説明

金属混入廃材分別機

【課題】建築廃材中に鉄屑を混入しているものでは、該鉄屑を磁選機で比較的容易に除去できるが、混入金属が非鉄金属であると、再生用廃材と金属(非鉄金属)とを分別するのが困難であった。
【解決手段】金属混入廃材を搬送するコンベア3と、コンベア3上を搬送される廃材中の金属を検出する金属検出機7と、底部に再生用廃材通路41と金属通路42とを設けた分配室4と、分配室4内に落下する廃材を振り分けるダンパー51付きの振り分け装置5と、金属検出機7からの金属検出信号に基いて振り分け装置5を作動させるコントローラ8とを備え、コントローラ8により、金属検出機7が金属検出したときにその被検出金属が分配室4内に落下するタイミングに合わせてダンパー51を金属通路開放側に作動させた後、所定タイマー後に再生用廃材通路開放側に復帰させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属混入廃材を再利用可能な再生用廃材と異物となる金属とに分別するための金属混入廃材分別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建造物を解体すると、石膏ボードやコンクリート等の建築廃材が多量に発生するが、これらの建築廃材(例えば廃石膏ボード)は、小さく破砕して再生用原料として再利用されることが多い。
【0003】
建築廃材(例えば廃石膏ボード)中には、異物となる金属が塊状の状態で混入していることが多く、塊状の廃石膏ボードを再生用原料として利用し得るまで小さく破砕する際に、塊状の金属が混入しているままであると、その塊状金属が破砕機に噛み込んで該破砕機が破損したり故障の原因になる。
【0004】
そこで、従来では、解体現場等で発生した金属混入廃材に対して図5に示すような処理を行って、金属混入廃材中から金属を除去する(再生用廃材を得る)ようにしている。
【0005】
即ち、図5に示すように、大塊状の建築廃材(金属混入廃材A)は、まず破砕機のホッパーに投入して(ステップS1)、該破砕機で所定粒径まで破砕する(ステップS2)。続いて、所定粒径まで破砕した金属混入廃材をコンベアで搬送し(ステップS3)、該コンベア上を搬送される金属混入廃材中の鉄屑Bを磁選機(ベルト式磁選機)で吸着・除去する(ステップ4)ことにより、鉄屑Bを除去した再生用廃材Cを得る。尚、再生用廃材Cは、次の工程においてさらに小さく圧砕されて微小粒径の再生用原料とされる。
【0006】
ところで、金属混入廃材中の鉄屑は、比較的小さいものでは磁選機の磁石により比較的容易に吸着・除去できるが、大塊状(大重量)であると吸着できないことがある。又、混入金属が非鉄金属(アルミニウムや銅やSUS材等)であると、磁選機による除去が行えないので、該金属屑が再生用廃材C中に混入したままとなる。尚、建築廃材に混入している金属としては、例えばドアノブ程度のかなり大きいものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来の一般的な金属混入廃材分別機では、廃材中に非鉄金属が混入していると、該非鉄金属を除去できず(再生用廃材中に混入したままとなる)、その混入金属が大きい場合には、次の圧砕工程においてその金属塊が圧砕機に噛み込んで、該圧砕機が破損したり故障する原因になるという問題がある。
【0008】
そこで、本願発明では、金属混入廃材中に混入している金属が鉄屑だけでなく非鉄金属であっても、それらの混入金属(鉄屑及び非鉄金属)を良好に排除できるようにするとともに、金属混入廃材から有用な再生用廃材を効率よく(多量に)分別できるようにした金属混入廃材分別機を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、金属混入廃材から金属を除去して有用な再生用廃材を得るための金属混入廃材分別機を対象にしている。
【0010】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の金属混入廃材分別機は、金属が混入した金属混入廃材を搬送するコンベアと、コンベア上を搬送される廃材中の金属を検出する金属検出機と、コンベアの終端部から落下する廃材を受容でき且つ底部に再生原料通路と金属通路とを設けた分配室と、分配室内に落下する廃材を再生用原料通路と金属通路に振り分けるダンパー付きの振り分け装置と、金属検出機からの金属検出信号に基いて振り分け装置を作動させるコントローラとを備えている。
