説明

金属キレート化剤としてのデサザデスフェロチオシンポリエーテルアナログのプロドラッグ

本明細書には、デサザデスフェロチオシンポリエーテル(DADFT−PE)アナログの新しい化合物と同様、それらを含む医薬組成物および疾患の処置のための金属キレート化剤としてのそれらの適用が開示される。ヒトまたは動物の被験体の鉄および他の金属のキレート化の方法も、金属過剰症および毒性の処置のために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年7月27日に出願の、米国仮特許出願第61/228,690号の優先権の利益を主張するものであり、その開示は、本明細書の全体に記載されるように、引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書には、疾患の処置のための金属キレート化剤としての、デサザデスフェロチオシンポリエーテル(DADFT-PE)アナログのプロドラッグに加え、それらを含む医薬組成物及びそれらの適用が開示される。ヒト又は動物の被験体における鉄及び他の金属のキレート化の方法もまた、金属過剰症及び関係する毒性の処置、身体内の不均等分布、及び金属レベルの治療上の操作によって代謝を管理するために提供される。
【0003】
金属イオンは、生物系の適切な機能化に重要である。ほんの数例を挙げれば、Fe3+、Zn2+、Cu2+、Ca2+、及びCo3+などのイオンは、既知の酵素、及びRNAポリメラーゼ、DNA転写因子、シトクロームP450、ヘモグロビン、ミオグロビン、及びビタミンB12のようなコエンザイムなどの他の機能タンパク質の3分の1以上の活性部位において見出され得る。ここで、これらの金属は、酸化と還元反応を促進し、電荷分布を安定させる又は遮蔽し、反応のために基質を方向付ける役目を果たす。金属はまた、酸素、NO-などの反応性窒素種(RNS)、及び反応性酸素種(ROS)、例えば02-などの生化学的制御の一部として、他の分子実体と組み合わせて、代謝のセンサーとして使用される。
【0004】
しかしながら、身体は金属を吸収し排泄する能力に限度があり、過剰になると毒性につながる。1つの例として、鉄の過剰は、重症型ベータサラセミアなどの疾病において必要な、慢性的に輸血された赤血球に由来しようと、遺伝性ヘモクロマトーシスなどの食事性鉄の増加した吸収に由来しようと、鉄によるH2O2などの活性酸素種の生成によって有毒であり得る。Fe2+の存在下において、H2O2は、非常に反応的な種である、ヒドロキシルラジカル(HO)に還元され、その過程(process)は、フェントン反応として知られる。ヒドロキシルラジカルは、様々な細胞成分と非常に速く反応し、発癌物質を損傷するとともにDNA及び膜を破損するフリーラジカル及びラジカル媒介性の連鎖過程を開始し得る。臨床結果によると、有効な処置なしでは、体内の鉄は、肝臓、心臓、膵臓、及び他における堆積とともに次第に増加する。鉄の蓄積はまた、(i)硬変に進行し得る肝疾患、(ii)鉄誘発性の、膵臓のβ細胞分泌における減少及び肝臓インスリン抵抗性における増加の両方に関連する糖尿病、及び(iii)輸血鉄過剰症に関係する重症型ベータサラセミア及び他の貧血症において依然として主要な死因である、心臓疾患をもたらし得る。
【0005】
別の例として、内因性作用をほとんど有さない又は全く有さないイオンは、身体へと入り込み、損傷をもたらし得る。Hg2+などの重金属イオンは、金属タンパク質においてZn2+などのイオンを置換し、それらを不活性にし、その結果、患者の死亡又はその患者の子供の先天性欠損につながり得る、重大な急性又は慢性の毒性を引き起こし得る。さらに重大なことに、ランタニド及びアクチニド系列の放射性同位体は、口、空気、又は皮膚の接触によってそれらに曝された個体の重病を引き起こし得る。このような曝露は、核爆弾又は核廃棄物からなる「汚染爆弾」の爆発だけでなく、原子力発電所の破壊にも起因し得る。
【0006】
有機体における金属イオンのキレート化及び除去(decorporation)のための薬剤は以前に開示されており、臨床的な使用にある。様々なリガンドは、例えば、Fe3+、Pu4+、Th4+、Am4+、Eu3+及びU4+を結合することが示された。従来の標準的治療は、デフェロキサミン(DFO, N’-[5-(アセチル-ヒドロキシ-アミノ)ペンチル]-N-[5-[3-(5-アミノペンチル-ヒドロキシ-カルバモイル)プロパノイルアミノ]ペンチル]-N-ヒドロキシ-ブタンジアミド)(非常に有効な金属キレート化剤)などの薬剤の使用を含む。DFOは、不運にも、経口的に生物学的な活性ではなく、それ故、静脈内(IV)、腹腔内(IP)、又は皮下(SC)で非経口的に投薬されなければならず、一旦血流に入ると、非常に短い半減期を有する。ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)は、ランタニド及びアクチニドの中毒の処置における使用が認可されているが、経口的に投薬されることはできず、理想的には、混入に続いて非常に速く与えられるべきであり、多くの副作用を示す。これらの理由のために、これらの薬剤の持続注入がしばしば必要であり、特に、慢性障害の場合には、患者応諾は、所望の治療上の結果を達成するための挑戦である。公に利用可能な技術の徹底的な検討は、有効なキレート化剤が数十年間利用可能であったが、経口バイオアベイラビリティが、歴史的に、次に続く次世代の薬剤における所望の特性であることを示す。
【0007】
より最近では、経口活性剤は、金属過剰症の処置における使用に利用可能となった。
デフェリプロン(3-ヒドロキシ-1,2-ジメチルピリジン-4(1H)-オン)は、ベータサラセミア及び他の障害の状況において、輸血鉄過剰症の処置のための経口剤としてヨーロッパ及び他の幾つかの国々において使用されてきたが、安全性のために、薬物は、例外的使用の基準を除いて、米国とカナダにおける使用が認可されていない。報告された副作用は、生命を脅かす顆粒球減少症を含み、デフェリプロンを第二選択療法に追いやった(relegated)。デフェラシロクス(Exjade,[4-[(3Z,5E)-3,5-ビス(6-オキソ-1-シクロヘキサ-2,4-ジエンイリデン)-1,2,4-トリアゾリジン(triazolidin)-1-イル]安息香酸, Novartis)は、現在、キレート療法のために米国で認可されたただ一つの経口剤である。それにもかかわらず、腎不全、肝不全及び汎血球減少につながる腎毒性は、食品医薬品局(the Food and Drug Administration)によって、デフェラシロクスの経口懸濁液の錠剤(oral suspension tablets)に対する副作用として報告された。さらに、これらの2つの薬剤のどちらも、DFOとして鉄をキレート化するのに効果的ではない。輸血又は過度の腸管吸収に続く、鉄過剰症、及び金属レベルが臨床的有用性のために管理され得る他の金属障害の処置のための、より毒性が低減された持続性の、経口的に活性の金属キレート化剤に関する技術において、明らかに、臨床的必要性が残る。
【0008】
デスフェリティオシン、又は[(S)-4,5-ジヒドロ-2-(3-ヒドロキシ-2-ピリジニル(pyridiny1))4メチル-4チアゾール(thiazo])]カルボン酸(DFT)のアナログは、Fe3+及びTh4+を有する2:1の六配位の複合体を形成すると示された。これらのリガンドは、齧歯類、イヌ、及び霊長類に皮下に(SC)又は経口的に(PO)かのどちらかで投与される時、鉄を非常に効率的に取り除き、SC、PO、又は腹腔内に与えられる時に、齧歯類からウランを除去し、特に腎臓において大きな効果があることが示された。DFT自体の開発は、腎毒性のために止められたが、これらのリガンド(S)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル(dihydroxypheny1))4,5ジヒドロ-4-メチル-4-チアゾールカルボキシル酸、又は(S)-4’-(HO)-DADFTのうちの1つは、経口的に利用可能である更なる有用性を有する有効なキレート化剤であると分かった。つい最近の論文は、3’、4’、及び5’の位置でポリエーテル基によって置換されたDADFTアナログの設計及び試験を開示する(Bergeron RJ et al., J Med Chem. 2007 Jul 12; 50(14):3302-13)。ポリエーテルアナログは、齧歯類及び血清アルブミン結合試験において、それらの相当する親リガンドより一様に高い鉄の排除効率(iron-clearing efficiencies)(ICEs)を有し、3’-DADFT-PEアナログ(S)-4,5-ジヒドロ-2-[2-ヒドロキシ-3-(3,6,9-トリオキサデシルオキシ)フェニル]-4-メチル-4-チアゾールカルボキシル酸は、齧歯類及びヒト以外の霊長類において最も有望なICEを示した。
【0009】
化合物の種類としてのDADFTポリエーテルは、改善された金属キレート化剤を求めるには有望であるようだが、ヒトに使用するのに適した化合物の特徴づけ、開発、及び選択において、行われるべき多くの仕事が残っている。患者及び臨床医などによって使用するのが簡単となる、安全で有効な化合物を提供する目的のために、バイオアベイラビリティと他の薬物動態学的パラメーターの最適なバランス、溶解度、ICE、標的組織浸透、好ましい代謝及び毒性学的検査、及び他の特質を有するアナログの設計において、改善のための余地は依然として明らかにある。さらに、多くの因子は、依然として。一般に医薬品として化合物の適合性に影響を与える。例えば、患者への送達に理想的に適するようにするために、化合物は、選択された投与経路を介して患者の身体によって容易に取り込まれるべきであり、標的小器官(target compartment)又は器官(organ)に対して可溶性で、生物学的に活性であるべきであり、及び適正時期に身体から取り除かれるべきである。プロドラッグの設計は、これらの各領域において改善の機会を提示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書には、これらのポリエーテルアナログの新しいプロドラッグ及びそれらの誘導体が開示される。これらの化合物を含む医薬製剤もまた、ヒト又は動物の身体における急性又は慢性の金属の過剰の結果である、毒性に関係する疾患及び疾病の処置のための方法とともに開示される。
【0011】
特定の実施形態において、化合物は、構造式I:
【0012】
【化1】

