説明

金属塩(複数可)還元およびエアロゾル(複数可)発射によって基材を金属化する高度非電解法

湿潤化流体で基材を湿潤させる予備ステップ-ap-、及び湿潤化の終了の最大60秒後に、緩和フェーズと交互に行う一連の発射フェーズによって、即ち(i)発射フェーズの継続時間Dpおよび緩和フェーズの継続時間Drを、各金属について固有の金属化定数kから調整することによって、また(ii)発射流量を調整することによって、金属化を発射し始めることを含む。金属化発射は、周期的な走査を実行するために、基材に対して発射手段を変位させることによって動的に実行され、Dpは、問題となる表面単位が、その間エアロゾルの連続発射を受ける継続時間に相当し、Drは、部品が、その間発射を受けない継続時間に相当する。発射手段は、出発点(O)と到着点(A)との間の軌道TOAに沿って発射変位速度VOAで移動し、次に発射なし変位速度VAOで軌道TAOに沿って点(O)に戻る。発射手段および前記発射手段を変位させるシステムを制御するコンピューティングおよび制御ユニット(UCC)は、プロセスを自動化するのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、表面処理、特に、単層または多層で、また、単一金属または金属合金を含む金属膜を使用した、任意の種類の基材または材料、特に、プラスチック(たとえば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリプロピレン)などの非導電性材料のコーティングの処理の分野である。
【0002】
より正確には、本発明は、酸化金属カチオンおよびこのカチオンを金属に変換し得る還元剤の溶液を含有するエアロゾルを吹付けて、金属化される基材の表面上に堆積される膜を形成することによって、任意の種類、たとえば、非伝導性の基材を金属化する非電解法に関する。この金属膜は、ファイバおよび/または粒子のフィラーを含み、そのため、複合膜を形成し得る。
【0003】
一般に、金属化によってより限定して関心をもたれる基材は、プラスチック、ガラス、セラミック、木材、鉱物、プラスタまたはセメントでできた物品などの非導電性材料、および、野菜(花)、昆虫(蝶)または木材から表面を彫刻された物品などの多数の他の非導電性物体である。
【背景技術】
【0004】
金属膜の堆積を含む最も古い工業用用途の1つは、電解ルート(RUOLZおよびELKINGTON法)または化学的ルートによってミラーを製造するためのガラスの銀めっきである。
【0005】
今日、金属堆積は、複数でかつ種々の工業用途、すなわち、機械、電子、光学、磁気サポートを含むように、その使用分野を拡張してきた。そのため、たとえば、電子機器を構成するプラスチックケーシングの電磁遮蔽は、急速に拡大する事業である。
【0006】
上記を読むことによって、「湿潤ルートによる」金属化の場合、2つの主要なタイプの技法、すなわち、一方の電解技法、他方の化学技法の間に区別がなされることが理解される。液体媒体における電解堆積技法に関して、ガルバノプラスティ、電鋳ならびに電解精製を挙げることができ、これらは業界で一般に使用されている。これらの電気化学的金属堆積は外部電流源の使用を必要とする。350μmと500μmとの間になる厚さを有する金属コーティングを得るには、工業用条件下で1時間以上を必要とする。したがって、電解ルートによる金属化は費用がかかる。電解ルートによる金属化はまた、比較的精巧な機器の使用を必要とするため複雑である。
【0007】
対照的に、化学堆積技法は、定義によれば、外部電流源を全く必要としない。これらの堆積技法において最も普及した方法は、3つの作用物質、すなわち、金属塩、還元剤、錯化剤を主に含有する槽内に、処理される材料片を浸漬させることからなり、槽内での自然発生的な還元および沈降が回避される。金属化される材料片の表面に接触すると、前記表面は、触媒作用をもつか、または、触媒作用をもつように処理されているため、酸化還元反応が始まり、維持される。この方法は、導電性と誘電性の両方の多数の物質の機能化を可能にする。
【0008】
しかし、浸漬による化学金属化のこれらの技法に関係付けられる利点は、いくつかの数の欠点を補償せず、欠点には以下のものが挙げられる。
− 金属化される大きな材料片の処理に固有のかなりの資本支出および技術的問題、
− 処理される材料片を解体する必要性、
− 特定の機能性を膜に与えるために、金属マトリクス内に粒子を組込むことを可能にさせる、堆積槽、特に、複合堆積槽の不安定性(槽内の懸濁液内におけるこうした粒子の存在が実際には沈降を促進させる)、
− 1時間当たり20pmの厚さに制限される堆積動態、
− 異なる金属の同時共堆積に関係付けられる技術的困難さ、
− 堆積され得る金属または合金の制限された範囲、
− 約95℃の比較的高い動作温度、
− 金属コーティングの局在化堆積を取得することが不可能であること、
− 堆積された金属膜の、基材に対する付着性が改善を要求し、しばしば信頼性がないこと。
【0009】
先に示したように、これらの化学堆積の主要な用途の1つは、銀めっきによるミラーの生産である。この化学金属化は、非触媒作用的な非導電性基材を含む他の類似の用途の場合と同様に、処理される表面に触媒作用をもたせるために、処理される表面の増感および/または活性化の予備段階を必ず含む。標準的な様式では、予備増感段階は、処理される表面に塩化第1すず(SnCl)溶液を塗布することを含む。この増感段階は、塩化パラジウム(PdCl)溶液を塗布すること、次いで、塩酸またはソーダで最後に洗浄することを含む活性化段階によって完了され得る。
【0010】
非触媒性支持体または基材を扱うときにこれらの予備段階を実行することが必要であることは、重大な工業的制約を示し、時間、エネルギーおよび資源を消費することが明らかである。
【0011】
特許文献1(米国特許第B−5,492,613号明細書)は、
1.任意選択の、表面の機械的または化学的粗面化段階、
2.塩化第1すず溶液のブラッシングまたは吹付けによる表面の増感段階、
3.AgNO、アンモニア、エタノールおよびアルキルスルホネートを含む水溶液のブラッシングまたは吹付けによる、増感される表面の活性化であって、銀またはパラジウムイオンは、Sn2+イオンを酸化して、核形成中心を含むコロイドを形成することを意図される、増感される表面の活性化段階、
4.トリエタノールアミン型のキレート剤、ホルモール型還元剤のEDTAおよび酒石酸、ならびに、NaCO型の緩衝液によって錯化された銅イオンを含む標準的な化学金属化槽の連続ブラッシングまたは吹付け段階
を含む非導電性材料(たとえばガラス)の非電解金属化のための方法を開示している。
【0012】
特許文献2(米国特許第B1−6,268,016号明細書)は、プリント回路を銅で金属化する方法を述べており、この方法は、
1.たとえば強酸を使用する、表面の任意選択の化学的粗面化段階、
2.コロイド懸濁液(Pd/Sn)の堆積による増感/活性化段階、
3.金属堆積物を広がらせるための、界面活性剤溶液の吹付け段階、
4.表面張力の確定および金属化溶液に添加される界面活性剤の量の調整段階、
5.銅イオンを含有する標準的な化学金属化槽の連続吹付けによる金属化段階
を含む。
【0013】
上述した参考文献で述べる方法は、必ず、SnClによる増感段階および/またはPdClもしくはAgNOによる活性化段階を含む。これは、工業的に特に制限的である。
【0014】
これらの知られている方法に関して想定され得る物質の範囲は比較的制限される。これらの技法はまた、比較的複雑でかつ費用がかかるという欠点を有する。これらの方法によって得られる金属化膜は、表面上で物理的に吸着されるだけである。このことは、基材に対する付着特性は信頼性がないことを意味する。最後に、最初は魅力的であるように見えたこれらの吹付け技法は、得られる金属コーティングのコストおよび品質に関して、同様に、実施の簡単さおよび処理可能物質の範囲に関して期待はずれであることがわかった。
【0015】
さらに、酸化/還元エアロゾルの吹付けによる金属化に関連する従来の文書は、銀および金に限定されている。さらに、基本的な欠点を考慮すると、従来の文書は、それ自体では金属化技法とはならず、基材の金属化における中間段階であり得るに過ぎない。さらに、従来の文書は、金属合金に基づく堆積物または複合金属コーティングの堆積物を生産することを想定することを可能にするものではない。さらに、銀の厚さは非常に制限され(最大で0.15μm)、動態的に非常に遅い。
【0016】
これらの欠点を救済するために、特許文献3(フランス特許第B−2,763,962号明細書)は、酸化/還元(Ox/Red)エアロゾル吹付け(複数可)による化学金属化の方法を提案しており、その方法では、基材上にエアロゾルによって吹付けられる液体のOx/Red電子比が所与の間隔内になるように、特定の継続時間の吹付けフェーズと緩和フェーズについての賢明に選択された1つまたは複数のシーケンスに従って、吹付けが実行される。
【0017】
カチオン(酸化)形態の少なくとも1種の金属および金属カチオンを金属に変換し得る少なくとも1種の還元剤を含有する少なくとも1つのエアロゾルを吹付けることによって、基材を金属化するこの非電解法は、本質的に、
−a− 任意選択で、金属化される表面を増感させる、および/または活性化する段階、
−b− (i)吹付けフェーズの継続時間を、同じ単位面積について10−2秒と5秒との間、好ましくは10−1秒と3秒との間に、緩和フェーズの継続時間を、同じ単位面積について10−2秒と10秒との間、好ましくは2×10−1秒と4秒との間に設定する(吹付けフェーズおよび緩和フェーズの継続時間は、互いに同一であるかまたは互いに異なる)ことによって、および、
(ii)Ox/Red電子比が0.01と15との間、好ましくは0.5と8との間になり、それにより、基材に対する化学的付着性がよい金属膜の形成を可能にするように吹付け流量(複数可)を調整することによって
緩和フェーズと交互に行う一連の少なくとも2つの吹付けフェーズに従って金属化吹付けを実行する段階、
−c− 金属堆積の意図されるレベルに達すると直ちに吹付けを中断する段階
を含むことを特徴とする。
【0018】
本方法は、特に、以下の利点、すなわち、
i)多数の導電性または非導電性基材に適用可能であること、
ii)堆積され得る金属または合金の範囲が非常に広いこと、
iii)実施が簡単であり、また、経済的であること、
iv)使用する溶液が安定であること、
v)堆積の厚さを容易に制御できること、
vi)合金または複合コーティングを生産できること、
vii)基材に対する金属膜の付着のレベルが完全に満足できること、
viii)予備増感および/または活性化段階が絶対に必要であるわけではないこと
を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第B−5,492,613号明細書
