を用いた金型の設計においては、面の変形が順次、累積されていくため、途中の設計を容易に変更することができないという問題があった。
例えば、図22で示されるように、平面を横から見た元面に対して、変形A、変形B、変形Cを順次行った場合に、変形Cの変形の程度を変更したり、新たな変形Dを付け加えたりすることは可能である。一方、この従来の設計では、変形の差分を管理しているため、いきなり変形Aや変形Bの変形の程度を変更することはできないという問題があった。変形Aや変形Bの変形の程度を変更する場合には、変形Aや変形Bの段階にまで戻ってから、その変形の程度を変更し、さらに、その後の変形を新たに設定していくことが必要であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、金型を設計する際において、2以上の変形が行われる場合であっても、各変形を独立して変更することができる金型設計装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による金型設計装置は、基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部と、変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部と、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部と、前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部と、を備えたものである。
【0008】
このような構成により、2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって金型情報を生成するため、任意の変位定義面情報を変更したとしても、それに応じた金型情報を生成することができる。したがって、例えば、シワや割れ、破れ等の不具合が発生した場合において、その不具合対策として行った形状変更の感度解析を行うことができるようになる。
【0009】
また、本発明による金型設計装置では、前記変位定義面情報は、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものであり、前記受付部は、前記パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものであり、前記生成部は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量を加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成するものであり、前記変位定義面情報記憶部で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによって前記プレス方向変位定義面情報を生成し、前記変位定義面情報記憶部に蓄積する変位定義面変換部をさらに備えてもよい。
【0010】
このような構成により、変位定義面情報を設定する際には、より直感的に分かりやすい角度や長さなどのパラメータを用いて行い、その変位定義面情報を加える際には、計算しやすいプレス方向の変位量を用いることができる。
【0011】
また、本発明による金型設計装置では、前記受付部は、変位定義面情報を追加する入力または変位定義面情報を削除する入力も受け付け、前記変更部は、前記受付部が変位定義面情報を追加する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を追加し、前記受付部が変位定義面情報を削除する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を削除してもよい。
このような構成により、任意の変位定義面情報を追加したり、削除したりすることができるようになる。
【0012】
また、本発明による金型設計装置では、変位定義面情報ごとの加重値が記憶される加重値記憶部をさらに備え、前記生成部は、前記加重値記憶部で記憶される加重値を、当該加重値に対応する変位定義面情報の変位に掛けた結果を加えることによって金型情報を生成してもよい。
【0013】
このような構成により、各変位定義面情報の重み付けを変えることができ、例えば、シワや割れ、破れ等の不具合が発生した場合に、その不具合に寄与している変位定義面情報の特定を容易に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による金型設計装置等によれば、金型を設計する際において、2以上の変形が行われる場合であっても、各変形を独立して変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1による金型設計装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態による金型設計装置の動作を示すフローチャート
【図3】同実施の形態による金型設計装置の動作を示すフローチャート
【図4】同実施の形態における金型情報の生成について説明するための図
【図5】同実施の形態における基準面の各点を識別するメッシュIDとその座標との対応の一例を示す図
【図6】同実施の形態の具体例における変位定義面について説明するための図
【図7】同実施の形態の具体例における変位定義面について説明するための図
【図8】同実施の形態の具体例における変位定義面について説明するための図
【図9】同実施の形態における表示の一例を示す図
【図10】同実施の形態における表示の一例を示す図
【図11】同実施の形態におけるパラメータ変位定義面情報の一例を示す図
【図12】同実施の形態における変位定義面ごとの加重値の一例を示す図
【図13】同実施の形態におけるプレス方向変位定義面情報の一例を示す図
【図14】同実施の形態における金型情報の一例を示す図
【図15】同実施の形態における変位定義面の形状の一例を示す図
【図16】同実施の形態における変位定義面の形状の一例を示す図
【図17】同実施の形態における変位定義面の形状の一例を示す図
【図18】同実施の形態における金型の形状の一例を示す図
【図19】同実施の形態における金型情報の生成について説明するための図
【図20】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
【図21】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【図22】従来の金型情報の生成について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による金型設計装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による金型設計装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による金型設計装置は、複数の変位定義面情報の変位を加えることによって、最終的な金型の形状を示す金型情報を生成するものである。
【0018】
図1は、本実施の形態による金型設計装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による金型設計装置1は、変位定義面情報記憶部11と、受付部12と、変更部13と、変位定義面変換部14と、加重値記憶部15と、加重値変更部16と、生成部17と、出力部18とを備える。
【0019】
変位定義面情報記憶部11では、2以上の変位定義面情報が記憶される。変位定義面情報は、基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である。なお、この変位定義面情報は、2次元方向の広がりに関する範囲の情報(どこまでが変位定義面であり、どこからが変位定義面でないのかを知ることができる情報)を持っていてもよい。また、この変位定義面情報によって示される変位定義面は、プレス方向に一価のものであり、また、接線連続以上の連続性があるものである。接線連続以上の連続性とは、例えば、接線連続(C1連続、G1連続、1次微分連続と呼ばれることもある)や、曲率連続(C2連続、G2連続、2次微分連続と呼ばれることもある)のことである。また、基準面は通常、平面であるが、そうでなくてもよい。
【0020】
また、本実施の形態では、変位定義面情報が、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものである場合について説明する。パラメータ変位定義面情報は、例えば、一の面または二以上の面を定義する情報であって、各面の2次元方向の広がりに関する範囲の情報を有してもよく、各面が平面であるのか、曲面であるのかの情報を有してもよく、各面の基準面に対する角度(この角度は、方位角(プレス方向に直行する面内における角度)であってもよく、俯角であってもよい)の情報を有してもよく、各面のある位置の基準面に対する高さを示す情報を有してもよく、ある面が曲面である場合に、その曲面の種類(例えば、曲面の断面が円であるのか、楕円であるのか、ベジェ曲線であるのか、B−スプライン曲線であるのか、NURBS曲線であるのかなど)を示す情報を有してもよく、その曲面に関するパラメータ(例えば、円の曲率や半径など)の情報を有してもよい。また、パラメータ変位定義面情報は、対称性に関する情報を有してもよい。例えば、その対称性に関する情報によって、変位定義面がある軸に対して対称であることが示される場合には、その軸に対して一方の側についてのみ、パラメータを用いた変位定義面の定義を行えばよいことになる。また、パラメータ変位定義面情報が二以上の面を定義する情報である場合に、パラメータ変位定義面情報は、その二以上の面の境界位置を示す情報を有してもよい。また、パラメータ変位定義面情報は、基準面やその他の基準点を基準とした変位定義面の位置を示す情報を有してもよい。また、パラメータ変位定義面情報に、これら以外のパラメータが含まれることによって変位定義面が定義されてもよいことは言うまでもない。また、一の変位定義面が二以上の面で定義される場合に、その二以上の面は連続した面であることが好適である。なお、パラメータ変位定義面情報が二以上の面を定義する情報である場合に、すべてのパラメータを独立に設定できるわけではない。前述のように変位定義面は接線連続以上の連続性が要求されるため、例えば、ある変位定義面が2個の連続した面で構成され、第1の面が曲面であり、第2の面が平面である場合には、第1の面の曲率等を設定すると、第2の面の特定の位置に関する基準面に対する高さを任意に設定することはできない。また、例えば、第2の面の特定の位置に関する基準面に対する高さを設定すると、第1の面の曲率等を任意に設定することはできない。また、プレス方向変位定義面情報は、例えば、基準面上の各点を特定する情報と、その情報によって特定される点に対応するプレス方向の変位とを対応付ける情報であってもよい。その基準面上の各点は、あらかじめ定められていてもよい。その基準面上の各点は、基準面上の独立した2方向において、周期的に設定されることが好適である。例えば、その基準面上の各点は、規則的な格子(グリッド)の各交点であってもよい。プレス方向変位定義面情報は、後述する変位定義面変換部14によって、パラメータ変位定義面情報から生成されるものである。
【0021】
変位定義面情報記憶部11での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。変位定義面情報記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0022】
受付部12は、変位定義面情報に関する入力を受け付ける。この入力は、例えば、新たな変位定義面情報を追加する入力であってもよく、すでに存在する変位定義面情報を削除する入力であってもよく、すでに存在する変位定義面情報を変更する入力であってもよい。本実施の形態では、受付部12が、変位定義面情報に含まれるパラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものとする。この入力は、パラメータの数値入力であってもよく、あるいは、GUI(Graphical User Interface)などを用いた入力であってもよい。
【0023】
また、受付部12は、後述する加重値に関する入力を受け付ける。この入力は、例えば、新たな加重値を追加する入力であってもよく、すでに存在する加重値を削除する入力であってもよく、すでに存在する加重値を変更する入力であってもよい。