【0013】
を有し、
式中、
R1、R2、R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロキシ、OXR7、及びCH3O((CH2)n-O)m-から独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、アラルキル、及びアリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、アリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合(a bond)及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、
R1〜R5の少なくとも1つは、随意に置換されたOXR7であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ない。
【0014】
本明細書に開示される特定の化合物及びプロドラッグは、有用な金属キレート化活性を有し得、金属過剰、毒性、又は不均等分布が、一因となる又は積極的役割を果たす疾患又は疾病の処置又は予防に使用され得る。したがって、広範囲の態様において、特定の実施形態はまた、薬学的に許容可能な担体と一緒に、本明細書に開示される1以上の化合物又はプロドラッグを含む医薬組成物を提供するほかに、化合物及びプロドラッグ及びそれらの組成物を作り使用する方法を提供する。特定の実施形態は、生物系において金属をキレート化するための方法を提供する。他の実施形態は、金属毒性に関連する障害及び症状を、そのような処置を必要とする患者において処置するための方法を提供し、該方法は、本発明による治療上有効な量の化合物又はその組成物、又はプロドラッグを、前記患者に投与する工程を含む。また、金属のキレート化又は除去によって改善される疾患又は疾病の処置のための薬剤の製造において使用するための、本明細書に開示される特定の化合物及びプロドラッグの使用が提供される。
【0015】
特定の実施形態において、化合物は、構造式II:
【0016】
【化2】

【0017】
を有し、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合(a bond)及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ない。
【0018】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、
mは、2であり、及び
nは、3である。
【0019】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、
Xは、C(O)であり、及び
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得る。
【0020】
また更なる実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、
R7は、NR10R11であり、及び
一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0021】
別の実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンを形成する。
【0022】
別の実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及びアラルキルから選択され、及び
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択される。
【0023】
1つの更なる実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0024】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、及び
R8は、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択される。
【0025】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式IIを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0026】
更なる実施形態において、化合物は、構造式III:
【0027】
【化3】

【0028】
を有し、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ない。
【0029】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、
mは、2であり、及び
nは、3である。
【0030】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、
Xは、C(O)であり、及び
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得る。
【0031】
また更なる実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、
R7は、NR10R11であり、及び
一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0032】
別の実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンを形成する。
【0033】
別の実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、水素、低級アルキル及び低級アラルキルから選択される。
【0034】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0035】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、及び
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、低級アルキル及び低級アラルキルから選択される。
【0036】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式IIIを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0037】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IV:
【0038】
【化4】

【0039】
を有し、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、アルキル、及びアラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ない。
【0040】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、
mは、2であり、及び
nは、3である。
【0041】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、
Xは、C(O)であり、及び
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得る。
【0042】
また更なる実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、
R7は、NR10R11であり、及び
一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0043】
別の実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンを形成する。
【0044】
別の実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、各々、水素、低級アルキル及び低級アラルキルから独立して選択される。
【0045】
更なる実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0046】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、低級アルキル及び低級アラルキルから選択される。
【0047】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、及び
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0048】
更なる実施形態において、化合物は、構造式V:
【0049】
【化5】

【0050】
を有し、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ない。
【0051】
更なる実施形態において、化合物は、構造式Vを有し、
式中、
mは、2であり、及び
nは、3である。
【0052】
更なる実施形態において、化合物は、構造式Vを有し、
式中、
Xは、C(O)であり、及び
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得る。
【0053】
また更なる実施形態において、化合物は、構造式Vを有し、
式中、
R7は、NR10R11であり、及び
一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0054】
別の実施形態において、化合物は、構造式IVを有し、
式中、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンを形成する。
【0055】
別の実施形態において、化合物は、構造式Vを有し、
式中、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、水素、低級アルキル及び低級アラルキルから選択される。
【0056】
更なる実施形態において、化合物は、構造式Vを有し、
式中、
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0057】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式Vを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、及び
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、低級アルキル及び低級アラルキルから選択される。
【0058】
さらに別の実施形態において、化合物は、構造式Vを有し、
式中、
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択される。
【0059】
更なる実施形態において、化合物は、構造式VI:
【0060】
【化6】

【0061】
を有し、
式中、
R1、R2、R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロキシ、OXR7、及びCH3O((CH2)n-O)m-から独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、アラルキル、及びアリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、
R1〜R5の少なくとも1つは、随意に置換されたOXR7である。
【0062】
更なる実施形態において、化合物は、構造式VII:
【0063】
【化7】

【0064】
を有し、
式中、
R1、R2、R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロキシ、OXR7、及びCH3O((CH2)n-O)m-から独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、NR10R11、低級アルキル、アラルキル、及びアリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、
R1〜R5の少なくとも1つは、随意に置換されたOXR7である。
【0065】
更なる実施形態において、化合物は、構造式VIIを有し、
式中、
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択される。
【0066】
本発明の特定の実施形態において、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と一緒に本明細書に開示されるようなプロドラッグを含む、医薬組成物が提供される。
【0067】
本発明の特定の実施形態において、治療上有効な量の式Iの化合物を被験体に投与する工程を含む、被験体において金属媒介性の疾病を処置する方法が提供される。
【0068】
別の実施形態において、前記金属は、三価である。
【0069】
更なる実施形態において、前記疾病は、金属のキレート化、金属イオン封鎖(sequestration)、又は除去に対して反応性がある。
【0070】
更なる実施形態において、前記金属は、鉄である。
【0071】
更なる実施形態において、前記疾病は、鉄過剰症である。
【0072】
更なる実施形態において、前記疾病は、体内における鉄の不均等分布又は再分布の結果である。
【0073】
更なる実施形態において、前記疾病は、無トランスフェリン血症、無セルロプラスミン血症、及びフリードライヒ運動失調症(Fredreich’s ataxia)から選択される。
【0074】
更なる実施形態において、前記疾病は、輸血鉄過剰症の結果である。
【0075】
更なる実施形態において、前記疾病は、重症型及び中間型のベータサラセミア、鎌状赤血球貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、鉄芽球性貧血、慢性溶血性貧血、治療終了後の白血病(off-therapy leukemias)、骨髄移植及び骨髄異形成の症候群から選択される。
【0076】
更なる実施形態において、前記疾病は、結果的に食事性鉄の過剰吸収を引き起こす、遺伝性の疾病である。
【0077】
更なる実施形態において、前記疾病は、遺伝性ヘモクロマトーシス、無セルロプラスミン血症及び晩発性皮膚ポルフィリン症から選択される。
【0078】
更なる実施形態において、前記疾病は、糖尿病である。
【0079】
更なる実施形態において、前記疾病は、結果的に過剰な食事性鉄の吸収を引き起こす、後天性疾患である。
【0080】
更なる実施形態において、前記疾病は、肝疾患である。
【0081】
更なる実施形態において、前記疾患は、肝炎である。
【0082】
更なる実施形態において、前記金属は、ランタニド又はアクチニドである。
【0083】
更なる実施形態において、前記病理的疾病は、ランタニド又はアクチニドの過剰症である。
【0084】
更なる実施形態において、鉄又は他の三価金属の身体の排泄を誘発する、本明細書に開示されるような化合物の治療上有効な量は、被験体において0.2mg/kg/日より多い。
【0085】
更なる実施形態において、本明細書に開示されるような治療上有効な量の化合物は、腎臓、骨髄、胸腺、肝臓、脾臓、心臓又は副腎に対する臨床的に明らかな毒性効果のない、少なくとも10mg/kg/日の投与量で与えられ得る。
【0086】
本明細書に使用されるように、下記の用語は、示される意味を有する。
【0087】
値の範囲が開示され、表記法「n1から...n2まで」(n1及びn2は数字である)が使用されるとき、特に指定のない限り、この表記法は、数字自体及びそれらの間の範囲を含むように意図される。この範囲は、それらの間で整数又は連続的であり得、終値を含み得る。一例として、「2から6までの炭素」の範囲は、炭素が整数の単位で生じるため、2、3、4、5、及び6の炭素を含むように意図される。一例として、「1〜3μM(マイクロモル濃度)」の範囲を例えると、これは、1μM、3μM、及びその間のすべての数字から有効数字の任意の数まで(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)を含むように意図される。
【0088】
用語「約」は、本明細書に使用されるように、用語が修正する数値を修飾するように意図され、そのような値を許容誤差内の変数として示す。データの図又は表に与えられた平均値に対する標準偏差などの、特定の許容誤差が詳述されないとき、用語「約」は、詳述された値を包含するその範囲及びその数字を四捨五入することによって含まれる範囲も同様に意味し、有効数字を考慮に入れることは理解されたい。
【0089】
用語「アシル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環、又はカルボニルに付けられた原子が炭素である他の部分を指す。「アセチル」基は、-C(O)CH3基を指す。「アルキルカルボニル」又は「アルカノイル」基は、カルボニル基を介して親分子の部分に付けられたアルキル基を指す。そのような基の例はメチルカルボニル及びエチルカルボニルを含む。アシル基の例は、ホルミル、アルカノイル及びアロイルを含む。
【0090】
用語「アルケニル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、1以上の二重結合を有し、2〜20の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。
特定の実施形態において、前記アルケニルは、2〜6の炭素原子を含む。用語「アルケニレン」は、エテニレン[(-CH=CH-),(-C::C-)]などの、2つ以上の位置で付けられた炭素−炭素二重結合系を指す。適切なアルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、2-メチルプロペニル、1,4-ブタジエニルなどを含む。特に指定のない限り、用語「アルケニル」は、「アルケニレン」基を含み得る。
【0091】
用語「アルコキシ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、アルキルエーテル基を指し、ここで、用語アルキルは、以下に定義される通りである。適切なアルキルエーテル基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどを含む。
【0092】
用語「アルキル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、1から20の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖のアルキル基を指す。特定の実施形態において、前記アルキルは、1〜10の炭素原子を含む。更なる実施形態において、前記アルキルは、1〜6の炭素原子を含む。アルキル基は、本明細書に定義されるように、随意に置換され得る。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、オクチル、ノイルなどを含む。用語「アルキレン」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、メチレン(-CH2-)などの、2つ以上の位置で付けられた直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素に由来する飽和した脂肪族基を指す。特に指定のない限り、用語「アルキル」は、「アルキレン」基を含み得る。
【0093】
用語「アルキルアミノ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、アミノ基を介して親分子の部分に付けられたアルキル基を指す。適切なアルキルアミノ基は、モノアルキル化又はジアルキル化され得、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-エチルメチルアミノなどの基を形成する。
【0094】
【化8】

