説明

金型

【課題】様々な形状の通水路を備えた金型を簡単に製作できるようにする。
【解決手段】金型1は、型面を備えた基体2と、基体2に嵌め合わされて基体2との間に通水路Tを形成する入子3と、入子3に接合されて積層された供給板4,5とを備えている。基体2の嵌合穴23と入子3の本体32とが内面と外面とを密着させることで、嵌合穴23の溝24と入子3の溝32aとで冷却水の通水路Tが形成されている。供給板4,5は、通水路Tを流通する流通媒体を通水路Tに供給する供給路Kを備えている。供給板5が備える供給路Kは、入子3側に位置する供給板4が備えた連通路Rを通して通水路Tに連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型に関する。
【背景技術】
【0002】
金型を用いた成形では、金型の冷却穴に冷却水を流通させて金型を冷却し、焼き付きの防止が図られている。特許文献1の金型は、型面を備えた基体に入子を嵌め合わせて構成され、基体と入子との隙間に形成された媒体通路に媒体を流通させて、基体を通して成形品を冷却又は加熱する。
【0003】
特許文献2では、射出成形金型を構成する各分割型が、型面を有した第1の型部品と、第1の型部品の背面に嵌合体を挟んで配置された第2の型部品とを備えている。第1の型部品の第2の型部品との合せ面側には、型面の凹凸形状に沿って変化する流路用溝が形成されており、流路用溝と嵌合体との間に熱媒体流路が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−1770号公報
【特許文献2】特開2008−114402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各特許文献に記載の金型では、第1の型部品の背面に形成した溝で熱媒体流路を形成することで、型面の凹凸形状に応じて複数の熱媒体流路を設けることができる。しかしながら、製品形状に応じて熱媒体流路の配置を変える場合に、熱媒体流路に対する熱媒体の供給路も組み変えて配置する必要があり、金型の製作に手間がかかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決することができる金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の金型は、型面を備えた基体と、該基体に嵌め合わされて前記基体との間に送水路を形成する入子と、前記送水路を流通する流通媒体を前記送水路に供給する供給路を備えて前記入子と一体化された供給板とを備えていることを特徴とする。
また、本発明は、互いに積層された複数枚の前記供給板を備え、各前記供給板が備える供給路は、前記入子側に位置する前記供給板が備えた連通路を通して前記送水路に連通していることを特徴とする。
また、本発明は、複数の前記入子同士が接合されて前記基体に嵌め合わされていることを特徴とする。
また、本発明は、前記基体は熱間工具鋼で形成され、前記入子は高速度鋼で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、成形品の冷却又は加熱に適した様々な形状の通水路に対する媒体の供給路を、供給板を組み変えることで簡単に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の金型の一部を示す図であり、(a)は平面図,(b)は正面図,(c)は側面図である。
【図2】金型が備える基体を示す図であり、(a)は平面図,(b)は正面図,(c)は側面図である。
【図3】金型が備える入子を示す図であり、(a)は平面図,(b)は側面図,(c)は正面図である。
【図4】金型の基体と入子との間に形成された流通媒体の流路を示す図であり、(a)は図1のA−A矢視断面図,(b)は前側の供給路までの流路に沿ったB−B線での断面図である。
【図5】金型が備える供給板を示す図であり、(a)は正面図,(b)は平面図,(c)は側面図である。
【図6】金型が備える供給板を示す図であり、(a)は正面図,(b)は平面図,(c)は側面図である。
【図7】通水路内にパイプが配置される金型の断面図である。
【図8】供給路内にパイプが配置される供給板の断面図である。