【0024】
受付部12は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)からの入力を受け付けてもよく、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された入力を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された入力を受け付けてもよい。なお、受付部12は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、受付部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0025】
変更部13は、受付部12が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、変位定義面情報記憶部11で記憶されている変位定義面情報を変更する。変更部13は、例えば、受付部12が変位定義面情報を追加する入力を受け付けた場合には、その入力に応じて変位定義面情報を追加する。また、変更部13は、例えば、受付部12が既存の変位定義面情報を削除する入力を受け付けた場合には、その入力に応じて変位定義面情報を削除する。また、変更部13は、例えば、受付部12が既存の変位定義面情報を変更する旨の入力を受け付けた場合には、その入力に応じて変位定義面情報を変更する。
【0026】
変位定義面変換部14は、変位定義面情報記憶部11で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによってプレス方向変位定義面情報を生成し、変位定義面情報記憶部11に蓄積する。変位定義面変換部14は、例えば、パラメータ変位定義面情報を用いて、変位定義面の平面や曲面の式を算出し、基準面上の各点に対応する、平面や曲面におけるプレス方向の変位を算出して変位定義面情報記憶部11に蓄積してもよい。なお、プレス方向変位定義面情報が変位定義面情報記憶部11に蓄積される際には、そのプレス方向変位定義面情報が生成される元となったパラメータ変位定義面情報に対応付けて、そのプレス方向変位定義面情報を蓄積することが好適である。パラメータ変位定義面情報とプレス方向変位定義面情報とを対応付けて蓄積する場合に、両者が直接対応付けられてもよく、あるいは、両者がそれぞれ第三の情報(例えば、変位定義面を識別する情報等)に対応付けられていることによって、両者が間接的に対応付けられてもよい。
【0027】
加重値記憶部15では、変位定義面情報ごとの加重値が記憶される。この加重値は、最終的な金型情報が生成される際に用いられる変位定義面情報ごとの重みである。したがって、変位定義面情報ごとに、この加重値が設定されていることが好適である。なお、加重値が設定されていない場合には、その加重値を「1」としてもよい。加重値記憶部15において、加重値は、その加重値に対応する変位定義面情報を識別する情報に対応付けられて記憶されていてもよい。この加重値は、後述する加重値変更部16によって蓄積されたり、変更されたり、削除されたりするものである。加重値記憶部15での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。加重値記憶部15は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0028】
加重値変更部16は、受付部12が受け付けた加重値に関する入力に応じて、加重値記憶部15で記憶されている加重値を変更する。この変更は、前述のように、新たな加重値の蓄積であってもよく、既存の加重値の変更であってもよく、既存の加重値の削除であってもよい。
【0029】
生成部17は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する。ここで、この金型の形状は、例えば、製造対象に対応する成形面の形状であってもよく、しわ押さえ面の形状であってもよく、余肉面の形状であってもよく、あるいは、それらの任意の2以上の面の形状であってもよい。このように、生成部17が生成する金型情報によって示される金型の形状は、ダイ形状の全部または一部となる。また、生成部17は、加重値記憶部15で記憶される加重値を、その加重値に対応する変位定義面情報の変位に掛けた結果を加えることによって金型情報を生成する。その変位定義面情報は、プレス方向変位定義面情報であってもよい。本実施の形態では、その場合について説明する。すなわち、金型情報が、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すものである場合について説明する。
【0030】
具体的には、生成部17は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量のそれぞれに加重値を掛けて加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成する。例えば、基準面上のある点における、プレス方向変位定義面情報A1,A2,A3,A4の示す変位量がそれぞれa1,a2,a3,a4であり、プレス方向変位定義面情報A1,A2,A3,A4にそれぞれ対応する加重値がb1,b2,b3,b4である場合には、生成部17は、その点に対応するプレス方向の変位を、a1×b1+a2×b2+a3×b3+a4×b4として算出してもよい。すなわち、加重値を用いた重み付け加算が行われることになる。
【0031】
出力部18は、生成部17が生成した金型情報を出力する。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、本実施の形態では、出力部18が、金型情報を記録媒体に蓄積する場合について説明する。また、出力部18は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、出力部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0032】
なお、変位定義面情報記憶部11と、加重値記憶部15とは、同一の記録媒体によって実現されてもよく、あるいは、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、変位定義面情報を記憶している領域が変位定義面情報記憶部11となり、加重値を記憶している領域が加重値記憶部15となる。
【0033】
また、変位定義面情報の追加や変更の際に、その処理を行っている者が変位定義面情報記憶部11で記憶されている変位定義面情報や、入力した変位定義面情報等をディスプレイ等で確認することができるようにしてもよい。そのために、出力部18は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている変位定義面情報や、受付部12が受け付けた変位定義面情報等を出力してもよい。このことは、加重値の追加や変更の際についても同様であるとする。
【0034】
次に、本実施の形態による金型設計装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受付部12は、加重値に関する入力を受け付けたかどうか判断する。そして、加重値に関する入力を受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS103に進む。
【0035】
(ステップS102)加重値変更部16は、受付部12が受け付けた加重値に関する入力に応じて、加重値記憶部15で記憶されている加重値を変更する。なお、特定の変位定義面情報に対応する加重値に関する入力が受け付けられた場合には、加重値変更部16は、その変位定義面情報に対応する加重値を変更する。そして、ステップS101に戻る。
【0036】
(ステップS103)受付部12は、パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けたかどうか判断する。そして、パラメータの入力を受け付けた場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS105に進む。
【0037】
(ステップS104)変更部13は、受付部12が受け付けたパラメータの入力に応じて、変位定義面情報記憶部11で記憶されているパラメータ変位定義面情報を変更する。なお、特定の変位定義面情報に含まれるパラメータ変位定義面情報のパラメータの入力が受け付けられた場合には、変更部13は、その変位定義面情報に含まれるパラメータ変位定義面情報を変更する。そして、ステップS101に戻る。
【0038】
(ステップS105)生成部17は、金型情報を生成するかどうか判断する。そして、金型情報を生成する場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。例えば、金型情報を生成する旨の指示を金型設計装置1が受け付けた場合に、生成部17は、金型情報を生成すると判断してもよい。
【0039】
(ステップS106)変位定義面変換部14は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている各変位定義面情報について、パラメータ変位定義面情報をプレス方向変位定義面情報に変換する。
【0040】
(ステップS107)生成部17は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている各変位定義面情報に含まれるプレス方向変位定義面情報と、加重値記憶部15で記憶されている加重値とを用いて、金型情報を生成する。この生成については、図3のフローチャートを用いて後述する。
【0041】
(ステップS108)出力部18は、生成部17が生成した金型情報を出力する。そして、ステップS101に戻る。
【0042】
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。また、図2のフローチャートにおいて、パラメータ変位定義面情報をプレス方向変位定義面情報に変換するタイミングは問わない。例えば、パラメータ変位定義面情報が変更されたタイミングで、変更後のパラメータ変位定義面情報からプレス方向変位定義面情報を生成してもよい。ただし、パラメータ変位定義面情報が削除された場合には、それに応じて、プレス方向変位定義面情報も削除してもよい。パラメータ変位定義面情報が変更されたタイミングでプレス方向変位定義面情報を生成する場合には、ステップS106はなくてもよい。
【0043】
図3は、図2のフローチャートにおける金型情報の生成処理(ステップS107)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)生成部17は、カウンタiを1に設定する。
【0044】
(ステップS202)生成部17は、図示しない記録媒体で記憶されている金型情報を初期化する。具体的には、生成部17は、その金型情報によって示される基準面上の各点の値をすべて0に設定してもよい。または、基準面が平面でなかったり、プレス方向の原点の位置に存在しなかったりする場合には、生成部17は、その金型情報によって示される基準面上の各点の値を基準面の形状等に応じた値に設定してもよい。
【0045】
(ステップS203)生成部17は、図示しない記録媒体で記憶されている金型情報を読み出し、i番目の変位定義面情報に対応する加重値を加重値記憶部15から読み出し、i番目の変位定義面情報に含まれるプレス方向変位定義面情報を変位定義面情報記憶部11から読み出し、読み出した加重値とプレス方向変位定義面情報とを掛け合わせて、読み出した金型情報に加算し、その結果である更新後の金型情報を、図示しない記録媒体に蓄積する。その蓄積の際に、記憶されている金型情報に上書きで蓄積する。なお、厳密には、それらの乗算や加算の処理は、基準面上の各点のそれぞれに対して行われるものである。
【0046】
(ステップS204)生成部17は、カウンタiを1だけインクリメントする。
【0047】
(ステップS205)生成部17は、i番目の変位定義面情報が変位定義面情報記憶部11で記憶されているかどうか判断する。そして、記憶されている場合には、ステップS203に戻り、そうでない場合には、図2のフローチャートに戻る。
【0048】