【0095】
用語「アミド」及び「カルバモイル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、カルボニル基を介して親分子の部分に付けられた下記に記載されるようなアミノ基、又はその逆を指す。用語「Cアミド」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、本明細書に定義されるようなRを有するC(=O)NR2基を指す。用語「Nアミド」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、本明細書に定義されるようなRを有する、RC(=O)NH基を指す。用語「アシルアミノ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、アミノ基を介して親の部分に付けられたアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の一例は、アセチルアミノ(CH3C(O)NH-)である。
【0096】
用語「アミノ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、−NRR’を指し、ここで、R及びR’は、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得る。さらに、R及びR’は、結合して、ヘテロシクロアルキルを形成し得、それらのどちらかは、随意に置換され得る。
【0097】
用語「アリール」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、1、2又は3の環を含む、炭素環式の芳香族系を意味し、このような多環式の環系は、一緒に縮合される。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフェナントリルなどの芳香族基を包含する。
【0098】
用語「ベンゾ」、「ベンズ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、ベンゼンに由来する二価の基C6H4=を指す。例は、ベンゾチオフェン及びベンズイミダゾールを含む。
【0099】
用語「カルボニル」は、本明細書に使用されるように、単独では、ホルミル[-C(O)H]を含み、組み合わせると、-C(O)-基である。
【0100】
用語「カルボキシル」又は「カルボキシ」は、本明細書に使用されるように、カルボン酸塩にあるように、-C(O)OH又は相当する「カルボン酸塩」陰イオンを指す。「Oカルボキシ」基は、RC(O)O-基を指し、ここで、Rは本明細書に定義される通りである。「Cカルボキシ」基は、-C(O)OR基を指し、ここで、Rは本明細書に定義される通りである。
【0101】
用語「シアノ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、-CNを指す。
【0102】
用語「シクロアルキル」、又は、代替的に、「炭素環」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、飽和した又は部分的に飽和した単環式、二環式又は三環式のアルキル基を指し、ここで、各環式の部分は、3〜12の炭素原子の環員を含み、及び随意に、本明細書に定義されるように随意に置換されるベンゾ縮合環系であり得る。特定の実施形態において、前記シクロアルキルは、5〜7の炭素原子を含む。このようなシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチルなどを含む。本明細書に使用されるような「二環式の」及び「三環式の」は、多環式の(多中心性の)飽和の又は部分的に不飽和のタイプと同様に、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの、両方の縮合環系を含むことが意図される。後者のタイプの異性体は、一般に、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンファー、アダマンタン、及びビシクロ[3,2,1]オクタンによって例証される。
【0103】
用語「エステル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、炭素原子で結合された2つの部分を架橋するカルボキシ基を指す。
【0104】
用語「エーテル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、炭素原子で結合された2つの部分を架橋するオキシ基を指す。
【0105】
用語「ハロ」、又は「ハロゲン」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
【0106】
用語「ハロアルコキシ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、酸素原子を介して親分子の部分に付けられたハロアルキル基を指す。
【0107】
用語「ハロアルキル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、1以上の水素がハロゲンと置換される、上に定義されるような意味を有するアルキル基を指す。特に、モノハロアルキル、ジハロアルキル及びポリハロアルキル基が包含される。モノハロアルキル基は、1つの例として、その基の中に、ヨード、ブロモ、クロロ又はフルオロ原子を有し得る。ジハロ及びポリハロアルキル基は、2以上の同じハロ原子又は異なるハロ基の組み合わせを有し得る。ハロアルキル基の例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルを含む。「ハロアルキレン」は、2つ以上の位置で付けられたハロアルキル基を指す。
例は、フルオロメチレン(-CFH-)、ジフルオロメチレン(-CF2-)、クロロメチレン(-CHCl-)などを含む。
【0108】
用語「ヘテロアルキル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、直鎖又は分枝鎖、又は環式の炭化水素基、又はそれらの組み合わせを指し、完全に飽和されたか又は1〜3の不飽和度(degrees of unsaturation)を含み、定数の炭素原子及びO、N、及びSから選択された1〜3のヘテロ原子から成り、ここで、窒素及び硫黄原子は随意に酸化され得、窒素ヘテロ原子は随意に四級化され得る。ヘテロ原子(複数可)O、N、及びSは、ヘテロアルキル基の任意の内部の位置に配され得る。2までのヘテロ原子は、例えば、-CH2-NH-OCH3のように連続的であり得る。
【0109】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、3〜7員の不飽和のヘテロ単環式の環、又は少なくとも1つの縮合環が芳香族である、縮合した単環式、二環式、又は三環式の環系を指し、O、S、及びNから選択された少なくとも1つの原子を含む。特定の実施形態において、前記ヘテロアリールは、5〜7の炭素原子を含む。前記用語はまた、複素環がアリール環と縮合される、縮合した多環式の基を包含し、ヘテロアリール環が他のヘテロアリール環と縮合され、ヘテロアリール環がヘテロシクロアルキル環と縮合され、又はヘテロアリール環がシクロアルキル環と縮合される。ヘテロアリール基の例は、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニルなどを含む。典型的な三環式の複素環基は、カルバゾリル、ベンジドリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどを含む。
【0110】
用語「ヘテロシクロアルキル」及び、交換可能に、「ヘテロ環」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、環員として少なくとも1つのヘテロ原子を含む、飽和の、部分的に不飽和の、又は完全に不飽和の(fully unsaturated)単環式、二環式、又は三環式の複素環基を各々指し、ここで、各前記ヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択され得る。特定の実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1〜4のヘテロ原子を含む。更なる実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1〜2のヘテロ原子を含む。特定の実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、各環において3〜8の環員を含む。更なる実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、各環において3〜7の環員を含む。また更なる実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、各環において5〜6の環員を含む。「ヘテロシクロアルキル」及び「ヘテロ環」は、スルホン、スルホキシド、三級窒素環員のN-オキシド、及び炭素環式縮合環系及びベンゾ縮合環系を含むように意図され、さらに、両方の用語はまた、ヘテロ環が、本明細書に定義されるように、アリール基に、又は更なる複素環基に縮合される系を含む。複素環基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソインドリニル、モルフォリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルフォリニルなどを含む。特に禁じられていない限り、複素環基は随意に置換され得る。
【0111】
用語「ヒドロキシ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、-OHを指す。
【0112】
用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、アルキル基を介して親分子の部分に付けられたヒドロキシ基を指す。
【0113】
句「主鎖において」は、本明細書に開示される式のいずれか1つの化合物への、基の付着の部位で始まる、最長の連続的な又は隣接する炭素原子の鎖を指す。
【0114】
用語「低級」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、他に特に定義されないが、1から6の炭素原子を含むことを意味する。
【0115】
用語「オキシ」又は「オキサ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、-O-を指す。
【0116】
用語「オキソ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、=Oを指す。
【0117】
用語「ペルハロアルコキシ」は、すべての水素原子がハロゲン原子によって置換される、アルコキシ基を指す。
【0118】
用語「ペルハロアルキル」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、すべての水素原子がハロゲン原子によって置換される、アルキル基を指す。
【0119】
用語「チア」及び「チオ」は、本明細書に使用されるように、単独で又は組み合わせて、酸素が硫黄と置換される、-S-基又はエーテルを指す。チオ基の酸化誘導体、すなわちスルフィニル及びスルフォニルは、チア及びチオの定義に含まれる。
【0120】
本明細書における任意の定義は、複合の構造基を記載するために、任意の他の定義と組み合わせて使用され得る。慣例によって、任意のこのような定義の後に続く構成部分(element)は、親部分に付く構成部分である。例えば、複合基のアルキルアミドは、アミド基を介して親分子に付けられたアルキル基を表わし、用語、アルコキシアルキルは、アルキル基を介して親分子に付けられたアルコキシ基を表わす。
【0121】
基が「空(null)」であると定義されるとき、前記基が存在しないことを意味する。
【0122】
用語「随意に置換された」は、先行する基が、置換又は非置換であり得ることを意味する。置換された時、「随意に置換された」基の置換基は、単独で又は組み合わせて、限定なしで、以下の基又は特定の指定された一連の基から独立して選択される1以上の置換基を含み得る:低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、エステル、アシル、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホン酸塩、スルホン酸、三置換のシリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバマート、及び低級尿素。2つの置換基は、一緒に連結され得、0〜3のヘテロ原子から成る、縮合した5、6、7員の炭素環式又は複素環式の環を形成し、例えばメチレンジオキシ又はエチレンジオキシを形成する。随意に置換された基は、置換され得ないか(例えば、-CH2CH3)、完全に置換され得るか(例えば、-CF2CF3)、一置換され得るか(例えば、-CH2CH2F)、又は完全な置換と一置換の中間のどこかのレベルで置換され得る(例えば、-CH2CF3)。置換基が置換に関して制限(qualification)なしで列挙される場合、置換及び非置換の形態の両方が包含される。置換基が「置換された」のように修飾される場合、置換された形態が明確に意図される。さらに、特定の部分に対する異なる一連の随意の置換基は、必要に応じて定義され得、これらの場合において、随意の置換基は、定義される通りであり、しばしば句の直後に、「〜で随意に置換された」となる。
【0123】
用語、R又は用語、R’は、単独で及び数の指定なしで現われるが、他に定義のない限り、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルを指し、それらはどれも随意に置換され得る。このようなR及びR’の基は、本明細書に定義されるように随意に置換されることを理解されたい。R基が数の指定を有していようとそうでなかろうと、R、R’及びRn(n=(1, 2, 3, ・・・n))を含む、すべてのR基、すべての置換基、及びすべての用語は、基からの選択に関して互いに独立すると理解されたい。式又は包括的構造において、任意の変数、置換基、又は用語(例えばアリール、ヘテロ環、Rなど)が2回以上現れる場合、各出現のその定義は、互いの出現における、定義から独立している。当業者は、特定の基が、親分子に付けられ得るか、又は記載されるような、どちらかの末端からの構成部分の鎖において位置を占め得ることを更に認識する。したがって、ほんの一例として、-C(O)N(R)-などの非対称の基は、炭素又は窒素のいずれかで親部分に付けられ得る。
【0124】
不斉中心は、本明細書に開示される化合物中に存在する。これらの中心は、記号「R」又は「S」で示され、キラル炭素原子のまわりの置換基の配置に依存する。本発明が、d-異性体及びl-異性体、及びそれらの混合物と同様に、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマーの形態を含む、すべての立体化学の異性体の形態を包含することは理解されたい。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含む市販の出発物質から合成的に調製され得、又はエナンチオマー生成物の混合物の調製によって合成的に調製され得、その後の、ジアステレオマーの混合物への変換のような分離、その後の、分離又は再結晶、クロマトグラフ法、キラルクロマトグラフィーカラム上のエナンチオマーの直接分離、又は当該技術分野に公知の任意の他の適切な方法によって合成的に調製され得る。特定の立体化学の出発化合物は、市販で入手可能であるか、又は当該技術分野に公知の技術によって作られ分解され得るかのいずれかである。さらに、本明細書に開示される化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明は、すべてのシス(cis)、トランス(trans)、シン(syn)、アンチ(anti)、エントゲーゲン(entgegen)(E)、及びツザメン(zusammen)(Z)の異性体に加え、それらの適切な混合物を含む。さらに、化合物は、互変異性体として存在し得る。すべての互変異性体は、本発明によって提供される。さらに、本明細書に開示される化合物は、非溶媒和の形態に加え、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和の形態で存在し得る。一般に、溶媒和の形態は、非溶媒和の形態と等価であると考えられる。
【0125】
用語「結合」は、2つの原子の間、又は結合によって連結された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの部分の間の共有結合を指す。結合は、特に指定のない限り、単一、二重、又は三重であり得る。分子の図面における2つの原子の間の破線は、さらなる結合がその位置で存在し得る又は存在し得ないことを示す。
【0126】
