説明

金属含有コロイド粒子担持担体およびその製造方法

【課題】従来の担体物質に金属含有コロイド粒子を担持させる金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法に比べて簡易な操作により、金属含有コロイド粒子担持担体を製造する方法およびこの方法により得られた金属含有コロイド粒子担持担体を提供する。
【解決手段】無機系担体物質に1種以上の金属含有コロイド粒子が担持されてなる金属含有コロイド粒子担持担体であって、該担体物質に担持された金属含有コロイド粒子の平均粒子径が2〜200nmの範囲にあることを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体。第4周期元素イオン(ただしTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、GeまたはAsから選ばれる)、第5周期イオン(ただし、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、SnまたはSbから選ばれる)または第6周期イオン(ただし、Hf、Ta、W、Re、Os、Pt、Au、Ir、Hg、TI、PbまたはBiから選ばれる)の存在下、平均粒子径2〜200nmの金属含有コロイド粒子を担体物質に担持させることを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有コロイド粒子が担持された金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法およびその製造方法により得られる金属含有コロイド粒子担持担体に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒は、燃料電池における反応促進の他、有機物質合成、自動車排ガスの浄化等、各種の分野で使用されている。この様な触媒については、その多くはアルミナ、シリカ等の酸化物やカーボンといった多孔質体を担体とし、これに白金、ロジウム等を担持したものや、複数の金属が担持された多元系触媒が知られている。また、担体物質については、シリカ、ゼオライト、シリカーアルミナ複合体、セリアなどが用いられている。
【0003】
従来の、担体物質上に金属を含むコロイド粒子が担持してなる触媒の製造方法として、代表的なものひとつとして、多孔質の金属酸化物からなる担体にジニトロジアンミン白金や塩化白金酸、硝酸ロジウムといった金属塩溶液を含浸させ、還元雰囲気中で焼成する方法が知られている。また、前記多元系触媒についても、担持する複数の金属塩の溶液を調製し、これに担体を混合して複数の金属イオンを担体上に吸着させた、そして乾燥、焼成してなる製造方法が知られている。
【0004】
上記の製造方法も含めた担体物質上に金属を含むコロイド粒子を担持してなる触媒の製造方法としては、特許文献1には、金属酸化物などから成る微小な担体粒子の表面に、触媒活性をもつ微小な金属粒子を析出させる方法において、前記担体を合成する少なくとも一つの原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を、前記原料に照射し前記担体粒子を析出させる工程と、析出した前記担体粒子と触媒活性をもつ前記金属粒子を析出するための前記原料とに、同時に、前記原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を照射し、前記金属粒子を前記担体粒子の表面に析出させる工程と、析出した前記金属粒子を選別補収する工程とからなることを特徴とする触媒の製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、金属粒子及び/又は金属化合物粒子が該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護する数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物と共に固体担体に吸着担持されてなり、該高分子化合物及び該固体担体の少くとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さないことを特徴とする金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持複合体およびその製造方法として、分散媒、金属粒子及び/又は金属化合物粒子及び保護コロイド粒子作用を持つ数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物を含み、該粒子が該分散媒中に分散してコロイド粒子を形成し、且つ該高分子が該粒子に吸着して保護コロイド粒子として該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護してなるコロイド粒子分散液を提供し、該コロイド粒子分散液と固体担体とを接触させ、該高分子化合物および該固体担体の少なくとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さず、かくして、該高分子化合物で保護された該粒子が該固体担体に吸着されてなる粒子担持複合体を形成し、そして得られた複合体を該分散媒から単離することを特徴とする金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持複合体の製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献3には、金属含有イオン及び該金属含有イオンの還元により生成する金属粒子が担持される担体を含む溶液中にプロパルギルアルコールを加え、該金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を該担体上に担持した後、該担体を水素ガスを含有する還元性ガス中で熱処理して、該担体上の金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を金属含有コロイド粒子に還元することを特徴とする高分散金属含有コロイド粒子担持触媒の製造方法が開示されている。
【0007】
特許文献4には、担体となる固体物質の存在下、金属の化合物またはイオンを含有した、還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させるか、或いは、金属の化合物またはイオンを含有した、還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させた後に、担体となる固体物質を存在させることを特徴とする、金属含有コロイド粒子を表面に付着させた金属含有コロイド粒子付着担体の製造方法が開示されている。
【0008】
特許文献5には、周期表第4周期から第6周期の2B族、3B族、4B族、5B族、6B族及び第4周期8族の少なくとも1種の第二元素と金とを含有する金属粒子が担体上に担持された金属粒子担持体と、その製造方法として金及びその化合物の少なくとも1種ならびに第二元素及びその化合物の少なくとも1種を含む担体を熱処理することを特徴とする製造方法が開示されている。
【0009】