【特許文献2】米国特許第B1−6,268,016号明細書
【特許文献3】フランス特許B−2,763,962号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】「Metal Finishing Guidebook and Directory Issue」1996 Metal Finishing publication、p.354、356および357
【非特許文献2】H. Narcus著「Metallizing of Plastics」Reinhold Publishing Corporation、1960、Chapter 2、p.21
【非特許文献3】F. Lowenheim著「Modern electroplating」John Wiley & Son publication、1974、Chapter 28、p.636
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の本質的な目的のうちの1つは、特許文献3(フランス特許B−2,763,962号明細書)による酸化/還元(Ox/Red)エアロゾル吹付け(複数可)による化学金属化の方法を改善することである。
【0022】
求められる改善は、特に、以下の分野、すなわち、
→方法の工業化および自動化分野、
→活性成分(酸化剤および還元剤)の混合を促進する分野、
→上述した吹付けられる混合物の表面および厚さの均質性および規則性分野、
→堆積物の硬度を増加させる分野、
→原料の消費を低減する分野、
→副産物の再利用による金属化の経済性を最適化する分野
のうちの少なくとも1つにおいて見出される。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本目的は、とりわけ、最初に、改良型非電解法に関連する本発明によって達成され、改良型非電解法は、−a− 任意選択で、金属化される表面を増感させる、および/または活性化する段階、−b− 緩和フェーズと交互に行う一連の少なくとも2つの吹付けフェーズに従って金属化吹付けを実行する段階、すなわち、(i)吹付けフェーズの継続時間Dpを、同じ単位面積について10−2秒と5秒との間、好ましくは10−1秒と3秒との間に、緩和フェーズの継続時間Drを、同じ単位面積について10−2秒と10秒との間、好ましくは2×10−1秒と4秒との間に設定する段階(これらの吹付けフェーズおよび緩和フェーズの継続時間Dpおよびdrは、互いに同一であるかまたは互いに異なる)および (ii)Ox/Red電子比が0.01と15との間、好ましくは0.5と8との間にあり、それにより、基材に対する化学的付着性がよい金属膜の形成を可能にするように吹付け流量(複数可)を調整する段階、−c− 金属堆積の意図されるレベルに達すると直ちに吹付けを中断する段階から本質的になるタイプの手段のうちの適した手段を使用して、カチオン(酸化)形態の少なくとも1種の金属および金属カチオンを金属に変換し得る少なくとも1種の還元剤を含有する少なくとも1種の水性および/または有機エアロゾルを吹付けることによって、基材の表面の少なくとも一部を金属化するためのものであり、改良は、特に、
・基材を少なくとも1種の湿潤化流体に接触させて、それにより、基材の表面の少なくとも一部上に流体膜を形成することを含む、基材を湿潤させる少なくとも1つの予備段階−a−を実施すること、および、
・湿潤させる段階−a−に続いて、湿潤段階の終了後に、直近の60秒、好ましくは直近の40秒、なおより優先的には直近の20秒に、段階−b−に従う吹付けを開始すること
が想定される点にある。
【0024】
吹付けおよび緩和の継続時間DpおよびDrはそれぞれ、各金属に固有の金属化定数kに基づいて、k=Dp+Drであるように規定され、定数kは好ましくは10−1秒と13秒との間、なおより優先的には0.5秒と9秒との間になる。
【0025】
好ましくは、改良はまた、以下の特徴、すなわち、
・金属化吹付けの少なくとも一部は、吹付け手段を基材に対して移動させて、金属化される表面の少なくとも80%の、好ましくは少なくとも90%の、なおより優先的には少なくとも95%の周期的掃引を実行することによって、動的に実行されること、
・掃引ゾーン内にある所与の単位面積について、
○吹付けフェーズは、考えられている単位面積が、エアロゾルの(好ましくは連続の)吹付けにさらされる継続時間に相当する継続時間Dpを有し、
○この吹付けフェーズに続く緩和フェーズは、吹付け手段によって金属化される表面の残りの掃引の継続時間に相当するか、または、基材が吹付けにさらされない継続時間に相当する継続時間Drを有すること、
・吹付け手段の移動は、
○吹付け手段が、出発点(O)と到着点(A)との間の経路TOAに沿って吹付け移動速度VOAで移動するように、
○吹付け手段が、点(A)に達すると直ちに、経路TAOに沿って吹付けることなく、移動速度VAOで点(O)に戻るように
規定され、
AOは、吹付け手段によって掃引される、金属化される表面の各単位面積の緩和フェーズの継続時間Drが先に規定したようなものであるように、(A)と(O)との距離およびVOAを考慮することによって計算され、
この計算は、好ましくは、吹付け手段および吹付け手段用の移動システムを制御する処理および制御ユニットUCC(好ましくは、マイクロコンピュータ)によって実行されること、
・任意選択で、金属化吹付けの少なくとも一部の間に、基材が回転すること
を有する。
【0026】
ある変形では、改良は、以下の特徴、すなわち、
・金属化吹付けの少なくとも一部は、吹付け手段を基材に対して移動させて、かつ/または、基材を吹付け手段に対して移動させて、金属化される表面の少なくとも80%の、好ましくは少なくとも90%の、なおより優先的には少なくとも95%の周期的掃引を実行することによって、動的に実行されること、
・掃引ゾーン内にある所与の単位面積について、
・吹付けフェーズは、考えられている単位面積が、エアロゾルの(好ましくは連続の)吹付けにさらされる継続時間に相当する継続時間Dpを有し、
・この吹付けフェーズに続く緩和フェーズは、吹付け手段によって金属化される表面の残りの掃引の継続時間に相当する継続時間Drを有すること、
・吹付け手段に対する基材の移動は、好ましくは回転であること
を有する。
【0027】
本発明による改良は、堆積される金属層の規則性および硬度の点で、しかし同様に、とりわけ、前記堆積される金属層の特性の制御および再現性に関して、大きな表面積に対して金属堆積の品質を改善しながら、本発明が関連する金属化方法に工業用ディメンジョン(パイロット段階および量産)を与える。これらの技術進歩は、特許FR−B−2 763 962による金属化方法の利点、すなわち、特に利点i)からviii)に有害になることなく達成される。後者は、上記以外で設定された場合にでも改善し得る。
【0028】
本発明による改良型金属化方法はまた、その固有抵抗が低い(伝導性が良好な)金属層を得ることを可能にする。理論によって制約されようと思わなければ、このことは、化学溶液の供給物の消費(Ox/Red)に関して本発明によって良好な管理が提供されるため、層の酸化が少なくなることを説明する可能性がある。
【0029】
第2に、本発明は、本発明による改良型非電解金属化方法の実施のためのデバイスに関しており、デバイスは、
・金属化される基材を保持する手段であって、任意選択で、基材の回転のための手段を装備する、保持する手段と、
・基材を予備湿潤させる手段と、
・カチオン(酸化)形態の金属および還元剤を吹付ける手段と、
・任意選択の洗浄手段と、
・吹付け手段またはさらに湿潤させる手段および/もしくは洗浄手段を移動させるシステムと、
・吹付け手段および前記吹付け手段用の移動システムを制御する少なくとも1つの処理および制御ユニットUCC(好ましくは、マイクロコンピュータ)と
を備えることを特徴とする。
【0030】
[本発明の詳細な説明]
本発明による改良型方法は、多数の導電性または非導電性物質に適用可能であるという利点を有し、その物質の中で、銅、非陽極酸化アルミニウム、軟鋼、鉄、ニッケル、マグネシウム、チタンなどの金属、および、真鍮、青銅、ステンレス鋼などの金属合金、または、ABS、PVC、ポリカーボレート、ポリプロピレン、メチルポリメタクリレート、エポキシ樹脂、ガラス、セラミック、半結晶ポリマー、ウッド、ポリエステルなどのプラスチックが述べられ得る。
【0031】
同様に、堆積され得る金属または合金の範囲は非常に広い。金属に関して言えば、金属は、有利には、周期律表の第VIII族ならびに周期律表の第Ib族、第IIb族、IIIa族、IVa族(遷移金属)および第VIb族から選択され得る。例として、銅、ニッケル、亜鉛、コバルト、すず、ボロン、タングステンおよびその合金が述べられ得る。Ni、Co、Zn、Fe、CuおよびBに基づく、異なる2成分および3成分合金は、金属塩の混合物を使用して生産され得る。合金の例として、Ni−B、Ni−B−Zn、Ni−Cu−B、Ni−Co−B、Ni−Fe−B、Ni−Cu−Co−B、Ni−Sn−Bなどが述べられ得る。
【0032】
本改良型方法はまた、実施の簡単さおよび低コストの利点を有する。本改良型方法は、大幅な資本支出なしで、非常に大きな材料片を金属化することを可能にする。本方法の実施に必要なインフラストラクチャは、軽量であり、したがって、費用がかからず、また、酸化剤および還元剤の溶液が使用されても再利用可能である。
【0033】
本改良型方法は、塗装に関しては、2次元で幾何形状を画定するマスクを通して試薬を吹付けることによって、または、以前にマスクされたアイテム上に直接吹付けることによって局在化堆積物を得ることを可能にする。他の表面をマスクする操作を回避するために、アイテムの単一表面だけを覆うことも可能である。使用される溶液の安定性は、工業的文脈で重要な資産である。堆積物の厚さは容易に制御され得る。合金または複合コーティング、すなわち、少なくとも2つの異なる金属の交互層が重なり合う多層を生産することが可能である。
【0034】
基材に対する金属膜の付着レベルは完全に満足できる。さらに、この点に関して、本方法によって得られる金属膜は、基材の表面上で化学的に吸着されることが留意されるべきである。これは、付着性に関する決定要素であり、また、さらに、最新の技術水準による堆積に関する完全に独特の特徴である。非触媒性基材について以前にそうであったが、増感および/または活性化の予備段階は、絶対に必要であるわけではないことが留意されるべきである。実際には、非触媒性基材の場合、本発明によれば、段階−a−を実施し、かつ/または、活性化をin situで実行することが想定され、それは、1つまたは複数の吹付けエアロゾル内に少なくとも1つの結合剤を組込むこと、表面修飾因子として働くこと、および、プラスチックなどの非触媒性基材に対する金属膜の付着を改善させること、および/または、表面上での反応に触媒作用を及ぼすことを可能にすることを含む。この単純化する変形は、以降でより詳細に説明される。