なお、図3のフローチャートのステップS203において、加重値とプレス方向変位定義面情報とを掛け合わせたものを金型情報に加算した結果を上書きで蓄積する場合について説明したが、そうでなくてもよい。生成部17は、新たに計算した最新の金型情報と、その計算で用いられた古い金型情報とを区別可能に蓄積してもよい。そして、ステップS203の計算においては、常に最新の金型情報を読み出して用いるようにしてもよい。
【0049】
ここで、変位定義面情報の入力や、変位定義面情報の変換、金型情報の生成について、図4を用いて簡単に説明する。前述のように、受付部12が受け付けた入力に応じて変更されるのは、変位定義面情報A1〜Anに含まれる各パラメータ変位定義面情報B1〜Bnである。そして、変位定義面変換部14によって、各パラメータ変位定義面情報B1〜Bnが、プレス方向変位定義面情報C1〜Cnに変換される。その後、生成部17によって、プレス方向変位定義面情報C1〜Cnが示す基準面上の各点の値に加重値を乗算したものがそれぞれ加算されることによって、金型情報Dが生成されることになる。
【0050】
次に、本実施の形態による金型設計装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、プレス方向をZ軸として、そのZ軸に直交する平面上にX軸とY軸とをとることにする。なお、X軸とY軸とは直交するものとする。また、この具体例では、基準面のZ座標の値はすべて0であるとする。すなわち、基準面は、XY方向の広がりを有する平面となる。また、その基準面は矩形であり、その幅と長さ、位置等の情報があらかじめ図示しない記録媒体において保持されているものとする。
【0051】
また、この具体例において、図示しない記録媒体において、図5で示されるメッシュIDと、X座標と、Y座標とを対応付ける情報が記憶されているものとする。このメッシュIDは、基準面上の各点を識別する情報である。変位定義面変換部14は、この図5で示される情報にアクセス可能であり、この情報を用いることによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位、すなわち、各メッシュIDに対応するプレス方向の変位を算出することによって、プレス方向変位定義面情報を生成する。
【0052】
また、この具体例で用いられる変位定義面について簡単に説明する。この具体例では、図6で示される変位定義面と、図7で示される変位定義面とが用いられる。図6で示される変位定義面を両側操作の変位定義面と呼ぶこともある。また、図7で示される変位定義面を片側操作の変位定義面と呼ぶこともある。
【0053】
図6、図7において、これらの変位定義面は、初期値では、Z座標の値がすべて0であり、XY方向の広がりを有する平面である。それに対して、後述するC点高さ等を設定することにより、Z軸方向の高さを有することになる。この変位定義面は、幅方向については、すべて同じZ座標の値を有するものとする。また、図6において、両方操作の変位定義面は、C面と、D面と、中心の面との3個の面に分けられる。また、図7において、片方操作の変位定義面は、C面と、E面と、中心の面との3個の面に分けられる。C面、D面、E面は平面であり、中心の面は曲面である。その中心の面の中心点Oを通る幅方向の直線のZ座標の値は0に固定されているものとする。すなわち、その直線は、変位が定義されたとしてもZ軸方向の高さが変わらないことになる。また、E面もZ座標の値がすべて0である平面であるとする。すなわち、片面操作の変位定義面では、片方の面、すなわち、C面のみの設定を行うことができる。また、中心点OのX座標とY座標とを設定することができるものとする。また、中心点Oを通る幅方向の直線と、点Cを通る幅方向の直線との幅であるOC幅を設定することができるものとする。また、図6の変位定義面では、中心点Oを通る幅方向の直線と、点Dを通る幅方向の直線との幅であるOD幅も設定することができるものとする。また、点Cの位置でのZ軸の値であるC点高さを設定することができるものとする。また、図6の変位定義面では、点Dの位置でのZ軸の値であるD点高さも設定することができるものとする。また、変位定義面の基準方向に対する角度である平面角度も設定することができるものとする。平面角度は、例えば、図8で示されるように、変位定義面の長さ方向と、基準方向とのなす角度θである。この具体例では、平面角度を度(deg)で標記するものとする。また、これらの変位定義面において、中心の面の長さ方向の断面は円弧になるものとする。その円弧の半径(曲率)は、点Cを通る幅方向の直線と、点Dを通る幅方向の直線とにおいて、C面と中心の面とが接線連続となり、D面と中心の面とが接線連続となるように定められるものとする。また、その円弧の半径(曲率)は、中心点Oを通る幅方向の直線においても、その直線を挟む両側の面が接線連続となるように定められるものとする。なお、図6の変位定義面では、その円弧の半径は、中心点Oを通る幅方向の直線を境界として、C面側と、D面側とで変わってもよい。
【0054】
まず、ユーザが金型設計装置1を操作することによって、金型の設定を開始する旨の指示を入力したとする。すると、その指示に応じて、金型設計装置1の受付部12は、図示しない記録媒体からパラメータ変位定義面情報を入力するための初期画面を読み出し、その初期画面を図9で示されるようにディスプレイに表示する。その図9の表示において、ユーザがマウスやキーボード等を操作して、ラジオボタン「新規作成」が選択され、変位定義面ID「V001」が入力され、ラジオボタン「両側操作」が選択されるようにしたとする。そして、「OK」ボタンがクリックされると、受付部12は、変位定義面ID「V001」の変位定義面であり、「両側操作」の変位定義面を新たに作成する旨の指示を受け付ける。そして、受付部12は、その受け付けに応じて、両側操作のパラメータ変位定義面情報のパラメータを入力する入力画面を図示しない記録媒体から読み出し、それをディスプレイに表示する。その表示において、図10で示されるように、ユーザが各パラメータを入力し、「OK」ボタンをクリックしたとする。すると、受付部12は、その各パラメータを受け付け(ステップS103)、そのパラメータと、初期画面で受け付けた変位定義面ID「V001」とを変更部13に渡すと共に、変位定義面ID「V001」を加重値変更部16に渡す。そして、変更部13は、そのパラメータと、変位定義面ID「V001」とを対応付けて変位定義面情報記憶部11に蓄積する(ステップS104)。図11(a)は、そのようにして蓄積されたパラメータ変位定義面情報を示すものである。また、加重値変更部16は、その変位定義面IDに対応付けて加重値の初期値「1.0」を加重値記憶部15に蓄積する。同様の処理が繰り返されることによって、図11で示されるように、変位定義面ID「V001」「V002」「V003」にそれぞれ対応するパラメータ変位定義面情報が変位定義面情報記憶部11で記憶され、図12で示されるように、変位定義面IDと加重値とを対応付ける情報が加重値記憶部15で記憶されるようになったとする。なお、図11(b)(c)から分かるように、変位定義面ID「V002」「V003」に対応するパラメータ変位定義面情報は、片側操作のものである。また、その片側操作のパラメータ変位定義面情報のパラメータを入力する入力画面では、OD幅と、D点高さの入力フィールドが存在しないものとする。また、図11(c)では、平面角度が180度に設定されているため、変位定義面ID「V003」に対応する変位定義面は、変位定義面ID「V002」に対応する変位定義面と反対側にC面を有することになる。また、この具体例では、図12で示される各加重値が変更されないで金型情報が生成される場合について説明する。
【0055】
次に、ユーザが金型設計装置1を操作することによって、金型情報を生成する旨の指示を入力したとする。すると、その指示に応じて、金型設計装置1の生成部17は、金型情報を生成するタイミングであると判断し(ステップS105)、図示しない経路を介して変位定義面変換部14に変位定義面情報の変換を行う旨の指示を渡す。変位定義面変換部14は、その指示を受け取ると、変位定義面情報記憶部11から図11(a)〜(c)の各パラメータ変位定義面情報を読み出すと共に、図5の情報を読み出し、各メッシュIDに応じた位置に対応するZ座標の値を算出する。そして、各メッシュIDと、Z座標の値とを対応付ける情報であるプレス方向変位定義面情報を作成して、変位定義面情報記憶部11に蓄積する(ステップS106)。その蓄積の際に、変位定義面変換部14は、各変位定義面の変位定義面IDに対応付けて蓄積するものとする。図13(a)〜(c)は、そのようにして蓄積された、各変位定義面に対応するプレス方向変位定義面情報である。
【0056】
その後、生成部17は、金型情報を生成する処理を行う(ステップS107)。具体的には、生成部17は、各メッシュIDのXY座標に対応する基準面のZ座標の値「0」を読み出し、その値を金型情報の初期値に設定する(ステップS201,S202)。また、生成部17は、1番目の変位定義面、すなわち、変位定義面ID「V001」で識別される変位定義面の加重値「1.0」と、プレス方向変位定義面情報(図13(a)の情報)とを読み出し、メッシュIDごとに、そのプレス方向変位定義面情報の各Z座標の値に加重値「1.0」を掛けた値をそれぞれ金型情報のメッシュIDに対応するZ座標に加算していく(ステップS203)。例えば、金型情報のメッシュID「1」に対応するZ座標は、「Z11」となる。なお、この金型情報は、図示しない記録媒体において一時的に記憶されているものとする。
【0057】
また、生成部17は、2番目の変位定義面、すなわち、変位定義面ID「V002」で識別される変位定義面の加重値「1.0」と、プレス方向変位定義面情報(図13(b)の情報)とを読み出し、メッシュIDごとに、そのプレス方向変位定義面情報の各Z座標の値に加重値「1.0」を掛けた値をそれぞれ金型情報のメッシュIDに対応するZ座標に加算していく(ステップS204,S205,S203)。例えば、金型情報のメッシュID「1」に対応するZ座標は「Z11+Z21」となる。
【0058】
また、生成部17は、3番目の変位定義面、すなわち、変位定義面ID「V003」で識別される変位定義面の加重値「1.0」と、プレス方向変位定義面情報(図13(c)の情報)とを読み出し、メッシュIDごとに、そのプレス方向変位定義面情報の各Z座標の値に加重値「1.0」を掛けた値をそれぞれ金型情報のメッシュIDに対応するZ座標に加算していく(ステップS204,S205,S203)。例えば、金型情報のメッシュID「1」に対応するZ座標は「Z11+Z21+Z31」となる。このようにして、生成部17が生成した金型情報は、図14で示されるものとなる。
【0059】
その後、出力部18は、その図14で示される金型情報を図示しない記録媒体から読み出して出力する(ステップS108)。この具体例では、出力部18は、その金型情報を外部の記録媒体に蓄積するものとする。その後、その金型情報を用いて平板のプレス加工のシミュレーションや、実際のプレス加工等が行われることになる。なお、その平板のプレス加工のシミュレーションにおいて、シワや割れ、破れ等の不具合が生じた場合には、ユーザは、所望の変位定義面に対応するパラメータ変位定義面情報を変更することができ(ステップS103,S104)、その結果を用いて新たな金型情報を生成することができる(ステップS105〜S108)。また、各変位定義面の重みを変更したい場合には、加重値を適宜、変更する(ステップS101,S102)ことによって、各変位定義面の重みを変更することができる。例えば、この具体例の場合に、変位定義面ID「V002」の重みを少なくした金型情報を生成したい場合には、変位定義面ID「V002」に対応する加重値を例えば「0.5」に設定して金型情報を生成することによって、パラメータ変位定義面情報を直接変更しなくても、金型情報を変更することができる。このような加重値の変更によって、シワや割れ等の不具合の原因となっている変位定義面を特定することも可能となりうる。
【0060】
なお、図15〜図18は、この具体例での各変位定義面と、最終形状とを示す図である。図15〜図17は、変位定義面ID「V001」「V002」「V003」で識別される変位定義面情報にそれぞれ対応する変位定義面の形状を示すものである。また、図18は、金型情報に対応する最終形状を示すものである。各図において、基準面に応じた領域の変位定義面等を示している。
【0061】