特許文献6には、窒化アルミニウム粒子を空気又は酸素存在下で焼成させ、当該窒化アルミニウム粒子の表面に酸化アルミニウム層を形成する酸化アルミニウム層形成工程と、該酸化アルミニウム層形成工程により得られた窒化アルミニウム粒子を、金属イオン又は金属粒子を含む水溶液に含浸させた後、乾燥させることにより、窒化アルミニウム担体に金属触媒を保持させる保持工程と、該保持工程で得られた窒化アルミニウム担体を空気又は酸素存在下で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする金属又は金属酸化物から成る金属触媒が窒化アルミニウムから成る担体に保持された触媒の製造方法が開示されている。
【0010】
特許文献7には、1種又は2種以上の遷移金属の金属塩を含む金属塩溶液を製造する工程と、前記金属塩溶液と、有機物と、1種又は2種以上の金属酸化物からなる多孔質担体とを溶媒に分散させ、原子数10〜50000の1種又は2種以上の遷移金属イオンと、前記遷移金属イオンに結合する有機物とからなる複合錯体を形成しつつ、該複合錯体を該多孔質担体上に担持させる工程と、前記複合錯体が担持された担体を焼成する工程とを含む触媒の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭61−268359号
【特許文献2】特開平5−293383号
【特許文献3】特開平6−31181号
【特許文献4】特開2003−13105号
【特許文献5】特開2003−53188号
【特許文献6】特開2003−144933号
【特許文献7】特開2005−270883号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記した従来技術では、焼成工程などが必要であるばかりか、焼成処理を行うために、触媒活性や触媒性能の再現性という点でも必ずしも満足するものではなかった。 このため、本発明の目的は、従来の担体物質に金属含有コロイド粒子を担持させる金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法に比べて簡易な操作により、担体物質上における金属含有コロイド粒子を担持させて、金属含有コロイド粒子担持担体を製造する方法およびこの方法により得られた金属含有コロイド粒子担持担体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような情況のもと、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の本発明の構成とすることで、上記課題を解決できることを見出した。
[1]第4周期元素イオン(ただしTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、GeまたはAsから選ばれる)、第5周期イオン(ただし、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、SnまたはSbから選ばれる)または第6周期イオン(ただし、Hf、Ta、W、Re、Os、Pt、Au、Ir、Hg、TI、PbまたはBiから選ばれる)の存在下、
次の(1)または(2)から選ばれる、平均粒子径2〜200nmの金属含有コロイド粒子;
(1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属含有コロイド粒子
(2)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPtから選ばれる2種以上からなる複合金属含有コロイド粒子
を担体物質に担持させることを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【0014】
[2]担体物質の懸濁液に、第4周期元素イオン(ただしTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、GeまたはAsから選ばれる)、第5周期イオン(ただし、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、SnまたはSbから選ばれる)または第6周期イオン(ただし、Hf、Ta、W、Re、Os、Pt、Au、Ir、Hg、TI、PbまたはBiから選ばれる)を担体物質100重量部に対して金属元素換算で2〜100重量部含有させ、このイオン含有懸濁液に、
15〜40℃で、次の(1)または(2)から選ばれる、平均粒子径2〜200nmの金属含有コロイド粒子を;
(1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属含有コロイド粒子
(2)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPtから選ばれる2種以上からなる複合金属含有コロイド粒子
担体物質100重量部に対して5〜180重量部添加して混合することを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【0015】
[3]前記第4周期元素イオン、前記第5周期元素イオンまたは前記第6周期元素イオンが、Ptイオン、Auイオン、SnイオンまたはPdイオンであることを特徴とする[1]または[2]の金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【0016】
[4]前記Ptイオン、Auイオン、Snイオン、Pdイオンが、塩化白金酸、塩化白金(IV)酸カリウム、塩化白金(IV)酸ナトリウム、テトラニトロ白金(II)カリウム、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸ナトリウム水和物、ジニトロジアンミン白金硝酸、ジニトロジアンミン白金アンモニアおよびテトラアンミンジクロロ白金水和物からなる群から選ばれる1種または2種以上の白金化合物、塩化金酸、亜硫酸金ナトリウム、シアン化金カリウムおよびシアン化金ナトリウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金化合物、硫酸第一スズ、酸化第一スズおよび塩化第一スズからなる群から選ばれる1種または2種以上のスズ化合物、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、クエン酸パラジウムおよび酢酸パラジウムからなる群から選ばれる1種または2種以上のパラジウム化合物から得られるものである[3]の金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【0017】
[5]前記担体物質がSi、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有するものである[1]〜[4]の金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
[6]前記製造方法で得られ、Si、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有する担体物質に、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属を含有する金属含有コロイド粒子が担持してなる金属含有コロイド粒子担持担体であって、該金属含有コロイド粒子の含有量が1〜50質量%の範囲にある金属含有コロイド粒子担持担体。
【0018】
[7]無機系担体物質に1種以上の金属含有コロイド粒子が担持されてなる金属含有コロイド粒子担持担体であって、該担体物質に担持された金属含有コロイド粒子の平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、