【0035】
本発明によれば、金属化格納部の温度を制御することは好都合であるように見えた。例によれば、格納部のこの温度は、20℃と60℃との間であり得る。
【0036】
金属化格納部の温度の調節は、任意の適切な空調機器を使用して容易に達成される。
【0037】
任意選択の予備増感および/または活性化段階−a−は、基材、または、同様にex situで形成されるコロイド状PbSn溶液の表面上に核形成サイトを形成するために、塩化第1すず(SnCl)溶質またはSnSO/H/SO/クイノール/アルコールの溶液の塗布(たとえば、吹付け、浸漬)と、それに続く、Sn2+と反応することが可能なパラジウムまたは銀溶液の塗布(たとえば、吹付け、浸漬)による、それ自体知られている方法で実行される。より詳細に、たとえば、非特許文献1(「Metal Finishing Guidebook and Directory Issue」1996 Metal Finishing publication、p.354、356および357)、非特許文献2(H. Narcus著「Metallizing of Plastics」Reinhold Publishing Corporation、1960、Chapter 2、p.21)、非特許文献3(F. Lowenheim著「Modern electroplating」John Wiley & Son publication、1974、Chapter 28、p.636)に対して参照が行われ得る。
【0038】
本発明による改良の特徴の1つは、基材上に流体膜を形成するために、基材を湿潤させる予備段階−a−に基づいており、そのとき、段階−b−による吹付けが、有利には、湿潤化によって生成される流体膜が基材の表面上に同様に存在するときに始動されることが承知されている。換言すれば、段階−b−による吹付けが、湿潤の終了後、直近の60秒で、好ましくは直近の40秒で、なおより優先的には直近の20秒で開始することが活用される。
【0039】
たとえば本発明の意味の中で、「湿潤の終了(end of the wetting)」という表現は、基材の表面の全てまたは一部を少なくとも1種の湿潤化流体(液体または蒸気)源に接触させることを明確に終了するときを意味する。
【0040】
湿潤化によって生成されるこの膜の存在は、好ましくは基材の移動と組合せて、同時に吹付けられる2つの活性成分(酸化剤および還元剤)の混合ならびに混合物の展開を促進することによって、金属層の均質堆積を確保することを可能にする。有利には、予備湿潤段階−a−、すなわち、基材の表面の全てまたは一部を少なくとも1種の湿潤化流体(液体または蒸気)源に接触させることは、湿潤化液体のエアロゾルを吹付けることによって、かつ/または、任意選択で加熱される湿潤化液体の槽内への浸漬によって、かつ/または、基材上に、前記基材の表面で凝縮する湿潤化液体の蒸気を吹付けることによって実行される。
【0041】
湿潤化液体の加熱は、金属化格納部の温度の制御のように、酸化/還元エアロゾルを吹付ける段階−b−の開始時に、堆積動態に触媒作用を及ぼす有用な方法である。例として、湿潤化液体の加熱温度は、たとえば、20℃と60℃との間であり得る。
【0042】
湿潤化液体の選択は、好ましくは、少なくとも1種のアニオン、カチオンまたは中性界面活性剤が任意選択で添加されている脱イオン水または非脱イオン水、少なくとも1種のアルコールを含むアルコール溶液(たとえば、イソプロパノールまたはエタノール)およびその混合物を含む群から行われる。
【0043】
それにより、湿潤化液体が蒸気に変換され、蒸気が基材上に吹付けられ、基材上で蒸気が凝縮する湿潤化変形では、工業的適性の明確な理由のために液体は本質的に水性であることが好ましい。
【0044】
理解されてきたように、湿潤化の継続時間は、本発明による改良にとって最も重要なパラメータではない。この湿潤化の継続時間は、考えられる基材の表面、選択される技法(吹付けまたは浸漬)、および、吹付けによる湿潤化の場合、湿潤化エアロゾル吹付け流量に依存する。
【0045】
この予備段階−a−について、湿潤化液体のエアロゾルまたは蒸気の吹付けを実行する手段は、酸化/還元エアロゾルを吹付けるのに使用される手段と同一であるか、または、異なり得る。好ましくは、これらの吹付け手段は異なる。たとえば、独立した空気圧単一ノズル吹付け銃を使用することが可能である。
【0046】
有利には、UCCはまた、特に、湿潤化液体のエアロゾルまたは蒸気の吹付けおよび対応する吹付け手段の移動を起動させることによって、予備湿潤段階−a−の実行を指令し、制御することができる。
【0047】
この湿潤態様以外に、本発明による改良は、一部には、吹付けおよび緩和フェーズ中における動的な動作方法からなる。この動的モードは、一方では、吹付け手段に関連し、他方では、任意選択にではあるがそれでも有利には、基材自体に関連する。こうして、後者のオプションの変形により、基材は、金属化吹付け(段階−b−)中に少なくとも部分的に回転し得る。基材は、段階−b−中に、1rpmと30rpmとの間、好ましくは5rpmと20rpmとの間である速度で好ましくは断続的に回転する。基材の回転軸は任意の軸であり得る。たとえば、吹付け手段が真っ直ぐな経路を有する場合、基材の回転軸は、吹付け手段の移動軸に実質的に垂直であり得る。基材の回転は、制限された角度セクションにわたって想定され得る。そのため、基材がほぼ平面形状を有するとき、その回転は、好ましくは1°と120°との間、たとえば45°に相当する角度にわたって実行され得る。この基材の回転は、吹付け/緩和フェーズ中、断続的であり得る。実際、基材の回転軸は、前記基材の重心を通過してもよく、または、通過しなくてもよい。
【0048】
基材の回転速度は、1回転/秒と20回転/秒との間で変わる、たとえば、10±2回転/秒程度であり得る。
【0049】
本発明の改良によれば、金属化吹付けは動的モードで実行される。
【0050】
そのため、吹付け手段は、好ましくは連続して酸化/還元エアロゾルを吹付けながら、金属化される基材表面を掃引する。
【0051】
好ましくは、掃引は、金属化される表面の全体を覆う。
【0052】
この掃引は周期的である、すなわち、吹付け手段は、出発点Oと到着点Aとの間の経路TOAを吹付け有りの移動速度VOAで進むと、経路TAOに沿って吹付けなしの移動速度VAOで出発点(O)に戻る。
【0053】
本発明による改良型方法を実施する好ましい方法によれば、段階−b−はサイクリックであり、各サイクルは、吹付け手段がOからAへ、また、逆へ移動することに対応する吹付けフェーズおよび緩和フェーズを含み、さらに、実施されるNサイクルの総数は、最終的に求められる金属の堆積レベルおよび各サイクルで得られる金属の堆積レベルの関数として選択され、Nサイクルの総数は、2と5000との間、好ましくは50と500との間、なおより優先的には80と200との間になる。
【0054】
金属の最終堆積レベルおよびサイクル当たりの堆積レベルは、吹付け流量および吹付け有りの移動速度VOAに特に依存するパラメータである。
【0055】
有利な特徴によれば、段階−b−の吹付け流量は、各吹付けフェーズの終了時に、金属化される表面のcmについて、金属(酸化)カチオン(複数可)の量および還元剤(複数可)の量が、
− 酸化剤の場合、0.1と60との間、好ましくは0.5と20との間、
− 還元剤の場合、0.1と60との間、好ましくは0.5と20との間
(mg/cm単位)であるように調整される。
【0056】
酸化剤が、酸化数IIを有するニッケルである特定の場合、後者は、1〜7mg/cmで存在し、一方、還元剤は、各吹付けフェーズの終了時に、基材の表面上に1〜14mg/cmで存在する。
【0057】
吹付け有りの移動速度VOAに関して言えば、これは、金属のタイプの関数として選択される。実際に、ある金属は、長い吹付け、したがって、吹付け有りの遅い移動速度VOAを必要とする。
【0058】
例によれば、経路TOAが真っ直ぐでかつ直接的である場合、吹付け有りのこの移動速度VOAは、たとえば、0.01m/sと10m/sとの間、好ましくは0.5m/sと2m/sとの間、またはなおより正確には、たとえば1m/s程度である。
【0059】
当然、本発明は、経路TOAが真っ直ぐでかつ直接的である場合に限定されない。そのため、(一般的な非平面形状の)3次元材料片の場合、関心のある金属化される基材表面の全体を掃引するために、この経路TOAはまた、3次元、たとえば、らせん状である。
【0060】
戻り経路TAOに関して言えば、この経路T上での戻り速度VAOは、金属化される表面の各単位面積について、また、各サイクルについて、継続時間Drの仕様に相当する緩和フェーズが10−2sと10sとの間、好ましくは2×10−2sと4sとの間になるようものであることが本発明による改良に従って実現される。
【0061】
吹付けおよび緩和の継続時間は、金属のタイプによって、10−1sと13sとの間、好ましくは0.5sと9sとの間で変わる定数kによって規定される。したがって、計算および制御ユニットUCCは、速度VAOでの到着点Aから出発点Oまで吹付け手段の戻り移動を確定し制御するようにプログラムされるべきである。このために、UCCは、到着点Aに達するとすぐ、吹付け手段を停止させるように吹付け手段に作用し、また同様に、前記吹付け手段の移動用のシステムに作用して、その出発点に停止状態で吹付け手段を戻す。
【0062】
経路TAOが、それにより、真っ直ぐでかつ直接的である実施態様の特定の方法では、VAOを計算する式は、
AO=AO/[k−(OA/VOA)]
である。
【0063】
有利には、UCCは、吹付け手段の開始、ならびに、たとえば、0.1m/sと20m/sとの間、好ましくは1m/sと6m/sとの間であり得る速度VOAでの経路TOAに沿う吹付け手段の初期移動を指令するようにプログラムされる。
【0064】
より一般的には、速度VOAは、たとえば、0.01m/sと20m/sとの間、好ましくは0.1m/sと6m/sとの間であり得る
【0065】
本発明の有用な配置構成によれば、好ましくは、n吹付け/緩和サイクルの各シーケンスΔS後に、少なくとも1つの洗浄フェーズが設けられる。
【0066】
有利には、各シーケンスΔSの吹付け/緩和サイクルの数字nは、たとえば、2と30との間、好ましくは、5と20との間である。
【0067】
有利には、洗浄段階、すなわち、基材表面の全てまたは一部を少なくとも1つの洗浄液体源に接触させることは、洗浄液体エアロゾルを吹付けることによって、かつ/または、洗浄液体の槽内への浸漬によって実行される。洗浄液体エアロゾルの吹付けを実行する手段は、酸化剤/還元剤エアロゾルの吹付けに使用される手段および/または予備湿潤段階−a−に利用される手段と同一であるか、または、異なり得る。
【0068】
