説明

金属の画像化二重層を有する印刷部材を用いたリソグラフィック画像化

【課題】従来型の層よりも薄く、より吸収性が高い層を獲得しながら、隣接層に対する適切な粘着性を維持する印刷部材を提供すること。
【解決手段】印刷部材であって、a)ポリマー基板と、b)該基板の上に配置された第1および第2の放射応答層であって、各放射応答層は、近IR放射のためのその光学侵入深さ未満の厚さを有しており、該第1の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも3の消散係数を有する金属から本質的に構成され、(ii)該第2の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも30%の透過率を有する金属から本質的に構成される、第1および第2の放射応答層と、c)該第1および第2の放射応答層の上に配置された最上位層であって、該最上位層および該基板は、インクまたはインクが粘着しない液体のうちの少なくとも1つに対して反対の親和力を有する、最上位層とを含む、印刷部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
オフセットリソグラフィにおいて、印刷可能画像は、インク受容(親油性)およびインク拒絶(撥油性)の表面領域のパターンとして、印刷部材上に存在する。インクは、一旦これらの領域に適用されると、かなりの忠実度で画像ごとのパターンにおいて記録媒体に効率的に転送される。湿潤リソグラフィシステムにおいて、非画像領域は親水性であり、インク適用前にプレートに対する湿潤液(dampening fluid)の初期適用により、必要とされるインク反発性が提供される。湿潤液は、インクが非画像領域に粘着することを防ぐが、画像領域の親油性に影響を与えない。湿らされた印刷部材に均一に適用されたインクは、画像ごとのパターンのみにおいて記録媒体に転送される。典型的に、印刷部材は、まずブランケットシリンダーと呼ばれるコンプライアンスを有する中間表面と接触し、そして、画像を紙またはその他の記録媒体上に適用する。典型的な給紙プレスシステムにおいて、記録媒体は、インプレッションシリンダーに留めつけられ、インプレッションシリンダーは、ブランケットシリンダーと接触する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な印刷技術においては典型的であった煩わしい写真現像、プレート搭載、プレート整列動作を回避するために、専門家は、画像ごとのパターンをデジタル形式で格納し、かつ、そのパターンをプレート上に直接的に押し付ける電子的代替物を開発した。プレート画像化デバイスは、コンピュータ制御を受け、様々な形態のレーザを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現行のレーザベースのリソグラフィシステムは、概して、画像を形成するために、リソグラフィプレートからのエネルギー吸収層の除去に依存する。例えば、レーザ放射に対する曝露は、その除去を促進するために、アブレート層のアブレーション(すなわち、カタストロフィックな加熱)を引き起こし得る。したがって、レーザパルスは、十分なエネルギーを吸収層に転送し、一方は画像化速度およびレーザ出力と、他方は層の厚さおよび放射吸収との間での、トレードオフを引き起こす。低レーザ出力レベルと高画像化速度とが、商業的用途に望ましい。しかしながら、これらのパラメータが強調されるほど、画像化層は、より薄くより吸収性が高くなければならない。画像化層はまた、隣接層に対して適切な粘着性を示さなければならない。従来型の画像化層は、画像化速度における達成可能な増加およびレーザ出力要求の達成可能な低減を制限する厚さで適用される。従来型の層よりも薄く、より吸収性が高い層を獲得しつつも、隣接層に対する適切な粘着性を維持することは、困難な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、非常に薄い画像化二重層を含む印刷部材を含む。概して、二重層は、画像化波長範囲(例えば、600〜1200nm)において高い消散係数を有する第1(最下位)の金属層と、その上にある、画像化放射に対する高い透過率と低い放射率とを有する第2の金属層とを含み得る。これらの層は、画像化放射を捕捉し、利用するために組み合わされる。なぜならば、それらの最小の厚さは、容易にアブレートするからである。超薄層を利用する能力は、それぞれが実行する相補的機能に由来し、超薄層を利用すると、結果として、二重層に対して、変換率が高くなるのみならず、材料コストが低くなる。
【0005】
したがって、第1の局面において、本発明は、印刷部材に関し、該印刷部材は、ポリマー基板と、基板の上に配置された第1および第2の放射応答層とを含み、該第1および第2の放射応答層は、各放射応答層は、近IR放射のためのその光学侵入深さ未満の厚さを有する。様々な実施形態において、第1の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも3の消散係数を有する金属から主に構成され、第2の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも30%の透過率を有する金属から本質的に構成される。「本質的に構成される」との言い回しは、層におけるアクティブなコンポーネントが金属または金属の混合物であることを意味するが、処理によって(例えば、10〜25%の)不純物または金属酸化物が層の中に導入され得ることが理解されるべきである。それでもなお、そのような層は、金属または金属の混合物から「本質的に構成される」といわれる。
【0006】
最上位層は、第1および第2の放射応答層の上に配置される。最上位層および基板は、インクまたはインクが粘着しない液体のうちの少なくとも一つに対して反対の親和力を有する。
【0007】
様々な実施形態において、第2の放射応答層は、第1の放射応答層を覆う。両方の放射応答層は、望ましくは、1100℃未満の融点を有し、第2の放射応答層は、好ましくは、500℃未満の融点を有する。基板は画像化放射を散乱し得るが、第2の放射応答層は、画像化放射を反射するように選択され得る。様々な実施形態において、第1の放射応答層は、アルミニウム、銅、銀または金のうちの少なくとも1つから本質的に構成され、第2の放射応答層は、スズ、亜鉛、インジウムまたはガリウムのうちの少なくとも1つから本質的に構成され得る。第1の放射応答層は、8〜16nm(例えば、12nm)の厚さを有し得、第2の放射応答層は、4〜8nm(例えば、5nm)の厚さを有し得る。第1および第2の放射応答層は、12〜24nmの組み合わせの厚さを有し得る。
【0008】
一部の実施形態において、基板は、ポリエステルであり、最上位層は、ポリマーであって親油性である。例えば、基板は、ポリエステルであり得、最上位層は、シリコーンであり得る。その他の実施形態において、基板は、親油性であり得、最上位層は、ポリマーであって親水性であり得る。例えば、基板は、ポリエステルであり得、最上位層は、ポリビニルアルコールであり得る。
【0009】
別の局面において、本発明は、印刷部材を画像化する方法に関する。様々な実施形態において、印刷部材は、ポリマー基板と、該基板の上に配置された第1および第2の放射応答層とを含み、各放射応答層は、画像化放射のためのその光学侵入深さ未満の厚さを有している。様々な実施形態において、第1の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも3の消散係数を有し、第2の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも30%の透過率を有する。第1および第2の放射応答層の上に最上位層が配置され、最上位層および基板は、インクまたはインクが粘着しない液体のうちの少なくとも1つに対して反対の親和力を有する。
【0010】
方法は、画像ごとのパターンで印刷部材を画像化放射に曝露することを含む。画像化放射は、曝露される場所の画像化層によって吸収される。そして、印刷部材が画像化放射を受ける場所の第1の層が除去され、印刷部材上に画像ごとのパターンを形成する。
【0011】