前記金属含有コロイド粒子が次の(1)または(2)から選ばれるものであることを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体。
(1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属含有コロイド粒子、
(2)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPtから選ばれる2種以上からなる複合金属含有コロイド粒子。
【0019】
[8]前記金属含有コロイド粒子が、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個存在する[7]の金属含有コロイド粒子担持担体。
[9]前記金属含有コロイド粒子担持担体に含まれる金属含有コロイド粒子担持担体の割合が1〜50質量%である[7]または[8]の金属含有コロイド粒子担持担体。
[10]前記無機系担体物質がSi、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有するものである[7]〜[9]の金属含有コロイド粒子担持担体。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法によれば、焼成工程などを経ることなく、簡易な手段により金属含有コロイド粒子を担体物質に担持することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の金属含有コロイド粒子担持担体およびその製造方法について詳細に説明する。
[金属含有コロイド粒子担持担体]
無機系担体物質
本発明に使用される担体物質については、金属含有コロイド粒子が担持可能な物質であれば、格別な制限はない。通常はSi、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有するものが使用される。この担体物質については、非晶質であっても、晶質であってもよく、合成物質、天然鉱物のいずれであっても構わない。通常、Si、Al、Ti、Ti、Zr、Ceは酸化物が使用され、Cはカーボン単体が使用される。酸化物は、複合酸化物であってもよく、さらに、NaやK、Feなどの成分を含んでいても良い。このような担体物質の具体例としては、シリカ粒子、シリカーアルミナ粒子、カーボン粒子、ゼオライト粒子(Y型、A型、モルデナイト型、ZSM-5型など、天然物でも合成物でもよい)、セリア(酸化セリウム)粒子、カオリン粒子、スメクタイト粒子、バーミキュライト粒子、雲母片などを挙げることができるが、これら限定されるものではない。
【0022】
また、担体物質の形状は特に限定されるものではない。担体物質の平均粒子径は担持される金属含有コロイド粒子の平均粒子径と同等またはそれ以上であれば特に限定されない。なお、担体物質が粒子状の場合は、例えば、後記画像解析により測定される平均粒子径で、30nm〜10μmが好ましく、30nm〜5μmがより好ましい。
【0023】
また、担体物質の平均粒子径は後述する金属含有コロイド粒子の平均粒子径の5倍以上が好ましい。粒子径が前記範囲の担体物質は容易に得ることができ、また、本発明の製造方法により、容易に金属含有コロイド粒子を表面に均一に担持させることができる。なお、二次粒子径が上記範囲にあれば、金属含有コロイド粒子は凝集した状態でも使用することができるが、できる限り単分散していることが好ましい。なお、担体物質が粒子状でない場合は、この限りではない。上記担体物質の比表面積については、格別制限されるものではないが、例えば、10〜1000m2/gが好ましく、180〜900m2/gがより好ましい。担体物質の比表面積が上記範囲にあると、優れた触媒活性を有する金属含有コロイド粒子担持担体を得ることができる。
【0024】
金属含有コロイド粒子
本発明では、上記担体物質に金属含有コロイド粒子が担持されている。
金属含有コロイド粒子の平均粒子径は、後記した画像解析により求められた平均粒子径で、2〜200nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは2〜100nmの範囲が推奨される。
【0025】
金属含有コロイド粒子の平均粒子径が上記範囲内にあると金属含有コロイド粒子が充分に分散した状態で担体物質に担持することができる。一方、平均粒子径が前記下限よりも小さいものは、製造することが容易ではなく、前記上限を超えると、担体物質に充分に分散して容易に担持させることができないことがあり、また、触媒反応などに寄与できない金属含有コロイド粒子の量が増大することがある。
【0026】
本発明における金属含有コロイド粒子は、単体の金属または金属化合物から選ばれるものである。ここで、金属化合物としては、金属酸化物、複合金属、金属水酸化物などが含まれる。また、金属含有コロイド粒子を構成する金属種としては、平均粒子径1〜200nmの金属含有コロイド粒子分散液を調製可能なもののなから選択される。
【0027】
具体的には、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属から選ばれる金属含有コロイド粒子、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPtから選ばれる2種以上からなる複合金属含有コロイド粒子が好適に使用される。複合金属は、合金であっても、共晶体であってもよく、単に混合物であってもよい。とくに、用途の面から、Pd、Cu、AuまたはAgを含有してなるコロイド粒子が推奨される。また、PdとCuを含有するコロイド粒子も好適に使用される。
【0028】
このような金属含有コロイド粒子は、通常前記金属の塩、アルコキシド、錯体を還元処理、加水分解処理などを行うことによって調製可能である。
前記金属含有コロイド粒子担持担体に含まれる金属含有コロイド粒子の割合は、金属の種類にもより異なるが、適用する用途の要請に応じて選択されるものであり、格別に限定されるものではない。通常は、例えば、1〜50質量%、好ましくは3〜20質量%の範囲にあることが望ましい。この範囲に担持していると、例えば、金属含有コロイド粒子の作用による触媒作用などが実用的なレベルとなり易く、優れている。
【0029】
前記金属含有コロイド粒子は、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個/m2、好ましくは、103〜1015/m2個存在することが望ましい。
このような範囲で担持されていることにより金属含有コロイド粒子に基づく触媒効果などが安定して発現し易くなる。また範囲を外れて少ないと、金属含有コロイド粒子を担持させる効果が十分に発現せず、触媒効果または導電性効果が微弱なものとなることがある。また、多くても、金属含有コロイド粒子に基づく効果が飽和する傾向が強くなるため、必ずしも必要とはされない。場合によっては、担体物質の細孔を閉塞してしまうこともある。
【0030】
本発明の金属含有コロイド粒子担持担体の大きさは実質的に、無機系担体物質の大きさによって決定される。
本発明の金属含有コロイド粒子担持担体は、必要に応じて、公知の方法で、ペレット、ハニカムなどの所望の形状に成形してもよい。
【0031】
本発明に係る金属含有コロイド粒子担持担体は、平均粒子径30nm〜10μmの範囲の無機系担体物質に1種以上の金属含有コロイド粒子が担持されてなる金属含有コロイド粒子担持担体であって、該担体物質に担持された金属含有コロイド粒子の平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、前記金属含有コロイド粒子が、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個存在することを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体が好適な態様である。