好ましくは、これらの吹付け手段は、酸化剤/還元剤エアロゾルを吹付けるのに使用される手段と異なり、また、たとえば、独立した空気圧単一ノズル吹付け銃であり得る湿潤化用の手段と同じである。
【0069】
湿潤化エアロゾルの吹付け手段の場合にそうであるが、洗浄液体の吹付け手段は、好ましくは、前記手段の移動用のシステムに関連する。本発明の有用な方法によれば、UCCはまた、特に、洗浄液体エアロゾルの吹付けおよび吹付け手段の対応する移動を起動させることによって洗浄手段の実行を指令し制御することができる。
【0070】
本発明による方法において基材上に吹付けられるエアロゾルは、好ましくは、
・酸化金属カチオン(複数可)および還元剤(複数可)の溶液(有利には水性)からか、
・洗浄溶液からか、または、
・同様に適切である場合、増感および/または活性化溶液から
得られる。
【0071】
当然の結果として、本発明の好ましい配置構成によれば、吹付けエアロゾル(複数可)は、100μm未満、好ましくは60μm、なおより優先的には0.1μmと50μmとの間にあるサイズの液滴の吹付けを得るために、溶液(複数可)および/または分散液(複数可)の噴霧および/または霧化によって生産される。
【0072】
本発明の改良型方法の考えられる第1の実施態様によれば、金属カチオン(複数可)の少なくとも1つの溶液および還元剤(複数可)の少なくとも1つの溶液は、同じ吹付けフェーズにおいて1つまたは複数のエアロゾルで表面上に同時に吹付けられる。適切な場合、酸化溶液と還元溶液との混合は、吹付けエアロゾルの形成の直前に、または同様に、酸化溶液から生成されるエアロゾルと還元溶液から生成されるエアロゾルを、両者が金属化基材表面に接触する前に混合させることによって実行され得る。
【0073】
本発明による改良型方法の考えられる第2の実施態様によれば、段階−b−は、各吹付けフェーズ中にかつ1つまたは複数のエアロゾルによって、金属カチオン(複数可)の少なくとも1つの溶液または還元剤(複数可)の少なくとも1つの溶液を吹付けることを含み、そのとき、少なくとも1つの排他的な酸化金属カチオン吹付けフェーズと少なくとも1つの排他的な還元剤吹付けフェーズが設けられ、一方の酸化剤の吹付けフェーズと他方の還元剤の吹付けフェーズが好ましくは交互に行われることが承知されている。この第2の可能性は、還元溶液(複数可)および金属塩(複数可)の交互の吹付けに相当する。
【0074】
緩和フェーズの継続時間は互いに同一であるか、または、異なり得ることが留意されるべきである。同じことが、吹付けフェーズならびに全てのフェーズに当てはまる。
【0075】
実際には、この第2の可能性によれば、還元剤の吹付け/緩和サイクルが、酸化金属塩の吹付け/緩和サイクルと交互に行われるn”吹付け/緩和サイクルの1つまたは複数のシーケンスΔS”が設けられる。これらの吹付け/緩和サイクルの総数N”は、金属化される表面、および、金属化層について求められる厚さに依存する。この数N”は、たとえば、4と5000との間、好ましくは50と500との間、なおより優先的には80と200との間にあり得る。
【0076】
上述した考えられる2つの実施態様では、異なる金属または合金の多層を作るために、ある変形によって、いくつかの異なる酸化金属カチオンおよび1つまたは複数の還元剤を使用することが可能である。
【0077】
こうするために、連続するm吹付け/緩和サイクルの異なるサブシーケンスΔsが実行され、これらのサブシーケンスはそれぞれ、金属化層を形成することを意図される所与の金属または合金に相当する。考えられる第1の実施態様において、mは、2以上であり、好ましくは2と10との間であり、考えられる第2の実施態様において、mは、4以上であり、好ましくは4と20との間である。これらのサブシーケンスは、同一のまたは異なる継続時間であり、1つまたは複数の洗浄フェーズを含む、かつ/または、1つまたは複数の洗浄フェーズによって互いに分離される。実際には、異なる金属または合金に対応する2つのサブシーケンス間で、すなわち、m吹付け/緩和サイクルの各サブシーケンスΔs後に、少なくとも1つの洗浄を設けることが好ましく、mは、2と30との間、好ましくは5と20との間である。
【0078】
考えられる第2の実施態様の枠組み内で、異なる金属または合金の多層を形成するための、いくつかの酸化金属カチオンの組合せは、異なる塩が、好ましくは、還元剤と別々に、しかし同様に互いに別々でかつ連続して自然に吹付けられるようなものである。金属カチオンの異なる性質に加えて、互いに異なる対アニオンを使用することを想定することが可能であることが自明である。
【0079】
段階−c−の実施を可能にするために、堆積される金属コーティングの成長は、好ましくは、重量の変化を使用して、たとえば、金属化される表面と同じ方法で吹付けにさらされるプローブを装備する石英秤を使用して監視される。
【0080】
本発明の別の変形によれば、酸化剤(複数可)および還元剤(複数可)の混合物は準安定であり、混合物を吹付けた後、好ましくは、反応混合物の吹付けの前か吹付け中かまたは吹付け後に少なくとも1つのエアロゾルによって有利には供給されるプライマーに接触させることによって金属への変化がトリガーされるように、還元剤が活性化されることが確保される。この変形は、吹付け後に酸化剤および還元剤が基材の表面を覆うまで両者の反応を遅延させながら、酸化剤および還元剤を予備混合することを可能にする。反応のプライミングまたは活性化は、その後、任意の物理的(温度、UVなど)または化学的手段によって達成される。
【0081】
先に提示され、また、例において以降で示す方法論的考慮事項以外に、ここで、本発明による方法において利用される生成物に関するより正確な情報を提供することが重要である。
【0082】
水は、吹付けられるエアロゾルがそこから生成される溶液の生成にとって最も適した溶媒であるように見える(しかし、有機溶媒を使用する可能性を排除しない)。酸化金属塩の濃度は、1g/lと60g/lとの間、好ましくは7g/lと30g/lとの間である。
【0083】
還元剤の選択は、好ましくは、生成物、すなわち、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン、ジメチルアミン、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ホルモール、水素化アルミニウムリチウム、還元糖およびその混合物の群から行われる。還元剤の選択は、金属化膜について求められるpHおよび特性を考慮することを必要にさせる。この日常の試行錯誤は、当業者の範囲内にある。還元剤の濃度は、0.5g/lと60g/lとの間、好ましくは8g/lと20g/lとの間である。
【0084】
既に先に説明したように、水性溶液は、酸化剤/還元剤を吹付けるためのエアロゾルの生成にとって最も好都合な基礎を構成する。好ましい配置構成によれば、開始溶液の少なくとも1つは、以下のもの、すなわち、
− および/または、少なくとも1つの天然樹脂または合成樹脂または結合剤、
− および/または、少なくとも1つの有機または無機染料および/または顔料、
− 好ましくは以下の生成物、すなわち、チタン酸塩、アルミン酸塩、シラン、ジルコン酸塩、ジルコアルミン酸塩またはその混合物から選択される少なくとも1つのカップリング剤、
− および/または、好ましくは以下の生成物、すなわち、スルフィミド、スルファンアミド、スルホネート、プロパルギルアルコール、チオウレア、メルカプタベンゾチアゾールまたはその混合物から選択される少なくとも1つの光沢剤、
− および/または、少なくとも1つの界面活性剤、
− および/または、好ましくは以下の生成物、すなわち、
ガラス、炭素、テフロン(登録商標)、シリコン、カーバイド、グラファイト、ダイヤモンド、アルミナなどの酸化物、セラミックのファイバまたは粒子、
潤滑剤を含有するマイクロカプセル、
または同様に、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、硫酸バリウム、滑石、ケイ酸塩、
実際に、金属膜の流体力学的特性および機械的特性を修飾することが可能な任意のフィラー、
および、これらの生成物の混合物
から選択される少なくとも1つのフィラー
が添加されていることがもたらされ得る。
【0085】
カップリング剤は、水性媒体内で加水分解する能力があるため表面修飾因子として働いて、表面に対して「プライマー」として、また、任意選択で、反応のための触媒として役立つ、表面で化学吸着されるアモルファス膜および無機膜を生じさせる。
【0086】
これらの表面修飾因子の選択について好ましい生成物のクラスとして、チタン酸塩、アルミン酸塩、シラン、ジルコン酸塩、ジルコアルミン酸塩に対して参照が行われてもよい。チタン酸塩は特に適切である。チタン酸塩または類似物によるこの活性化の利点は、それが、酸化剤/還元剤の吹付けの前に活性化段階を設ける必要なしで、in situで起こることである。チタン酸塩膜の特性は、使用される量に依存する。性能は、修飾される表面が官能基(ケトン、アミン、エポキシなど)を含有するときに最大である。チタン酸塩の使用は、プラスチック基材に対して、特にニッケルの膜の付着性を改善すること、ならびに、表面上でin situで酸化還元反応に触媒作用を及ぼすことを可能にする。溶液内のチタン酸塩の濃度は、0.1重量%と12重量%との間、好ましくは1重量%と7重量%との間である。光沢剤の例として、
− 0.1g/l〜10g/l、好ましくは1g/lと5g/lとの間の範囲にある濃度で使用されるサッカリンなどのスルフィミド、
− 0.1g/l〜12g/l、好ましくは1g/lとxg/lとの間の範囲にある濃度で使用されるベンゾスルファンアミドなどのスルファンアミド、
− 4g/l未満の濃度で使用されるナトリウムナフタリントリスルホネートなどのスルホネート、
− 3g/l未満の濃度で使用されるプロパルギルアルコール、チオウレア、メルカプタベンゾチアゾール
が述べられ得る。
【0087】
使用され得る界面活性剤は、利用される界面活性剤の臨界ミセル濃度(critical micelle concentration)CMCの1〜5倍の範囲の濃度で使用可能である。界面活性剤の例として、ドデシル硫酸ナトリウムSDS(アニオン性:2×CMC)、ナトリウムラウリルスルホネート(アニオン性:4×CMC)およびポリオキシエチレンオニルフェニルエーテル(非イオン性:4×CMC)が述べられ得る。
【0088】
吹付けられる溶液に対する粒子および/またはファイバの添加は、複合堆積物を得ることを可能にする。有機または無機フィラーのこれらの粒子またはこれらのファイバは、そのマトリクスが金属である複合膜に、有用な摩擦特性、粗面化特性、硬さ特性および強靭特性を与える。
【0089】
有機フィラーは、たとえば、テフロン(登録商標)またはPTFEポリテトラフルオロエチレンビードであり得る。
【0090】
