説明

金属対象物の位置測定のためのセンサならびにその種のセンサを備えた測定装置

本発明は、誘導的に相互に接続されている少なくとも1つの送信コイル(20)と少なくとも1つの受信導体ループシステム(26)とを備えた、金属対象物の位置測定のためのセンサ、例えば建築材料に関する誘導性の金属センサ(110)に関する。本発明によれば、少なくとも1つの送信コイル(20)が補償変換器(28)の一次側(30)と直列に接続されていることが提案される。更に本発明は、その種のセンサを備えた測定装置、殊に手持ち式の測定装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による金属対象物の位置測定のためのセンサ、ならびに請求項10によるその種のセンサを備えた測定装置に関する。
【0002】
従来技術
例えば建築材料の内部に隠れている金属対象物の位置測定のためのセンサないし検出器は、目下のところ通常の場合誘導性の方法により動作する。この方法においては導電性の材料も強磁性の材料も周囲に配置された電磁コイルの特性に影響を及ぼすということが利用される。誘導性の位置測定装置は通常の場合、第1のコイルが磁場を形成し、第2のコイルが金属対象物を通過して変化する磁場を再び受け取るという原理にしたがい動作する。金属対象物によって惹起される誘導性の特性の変化はその種の検出器の検出回路によって確認されて評価される。このようにして、例えば壁に埋まっている金属対象物を壁越しにある1つまたは複数のコイルを用いて原理上は位置測定することができる。
【0003】
金属対象物を検出する際の技術的な困難は、位置測定すべき対象からセンサ装置の1つまたは複数のコイルへの応答が値的に非常に小さいということである。このことは殊に、例えば技術的に非常に重要な銅のような非強磁性の対象物の影響に関係する。
【0004】
その種のセンサのコイル装置の近傍において既に外部の金属対象物が存在しない場合には、センサの受信コイルにおける強い信号、いわゆるダミー信号が測定され、このダミー信号はセンサのコイルの誘導作用に重畳的に寄与する可能性がある。殊にこれによってコイルの誘導作用は重畳的に、埋まっている対象物によって生じる受信コイル内の誘導よりも遙かに大きいことになる可能性がある。
【0005】
その種の高いオフセットは、検出器の近傍にある金属対象物によって惹起される非常に小さい誘導性の変化の検出を困難にする。非常に大きいオフセットに基づいて非常に小さいインダクタンスの変化を検出するためには、許容差が非常に大きく、したがって高価な構成素子の使用を前提とすることが不可避であり、またさらにはその種の位置測定装置に関するコストを著しく高める非常に低ノイズのアナログ電子装置を必要とする。
【0006】
この種のセンサのオフセットの問題を解決するために、従来技術から種々のアプローチが公知であり、それらの全てのアプローチは金属対象物が存在しない場合に存在するセンサ信号(ダミー信号)を低減し、それにより外部の対象物に起因する相対的な信号変化を増大させるという目標を共通して有している。
【0007】
つまり例えば、第2の受信コイルによってダミー信号を補償する位置測定装置が公知であり、この位置測定装置において第1の受信コイルと第2の受信コイルは受信コイルのそれぞれのダミー信号が相互に消えるように接続されている。そのような接続の欠点は、外部の金属対象物による受信コイルの影響が2つの受信コイルにほぼ同様に及ぼされ、これにより相対的な信号は、絶対的に見て、さらに小さくなることである。さらには付加的な第2の受信コイルにより付加的なコストが生じる。
【0008】
DE 101 22 741 A1からは、誘導的に相互に結合されている受信コイルと送信コイルとを有する、金属対象物の位置測定のための検出器が公知である。検出器において可能な限り小さいオフセット信号を生じさせるために、第2の送信コイルが設けられており、この第2の送信コイルは同様に受信コイルと誘導的に結合されている。1つの受信コイルと2つの送信コイルは同心で共通軸上に配置されており、2つの送信コイルはコイル巻数および/または寸法に関して、これら2つの送信コイルによって受信コイルに励起される「ダミー磁束」が相互に補償されるよう設計されている。
【0009】
本発明の課題は、従来技術の検出器を基礎として、可能な限り小さいオフセット信号を形成する冒頭で述べたような検出器を提供することである。
【0010】
本発明が基礎とする課題は、請求項1の特徴と有する、金属対象物を位置測定するための装置によって解決される。
【0011】
発明の利点