【0011】
金属混入廃材を搬送するコンベアとしては、金属を使用していないベルトコンベアが採用される。このコンベアの始端部には、例えば破砕機で粗目に破砕された金属混入廃材が順次投入される。尚、廃材を破砕機で破砕すると、粗目(例えば粒径が50mm以上)のものに混じって小粒状の廃材も発生する。
【0012】
コンベア上の金属を検出する金属検出機としては、鉄屑及び非鉄金属の両方を検出し得るものが好適であるが、非鉄金属のみを検出するものであってもよい。尚、非鉄金属のみを検出する金属検出機を使用する場合には、金属混入廃材が搬送されるコンベア上に磁選機(ベルト式)を設けて、該磁選機で混入鉄屑をコンベア上から排除するようにするとよい。
【0013】
分配室内の振り分け装置は、そのダンパーを切換手段(例えばエアシリンダ)で揺動させ得るようにしたものである。尚、この振り分け装置を使用したものでは、ダンパーが切換手段で揺動されることにより、分配室底部にある再生用廃材通路と金属通路とが択一的に開放されるようになっている。
【0014】
そして、前記コントローラは、金属検出機が金属非検出状態ではダンパーを再生原料通路開放側に位置させる一方、金属検出機が金属検出したときにその被検出金属が分配室内に落下するタイミングに合わせてダンパーを金属通路開放側に作動させた後、所定タイマー後に再生原料通路開放側に復帰させるように制御するものである。
【0015】
被検出金属が金属検出機で検出された後、コンベア終端部から分配室内に落下するタイミング(時間)は、コンベア上における金属検出機の設置位置からコンベア終端部までの距離とコンベアの走行スピードとに基いてコントローラで演算することにより把握することができる。尚、実機では、金属検出機が金属検出信号を発してから例えば4秒後にダンパーを金属通路開放側に作動させるようにしている。
【0016】
又、ダンパーを金属通路開放側に作動させた後、該ダンパーを再生用廃材通路開放側に復帰させるタイミング(時間)は、上記被検出金属がダンパー上面に案内されて金属通路の入口に達するまでの、例えば2〜3秒後が適当である。
【0017】
この請求項1の金属混入廃材分別機は、次のように機能する。
【0018】
コンベアの始端部上には、比較的粗目に破砕された廃材が順次投入され、該廃材がコンベアを順次搬送されるが、その搬送廃材中に金属が混入しているかどうかを金属検出機で常時監視している。尚、コンベア上に磁選機を設けたものでは、搬送廃材中に鉄屑があると、その鉄屑を磁選機の磁石で吸着させて排除できる(非鉄金属は磁選機で排除できない)。
【0019】
そして、金属検出機が金属非検出状態であると、分配室内の振り分け装置のダンパーは、生用廃材通路開放側に位置していて、コンベア終端部から分配室内に落下する金属非混入の廃材をダンパーに案内させながら再生用廃材通路側に送出するようになる。尚、この金属非混入の廃材(再生用廃材となる)は、再生用廃材通路を通って次の圧砕工程に送られ、そこで微細に圧砕されて再生用原料とされる。
【0020】
他方、金属検出機がコンベア上を搬送される廃材中の金属(例えば非鉄金属)を検出すると、該金属検出機からコントローラに金属検出信号が発せられる。すると、コントローラがその金属検出信号を受けて、該コントローラからの指令信号で、被検出金属がコンベア終端部から分配室内に落下するタイミングに合わせてダンパーを金属通路開放側に作動させ(振り分け装置の切換手段を作動させる)、その所定タイマー後に該ダンパーを再生用廃材通路開放側に復帰させる。
【0021】
従って、この金属混入廃材分別機では、金属検出機で検出された金属が分配室から金属通路を通って排出(排除)されるので、該金属と再生用廃材とを確実に分別することができる。
【0022】
尚、この請求項1の金属混入廃材分別機では、ダンパーが金属通路開放側に位置している間(例えば2〜3秒間)は、被検出金属の前後近傍を搬送される再生用廃材(良品)も金属通路側に送出されるが、ダンパーが金属通路開放側に作動している時間はごく短時間(例えば2〜3秒間)であるので、再生用廃材の金属通路側送出量は比較的少ないものである。
【0023】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の金属混入廃材分別機において、分配室の底部にある再生用廃材通路の入口をコンベアの終端部の直下に開口させている一方、振り分け装置のダンパーは、所定大きさ以下の廃材を通過させ得る多数の隙間を有した櫛状又は格子状のものを採用している。