無機フィラーは、たとえば、グラファイト粒子、ガラスビード、シリカ粒子あるいは同様に顔料または染料であり得る。
【0091】
粒子またはファイバは、たとえば、金属塩の溶液内に懸濁状態で置かれる。この溶液内で、堆積した金属膜の摩擦特性を修飾することが可能な任意の粒子を使用することが可能である。
【0092】
いずれの場合も、本発明による方法について得られる複合膜は、単純な金属膜の全ての特性を有し、また、均質である。
【0093】
本発明によれば、溶液は、特にエチレングリコールなどの粘度修飾剤などの、溶液に添加される多数の添加剤を有することができる。粘度の微調整は、実際には、基材上での流れ現象を回避することを可能にする。したがって、試薬は、長時間にわたって、同じ場所で基材に接触したままである。当然の結果として、堆積される質量、したがって、酸化還元反応の産出量が改善されることになる。一方、粘度の増加は、複合堆積物を生成する場合に、粒子またはファイバの分散性および懸濁性を改善する。
【0094】
本発明による改良型方法の利点は数多い。改良型方法は自動化される。溶液は、工業用規模で経済的要件に適合する制限された量で使用される。堆積物の付着性は、基材がどんなもの(金属、プラスチック、セラミック)であっても優れている。時間当たり数十ミクロンの動態によって数分でかなりの厚さを達成することが可能である。コーティングは、周囲温度で、瞬時に、後続の処理(たとえば、熱処理)を必要とすることなく得られ得る。しかし、堆積物の浅在性構造を修飾したいと思う場合、こうした処理が想定され得ることは自明である。
【0095】
堆積物は、装飾、仕上げおよび腐食(ニッケル、亜鉛、Cuなど)に対する保護のために生成され得る。これらの堆積物はまた、基材に特定の(電気的、磁気的、機械的)表面特性を与えることによって、基材を機能化させることを可能にし得る。それは、たとえば、電磁遮蔽に関して電子機器のプラスチックケーシング用の保護を提供してもよい。
【0096】
本発明による改良型方法は、原料の消費を低減するだけでなく、有利な再利用の可能性も提供する。
【0097】
そのため、本発明による改良型方法の有利な使用によって、
・金属化の終了時に生成され、金属酸化物を含有するスラッジが回収され、
・これらのスラッジがろ過され、
・保持液が少なくとも1種の強酸を使用して溶解され、
・強酸中の保持溶液のpHを上昇させて、金属水酸化物または金属化で使用される1つまたは複数の金属に対応する異なる金属水酸化物を連続して沈降させ、
・金属水酸化物沈降物(複数可)が別々に凝結され、
・この(またはこれらの)金属水酸化物(複数可)が、任意選択で、金属化方法において再利用される。
【0098】
スラッジの回収は、ろ過のように、実施するのが容易な作業である。
【0099】
本発明による改良型方法の利益は、ろ過が、一方では、再利用可能な金属酸化物を含有する固体材料をスラッジから分離することを、他方で、非生態毒性液体ろ過液を生成することを可能にし、したがって、環境の点で管理するのが容易であることである。
【0100】
ろ過保持液を溶解するのに使用されることが可能な強酸は、たとえば、硝酸、硫酸、ホウ酸、酢酸およびその混合物を含む群から選択される。
【0101】
この溶解に使用される強酸(複数可)の溶液は、0.5モル/リットルと5モル/リットルとの間である、好ましくは1モル/リットル程度の強酸(複数可)の濃度を有する。
【0102】
強酸の保持液溶液のpHを上げるために、たとえば、ソーダ、アンモニア、ライムおよびその混合物を含む群から選択される塩基が使用される。
【0103】
このために使用される塩基溶液の濃度は、たとえば、0.1mol/lと5mol/lとの間、好ましくは0.5mol/lと3mol/lとの間、なおより優先的には1mol/lと2mol/lとの間である。
【0104】
金属水酸化物沈降物(複数可)の収集は、たとえば、ろ過、デカンテーションまたは遠心分離によって容易に実行される。
【0105】
得られる異なる固体金属水酸化物沈降物(複数可)は、本発明による改良型金属化方法において、溶液に容易に戻され、再使用され得る。
【0106】
これらの態様のうちの別の態様によれば、本発明は、上述した改良型方法を実施するデバイスに関する。
【0107】
本発明によるデバイスの例証によれば、一実施形態の例が、添付図面を参照して、とりわけ以降で述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】基材の回転手段としても働く保持手段によって支持される、金属化される基材の正面図である。
【図2】図1の要素が組込まれた、本発明によるデバイスの略平面図である。
【図3】比較例1のプロトコルによる金属化される基材の正面図である。
【図4A】比較例1による金属化の終了時に得られる金属堆積物を通る長手方向断面図である。
【図4B】実施例1による金属化の終了時に得られる金属堆積物を通る長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1は、参照1で示す全体が矩形の平面形状の基材を示す。この基材1は、したがってこの例では、薄い平行六面体プラスチックポリマー板である。この板1は、回転手段3(たとえば、デジタル可変ドライブに連結するモータ)および基材1を直接支持する支持手段4を備える保持手段2によって支持される。基材1のオプションの(好ましくは部分的でかつ交互の)回転は、垂直軸Z−Zを中心に実行される。
【0110】
図2は、デジタル可変ドライブを装備する回転手段3上に、回転式に移動可能に搭載された基材1を組込む上面図である。図2のデバイスはまた、カチオン(酸化)形態の金属および還元剤を吹付ける手段5を備える。これらの吹付け手段5は、少なくとも1つ(この場合は1つ)の吹付けノズル7を担持する部分6と、酸化溶液と還元溶液を収容する、任意選択で、混合する部分8とを備える。これらの吹付け手段5は、手段5を支持する軸10を備え、かつ、モータ11によって回転式に駆動されることができる移動システム9上に搭載される。
【0111】
図2に示すように、デバイスはまた、吹付け手段5を制御する処理および制御ユニットUCC、好ましくはマイクロコンピュータと、前記吹付け手段5の移動システム9と、基材1の回転手段3とを含む。デバイスは、湿潤化液体および洗浄液体のエアロゾルまたは蒸気を吹付ける手段5’/5”を備える。これらの手段5’/5”は、少なくとも1つ(この場合は1つ)の吹付けノズル7’/7”を担持する部分6’/6”と、液体または蒸気形態で湿潤化流体を収容する部分8’/8”によって構成される。これらの吹付け手段5’/5”は、上述した移動システム9上に搭載され、移動システム9は、経路TOAおよびTAOに沿う併進移動によって、湿潤化液体または洗浄液体の蒸気および/またはエアロゾルを吹付ける吹付け銃(複数可)を移動させることを可能にする。
【0112】
デバイスはまた、空気圧縮器13に接続されるタンク12、12、14および14を備え、それにより、場合に応じて、それぞれ、吹付け手段5に酸化溶液12および還元溶液12を、吹付け手段5’/5”に湿潤化液体蒸気または湿潤化液体14および洗浄液体14を供給することができる。UCCを、吹付け手段5と、移動システム9と、基材1の回転手段3に接続する矢印を有する2重ラインは、これらのコンポーネントのUCCによる制御を表す。もちろん、これらの接続部を通過するアナログまたはデジタル信号は、UCC→周辺の方向だけでなく、反対方向へも循環することが想定され得る。
【0113】
図2はまた、図1に示す軸Z−Zを中心に回転式に駆動され得る基材1を金属化するための、移動システム9によって駆動される吹付け手段7の掃引用の「外向き(outward)」経路TOAおよび「戻り(return)」経路TAOを表す軸OAを含む。
【0114】
図2の例では、軸Z−Zは、移動時の吹付け手段の経路TOAおよびTAOを表す軸OAに実質的に垂直である。
【0115】
吹付け手段5のノズル7または吹付け手段5’/5”のノズル7’/7”は、吹付けフェーズに相当する経路OAに沿って、Oxおよび/またはRedエアロゾル吹付けコーンあるいは湿潤化液体のエアロゾルまたは蒸気の吹付けコーンを生成し、吹付けコーンは、金属化されるか、湿潤化されるか、または、洗浄される基材1の表面を掃引する。
【0116】
本発明は、表面処理に関連する全ての分野、すなわちたとえば、自動車分野、航空分野、機械分野、電子分野および一般に化学ニッケルが使用される全ての分野について意味をもってもよい。
【0117】
本発明による方法の実施態様の以下の例から、本発明がよりよく理解され、また、その利点および変形が疑いなく明らかになるであろう。
【0118】
(実施例)
I−使用されるデバイス
例で使用されるデバイスは、図1および2を参照して上述したタイプである。
【0119】
金属化される基材を保持する手段2は、基材1を回転させるモータ3(SERAD MD230/M/2デジタル可変ドライブによって制御されるブラシレスサーボモータ)を備える。そのモータは、基材がその上で固定され得る回転板を備える。
【0120】
吹付けユニットは、3つの主要な部分を備える。
1− オイル圧縮器から生じる圧縮空気13(1〜8バール)源または所定圧力下で貯蔵された窒素源。
2− 2つの別個のタンク12:各タンクは、その混合物が反応媒体を構成することになる溶液(それぞれ、酸化剤および還元剤)を含有する。各タンクは密封され、内部が加圧されることを可能にする。ステンレス鋼管が、溶液内に沈められ、可撓性管を使用して溶液を吹付け銃に運ぶことを可能にする。圧縮空気源に接続される調節器は、溶液にかかる圧力および吹付け手段5内の溶液の流量を変えることを可能にする。
3− これらの吹付け手段5は、ITW−Surface&Finitions S.A.によって販売される自動AGPV569/579吹付け銃である吹付け銃6を備える。吹付け銃6は、Ox/Red溶液用の入口部分8と、2つの溶液の混合を噴霧し均質化することを可能にする2つの同心ステンレス鋼ノズル7を備える。吹付け銃ヘッドのレベルの調整は、ほぼ均質な円錐状吹付けが得られることを可能にする。
【0121】
吹付け手段5の移動システム9は、モータ(デジタルSERAD MD230/M/2可変ドライブによって制御されるモータ11、ブラシレスサーボモータ)により駆動される軸10−直線軸、EL Z60を含むアルミニウム枠を備え、吹付け銃(複数可)6、7が、経路TOAおよびTAOに沿う併進移動によって移動することを可能にする。
【0122】
デバイスは、湿潤化流体のまたは洗浄流体のエアロゾルまたは蒸気用の組合せ式吹付け手段5’/5”を備える。これらの手段5’/5”は、支持部分6’/6”に接続される空気圧式単一吹付けノズル7’/7”によって構成される。これらの手段5’/5”は、上述した移動システム9と組合され、組合せ式湿潤化および洗浄吹付け銃(複数化可)6’/6”、7’/7”を経路TOAおよびTAOに沿って併進的に移動することを可能にする。