本明細書中で用いられるとき、用語「プレート」または「部材」は、インクおよび/またはファウンテン溶液に対して異なる親和性を示す領域によって確定される画像を記録することが可能な任意のタイプの印刷部材または表面を意味することが強調されるべきである。適切な構成は、印刷プレスのプレートシリンダー上に搭載される伝統的な平面状または湾曲したリソグラフィプレートを含むが、シームレスシリンダー(例えば、プレートシリンダーのロール表面)、エンドレスベルト、またはその他の構成を含み得る。
【0012】
さらに、用語「親水性」は、印刷の意味で用いられ、インクが表面に接着することを防ぐ液体に対する表面親水性を含む。そのような液体は、従来型のインクシステムに対する水、水性または非水性の湿潤液、単一流体インクシステムの非インク相を含む。したがって、本明細書に従う親水性の表面は、オイルベースの材料に対してこれらの材料のうちの任意のものに対して好ましい親水性を示す。
【0013】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
印刷部材であって、
a)ポリマー基板と、
b)該基板の上に配置された第1および第2の放射応答層であって、各放射応答層は、近IR放射のためのその光学侵入深さ未満の厚さを有しており、該第1の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも3の消散係数を有する金属から本質的に構成され、(ii)該第2の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも30%の透過率を有する金属から本質的に構成される、第1および第2の放射応答層と、
c)該第1および第2の放射応答層の上に配置された最上位層であって、該最上位層および該基板は、インクまたはインクが粘着しない液体のうちの少なくとも1つに対して反対の親和力を有する、最上位層と
を含む、印刷部材。
(項目2)
上記第2の放射応答層は、上記第1の放射応答層を覆う、上記項目に記載の印刷部材。
(項目3)
上記第1および第2の放射応答層は、1100℃未満の融点を有する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目4)
上記第2の放射応答層は、500℃未満の融点を有する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目5)
上記基板は、画像化放射を散乱させ、上記第2の放射応答層は、画像化放射を反射する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目6)
上記第1の放射応答層は、アルミニウム、銅、銀または金のうちの少なくとも1つから本質的に構成される、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目7)
上記第2の放射応答層は、スズ、亜鉛、インジウムまたはガリウムのうちの少なくとも1つから本質的に構成される、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目8)
上記第1の放射応答層は、8〜16nmの範囲の厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目9)
上記第1の放射応答層は、12nmの厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目10)
上記第2の放射応答層は、4〜8nmの範囲の厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目11)
上記第2の放射応答層は、5nmの厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目12)
上記第1および第2の放射応答層は、12〜24nmの組み合わせの厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目13)
上記基板は、親油性であり、上記最上位層は、ポリマーであり、かつ親油性である、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目14)
上記基板は、ポリエステルであり、上記最上位層は、シリコーンである、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目15)
上記基板は、親油性であり、上記最上位層は、ポリマーであり、かつ親水性である、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目16)
上記基板は、ポリエステルであり、上記最上位層は、ポリビニルアルコールである、上記項目のいずれかに記載の印刷部材。
(項目17)
印刷部材を画像化する方法であって、該方法は、
(a)印刷部材を提供するステップであって、該印刷部材は、
(i)ポリマー基板と、
(ii)該基板の上に配置された第1および第2の放射応答層であって、各放射応答層は、近IR放射のためのその光学侵入深さ未満の厚さを有しており、該第1の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも3の消散係数を有する金属から本質的に構成され、(ii)該第2の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも30%の透過率を有する金属から本質的に構成される、第1および第2の放射応答層と、
(iii)第1および第2の画像化層の上に配置された最上位層であって、該最上位層および該基板は、インクまたはインクが粘着しない液体のうちの少なくとも1つに対して反対の親和力を有する、最上位層と
を含む、ステップと、
(b)画像ごとのパターンで該印刷部材を該画像化放射に曝露するステップであって、該画像化放射は、曝露される該画像化層によって吸収される、ステップと、
(c)該印刷部材が画像化放射を受ける該第1の層を除去し、それにより、該印刷部材上に画像ごとのパターンを形成するステップと
を含む、方法。
(項目18)
上記第2の放射応答層は、上記第1の画像化層を覆う、上記項目に記載の方法。
(項目19)
上記第1および第2の放射応答層は、1100℃未満の融点を有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
上記第2の放射応答層は、500℃未満の融点を有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目21)
上記基板は、画像化放射を散乱させ、上記第2の放射応答層は、画像化放射を反射する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目22)
上記第1の放射応答層は、アルミニウム、銅、銀または金のうちの少なくとも1つから本質的に構成される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目23)
上記第2の放射応答層は、スズ、亜鉛、インジウムまたはガリウムのうちの少なくとも1つから本質的に構成される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目24)
上記第1の放射応答層は、8〜16nmの範囲の厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目25)
上記第1の放射応答層は、12nmの厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目26)
上記第2の放射応答層は、4〜8nmの範囲の厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目27)
上記第2の放射応答層は、5nmの厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目28)
上記第1および第2の放射応答層は、12〜24nmの組み合わせの厚さを有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目29)
上記基板は、親油性であり、上記最上位層は、ポリマーであり、かつ親油性である、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目30)
上記基板は、ポリエステルであり、上記最上位層は、シリコーンである、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目31)