【図9】供給路内にパイプが配置される供給板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の金型1の一部を示す図である。図2は、金型1が備える基体2を示す図である。図3は、金型1が備える入子3を示す図である。なお、以下の説明で用いる上下,前後,左右の各方向は説明に用いる各図に示している。この上下,前後,左右は説明のために記載したもので、実際の配置と異なってよいことはもちろんである。
【0011】
図1に示すように、金型1は、型面を備えた基体2に、入子3を嵌め合わせて互いを接合,溶接,又は接着等し、複数枚(図では2枚)の供給板4,5を互いに積層して入子3に接合,又は接着等することで一体化して構成されている。
【0012】
図2に示すように、基体2は、金型1を用いた成形時に十分な強度を保てるように熱間強度が高い熱間工具鋼(例えばSKD61(JIS規格に準拠))から形成されている。基体2は、図1に示すように、左右方向に延びた四角ブロック状の本体21aの型面に膨出部21bを設けた外形を有している。膨出部21bは、本体21aの上面の前後方向の中央部を上方に向けて四角棒状に膨出させた外形を有しており、左右方向に延びている。
【0013】
本体21aの上面には、突出部22A,22Bが備えられている。突出部22Aは、前後の幅を上端にかけて徐々に縮幅させた台形の平板状の外形を有している。突出部22Bは、突出部22Aと同様の外形を有した突部22B1,22B2を向き合わせて左右に並べて配置し、突部22B1,22B2の下端部同士を連結した外形を有している。
【0014】
本体21aの下面には、入子3が嵌合する嵌合穴23が開口している。嵌合穴23は、突出部22A及び突部22B1,22B2の形成位置における本体21aの下面から突出部22A及び突部22B1,22B2の上端部にかけてそれぞれ延びている。
【0015】
嵌合穴23は、本体21aの下面から上方に向けて四角ブロック状に延びた被嵌合部23aと、被嵌合部23aから突出部22A又は突部22B1,22B2の上端部まで被嵌合部23aの前後及び左右の幅を縮幅させて平板状に延びた流路形成部23bとを備えている。流路形成部23bは、本体21aの上端部まで矩形の平板状を呈して上方に延びた後、前後の幅を徐々に縮幅させる台形の平板状を呈して突出部22Aの上端部にまで延びている。
【0016】
嵌合穴23の流路形成部23bには、前側面から上面を通って後側面にまで延びた溝24が設けられている。溝24は、半円形,V溝形,又はU溝形の断面形状を有しており、前後の側面に延びた下端部が、被嵌合部23aに連通している。
【0017】
図3に示すように、入子3は、四角ブロック状の嵌合部31と、嵌合部31の上端部から平板状を呈して上方に延びた本体32とを備えている。本体32は、下端から上方に向けて矩形の平板状を呈して延びた後、前後の幅を徐々に縮幅させて台形の平板状を呈して上端まで延びている。入子3は、金型1を用いた成形時に十分な強度を保ち撓み難いように、熱間強度及び軟化抵抗が高い高速度鋼(例えばマトリックス系ハイス)で形成されている。
【0018】
本体32には、前側面から上面を通って後側面にまで延びた溝32aが設けられている。溝32aは、半円形,V溝形,又はU溝形の断面形状を有しており、前後の側面に延びた下端部が、嵌合部31に形成された貫通孔31aに連通している。貫通孔31aは、嵌合部31の前後の端部に設けられており、円形の開口形状を有して嵌合部31を上下に貫通している。
【0019】
図1に示すように、入子3は、基体2の嵌合穴23内にその上端側から挿入されて、嵌合穴23に嵌め合わされている。入子3は、嵌合部31を嵌合穴23の被嵌合部23aに嵌め合わされて本体32の外面を流路形成部23bの内面に密着させ、嵌合部31の外周縁を被嵌合部23aの内周縁に例えば接合又は接着等することで、着脱できるように基体2と一体化されている。
【0020】
図4は、金型の基体と入子との間に形成された流通媒体の流路を示す図であり、(a)は図1のA−A矢視断面図,(b)は前側の供給路までの流路に沿ったB−B線での断面図である。
【0021】
図4に示すように、嵌合穴23の流路形成部23bと入子3の本体32とが内面と外面とを密着させることで、流路形成部23bの溝24と入子3の溝32aとで冷却水の通水路Tが形成されている。この通水路Tは、突出部22A及び突部22B1,22B2の内部では突出部22A及び突部22B1,22B2の前後の側面及び上面との間の間隔を均一に保ち、入子3の本体32の前側面から上面を通って後側面にまで延びている。