【0123】
− Ox/Redフロー比を調整するための溶液の流量、
− 基材1を回転させるモータ3、
− 湿潤化手段5’、
− Ox/Red用吹付け手段5、
− 洗浄手段5”、および、
− 吹付け手段5、5’および5”の移動システム9
を制御する処理および制御ユニット(マイクロコンピュータ)によって自動化が可能になる。
【0124】
特に、処理および制御ユニットは、組合せ式手段5’/5”内で湿潤化と洗浄との間の切換えを制御することが可能である。
【0125】
金属膜の成長は、「Maxtek PM 500」タイプの石英秤を使用して監視される。これは、所与の表面上に、この場合、金属化される表面と同じ方法で金属化スプレーにさらされるプローブ上に堆積する質量を測定することを可能にするデバイスである。そのため、堆積する膜の密度および音響インピーダンスなどのいくつかの重要な因子を知って膜の厚さを探知することが可能である。
【0126】
測定は、緩和フェーズ中、すなわち、TOAに沿う掃引中に実行され、膜の厚さは、洗浄フェーズ後に秤によって測定される。
【0127】
II−方法
II.1 堆積のための基材の処理
基材の表面は、化学的処理および/または機械的処理にさらされるか、または、さらされない可能性がある。機械的処理は、サンドペーパを使用して粗面化することによって、または、アルミナ顆粒によってサンドブラストすることによって研磨され得る。化学的処理について言えば、スルホクロミック混合物またはパーマンガネートなどの標準的なエッチング溶液が使用される。これらの処理の目的は、膜の付着性を増すことである。基材の表面をより均一にかつ標準化するために、表面上に以前に堆積したレベリング用プライマー(ワニス)が使用され得る。プラスチック基材の場合、コロイドPdSn溶液を使用する活性化段階が必要である。コロイド溶液内での25分の継続時間は、飽和するまで活性化することを可能にする。1M HCl加速段階の継続時間は1分である。脱脂の場合、アルコールが使用され、たとえば、プラスチックの場合メタノール、導電性基材の場合トルエンとアセトンの50/50混合が使用される。全ての場合に、水性脱脂剤が使用されて、手順を簡略化し、環境を保護することができる。
【0128】
II.2 吹付け手順
以下の実施例1〜8は例証を提供する。
【0129】
(比較例1)
特許FR−B−2 763 962による金属化手順
ABS(プラスチック)基材上でのNi−B合金によって構成される金属膜の堆積
以下が定義される。
Δt:吹付け継続時間(ms単位)
G:緩和の継続時間(ms単位)
ΔS:吹付けシーケンス(ms単位)
:還元溶液の流量(ml/パルス(吹付け))
:金属塩(複数可)の溶液(複数可)の流量(ml/パルス(吹付け))
使用される吹付けデバイスは、空気圧縮器、2つのタンクおよびMSV 2Kタイプの手動スプレー銃を備える。
【0130】
動作条件
1.酸化溶液:13g/lのNiCl、6H
2.還元溶液:15g/lのKBH
3.洗浄水:脱イオン水
4.基材:300cm(30cm×10cm)の表面積を有するABSポリマー
【0131】
図3に示すように、基材は、3つのゾーンに細分され、3つのゾーンのそれぞれの上に、酸化溶液と還元溶液の両方の混合物の噴霧によって得られるスプレーが吹付けられ、特許FR−B−2 763 962の図1で規定されるプロトコルによれば、このスプレーの液滴サイズは50μmである。
R:洗浄ステップ、t:時間、M:質量
溶液は、時間Δt=550msの間吹付けられる。
時間G=900msの間、溶液は吹付けられず、基材の表面上の流体膜が、試薬と共にもはや供給されない。
ΔSは、50パルス(または吹付け)/緩和に相当する吹付けシーケンスを表す。
吹付けシーケンスの各ステップ間において、洗浄ステップが、R=1500msで実行される。
吹付け距離条件は、表面に対して経路が直線であるようなものである。
吹付けスプレーは、溶液の噴霧によって生成され、スプレーの液滴サイズは50μmである。
【0132】
(実施例1)
本発明による金属化手順
ABS(プラスチック)基材上でのNi−B合金によって構成される金属膜の堆積
【0133】
動作条件
使用される吹付けデバイスは、Iで先に述べられ、また、図2に示されるデバイスである。
1.酸化溶液:13g/lのNiCl、6H
2.還元溶液:15g/lのKBH
3.湿潤化溶液:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、10ml/sの流量を有し、吹付け手段5’は湿潤化吹付け手段として構成される
4.洗浄水:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、20ml/sの流量を有し、吹付け手段5”は洗浄吹付け手段として構成される
5.基材:図1および2に示すように、300cm(30cm×10cm)の表面積を有するABSポリマー
6.k:ニッケル定数は1sと6sとの間にある
7.VOA:0.5m/s
8.「サイクル中に停止フェーズを有する(with stop phases during the cycle)」8rpmの速度での、板の長さに対して中間にありかつ垂直である図1および2におけるZ−Z軸を中心とする回転。回転は、洗浄フェーズ(角度30℃)後に開始する。
・表面上に流体膜を形成するための、基材の湿潤化−a−のUCCによる開始:湿潤化溶液は、移動OA中にノズル6’によって10s間吹付けられる。
・基材の回転運動が始動される。速度Vr。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクルの終了後、即座(10s)のUCCによる開始: OA次にAOの掃引。
○スプレー銃は、速度VOA=0.5m/sでUCCによって動作状態に設定され、スプレーの連続吹付けが、酸化溶液と還元溶液の両方の混合物の噴霧によって得られ、このスプレーの液滴サイズは50μmである。
○速度
AO=AO/[k−(OA/VOA)]=0.2m/s
での、経路AOに沿う出発点へのスプレー銃6の戻り。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
・実行される吹付け/緩和サイクルの総数Nは100である。
【0134】
(実施例2)
比較例1および実施例1の結果
比較例1:得られるニッケル堆積物は、溶接され得、また、付着性がよい(adherent)。堆積物の硬度は、400〜500Vickers程度である。
【0135】
実施例1:こうして得られたニッケル膜は、溶接され得、また、材料片の全表面にわたって非常に付着性がよい。膜は、好ましくは均質である。膜は、0.5μmの厚さを有する。堆積物の硬度は、400〜500Vickers程度である。
【0136】
図4Aおよび4Bは、比較例1と実施例1で得られた堆積物を示す。
【0137】
比較例1の手順を使用して得られる堆積物は、全表面にわたって均質ではない。一方、実施例1の改良型手順を使用すると、堆積物は、基材の全表面にわたって完全に均質である。
【0138】
実施例1における原料の消費は、比較例1の消費と比べて著しく少ない。より正確には、流量のコンピュータ化された制御は、比較例1における酸化溶液と還元溶液の消費と、実施例1における酸化溶液と還元溶液の消費との間で、1.5程度の比を可能にする。
【0139】
(実施例3)
300cm(30cm×10cm)の表面積を有するガラスファイバ充填エポキシポリマー基材上へのCu金属膜の堆積
動作条件
使用される吹付けデバイスは、Iで先に述べられ、また、図2に示されるデバイスである。
1.酸化溶液:9g/lのCuSO、8H
2.還元溶液:15g/lのKBH
3.湿潤化溶液:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、10ml/sの流量を有し、吹付け手段5’は湿潤化吹付け手段として構成される
4.洗浄水:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、20ml/sの流量を有し、吹付け手段5”は洗浄吹付け手段として構成される
5.基材:図1および2に示すように、300cm(30cm×10cm)の表面積を有するABSポリマー
6.k:銅定数は2sと9sとの間にある
7.VOA:0.5m/s
8.「サイクル中に停止フェーズを有する」8rpmの速度での、板の長さに対して中間にありかつ垂直である図1および2におけるZ−Z軸を中心とする回転。回転は、洗浄フェーズ(角度30℃)後に開始する。
・表面上に流体膜を形成するための、基材の湿潤化−a−のUCCによる開始:湿潤化溶液は、移動OA中にノズル6’によって10s間吹付けられる。
・基材が回転する。速度Vr。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクルの湿潤化の終了後、即座(10s)のUCCによる開始:OA次にAOの掃引。
○スプレー銃は、速度VOA=0.05m/sでUCCによって動作状態に設定され、スプレーの連続吹付けが、酸化溶液と還元溶液の両方の混合物の噴霧によって得られ、このスプレーの液滴サイズは50μmである。
○速度
AO=AO/[k−(OA/VOA)]=0.3m/s
での、経路AOに沿う出発点へのスプレー銃6の戻り。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
実行される吹付け/緩和サイクルの総数Nは100である。
結果:
こうして得られる銅膜は、溶接され得、材料片の全表面にわたって非常に付着性がよい。膜は、好ましくは均質である。膜の厚さは、0.5μm程度である。得られる金属膜の電気固有抵抗は、0.02Ω/cm程度である。
【0140】
(実施例4)
ABS(プラスチック)基材上への、3成分Ni−B合金によって構成される金属膜の堆積
動作条件
使用される吹付けデバイスは、Iで先に述べられ、また、図2に示されるデバイスである。
1.酸化溶液:NiSO、NaHPO モル比0.15〜0.5
2.流量0.5ml/吹付け
3.還元溶液:15g/lのKBH
4.湿潤化溶液:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、10ml/sの流量を有し、吹付け手段5’は湿潤化吹付け手段として構成される
5.洗浄水:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、20ml/sの流量を有し、吹付け手段5”は洗浄吹付け手段として構成される
6.基材:図1および2に示すように、300cm(30cm×10cm)の表面積を有するABSポリマー
7.VOA:4m/s
8.「サイクル中に停止フェーズを有する」8rpmの速度での、板の長さに対して中間にありかつ垂直である図1および2におけるZ−Z軸を中心とする回転。回転は、洗浄フェーズ(角度30°)後に開始する。