本明細書に使用されるような用語「疾患(disease)」は、用語「障害(disorder)」、及び(内科疾患におけるような)「疾病(condition)」と一般に同意語になるように意図され、及び交換可能に使用され、それらすべては、正常な機能を害する、ヒト又は動物の身体、又はその一部分の異常状態を表し、兆候および症状を見分けることによって、典型的に明らかにされ、ヒト又は動物の寿命が短くなる、又は生活の質が落ちる原因となる。
【0127】
用語「併用療法」は、本開示に記載される治療上の疾病又は障害を処置するための2つ以上の治療薬の投与を意味する。このような投与は、固定比率の有効成分を有する単一のカプセル、又は各有効成分のための多数の、別々のカプセルなどのように、実質的に同時の方法で、これらの治療薬を同時投与することを包含する。さらに、このような投与はまた、連続する方法で、各タイプの治療薬の使用を包含する。いずれの場合においても、処置レジメンは、本明細書に記載される疾病又は障害を処置する際に、複合薬の有益な効果を提供する。
【0128】
句「治療上有効な」は、疾患又は障害の処置において使用される活性成分の量を修飾するように意図される。この量は、前記疾患又は障害を低減又は除去する目標を達成する。
【0129】
本明細書に使用されるような用語「キレート化」は、(金属イオンにおけるように)調和する及び不活性化することを意味する。キレート化はまた、除去を含み、用語自体がキレート化及び排泄を包含する。
【0130】
本明細書に使用されるような用語「鉄の排除効率(ICE)」は、身体またはその器官又は部分の1つから鉄を排除する際に、キレート化剤の所望濃度の効能を指す。効能は、ここでは、単位時間において(全身、器官又は他のものであり得る)目標系から取り除かれた鉄の量に関係がある。キレート化剤は、3つの臨床的状況に対して:鉄の摂取又は注入からの急性鉄毒性に対して、輸血又は過剰な鉄吸収に続く全身の鉄を減少させるために、全身の鉄が満足のいくように減少され、毎日の食事性鉄だけが排泄される必要があるようになった後の、鉄バランスの維持のために、必要とされる。それ故、実際の用語において、輸血に続く慢性鉄過剰症に関して、1日につき患者の0.3〜0.5mg Fe/kgの間の体重が排泄される必要があることが推奨される。維持療法に関しては、0.25〜1mg/kg/日が十分である。
【0131】
用語「治療上許容可能な」は、過度の毒性、刺激、及びアレルギー反応のない患者の組織に接触する使用に適し、合理的なベネフィット・リスク比と比例し、それらの意図された使用に有効である、これらの化合物(又は塩、多形体、プロドラッグ、互変異性体、両性イオンの形態など)を指す。
【0132】
本明細書に使用されるように、患者の「処置」への言及は、予防を含むように意図される。用語「患者」は、ヒトを含むすべての哺乳動物を意味する。患者の例は、ヒト、雌ウシ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、及びラビットを含む。好ましくは、患者はヒトである。
【0133】
用語「プロドラッグ」は、インビボでより活性化される化合物を指す。本明細書に開示される特定の化合物はまた、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry, Biochemistry, and Enzymology (Testa, Bernard and Mayer, Joachim M. Wiley-VHCA, Zurich, Switzerland 2003)において記載されるような、プロドラッグとして存在し得る。本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、化合物を提供するために、生理学的条件下で化学変化を容易に受ける化合物の、構造上改変された形態である。さらに、プロドラッグは、エキソビボの環境において化学的又は生化学的な方法によって化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬とともに、経皮パッチリザーバー(transdermal patch reservoir)に置かれた時、ゆっくり化合物に変換され得る。プロドラッグは、幾つかの状況において、化合物、又は親薬物よりも投与するのが容易であり得るので、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与により生物学的に利用可能であり得る一方で、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、親薬物以上に医薬組成物において改善された溶解度を有し得る。多種多様なプロドラッグ誘導体は、プロドラッグの加水分解又は酸化的活性化に依存するものなど、当該技術分野において知られている。
限定しないプロドラッグの例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、カルボン酸、活性な実体(active entity)に代謝的に加水分解される化合物である。更なる例は、化合物のペプチジル誘導体を含む。
【0134】
本明細書に開示される化合物は、治療上許容可能な塩として存在し得る。本発明は、酸付加塩を含む、塩の形態で上にリストされた化合物を含む。適切な塩は、有機酸及び無機酸の両方によって形成されたものを含む。このような酸付加塩は、通常、薬学的に許容可能である。しかしながら、薬学的に許容可能でない塩(non-pharmaceutically acceptable salts)の塩は、問題となっている化合物の調製及び精製に有用であり得る。塩基性の付加塩も形成され得、薬学的に許容可能であり得る。塩の調製及び選択のより十分な議論に関しては、Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use (Stahl, P. Heinrich. Wiley-VCHA, Zurich, Switzerland, 2002)を参照。
【0135】
本明細書において使用されるように、用語「薬学的に許容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」は、水溶性若しくは油溶性または分散性であり、および本明細書に定義されるような治療上許容可能である、本明細書に開示される化合物の塩または両性イオンの形態を表わす。塩は、化合物の最終的な分離および精製の間に、または遊離塩基の形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることにより、別々に調製され得る。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジパート、アルギン酸塩、L-アスコルビン酸塩、アスパルテート、ベンゾアート、ベンゼンスルフォナート(ベシレート)、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホネート、シトラート、ジグルコン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコラート、ヘミ硫酸塩、ヘプタノアート、ヘキサノアート、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヒドロヨージド、2-ヒドロキシエタンスルフォナート(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DLマンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチナート、2−ナフタレンスルフォナート、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩(phenylproprionate)、フォスフォン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、スクシナート、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ−トルエンスルフォン酸塩(p-トシラート)およびウンデカノアートを含む。また、本明細書に開示される化合物中の塩基性基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物、またはヨウ化物;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルの硫酸塩;デシル、ラウリル、ミスチルおよびステリルの塩化物、臭素物、及びヨウ化物;およびベンジルおよびフェネチル臭素により四級化することができる。治療上許容可能な付加塩を形成するために使用することができる酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸無機酸、およびシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸のような有機酸を含む。塩はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオンを有する化合物の調整によって形成することができる。従って、本発明は、本明細書に記載される化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩が予期される。
【0136】
塩基付加塩は、しばしば、カルボキシ基を、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩のような適切な塩基と、またはアンモニア若しく有機第一級アミン、第二級アミン若しくは第三級アミンと、反応させることによって、化合物の最終的な分離および精製中に調製することができる。治療上許容可能な塩のカチオンは、リチウム、ナトリウム(例えばNaOH)、カリウム(例えばKOH)、カルシウム(Ca(OH)2を含む)、マグネシウム(Mg(OH)2および酢酸マグネシウムを含む)、亜鉛(Zn(OH)2および酢酸亜鉛を含む)およびアルミニウムと同様、アンモニウムのような無毒な第四級アミンカチオン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミンおよびN,N’-ジベンジルエチレンジアミンを含む。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、コリンヒドロキシド、ヒドロキシエチルモルホリン、ヒドロキシエチルピロリドン、イミダゾール、n-メチル-d-グルカミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエタノールアミン、N,N’-ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンを含む。l-グリシンおよびl-アルギニンのような塩基性アミノ酸、およびベタイン(N,N,N-トリメチルグリシン)のような中性のpHで両性イオンであり得るアミノ酸もまた予期される。
【0137】
特定の実施形態において、塩は、本明細書に開示される化合物のカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛およびピペラジンの塩を含み得る。
【0138】
本明細書に開示される塩は、1:1の分子比で結合し得、そして、実際、これが、それらがしばしば最初に合成される方法である。しかしながら、塩内での1つのイオンの他方に対する化学量論は異なり得ることが当業者よって認識される。本明細書に示された塩は、表記法の便宜のために、1:1の比率で示され得るが;あらゆるあり得る化学量論の配置は、本発明の範囲によって包含される。
【0139】
用語「多形体(polymorphs)」、および「多形形態(polymorphic forms)」および本明細書の関連語は、同じ分子の結晶形を指し、および異なる多形体は、結晶格子中の分子の配置または配座の結果として、例えば、融解温度、融解熱、溶解性、溶解速度及び/又は振動スペクトルなどの異なる物理的性質を有し得る。多形体によって示された物理的性質の違いは、貯蔵安定性、圧縮性および密度(製剤および生成物製造において重要)など製薬のパラメーターおよび溶解速度(バイオアベイラビリティの重要な因子)に影響を与える。安定性の違いは、化学反応性の変化(例えば、ある多形体で構成された時、別の多形体で構成された時より剤形がより急速に変色するというような酸化の差異)、または機械的な変化(例えば、錠剤が保管時に砕けて、動態学的に恵まれた多形体として、熱力学的により多くの安定した多形体に変わる)、またはその両方(例えば、1つの多形体の錠剤は高湿度での分解により弱い)の変化からの結果生じ得る。溶解度/分解の差の結果、1つの極端な場合には、いくつかの多形性の遷移は、潜在能力の欠如を結果として生じ得、あるいは、他の極端な場合には、毒性を結果として生じ得る。さらに、結晶の物理的性質は、プロセシングにおいて重要であり得、例えば、1つの多形体は、溶媒和物を形成する可能性がありそうであり、またはろ過し、洗浄し、不純物を取り除くことが難しいかもしれない(すなわち、粒子形状と粒度分布は多形体間で異なるかもしれない)。
【0140】
当該技術分野で知られているように、分子の多形体は多くの方法によって得ることができる。そのような方法は、限定されないが、融解再結晶(melt recrystallization)、融解冷却(melt cooling)、溶媒再結晶、脱溶媒和、急速蒸発、急速冷却、徐冷、ガス拡散および昇華を含む。
【0141】
多形体を特徴づけるための技術は、限定されないが、示差走査熱量測定法(DSC)、粉末X線回折法(XRPD)、単結晶X線回析法、震動分光法、例えばIRおよびラマン分光法、固体NMR、ホットステージ光学式顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、電子結晶学および定量分析、粒径分析(PSA)、表面積分析、溶解度研究および溶解試験を含む。
【0142】
用語「溶媒和物」は、本明細書において使用されるように、溶媒を含んでいる基質の結晶形態を指す。用語「水和物」は、溶媒が水である溶媒和物を指す。
【0143】
用語「脱溶媒和された溶媒和物」は、本明細書において使用されるように、溶媒和物から溶媒を取り除くことによってのみ作ることができる基質の結晶形態を指す。
【0144】
用語「非晶質の形態」は、本明細書において使用されるように、基質の非晶質の形態を指す。
【0145】
用語「溶解度」は、一般的には、用語「水溶解度」と同義になることが意図され、生理学的条件下で見出されるように、水または水溶液または緩衝液の中に溶ける化合物の能力および能力の程度を指す。水溶解度は、それ自体において、またはそれ自体が、有用な定量的尺度であるが、それは、当業者に明らかであろういくつかの限定を伴って、経口のバイオアベイラビリティの相関と予測(correlate and predictor)としてさらなる有用性を有している。実際には、溶解性の化合物が、一般的に望ましく、可溶性であればある程より良い。顕著な例外があり;例えば、時間にわたって安定しているとき、デポ注射として投与されることが意図される特定の化合物は、注射部位から血漿へのゆっくりした放出を助け得るので、低い溶解度から恩恵を受けることがある。溶解度は、典型的には、mg/mLで報告されるが、g/gのような他の尺度が使用されてもよい。典型的に許容可能であると考えられる溶解度は、1mg/mLから数百または数千mg/mLまでの範囲であり得る。
【0146】
本明細書に開示の化合物およびプロドラッグは、未加工の化学物質として投与されることが可能であり得る一方で、それらを医薬製剤として提示することも可能である。従って、本明細書には、本明細書に開示される1以上の特定の化合物及びプロドラッグ、またはその1以上の薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、または溶媒和物を、薬学的に許容可能な担体および随意に1以上の他の治療成分と一緒に含む、医薬製剤が提供される。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。任意の周知の技術、担体及び賦形剤が、適切なものとして、および当該技術分野において(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて)理解されるように、使用され得る。本明細書に開示される医薬組成物は、当該技術分野に公知の任意の方法で、例えば、従来の、混合、溶解、造粒、ドラゼー製法、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、又は圧縮のプロセスの手段によって製造され得る。
【0147】
最も適切な経路は、例えば、レシピエントの疾病および障害に依存し得るが、製剤は、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、および髄内を含む)、腹腔内、口腔粘膜、経皮、鼻腔内、直腸および局所(真皮、バッカル、舌下および眼内)の投与に適しているものを含む。製剤は、単位投与形態で好都合に提示され得、薬学の技術分野に周知の任意の方法によって調製され得る。典型的に、これらの方法は、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、または溶媒和物(「活性成分」)を、1以上の副成分を構成する担体と関連させる工程を含む。一般に、製剤は、活性成分を、液体担体または微粉固体担体またはその両方と、一様にかつ密接に関連させ、その後、必要であれば、生成物を所望の製剤に形作ることによって調製される。