金属対象物の位置測定のための本発明によるセンサは、相互に誘導的に結合されている、少なくとも1つの送信コイルと少なくとも1つの受信導体ループシステムとを有し、少なくとも1つの送信コイルは補償変換器と直列に接続されている。一次側がセンサの送信コイルと直列に接続されている補償変換器は、理想的には送信電流に対して同様に90°位相がずれており、また送信電流に比例する電圧を形成する。この補償変換器に関して適切な伝達比が選択されると、変換器の二次コイルと受信コイルとの適切な直列回路においてはセンサのダミー信号を0にして消すことができる。補償変換器は外部の金属対象物から影響を受けないので、変換器の出力電圧(補償電圧)も一定に維持され、また外部の金属対象物による妨害にも依存しない。これによって、検出すべき金属対象物がセンサの受信コイルにおいて取り出される受信電圧に及ぼす完全な影響は維持されたままであり、また補償に使用される第2の受信コイルの相応の電圧によらずに少なくとも部分的に同様に除去的な補償が行われる。したがって本発明によるセンサは、補償のための第2の受信コイルないし送信コイルを要することなく、その種のセンサのダミー信号を補償することができる。
【0012】
本発明によるセンサの有利な構成および実施形態は従属請求項の特徴より明らかになる。
【0013】
本発明によるセンサの有利な実施形態によれば、補償変換器の一次側および二次側の巻数が、少なくとも1つの送信コイルおよび少なくとも1つの受信導体ループシステムの巻数と同様に選定されている。送信コイル、受信導体ループシステムおよび補償変換器の巻数のこの有利な設計により、システムにおいて取り出される総電圧UGが理想的な場合において、また受信コイルの近傍に金属対象物が存在しない場合に0になる。この総電圧UGは受信コイルにおいて誘導される電圧UEと補償変換器の二次側に印加される補償電圧UKを加算することにより得られる。
【0014】
受信コイルの近傍における金属対象物がこのコイルにおいて誘導される磁場を変化させるので、その種の対象物によって受信コイルにおいて誘導される電圧UEも変化する。しかしながら補償変換器の二次側において取り出される補償電圧UKは変化しない。このことから出力電圧UG(UG=UE+UK)は、受信コイルの近傍における発見された金属対象物を直接的に表す。
【0015】
本発明によるセンサの補償変換器を小型のフェライトリングコアから構成することができ、また相応に設計された2つのコイルを設けることができる。
【0016】
本発明によるセンサの択一的な実施形態においては、補償変換器が部分的または完全に「プリント変換器」として実現されており、例えば変換器の一次コイルおよび/または二次コイルが直接的に導体路に取付けられる、例えばプリントされる。
【0017】
本発明によるセンサのダミー信号(すなわち外部の金属対象物が存在しない場合の受信コイルにおけるUEohne)の補償を例えば簡単な直列回路によって実現することができ、この直列回路においては補償変換器の二次側が直列にセンサの受信導体ループシステムと接続されている。補償変換器の二次側のコイルの巻線方向は受信導体ループシステムの巻線方向とは逆方向に選定される。
【0018】
本発明によるセンサの択一的な実施形態においては減算回路が設けられており、この減算回路は補償変換器の補償電圧UKを受信導体ループシステムにおいて誘導される電圧UEから相互に減算する。その種の減算器においては例えば補償電圧UKの位相および絶対値をさらに精密に調整することができる。
【0019】
殊に非磁性の材料の位置測定に関しては比較的高い周波数が有利である。何故ならば、そのような比較的高い周波数においては位置測定すべき対象物への磁場の侵入深さは低減され、したがって対象物内に誘導される渦電流はより重要になるからである。銅における侵入深さは100kHzのサンプリング周波数においては既に約0.2mmのオーダにあるので、実際のところ検出の質を高めるために200kHzを遙かに上回るサンプリング周波数の上昇は一般的に適していない。
【0020】
少なくとも、建築材料内の金属を発見するための誘導性センサを使用する場合には、この長さは関連する対象物、例えば通気管、水道管または鋼製鉄筋の寸法よりも既に実質的に小さい。したがって導電性の対象物にも強磁性の対象物にも応答すべきセンサは系の周波数選択に関して妥協しなければならず、また好適には1kHz〜10kHzの周波数領域において動作する。殊に4〜6kHzの範囲の周波数が適している。何故ならば、この周波数窓においては同等の大きさの鉄含有性対象物および導電性の対象物が、近似的に等しい振幅の測定信号を形成するからである。
【0021】
本発明によるセンサでもって、有利には測定装置、殊に手持ち式の位置測定装置を実現することができ、この測定装置はダミー信号の十分な補償によって著しく改善された測定感度を有する。
【0022】
本発明によるセンサないし本発明によるセンサを備えた測定装置のさらなる利点は図面および対応する説明より明らかになる。
【0023】
図面