本発明に係る金属含有コロイド粒子担持担体は、以下の本発明の製造方法により製造されてなるものである。
【0032】
[金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法]
本発明の金属含有コロイド粒子担持担体は、金属イオンの存在下、平均粒子径1〜200nmの金属含有コロイド粒子を担体物質に担持させることにより製造することができる。
【0033】
担体物質懸濁液の調製
本発明に使用される担体物質については、前記した通りである。
本発明では、上記担体物質は、通常、水に懸濁させた状態で使用される。担体物質の懸濁液は、上記担体物質に、例えば、脱イオン水を加えて、95℃で1時間混合することにより得ることができる。水の使用量は、担体物質100重量部に対して900〜99,900重量部が好ましく、1,900〜19,900重量部がより好ましい。このようにして得られた担体物質の懸濁液は、必要に応じて、さらに水で希釈してもよく、あるいはデカンテーションで濃縮してもよい。希釈水としては脱イオン水が好ましい。希釈後の懸濁液の担体物質濃度は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0034】
金属イオン添加
次に、上記担体物質懸濁液に、第4周期元素イオン(ただしTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、GeまたはAsから選ばれる)、第5周期イオン(ただし、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、SnまたはSbから選ばれる)または第6周期イオン(ただし、Hf、Ta、W、Re、Os、Pt、Au、Ir、Hg、TI、PbまたはBiから選ばれる)を含有させる。金属イオンの含有量は担体物質懸濁液中の担体物質固形分100重量部に対して金属元素換算で2〜100重量部が好ましく、3〜80重量部がより好ましい。金属イオンの含有量が前記下限未満になると、金属含有コロイド粒子を添加しても担体物質に対する充分な担持効果が得られず、また前記上限を超えると前記担持効果のさらなる向上が得られず、経済的に好ましくない。
【0035】
上記範囲の量の金属イオンを含有させるためには、金属元素換算で上記範囲の量の金属イオンを含む溶液を上記担体物質懸濁液に添加してもよいし、あるいは、金属元素換算で上記割合の金属イオンを形成し得る量の金属化合物を上記担体物質懸濁液に添加して懸濁液中で金属イオンを発生させてもよい。
【0036】
金属イオンを含む溶液は金属イオンを形成し得る金属化合物を溶媒に溶解することにより調製できる。 上記金属イオンの価数については、特に限定されるものではない。金属イオンのうち、特にはPtイオン、Auイオン、Snイオン、Pdイオンが好ましい。ここで、Ptイオンについては、Pt2+、Pt4+、Pt6+のいずれでも構わない。また、Snイオンは、Sn2+、Sn4+のいずれであってもよい。
【0037】
Ptイオンを生成可能な上記白金化合物としては、上記担体物質懸濁液中でPtイオンを形成するものであれば特に制限されず、例えば、塩化白金酸、塩化白金(IV)酸カリウム、塩化白金(IV)酸ナトリウム、テトラニトロ白金(II)カリウム、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸ナトリウム水和物、ジニトロジアンミン白金硝酸、ジニトロジアンミン白金アンモニアおよびテトラアンミンジクロロ白金水和物が挙げられる。これらの白金化合物は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
また、Auイオンを生成可能な化合物としては、上記担体物質懸濁液中でAuイオンを形成するものであれば特に制限されず、例えば、亜硫酸金ナトリウム、シアン化金カリウムおよびシアン化金ナトリウムが挙げられる。これらの金化合物は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
Pdイオンを生成可能な上記化合物としては、上記担体物質懸濁液中でPdイオンを形成するものであれば特に制限されず、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、クエン酸パラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられる。これらのパラジウム化合物は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
Snイオンを生成可能な上記化合物としては、上記担体物質懸濁液中でSnイオンを形成するものであれば特に制限されず、例えば、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズなどが挙げられる。これらの鉛化合物は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
金属イオンを生成する金属化合物は、通常溶媒に溶解して、前記懸濁液に添加される。 金属イオンを含む溶液に用いられる溶媒は、該金属との反応性を示さず、該金属化合物を溶解できるものでは特に限定されるものではない。
【0042】
このような溶媒としては、
水;
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;
アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;
ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;
2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;
ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;
塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などを挙げることができる。
【0043】
上記担体物質懸濁液に、金属イオンを含む溶液あるいは金属化合物を添加する際の温度は、15〜40℃が好ましい。温度が低いと十分に金属含有コロイド粒子を担持できないことがあり、温度が高すぎても担持効率のさらなる向上が見られないため、経済的に好ましくない。また、上記添加後、上記範囲の温度に保持しながら懸濁液を攪拌して充分に混合することが好ましい。特に、固体状の金属化合物を添加した場合には、金属化合物が充分に溶解して金属イオンが生成するまで攪拌などの操作を充分に行なう必要がある。
【0044】
本発明では、金属イオンの存在下で、担体物質の懸濁液に金属含有コロイド粒子を混合することにより、上記金属イオンが存在しない場合に比べて金属含有コロイド粒子が良好に担持することができる。これは、担体物質を構成する成分、特に担体物質表面に、金属イオンが吸着して、担体物質表面に一種のプライマー層が形成され、そのプライマー層の作用、すなわち、金属含有コロイド粒子と金属イオン間で吸着反応が起こることによると推定される。なお、これらの金属イオンについては、未反応の金属含有コロイド粒子などとともに、洗浄により除去することが望ましい。