【0148】
経口投与に適した本明細書に開示される化合物およびプロドラッグの製剤(formulation)は、各々が活性成分の所定量を含んでいる、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別々の単位として、粉末剤または果粒剤として、水性液または非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油型の液状エマルジョンまたは油中水型の液状エマルジョンとして提供され得る。活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペースト剤として提供され得る。
【0149】
経口的に利用可能な医薬製剤(preparation)は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型(push fit)カプセル剤に加え、グリセロールまたはソルビトールなどの、ゼラチンおよび可塑剤で作られた軟い密閉カプセル剤を含む。錠剤は、随意に1以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られ得る。圧縮錠剤は、結合剤、不活性希釈剤、または平滑剤、界面活性剤または分散剤と随意に混合され、粉末剤または果粒剤などの自由流動形態で、活性成分を適切な機械において圧縮することによって調製され得る。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化された化合物の混合物を適切な機械において成型することにより作られ得る。錠剤は、随意にコーティングまたは刻み目をいれられ(scored)得、その中の活性成分の徐放または制御放出を提供するように製剤され得る。経口投与のためのすべての処方は、そのような投与に適した用量であるべきである。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および随意に安定剤との混合で、活性成分を含み得る。軟カプセル剤において、活性な化合物及びプロドラッグは、脂肪油、液動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が加えられ得る。糖衣錠コアは、適切なコーティングとともに提供される。この目的のために、濃縮された糖溶液が使用され得、それは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶剤または溶媒混合液を随意に含み得る。同定のために、または活性な化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、色素またはピグメントが、錠剤または糖衣錠コーティングに加えられ得る。
【0150】
化合物およびプロドラッグは、注入によって、例えば、ボーラス注入または持続注入によって、非経口投与のために製剤され得る。注入のための製剤は、単位剤形、例えば、アンプルまたは複数用量容器において、加えられた防腐剤とともに提供され得る。組成物は、油性または水溶性のビヒクル中の、懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形態をとり得、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含み得る。製剤は、単ー用量または複数用量の容器、例えば密閉されたアンプルおよびバイアルにおいて提示され得、使用の直前に、無菌の液体担体、例えば、生理食塩水または無菌の発熱性物質を含まない水の付加のみを必要とする、粉末形態または冷凍乾燥(凍結乾燥)された状態で貯蔵され得る。即席の注射液および懸濁液は、以前に記載された種類の無菌の粉末剤、果粒剤および錠剤から調製され得る。
【0151】
非経口投与のための製剤は、製剤を、指定されたレシピエントの血液と等張性にする、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含み得る活性化合物およびプロドラッグの水性および非水性(油性)の無菌の注入溶液;および懸濁剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性の無菌の懸濁液を含む。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、胡麻油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水溶性の注入懸濁液は、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液はまた、化合物およびプロドラッグの溶解度を増加させることで高濃縮溶液の調製を可能にする、適切な安定剤または薬剤を含み得る。
【0152】
以前に記載された製剤に加えて、化合物又はプロドラッグはまた、デポ製剤として製剤され得る。このような長時間作用する製剤は、(例えば皮下または筋肉内の)注入または筋肉内注射によって投与され得る。従って、例えば、化合物およびプロドラッグは、適切なポリマーまたは(例えば許容可能な油内でのエマルジョンのような)疎水性材料またはイオン交換樹脂とともに、または難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤され得る。
【0153】
口腔内または舌下投与のために、組成物は、従来の方法で製剤された、錠剤、ロゼンジ、香錠、またはゲルの形態をとり得る。このような組成物は、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴムなどの香料ベースの活性成分を含み得る。
【0154】
化合物およびプロドラッグはまた、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含む、坐剤または停留浣腸剤などの直腸の組成物において製剤され得る。
【0155】
本明細書に開示される特定の化合物およびプロドラッグは、局所的に、すなわち非全身性の投与によって投与され得る。これは、化合物が著しく血流に入らないように、表皮または口腔の外側への本明細書に開示される化合物の適用、および耳、目および鼻へのそのような化合物の注入を含む。対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内および筋肉内の投与を指す。
【0156】
局所投与に適した製剤は、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤またはペースト剤などの、皮膚を介して炎症の部位に浸透させることに適した液体または半液体の製剤、および目、耳または鼻への投与に適した点滴剤を含む。局所投与のための活性成分は、例えば、製剤の0.001%から10%w/w(重量によって)まで含み得る。特定の実施形態において、活性成分は、10%w/wも含むかもしれない。他の実施形態において、それは、5%w/w未満を含むかもしれない。特定の実施形態において、活性成分は、2% w/wから5%w/wまで含むかもしれない。他の実施形態において、それは、製剤の0.1%から1%w/wまで含むかもしれない。
【0157】
吸入による投与のために、化合物は、注入器、噴霧器で加圧されたパック、またはエアゾルスプレーを送達する他の便利な手段から送達され得る。加圧されたパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスなどの適切な噴霧剤を含み得る。加圧されたエアロゾルの場合、投与単位は、測定された量を送達するための弁を提供することによって決定され得る。代わりに、吸入またはガス注入による投与のために、本発明に開示される化合物およびプロドラッグは、乾燥粉末組成物、例えば化合物の粉末混合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の形態をとり得る。粉末組成物は、単位剤形で、例えば、カプセル剤、カートリッジ、ゼラチンまたはブリスターパックにおいて提供され得、それらから粉末剤は、吸入器または注入器の助けで投与され得る。
【0158】
鼻腔内の送達は、CNS(中枢神経系)に化合物を送達するのに特に役立ち得る。鼻腔内の投薬が、脳と脊髄にニューロトロフィンおよび他の治療薬を送達するための血液脳関門(BBB)を迂回する非侵襲的な方法であることが示された。鼻からCNSまでの送達は、嗅覚と三叉神経の両方の神経経路によって数分内に生じる。鼻腔内の送達が細胞外の経路によって生じて、薬物がいずれかの受容体に結合したり、または軸索内輸送を受けたりすることを必要としない。鼻腔内の送達はまた、鼻が関係するリンパ組織(NALT)および深頸リンパ節を標的とする。さらに、鼻腔内に投与された治療薬は、血管壁および脳血管(cerebrovasculature)の血管周囲腔においてハイ・レベルで観察される。動物モデルにおいてこの鼻腔内の方法を使用して、研究者は、成功裏に、脳卒中損傷を減らし、アルツハイマー病の神経変性を回復させ、不安を低減し、記憶を改善し、大脳の神経新生を刺激し、および脳腫瘍を処置した。ヒトにおいて、鼻腔内のインスリンは、正常な成人およびアルツハイマー病の患者において、記憶を改善することを示した(Hanson LR and Frey WH, 2nd, J Neuroimmune Pharmacol. 2007 Mar;2(1):81-6. Epub 2006 Sep 15)。
【0159】
好ましい単位投与量の製剤は、本明細書の下記に詳述されるような有効量、またはその適切な分の(appropriate fraction)活性成分を含んでいる製剤である。
【0160】
例えば特に上に言及された成分に加えて、上に記載された製剤が、その型の製剤に関して当該技術分野で従来の他の薬剤を含み得、例えば、経口投与に適した製剤は、香料を含み得る、ということが理解されるに違いない。
【0161】
化合物およびプロドラッグは、1日当たり0.1〜500mg/kgの用量で、経口的にまたは注入によって投与され得る。成人のヒトのための用量範囲は、一般に、5mg〜2g/日までである。別々の単位で提供される錠剤または他の提示の形態は、そのような投与に有効である、または多数の同様のもの、例えば、5mg〜500mgまで、通常約10mg〜200mgまでである、量を含んでいる単位として、1以上の化合物またはプロドラッグを、好都合なことに含み得る。
【0162】
単一の剤形をもたらすために担体物質と組み合わせられ得る活性成分の量は、処置される宿主および投与の特定の様式に依存して変化する。
【0163】
化合物およびプロドラッグは、様々な様式で、例えば、経口、局所、または注入によって投与され得る。患者に投与される化合物の正確な量は、担当する医師の責任となる。任意の特定の患者のための特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の時間、投与の経路、排出の割合(rate of excretion)、複合薬、処置されている正確な障害、および処置されている兆候または症状の重症度を含む、様々な要因に依存する。また、投与の経路は、疾病およびその重症度に依存して変化し得る。
【0164】
特定の例では、本明細書に記載される化合物およびプロドラッグ(あるいは薬学的に許容可能な塩またはそのエステル)の少なくとも1つを、別の治療薬と組み合わせて投与することが適切であり得る。ほんの一例として、患者がアクチニド中毒の処置のために本明細書の化合物の1つを受けた時見舞われる副作用の1つが、適切な機能のために身体によって必要とされる必須微量元素の喪失であるならば、適切な機能のために身体によって必要とされる必須微量元素の補足物質(例えば、亜鉛、マグネシウム)と組み合わせて、強力なキレート剤を投与し、キレート療法のために意図せずに失われる必須微量元素を交換することが適切かもしれない。または、ほんの一例として、本明細書に記載される化合物の1つの治療効果は、アジュバントの投与によって高められ得る(すなわち、アジュバント自体は最低限の治療的有用性を有し得るだけであるが、別の治療剤と併用することで、患者に対する全体的な治療的有用性が高められ得る)。または、ほんの一例として、患者にもたらされた有用性は、本明細書に記載の化合物の1つを、同様に治療的有用性を有する別の治療薬剤(同様に治療レジメンを含む)と併用することで増幅され得る。ほんの一例として、本明細書に記載の化合物の1つの投与を伴う、サラセミア病のための処置において、増加した治療効果は、サラセミア病(thalassemis)のための別の治療薬(例えばデフェロキサミン)も患者に提供することにより生じ得る。いかなる場合でも、治療されている疾患、障害、疾病にかかわらず、患者にもたらされる全体的な効果は、2つの治療剤を単に加算しただけのものであることもあれば、患者が相乗効果を受けることもある。
【0165】
可能な併用療法の特定の制限しない例は、次のものと一緒に本発明の特定の化合物を使用することを含む:デフェラシロクス、デフェリプロン、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DMSA(ジメルカプトコハク酸)、DMPS(ジメルカプトプロパンスルホン酸塩)、BAL(ジメルカプロール)、BAPTA(アミノフェノキシエタン-テトラ酢酸)、D−ペニシラミンおよびαリポ酸。
【0166】
いかなる場合も、複数の治療薬(その少なくとも1つは本明細書に開示される化合物である)は、任意の順番で、または同時にさえ投与され得る。同時に複数の治療薬剤を投与する場合、治療薬剤は、単回用の統一された形状で、又は複数回用の形状で(ほんの一例だが、1つの丸薬又は2つの別の丸薬のどちらかで)提供され得る。このような治療薬の1つは複数回の投与で与えられ得、又は、両方が複数回投与として与えられ得る。同時でないとき、複数回投与の間のタイミングは、数分から4週までの範囲の時間の任意の持続時間であり得る。
【0167】
従って、別の態様において、特定の実施形態は、処置を必要とするヒトまたは動物の被験体において金属毒性に関する障害および兆候を処置するための方法を提供し、当該処置は、被験体において前記障害を有効に低減または予防するために、本明細書に開示される化合物の量を、当該技術分野に公知の前記障害の処置のための少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて、前記被験体に投与する工程を含む。関連する態様において、特定の実施形態は、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物を含む治療的な組成物を、金属毒性に関連する障害および兆候を処置するための1以上のさらなる薬剤と組み合わせて提供する。
【0168】
本明細書に開示される化合物、組成物および方法によって処置される具体的な疾患は、無トランスフェリン血症、セルロプラスミン欠乏症またはフリートライヒ運動失調症などの、身体における鉄過剰症または鉄の不均等分布若しくは再分布;重症型および中間型のベータサラセミアのような輸血鉄過剰症、鎌状赤血球貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、鉄芽球性貧血、慢性溶血性貧血、治療終了後の白血病(off-therapy leukemias)、骨髄移植または骨髄異形成症候群;遺伝性ヘモクロマトーシス、または晩発性皮膚ポルフィリン症などの食事性鉄の過剰吸収を結果として生じる遺伝的な疾病;肝炎などの過剰食事性鉄吸収を結果として生じる後天性疾患;および他の肝疾患;ランタニドまたはアクチニド急性中毒または慢性の過剰症を含む。
【0169】
ヒトの処置のために有用であることに加えて、本明細書に開示される特定の化合物および製剤は、哺乳動物、齧歯類などを含む、伴侶動物、珍しい動物(exotic animal)および家畜の獣医学的処置に有用でもある。より多くの好ましい動物は、馬、犬、および猫を含む。
【0170】
本出願において引用されるすべての参照、特許または出願(米国または外国)は、それらの全体が本明細書に記載されているかのように、引用によって本明細書に組み込まれる。任意の矛盾が生じる場合は、文字通りに本明細書に開示される資料が規制する。
【0171】
<化合物を調製するための一般的な合成方法>
本発明のプロドラッグが形成され得る特定の化合物は、Bergeron, RJ et al., “Design, Synthesis, and Testing of Non-Nephrotoxic Desazadesferrithiocin Polyether Analogues,” J Med Chem. 2008, 51(13), 3913-23に記載のように合成することができる。
【0172】
以下の模式図(scheme)は、本発明を実行するために使用され得る。
【0173】
【化9】