図面には以下において詳細に説明する本発明によるセンサの実施例が示されている。図面の各図、その説明ならびに請求項には、多数の特徴の組み合わせが含まれている。当業者であればこれらの特徴を単独でも考慮し、またそれらの特徴をさらに有意に組み合わせるであろう。
【0024】
ここで、
図1は従来技術による金属対象物の位置測定のためのセンサのセンサ幾何学の原理的な構造を概略的に示したものであり、
図2は本発明によるセンサの実施例を簡略化された概略図で示したものであり、
図3は本発明によるセンサを備えた測定装置の実施例を示す。
【0025】
実施例の説明
以下では先ず従来技術から公知である同心の3つのセンサコイルを使用する誘導性センサにおけるオフセットの補償の原理を導入部として簡単に検討する。
【0026】
図1は補償センサの基本原理を説明するために、従来技術による金属対象物の位置測定のためのセンサないし検出器の原理的な構造を示す。検出器およびセンサの概念はこの明細書の範囲において同義語として使用される。その種の検出器はセンサ幾何学10において3つのコイルを有する。第1の送信コイル12は第1の送信器S1に接続されており、第2のコイルは第2の送信器S2に接続されており、また受信コイル16は受信器Eに接続されている。各コイルは図1に示した範囲において環状の線として示されている。これら3つのコイル12,14および16の配置構成の特徴はこれらのコイルが全て共通の軸18について同心に配置されているということである。個々のコイル12,14および16は異なる外寸を有するので、コイル12をコイル14内に入れることができる。
【0027】
図1による装置の送信コイル12には送信器1から、また送信コイル14には送信器S2から交流電流が供給され、これらの交流電流は相互に逆の位相を有する。第1の送信コイル12が受信コイル16に磁束を誘導し、この磁束は第2の送信コイル14によって受信コイル16に誘導される磁束とは逆方向である。受信コイル16に誘導される2つの磁束は相互に補償されるので、コイル装置10の近傍に外部の金属対象物が存在しない場合、受信器Eは受信コイル16において受信信号を検出しない。個々の送信コイル12ないし14によって受信コイル16に励起される磁束Πは種々の量、例えばコイル12ないし14の巻数および幾何学、また例えば2つの送信コイル12ないし14に供給される電流の振幅およびそれらの相互の位相位置に依存する。
【0028】
これらの量は従来技術の検出器においては最終的に、金属対象物が存在しない場合に、送信コイル12ないし14に電流が流れている状態において受信コイル16内に磁束が励起されないか、可能な限り僅かな磁束Πが励起されるように最適化されている。図1によるコイル装置10においては、第1の送信器S1に接続されている第1の送信コイル12および第2の送信器S2に接続されている第2の送信コイル14が相互に同軸で共通の平面内に配置されている。受信コイル16は2つの送信コイル12および14に対しずらされた平面に配置されている。
【0029】
図2は本発明によるセンサの送信コイルと受信コイルの結線と、補償変換器を用いて実現される所属の補償回路とに関する実施例を概略的に示す。
【0030】
本発明によるセンサ110は、図2では単に概略的に示唆されている複数の巻数を有する送信コイル20を有する。送信コイルは古典的な巻線コイルであるか、もしくは回路基板上の相応の導体路構造でよい。送信コイル20には交流電流Iが供給され、これにより1MHz以下の周波数領域の可変の磁場が形成される。有利には、100Hz〜200kHzの周波数帯域の磁場が本発明によるセンサにおいて使用される。図2に示した点22はコイル端子に対応し、また送信コイル20の巻線方向を表す。送信コイル20の磁場はコイルの近傍に存在する対象物によって、殊に金属対象物24によって変化させられ、図2において同様に単に概略的に示されている受信コイルとして使用される受信導体ループシステム26において相応の誘導電流を形成する。金属対象物24に起因する送信コイル20の磁場の変化を受信コイル26の相応の評価回路を介して、例えば誘導電圧UEを測定することにより検出することができる。
【0031】
しかしながらコイル20ないし26の近傍に金属対象物24が存在しない場合にも比較的強い信号(「ダミー信号」)が生じ、この信号が受信コイルにおいて取り出される、もしくは測定される可能性がある。金属対象物は受信信号、例えばUEを変化させる。受信コイル26におけるダミー信号UEohneは送信コイルにおける電流ISに比例し、また理想的には90°位相がずれている。
【0032】
本発明によれば別個の補償変換器28が設けられており、この補償変換器28の一次側30は送信コイル20と接続されている。その種の補償変換器は電圧UKを形成し、この電圧UKは同様に送信電流ISに対して90°位相がずれており、またこの電流に比例する。補償変換器の一次側30の巻数と二次側32の巻数とにおいて適切な伝達比を選択すると、変換器の二次側のコイルと受信コイル26のコイルとの適切な直列回路においては、結果として生じるダミー信号が消える。