上記基板は、親油性であり、上記最上位層は、ポリマーであり、かつ親水性である、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目32)
上記基板は、ポリエステルであり、上記最上位層は、ポリビニルアルコールである、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0014】
(摘要)
印刷部材は、非常に薄い金属の画像化二重層を含み、該二重層は、画像化放射捕捉し、利用するために組み合わされる。なぜならば、それらの最小の厚さは、容易にアブレートするからである。二重層は、画像化波長範囲(例えば、600〜1200nm)において高い消散係数を有する第1(最下位)の金属層と、画像化放射に対して高い透過率と低い放射率とを有する、第1の金属層の上の第2の金属層とを含み得る。
【0015】
図面において、類似の参照文字は、概して、異なる図面を通して同一の部分を参照する。同様に、図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、その代わりに本発明の原理を例示する際に強調がなされている。以下の説明において、本発明の様々な実施形態が以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に従う、ネガティブワーキング印刷部材の拡大断面図である。
【図2】図2は、本発明に従う、単一層の総反射スペクトル(200nm〜2000nmの範囲)を二重層構造とグラフにより比較している。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、図1に示された印刷部材を画像化する効果を図示している。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、図1に示された印刷部材を画像化する効果を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
(1.画像化装置)
本印刷部材と関連して使用することに適した画像化装置は、少なくとも1つのレーザデバイスを含み、該レーザデバイスは、最大プレート応答性の領域内で放射する、すなわち、そのλmaxは、プレート吸収がもっとも強くなる波長領域を非常に良く近似する。近赤外線(IR)領域において放射するレーザの仕様は、米国特許第Re.35,512(「’512特許」)および米国特許第5,385,092号(「’092特許」)に完全に開示され、これらの特許の全開示が本明細書において参照により援用される。電磁スペクトルの他の領域で放射するレーザは当業者に周知である。
【0018】
適切な画像化構成も、また、「’512特許)および「’092特許」において詳細に述べられている。簡単に言うと、レーザ出力は、レンズまたは他のビームガイドコンポーネントを介してプレート表面に直接提供され得るか、あるいは光ファイバケーブルを用いて離れた位置のレーザからブランク印刷プレートの表面まで伝達され得る。コントローラおよび関連する位置決定ハードウェアは、プレート表面に対して正確な配向でビーム出力を維持し、表面上で出力をスキャンし、そして、プレートの選択された点または領域に隣接する位置においてレーザを作動させる。コントローラは、オリジナルの正確なネガティブ画像またはポジティブ画像を生成するために、プレート上にコピーされたオリジナル書類またはピクチャに対応する入り画像信号に応答する。画像信号は、コンピュータ上にビットマップデータファイルとして格納される。このようなファイルは、ラスタ画像プロセッサ(「RIP」)または他の適切な手段によって生成され得る。例えば、RIPは、ページ記述言語の入力データを受け取り得、この入力データが、印刷プレート上に転送されることを必要とする特徴の全てを定義するか、またはページ記述言語および1つ以上の画像データファイルの組み合わせとして受け取り得る。ビットマップは、色の色相ならびにスクリーン周波数および角度を定義するように構成される。
【0019】
他の画像化システム(例えば、光弁および類似の装置を含む画像化システム)が採用され得る。米国特許第4,577,932号、同第5,517,359号、同第5,802,034号、同第5,861,992号を参照されたい。これらの特許の全開示は本明細書により参照により援用される。さらに、その画像スポットは、隣接する様式で、または重なる様式で適用され得る。
【0020】
画像化装置は、単独で動作し得、単に製版機として機能するか、またはリソグラフィック印刷機に直接組み込まれ得る。後者の場合には、印刷は、画像のブランクプレートへの適用後すぐに開始し得ることにより、かなりプレスセットアップ時間を低減する。画像化装置は、平床式レコーダとして、またはドラムの内部もしくは外部円筒表面に据え付けられたブランクのリソグラフィックプレートを有するドラムレコーダとして構成され得る。明らかに、外部ドラム設計は、その場で、すなわち、リソグラフィックプレス上で使用することにより適しており、この場合には、プリントシリンダ自体が、レコーダまたはプロッタのドラムコンポーネントを構成する。
【0021】
ドラム構成において、レーザビームとプレートとの間の必要な相対運動は、ドラムの周りでドラム(およびドラム上に据え付けられたプレート)を回転させ、ビームを回転軸に平行に移動させることにより、画像が軸方向に「成長」するように、プレートを円周方向にスキャンすることによって達成される。あるいは、ビームは、ドラム軸に平行に移動し得、プレートを横切るように各パスの後に、角度的に増分させ、その結果、プレート上の画像が円周方向に「成長」する。どちらの場合においても、ビームによる完全なスキャンの後、オリジナルの書類またはピクチャに(ポジティブにまたはネガティブに)対応する画像が、プレートの表面に適用されるだろう。
【0022】
平床式構成において、ビームは、プレートのいずれかの軸を横切るように引き出され、各パスの後でもう一方の軸に沿って割り出しされる(indexed)。当然、ビームとプレートとの間の必要な相対運動は、ビームの移動ではなく(またはビームの移動に加えて)、プレートの移動により生成され得る。有用な画像化デバイスの例は、約830nmの波長で近IR放射を行うレーザダイオードを利用するTRENDSETTERイメージセッタ(Eastman Kodak Companyから入手可能)のモデルを含む。他の適切な露光ユニットは、CRESCENT 42T Platesetter(1064nmの波長で動作する、イリノイ州シカゴのGerber Scientificから入手可能)およびSCREEN PLATERITE 4300シリーズまたは8600シリーズのプレートセッター(イリノイ州シカゴのScreenから入手可能)を含む。
【0023】
ビームがスキャンされる態様にかかわらず、オンプレス用途のアレイタイプシステムにおいて、複数のレーザを用いることと、複数のレーザの出力を単一のライティングアレイにガイドすることとが一般的に好適である。次いで、プレートを横切るか、またはプレートに沿った各パスの完了後、ライティングアレイは、アレイから出て行くビームの数によって、そして所望の解像度(すなわち単位長さあたりの像点の数)によって決定される距離を割り出しされる。(例えば、高速モータ、ミラーなどの使用による)非常に高速のスキャンに適応し、それにより高レーザパルスレートを利用する、オフプレス用途は、しばしば、画像化ソースとして単一のレーザを利用し得る。
【0024】
(2.リソグラフィック印刷部材)
図1は、本発明に従う、ネガティブワーキング印刷部材100を示し、ネガティブワーキング印刷部材100は、基板102と、二重層105(本質的に一対の放射応答層105aおよび105bを含むか、それらから構成される)と、最上位層110とを含む。層105aおよび105bは、以下で議論するように、画像化(一般的にはIR)放射に対する感度が高く、(IR放射への露光による)印刷部材100の画像化は、層105aおよび105bの消耗をもたらす。結果生じる最上位層110の固着解除(de−anchoring)は、摩擦、または単に印刷の「準備を行う」プロセスの間の接触の結果として、最上位層110の除去を促進する。基板102(またはその上の層)は、最上位層110のリソグラフィック親和力とは反対のリソグラフィック親和力を示す。結果として、下にある層または基板102を曝露する、層105aおよび105bの消耗およびそれに続く最上位層110の画像ごとの(imagewise)除去は、リソグラフィック画像を結果としてもたらす。