また、この具体例では、図11等で示されるように、変位定義面上の点の高さ等を定義する場合について説明したが、前述のように、この定義の方法は一例であって、その他の定義を用いてもよい。例えば、C点高さやD点高さを設定するのではなく、中心の面の半径や曲率を設定することによって、図11の各変位定義面と同じ定義を行うことも可能である。
【0062】
また、この具体例では、変位定義面において曲率の変わる線(例えば、点Cを通る幅方向の直線や、点Dを通る幅方向の直線などであり、この線のことを「R止まり線」と呼ぶこともある)が平行である場合について説明したが、そうでなくてもよい。そのR止まり線の角度を変位定義面において任意に変更できるようにしてもよい。その場合には、例えば、中心の面はフィレットとなり、R止まり線は、そのフィレットのエッジとなる。
【0063】
以上のように、本実施の形態による金型設計装置1によれば、ダイ形状の全部または一部を設計する際に、2以上の変形が行われる場合であっても、各変形を独立して変更することができ、簡単に金型の設計変更を行うことができる。具体的には、本実施の形態による金型の設計方法は、図19で示されるように、平板を横から見た元面に対して、変位定義面A1,B1,C1を定義して、それらを重み付け加算することによって最終形状である金型の形状を設計するものである。したがって、変形のシーケンスを管理しているのではないため、例えば、変位定義面B1を変更したい場合には、その変位定義面B1を変更した後に、各変位定義面の形状を重み付け加算すればよいだけとなる。その結果、各変形(各変位定義面)を独立して変更することができ、金型設計の変更が容易になる。したがって、例えば、シワや割れ、破れ等の不具合が発生した場合において、その不具合対策として行った形状変更の感度解析を行うことができるようになる。
【0064】
なお、本実施の形態では、各変位定義面の形状を、加重値を用いて重み付け加算する場合について説明したが、そうでなくてもよい。単に各プレス方向変位定義面情報を加算することによって、金型情報を生成してもよい。その場合には、金型設計装置1は、加重値記憶部15や加重値変更部16を備えていなくてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、変位定義面情報が、パラメータ変位定義面情報と、プレス方向変位定義面情報とを有しており、パラメータ変位定義面情報からプレス方向変位定義面情報を生成する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、変位定義面情報は、プレス方向変位定義面情報そのものであってもよい。この場合には、ユーザが入力したり変更したりする変位定義面情報も、プレス方向変位定義面情報そのものとなる。また、この場合には、金型設計装置1は、変位定義面変換部14を備えていなくてもよい。
【0066】
また、通常、変位定義面が接線連続以上の連続性を有する場合には、それらを加算した最終形状も、接線連続以上の連続性を有することになる。ただ、基準面の領域内において、2個の変位定義面のR止まり線が交わる場合には、その交点で尖点(接線連続でない点)を有することがなる。したがって、2個以上の変位定義面において、基準面の領域内において、R止まり線が交わらないように各変位定義面情報を設定することが好適である。
【0067】
また、上記実施の形態では、金型設計装置1がスタンドアロンである場合について説明したが、金型設計装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、金型設計装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態における金型設計装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部、前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、2以上の変位定義面情報が記憶される変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部、前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部、として機能させるためのプログラムである。
【0073】
また、このプログラムにおいて、前記変位定義面情報は、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものであり、前記受付部は、前記パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものであり、前記生成部は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量を加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成するものであり、コンピュータを、前記変位定義面情報記憶部で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによって前記プレス方向変位定義面情報を生成し、前記変位定義面情報記憶部に蓄積する変位定義面変換部としてさらに機能させてもよい。
【0074】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を受け付ける受付部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
【0075】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0076】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0077】
図20は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による金型設計装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0078】
図20において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0079】
図21は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図21において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0080】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による金型設計装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0081】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による金型設計装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0082】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上より、本発明による金型設計装置等によれば、任意の変位定義面情報を変更したとしても、それに応じた金型情報を生成できるという効果が得られ、製造対象に対応する成形面や、しわ押さえ面、余肉面等を設計する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 金型設計装置
11 変位定義面情報記憶部
12 受付部
13 変更部
14 変位定義面変換部
15 加重値記憶部
16 加重値変更部
17 生成部
18 出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板のプレスにおけるダイ形状の全部または一部を設計するための金型設計装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
平板のプレス加工においては、金型の形状の設計、すなわち、製品形状面の形状やしわ押さえ面の形状、余肉面の形状を設計することが行われてきており、またその設計においてシミュレーションも行われてきていた。なお、関連する先行技術として、例えば、次の特許文献1がある。
【0003】
そのように設計される製品形状面やしわ押さえ面等をCADによって作成する場合には、複数の面によって製品形状面等が構成されることになる。それらの面は、なめらかであることが要求されるため、その複数の面をつなげる際には、接線連続であることが要求される。また、そのようにして設計された面を変形させる際においても、複数の面の接線連続性が要求されるため、複数の面にまたがる変形を行う場合には、CADのモーフィング機能を用いて変形が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モーフィング機能を用いた金型の設計においては、面の変形が順次、累積されていくため、途中の設計を容易に変更することができないという問題があった。
例えば、図22で示されるように、平面を横から見た元面に対して、変形A、変形B、変形Cを順次行った場合に、変形Cの変形の程度を変更したり、新たな変形Dを付け加えたりすることは可能である。一方、この従来の設計では、変形の差分を管理しているため、いきなり変形Aや変形Bの変形の程度を変更することはできないという問題があった。変形Aや変形Bの変形の程度を変更する場合には、変形Aや変形Bの段階にまで戻ってから、その変形の程度を変更し、さらに、その後の変形を新たに設定していくことが必要であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、金型を設計する際において、2以上の変形が行われる場合であっても、各変形を独立して変更することができる金型設計装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による金型設計装置は、基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部と、変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部と、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部と、前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部と、を備えたものである。
【0008】
このような構成により、2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって金型情報を生成するため、任意の変位定義面情報を変更したとしても、それに応じた金型情報を生成することができる。したがって、例えば、シワや割れ、破れ等の不具合が発生した場合において、その不具合対策として行った形状変更の感度解析を行うことができるようになる。
【0009】
また、本発明による金型設計装置では、前記変位定義面情報は、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものであり、前記受付部は、前記パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものであり、前記生成部は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量を加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成するものであり、前記変位定義面情報記憶部で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによって前記プレス方向変位定義面情報を生成し、前記変位定義面情報記憶部に蓄積する変位定義面変換部をさらに備えてもよい。
【0010】
このような構成により、変位定義面情報を設定する際には、より直感的に分かりやすい角度や長さなどのパラメータを用いて行い、その変位定義面情報を加える際には、計算しやすいプレス方向の変位量を用いることができる。
【0011】
また、本発明による金型設計装置では、前記受付部は、変位定義面情報を追加する入力または変位定義面情報を削除する入力も受け付け、前記変更部は、前記受付部が変位定義面情報を追加する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を追加し、前記受付部が変位定義面情報を削除する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を削除してもよい。