【0033】
このために図2の実施例においては補償変換器28の二次側32が受信コイル26のコイル34と直列に接続されている。したがってダミー信号(UEohne)の補償は直列回路によって実現され、この際、受信コイル26のコイル34と補償変換器28のコイル32とでは巻線方向が逆になっている。このことは図2においては受信コイルに関するコイル端子36の点ないし補償変換器28の二次側のコイルに関するコイル端子28の点38によってシンボリックに表されている。
【0034】
送信コイル22、受信コイル26の巻数および補償変換器28を適切に設計することによって、本発明によるセンサにおいて取り出すことができる電圧UG(UG=UE+UK)は理想的な場合、また受信コイル26の近傍に金属対象物が存在しない場合に0になる。金属対象物は受信コイル26において誘導される磁場を変化させるので、その種の金属対象物24が存在しない場合には受信コイル26において誘導される電圧UEも変化する。しかしながら補償変換器の二次側32における補償電圧UKは補償コンデンサが相応に遮蔽されている場合には変化しない。これによって本発明によるセンサにおいて取り出すことができる電圧UGは発見された金属対象物24を示唆する。
【0035】
補償変換器の一次側のコイルと二次側のコイルの適切な伝達比は一次近似で受信コイルと送信コイルの伝達比と同一である。補償変換器28は金属対象物から影響を受けないようにセンサ110ないし所属の測定装置内に配置されているので、変換器28の出力電圧UKも金属対象物24による妨害に依存しないままであり、したがって一定である。これによって金属対象物24の受信電圧UEへの完全な影響は維持されたままであり、慣例の従来技術によるセンサのように除去的な補償も行われない。
【0036】
補償変換器を例えばフェライトリングコア40から構成することができ、また相応に設計された2つのコイル32および42を設けることができる。しかしながら補償変換器をプリント変換器(Print-Transformer)として実現することも可能であり、その種の変換器の一次コイルおよび二次コイルは回路基板上に直接的に設けられる、例えばプリントされる。
【0037】
図2において概略的に示されているセンサシステムの他に本発明による測定装置は殊に評価回路ならびに評価計算ユニットも有し、これらは相応の測定信号、例えばUE,UKまたはUGから金属対象物24の存在に関する情報を求める。この種の情報は対応する測定装置の出力ユニット、例えば音響的または光学的な出力ユニットに伝送され、ユーザには相応の信号によって対象の位置が特定されていることが示唆される。例えば図2において単純に示唆されている壁44内に埋まっている可能性があるその種の対象物の位置を、例えば埋まっている対象物に起因する磁場妨害の信号強度を出力することによって、もしくはこの磁場によって誘導される電流の信号強度によって正確に識別することができる。
【0038】
本発明によるセンサは制御評価ユニットならびに相応の出力ユニットと共に測定装置のハウジング、殊に小型で手持ち式の測定装置のハウジングに組み込まれている。その種の測定装置をそのハウジングを用いて手でもって、しかしながらまたハウジングに配置されている転動体を介して、検査すべき壁、床または天井の表面上を走行させることができる。
【0039】
図3はこの種の測定装置の考えられる一実施例を示す。
【0040】
図3は本発明による測定装置の実施例を斜視図で示したものである。測定装置はハウジング50を有し、このハウジング50は上側のシェル半部52ないし下側のシェル半部54から形成されている。ハウジングの内部において、金属検出のためのコイル装置を備えた図2による少なくとも1つのセンサが設けられている。さらには、測定装置の内部は信号形成電子装置、評価電子装置ならびに、例えばバッテリまたは蓄電池を介するエネルギ供給部を有する。さらに図3による測定装置は、測定信号と相関する出力信号を出力するための表示部56を有する。表示部56を介して、例えばセグメント化されたバー表示またはLCDを使用するグラフィック表示により、検出された測定信号の強度を表すことも可能である。
【0041】
さらに本発明による測定装置は一連の操作素子60を備えた操作フィールド58を有し、これらの操作素子58により装置のスイッチオン・オフ、また必要に応じて測定プロセスないし較正プロセスの開始を実現する。
【0042】
操作フィールド58の下側の領域において図3による測定装置は領域62を有し、この領域62の形状および材料構成は本発明による測定装置を持ち運ぶためのグリップ64として構成されている。このグリップ64により測定装置は、図3を考察する側とは反対側の裏面を用いて、検査すべき対象ないし媒体の表面、例えば図2に概略的に示されている壁44の表面46を通過する。