【0025】
本発明において用いられるフィルムの大部分は連続的である。本明細書において使用される場合、用語「連続的」は、下にある表面が、堆積材料の均一な層で完全に被覆されることを意味している。しかしながら、様々な実施形態において、金属の二重層の最上位層(図1の層105b)は非連続的であり、下にある金属層の表面を完全には被覆しない粗い金属粒子の形態をとる。
【0026】
これらの層およびそれらの機能の各々が以下で詳細に説明される。
【0027】
(a.基板102)
基板は、印刷部材に対して寸法的に安定な機械的支持を提供する。基板は、強力で、安定性があり、可撓性である。基板の1つ以上の表面(および、一部の場合にはバルクコンポーネント)は、親水性であり得る。しかしながら、最上位表面は、一般的に親油性である。適切な材料は、ポリマー、金属および紙を含む(しかし、これらに限定はされない)が、一般的に、(例えば、金属または紙のサポート上に適用された)ポリマー性インク受容層を有することが好ましい。本明細書で使用される場合、用語「基板」は、放射感度が高い層105aおよび105bの下のインク受容層をいうが、基板は、実際には、複数の層(例えば、金属サポートに対して層化された親油性フィルムまたは紙サポート上の親油性コーティング)を含み得る。
【0028】
基板102は、また、望ましくは、画像化放射に対して高い散乱を示す。このことは、散乱が二重層105への後方反射を引き起こし、その結果として熱効率を増大させるので、重なっている層を通って透過された放射の完全な利用を可能にする。
【0029】
本発明に従う、基板内での使用に適したポリマーは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラートおよびポリエチレンナフタラート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリルポリマー、ポリアミドポリマー、フェノールポリマー、ポリスルホン、ポリスチレンおよびアセチルセルロースを含むが、これらに限定されない。好適なポリマー基板は、ポリエチレンテレフタラートフィルム(例えば、ヴァージニア州HopewellのDuPont−Teijin Filmsから、MYLARおよびMELINEXという商標名で入手可能なポリエステルフィルム)である。同様に、例えば、MELINEX927W、928W、329、329S、331などのDuPont−Teijinの白色ポリエステル製品も適している。
【0030】
ポリマー性基板は、硬質ポリマー遷移層でコーティングされ得、基板の機械的強度および耐久性を改善し、そして/または基板の表面の親水性または親油性を変更する。例えば、紫外線または電子線硬化アクリルコーティングは、この目的のために適切である。ポリマー性基板は、特定の印刷部材の用途に依存して、約50μm〜約500μm以上の範囲の厚さを有し得る。ロールの形態での印刷部材に対して、約200μmの厚さが好適である。遷移層を含む印刷部材に対して、約50μm〜約100μmの厚さを有するポリマー基板が好適である。
【0031】
(b.二重層105)
二重層105は、画像化波長範囲(例えば、600nm〜1200nm)において高消散係数を有する第1の(最下位の)金属層105aと、その上に、画像化放射に対する高透過率および低放射率を有する第2の金属層105bとを含み得る。概して、層105aおよび105bは、超薄の半透明金属フィルムであり、物理蒸着方法(PVD)(例えば、マグネトロンスパッタリング堆積、熱蒸着またはレーザ蒸着)を用いて調整され得る。金属は、典型的に、低融点(<1100℃)、高熱膨張係数、高熱伝導度および互いに対する良好な接着性、ならびに好ましくは上の層および下の層に対する良好な接着性を示す。熱膨張係数は、少なくとも14´10−6/Kであり、(14−32)´10−6/Kの範囲であり得る。熱伝導度(20℃で測定)は、好適には、少なくとも40W/m・Kであり、40W/m・K〜430W/m・Kの範囲であり得る。
【0032】
様々な実施形態において、放射応答層105aおよび105bは、それぞれの光学侵入深さ未満の厚さ(例えば、15nm未満)を有する。最下位層105aは、一般的に、画像化放射の主要アブソーバであり、それゆえ、関心のある波長帯域(典型的には600〜1200nm)において、高消散係数を有する。特定の物質に対する消散係数kは、特定の物質が所与の波長の放射をどの程度散乱させ、吸収するかの測定値である。低消散係数(k<1)は、放射が容易に通過し得ることを意味するが、非常に高い消散係数は、放射が材料をほとんど透過せず、層内で「消散状態」になることを意味する。一般的に、層105aは、波長範囲600〜1200nmにわたり少なくとも3の消散係数を有する(すなわち、k≧3)。
【0033】
層105aに対する好適なIR吸収金属は、アルミニウム、銅、銀または金およびそれらの混合物または合金を含む。一実施形態は、超薄のアルミニウムフィルムを使用する。半透明性は、この層が近IR放射を吸収し得る量およびその熱効率を制限する。しかし、光学侵入深さよりも大きい厚さにおいて、全体が不透明な層は、非常に高い正(鏡面)反射を示す。層105aは、それゆえ、8〜16nmの範囲(例えば、12nm)の厚さを有し得る。
【0034】
熱効率は、第2の(典型的に上に重なる)放射応答層105bを用いて改善される。層105bは、600〜1200nmの波長範囲において少なくとも30%の透過率を示し、望ましくはこの範囲において低放射性を示す。高透過率は、層105aの表面における反射および層105bに侵入した放射の基板102による後方散乱に起因する画像化放射の損失を最小化する。放射応答層105bに対する好適な金属は、スズ、亜鉛、インジウムまたはガリウムならびにそれらの混合物および合金のうちの少なくとも1つを含む。層105bは、4nm〜8nmの範囲(例えば、5nm)の厚さを有し得、組み合わされた二重層105の厚さは、12nm〜24nmの範囲であり得る。
【0035】
図2は、本明細書に従う、単一層(SnおよびAl)と二重層Al/Sn構造との間での総反射スペクトル(200nm〜2000nmの範囲)の比較を示す。アルミニウム層の上にスズ層を追加することの効果は、波長範囲600nm〜1000nmにおける反射による放射損失の低減である。
【0036】
放射応答層105はともに望ましくは1100℃未満の融点を有するが、放射応答層105bは、好適には500℃未満の融点を有する。このことは、より高速の熱応答を確実にする。この点において、融解および気化の低エンタルピーは、同様に層105bに対する望ましい特徴である。さらに、基板102は望ましくは、画像化放射を散乱させるが、層105bは、画像化放射を反射するように選択され得る。再び、このことは、層105aにおける放射吸収を増加させることによって熱効率を向上させる。
【0037】
層105aおよび105bは、また、基板102への接着(層105aの場合)および最上位層110への接着(層105bの場合)のために選択され得る。例えば、スズおよびアルミニウム層は、単独で、そしてAl/Sn二重層構造105において、結合部位として作用し、最上位層110への接着を促進する表面のヒドロキシル基において豊富である。シリコーン上部層110において、シリコーン分子は2つのメカニズム(機械的インターロックおよび化学反応)を介して、層105bの表面に取り付き得る。化学反応は、金属−ポリマー界面において、シリル−エーテル結合、M−O−Si−の形成を介して長期の安定性を提供する。これらの金属層に基づくプレート部材は、結果として、高安定性および耐久性を示すことが予期される。
【0038】
(c.最上位層110)
最上位層は、印刷に関与し、基板102に対して必要なリソグラフィック親和力の差を提供する。さらに、最上位層は、また、空気−画像化層界面において、印刷部材の熱消散特徴を修正することによって、画像化処理を制御することを助け得る。ネガティブワーキング印刷部材は、最上位層110の上に配置された親水性保護層を含み得、空気への曝露に起因する汚染およびプレートハンドリングの間の損傷に対して画像化層の表面を保護する。最上位層は、画像化層に対して結合されたままであり、ファウンテン溶液の水成分と、リソグラフィック印刷部材の非画像表面として相互作用する。
【0039】