このような構成により、任意の変位定義面情報を追加したり、削除したりすることができるようになる。
【0012】
また、本発明による金型設計装置では、変位定義面情報ごとの加重値が記憶される加重値記憶部をさらに備え、前記生成部は、前記加重値記憶部で記憶される加重値を、当該加重値に対応する変位定義面情報の変位に掛けた結果を加えることによって金型情報を生成してもよい。
【0013】
このような構成により、各変位定義面情報の重み付けを変えることができ、例えば、シワや割れ、破れ等の不具合が発生した場合に、その不具合に寄与している変位定義面情報の特定を容易に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による金型設計装置等によれば、金型を設計する際において、2以上の変形が行われる場合であっても、各変形を独立して変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1による金型設計装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態による金型設計装置の動作を示すフローチャート
【図3】同実施の形態による金型設計装置の動作を示すフローチャート
【図4】同実施の形態における金型情報の生成について説明するための図
【図5】同実施の形態における基準面の各点を識別するメッシュIDとその座標との対応の一例を示す図
【図6】同実施の形態の具体例における変位定義面について説明するための図
【図7】同実施の形態の具体例における変位定義面について説明するための図
【図8】同実施の形態の具体例における変位定義面について説明するための図
【図9】同実施の形態における表示の一例を示す図
【図10】同実施の形態における表示の一例を示す図
【図11】同実施の形態におけるパラメータ変位定義面情報の一例を示す図
【図12】同実施の形態における変位定義面ごとの加重値の一例を示す図
【図13】同実施の形態におけるプレス方向変位定義面情報の一例を示す図
【図14】同実施の形態における金型情報の一例を示す図
【図15】同実施の形態における変位定義面の形状の一例を示す図
【図16】同実施の形態における変位定義面の形状の一例を示す図
【図17】同実施の形態における変位定義面の形状の一例を示す図
【図18】同実施の形態における金型の形状の一例を示す図
【図19】同実施の形態における金型情報の生成について説明するための図
【図20】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
【図21】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【図22】従来の金型情報の生成について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による金型設計装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による金型設計装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による金型設計装置は、複数の変位定義面情報の変位を加えることによって、最終的な金型の形状を示す金型情報を生成するものである。
【0018】
図1は、本実施の形態による金型設計装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による金型設計装置1は、変位定義面情報記憶部11と、受付部12と、変更部13と、変位定義面変換部14と、加重値記憶部15と、加重値変更部16と、生成部17と、出力部18とを備える。
【0019】
変位定義面情報記憶部11では、2以上の変位定義面情報が記憶される。変位定義面情報は、基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である。なお、この変位定義面情報は、2次元方向の広がりに関する範囲の情報(どこまでが変位定義面であり、どこからが変位定義面でないのかを知ることができる情報)を持っていてもよい。また、この変位定義面情報によって示される変位定義面は、プレス方向に一価のものであり、また、接線連続以上の連続性があるものである。接線連続以上の連続性とは、例えば、接線連続(C1連続、G1連続、1次微分連続と呼ばれることもある)や、曲率連続(C2連続、G2連続、2次微分連続と呼ばれることもある)のことである。また、基準面は通常、平面であるが、そうでなくてもよい。
【0020】
また、本実施の形態では、変位定義面情報が、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものである場合について説明する。パラメータ変位定義面情報は、例えば、一の面または二以上の面を定義する情報であって、各面の2次元方向の広がりに関する範囲の情報を有してもよく、各面が平面であるのか、曲面であるのかの情報を有してもよく、各面の基準面に対する角度(この角度は、方位角(プレス方向に直行する面内における角度)であってもよく、俯角であってもよい)の情報を有してもよく、各面のある位置の基準面に対する高さを示す情報を有してもよく、ある面が曲面である場合に、その曲面の種類(例えば、曲面の断面が円であるのか、楕円であるのか、ベジェ曲線であるのか、B−スプライン曲線であるのか、NURBS曲線であるのかなど)を示す情報を有してもよく、その曲面に関するパラメータ(例えば、円の曲率や半径など)の情報を有してもよい。また、パラメータ変位定義面情報は、対称性に関する情報を有してもよい。例えば、その対称性に関する情報によって、変位定義面がある軸に対して対称であることが示される場合には、その軸に対して一方の側についてのみ、パラメータを用いた変位定義面の定義を行えばよいことになる。また、パラメータ変位定義面情報が二以上の面を定義する情報である場合に、パラメータ変位定義面情報は、その二以上の面の境界位置を示す情報を有してもよい。また、パラメータ変位定義面情報は、基準面やその他の基準点を基準とした変位定義面の位置を示す情報を有してもよい。また、パラメータ変位定義面情報に、これら以外のパラメータが含まれることによって変位定義面が定義されてもよいことは言うまでもない。また、一の変位定義面が二以上の面で定義される場合に、その二以上の面は連続した面であることが好適である。なお、パラメータ変位定義面情報が二以上の面を定義する情報である場合に、すべてのパラメータを独立に設定できるわけではない。前述のように変位定義面は接線連続以上の連続性が要求されるため、例えば、ある変位定義面が2個の連続した面で構成され、第1の面が曲面であり、第2の面が平面である場合には、第1の面の曲率等を設定すると、第2の面の特定の位置に関する基準面に対する高さを任意に設定することはできない。また、例えば、第2の面の特定の位置に関する基準面に対する高さを設定すると、第1の面の曲率等を任意に設定することはできない。また、プレス方向変位定義面情報は、例えば、基準面上の各点を特定する情報と、その情報によって特定される点に対応するプレス方向の変位とを対応付ける情報であってもよい。その基準面上の各点は、あらかじめ定められていてもよい。その基準面上の各点は、基準面上の独立した2方向において、周期的に設定されることが好適である。例えば、その基準面上の各点は、規則的な格子(グリッド)の各交点であってもよい。プレス方向変位定義面情報は、後述する変位定義面変換部14によって、パラメータ変位定義面情報から生成されるものである。
【0021】
変位定義面情報記憶部11での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。変位定義面情報記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0022】
受付部12は、変位定義面情報に関する入力を受け付ける。この入力は、例えば、新たな変位定義面情報を追加する入力であってもよく、すでに存在する変位定義面情報を削除する入力であってもよく、すでに存在する変位定義面情報を変更する入力であってもよい。本実施の形態では、受付部12が、変位定義面情報に含まれるパラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものとする。この入力は、パラメータの数値入力であってもよく、あるいは、GUI(Graphical User Interface)などを用いた入力であってもよい。
【0023】
また、受付部12は、後述する加重値に関する入力を受け付ける。この入力は、例えば、新たな加重値を追加する入力であってもよく、すでに存在する加重値を削除する入力であってもよく、すでに存在する加重値を変更する入力であってもよい。
【0024】
受付部12は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)からの入力を受け付けてもよく、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された入力を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された入力を受け付けてもよい。なお、受付部12は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、受付部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0025】
変更部13は、受付部12が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、変位定義面情報記憶部11で記憶されている変位定義面情報を変更する。変更部13は、例えば、受付部12が変位定義面情報を追加する入力を受け付けた場合には、その入力に応じて変位定義面情報を追加する。また、変更部13は、例えば、受付部12が既存の変位定義面情報を削除する入力を受け付けた場合には、その入力に応じて変位定義面情報を削除する。また、変更部13は、例えば、受付部12が既存の変位定義面情報を変更する旨の入力を受け付けた場合には、その入力に応じて変位定義面情報を変更する。
【0026】
変位定義面変換部14は、変位定義面情報記憶部11で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによってプレス方向変位定義面情報を生成し、変位定義面情報記憶部11に蓄積する。変位定義面変換部14は、例えば、パラメータ変位定義面情報を用いて、変位定義面の平面や曲面の式を算出し、基準面上の各点に対応する、平面や曲面におけるプレス方向の変位を算出して変位定義面情報記憶部11に蓄積してもよい。なお、プレス方向変位定義面情報が変位定義面情報記憶部11に蓄積される際には、そのプレス方向変位定義面情報が生成される元となったパラメータ変位定義面情報に対応付けて、そのプレス方向変位定義面情報を蓄積することが好適である。パラメータ変位定義面情報とプレス方向変位定義面情報とを対応付けて蓄積する場合に、両者が直接対応付けられてもよく、あるいは、両者がそれぞれ第三の情報(例えば、変位定義面を識別する情報等)に対応付けられていることによって、両者が間接的に対応付けられてもよい。
【0027】
加重値記憶部15では、変位定義面情報ごとの加重値が記憶される。この加重値は、最終的な金型情報が生成される際に用いられる変位定義面情報ごとの重みである。したがって、変位定義面情報ごとに、この加重値が設定されていることが好適である。なお、加重値が設定されていない場合には、その加重値を「1」としてもよい。加重値記憶部15において、加重値は、その加重値に対応する変位定義面情報を識別する情報に対応付けられて記憶されていてもよい。この加重値は、後述する加重値変更部16によって蓄積されたり、変更されたり、削除されたりするものである。加重値記憶部15での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。加重値記憶部15は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0028】
加重値変更部16は、受付部12が受け付けた加重値に関する入力に応じて、加重値記憶部15で記憶されている加重値を変更する。この変更は、前述のように、新たな加重値の蓄積であってもよく、既存の加重値の変更であってもよく、既存の加重値の削除であってもよい。