【0043】
測定装置のグリップ64の面とは異なる面70において、この測定装置はハウジングを貫通する開口部72を有する。開口部72は少なくともセンサの受信導体ループシステム34と同心で配置されている。このようにして、測定装置における開口部72の位置は位置測定センサの中心に対応し、その結果、場合によって検出された対象物の正確な位置もこの種の装置のユーザに同時に表示することができる。さらに測定装置は付加的に上側面にマーキング線74を有し、この線によりユーザは開口部72の正確な中心、したがって埋まっている対象物の位置を特定することができる。
【0044】
純粋な誘導性の測定装置の他に、本発明によるセンサを、別の測定方式を使用する測定装置における補助センサとしても使用することができる。つまり、補償型の誘導性センサを、例えばレーダ位置測定装置における補助診断部としても、または赤外線位置測定装置における補助診断部としても使用することができる。本発明によるセンサならびにその種のセンサを備えた本発明による測定装置は図面に示した実施例に制限されるものではない。
【0045】
殊に本発明によるセンサは、送信コイルないし受信導体ループシステムへの使用だけに制限されるものではない。必要に応じて複数の補償変換器を使用する複式のシステムも同様に考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来技術による金属対象物の位置測定のためのセンサのセンサ幾何学の原理的な構造の概略図。
【図2】本発明によるセンサの実施例を簡略化された概略図。
【図3】本発明によるセンサを備えた測定装置の実施例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導的に相互に接続されている少なくとも1つの送信コイル(20)と少なくとも1つの受信導体ループシステム(26)とを備えた、金属対象物の位置測定のためのセンサ、例えば建築材料に関する誘導性の金属センサ(110)において、
前記少なくとも1つの送信コイル(20)が補償変換器(28)の一次側(30)と直列に接続されていることを特徴とする、センサ。
【請求項2】
前記補償変換器(28)の一次側(30)および二次側(32)の巻数が、前記送信コイル(20)および前記受信導体ループシステム(26)の巻数と同様に選定されている、請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記補償変換器(28)はフェライトコアリング(40)を有する、請求項1記載のセンサ。
【請求項4】
前記補償変換器(28)のコイルの少なくとも1つのコイルシステムはプリント導体路構造として回路基板上に構成されている、請求項1記載のセンサ。
【請求項5】
前記補償変換器(28)はプリント変換器として回路基板上に構成されている、請求項1記載のセンサ。
【請求項6】
前記補償変換器(28)の二次側(32)は前記受信導体ループシステム(26)と直列に接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンサ。
【請求項7】
前記補償変換器(28)の二次側(32)の巻線方向は前記受信導体ループシステム(26)の巻線方向とは逆方向である、請求項6項記載のセンサ。
【請求項8】
減算回路が設けられており、該減算回路は前記受信導体ループシステム(26)において誘導される電圧(UE)ならびに前記補償変換器(28)の二次側において取り出される電圧(UK)を相互に減算する、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンサ。
【請求項9】
1MHz以下の周波数領域にある磁場、有利には100Hz〜200kHzの周波数帯域にある磁場を使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載のセンサ。
【請求項10】
請求項1から9までの少なくとも1項記載の少なくとも1つのセンサを備えた測定装置、例えば手持ち式の位置測定装置(210)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−527388(P2008−527388A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551565(P2007−551565)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056093
【国際公開番号】WO2006/076973
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】