湿潤プレート実施形態において、最上位層110に対する適切な材料は、親水性ポリマー(例えば、ポリアルキルエーテル、ポリヒドロキシル化合物、およびポリカルボキシル酸またはオイル(oleo))を含む。例えば、親水性の最上位層は、完全に加水分解されたポリビニルアルコール(例えば、テキサス州ダラスのCelanese Chemicals,Ltd.によって販売されるCelvol 305、325および425)を含み得、これは通常、ポリ酢酸ビニルの加水分解によって製造される。完全に加水分解されたアルコールの使用は、残った加水分解されなかった酢酸が表面の親水性挙動に影響しないことを確実にするために好適である。最上位層に残ったポリ酢酸ビニル成分の存在は、印刷部材の非画像領域の印刷インクとの相互作用を促進し、このことは印刷品質を減少する。
【0040】
最上位層は、典型的には、当該分野で公知のコーティング技術(例えば、巻線ロッドコーティング、逆巻コーティング、グラビアコーティング、またはスロットダイコーティング)を用いて、0.05g/m〜2.5g/mで適用される。例えば、特定の実施形態において、最上位層は、巻線ロッドをもちいて、その後対流オーブン内で乾燥させることによって、適用される。様々な実施形態において、最上位層は、0.2g/m〜2.5g/m(例えば、1.0g/m〜2.0g/m)で適用される。一実施形態において、最上位層は、0.2g/m〜0.9g/mで適用され、処理なしの印刷部材を作成する。1.0g/m〜2.5g/mの適用は、より耐久性の高い印刷部材を作成するが、これらは、一般的に、プレス使用の前の水洗浄およびワイプなどの中程度処理を必要とする。
【0041】
最上位層は、また、上述のように、真空コーティング技術によって堆積された親水性プラズマポリマーフィルムを含み得る。このような最上位層は、また、極性官能基を用いてポリマーフィルムを生成するガス混合物の重合化によって適用され得る。例えば、最上位層は、反応性ガス混合物(例えば、酸素、二酸化炭素、窒素および/または炭化水素と混合された酸化窒素)のプラズマを用いるか、または酸素官能基を含有する炭化水素を用いることによって適用され得る。
【0042】
最上位層の耐久性は、好適には、無機架橋剤(例えば、アンモニウムジルコニウムカーボネート)の使用によって強化される。架橋の程度を高めること(結果として高水耐性)を確実にするために、高濃度(例えば、10%〜20%)の架橋剤が好ましい。適切な架橋剤は、英国マンチェスターのMEL Chemicalsによって販売されるBACOTE 20である。架橋された最上位層の露出した上部表面は、好適には、残渣無機架橋剤をわずかに含むか、全く含まず、その結果、最上位層は親水性を保つ。有機架橋剤(例えば、アルデヒド)ではなく、無機架橋剤を使用することは、画像化処理の間の熱分解に起因するVOC放射を減少させるか、または除去する。しかしながら、有機架橋剤が必要に応じて使用され得る。適切な架橋剤は、ジアルデヒド(例えば、ノースカロライナ州シャーロットのClariant Fine Chemicalsによって販売されるGLYOXAL製品)、メラミンホルムアルデヒド(Citekによって販売されるCYMEL 303製品)またはポリアミドエピクロロヒドリン(polyamide epiclhorohydrin)(例えば、Herculesによって販売されるPOLYCUP 172)を含む。GLYOXAL架橋剤は、特に好適であり、調合物内の固体の10%〜20%の濃度レベルにおける可溶性の許容可能な低減を提供する。
【0043】
架橋した最上位層は、水溶性でなく、結果として印刷実行の間に完全には除去されない。このようにして、最上位層は、印刷部材の機械的安定性に寄与し、高パーセンテージの金属を含むか、本質的に金属で構成される画像化層の使用を可能にする。通常、機械的安定性を最大化するために必要とされる、画像化層内の高セラミック内容物は結果として必要とされない。さらに、様々な実施形態において、機械的安定性に寄与するために存在する遷移層104は、印刷部材において必要とされない。対照的に、無機架橋剤を有しない既存の最上位層は、限定された耐水性を示し、セラミックの画像化層を組み込まない印刷部材における使用には適さない。
【0044】
好適な実施形態において、最上位層の耐久性および表面潤滑性は、界面活性剤を組み込むことにより改善される。親水性の最上位層110を特徴とする、ネガティブワーキングの実施形態において、界面活性剤は好適には、極性物質を有するシリコーン化合物(例えば、ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサン)である。高濃度(例えば、約5%〜約25%の最上位層の固体成分)界面活性剤は、使用中に十分な潤滑性を確実にするために、一般的に、最上位層の調合物に加えられる。特定の実施形態において、界面活性剤の濃度は、約10%である。高濃度の界面活性剤は、十分な量の界面活性剤が最上位層110の露出した表面に出て、極性成分は界面活性剤が層の親水性に逆効果を与えることを防ぐ。界面活性剤の濃度が十分に低い(例えば、約4%〜5%未満)である場合には、最上位層の露出した面における界面活性剤の分子は、水への浸漬および/または表面の機械的ワイピングによって、容易に除去され得る。
【0045】
ネガティブワーキング印刷部材に対して、適切な界面活性剤は、最上位層に表面潤滑性を与えることに加え、水との適合性がある。ポリエーテル鎖で修飾されたシリコーン界面活性剤に対して、水適合性は、界面活性剤分子のポリエーテル鎖に対する、高パーセンテージ(例えば、約55%〜約70%)の酸化エチレン(EO)基によって促進される。強化された表面潤滑性は、相対的に長いメチルシロキサン鎖の存在によって促進され、例えば、その結果、界面活性剤の総分子量は、約2,000g/mol〜約30,000g/molである。本発明の様々な実施形態に適合する特定の界面活性剤は、独国WeselのBYK−Chemie GmbHによって販売されるBYK 303、BYK 207およびBYK 333を含む。好適な界面活性剤は、水溶性シリコーンバックボーンを有するシリコーンポリエーテルである。
【0046】
適切な界面活性剤の化学構造は、様々な要因の折衷案を反映し得る。最上位の親水性層は、望ましくは、低VOS水性コーティング処理を用いて画像化層上に配置される。結果として、界面活性剤は、コーティング処理の間の完全な分離を回避するために良好な水適合性を示す。この特性は、界面活性剤の分子量に大きく依存するが、同様に、界面活性剤の分子の極性を変えることによって調整され得る。ポリエーテル鎖は、例えば、親水性EO基と、疎水性PO基とを含む。シリコーン界面活性剤の極性、および結果として水適合性は、分子中のEO/PO比によって大きく決定され、特に、水適合性シリコーンベースの界面活性剤は、比較的高いEOの比率を有する。好適な分子構造は、総パーセンテージの50%〜70%の割合のEO−PO鎖を有し、その35%〜55%は、好適には、親水性EOである。余分なEO内容物は、界面活性剤を大きく可溶性であるようにし得、このことが乾燥ステップの間の乾燥コーティングの表面に界面活性剤を運ぶ駆動力を低減し得る。他方、潤滑に対して、十分な性能が、相対的に多くのジメチルシロキシセグメントにより達成され得るが、最小数のジメチルシロキサン単位が、コーティングの表面においてスリップ効果を得るために必要とされる。結果として、相対的に長いシロキサン鎖(すなわち高分子量)が望ましく、そのような鎖は、また、乾燥中の最終的なコーティングの表面への移動を有利に向上させる。一般的に、表面スリップ効果が増加するが、水適合性および湿潤性が、分子量の関数として減少する。適切な界面活性剤は、スリップと水相互作用との望ましい組み合わせを得るために、不適当な実験なしに簡単に選択される。
【0047】
最上位層の調合物(すなわち、無機架橋剤および界面活性剤を含む)は、ほぼ完全な架橋を確実にするために、好適には、乾燥され、比較的高温(例えば、華氏約350度(約160℃)〜華氏約375度(約190℃))で硬化される。さらに、高硬化温度において、ポリエーテル修飾シリコーン界面活性剤の分子は、最上位層の不可欠な部分になり(ポリエーテル鎖は140℃〜150℃(または華氏280度〜華氏300度)において酸素化する)、商用の印刷環境における解離に抵抗する。このような解離は、表面潤滑性を低減する。任意の特定の理論またはメカニズムによって結合されることを意図せずに、高硬化温度において、界面活性剤のメトキシ基は酸素化され、残渣の(例えば、ポリビニルアルコール)基材と反応性を有する場になることが理論上想定される。