【0045】
金属含有コロイド粒子
本発明に用いる金属含有コロイド粒子としては前記したものが挙げられる。金属含有コロイド粒子は、通常、水または有機溶媒に分散した状態の金属含有コロイド粒子分散液の状態で使用される。金属含有コロイド粒子分散液における金属含有コロイド粒子の濃度は特に限定されないが、たとえば0.01質量%以上が好ましい。
【0046】
このような金属含有コロイド粒子分散液の調製方法としては特に制限されないが、通常前記金属の塩、アルコキシド、錯体を還元処理、加水分解処理などを行うことによって調製可能である。
【0047】
金属含有コロイド粒子の添加量は、担体物質100重量部に対して5〜180重量部が好ましく、10〜180重量部がより好ましい。金属含有コロイド粒子の添加量が上記範囲にあると金属含有コロイド粒子が充分に分散した状態で担体物質に担持することができる。一方、添加量が5重量部未満になると、金属含有コロイド粒子の担持は問題ないが、金属含有コロイド粒子の担持量が少なくなり、金属含有コロイド粒子による触媒作用など、充分な効果が得られないことがある。また、添加量が180重量部を超えても担持量は増加しにくく、経済的に好ましくない。
【0048】
金属含有コロイド粒子を添加して混合する際の温度は、特に限定されないが、15〜40℃が好ましい。15℃未満では、十分に金属含有コロイド粒子を担持できないことがあり、実用性が低下することがある。40℃を超えると担持効果の更なる向上は認められず、経済的に好ましくない。
【0049】
上記混合の際、通常5分以上、好ましくは10分以上の攪拌を行なうことが望ましく、必要に応じて、通常3時間程度まで、好ましくは1時間程度まで攪拌してもよい。
上記混合操作後、必要に応じて、金属含有コロイド粒子担持担体を含む懸濁液を水で希釈してもよい。通常、金属含有コロイド粒子担持担体100重量部に対して、最大で250,000重量部程度の水で希釈することができる。さらに、通常水で希釈した金属含有コロイド粒子担持担体を遠心分離し、望ましくは洗浄を3回以上繰り返して、残存するイオンを除去し、金属含有コロイド粒子担持担体を分離精製する。その後、分離した金属含有コロイド粒子担持担体を、通常80〜100℃で1〜20時間乾燥することが望ましい。
【0050】
本発明の製造方法により、金属含有コロイド粒子担持量が、金属含有コロイド粒子担持担体全体に対して、1〜50質量%であり、かつ金属含有コロイド粒子が担体物質表面に極めて良好に分散した金属含有コロイド粒子担持担体を得ることができる。この金属含有コロイド粒子担持量は、金属イオンを含有させる際の温度、金属イオンの含有量、金属含有コロイド粒子混合時の温度、金属含有コロイド粒子の混合量などの製造条件を適宜調整することによりコントロールすることができる。特に担持量としては、5〜30質量%が好ましい。
【0051】
本発明の製造方法においては、既に金属状態にある金属含有コロイド粒子を使用するので、担体物質に担持するだけで金属含有コロイド粒子担持担体を得ることができる。例えば、イオン吸着還元法では、担体上にPtイオンを存在させ、これを焼成還元して白金金属を形成する必要があるが、これに比べて本発明の製造方法は、より簡便であるものといえる。
【0052】
得られた金属含有コロイド粒子担持担体は、必要に応じて、公知の方法で、ペレット、ハニカムなどの所望の形状に成形してもよい。また、懸濁液に分散させる担体物質を予め所望の形状の成形して使用してもよい。
【0053】
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
[1]BET法による比表面積測定
試料(ゼオライト)分散液50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を測定した。
【0055】
具体的には、試料0.5gを測定セルに入れ、窒素30容量%とヘリウム70容量%の混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、試料(ゼオライト)の比表面積を測定した。
【0056】
[2]単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数測定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料(金属含有コロイド担持担体)を倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、40nm四方の表面に担持されている金属含有コロイド粒子の個数を測定し、その平均値から換算して、単位面積[m2]当たりの金属含有コロイド粒子存在個数を求めた。
【0057】
[3]金属含有コロイド粒子担持担体の組成分析
試料(金属含有コロイド担持担体)を600℃にて焼成し、残渣をアルカリ溶融剤にて溶融した後、28(質量)%塩酸水溶液にて溶解し、溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)にて測定した。
【0058】
[4]画像解析による平均粒子径の測定方法
金属含有コロイド粒子または担体の平均粒子径については次の方法により測定した。走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料粒子を倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、粒子径を測定し、その平均値を求めた。
【0059】
[合成例1A]
活性炭懸濁液の調製
固形分重量で0.2gのカーボンブラック(ライオン(株)製、商品名:ケッチェンブラックEC、DBP吸油量:360cm3/100g、比表面積:850m2/g、一次粒子径:39.5nm)を95℃に煮沸した水に分散させ、カーボンブラック7質量%(固形分)の分散液を得た。この分散液を脱イオン水で希釈し、攪拌することにより、カーボンブラック懸濁液(カーボンブラック固形分5質量%)を調製した。
【0060】
[合成例1B]
パラジウム−銅コロイド粒子分散液の合成
クエン酸水溶液〔濃度30質量%〕219gに還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gと硝酸銅水溶液(濃度20質量%)26gとの混合水溶液に室温で添加し、充分に混合することによりパラジウム−銅微粒子(平均粒子径3nm)の分散液を調製した。
【0061】
[実施例1]
合成例1Aで調製したカーボンブラック懸濁液100gにFeイオン濃度が1質量%の塩化第一鉄水溶液を15g添加して20℃で5分間攪拌した。この混合懸濁液に、合成例1Bで得たパラジウム銅コロイド粒子分散液16.6g(平均粒子径:3nm、パラジウム−銅換算で0.5g)を添加した。パラジウム銅コロイド粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.5であった。
【0062】
この混合懸濁液を20℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加えて3分間洗浄した。遠心分離および洗浄操作を3回繰り返して懸濁液中に残存しているパラジウム銅コロイド粒子、塩素イオン、Feイオン等を除去した後、得られた固形物を90℃で10時間乾燥させることにより平均粒子径3nmのパラジウム−銅コロイド粒子が担持したカーボンを得た。このカーボンの単位面積当たりのパラジウム−銅コロイド粒子存在個数は107個/m2だった。