・表面上に流体膜を形成するための、基材の湿潤化−a−のUCCによる開始:湿潤化溶液は、移動OA中にノズル6’によって10s間吹付けられる。
・基材が回転する。速度Vr。
・デバイス格納部の温度は、25℃と45℃との間に制御される。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクルの湿潤化の終了後、即座(10s)のUCCによる開始:OA次にAOの掃引。
○スプレー銃の移動は、速度VOA=4m/sでUCCによって始動され、スプレーの連続吹付けが、酸化溶液と還元溶液の両方の混合物の噴霧によって得られ、このスプレーの液滴サイズは50μmである。
○速度
AO=AO/[k−(OA/VOA)]=2m/s
での、経路AOに沿う出発点へのスプレー銃6の戻り。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
実行される吹付け/緩和サイクルの総数Nは100である。
結果:
こうして得られるニッケル−ホウ素−リン膜は、溶接され得、基材の全表面にわたって非常に付着性がよい。膜は、好ましくは均質である。膜は、0.64μmの厚さを有する。堆積物は、4〜5%ホウ素および4〜5%リンを含有する。密度は、ρ=7.3である。
【0141】
(実施例5)
ABS(プラスチック)基材上への、PTFE粒子を有する3成分Ni−B−P合金によって構成される金属膜の堆積
動作条件
使用される吹付けデバイスは、Iで先に述べられ、また、図2に示されるデバイスである。
1.酸化溶液:NiSO、NaHPO モル比0.15〜0.5
2.流量0.5ml/吹付け
3.還元溶液:15g/lのKBH
4.酸化溶液における、15g/lの濃度の、平均径=500nmを有するPTFEテフロン(登録商標)ビードの懸濁液
5.湿潤化溶液:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、5ml/sの流量を有し、吹付け手段5’は湿潤化吹付け手段として構成される
6.洗浄水:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、1ml/sの流量を有し、吹付け手段5”は洗浄吹付け手段として構成される
7.基材:図1および2に示すように、300cm(30cm×10cm)の表面積を有するABSポリマー
8.VOA:4m/s
9.「サイクル中に停止フェーズを有する」8rpmの速度での、板の長さに対して中間にありかつ垂直である図1および2におけるZ−Z軸を中心とする回転。回転は、洗浄フェーズ(角度30°)後に開始する。
・表面上に流体膜を形成するための、基材の湿潤化−a−のUCCによる開始:湿潤化溶液は、移動OA中にノズル6’によって10s間吹付けられる。
・基材が回転する。速度Vr。
・デバイス格納部の温度は、25℃と45℃との間に制御される。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクルの湿潤化の終了後、即座(10s)のUCCによる開始:OAその後AOの掃引。
○スプレー銃の移動は、速度VOA=4m/sでUCCによって始動され、スプレーの連続吹付けが、酸化溶液と還元溶液の両方の混合物の噴霧によって得られ、このスプレーの液滴サイズは50μmである。
○速度
AO=AO/[k−(OA/VOA)]=2m/s
での、経路AOに沿う出発点へのスプレー銃6の戻り。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
実行される吹付け/緩和サイクルの総数Nは100である。
結果:
こうして得られるニッケル−ホウ素−リン膜は、溶接され得、材料片の全表面にわたって非常に付着性がよい。膜は、好ましくは均質である。膜は、0.64μmの厚さを有する。堆積物は、4〜5%ホウ素と、4〜5%リンと、22%PTFEを含有する。密度は、ρ=6.2である。得られる摩擦係数は0.1程度である。
【0142】
(実施例6)
300cm(30cm×10cm)の表面積を有するガラスファイバ充填エポキシポリマー基材上へのCu/Ni交互の多層金属膜の堆積
動作条件
使用される吹付けデバイスは、Iで先に述べられ、また、図2に示されるデバイスである。
1.酸化溶液1:9g/lのCuSO、8H
2.還元溶液1:15g/lのKBH
3.酸化溶液2:13g/lのNiCl、6H
4.還元溶液2:15g/lのKBH
5.湿潤化溶液:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、10ml/sの流量を有し、吹付け手段5’は湿潤化吹付け手段として構成される
6.洗浄水:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、20ml/sの流量を有し、吹付け手段5”は洗浄吹付け手段として構成される
7.基材:図1および2に示すように、300cm(30cm×10cm)の表面積を有するエポキシポリマー
8.VOA:0.5m/s
9.「サイクル中に停止フェーズを有する」8rpmの速度での、板の長さに対して中間にありかつ垂直である図1および2におけるZ−Z軸を中心とする回転。回転は、洗浄フェーズ(角度30°)後に開始する。
・表面上に流体膜を形成するための、基材の湿潤化−a−のUCCによる開始:湿潤化溶液は、移動OA中にノズル6’によって10s間吹付けられる。
・基材が回転する。速度Vr。
・デバイス格納部の温度は、25℃と45℃との間に制御される。
・湿潤化の終了後、即座(10s)の、以下の2つのサブシーケンスを交互に行うことによるUCCによる開始
■銅層を形成するための、酸化溶液1と還元溶液1のエアロゾルのm=15吹付け/緩和サイクルを有するサブシーケンスΔs:OA次にAOの掃引。
○スプレー銃の移動は、速度VOA=0.5m/sでUCCによって始動され、スプレーの連続吹付けが、酸化溶液1と還元溶液1の両方の混合物の噴霧によって得られ、このスプレーの液滴サイズは50μmである。
○速度
AO=AO/[k−(OA/VOA)]=0.3m/s
での、経路AOに沿う出発点へのスプレー銃6の戻り。
○15吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
■ニッケル層を形成するための、酸化溶液2と還元溶液2のエアロゾルのm=15吹付け/緩和サイクルを有するサブシーケンスΔs:OA次にAOの掃引。
○スプレー銃の移動は、速度VOA=0.5m/sでUCCによって始動され、スプレーの連続吹付けが、酸化溶液と還元溶液の両方の混合物の噴霧によって得られ、このスプレーの液滴サイズは50μmである。
○速度
AO=AO/[Dr−(OA/VOA)]=0.3m/s
での、経路AOに沿う出発点へのスプレー銃6の戻り。
○15吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
■吹付け/緩和サイクルの総数Nが150になるように、この一連の交互のサブシーケンスが10回繰返される。
結果:
Cu/Ni交互の多層が得られる。この膜は、溶接され得、材料片の全表面にわたって非常に付着性がよい。膜は、完全に均質である。膜の厚さは、0.7μm程度である。得られる多層金属膜は、pH6.5〜7で35℃の5%NaClを用いたASTM BI 17試験において、500時間程度の塩吹付けに対する耐性を有する。
【0143】
(実施例7)
寸法(径:5cm、高さ:9cm)のABS(円筒)基材上への金属Ag膜の堆積
動作条件
使用される吹付けデバイスは、Iで先に述べられ、また、図2に示されるデバイスである。
1.酸化溶液:2g/lの銀塩
2.還元溶液:15g/lのグルコース
3.湿潤化溶液:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、10ml/sの流量を有し、吹付け手段5’は湿潤化吹付け手段として構成される
4.洗浄水:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、20ml/sの流量を有し、吹付け手段5”は洗浄吹付け手段として構成される
5.基材:円筒(径:5cm、高さ:9cm)ABSの基材
6.「サイクル中に停止フェーズを有する」8rpmの速度での、板の長さに対して中間にありかつ垂直である図1および2におけるZ−Z軸を中心とする回転。回転は、洗浄フェーズ(角度30°)後に開始する。
・表面上に流体膜を形成するための、基材の湿潤化−a−のUCCによる開始:湿潤化溶液は、移動OA中にノズル6’によって10s間吹付けられる。
・基材が回転する。速度Vr。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクルの湿潤化の終了後、即座(10s)のUCCによる開始:OA次にAOの掃引。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
実行される吹付け/緩和サイクルの総数Nは40である。
結果:
こうして得られる銀膜は、溶接され得、材料片の全表面にわたって非常に付着性がよい。膜は、完全に均質である。膜の厚さは、0.15μm程度である。堆積物は、光沢がありかつ非常に反射性が高い。
【0144】
(実施例8)
寸法(径:5cm、高さ:9cm)のABS(円筒)基材上への金属Ag膜の堆積
動作条件
使用される吹付けデバイスは、Iで先に述べられ、また、図2に示されるデバイスである。
1.酸化溶液:2g/lの銀塩
2.還元溶液:15g/lのグルコース
3.湿潤化溶液:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、10ml/sの流量を有し、吹付け手段5’は湿潤化吹付け手段として構成される
4.洗浄水:金属化される表面上に吹付けられる脱イオン水は、20ml/sの流量を有し、吹付け手段5”は洗浄吹付け手段として構成される
5.基材:円筒(径:5cm、高さ:9cm)ABSの基材
6.「サイクル中に停止フェーズを有する」8rpmの速度での、板の長さに対して中間にありかつ垂直である図1および2におけるZ−Z軸を中心とする回転。回転は、洗浄フェーズ(角度30°)後に開始する。
・表面上に流体膜を形成するための、基材の湿潤化−a−のUCCによる開始:湿潤化溶液は、ノズル6’によって10s間吹付けられる。
・基材が回転する。速度Vr。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクルの湿潤化の終了後、即座(10s)のUCCによる開始:OA次にAOの掃引。
・10(n=10)吹付け/緩和サイクル後に、洗浄ステップが、空気圧式単一スプレーノズル6”によって実行され、各洗浄ステップは、1回の移動OA中に1500msの継続時間を有する。
実行される吹付け/緩和サイクルの総数Nは40である。
結果:
こうして得られる銀膜は、溶接され得、材料片の全表面にわたって非常に付着性がよい。膜は、完全に均質である。膜の厚さは、0.15μm程度である。堆積物は、光沢がありかつ非常に反射性が高い。
【符号の説明】
【0145】
1 基材
2 保持手段
3 回転手段
4 支持手段
5、5’、5” 吹付け手段
6、6、6” ノズル支持部分
7、7’、7” 吹付けノズル
8 混合する部分
8’、8” 湿潤化流体を収容する部分
9 移動システム
10 軸
12 酸化溶液タンク
還元溶液タンク
11 モータ
13 空気圧縮器
14 湿潤化液体タンク
洗浄液体タンク
UCC 処理および制御ユニット
O 出発点
A 到着点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−a− 任意選択で、金属化される表面を増感させる、および/または活性化する段階、−b− 緩和フェーズと交互に行う一連の少なくとも2つの吹付けフェーズに従って金属化吹付けを実行する段階、すなわち、(i)前記吹付けフェーズの継続時間Dpを、同じ単位面積について10−2秒と5秒との間、好ましくは10−1秒と3秒との間に、前記緩和フェーズの継続時間Drを、同じ単位面積について10−2秒と10秒との間、好ましくは2×10−1秒と4秒との間に設定する段階(前記吹付けフェーズおよび前記緩和フェーズの継続時間Dpおよびdrは、互いに同一であるかまたは互いに異なる)および(ii)Ox/Red電子比が0.01と15との間、好ましくは0.5と8との間にあり、これにより、前記基材に対する化学的付着性がよい金属膜の形成を可能にするように吹付け流量(複数可)を調整する段階、−c− 金属堆積の意図されるレベルに達すると直ちに前記吹付けを中断する段階から本質的になるタイプの手段のうちの適した手段を使用して、カチオン(酸化)形態の少なくとも1種の金属および金属カチオンを金属に変換し得る少なくとも1種の還元剤を含有する少なくとも1種の水性および/または有機エアロゾルを吹付けることによって、基材の表面(以下で、金属化される表面と呼ぶ)の少なくとも一部を金属化する改良型非電解法であって、前記改良は、特に、
・前記基材を少なくとも1種の湿潤化流体に接触させて、それにより、前記基材の表面の少なくとも一部上に流体膜を形成することを含む、前記基材を湿潤させる少なくとも1つの予備段階−a−を実施すること、および、
・前記湿潤させる段階−a−に続いて、前記湿潤段階の終了後に、直近の60秒、好ましくは直近の40秒、なおより優先的には直近の20秒に、段階−b−に従う前記吹付けを開始することが
想定される点にあることを特徴とする方法。
【請求項2】
吹付けおよび緩和の継続時間DpおよびDrはそれぞれ、各金属に固有の金属化定数kに基づいて、k=Dp+Drであるように規定され、定数kは好ましくは10−1秒と13秒との間、なおより優先的には0.5秒と9秒との間になることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・前記金属化吹付け段階の少なくとも一部は、前記吹付け手段を前記基材に対して移動させて、前記金属化される表面の少なくとも80%の、好ましくは少なくとも90%の、なおより優先的には少なくとも95%の周期的掃引を実行することによって、動的に実行されること、
・前記掃引ゾーン内にある所与の単位面積について、
・前記吹付けフェーズは、考えられている単位面積が、前記エアロゾルの(好ましくは連続の)吹付けにさらされる継続時間に相当する継続時間Dpを有し、
・この吹付けフェーズに続く前記緩和フェーズは、前記吹付け手段によって金属化される表面の残りの継続時間に相当する継続時間Drを有すること、
・前記吹付け手段の移動は、
・前記吹付け手段が、出発点(O)と到着点(A)との間の経路TOAに沿って吹付け移動速度VOAで移動するように、
・前記吹付け手段が、点(A)に達すると直ちに、経路TAOに沿って吹付けることなく、移動速度VAOで点(O)に戻るように
規定され、
AOは、前記吹付け手段によって掃引される金属化される表面の各単位面積の前記緩和フェーズの継続時間Drならびに堆積される金属に固有の定数kが先に規定したようなものであるように、(A)と(O)との距離およびVOAを考慮することによって計算され、
この計算は、好ましくは、前記吹付け手段および前記吹付け手段用の移動システムを制御する処理および制御ユニットUCC(好ましくは、マイクロコンピュータ)によって実行されること、
・任意選択で、前記金属化吹付けの少なくとも一部の間に、前記基材が回転することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記改良は、以下の特徴、すなわち、
・前記金属化吹付け段階の少なくとも一部は、前記吹付け手段を前記基材に対して移動させて、かつ/または、前記基材を前記吹付け手段に対して移動させて、前記金属化される表面の少なくとも80%の、好ましくは少なくとも90%の、なおより優先的には少なくとも95%の周期的掃引を実行することによって、動的に実行されること、
・前記掃引ゾーン内にある所与の単位面積について、
・前記吹付けフェーズは、考えられている単位面積が、前記エアロゾルの(好ましくは連続の)吹付けにさらされる継続時間に相当する継続時間Dpを有し、
・この吹付けフェーズに続く前記緩和フェーズは、前記吹付け手段によって金属化される表面の残りの継続時間に相当する継続時間Drを有すること、
・前記吹付け手段に対する前記基材の移動は、好ましくは回転であること
を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記緩和フェーズの継続時間Drは、考えられている単位面積が、前記エアロゾルの吹付けにさらされない継続時間に相当することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属化格納部の温度は制御され、前記温度は、好ましくは、20℃と60℃との間にあることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記予備湿潤化段階−a−は、湿潤化液体の蒸気および/または湿潤化液体のエアロゾルの吹付けによって、かつ/または、湿潤化液体の槽内への浸漬によって実行され、前記湿潤化液体は、任意選択で加熱されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記湿潤化液体は、少なくとも1種のアニオン、カチオンまたは中性界面活性剤が任意選択で添加されている脱イオン水または非脱イオン水、少なくとも1種のアルコールを含むアルコール溶液(たとえば、イソプロパノールまたはエタノール)およびその混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
段階−b−はサイクリックであり、各サイクルは、前記吹付け手段が(O)から(A)へ、また、逆へ移動することに対応する吹付けフェーズおよび緩和フェーズを含むこと、および、実施されるNサイクルの総数は、最終的に求められる金属の堆積レベルおよび各サイクルで得られる金属の堆積レベルの関数として選択され、前記Nサイクルの総数は、2と5000との間、好ましくは50と500との間、なおより優先的には80と200との間になることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材は、段階−b−中に、好ましくは断続的に、1rpmと30rpmとの間、好ましくは5rpmと20rpmとの間になる速度で回転させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記経路TAOは真っ直ぐでかつ直接的であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
AOを計算する式は、
AO=AO/[k−(OA/VOA)]
であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
OAは、0.01m/sと20m/sとの間、好ましくは0.1m/sと6m/sとの間になることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
・前記金属化の終了時に生成され、金属酸化物を含有するスラッジが回収され、
・前記スラッジがろ過され、
・保持液が少なくとも1種の強酸を使用して溶解され、
・前記強酸中の保持溶液のpHを上昇させて金属水酸化物または前記金属化で使用される前記1種または複数の金属に対応する異なる金属水酸化物を連続して沈降させ、
・前記金属水酸化物沈降物(複数可)が別々に収集され、
・前記1つの(または複数の)金属水酸化物(複数可)が、任意選択で、前記金属化方法において再利用される
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の方法を実施するデバイスであって、
・金属化される基材(1)を保持する手段(2)であって、任意選択で、前記基材(1)の回転のための手段(3)を装備する、保持する手段(2)と、
・前記基材(1)を予備湿潤させる手段(5’)と、
・カチオン(酸化)形態の金属および還元剤を吹付ける手段(5)と、
・任意選択の洗浄手段(5”)と、
・前記吹付け手段(5)またはさらに湿潤させる手段(5’)および/または洗浄手段(5”)を移動させるシステムと、
・前記吹付け手段(5, 5’, 5”)および前記吹付け手段(5, 5’, 5”)の移動システム(9)を制御する少なくとも1つの処理および制御ユニットUCC(好ましくは、マイクロコンピュータ)と
を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の方法を実施するデバイスであって、デバイスが、液体を吹付けることによって湿潤させる手段(5’)を備えること、前記湿潤させる手段(5’)が、好ましくは、前記吹付け手段(5)を移動させるシステム(9)を使用して移動し得ること、および、前記湿潤させる手段(5’)の前記移動もまた、処理および制御ユニットUCC(好ましくは、マイクロコンピュータ)によって制御されることを特徴とするデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2010−510389(P2010−510389A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537655(P2009−537655)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062815
【国際公開番号】WO2008/062070
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509146159)ジェット・メタル・テクノロジーズ (1)
【Fターム(参考)】