【0029】
生成部17は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する。ここで、この金型の形状は、例えば、製造対象に対応する成形面の形状であってもよく、しわ押さえ面の形状であってもよく、余肉面の形状であってもよく、あるいは、それらの任意の2以上の面の形状であってもよい。このように、生成部17が生成する金型情報によって示される金型の形状は、ダイ形状の全部または一部となる。また、生成部17は、加重値記憶部15で記憶される加重値を、その加重値に対応する変位定義面情報の変位に掛けた結果を加えることによって金型情報を生成する。その変位定義面情報は、プレス方向変位定義面情報であってもよい。本実施の形態では、その場合について説明する。すなわち、金型情報が、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すものである場合について説明する。
【0030】
具体的には、生成部17は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量のそれぞれに加重値を掛けて加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成する。例えば、基準面上のある点における、プレス方向変位定義面情報A1,A2,A3,A4の示す変位量がそれぞれa1,a2,a3,a4であり、プレス方向変位定義面情報A1,A2,A3,A4にそれぞれ対応する加重値がb1,b2,b3,b4である場合には、生成部17は、その点に対応するプレス方向の変位を、a1×b1+a2×b2+a3×b3+a4×b4として算出してもよい。すなわち、加重値を用いた重み付け加算が行われることになる。
【0031】
出力部18は、生成部17が生成した金型情報を出力する。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、本実施の形態では、出力部18が、金型情報を記録媒体に蓄積する場合について説明する。また、出力部18は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、出力部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0032】
なお、変位定義面情報記憶部11と、加重値記憶部15とは、同一の記録媒体によって実現されてもよく、あるいは、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、変位定義面情報を記憶している領域が変位定義面情報記憶部11となり、加重値を記憶している領域が加重値記憶部15となる。
【0033】
また、変位定義面情報の追加や変更の際に、その処理を行っている者が変位定義面情報記憶部11で記憶されている変位定義面情報や、入力した変位定義面情報等をディスプレイ等で確認することができるようにしてもよい。そのために、出力部18は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている変位定義面情報や、受付部12が受け付けた変位定義面情報等を出力してもよい。このことは、加重値の追加や変更の際についても同様であるとする。
【0034】
次に、本実施の形態による金型設計装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受付部12は、加重値に関する入力を受け付けたかどうか判断する。そして、加重値に関する入力を受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS103に進む。
【0035】
(ステップS102)加重値変更部16は、受付部12が受け付けた加重値に関する入力に応じて、加重値記憶部15で記憶されている加重値を変更する。なお、特定の変位定義面情報に対応する加重値に関する入力が受け付けられた場合には、加重値変更部16は、その変位定義面情報に対応する加重値を変更する。そして、ステップS101に戻る。
【0036】
(ステップS103)受付部12は、パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けたかどうか判断する。そして、パラメータの入力を受け付けた場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS105に進む。
【0037】
(ステップS104)変更部13は、受付部12が受け付けたパラメータの入力に応じて、変位定義面情報記憶部11で記憶されているパラメータ変位定義面情報を変更する。なお、特定の変位定義面情報に含まれるパラメータ変位定義面情報のパラメータの入力が受け付けられた場合には、変更部13は、その変位定義面情報に含まれるパラメータ変位定義面情報を変更する。そして、ステップS101に戻る。
【0038】
(ステップS105)生成部17は、金型情報を生成するかどうか判断する。そして、金型情報を生成する場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。例えば、金型情報を生成する旨の指示を金型設計装置1が受け付けた場合に、生成部17は、金型情報を生成すると判断してもよい。
【0039】
(ステップS106)変位定義面変換部14は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている各変位定義面情報について、パラメータ変位定義面情報をプレス方向変位定義面情報に変換する。
【0040】
(ステップS107)生成部17は、変位定義面情報記憶部11で記憶されている各変位定義面情報に含まれるプレス方向変位定義面情報と、加重値記憶部15で記憶されている加重値とを用いて、金型情報を生成する。この生成については、図3のフローチャートを用いて後述する。
【0041】
(ステップS108)出力部18は、生成部17が生成した金型情報を出力する。そして、ステップS101に戻る。
【0042】
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。また、図2のフローチャートにおいて、パラメータ変位定義面情報をプレス方向変位定義面情報に変換するタイミングは問わない。例えば、パラメータ変位定義面情報が変更されたタイミングで、変更後のパラメータ変位定義面情報からプレス方向変位定義面情報を生成してもよい。ただし、パラメータ変位定義面情報が削除された場合には、それに応じて、プレス方向変位定義面情報も削除してもよい。パラメータ変位定義面情報が変更されたタイミングでプレス方向変位定義面情報を生成する場合には、ステップS106はなくてもよい。
【0043】
図3は、図2のフローチャートにおける金型情報の生成処理(ステップS107)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)生成部17は、カウンタiを1に設定する。
【0044】
(ステップS202)生成部17は、図示しない記録媒体で記憶されている金型情報を初期化する。具体的には、生成部17は、その金型情報によって示される基準面上の各点の値をすべて0に設定してもよい。または、基準面が平面でなかったり、プレス方向の原点の位置に存在しなかったりする場合には、生成部17は、その金型情報によって示される基準面上の各点の値を基準面の形状等に応じた値に設定してもよい。
【0045】
(ステップS203)生成部17は、図示しない記録媒体で記憶されている金型情報を読み出し、i番目の変位定義面情報に対応する加重値を加重値記憶部15から読み出し、i番目の変位定義面情報に含まれるプレス方向変位定義面情報を変位定義面情報記憶部11から読み出し、読み出した加重値とプレス方向変位定義面情報とを掛け合わせて、読み出した金型情報に加算し、その結果である更新後の金型情報を、図示しない記録媒体に蓄積する。その蓄積の際に、記憶されている金型情報に上書きで蓄積する。なお、厳密には、それらの乗算や加算の処理は、基準面上の各点のそれぞれに対して行われるものである。
【0046】
(ステップS204)生成部17は、カウンタiを1だけインクリメントする。
【0047】
(ステップS205)生成部17は、i番目の変位定義面情報が変位定義面情報記憶部11で記憶されているかどうか判断する。そして、記憶されている場合には、ステップS203に戻り、そうでない場合には、図2のフローチャートに戻る。
【0048】
なお、図3のフローチャートのステップS203において、加重値とプレス方向変位定義面情報とを掛け合わせたものを金型情報に加算した結果を上書きで蓄積する場合について説明したが、そうでなくてもよい。生成部17は、新たに計算した最新の金型情報と、その計算で用いられた古い金型情報とを区別可能に蓄積してもよい。そして、ステップS203の計算においては、常に最新の金型情報を読み出して用いるようにしてもよい。
【0049】
ここで、変位定義面情報の入力や、変位定義面情報の変換、金型情報の生成について、図4を用いて簡単に説明する。前述のように、受付部12が受け付けた入力に応じて変更されるのは、変位定義面情報A1〜Anに含まれる各パラメータ変位定義面情報B1〜Bnである。そして、変位定義面変換部14によって、各パラメータ変位定義面情報B1〜Bnが、プレス方向変位定義面情報C1〜Cnに変換される。その後、生成部17によって、プレス方向変位定義面情報C1〜Cnが示す基準面上の各点の値に加重値を乗算したものがそれぞれ加算されることによって、金型情報Dが生成されることになる。
【0050】
次に、本実施の形態による金型設計装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、プレス方向をZ軸として、そのZ軸に直交する平面上にX軸とY軸とをとることにする。なお、X軸とY軸とは直交するものとする。また、この具体例では、基準面のZ座標の値はすべて0であるとする。すなわち、基準面は、XY方向の広がりを有する平面となる。また、その基準面は矩形であり、その幅と長さ、位置等の情報があらかじめ図示しない記録媒体において保持されているものとする。
【0051】
また、この具体例において、図示しない記録媒体において、図5で示されるメッシュIDと、X座標と、Y座標とを対応付ける情報が記憶されているものとする。このメッシュIDは、基準面上の各点を識別する情報である。変位定義面変換部14は、この図5で示される情報にアクセス可能であり、この情報を用いることによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位、すなわち、各メッシュIDに対応するプレス方向の変位を算出することによって、プレス方向変位定義面情報を生成する。
【0052】
また、この具体例で用いられる変位定義面について簡単に説明する。この具体例では、図6で示される変位定義面と、図7で示される変位定義面とが用いられる。図6で示される変位定義面を両側操作の変位定義面と呼ぶこともある。また、図7で示される変位定義面を片側操作の変位定義面と呼ぶこともある。
【0053】
図6、図7において、これらの変位定義面は、初期値では、Z座標の値がすべて0であり、XY方向の広がりを有する平面である。それに対して、後述するC点高さ等を設定することにより、Z軸方向の高さを有することになる。この変位定義面は、幅方向については、すべて同じZ座標の値を有するものとする。また、図6において、両方操作の変位定義面は、C面と、D面と、中心の面との3個の面に分けられる。また、図7において、片方操作の変位定義面は、C面と、E面と、中心の面との3個の面に分けられる。C面、D面、E面は平面であり、中心の面は曲面である。その中心の面の中心点Oを通る幅方向の直線のZ座標の値は0に固定されているものとする。すなわち、その直線は、変位が定義されたとしてもZ軸方向の高さが変わらないことになる。また、E面もZ座標の値がすべて0である平面であるとする。すなわち、片面操作の変位定義面では、片方の面、すなわち、C面のみの設定を行うことができる。また、中心点OのX座標とY座標とを設定することができるものとする。また、中心点Oを通る幅方向の直線と、点Cを通る幅方向の直線との幅であるOC幅を設定することができるものとする。また、図6の変位定義面では、中心点Oを通る幅方向の直線と、点Dを通る幅方向の直線との幅であるOD幅も設定することができるものとする。また、点Cの位置でのZ軸の値であるC点高さを設定することができるものとする。また、図6の変位定義面では、点Dの位置でのZ軸の値であるD点高さも設定することができるものとする。また、変位定義面の基準方向に対する角度である平面角度も設定することができるものとする。平面角度は、例えば、図8で示されるように、変位定義面の長さ方向と、基準方向とのなす角度θである。この具体例では、平面角度を度(deg)で標記するものとする。また、これらの変位定義面において、中心の面の長さ方向の断面は円弧になるものとする。その円弧の半径(曲率)は、点Cを通る幅方向の直線と、点Dを通る幅方向の直線とにおいて、C面と中心の面とが接線連続となり、D面と中心の面とが接線連続となるように定められるものとする。また、その円弧の半径(曲率)は、中心点Oを通る幅方向の直線においても、その直線を挟む両側の面が接線連続となるように定められるものとする。なお、図6の変位定義面では、その円弧の半径は、中心点Oを通る幅方向の直線を境界として、C面側と、D面側とで変わってもよい。