【0024】
この請求項2の金属混入廃材分別機で使用されるダンパーは、例えば多数本の櫛棒を小間隔(例えば30mm程度の間隔)をもって並置したもの(櫛状ダンパー)を使用できる。そして、この櫛状ダンパーが金属通路開放側に位置している状態では、コンベア終端部から分配室内に落下する金属混入廃材中の上記隙間(例えば30mm)より小さい廃材(再生用廃材と金属屑を含む)の大部分は、該ダンパーの隙間を通って再生用廃材通路側に落下し、該隙間より大きい廃材(再生用廃材と金属屑)のみが櫛状ダンパーの上面に沿って金属通路側に送出されるようになる。
【0025】
従って、ダンパーが金属通路開放側にある状態でも、分配室内に落下する再生用廃材(良品)のうちの小さいものを再生用廃材通路側に送出できるので、不良品として分別される金属屑中に良品である再生用廃材が混入する量を極力少なくできる。
【0026】
ところで、この請求項2のものでは、金属検出機で金属を検出しても、ダンパーの隙間より小さい金属屑はその隙間を通って再生用廃材通路側に送出されることになるが、該再生用廃材通路側に送出される金属屑は上記隙間を通った小塊状のものだけであり、このような小塊状金属屑が再生用廃材とともに次の圧砕工程に送られても、該圧砕機が破損したり故障するほどの悪影響は発生しない。
【発明の効果】
【0027】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の金属混入廃材分別機は、コンベア上を搬送される廃材中に金属があると、その金属を金属検出機で検出し、その金属検出信号により、被検出金属がコンベア終端部から落下するタイミングに合わせて分配室内のダンパーを金属通路開放側に作動させるようになっている。
【0028】
従って、この請求項1の金属混入廃材分別機では、廃材中に混入している金属を再生用廃材から確実に分別することができ、しかも被検出金属が非鉄金属であっても確実に分別できるという効果がある。
【0029】
尚、このように金属が排除された再生用廃材は、次の工程で小さく圧砕されるが、圧砕機に投入される再生用廃材が金属を排除したものでは、該圧砕機が損傷したり故障しにくくなる。
【0030】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の金属混入廃材分別機において、分配室の底部にある再生用廃材通路の入口をコンベアの終端部の直下に開口させ、且つダンパーとして所定大きさ以下の廃材を通過させ得る多数の隙間を有した櫛状又は格子状のものを採用しているので、ダンパーが金属通路開放側に位置している状態でも、分配室内に落下する金属混入廃材中の上記隙間より小さい廃材(再生用廃材と金属屑を含む)の大部分が、該ダンパーの隙間を通って再生用廃材通路側に落下するようになる。
【0031】
従って、この請求項2の金属混入廃材分別機では、上記請求項1の効果に加えて、ダンパーが金属通路開放側にある状態でも、分配室内に落下する再生用廃材(良品)のうちの小さいものを再生用廃材通路側に送出できるので、不良品として分別される金属屑中に良品である再生用廃材が混入する量を極力少なくできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願実施例の金属混入廃材分別機の概略図である。
【図2】図1の金属混入廃材分別機における分配室付近の拡大図である。
【図3】図1の金属混入廃材分別機における振り分け装置部分の拡大斜視図である。
【図4】図1の金属混入廃材分別機の作動説明図である。
【図5】従来の一般的な金属混入廃材の分別方法説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0033】
以下、図1〜図4を参照して本願実施例の金属混入廃材分別機を説明する。尚、この金属混入廃材分別機で分別するリサイクル廃材の代表例としては、廃石膏ボードが挙げられるが、そのほかに廃コンクリートのリサイクルのための分別にも使用することができる。
【0034】
