説明

金属管の熱間曲げ加工方法およびその装置

【課題】金属管を塑性変形可能な温度に加熱した後に曲げ加工手段を通過させて金属管を曲げ加工するに際し、加熱による金属管の曲げ加工精度および耐食性の低下を防止できるようにする。
【解決手段】ワークWの外周に配置した誘導加熱コイル装置5にてワークを部分的に塑性変形可能な温度に加熱した後に、曲げ加工手段7を通過させることによってワークを曲げ加工するようにした熱間曲げ加工方法であって、誘導加熱コイル装置を通過する前のワーク表面部に潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布し、その後に、前記誘導加熱コイル装置による加熱によってワーク表面部に前記耐食性被膜を形成する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属管の熱間曲げ加工方法、より詳しく言えば、金属管を局部的に塑性変形可能な温度に加熱した後に曲げ加工手段を通過させることによって前記金属管を曲げ加工するようにした金属管の熱間曲げ加工方法、及びかかる金属管の熱間曲げ加工に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車等の車両において車体の基本構造の一部を構成するピラー部材,フロント及びリヤのサイドフレーム,ダッシュパネルの前面下部に位置するダッシュクロスメンバ等の車体部材には、車体の強度および剛性を確保し安全性を高める観点から、より一層の高強度化および高剛性化が求められ、しかも、燃費性能向上のためにより一層の軽量化が求められている。
【0003】
これらの要請に応えるため、前記のような車体部材は、多くの場合、閉断面状の長尺部材として構成されており、所要の形状に曲げたり断面形状を部分的に変化させる等の曲げ加工を施した上で、車体に組み付けて用いられている。
【0004】
このように閉断面状の長尺部材(つまり、筒状またはパイプ状部材)に曲げ加工を施す方法として、例えば、特許文献1に開示されているように、押し出し装置で下流側に送られる金属管について、その曲げ加工部の外周側に環状の誘導加熱コイルを配設すると共に、当該金属管の誘導加熱コイルよりも上流側(先端側)をアームでクランプしておき、誘導加熱コイルに高周波電流を供給して曲げ加工部を加熱しながら、アームを回動させて金属管の先端側を曲げるように変位させることにより、金属管に曲げ加工を施す方法が知られている。
【0005】
また、ワークが閉断面状であることやワークを加熱することを特に念頭に置いたものではないが、例えば、特許文献2には、ワークフィーダで送出されるワークを、上流側から順に固定金型と可動金型に挿通させ、可動金型を所定の態様に転向・変位駆動せしめることにより、ワークに所定の曲げ加工を施すようにした方法が開示されている。この場合、ワークと金型との間の焼き付き等を防止するために、固定金型よりも上流側で、ワーク表面に潤滑油が適用される。この方法によれば、可動金型を三次元に変位駆動せしめることにより、ワークの三次元曲げ加工を実現することができるとされている。
【特許文献1】特開平09−024423号公報
【特許文献2】特開平06−047449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されたような曲げ加工方法を、例えば鋼製の金属管の熱間曲げ加工に適用することを考えた場合、通常、このような金属管の表面には防錆や耐食性向上のために所要のメッキが施されているのであるが、ワークを塑性変形可能な温度まで加熱することによって、メッキ被膜が剥離し更には蒸発して失われてしまうことが多い。このため、可動金型を所定の態様に変位駆動せしめる際に、可動金型の挿通部分に対するワークの摺動抵抗が大きくなり、ワークが可動金型の動きに追従したスムースな摺動動作を行うことができず、その結果、曲げ加工精度に悪影響を及ぼすという問題があった。また、曲げ加工後のワークの耐食性も著しく低下する、という問題も生じる。
【0007】