【0063】
[実施例2]
合成例1Aで調製したカーボンブラック懸濁液100gにPdイオン濃度が1質量%の硝酸パラジウム水溶液を15g添加して20℃で5分間攪拌した。この混合懸濁液に、合成例1Bで得たパラジウム銅コロイド粒子分散液16.6g(平均粒子径:3nm、パラジウム−銅換算で0.5g)を添加した。パラジウム銅コロイド粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.5であった。
【0064】
この混合懸濁液を20℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加えて3分間洗浄した。遠心分離および洗浄操作を3回繰り返して懸濁液中に残存しているパラジウム銅コロイド粒子、硝酸イオン、Pdイオン等を除去した後、得られた固形物を90℃で10時間乾燥させることにより平均粒子径3nmのパラジウム−銅コロイド粒子が担持したカーボンを得た。このカーボンの単位面積当たりのパラジウム−銅コロイド粒子存在個数は109個/m2だった。
【0065】
[実施例3]
合成例1Aで調製したカーボンブラック懸濁液100gにCuイオン濃度が1質量%の硝酸銅水溶液を15g添加して20℃で5分間攪拌した。この混合懸濁液に、合成例1Bで得たパラジウム銅コロイド粒子分散液16.6g(平均粒子径:3nm、パラジウム−銅換算で0.5g)を添加した。パラジウム銅コロイド粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.5であった。
【0066】
この混合懸濁液を20℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加えて3分間洗浄した。遠心分離および洗浄操作を3回繰り返して懸濁液中に残存しているパラジウム銅コロイド粒子、硝酸イオン、Cuイオン等を除去した後、得られた固形物を90℃で10時間乾燥させることにより平均粒子径3nmのパラジウム−銅コロイド粒子が担持したカーボンを得た。このカーボンの単位面積当たりのパラジウム−銅コロイド粒子存在個数は1012個/m2だった。
【0067】
[実施例4]
合成例1Aで調製したカーボンブラック懸濁液100gにPtイオン濃度が1質量%の塩化白金酸水溶液を15g添加して20℃で5分間攪拌した。この混合懸濁液に、合成例1Bで得たパラジウム銅コロイド粒子分散液16.6g(平均粒子径:3nm、パラジウム−銅換算で0.5g)を添加した。パラジウム銅コロイド粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.5であった。
【0068】
この混合懸濁液を20℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加えて3分間洗浄した。遠心分離および洗浄操作を3回繰り返して懸濁液中に残存しているパラジウム銅コロイド粒子、塩素イオン、Ptイオン等を除去した後、得られた固形物を90℃で10時間乾燥ささせることにより平均粒子径3nmのパラジウム−銅コロイド粒子が担持したカーボンを得た。このカーボンの単位面積当たりのパラジウム−銅コロイド粒子存在個数は107個/m2だった。
【0069】
[実施例5]
合成例1Aで調製したカーボンブラック懸濁液100gにSnイオン濃度が1質量%の塩化スズ水溶液を15g添加して20℃で5分間攪拌した。この混合懸濁液に、合成例1Bで得たパラジウム銅コロイド粒子分散液16.6g(平均粒子径:3nm、パラジウム−銅換算で0.5g)を添加した。
【0070】
パラジウム銅コロイド粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.5であった。
この混合懸濁液を20℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加えて3分間洗浄した。遠心分離および洗浄操作を3回繰り返して懸濁液中に残存しているパラジウム銅コロイド粒子、塩素イオン、Snイオン等を除去した後、得られた固形物を90℃で10時間乾燥させることにより平均粒子径3nmのパラジウム−銅コロイド粒子が担持したカーボンを得た。このカーボンの単位面積当たりのパラジウム−銅コロイド粒子存在個数は108個/m2だった。
【0071】
[実施例6]
合成例1Aで調製したカーボンブラック懸濁液100gにAuイオン濃度が1%の塩化金酸水溶液を15g添加して20℃で5分間攪拌した。この混合懸濁液に、合成例1Bで得たパラジウム銅コロイド粒子分散液16.6g(平均粒子径:3nm、パラジウム銅合金分で0.5g)を添加した。
【0072】
パラジウム銅コロイド粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.5であった。
この混合懸濁液を20℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加えて3分間洗浄した。遠心分離および洗浄操作を3回繰り返して懸濁液中に残存しているパラジウム銅コロイド粒子、塩素イオン、Auイオン等を除去した後、得られた固形物を90℃で10時間乾燥させることにより平均粒子径3nmのパラジウム−銅コロイド粒子が担持したカーボンを得た。このカーボンの単位面積当たりのパラジウム−銅コロイド粒子存在個数は109個/m2だった。
【0073】
[合成例2A]
ゼオライト懸濁液の調製
実施例および比較例で使用するゼオライト懸濁液は次の様に調製した。超安定性Y型ゼオライト(パウダー状、平均粒子径=2μm、SiO2/Al23(モル比)=5、Na2Oを5質量%含有、NFA(格子外アルミニウム)5.0質量%含有、比表面積600m2/g、格子定数24.57Å、12員環構造)を用意し、乾燥重量100gを採取して、水を833g添加し、スリーワンモーターで5分攪拌後、ホモジナイザーで解砕することにより超安定性Y型ゼオライト懸濁液(以下、「USYゼオライト懸濁液」と称する。)を調製した。次に、ゼオライト固形分濃度が10質量%になるように脱イオン水を添加した。
【0074】
[合成例2B]
パラジウムコロイド粒子分散液の合成
硝酸パラジウム25g(白金金属換算で10g)を純水100gに溶解して得た金属塩水溶液に、錯化安定剤として濃度30質量%のクエン酸3ナトリウム水溶液596gと還元剤として濃度25質量%の硫酸第一鉄水溶液332gとを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌混合して、水にパラジウム微粒子が分散してなるパラジウムロイド溶液を得た。このパラジウムコロイド粒子分散液を限外濾過膜法洗浄により精製した後、濃度を調整し、白金金属換算で濃度3質量%のパラジウムコロイド粒子分散液を得た。このパラジウムコロイド粒子の平均粒子径は3nmであった。
【0075】
[実施例11]
上記USYゼオライト懸濁液(ゼオライト固形分濃度10質量%)2gを秤量し、このゼオライト懸濁液に、塩化金酸水溶液(Auイオンを塩化金酸水溶液中に1質量%含有する)を14g添加し、25℃で5分攪拌した。
【0076】
次にパラジウムコロイド粒子分散液を6.7g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは1.95であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Auイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は1014個/m2だった。