【0054】
まず、ユーザが金型設計装置1を操作することによって、金型の設定を開始する旨の指示を入力したとする。すると、その指示に応じて、金型設計装置1の受付部12は、図示しない記録媒体からパラメータ変位定義面情報を入力するための初期画面を読み出し、その初期画面を図9で示されるようにディスプレイに表示する。その図9の表示において、ユーザがマウスやキーボード等を操作して、ラジオボタン「新規作成」が選択され、変位定義面ID「V001」が入力され、ラジオボタン「両側操作」が選択されるようにしたとする。そして、「OK」ボタンがクリックされると、受付部12は、変位定義面ID「V001」の変位定義面であり、「両側操作」の変位定義面を新たに作成する旨の指示を受け付ける。そして、受付部12は、その受け付けに応じて、両側操作のパラメータ変位定義面情報のパラメータを入力する入力画面を図示しない記録媒体から読み出し、それをディスプレイに表示する。その表示において、図10で示されるように、ユーザが各パラメータを入力し、「OK」ボタンをクリックしたとする。すると、受付部12は、その各パラメータを受け付け(ステップS103)、そのパラメータと、初期画面で受け付けた変位定義面ID「V001」とを変更部13に渡すと共に、変位定義面ID「V001」を加重値変更部16に渡す。そして、変更部13は、そのパラメータと、変位定義面ID「V001」とを対応付けて変位定義面情報記憶部11に蓄積する(ステップS104)。図11(a)は、そのようにして蓄積されたパラメータ変位定義面情報を示すものである。また、加重値変更部16は、その変位定義面IDに対応付けて加重値の初期値「1.0」を加重値記憶部15に蓄積する。同様の処理が繰り返されることによって、図11で示されるように、変位定義面ID「V001」「V002」「V003」にそれぞれ対応するパラメータ変位定義面情報が変位定義面情報記憶部11で記憶され、図12で示されるように、変位定義面IDと加重値とを対応付ける情報が加重値記憶部15で記憶されるようになったとする。なお、図11(b)(c)から分かるように、変位定義面ID「V002」「V003」に対応するパラメータ変位定義面情報は、片側操作のものである。また、その片側操作のパラメータ変位定義面情報のパラメータを入力する入力画面では、OD幅と、D点高さの入力フィールドが存在しないものとする。また、図11(c)では、平面角度が180度に設定されているため、変位定義面ID「V003」に対応する変位定義面は、変位定義面ID「V002」に対応する変位定義面と反対側にC面を有することになる。また、この具体例では、図12で示される各加重値が変更されないで金型情報が生成される場合について説明する。
【0055】
次に、ユーザが金型設計装置1を操作することによって、金型情報を生成する旨の指示を入力したとする。すると、その指示に応じて、金型設計装置1の生成部17は、金型情報を生成するタイミングであると判断し(ステップS105)、図示しない経路を介して変位定義面変換部14に変位定義面情報の変換を行う旨の指示を渡す。変位定義面変換部14は、その指示を受け取ると、変位定義面情報記憶部11から図11(a)〜(c)の各パラメータ変位定義面情報を読み出すと共に、図5の情報を読み出し、各メッシュIDに応じた位置に対応するZ座標の値を算出する。そして、各メッシュIDと、Z座標の値とを対応付ける情報であるプレス方向変位定義面情報を作成して、変位定義面情報記憶部11に蓄積する(ステップS106)。その蓄積の際に、変位定義面変換部14は、各変位定義面の変位定義面IDに対応付けて蓄積するものとする。図13(a)〜(c)は、そのようにして蓄積された、各変位定義面に対応するプレス方向変位定義面情報である。
【0056】
その後、生成部17は、金型情報を生成する処理を行う(ステップS107)。具体的には、生成部17は、各メッシュIDのXY座標に対応する基準面のZ座標の値「0」を読み出し、その値を金型情報の初期値に設定する(ステップS201,S202)。また、生成部17は、1番目の変位定義面、すなわち、変位定義面ID「V001」で識別される変位定義面の加重値「1.0」と、プレス方向変位定義面情報(図13(a)の情報)とを読み出し、メッシュIDごとに、そのプレス方向変位定義面情報の各Z座標の値に加重値「1.0」を掛けた値をそれぞれ金型情報のメッシュIDに対応するZ座標に加算していく(ステップS203)。例えば、金型情報のメッシュID「1」に対応するZ座標は、「Z11」となる。なお、この金型情報は、図示しない記録媒体において一時的に記憶されているものとする。
【0057】
また、生成部17は、2番目の変位定義面、すなわち、変位定義面ID「V002」で識別される変位定義面の加重値「1.0」と、プレス方向変位定義面情報(図13(b)の情報)とを読み出し、メッシュIDごとに、そのプレス方向変位定義面情報の各Z座標の値に加重値「1.0」を掛けた値をそれぞれ金型情報のメッシュIDに対応するZ座標に加算していく(ステップS204,S205,S203)。例えば、金型情報のメッシュID「1」に対応するZ座標は「Z11+Z21」となる。
【0058】
また、生成部17は、3番目の変位定義面、すなわち、変位定義面ID「V003」で識別される変位定義面の加重値「1.0」と、プレス方向変位定義面情報(図13(c)の情報)とを読み出し、メッシュIDごとに、そのプレス方向変位定義面情報の各Z座標の値に加重値「1.0」を掛けた値をそれぞれ金型情報のメッシュIDに対応するZ座標に加算していく(ステップS204,S205,S203)。例えば、金型情報のメッシュID「1」に対応するZ座標は「Z11+Z21+Z31」となる。このようにして、生成部17が生成した金型情報は、図14で示されるものとなる。
【0059】
その後、出力部18は、その図14で示される金型情報を図示しない記録媒体から読み出して出力する(ステップS108)。この具体例では、出力部18は、その金型情報を外部の記録媒体に蓄積するものとする。その後、その金型情報を用いて平板のプレス加工のシミュレーションや、実際のプレス加工等が行われることになる。なお、その平板のプレス加工のシミュレーションにおいて、シワや割れ、破れ等の不具合が生じた場合には、ユーザは、所望の変位定義面に対応するパラメータ変位定義面情報を変更することができ(ステップS103,S104)、その結果を用いて新たな金型情報を生成することができる(ステップS105〜S108)。また、各変位定義面の重みを変更したい場合には、加重値を適宜、変更する(ステップS101,S102)ことによって、各変位定義面の重みを変更することができる。例えば、この具体例の場合に、変位定義面ID「V002」の重みを少なくした金型情報を生成したい場合には、変位定義面ID「V002」に対応する加重値を例えば「0.5」に設定して金型情報を生成することによって、パラメータ変位定義面情報を直接変更しなくても、金型情報を変更することができる。このような加重値の変更によって、シワや割れ等の不具合の原因となっている変位定義面を特定することも可能となりうる。
【0060】
なお、図15〜図18は、この具体例での各変位定義面と、最終形状とを示す図である。図15〜図17は、変位定義面ID「V001」「V002」「V003」で識別される変位定義面情報にそれぞれ対応する変位定義面の形状を示すものである。また、図18は、金型情報に対応する最終形状を示すものである。各図において、基準面に応じた領域の変位定義面等を示している。
【0061】
また、この具体例では、図11等で示されるように、変位定義面上の点の高さ等を定義する場合について説明したが、前述のように、この定義の方法は一例であって、その他の定義を用いてもよい。例えば、C点高さやD点高さを設定するのではなく、中心の面の半径や曲率を設定することによって、図11の各変位定義面と同じ定義を行うことも可能である。
【0062】
また、この具体例では、変位定義面において曲率の変わる線(例えば、点Cを通る幅方向の直線や、点Dを通る幅方向の直線などであり、この線のことを「R止まり線」と呼ぶこともある)が平行である場合について説明したが、そうでなくてもよい。そのR止まり線の角度を変位定義面において任意に変更できるようにしてもよい。その場合には、例えば、中心の面はフィレットとなり、R止まり線は、そのフィレットのエッジとなる。
【0063】
以上のように、本実施の形態による金型設計装置1によれば、ダイ形状の全部または一部を設計する際に、2以上の変形が行われる場合であっても、各変形を独立して変更することができ、簡単に金型の設計変更を行うことができる。具体的には、本実施の形態による金型の設計方法は、図19で示されるように、平板を横から見た元面に対して、変位定義面A1,B1,C1を定義して、それらを重み付け加算することによって最終形状である金型の形状を設計するものである。したがって、変形のシーケンスを管理しているのではないため、例えば、変位定義面B1を変更したい場合には、その変位定義面B1を変更した後に、各変位定義面の形状を重み付け加算すればよいだけとなる。その結果、各変形(各変位定義面)を独立して変更することができ、金型設計の変更が容易になる。したがって、例えば、シワや割れ、破れ等の不具合が発生した場合において、その不具合対策として行った形状変更の感度解析を行うことができるようになる。
【0064】
なお、本実施の形態では、各変位定義面の形状を、加重値を用いて重み付け加算する場合について説明したが、そうでなくてもよい。単に各プレス方向変位定義面情報を加算することによって、金型情報を生成してもよい。その場合には、金型設計装置1は、加重値記憶部15や加重値変更部16を備えていなくてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、変位定義面情報が、パラメータ変位定義面情報と、プレス方向変位定義面情報とを有しており、パラメータ変位定義面情報からプレス方向変位定義面情報を生成する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、変位定義面情報は、プレス方向変位定義面情報そのものであってもよい。この場合には、ユーザが入力したり変更したりする変位定義面情報も、プレス方向変位定義面情報そのものとなる。また、この場合には、金型設計装置1は、変位定義面変換部14を備えていなくてもよい。
【0066】
また、通常、変位定義面が接線連続以上の連続性を有する場合には、それらを加算した最終形状も、接線連続以上の連続性を有することになる。ただ、基準面の領域内において、2個の変位定義面のR止まり線が交わる場合には、その交点で尖点(接線連続でない点)を有することがなる。したがって、2個以上の変位定義面において、基準面の領域内において、R止まり線が交わらないように各変位定義面情報を設定することが好適である。
【0067】
また、上記実施の形態では、金型設計装置1がスタンドアロンである場合について説明したが、金型設計装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、金型設計装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態における金型設計装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部、前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、2以上の変位定義面情報が記憶される変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部、前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部、として機能させるためのプログラムである。