【0174】
【化10】

【0175】
本発明は、さらに、以下の実施例によって説明される。
【実施例】
【0176】
<実施例1>
【0177】
【化11】

【0178】
窒素の不活性雰囲気によりパージされ、維持された50mLの三ツ口(3-necked)丸底フラスコへ、N, N-ジメチルホルマミド(10 mL)、2-ヨードプロパン(810 mg, 4.76 mmol, 1.90当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(614mg, 4.73mmol, 1.90当量)中の(S)-2-(2-ヒドロキシ-3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸(1 g, 2.51mmol, 1.00当量)を入れた。得られた溶液を、油浴中で、室温で7日間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。粗製の生成物(1g)を、Prep-HPLC(AGILENT Pre-HPLC;カラム: SunFire Prep C18, 5um, 19*100mm; 移動相, 0.05% TFA水溶液およびCH3CN (50%のCH3CN 70%まで6分間、100%まで0.1分間、0.9分間100%に保持;検出器, UV 254 & 220 nm)によって精製し、黄色油として300mg (27%)の(S)-イソプロピル2-(2-ヒドロキシ-3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボキシレートを得た。LC-MS: (ES, m/z): 442[M+H]+. HNMR (DMSO-d6, 300 MHz, ppm): δ12.58 (br, 1 H), 7.18 (t, J = 0.9 Hz, 1 H), 7.05 (t, J = 0.9 Hz, 1 H), 6.86 (t, J = 7.8 Hz, 1 H), 4.98 (m, 1 H), 4.12 (m, 2 H), 3.76 (m, 3 H), 3.61〜3.35 (m, 9 H), 3.22 (s, 3 H), 1.58 (s, 3 H), 1.24 (m, 6 H)。
【0179】
<実施例2>
【0180】
【化12】