【0077】
[実施例12]
実施例11と同様のUSYゼオライト懸濁液に塩化金酸水溶液(Auイオンを塩化金酸水溶液中に1質量%含有する)を10g添加し、25℃で5分攪拌した。次にパラジウムコロイド粒子分散液47g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。
【0078】
添加後のpHは2.80であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Auイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は1014個/m2だった。
【0079】
[実施例13]
実施例11と同様のUSYゼオライト懸濁液に塩化金酸水溶液(Auイオンを塩化金酸水溶液中に1質量%含有する)を6g添加し、25℃で5分攪拌した。次にパラジウムコロイド粒子分散液を47g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは3.54であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Auイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は1014個/m2だった。
【0080】
[実施例14]
実施例11と同様のUSYゼオライト懸濁液に塩化金酸水溶液(Auイオンを塩化金酸水溶液中に1質量%含有する)を2g添加し、25℃で5分攪拌した。次にパラジウムコロイド粒子分散液を47g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは4.01であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。
【0081】
遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Auイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は1013個/m2だった。
【0082】
[実施例15]
実施例11と同様のUSYゼオライト懸濁液に塩化白金酸水溶液(Ptイオンを塩化白金酸水溶液中に1質量%含有する)を14g添加し、25℃で5分攪拌した。次にパラジウムコロイド粒子分散液を47g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは2.01であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。
【0083】
遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Ptイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は1012個/m2だった。
【0084】
[実施例16]
実施例11と同様のUSYゼオライト懸濁液に塩化白金酸水溶液(Ptイオンを塩化白金酸水溶液中に1質量%含有する)を10g添加し、25℃で5分攪拌した。次にパラジウムコロイド粒子分散液を47g(白金固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは2.01であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。
【0085】
遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Ptイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は1011個/m2だった。
【0086】
[実施例17]
実施例11と同様のUSYゼオライト懸濁液に塩化白金酸水溶液(Ptイオンを塩化白金酸水溶液中に1質量%含有する)を6g添加し、25℃で5分攪拌した。次にパラジウムコロイド粒子分散液を47g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは3.55であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。
【0087】
遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Ptイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させパラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は1010個/m2だった。
【0088】
[実施例18]
実施例11と同様のUSYゼオライト懸濁液に塩化白金酸水溶液(Ptイオンを塩化白金酸水溶液中に1質量%含有する)を2g添加し、25℃で5分攪拌した。次にパラジウムコロイド粒子分散液を47g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは4.03であった。25℃で40分攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Ptイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持したゼオライトを調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持ゼオライトを得た。単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数は109個/m2だった。
【0089】
[硝酸性窒素処理性能試験]
硝酸ナトリウム(関東化学(株)製:特級)61.3gを純水に溶解して硝酸性窒素含有水25kgを調製した。このときの硝酸性窒素の含有量はNとして400ppmであった。次に、超微細気泡還元ガス発生装置(スキルキット(株)製:マイクロバブル発生装置)の水槽に硝酸性窒素含有水を投入し、硝酸性窒素含有水を循環させながらこれに触媒用試料1000gを分散させた。このときの硝酸性窒素含有水中の触媒用試料の分散濃度は3.8質量%である。
【0090】
ついで水素ガスの超微細気泡を吹き込み、硝酸性窒素含有水の処理を実施した。
この時、液温を25℃に維持し、水槽は200rpmで攪拌した。マイクロバブル発生装置は、液循環量70L/min、液圧力0.45MPa、水素圧力0.45MPa とし、水素の流量を0.37NL/minの条件で注入し、硝酸性窒素の処理中は、硝酸性窒素含有水のpHを濃度1質量%の硫酸にて5〜6の範囲に調整した。水素の超微細気泡を供給開始後5分毎に処理液を採取し、窒素分析装置(ブランルーベ(株)製:AAS−III)により硝酸性窒素(NO3+NO2)およびNH3の分析を行った。
【0091】
硝酸性窒素の還元は130分(NO3+NO2が0ppmとなった時点)で終了し、このときの副生NH3濃度、およびN2生成量、水素未利用率を測定した。 前記触媒用試料として、実施例1で調製した平均粒子径3nmのパラジウム−銅コロイド粒子が担持したカーボンを使用した場合、N2生成量48.8%、NH3副生量10.0%、未利用41.2%であった。
【0092】
なお、前記触媒用試料として、〔金属イオンを用いない方法で調合したパラジウム-銅コロイド粒子を担持したカーボン〕を使用した場合は、N2生成量37.1%、NH3副生量9.8%、未利用53.1%であった。