【0073】
また、このプログラムにおいて、前記変位定義面情報は、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものであり、前記受付部は、前記パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものであり、前記生成部は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量を加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成するものであり、コンピュータを、前記変位定義面情報記憶部で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによって前記プレス方向変位定義面情報を生成し、前記変位定義面情報記憶部に蓄積する変位定義面変換部としてさらに機能させてもよい。
【0074】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を受け付ける受付部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
【0075】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0076】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0077】
図20は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による金型設計装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0078】
図20において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0079】
図21は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図21において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0080】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による金型設計装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0081】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による金型設計装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0082】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上より、本発明による金型設計装置等によれば、任意の変位定義面情報を変更したとしても、それに応じた金型情報を生成できるという効果が得られ、製造対象に対応する成形面や、しわ押さえ面、余肉面等を設計する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 金型設計装置
11 変位定義面情報記憶部
12 受付部
13 変更部
14 変位定義面変換部
15 加重値記憶部
16 加重値変更部
17 生成部
18 出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部と、
変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部と、
前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部と、
前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部と、を備えた金型設計装置。
【請求項2】
前記変位定義面情報は、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものであり、
前記受付部は、前記パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものであり、
前記生成部は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量を加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成するものであり、
前記変位定義面情報記憶部で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによって前記プレス方向変位定義面情報を生成し、前記変位定義面情報記憶部に蓄積する変位定義面変換部をさらに備えた、請求項1記載の金型設計装置。
【請求項3】
前記受付部は、変位定義面情報を追加する入力または変位定義面情報を削除する入力も受け付け、
前記変更部は、前記受付部が変位定義面情報を追加する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を追加し、前記受付部が変位定義面情報を削除する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を削除する、請求項1または請求項2記載の金型設計装置。
【請求項4】
変位定義面情報ごとの加重値が記憶される加重値記憶部をさらに備え、
前記生成部は、前記加重値記憶部で記憶される加重値を、当該加重値に対応する変位定義面情報の変位に掛けた結果を加えることによって金型情報を生成する、請求項1から請求項3のいずれか記載の金型設計装置。
【請求項5】
基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部と、受付部と、変更部と、生成部と、出力部とを用いて処理される金型設計方法であって、
前記受付部が、変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付ステップと、
前記変更部が、前記受付ステップで受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更ステップと、
前記生成部が、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成ステップと、
前記出力部が、前記生成ステップで生成した金型情報を出力する出力ステップと、を備えた金型設計方法。
【請求項6】
コンピュータを、
基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部、
前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、2以上の変位定義面情報が記憶される変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部、
前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部、
前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部、として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部と、
変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部と、
前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部と、
前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部と、を備えた金型設計装置。
【請求項2】
前記変位定義面情報は、パラメータによって定義されるパラメータ変位定義面情報と、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示すプレス方向変位定義面情報とを有するものであり、
前記受付部は、前記パラメータ変位定義面情報のパラメータの入力を受け付けるものであり、
前記生成部は、基準面上の各点における、2以上のプレス方向変位定義面情報の示す変位量を加算することによって、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を示す金型情報を生成するものであり、
前記変位定義面情報記憶部で記憶されているパラメータ変位定義面情報を用いて、基準面上の各点に対応するプレス方向の変位を算出することによって前記プレス方向変位定義面情報を生成し、前記変位定義面情報記憶部に蓄積する変位定義面変換部をさらに備えた、請求項1記載の金型設計装置。
【請求項3】
前記受付部は、変位定義面情報を追加する入力または変位定義面情報を削除する入力も受け付け、
前記変更部は、前記受付部が変位定義面情報を追加する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を追加し、前記受付部が変位定義面情報を削除する入力を受け付けた場合には、当該入力に応じて変位定義面情報を削除する、請求項1または請求項2記載の金型設計装置。
【請求項4】
変位定義面情報ごとの加重値が記憶される加重値記憶部をさらに備え、
前記生成部は、前記加重値記憶部で記憶される加重値を、当該加重値に対応する変位定義面情報の変位に掛けた結果を加えることによって金型情報を生成する、請求項1から請求項3のいずれか記載の金型設計装置。
【請求項5】
基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報が2以上記憶される変位定義面情報記憶部と、受付部と、変更部と、生成部と、出力部とを用いて処理される金型設計方法であって、
前記受付部が、変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付ステップと、
前記変更部が、前記受付ステップで受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更ステップと、
前記生成部が、前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成ステップと、
前記出力部が、前記生成ステップで生成した金型情報を出力する出力ステップと、を備えた金型設計方法。
【請求項6】
コンピュータを、
基準面からの変位を定義する変位定義面の形状を示す情報である変位定義面情報に関する入力を受け付ける受付部、
前記受付部が受け付けた変位定義面情報に関する入力に応じて、2以上の変位定義面情報が記憶される変位定義面情報記憶部で記憶されている変位定義面情報を変更する変更部、
前記変位定義面情報記憶部で記憶されている2以上の変位定義面情報で示される各変位定義面の変位を加えることによって、平板のプレスにおける金型の形状を示す情報である金型情報を生成する生成部、
前記生成部が生成した金型情報を出力する出力部、として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−22950(P2011−22950A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169672(P2009−169672)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(507228172)株式会社JSOL (23)
【出願人】(509205537)コンピュティップス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(507228172)株式会社JSOL (23)
【出願人】(509205537)コンピュティップス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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