【0181】
窒素の不活性雰囲気によりパージされ、維持された50mLの三ツ口(3-necked)丸底フラスコへ、ジクロロメタン/ピリジン(4.6/4.6 mL)、ピロリジン-1-カルボニルクロリド(905mg, 6.80mmol, 13.00当量)、トリエチルアミン (157.86 mg, 1.56 mmol, 3.00 当量), 4-ジメチルアミノピリジン(Cat.4 mg, 0.01 当量)中の(S)-イソプロピル2-(2-ヒドロキシ-3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボキシレート(230 mg, 0.52 mmol, 1.00 当量)溶液を入れた。得られた溶液を、油浴中で、室温で3時間攪拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。粗製の生成物(300mg)を、下記の条件で(AGILENT Pre-HPLC (UV検出(UV-Directed)))、Prep-HPLCによって精製した:カラム, SunFire Prep C18, 5um, 19*100mm;移動相, 0.05%のTFAを含む水およびCH3CN (45%のCH3CN 65%まで7分間, 100%まで0.1分間, 0.9分間100%に保持);検出器, UV 220&254nm。240mgの生成物を得た。この結果、黄色油として、240 mg (85%)の(S)-イソプロピル 2-(3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ) エトキシ) エトキシ)-2-(ピロリジン-1-カルボニルオキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボキシレートを得た。LC-MS: (ES, m/z): 539[M+H]+. HNMR (CDCl3, 300MHz, ppm):δ7.58(d, J=7.2Hz, 1H),7.21(t, J=8.1Hz, 1H), 7.10(d, J=5.1Hz, 1H), 5.10(m,1H),4.20(m, 2H), 3.85(m,3H), 3.75〜3.45(m,12H), 3.40(s,3H), 3.26(d, J=11.4Hz,1H), 1.97(m,4H) , 1.66(s,3H),1.30(m,6H)。
【0182】
<実施例3>
<実施例2>
【0183】
【化13】

【0184】
50mLの丸底フラスコへ、メタノール(20 mL)、水酸化ナトリウム(0.4 mL, 4.00 当量, 2N)中の(S)-イソプロピル2-(3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(ピロリジン-1-カルボニルオキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボキシレート(100 mg, 0.18 mmol, 1.00 当量, 95%)溶液を入れた。得られた溶液を、油浴中で、20℃で2時間撹拌した。溶液のpH値を、酢酸/メタノールによって7に調節した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(30:1〜10:1)を備えるシリカゲルカラム上に適用した。この結果、淡黄色油として、60mg(66%)の(S)-2-(3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(ピロリジン-1-カルボニルオキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸を得た。LC-MS: (ES, m/z): 497 [M+H]+. HNMR (CDCl3, 400MHz, ppm): δ 7.43(d, J=8Hz, 1H), 7.20(t, J=8Hz, 1H), 7.11(d, J=8Hz, 1H), 4.18(m, 2H), 3.83(m, 2H), 3.71〜3.29(m, 18H), 1.98(m, 4H).
【0185】
<実施例4>
【0186】
【化14】

【0187】
窒素の不活性雰囲気によりパージされ、維持された50mLの三ツ口(3-necked)丸底フラスコへ、ジクロロメタン/ピリジン(4.6/4.6 mL)、メチル(フェニル)カルバミン酸クロリド(1.06 g, 6.25 mmol, 12.00 当量)、トリエチルアミン(157.86 mg, 1.56 mmol, 3.00 当量)、4-ジメチルアミノピリジン(CAT0.4 mg, 0.01 当量)中の(S)-イソプロピル2-(2-ヒドロキシ-3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ) フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボキシレート(230 mg, 0.52 mmol, 1.00 当量)溶液を入れた。得られた混合物を、油浴中で、室温で3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。粗製の生成物(280mg)を、下記の条件(AGILENT Pre-HPLC(UV検出))で、Prep-HPLCによって精製した:カラム, SunFire Prep C18, 5um, 19*100mm;移動相, 0.05%のTFAを含む水およびCH3CN (50% CH3CN 70%まで7分間, 100%まで0.1分間, 0.9分間100%に保持);検出器, UV 220&254nm。220mgの生成物を得た。この結果、黄色油として、220 mg (73%)の(S)-イソプロピル 2-(3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ) エトキシ) エトキシ)-2-(メチル (フェニル) カルバモイルオキソ) フェニル)-4-メチル-4, 5-ジヒドロチアゾール-4-カルボキシレートを得た。LC-MS: (ES, m/z): 575[M+H]+. HNMR (CDCl3, 300 MHz, ppm): δ 7.70〜7.05 (m, 8 H), 5.10 (m, 1 H), 4.20 (m, 2 H), 3.85 (m, 3 H), 3.75〜3.45 (m, 12 H), 3.40 (s, 3 H), 3.26 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 1.66 (s, 3 H), 1.30 (m, 6 H)。
【0188】
<実施例5>
【0189】
【化15】

【0190】
50mLの丸底フラスコへ、メタノール (20 mL), 水酸化ナトリウム (0.4 mL, 4.00 当量, 2N)中の(S)-イソプロピル 2-(3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ) エトキシ) エトキシ)-2-(メチル (フェニル) カルバモイルオキソ) フェニル)-4-メチル-4, 5-ジヒドロチアゾール-4-カルボキシレート (100 mg, 0.17 mmol, 1.00 当量, 95%)溶液を入れた。得られた溶液を、油浴中で、20℃で2時間撹拌した。溶液のpH値を、酢酸/メタノールによって7に調節した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(30:1〜10:1)を備えたシリカゲルカラム上に適用した。この結果、淡黄色油として、60 mg (65%)の(S)-2-(3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-(メチル(フェニル)カルバモイルオキソ)フェニル)-4-メチル-4, 5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸を得た。LC-MS: (ES, m/z): 533 [M+H]+. HNMR (CDCl3, 400 MHz, ppm): δ 7.54〜7.38 (m, 5 H), 7.19〜7.10 (m, 2 H), 4.21 (m, 2 H), 3.89 (s, 2 H), 3.73〜3.28 (m, 15 H)。
【0191】
<実施例6>
【0192】
【化16】

【0193】
窒素の不活性雰囲気によりパージされ、維持された50mLの三ツ口(3-necked)丸底フラスコへ、ピリジン(20 mL)、N, N-ジメチルピリジン-4-アミン(13 mg, 0.11 mmol, 0.22 当量, 99%)、無水イソ酪酸 (790 mg, 4.94 mmol, 10.39 当量, 99%)中の(S)-2-(2-ヒドロキシ-3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸(200mg, 0.48mmol, 1.00当量, 95%)溶液を入れた。得られた溶液を、油浴中で、25℃で2日間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール(30:1〜10:1)を備えたシリカゲルカラム上に適用した。この結果、淡黄色油として、35 mg (15%)の(S)-2-(2-(イソブチリルオキソ)-3-(2-(2-(2-メトキシエトキシ) エトキシ)エトキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸を得た。LC-MS: (ES, m/z): 470 [M+H]+. HNMR (CD3OD, 300 MHz, ppm): δ 7.41〜7.30 (m, 3 H), 4.18 (m, 2 H), 3.97 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 3.8 (m, 2 H), 3.62 (m, 6 H), 3.55 (m, 2 H), 3.40 (d, J =11.4 Hz, 1 H), 3.36 (m, 3 H), 2.92 (m, 1 H), 1.65 (s, 3 H), 1.35 (m, 6 H)。
【0194】
本発明は、さらに、以下の実施例によって説明され、それはまだ実施または試験されていないかもしれない。
【0195】
<実施例7>
【0196】
【化17】

【0197】
<実施例8>
【0198】
【化18】

【0199】
<実施例9>
【0200】
【化19】

【0201】
<実施例10>
【0202】
【化20】

【0203】
以下の化合物は、一般的に、当該技術分野で既知の方法、および上記の方法を使用して作製することができる。作製されると、これらの化合物は、上記の実施例において作製された化合物と類似の活性を有していることが予期される。
【0204】
本発明は、さらに、以下の例によって説明される。以下の化合物は、Simplified Molecular Input Line Entry SystemすなわちSMILESを使用して本明細書に示され得る。SMILESは、David WeiningerおよびDaylight Chemical Information Systems, Inc.によって開発された現代の化学表記法であり、それは、すべての主要な市販の化学構造作図ソフトウェア・パッケージに組み込まれている。ソフトウェアは、SMILESのテキスト文字列を理解するためには必要ではなく、および、SMILESを構造に変換する方法の説明は、Weininger, D., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 1988, 28, 31-36において見つけることができる。多くのIUPAC名のみでなく、本明細書に使用されるすべてのSMILES文字列を、CambridgeSoft’s ChemDraw 11.0を使用して作成した。
【0205】
【化21】

【0206】
【化22】

【0207】
【化23】

【0208】
【化24】

【0209】
【化25】

【0210】
【化26】

【0211】
【化27】

【0212】
【化28】

【0213】
【化29】

【0214】
【化30】

【0215】
【化31】

【0216】
【化32】

【0217】
【化33】

【0218】
【化34】

【0219】
【化35】

【0220】
【化36】

【0221】
キレート剤としてのDADFTポリエーテルのプロドラッグの活性は、以下のアッセイで示され得る。上にリストされた化合物は、まだ作製及び/又は試験されていないが、これらのアッセイにおいて、同様に活性を有することが予想される。
【0222】
<インビトロの薬物動態学安定評価>
化合物を、ヒト全血中の代謝の安定性に関して試験した。そのような試験は、望ましい薬物動態学の特性について化合物を同定するために、高度な前臨床の試験前に、またはその試験と共に一般に試みられる。6本の遠心管の各々へ、試験化合物2μLと、正常で健康なボランティアから採ったヒト全血198μLを加え、5μMの終末濃度を達成した。その後、オービタルシェイカー(orbital shaker)上でおよそ100rpmで、37℃で管をインキュベートした。管のうちの1つを、0、0.5、1、4、6および24時間を含む指定の時点に取りだした。反応を、冷たいメタノール4容量を加えることによって止めた。サンプルを20分間20,000rpmで遠心分離にかけ、タンパク質を沈殿させた。各々の時点で、各化合物に関して、上清の200μLのアリコートをLC/MS/MS分析に使用した。実験はすべて、2回行った(performed in duplicate)。LCシステムは、脱気装置DGU-20A3、溶媒送達装置LC-20AD、システム制御装置CBM-20A、カラムオーブンCTO-10ASVPおよびCTC Analytics HTC PAL Systemを装備された島津の液体クロマトグラフィー分離システムを含んだ。質量分光分析を、AB Inc. (カナダ)からのAPI 4000計器を使用して、ESIインターフェースによって、行った。データ収集と制御系を、AB Inc.からのAnalyst1.5ソフトウェアを使用して作成した。全ての計算を、マイクロソフト・エクセル(2003)を使用して行った。各々の時点に残っている化合物の百分率を、抽出されたイオンクロマトグラムからピーク面積を測定することにより推測した。
【0223】
【表1】