【0022】
図5,6に示すように、供給板4,5は、基体2が備える本体21aと同じ前後の幅を有して左右に延びた矩形の平板体から形成されている。図5に示すように、供給板4は、平板4A,4Bを上下に積層して互いを接合,溶接,又は接着等して一体化することで構成されている。平板4Aの下面,平板4Bの上面には、半円形,V溝形,又はU溝形の断面形状を有した溝4A1,4B1が設けられている。溝4A1,4B1は、平板4A,4Bの前後の端部の互いに対向する位置に延びており、互いが組み合わされることで供給路Kを構成している。
【0023】
平板4Aが備える溝4A1には、供給路Kと同じ断面形状を有して平板4Aを上面にまで貫通した連通孔4A2が形成されている。連通孔4A2は、入子3が嵌合部31に備える貫通孔31aに接続されて、嵌合部31の貫通孔31aに供給路Kを連通させる。
【0024】
また、平板4A,4Bの互いに対向する位置には、供給路Kと同じ断面形状を有して上下に延びた連絡孔4A3,4B3が形成されている。連絡孔4A3,4B3は、平板4A,4Bを上下方向に貫通しており、互いが組み合わされることで供給板4を上下に貫通する連絡路Rを構成している。連絡路Rは、入子3が嵌合部31に備える貫通孔31aに接続されて、供給板4の下端側と貫通孔31aとを連通させる。
【0025】
図6に示すように、供給板5は、平板5A,5Bを上下に積層して互いを接合,溶接,又は接着等して一体化することで構成されている。平板5Aの下面,平板5Bの上面には、半円形,V溝形,又はU溝形の断面形状を有した溝5A1,5B1が設けられている。溝5A1,5B1は、平板5A,5Bの前後の端部の互いに対向する位置に延びており、互いが組み合わされることで供給路Kを構成している。
【0026】
平板5Aが備える溝5A1の一端部には、供給路Kと同じ断面形状を有して平板5Aを上面にまで貫通した連通孔5A2が形成されている。連通孔5A2は、供給板4の連絡路Rに接続されて、連絡路Rを介して嵌合部31の貫通孔31aと連通する。
【0027】
図1に示すように、供給板4,5は、供給板4を上側にして重ね合わされて、例えば接合又は接着等することで、着脱できるように互いが一体化されている。また、供給板4は、上面を例えば接合又は接着等することで、着脱できるように入子3と一体化されている。図4に示すように、供給板4の供給路Kは、入子3が嵌合部31に備える貫通孔31aに連通孔4A2を介して接続され、貫通孔31aと連通している。供給板5の供給路Kは、連通孔5A2を介して供給板4の連絡路Rに接続され、入子3が嵌合部31に備える貫通孔31aに連通している。
【0028】
基体2の溝24と入子3の溝32aとで形成された通水路Tには、供給板4,5の前側の供給路Kから流通媒体が供給される。供給板4の供給路Kからは、連通孔4A2及び嵌合部31の貫通孔31aを介して通水路Tに流通媒体が供給される。供給板5の供給路Kからは、連通孔5A2を介して供給板4の連絡路Rを通った流通媒体が、供給板4の連通孔4A2及び嵌合部31の貫通孔31aを介して通水路Tに供給される。
【0029】
このようにして通水路Tに供給された流通媒体は、流路形成部23bの溝24と入子3の溝32aとの間を、入子3の本体32の前側面から上面を通って後側面にかけて流通した後、供給板4,5の後側の供給路Kを通して金型1から排出される。供給板4の供給路Kへは、嵌合部31の貫通孔31aから連通孔4A2を通して流通媒体が流入される。供給板5の供給路Kへは、嵌合部31の貫通孔31aを介して供給板4の連絡路Rを通った流通媒体が、連通孔5A2を介して流入される。
【0030】
金型1は、基体2の型面と相手側の金型(不図示)の型面とでキャビティを形成し、キャビティ内に流れ込んだ溶湯が型面に沿った外形に成形される。金型1での成形時には、キャビティ内で金型1の周囲に溶湯が流れ込んで基体2が加熱されるが、流通媒体として通水路T内を流れる冷却水で基体2の全体が均一に冷却される。通水路T内での冷却水の流量は、基体2の表面温度が450℃以下に維持されるよう調整される。
【0031】