図1に示す金属混入廃材分別機は、金属が混入した金属混入廃材を搬送するコンベア3と、コンベア3上を搬送される廃材中の鉄屑を排除する磁選機6と、コンベア3上を搬送される廃材中の金属(特に非鉄金属)を検出する金属検出機7と、コンベア3の終端部3bから落下する廃材を受容でき且つ底部に再生用廃材通路41と金属通路42とを設けた分配室4と、分配室4内に落下する廃材を再生用廃材通路41と金属通路42に振り分けるダンパー51付きの振り分け装置5と、金属検出機7からの金属検出信号に基いて振り分け装置5を作動させるコントローラ8とを基本構成としている。
【0035】
金属混入廃材を搬送するコンベア3としては、金属を使用していないベルトコンベアが採用されている。
【0036】
この実施例では、コンベア3の始端部3a上に金属混入廃材を投入するのにあたって、解体現場から搬出たれた大塊状の建築廃材(金属混じり)を破砕機1で粗目に破砕し、その粗目に破砕した金属混入廃材を投入コンベア(スクリューコンベア)2からコンベア3の始端部3aに投入するようにしている。従って、この実施例では、大塊状のままの建築廃材を破砕機1のホッパー11に投入することで、粗目に破砕した金属混入廃材を所定量ずつコンベア3の始端部3a上に供給できる。
【0037】
この実施例では、コンベア3上に磁選機6を設置しているが、この磁選機6はベルト式のものである。そして、この磁選機6は、コンベア3上を搬送される廃材中に鉄屑があると、該鉄屑を磁気により吸着させてコンベア3上から排除するものである。
【0038】
金属検出機7は、コンベア3上を搬送される金属混入廃材中の金属を検出するものである。この金属検出機7としては、鉄屑及び非鉄金属の両方を検出し得るものが好適であるが、この実施例のように磁選機6を用いているものでは、非鉄金属のみを検出するものであってもよい。尚、磁選機6を用いたものでも、金属検出機7として、鉄及び非鉄金属を検出し得るものを使用すると、磁選機6で除去できなかった鉄屑も、後述のように再生用廃材から分別できる。
【0039】
そして、この金属検出機7は、コンベア3上を搬送されている金属混入廃材中に金属(主として非鉄金属)があると、それを検出してその金属検出信号をコントローラ8に出力するようになっている。
【0040】
分配室4は、図2に拡大図示するように、縦向き箱型の容器状であってコンベア3の終端部3bから落下する廃材を受容できるものである。
【0041】
分配室4の底部には、図1及び図2において、右半分に再生用廃材Cを送出するための再生用廃材通路41と、左半分に金属Bを送出するための金属通路42とを設けている。尚、図2において、丸で表示した符号Cのものが再生用廃材(例えば石膏屑)であり、四角で表示した符号Bのものが金属屑(主として非鉄金属屑)である。
【0042】
分配室底部に設けた再生用廃材通路41の入口41aは、コンベア終端部3bの直下に開口させており、後述するダンパー51が無い状態では、コンベア終端部3bから落下する廃材の全量が再生用廃材通路41の入口41a内に落下するようになっている。尚、この実施例では、図2に示すように、再生用廃材通路41の入口41aが金属通路42の入口42aよりやや広い面積を有している。
【0043】
分配室4に設けた振り分け装置5は、分配室4内で左右(コンベア搬送方向の前後)に揺動可能に設置したダンパー51と、該ダンパー51の姿勢を切換える切換手段50とで構成されている。尚、この実施例では、切換手段50としてエアシリンダが使用されており、以下の説明では、この切換手段50をエアシリンダという。
【0044】
ダンパー51としては、図3に示すように多数本の櫛棒52,52・・を小間隔(例えば30mm程度の間隔)をもって並置したもの(櫛状ダンパー)を使用をしている。従って、このダンパー51には、各櫛棒52,52間にそれぞれ小間隔(30mm程度の間隔)の隙間53,53・・が設けられている。この各櫛棒52,52間の隙間53は、例えば30mmより小さい小塊状の廃材を通過させるものである。
【0045】
尚、他の実施例では、ダンパー51に設けられる隙間53,53・・として、櫛状のものに代えて格子状のものにすることができる。
【0046】
このダンパー51は、図2に示すように、その下端部の軸51aを分配室4の底部付近の前後方向(図2の奥行き方向)に向けた状態で分配室壁面に枢支することによって取付けられている。又、このダンパー51の軸51aは、図2に示すように、コンベア終端部3bから廃材(C又はB)が落下する位置より、所定長さLだけ金属通路42側に偏位させており、その分、再生用廃材通路41の入口41aの開口幅が大きくなっている。
【0047】
そして、この振り分け装置5では、エアシリンダ50の伸縮動作によって、ダンパー51を実線図示する再生用廃材通路開放姿勢と鎖線図示(符号51′)する金属通路開放姿勢とに切換え得るようになっている。
【0048】
コントローラ8は、金属検出機7が金属非検出状態ではダンパー51を実線図示するように再生原料通路41(入口41a)を開放する側に位置させている一方、金属検出機7が金属を検出したときにその被検出金属がコンベア終端部3bから分配室4内に落下するタイミングに合わせてダンパー51を鎖線図示(符号51′)するように金属通路42開放側に作動させた後、所定タイマー後に再生原料通路41開放側に復帰させるように制御するものである。
【0049】
上記のように、被検出金属が金属検出機7で検出された後、コンベア終端部3bから分配室4内に落下するタイミング(時間)は、コンベア3上における金属検出機7の設置位置からコンベア終端部3bまでの距離とコンベア3の走行スピードとに基いてコントローラ8で演算することにより把握することができる。尚、実機では、金属検出機7が金属検出信号を発してから例えば4秒後にダンパー51を金属通路開放側に作動させるようにしている。
【0050】
又、ダンパー51を金属通路42開放側に作動させた後、該ダンパー51を再生用廃材通路41開放側に復帰させるタイミング(時間)は、上記被検出金属(図2の符号B)がダンパー51上面に案内されて金属通路42の入口42aに達するまでの、例えば2〜3秒後が適当である。
【0051】
再生用廃材通路41の出口には、該再生用廃材通路41を通って送出された再生用廃材Cを次工程の圧砕工程(圧砕機)に搬送するための搬送コンベア(スクリュコンベア)が設置されている。又、金属通路42の出口には、該金属通路42を通って送出された金属屑Bを貯留するための貯留容器が設置される。
【0052】
この実施例の金属混入廃材分別機の作動方法について、図4を併用して説明する。尚、運転開始時点では、金属検出機7が金属非検出状態であるので、振り分け装置5のダンパー51は図1〜図3に実線図示する再生用廃材通路41を開放する側に位置している。
【0053】
解体現場から搬出された大塊状の建築廃材(図4の金属混入廃材A)は、図1に示す破砕機1のホッパー11に投入され(S1)、そこで粗目の所定粒径まで破砕される(S2)。そして、破砕機1で粗目に破砕された金属混入廃材は、投入コンベア2によって所定量ずつコンベア3の始端部3a上に供給されて、順次コンベア上を搬送される(S3)。
【0054】
コンベア3上では、まず磁選機6で金属混入廃材中の鉄屑を除去する(S4)。即ち、コンベア3上を搬送される廃材中に鉄屑が混入していると、その鉄屑を磁選機6の磁気吸着作用で除去する。尚、廃材中に非鉄金属が含まれていても、この磁選機6では該非鉄金属は除去できない。
【0055】
金属検出機7の設置位置では、該金属検出機7によりコンベア3上を搬送されている廃材中に金属(非鉄金属)が混入しているか否かを監視している(S5)。そして、該金属検出機7が金属を検出しない状態(S6)では、再生用廃材(良品)のみが搬送されているので、ダンパー51は常態位置(図1〜図3の実線図示位置)のまま維持されていて(S7)、コンベア終端部3bから分配室4内に落下する再生用廃材Cの全量が再生用廃材通路41側に落下する(S8)。そして、その再生用廃材Cは、搬送コンベア9で次工程(圧砕工程)側に搬送される(S9)。尚、圧砕工程側に搬送された再生用廃材Cは、圧砕機で微小粒径まで圧砕されて、再生用原料となる。
【0056】
他方、金属検出機7がコンベア3上を搬送されている廃材中の金属(非鉄金属)を検出すると(S10)、該金属検出機7からの金属検出信号がコントローラ8に発せられ、該コントローラ8から所定タイマー後(被検出金属Bがコンベア終端部3bから落下するタイミングである例えば4秒後)に、振り分け装置5のエアシリンダ50に作動信号が発せられ(ダンパー51が金属通路42開放側に作動する)、その所定タイマー後にエアシリンダ50に対してダンパー51を元に復帰させる信号が発せられる。即ち、被検出金属Bがコンベア終端部3bから落下する時点から該被検出金属Bが金属通路42の入口42aに達するのに必要な時間だけダンパー51が金属通路開放側に作動する(S11)。このとき、コンベア終端部3bから落下する被検出金属Bが、鎖線図示位置にあるダンパー51′の上面に案内されて、金属通路入口42aから金属通路42中に落下し(S12)、該金属通路42の下端から貯留容器10内に貯留される(S13)。
【0057】
このように、この実施例の金属混入廃材分別機では、廃材中に混入している金属を再生用廃材から確実に分別することができ、しかも被検出金属が非鉄金属であっても確実に分別できる。
【0058】
又、金属検出機7からの金属検出信号でダンパー51が金属通路42開放側に位置している間(例えば2〜3秒間)は、被検出金属Bの前後近傍を搬送される再生用廃材Cもダンパー51に案内されて金属通路42側に送出されるが、この実施例では、分配室4の底部にある再生用廃材通路41の入口41aをコンベア終端部3bの直下に開口させ、且つダンパー51として所定大きさ以下の廃材を通過させ得る多数の隙間53,53・・を有したものを採用しているので、ダンパー51が金属通路開放側に位置している状態でも、分配室4内に落下する金属混入廃材中の上記隙間53より小さい廃材(再生用廃材と金属屑を含む)の大部分が、該ダンパー51の隙間53を通って再生用廃材通路41側に落下するようになる。
【0059】
従って、ダンパー51が金属通路開放側にある状態(鎖線図示状態)でも、分配室4内に落下する再生用廃材C(良品)のうちの小さいものを再生用廃材通路41側に送出できるので、不良品として分別される金属屑B中に良品である再生用廃材Cが混入する量を極力少なくできる。
【0060】
ところで、ダンパー51が金属通路開放側にある状態(鎖線図示状態)で、コンベア終端部3bから落下する金属屑Bがダンパー51の各隙間53より小さい場合(金属屑Bの粒径が30mmより小さいもの)には、その小さい金属屑Bが51の隙間53から再生用廃材通路41側に落下することがあるが、該隙間53を通過する金属屑Bは小塊状(粒径が30mm以下)のものだけであり、このような小塊状金属屑Bが再生用廃材Cとともに次の圧砕工程に送られても、該圧砕機が破損したり故障するほどの悪影響は発生しない。
【符号の説明】
【0061】
3はコンベア、4は分配室、5は振り分け装置、6は磁選機、7は金属検出機、8はコントローラ、41は再生用廃材通路、41は再生用廃材通路の入口、42は金属通路、42aは金属通路の入口、50はエアシリンダ、51はダンパー、52は櫛棒、53は隙間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属が混入した金属混入廃材を搬送するコンベア(3)と、該コンベア(3)上を搬送される廃材中の金属を検出する金属検出機(7)と、前記コンベア(3)の終端部から落下する廃材を受容でき且つ底部に再生用廃材通路(41)と金属通路(42)とを設けた分配室(4)と、該分配室(4)内に落下する廃材を前記再生用廃材通路(41)と前記金属通路(42)に振り分けるダンパー(51)付きの振り分け装置(5)と、前記金属検出機(7)からの金属検出信号に基いて前記振り分け装置(5)を作動させるコントローラ(8)とを備えているとともに、
前記コントローラ(8)は、前記金属検出機(7)が金属非検出状態では前記ダンパー(51)を再生原料通路開放側に位置させる一方、前記金属検出機(7)が金属検出したときにその被検出金属が分配室(4)内に落下するタイミングに合わせて前記ダンパー(51)を金属通路開放側に作動させた後、所定タイマー後に再生用廃材通路開放側に復帰させるように制御する、
ことを特徴とする金属混入廃材分別機。
【請求項2】
請求項1において、
前記分配室(4)の底部にある前記再生用廃材通路(41)の入口(41a)を前記コンベア(3)の終端部の直下に開口させている一方、
前記ダンパー(51)は、所定大きさ以下の廃材を通過させ得る多数の隙間(53)を有した櫛状又は格子状のものを採用している、
ことを特徴とする金属混入廃材分別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−5986(P2012−5986A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145861(P2010−145861)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000156422)鎌長製衡株式会社 (11)
【Fターム(参考)】