この発明は、かかる技術的課題に鑑みてなされたもので、金属管を塑性変形可能な温度に加熱した後に曲げ加工手段を通過させ金属管を曲げ加工するに際して、加熱による金属管の曲げ加工精度および耐食性の低下を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の第1の発明(請求項1に係る発明)は、金属管の外周に配置した加熱手段にて前記金属管を部分的に塑性変形可能な温度に加熱した後に曲げ加工手段を通過させることによって前記金属管を曲げ加工するようにした、金属管の熱間曲げ加工方法であって、前記加熱手段を通過する前の前記金属管の表面部に潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布する耐食性被膜形成粉末塗布工程と、該耐食性被膜形成粉末塗布工程の後に、前記加熱手段による加熱によって前記金属管の表面部に前記耐食性被膜を形成する耐食性被膜形成工程と、を備えたことを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の第2の発明(請求項2に係る発明)は、前記第1の発明において、前記耐食性被膜形成粉末塗布工程では、Ni粉末,Fe粉末,Al粉末およびMg粉末の少なくとも一種とZn粉末とを含有するペーストを塗布する、ことを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の第3の発明(請求項3に係る発明)は、金属管の外周に配置され該金属管を部分的に塑性変形可能な温度に加熱する加熱手段と、該加熱手段よりも下流側に配置され前記金属管を通過させて曲げ加工する曲げ加工手段と、前記加熱手段の上流側から前記曲げ加工手段の下流側に向かって前記金属管を送出する金属管送り機構とを備え、前記加熱手段にて塑性変形可能な温度に加熱された金属管を、前記曲げ加工手段を通過させることによって曲げ加工するようにした、金属管の熱間曲げ加工装置であって、前記加熱手段よりも上流側に、塑性変形可能な温度に加熱される前の前記金属管の表面部に潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布する耐食性被膜形成粉末塗布手段を備えた、ことを特徴としたものである。
【0011】
また更に、本願の第4の発明(請求項4に係る発明)は、前記第3の発明において、前記耐食性被膜形成粉末塗布手段は、Ni粉末,Fe粉末,Al粉末およびMg粉末の少なくとも一種とZn粉末とを含有するペーストを塗布する、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本願の第1,第3の発明によれば、加熱手段を通過する前の金属管の表面部に潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布し、その後に、前記加熱手段による加熱によって金属管の表面部に前記耐食性被膜を形成することができる。従って、曲げ加工手段を通過する際、金属管の表面部には潤滑性を有する耐食性被膜が形成されており、曲げ加工手段通過時の金属管の摺動抵抗が低減され、スムースな摺動動作を行わせることができる。その結果、良好な曲げ加工精度を維持することができ、また、曲げ加工後の金属管の耐食性も確保することができる。
【0013】
また、本願の第2,第4の発明によれば、基本的にはそれぞれ前記第1,第3の発明と同様の作用効果を奏することができる。特に、耐食性被膜形成粉末として、Ni粉末,Fe粉末,Al粉末およびMg粉末の少なくとも一種とZn粉末とを含有するペーストを塗布することにより、金属管表面部により確実に耐食性と低摩擦性とを付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る金属管の熱間曲げ加工を実施する熱間曲げ加工装置の全体構成を模式的に示す説明図である。また、図2は、前記熱間曲げ加工を適用し得る金属管を車体部材に備える自動車の車体を模式的に示す側面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る熱間曲げ加工装置Mは、曲げ加工されるべき金属管としての長尺ワークWを一側(下流側:図における左側)に向かって送出するワーク送り機構1と、該ワーク送り機構1の下流側に位置し送出されるワークWを支持する支持ローラ対3と、該支持ローラ対3よりも下流側に位置する加熱手段としての誘導加熱コイル装置5と、該誘導加熱コイル装置5よりも下流側に位置する曲げ加工手段としての可動ローラ対7とを備えている。
【0016】