本実施形態によれば、基体2に嵌め合わされた入子3と基体2との間に形成された間隙で通水路Tを形成することから、基体2と入子3との嵌合面の面形状を定めることで、成形品の冷却又は加熱に適した様々な形状の通水路Tを、金型1を用いた成形条件に応じて形成することができる。しかも、通水路Tに流通媒体を供給する供給路Kを供給板4,5に設け、入子3側に位置した供給板4の連絡路Rを通して供給板5の供給路Kを通水路Tに連通させることから、通水路Tの配置に応じて積層する供給板4,5を組み変えることで、通水路Tに対する流通媒体の供給路を形成することができる。従って、成形品の冷却又は加熱に適した様々な形状の通水路Tに対する流通媒体の供給路Kを、供給板を組み変えることで簡単に構成することができる。
【0032】
また、加熱や冷却等の目的に応じた供給路Kを供給板4,5毎に形成することで、成形条件に応じたきめ細かな冷却及び加熱を行うことが可能となる。
【0033】
例えば、上記実施形態では、突出部22A及び突部22B1と入子3との間に形成された2本の通水路Tに接続される供給路Kを供給板4が備えていたが、突出部22Aと入子3との間の通水路Tに接続される供給路Kを供給板4が備え、突部22B1と入子3との間の通水路Tに接続される供給路Kを、別途備えた供給板に設ける構成としてもよい。また、加熱用の通水路Tと冷却用の通水路Tとを各入子3と基体2との間に設ける場合には、供給板4,5が備える供給路Kを冷却用の通水路Tに接続して、加熱用の通水路Tに接続される供給路Kを、別途備えた供給板に設ける構成としてもよい。
【0034】
これらの場合、別途備えた供給板は、供給板4の上側、供給板4と供給板5との間、又は供給板5の下側に配置して、供給板4,5と積層することができる。別途備えた供給板の供給路Kは、入子3側に配置された供給板が備える連絡路Rを通して、入子3が備える貫通孔31aに連通される。また、各入子3と基体2との間に設けられた加熱用の通水路T及び冷却用の通水路Tのうち、冷却用の流通路のみを用いる場合には、冷却用の通水路Tに接続される供給路Kを備えた供給板4,5のみを設ける構成とすることができる。
【0035】
また、図2に示す基体2の突出部22Bが突部22B2を備えない場合、突部22B2の内側の通水路Tを用いない場合、突部22B2の内側の嵌合穴23に入子3を嵌め合わせない場合には、供給板4のみを入子3に接合して金型1を形成することができる。
【0036】
また、複数の入子3同士を接合して基体2に嵌め合わせる構成としてもよい。この構成によれば、各入子3に形成された通水路Tを組み合わせることで、1つの入子3を用いたのでは形成するのが困難な複雑な形状の通水路Tも形成することが可能となり、成形条件に応じたきめ細かな冷却及び加熱を行うことが可能となる。
【0037】
また、本実施形態によれば、基体2に対する入子3の嵌合面の形状を定めることで、基体2と入子3との間に様々な形状の通水路Tを設けられることから、基体2の肉厚を均一にしながら、成形品の冷却又は加熱に適した通水路Tを設けることが可能となる。このため、基体2の肉厚を均一にして、成形時に生じる温度変化で基体にかかる負荷を抑えることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、成形品の成形精度を高めるのに好ましい熱間工具鋼で基体2を形成しつつ、突出部22A,22Bの強度を入子3で保てることから、突出部22A,22Bの撓みを抑えて成形品の成形精度を高め、また、突出部22A,22Bの強度を高めて突出部22A,22Bに破損が生じるのを防止できる。
【0039】
上記実施形態では、基体2の嵌合穴23に形成された溝23aと、入子3の本体32に形成された溝32aとで通水路Tが形成されている場合について説明した。しかしながら、基体2の嵌合穴23には溝24を設けずに、入子3の本体32に形成された溝32aと嵌合穴23の内面とで通水路Tが形成される構成としてもよい。また、基体2及び入子3の面形状で基体2と入子3との間に通水路Tを形成できるのであれば、基体2及び入子3に溝24,32aを設けない構成としてもよい。
【0040】