【0093】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の金属含有コロイド粒子担持担体は、例えば金属含有コロイド粒子担持担体からなる触媒として用いる場合には高い触媒活性を示し、また触媒性能の再現性もよい。また、触媒以外の用途として、金属含有コロイド粒子を担体上に良好に分散した材料として、電気特性または磁気特性を利用する用途に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4周期元素イオン(ただしTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、GeまたはAsから選ばれる)、第5周期イオン(ただし、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、SnまたはSbから選ばれる)または第6周期イオン(ただし、Hf、Ta、W、Re、Os、Pt、Au、Ir、Hg、TI、PbまたはBiから選ばれる)の存在下、
次の(1)または(2)から選ばれる、平均粒子径2〜200nmの金属含有コロイド粒子;
(1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属含有コロイド粒子
(2)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPtから選ばれる2種以上からなる複合金属含有コロイド粒子
を担体物質に担持させることを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【請求項2】
担体物質の懸濁液に、第4周期元素イオン(ただしTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、GeまたはAsから選ばれる)、第5周期イオン(ただし、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、SnまたはSbから選ばれる)または第6周期イオン(ただし、Hf、Ta、W、Re、Os、Pt、Au、Ir、Hg、TI、PbまたはBiから選ばれる)を担体物質100重量部に対して金属元素換算で2〜100重量部含有させ、このイオン含有懸濁液に、
15〜40℃で、次の(1)または(2)から選ばれる、下記(1)または(2)の平均粒子径2〜200nmの金属含有コロイド粒子を;
(1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属含有コロイド粒子
(2)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPtから選ばれる2種以上からなる複合金属含有コロイド粒子
担体物質100重量部に対して5〜180重量部添加して混合することを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【請求項3】
前記第4周期元素イオン、前記第5周期元素イオンまたは前記第6周期元素イオンが、Ptイオン、Auイオン、SnイオンまたはPdイオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【請求項4】
前記Ptイオン、Auイオン、Snイオン、Pdイオンが、塩化白金酸、塩化白金(IV)酸カリウム、塩化白金(IV)酸ナトリウム、テトラニトロ白金(II)カリウム、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸ナトリウム水和物、ジニトロジアンミン白金硝酸、ジニトロジアンミン白金アンモニアおよびテトラアンミンジクロロ白金水和物からなる群から選ばれる1種または2種以上の白金化合物、塩化金酸、亜硫酸金ナトリウム、シアン化金カリウムおよびシアン化金ナトリウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金化合物、硫酸第一スズ、酸化第一スズおよび塩化第一スズからなる群から選ばれる1種または2種以上のスズ化合物、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、クエン酸パラジウムおよび酢酸パラジウムからなる群から選ばれる1種または2種以上のパラジウム化合物から得られるものであることを特徴とする請求項3に記載の金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【請求項5】
前記担体物質がSi、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の金属含有コロイド粒子担持担体の製造方法。
【請求項6】
上記請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られ、Si、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有する担体物質に、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属を含有する金属含有コロイド粒子が担持してなる金属含有コロイド粒子担持担体であって、該金属含有コロイド粒子の含有量が1〜50質量%の範囲にあることを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体。
【請求項7】
無機系担体物質に1種以上の金属含有コロイド粒子が担持されてなる金属含有コロイド粒子担持担体であって、該担体物質に担持された金属含有コロイド粒子の平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、
前記金属含有コロイド粒子が次の(1)または(2)から選ばれるものであることを特徴とする金属含有コロイド粒子担持担体。
(1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、AgまたはAuから選ばれる金属含有コロイド粒子、
(2)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPtから選ばれる2種以上からなる複合金属含有コロイド粒子。
【請求項8】
前記金属含有コロイド粒子が、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個存在することを特徴とする請求項7に記載の金属含有コロイド粒子担持担体。
【請求項9】
前記金属含有コロイド粒子担持担体に含まれる金属含有コロイド粒子担持担体の割合が1〜50質量%であることを特徴とする請求項7または8に記載の金属含有コロイド粒子担持担体。
【請求項10】
前記無機系担体物質がSi、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有するものである請求項7〜9のいずれかに記載の金属含有コロイド粒子担持担体。

【公開番号】特開2012−96234(P2012−96234A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23288(P2012−23288)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2007−242162(P2007−242162)の分割
【原出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】