前記ワークWは、好ましくは鋼製で、より好ましくは閉断面の筒状またはパイプ状部材として構成されている。このようなワークWとしては、例えば、図2に示すような自動車のサイドボディ30に結合されるフロントサイドフレーム32やリヤサイドフレーム34などが挙げられる。或いは、具体的には図示していないが、ダッシュパネルの前面下部に位置するダッシュクロスメンバ等の他の車体部材でもよい。更には、鋼製の車体部材に限らず、他の種々の用途・材質の金属管であってもよい。
【0017】
前記ワーク送り機構1は、所定の速度でワークWを強制的に下流側へ送出する機構で、その構造の詳細な説明および具体的な図示は省略するが、従来公知の種々の機構を適用することができる。
前記支持ローラ対3は、ワーク送り機構1の比較的近くの下流側に配置され、ワーク送り機構1から送出されたワークWを上下から圧接して支持し、その送出動作を案内するもので、本実施形態では、上下に対をなす2組のローラ対3が配設されている。
【0018】
前記誘導加熱コイル装置5は、支持ローラ対3から所定距離だけ隔てた下流側にて、ワークWの外周を取り囲むようにして配置され、誘導加熱コイルに高周波電流を供給することにより、当該誘導加熱コイル装置5を通過するワークWを局部的に所定温度に加熱するものである。この場合、ワークWは、曲げ加工における変形抵抗を低減できるように、塑性変形可能な温度に加熱される。
【0019】
本実施形態では、ワークWは、焼き入れ処理が可能な鋼製であるので、曲げ加工を施すだけでなく、かかる焼き入れ効果を得ることをも企図する場合には、鋼の変態点(約800℃程度)以上の温度まで加熱する。尚、焼き入れ処理不要の場合には、約600℃程度以下の温度に加熱すれば十分である。
【0020】
また、本実施形態では、より好ましくは、前記誘導加熱コイル装置5は、ワークWの誘導加熱コイルで加熱された部分を冷却する冷却機構を備えている。すなわち、誘導加熱コイル装置5の下流側に面する側面には、ワークWの曲げ加工済みの部分Wcに向かって冷却水Jcを噴射する複数の噴射ノズル(不図示)が設けられ、この噴射ノズルに給水源(不図示)から冷却水を供給することにより、曲げ加工を終えた後の前記曲げ加工済みの部分Wcに冷却水Jcを噴射し、この部分Wcを効果的に冷却することができる。
【0021】
このような冷却機構を備えた誘導加熱コイル装置5としては、その構造の詳細な説明および具体的な図示は省略するが、例えば特許文献1に開示されるものなど、従来公知の種々の構造を利用したものを用いることができる。尚、以上のように冷却機構を誘導加熱コイル装置5に内蔵して設ける代わりに、両者を互いに分離して設け、誘導加熱コイルの下流側に冷却機構を配置するようにしてもよい。
【0022】
ワークWに前述の焼き入れ処理を施す場合には、誘導加熱コイルで鋼の変態点以上の温度まで加熱し曲げ加工を施した後、その曲げ加工済みの部分Wcに冷却水Jcを噴射供給して急冷することにより、効果的に焼き入れ処理を行うことができる。
尚、加熱手段としては、必ずしも上述のような誘導加熱コイルに限定されるものではなく、ワークWを外周側から部分的に加熱することができるものであれば、従来公知の種々のタイプの加熱装置を用いることができる。
【0023】
前記可動ローラ対7は、誘導加熱コイル装置5から所定距離だけ隔てた下流側に設けられ、誘導加熱コイル装置5を通過したワークWを上下から圧接して支持し案内すると共に、誘導加熱コイル装置5で部分的に加熱され変形抵抗が低減されたワークWの曲げ加工部分Wbを、所要の形状に曲げ加工するもので、本実施形態では、上下に対をなす1組のローラ対7が配設されている。
【0024】
具体的には図示しなかったが、前記可動ローラ対7には、該可動ローラ対7を駆動してその位置や方位などを三次元で自在に制御するための駆動機構が付設されている。この駆動機構(不図示)を作動させて可動ローラ対7を所定のモードで駆動することにより、誘導加熱コイル装置5で部分的に加熱され変形抵抗が低減されたワークWの曲げ加工部分Wbを、所要の形状に曲げ加工することができるのである。このような駆動機構としては、その構造の詳細な説明および具体的な図示は省略するが、従来公知の種々の機構を用いることができる。
【0025】