また、基体2の嵌合穴23と入子3の本体32との間に形成される通水路Tの配置態様は任意であり、金型1を用いた成形条件に応じた様々な態様で嵌合穴23と本体32との間に通水路Tを配置させることができ、例えば、上述のように加熱用の通水路Tと冷却用の通水路Tを設ける等するために、入子3の本体32に複数の溝を設けてもよい。また、突出部22A,22Bの形状も、金型1を用いた成形品の形状に応じて任意に定めることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、突出部22A及び突部22B1,22B2の肉厚が均一に形成されている場合について説明したが、金型1を用いた成形条件や入子3への溝32aの形成条件等に応じて、突出部22A及び突部22B1,22B2に肉厚の違う部分を設けてもよい。また、貫通孔31a,供給路K,連絡路Rの開口形状は任意であり、例えば、溝24と溝32aとを組み合わせて構成される通水路Tの開口形状と同じ形状とすることができる。
【0042】
また、金型1を用いた成形時に十分な強度を保ち撓みが生じるのを抑えられるよう、熱間強度及び軟化抵抗の高い高速度鋼(例えばマトリックス系ハイス(JIS規格に準拠)で入子3を形成するのが好ましいが、熱間強度が高いのであれば、他の熱間工具鋼(例えばSKD61(JIS規格に準拠))や高速度鋼(例えばマトリックス系ハイス(JIS規格に準拠))やマルエージング鋼(JIS規格に準拠)で入子3を形成することもできる。
【0043】
また、図7〜9に示すように、通水路T内にパイプ6〜8を配置して、パイプ6〜8内に流通媒体を流通させても良い。図7に示すパイプ6は、基体2が備えた流路形成部23bの溝24と、入子3の溝32aとで形成される通水路T内に配置される。パイプ6の両端部61は、嵌合部31の貫通孔31a内に嵌め込まれる。
【0044】
図8に示すパイプ7は、平板4Aの溝4A1と平板4Bの溝4B1とで形成される供給路K内に配置され、平板4Aの連通孔4A2内に分岐部71を進入させる。分岐部71は、貫通孔31aの下端まで延びたパイプ6の両端部61と端面同士を突き合わせて接続される。また、パイプ8は、平板4A,4Bの連絡孔4A3,4B3で形成される連絡路R内に配置される。パイプ8は、貫通孔31aの下端まで延びたパイプ6の両端部61と端面同士を突き合わせて接続される。
【0045】
図9に示すパイプ9は、平板5Aの溝5A1と平板5Bの溝5B1とで形成される供給路K内に配置され、平板5Aの連通孔5A2内に分岐部91を進入させる。分岐部91は、連絡路Rの下端まで延びたパイプ8と端面同士を突き合わせて接続される。
【0046】
この構成によれば、基体2と入子3との接合面,入子3と平板4Aとの接合面,平板4Aと平板4Bとの接合面に生じた隙間に、通水路T,供給路K,連絡路Rから流通媒体が流れ出すのを防止できる。
【0047】
また、金型1を型面を備えた複数の部分に分割し、各部分同士の接合面に通水路Tを形成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 金型
2 基体
21a 本体
21b 膨出部
22A,22B 突出部
22B1,22B2 突部
23 嵌合穴
23a 被嵌合部
23b 流路形成部
24 溝
3 入子
31 嵌合部
31a 溝
32 本体
32a 貫通孔
4,5 供給板
4A,4B 平板
4A1,4B1 溝
4A2 連通孔
4A3,4B3 連絡孔
5A,5B 平板
5A1,5B1 溝
5A2 連通孔
R 連絡路
K 給水路
T 通水路
6〜9 パイプ
61 端部
71,91 分岐部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型面を備えた基体と、
該基体に嵌め合わされて前記基体との間に送水路を形成する入子と、
前記送水路を流通する流通媒体を前記送水路に供給する供給路を備えて前記入子と一体化された供給板とを備えていることを特徴とする金型。
【請求項2】
互いに積層された複数枚の前記供給板を備え、
各前記供給板が備える供給路は、前記入子側に位置する前記供給板が備えた連通路を通して前記送水路に連通していることを特徴とする請求項1に記載の金型。
【請求項3】
複数の前記入子同士が接合されて前記基体に嵌め合わされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型。
【請求項4】
前記基体は熱間工具鋼で形成され、
前記入子は高速度鋼で形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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