【0048】
乾燥プレート実施形態において、最上位層110に対する適切な材料は、シリコーンポリマー、フルオロポリマー、およびフルオロ−シリコーンポリマーを含む。シリコーンポリマーは、反復するジオルガノシロキサン単位(RSiO)に基づき、ここでRは、有機ラジカルまたは水素であり、nはポリマー鎖中の単位の数を示す。フルオロシリコーンポリマーは、特定のタイプのシリコーンポリマーであり、R基の少なくとも一部が1つ以上のフッ素原子を含有する。特定のシリコーンポリマーの物理特性は、そのポリマー鎖の長さ、R基の性質、ポリマー鎖の終端の末端基に依存する。当該分野で公知の任意の適切なシリコーンポリマーは、表面層110に組み込まれ得るか、または表面層110に使用される。
【0049】
シリコーンポリマーは、典型的には、ポリマー鎖を形成するために、ジオルガノシロキサン単位を架橋(または「硬化」)することによって調整される。結果生じるシリコーンポリマーは、直線状であり得るか、または分岐され得る。多くの硬化技術が当該分野で周知であり、縮合硬化、添加硬化、湿潤硬化を含む。 さらに、シリコーンポリマーは、1つ以上の添加剤(例えば、接着修飾剤、レオロジー修飾剤、着色剤、放射吸収顔料)を含み得る。他のオプションは、シリコーンアクリレートモノマー(すなわち、「遊離ラジカル」反応性アクリレート基または「カチオン酸」反応性エポキシ基を、シリコーンポリマーバックボーンの終端に沿って、そして/または終端において組み込む修飾シリコーン分子)を含む。これらは、紫外線(UV)および電子放射線供給源への曝露によって硬化される。このタイプのシリコーンポリマーは、また、添加剤(例えば、接着促進剤、アクリレート希釈剤、および多機能性アクリレートモノマー)を含み得、例えば、消耗耐性を促進する。
【0050】
適切なフルオロポリマーの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレンペルフルオロメチルビニルエーテル(MFA)、またはテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデン(THV)を含む。当該分野で公知の任意の適切なフルオロポリマーは、表面層110に組み込まれ得るか、または表面層110に対して使用される。
【0051】
(3.画像化技術)
図3Aおよび3Bは、図1に示される印刷部材の画像化の結果を示す。印刷部材は、親油性基板102と、金属二重層105と、親水性または親油性最上位層110とを含み得る。図3Aに示されるように、二重層105の露出された領域は、画像化パルスを吸収し、熱に変換する。熱は、二重層を通って拡散し、二重層105が切除されるまで、すなわち、高速相変換(例えば、気化)または破壊的な熱負荷のいずれかを受けるまで、増強される。この処理は、主に、レーザ放射への曝露によりプレートの画像領域に生成される爆発メカニズムの寄与に帰する。
【0052】
画像化の後に、最上位層110は、画像化放射を受けた領域において、劣化するか、そして/または固着解除される。切除残渣を含む露出領域は、印刷前に、残渣をパージされるか、または印刷の「準備を行う」間にパージされる。一部の実施形態において、印刷部材は、画像化後処理ステップに対する必要性なしに、画像化後すぐにプレスにおいて使用され得る。
【0053】
印刷部材を用いた印刷は、印刷部材の少なくとも一部に、好適には親油性の露出領域にインクを堆積することを含む。インクは、画像ごとのリソグラフィックパターン(上記のように作成される)において、紙などの記録媒体に移動される。インク加工ステップおよび移動ステップは、実行される印刷の媒体に対して、1行に対して所望の回数(例えば、約5000回〜約20000回)繰り返され得る。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
本発明に従う乾燥印刷部材は、ポリエステル基板を含み、該ポリエステル基板は、高散乱フィルタ材料(例えば、BaSO、TiO等)を、10重量%以下で分散していた。この実施例において、基板は、duPont−Teijin Films(Hopewell,VA)によってMELIN EX 927Wという商品名で販売されている200μmのポリエチレンテレフタラートフィルムであった。該フィルムは、BaSO粒子の分散を含んでいて、高い散乱のベースを提供し、第1の放射応答層105aはAlであり、第2の(上位の)放射応答層105bはSnであった。
【0055】
AlおよびSn層の堆積を、スパッタリングガスとして超純粋アルゴンを用いることにより、DCマグネトロンスパッタリングソースにおいて実行した。金属堆積の前に、スパッタリングチャンバを、3×10−5Torr未満のベース圧力まで排出し、5mTorrの圧力まで再びアルゴンで充填した。AlおよびSnを、引き続きスパッタリングし、それぞれ10nmおよび4nmの厚さの層を生じた。
【0056】
Al層の半透明性は、近IR吸収の量を制限し、したがって、層の感熱性を制限する。しかしながら、薄いアルミニウム層を利用する能力もまた、その光学侵入深さよりも大きい厚さにおける不透明アルミニウムフィルムの高い反射鏡/ミラーの反射率によって制限される。単一アルミニウム層に関連する制限は、Sn層を追加することによって克服される。該Sn層は、近IRにおいて高い透過率と低い放射率とを示し、Al層の表面における反射によって損失され得るIR放射と、基板によって伝達された放射の逆散乱とを捕捉する。
【0057】
画像化部材の画像化感度を、800〜1200nmの範囲の近IRレーザ放射に対して曝露して評価した。放射応答層は、放射を吸収し、それを熱に迅速に変換し、そして、金属−ポリマー界面において溶解/蒸発を引き起こし、第1および第2の画像化応答層のアブレーションを引き起こした。アブレートされた金属層は、微細な破片を形成し、ポリマー基板から該金属層を容易に除去した。曝露されたポリマー領域上では、ポリマーの損傷についての大きな兆候は観察されなかった。印刷部材は、異なる画像化セッター(例えば、PresstekのDIMENSION400およびDIMENSION425、KodakのTRENDSETTER(Eastman Kodac Company)等)の上で効率的に画像化する。例えば、TRENDSETTERの出力要求は、140mJ/cm程度である。
【0058】
Al/Sn放射応答層が、向上した耐久性での印刷部材の構成に用いられ得る。これは、放射応答層上に配置されたポリマー層の粘着に最も強く依存する。金属表面とポリマー等のその他の分子との相互作用は、金属の表面の組成によって決まる。Al/Sn層等の金属フィルムの表面は、迅速に酸化し、大気に存在する酸素とほぼ瞬間的に反応し、水酸化物の近単一層によって終端される酸化物層を形成する。これは、表面エネルギーを最小化する熱力学的に駆動される周知のプロセスである。さらに、酸化された金属表面上に形成された水酸基の終端層が、M−O−X結合の形成を介して、酸素含有ポリマー層の粘着のための結合部位として機能する。これらのプロセスは、粘着を強化し、ひいては、耐久性を強化する。2層Al/Sn構造が、それらの表面上で高い濃度の水酸基を有し、印刷部材に向上した耐久性を提供することが分かった。
【0059】
(実施例2)
この実施例は、実施例1において記載されている構造の上に配置されたシリコーン層を含むネガティブワーキング(negative−working)乾燥印刷プレートを記載している。このシリコーン層は、ビニル機能シリコーンと水酸化ケイ素架橋剤との間の追加またはヒドロシリル化反応によって生成される高度に架橋されたネットワーク構造を有する。この実施例において用いられるシリコーン溶液が、以下に記載されるが、その他の適切な調合もまた先の特許(例えば、米国特許第5,212,048号)において与えられており、該特許の開示は、本明細書中に参照により援用される。
【0060】
【表1】

巻線ロッドによって、コーティング溶液を、画像化部材上に適用し、そして乾燥し、硬化させて、1.1g/mの均一なシリコーンコーティングを生成した。そして印刷プレートを、画像化のために用意した。Presstek DIMENSION400画像セッター上でプレートを画像化し、画像性能を評価した。画像化処理は、焦点深さ(DOF)の決定と、向上した出力レベル(25mJ/m)による出力要求の評価とを含む。
【0061】
プレートは、±2nm程度のDOFと、290mJ/cmの画像化のための出力要求とを有する。800〜1000nmの範囲の近IRレーザ放射で画像化曝露すると、放射応答層は、放射を吸収し、放射を熱に迅速に変換し、そして、ポリマー−金属界面において溶解/蒸発を引き起こす。このプロセスは、シリコーンの画像化層への結合を破壊し、機械的な乾燥または湿潤クリーニングによってレーザ曝露領域における弛緩したシリコーン層の容易な除去を可能にする。シリコーンの除去は、親油性のポリエステル基板を曝露し、これは、印刷部材の画像(インク受容)層になる。曝露されないシリコーンでコーティングされたプレートの領域は、インクを拒絶する。
【0062】
印刷プレートのためのその他の重要な性能パラメータは、耐久性および環境安定性である。これらは、(例えば、粘着テープを用いてシリコーンコーティングの除去可能性を決定する、Xハッチ粘着試験を用いることにより)粘着性と、大気条件(室温および湿度)において格納されたフレッシュプレートの溶剤耐久性(MEKおよびヘプタン摩擦、例えば、長さ約20cmの表面上に5ポンドの往復負荷を用いて、10ヘプタン摩擦を適用した後のシリコーン損失量を決定すること)と、18時間にわたって80℃、相対湿度75%において環境チャンバ内でエージングしたプレートとを評価することにより、実験室において評価され得る。試験結果は、以下の表に概略される。
【0063】
【表2】

実験室の試験は、乾燥印刷の実施形態は、優れた磨耗および粘着耐性を呈することを示し、これは、高温および湿潤条件に対する曝露の影響を受けない。さらにオンプレステストによっても結果を確認した。特に、フレッシュプレートおよびエージングされたプレートは、DIMENSION400プレートセッター上で画像化され、プレス使用前に手動でクリーニングされた。引き続き、黒インクおよびコーティングされていない紙を用いることにより、Heidelberg GTOプレス上で印刷性能が評価された。これらの条件下で、フレッシュプレートは、磨耗の兆候または引掻き傷の損傷を伴わずに、10,000インプレッション以上走行した。さらに、エージングされたプレートの性能を、フレッシュプレートの性能と比較したところ、10,000インプレッションまでの走行長さであった。
【0064】
(実施例3)
この実施例は、実施例2と類似しており、放射応答および親油層を高散乱ポリマーベース上に配置し、アルミニウムコイルに積層した。実施例1に記載されている構造を、50μmのMelinex 928Wポリエステル基板を用いて構成され、そして、実施例2において用いられた1.1g/mの調合でコーティングした。そして、コーティングした構造を、Dyna−Tech Adhesives&Coatings(Grafton,WV)によって販売されているアクリレート接着剤を用いることにより、アルミニウム3103合金リソグラフィ金属(Alcoa,Pitttsburg,PA)の150μmコイルに積層した。アクリレート接着剤は、100%固体形成であり、電子ビーム放射源を用いて硬化される。
【0065】
実施例2に記載の機器および手順を用いることにより、印刷プレートを、画像化および印刷性能について評価した。プレートは、実施例2のプレート部材に類似した画像化およびプレス性能を示した。
【0066】
(実施例4)
この実施例は、実施例1に記載の構造に基づいて、ネガティブワーキング湿潤リソグラフィ印刷部材を記載し、完全に加水分解されたポリビニルアルコール(PVA)ポリマーに基づいて、最上位の不溶性の親水層を記載する。この実施例におけるPVA層は、CELVOL325(Celanese Chemicals,Ltd.,Dallas,TXによって販売)を利用し、その溶解度は、PVAの機能親水基と、例えばBACOTE20(MEL Chemicals、Manchester,UK)のような無機架橋剤との間の架橋反応によって顕著に低減した。
【0067】
最上位層を形成するために用いられる調合物(参照により本明細書注に開示が援用される米国特許出願第11/937,869号に記載)は、以下に与えるとおりである。
【0068】
【表3】

巻線ロッドを用いることにより、溶液を図1の画像化部材上に適用し、その後乾燥させ、硬化させて、2g/mの重量の固体コーティングを生成した。プレートは、例えばPresstek DIMENSION400、DIMENSION425、Prestek VECTOR TX−52およびKodak TRENDSETTER等の異なる画像化セッター上で効率的に画像化する。
【0069】
800〜1000nmの範囲の近IRレーザ放射で画像化曝露させると、放射応答層は、放射を吸収し、放射を熱に迅速に変換し、そして、ポリマー−金属界面において溶解/蒸発を引き起こす。このプロセスは、最上位の親水性層の結合を破壊し、湿潤クリーニングによってレーザ曝露領域における弛緩したポリマーの容易な除去を可能にする。この実施例において、ポリエステル基板は、画像化後に曝露され、クリーニングによってインクを受容し、曝露されていない領域における最上位の親水性の層は、湿潤液を受容する。
【0070】
この湿潤印刷部材は、250mJ/m程度の出力レベルを用いることにより、Presstek Dim425プレートセッター上で画像化され得る。プレートの曝露領域に残された弛緩したポリマーの破片は、黒インクおよびコーティングされていない紙を用いることにより、Heidelberg GTO上で評価された。プレートは、磨耗の兆候または引掻き傷の損傷を伴わずに、10,000インプレッション超にわたって走行した。
【0071】
(実施例5)
この実施例は、実施例1に記載の構造と、完全に加水分解されたPVAポリマー(例えば、CELVOL325)を利用する最上位の不溶性の親水性層と、Clariant Fine Chemicalsからのグリオキサール有機架橋とに基づいて、ネガティブワーキング湿潤リソグラフィ印刷部材を記載する。親水性のコーティングを、以下のポリビニルアルコール溶液を用いることにより液性した。
【0072】
【表4】

巻線ロッドを用いることにより、溶液を画像化部材上に適用し、その後乾燥させ、硬化させて、2g/mの重量の固体コーティングを生成した。プレートは、例えばPresstek DIMENSION400、DIMENSION425、Prestek VECTOR TX−52およびKodak TRENDSETTER等の異なる画像化セッター上で効率的に画像化する。この印刷プレートを、黒インクおよびコーティングされていない紙を用いることにより、Heiderberg GTO上で評価した。プレートは、DIMENSION425プレートセッター上で画像化し、プレス処理前に水で湿潤された面のワイパーを用いて手動でクリーニングした。プレートは、磨耗の兆候または引掻き傷の損傷を伴わずに、少なくとも4,000インプレッションにわたって走行した。
【0073】
(実施例6)
この実施例は、実施例4の類似したネガティブワーキング湿潤プレートを記載し、放射応答層と親油性の層とが、高散乱ポリマーベース上に分散され、引き続きアルミニウムコイルに積層される。
【0074】
実施例1の構造を、50μmのMELINEX 928Wポリエステル基板を用いて構成し、そして、実施例4において用いられた2g/mの調合を用いてコーティングした。コーティングされた構造を、その後、Dyna−Tech Adhesives&Coatings(Grafton,WV)によって販売されているアクリレート接着剤を用いることにより、アルミニウム3103合金のリソグラフィ金属(Alcoa,Pittsburg,PA)の150μmのコイルに積層した。アクリレート接着剤は、100%固体形成であり、電子ビーム放射源を用いて硬化される。
【0075】
積層された印刷プレートを、実施例4に記載の機器および手順を用いることにより、画像化および印刷性能について評価した。プレートは、実施例4のプレート部材と類似した画像化およびプレス性能を示した。
【0076】
(実施例7)
実施例6に類似したネガティブワーキング湿潤プレートは、(実施例5のように)有機GLYOXAL架橋剤を用いて架橋された親水性のPVA最上位層を有する。積層されたプレートは、実施例5のプレート部材に類似した画像化およびプレス性能を示した。
【0077】
本発明は特定の詳細に関して記載されてきたが、そのような詳細は、添付された特許請求の範囲に含まれる範囲以外には、本発明の範囲に対する限定として見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0078】