尚、曲げ加工手段の具体構成としては、必ずしも上述のようなローラ対(可動ローラ対7)に限定されるものではなく、例えば、ワークWを挿通させ得る挿通孔を内部に備えた金型(つまりダイス)を三次元動作可能に設け、前述の駆動機構と同様の作用をなす機構を付設するようにしてもよい。
また、誘導加熱コイル装置5によるワークWの加熱部分WnをワークWの中心軸方向に相対移動させながら、曲げモーメントを加えることによってワークWに曲げ加工を施すこともできる。
【0026】
本実施形態では、ワークWが可動ローラ対7を通過することで曲げ加工部分Wbに曲げ加工を施す際に、ワークWの摺動抵抗を低減してスムースな摺動動作を行わせ、また、曲げ加工後のワークWの耐食性を確保することを主要な目的として、誘導加熱コイル装置5によるワークWの加熱に先立って、ワークWの表面部に潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布するようにしている。
【0027】
このため、誘導加熱コイル装置5よりも上流側で支持ローラ対3よりも下流側に、耐食性被膜形成粉末塗布手段としての塗布装置10が配設されている。本実施形態では、ワークWの全周にわたってできるだけ均一に耐食性被膜形成粉末を塗布できるように、ワークWを挟んで一対の塗布装置10が配設されており、各塗布装置10は、後述するように、所定の耐食性被膜形成粉末を含有したペーストを供給する供給管12と、該供給管12から供給された前記ペーストをワークWの表面部に向かって噴射塗布するスプレー14とを備えている。
尚、ワークWの表面部に耐食性被膜形成粉末を塗布する塗布手段としては、上述のような塗布装置10に限定されるものではなく、従来公知の種々の装置あるいは手段を用いることができる。
【0028】
また、具体的には図示しなかったが、熱間曲げ加工装置Mには、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成された制御ユニットが付設されており、装置Mの主要構成要素である、前記ワーク送り機構1,支持ローラ対3,誘導加熱コイル装置5,可動ローラ対7,塗布装置10等は全て、前記制御ユニットに信号授受可能に接続され、その制御信号に基づいて制御されるようになっている。
【0029】
前記ペーストとしては、ニッケル(Ni)粉末,鉄(Fe)粉末,アルミニウム(Al)粉末およびマグネシウム(Mg)粉末の少なくとも一種と亜鉛(Zn)粉末とを含有し、これにバインダを加えてペースト状にしたものが、好適に用いられる。
このように、耐食性被膜形成粉末として、Ni粉末,Fe粉末,Al粉末およびMg粉末の少なくとも一種とZn粉末とを含有するペーストを塗布することにより、ワークWの表面部に、より確実に耐食性と低摩擦性とを付与することができる。
【0030】
特に、前述のように曲げ加工を施すだけでなく焼き入れ効果を得ることをも企図する場合には、溶融温度が比較的高いが約800℃程度以下の温度で溶融するZn−Ni系またはZn−Fe系のものが好ましい。一方、焼き入れ処理が不要の場合には、600℃程度以下の温度で溶融するZn−Al系またはZn−Mg系のものが好ましい。
また、特に、ワークWの摺動抵抗をより一層低減することが求められる場合には、以上の組み合わせの金属粉末に、適量の二硫化モリブデン(MoS)粉末を添加することが好ましい。
【0031】
塗布装置10を用いて以上のような耐食性被膜形成粉末を含有したペーストをワークWの表面部に塗布した後、誘導加熱コイル装置5でワークWの前記表面部が高温に(塑性変形可能温度に)加熱されることにより、塗布されたペーストに含有された金属粉末が溶融して合金化される。そして、曲げ加工が行われた後に、誘導加熱コイル装置5の冷却機構(不図示)によって冷却されることにより、ワークWの表面部に、前記金属粉末が合金化されて成る表面被膜が形成されるようになっている。
【0032】
このような表面被膜が形成されたワークWが可動ローラ対7を通過する際には、表面被膜の形成によってワークWの表面部に潤滑性が付与され、ワークWの摺動抵抗は大幅に低減されている。従って、非常にスムースな摺動動作ができ、曲げ加工部分Wbに対して高い精度で曲げ加工を施すことができる。また、ワークWの表面部に前記金属粉末が合金化されて成る表面被膜が形成されていることにより、曲げ加工後のワークWの耐食性も確保することができるのである。
【0033】