【0224】
<DADFTポリエーテルのプロドラッグの鉄の除去効率>
<鉄過剰症でないラット(Non-Iron-Overloaded Rats)における胆管のカニューレ挿入>カニューレ挿入は、Bergeron, RJ et al., Blood 1993, 81, 2166-2173およびBergeron, RJ et al., Ann. N.Y Acad.Sci. 1990, 612, 378-393に以前に記載された。胆液サンプルを、24時間の間、3時間の間隔で、雄のスプラーグドリーラット(400-450g)から集める。24時間の時点で、尿サンプルを取る。サンプル収集と取扱いは以前に記載されている。
【0225】
<薬物調製および投与>鉄の除去実験において、ラットに、po(経口投与)及び/又はsc(皮下注射)で、単一回の50、150、または300mol/kgの薬物を投与する。化合物を、水溶液として(as a solution in water)、300mol/kgの服用量のみ、または(2)(1当量のNaOHの遊離酸の付加によって調製された)目的の化合物の一ナトリウム塩として、投与する。キレート化剤を、po及びscで、150 tmol/kgの用量で猿に与える。薬物をラットに関しては調製し(The drugs are prepared as for the rats);2は、水溶液としてpo及びscで与える(2 is given po and sc as a solution in water.)。
【0226】
<鉄キレート化剤の効率(Iron Chelator Efficiency)の計算>ICEを、取り除かれるべき理論的な値で、与えられた化合物によって取り除かれた鉄の実際の量を割ることによって計算する。キレート化剤の理論的な鉄の排出量は、2:1のリガンド:鉄錯体に基づいて生じる。ラットとサルにおける効率を、Bergeron, RJ et al., J. Med. Chem. 1999, 42, 2432-2440で述べられたように、計算する。データを、平均+平均値の標準誤差として提示し;p値は、平方偏差の不平等(inequality of variances)が推定される片側スチューデントt検定(one-tailed Student’s 1-test)によって生成し;および、p値<0.05は、有意と考えられる。
【0227】
<鉄過剰症でない齧歯類(Non-Iron-Overloaded Rodents)におけるキレート化剤に誘発された鉄の除去および鉄の除去効率:用量反応研究(Dose Response Studies)>任意の与えられた時間において動物内で利用可能な、キレート可能な(chelatable)鉄の制限された量があるので、鉄の排除は飽和し、故に、鉄の排除効率は飽和する。この事象を管理するための鍵は、鉄動態およびリガンドの用量反応の特性に見出され得る。この点において、poで与えられた各々の化合物の対応する鉄動態に加えて、用量反応を、鉄過剰症でない、カニューレが胆管挿入された齧歯類モデルにおいて評価する。
【0228】
<鉄過剰症でない齧歯類および鉄過剰症の霊長類における鉄の排除効率:皮下投与に対する経口投与>結果の一致を確認し、および種にわたる化合物の効果を比較するために、同様の試験プロトコルを実行する。フサオマキザルおよび雄のスプラーグドリーラット(各群3−8匹)を使用する。
【0229】
上記の鉄の排除効率(Iron−Clearing Efficiency)プロトコルおよびデータを、Bergeron, RJ et al., “Design, Synthesis, and Testing of Non-Nephrotoxic Desazadesferrithiocin Polyether Analogues,” J Med Chem. 2008, 51(13), 3913-23から採用する。組織分布、毒性および薬物動態に関係するさらなるデータを、この刊行物において見出すことができる。式Iのプロドラッグは、このアッセイにおいて有効性を示すと予想される。
【0230】
<ランタニドおよびアクチニドのキレート剤としてのDADFTポリエーテルのプロドラッグ>ランタニドとアクチニド系列のキレート化剤としての、本発明に係る化合物の活性を確かめるために、Rao L, Choppin GR, and Bergeron RJ, Radiochim. Acta. 88, 851 -856 (2000)におけるプロトコルを使用することができ、随意に、応用が当業者に明白である。式Iのプロドラッグは、このアッセイでは有効性を示すと予想される。
【0231】
前述の記載から、当業者は、本発明の欠くことのできない特徴を容易に確かめることができ、様々な使用および疾病にそれを適応させるために、その精神及び範囲を離れることなく、本発明の様々な変更および修正を加えることができる。本明細書において引用された全ての参照、特許および出願(米国のものも外国のものも)は、本明細書に書かれているかのように、本明細書によって引用として組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物であって、
式中、
R1、R2、R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロキシ、OXR7、及びCH3O((CH2)n-O)m-から独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、アラルキル、及びアリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、
R1〜R5の少なくとも1つは、随意に置換されたOXR7であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ないことを特徴とする化合物。
【請求項2】
構造式II:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物であって、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル、又は低級ヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ないことを特徴とする化合物。
【請求項3】
mは2であり、nは3であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
XはC(O)であり、及び
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得ることを特徴とする請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R7は、イソプロピルであることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成することを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンから選択される、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成することを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、水素、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
R8は、イソブチルであり、
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、及び
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、
R9は、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項11】
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
構造式III:
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物であって、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及びアラルキルから選択され、
R9は、水素、アルキル、及びアラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ないことを特徴とする化合物。
【請求項13】
mは2であり、nは3であることを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
XはC(O)であり、
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得ることを特徴とする請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成することを特徴とする請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンから成る群から選択される、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成することを特徴とする請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、水素、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項13に記載の化合物。
【請求項20】
R8は、イソブチルであり、
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
構造式IV:
【化4】

を有する、請求項1に記載の化合物であって、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ないことを特徴とする化合物。
【請求項22】
mは2であり、nは3であることを特徴とする請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
XはC(O)であり、及び
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得ることを特徴とする、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成することを特徴とする請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンから成る群から選択される、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成することを特徴とする請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、水素、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項29】
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
構造式V:
【化5】

を有する、請求項1に記載の化合物であって、
式中、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、
R6は、OR8及びSR9から選択され、
R7は、水素、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得、
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R9は、水素、低級アルキル、及び低級アラルキルから選択され、
R10及びR11は、各々、水素、低級アルキル、及びアリールから独立して選択され、それらはどれも随意に置換され得、又は一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールを形成し得、及び
Xは、1つの結合及びC(O)から選択され、
ここで、R1〜R5の少なくとも1つは、CH3O((CH2)n-O)m-であり、及び
R7、R8、及びR9は、すべてが水素ではあり得ないことを特徴とする化合物。
【請求項31】
mは2であり、nは3であることを特徴とする請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
XはC(O)であり、及び
R7は、NR10R11、低級アルキル、低級アラルキル、及び低級アリールから選択され、それらはどれも随意に置換され得ることを特徴とする請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、低級ヘテロシクロアルキルを形成することを特徴とする請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
R7はNR10R11であり、一緒に取り込まれたR10及びR11は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、ジアゼピン、ピペラジン、又はアゼチジンから成る群から選択される、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを形成することを特徴とする請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
R8は、水素、C4-C8アルキル、及び低級アラルキルから選択され、及び
R9は、水素、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Xは、1つの結合であり、
R7は、水素であり、
R8は、C4-C8アルキル及び低級アラルキルから選択され、 及び
R9は、低級アルキル及び低級アラルキルから選択されることを特徴とする請求項31に記載の化合物。
【請求項38】
R8は、イソブチルであり、及び
R9は、エチル及びイソブチルから選択されることを特徴とする請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とともに、請求項1に記載の前記化合物を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項40】
請求項1に記載の治療上有効な量の化合物を、被験体に投与する工程を含むことを特徴とする被験体において金属媒介性の疾病を処置する方法。
【請求項41】
前記金属は、三価であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記疾病は、金属のキレート化、金属イオン封鎖、又は除去に対して反応性があることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記金属は、鉄であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記疾病は、鉄過剰症であることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記疾病は、体内における鉄の不均等分布又は再分布の結果であることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記疾病は、無トランスフェリン血症、無セルロプラスミン血症、及びフリードライヒ運動失調症から選択されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記疾病は、輸血鉄過剰症の結果であることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記疾病は、重症型及び中間型のベータサラセミア、鎌状赤血球貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、鉄芽球性貧血、慢性溶血性貧血、治療終了後の白血病、骨髄移植及び骨髄異形成の症候群から選択されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記疾病は、結果的に食事性鉄の過剰吸収を引き起こす、遺伝性の疾病であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記疾病は、遺伝性ヘモクロマトーシス及び晩発性皮膚ポルフィリン症から選択されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記疾病は、糖尿病であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記疾病は、結果的に過剰な食事性鉄の吸収を引き起こす、後天性疾患であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記疾病は、肝疾患であることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記疾患は、肝炎であることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記金属は、ランタニド又はアクチニドであることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項56】
前記疾病は、ランタニド又はアクチニドの過剰症であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項57】
鉄又は他の三価金属の身体の排泄を誘発する、請求項1に記載のその治療上有効な量の化合物は、被験体において0.2mg/kg/日より多いことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項58】
請求項1に記載のその治療上有効な量の化合物は、腎臓、骨髄、胸腺、肝臓、脾臓、心臓又は副腎に対する臨床的に明らかな毒性効果のない、少なくとも10mg/kg/日の投与量で与えられ得ることを特徴とする請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2013−500342(P2013−500342A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522939(P2012−522939)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/043241
【国際公開番号】WO2011/017054
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512019686)フェロキン バイオサイエンシーズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】