100 ネガティブワーキング印刷部材
102 基板
105 二重層
105a、105b 放射応答層
110 最上位層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷部材であって、
a)ポリマー基板と、
b)該基板の上に配置された第1および第2の放射応答層であって、各放射応答層は、近IR放射のためのその光学侵入深さ未満の厚さを有しており、該第1の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも3の消散係数を有する金属から本質的に構成され、(ii)該第2の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも30%の透過率を有する金属から本質的に構成される、第1および第2の放射応答層と、
c)該第1および第2の放射応答層の上に配置された最上位層であって、該最上位層および該基板は、インクまたはインクが粘着しない液体のうちの少なくとも1つに対して反対の親和力を有する、最上位層と
を含む、印刷部材。
【請求項2】
前記第2の放射応答層は、前記第1の放射応答層を覆う、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項3】
前記第1および第2の放射応答層は、1100℃未満の融点を有する、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項4】
前記第2の放射応答層は、500℃未満の融点を有する、請求項3に記載の印刷部材。
【請求項5】
前記基板は、画像化放射を散乱させ、前記第2の放射応答層は、画像化放射を反射する、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項6】
前記第1の放射応答層は、アルミニウム、銅、銀または金のうちの少なくとも1つから本質的に構成される、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項7】
前記第2の放射応答層は、スズ、亜鉛、インジウムまたはガリウムのうちの少なくとも1つから本質的に構成される、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項8】
前記第1の放射応答層は、8〜16nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項9】
前記第1の放射応答層は、12nmの厚さを有する、請求項8に記載の印刷部材。
【請求項10】
前記第2の放射応答層は、4〜8nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項11】
前記第2の放射応答層は、5nmの厚さを有する、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項12】
前記第1および第2の放射応答層は、12〜24nmの組み合わせの厚さを有する、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項13】
前記基板は、親油性であり、前記最上位層は、ポリマーであり、かつ親油性である、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項14】
前記基板は、ポリエステルであり、前記最上位層は、シリコーンである、請求項13に記載の印刷部材。
【請求項15】
前記基板は、親油性であり、前記最上位層は、ポリマーであり、かつ親水性である、請求項1に記載の印刷部材。
【請求項16】
前記基板は、ポリエステルであり、前記最上位層は、ポリビニルアルコールである、請求項15に記載の印刷部材。
【請求項17】
印刷部材を画像化する方法であって、該方法は、
(a)印刷部材を提供するステップであって、該印刷部材は、
(i)ポリマー基板と、
(ii)該基板の上に配置された第1および第2の放射応答層であって、各放射応答層は、近IR放射のためのその光学侵入深さ未満の厚さを有しており、該第1の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも3の消散係数を有する金属から本質的に構成され、(ii)該第2の放射応答層は、600〜1200nmの範囲の波長において少なくとも30%の透過率を有する金属から本質的に構成される、第1および第2の放射応答層と、
(iii)第1および第2の画像化層の上に配置された最上位層であって、該最上位層および該基板は、インクまたはインクが粘着しない液体のうちの少なくとも1つに対して反対の親和力を有する、最上位層と
を含む、ステップと、
(b)画像ごとのパターンで該印刷部材を該画像化放射に曝露するステップであって、該画像化放射は、曝露される該画像化層によって吸収される、ステップと、
(c)該印刷部材が画像化放射を受ける該第1の層を除去し、それにより、該印刷部材上に画像ごとのパターンを形成するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記第2の放射応答層は、前記第1の画像化層を覆う、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1および第2の放射応答層は、1100℃未満の融点を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の放射応答層は、500℃未満の融点を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記基板は、画像化放射を散乱させ、前記第2の放射応答層は、画像化放射を反射する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の放射応答層は、アルミニウム、銅、銀または金のうちの少なくとも1つから本質的に構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の放射応答層は、スズ、亜鉛、インジウムまたはガリウムのうちの少なくとも1つから本質的に構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の放射応答層は、8〜16nmの範囲の厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の放射応答層は、12nmの厚さを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の放射応答層は、4〜8nmの範囲の厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の放射応答層は、5nmの厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記第1および第2の放射応答層は、12〜24nmの組み合わせの厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記基板は、親油性であり、前記最上位層は、ポリマーであり、かつ親油性である、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記基板は、ポリエステルであり、前記最上位層は、シリコーンである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記基板は、親油性であり、前記最上位層は、ポリマーであり、かつ親水性である、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記基板は、ポリエステルであり、前記最上位層は、ポリビニルアルコールである、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−214956(P2010−214956A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60023(P2010−60023)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(510073545)プレステック, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】