以上、説明したように、本実施形態によれば、加熱手段としての誘導加熱コイル装置5を通過する前のワークWの表面部に潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布し、その後に、前記誘導加熱コイル装置5による加熱によってワークWの表面部に前記耐食性被膜を形成することができる。従って、曲げ加工手段としての可動ローラ対7を通過する際、ワークWの表面部には潤滑性を有する耐食性被膜が形成されており、可動ローラ対7を通過する際のワークWの摺動抵抗が低減され、スムースな摺動動作を行わせることができる。その結果、良好な曲げ加工精度を維持することができ、また、曲げ加工後のワークWの耐食性も確保することができるのである。
【0034】
尚、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、変更および改良等がなされるものであることは、いうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、金属管を塑性変形可能な温度に加熱した後に曲げ加工手段を通過させることによって前記金属管を曲げ加工するようにした金属管の熱間曲げ加工方法、及びかかる金属管の熱間曲げ加工に用いる装置に関し、例えば、自動車等の車両において車体の基本構造の一部を構成するピラー部材,フロント及びリヤのサイドフレーム,ダッシュパネルの前面下部に位置するダッシュクロスメンバ等の閉断面状の車体部材の熱間曲げ加工などに、有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る金属管の熱間曲げ加工装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本実施形態に係る熱間曲げ加工を適用し得る金属管を車体部材に備える自動車の車体を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ワーク送り機構
3 支持ローラ対
5 誘導加熱コイル装置
7 可動ローラ対
M 熱間曲げ加工装置
W ワーク(金属管)
Wb (ワークの)曲げ加工部分
Wn (ワークの)加熱部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管の外周に配置した加熱手段にて前記金属管を部分的に塑性変形可能な温度に加熱した後に曲げ加工手段を通過させることによって前記金属管を曲げ加工するようにした、金属管の熱間曲げ加工方法であって、
前記加熱手段を通過する前の前記金属管の表面部に、潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布する耐食性被膜形成粉末塗布工程と、
該耐食性被膜形成粉末塗布工程の後に、前記加熱手段による加熱によって前記金属管の表面部に前記耐食性被膜を形成する耐食性被膜形成工程と、
を備えたことを特徴とする金属管の熱間曲げ加工方法。
【請求項2】
前記耐食性被膜形成粉末塗布工程では、Ni粉末,Fe粉末,Al粉末およびMg粉末の少なくとも一種とZn粉末とを含有するペーストを塗布する、ことを特徴とする請求項1に記載の金属管の熱間曲げ加工方法。
【請求項3】
金属管の外周に配置され該金属管を部分的に塑性変形可能な温度に加熱する加熱手段と、該加熱手段よりも下流側に配置され前記金属管を通過させて曲げ加工する曲げ加工手段と、前記加熱手段の上流側から前記曲げ加工手段の下流側に向かって前記金属管を送出する金属管送り機構とを備え、前記加熱手段にて塑性変形可能な温度に加熱された金属管を、前記曲げ加工手段を通過させることによって曲げ加工するようにした、金属管の熱間曲げ加工装置であって、
前記加熱手段よりも上流側に、塑性変形可能な温度に加熱される前の前記金属管の表面部に潤滑性を有する耐食性被膜形成粉末を塗布する耐食性被膜形成粉末塗布手段を備えた、ことを特徴とする金属管の熱間曲げ加工装置。
【請求項4】
前記耐食性被膜形成粉末塗布手段は、Ni粉末,Fe粉末,Al粉末およびMg粉末の少なくとも一種とZn粉末とを含有するペーストを塗布する、ことを特徴とする請求項3に記載の金属管の熱間曲げ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate