説明

金属管の製造装置

【課題】金属管内周面にフクレが発生するのを有効に防止し、かつ金属カスの除去頻度を減らして高品質の金属管を効率良く製造する。
【解決手段】金属管の製造装置は、押出前部にダイスが設けられ、内部に金属製のビレット(B)が配置されるコンテナ(1)と、前記コンテナにおけるビレット(B)の後部に配置される環状の押盤(3)と、前記押盤(3)の中央孔(31)に後方から挿入されてビレット(B)に挿通されるマンドレル(4)と、前記押盤(3)を介してビレット(B)を前方に押し込んで、前記ダイスおよび前記マンドレル(4)間の環状隙間から押し出すための加圧ステム(5)と、を備え、前記押盤(3)における中央孔内周面(31a)および後面(3a)に空気抜き溝(35)を有し、かつ該空気抜き溝(35)は内周面(31a)の軸方向溝(35a)と後面(3a)の径方向溝(35b)とが不連続に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属管を押出成形する際に用いられる金属管の製造装置およびその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
継ぎ目の無い金属管を押出成形する装置としてはたとえば、特許文献1〜3に示す押出装置が周知である。
【0003】
このような押出装置は、内部に丸棒状ないし円柱状のビレットが配置されるコンテナを備え、そのコンテナの前部にダイスが設けられるとともに、後部に円環状の押盤が設けられる。そしてマンドレルを押盤の中央孔から挿入してビレットに挿通し(ピアッシング工程)、その後、加圧ステムによって押盤を介してビレットを前方へ押し込んで、ダイスおよびマンドレル間の環状隙間から押し出して、金属管を製造するようにしている。
【0004】
しかしながら、上記従来の押出装置では、ピアッシング工程においてマンドレルをビレットに圧入する際に、マンドレル表面に沿う空気が、マンドレルとともにビレット内に巻き込まれていき、ビレットの貫通孔内周面に気泡が形成される。この気泡が残存したままの状態で、ビレットを押し出すと、押し出された金属管の内周面に気泡によるフクレが発生する。このようなフクレは、金属管の表面処理や塗装処理などに悪影響を及ぼすおそれがあり、押出製品の品質を低下させる要因となっている。
【0005】
特に近年では、管状押出製品における高品質化の要求がますます厳しくなり、可能な限り、フクレの発生を抑制する技術の開発が切望されている。そこで、本出願人は、上記問題点を解消し、押盤に空気抜き用の溝を設けてビレットの貫通孔内周面に発生した気泡を逃がすことによりフクレの発生を有効に防止できる金属管の製造装置を提案した(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−301228号
【特許文献2】特公平7−57369号
【特許文献3】実公昭62−39848号
【特許文献4】特開2007−167873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4に記載の押盤に設けられた空気抜き溝は、マンドレルを挿通する中央孔の内周面の軸方向溝部から後面の径方向溝部に続くものである。このため、マンドレルに付着した金属カスが軸方向溝部に流入すると、溝内を進み、後面の径方向溝部に流入する。このような金属カスの流れが繰り返されると、金属カスが押盤の後面上に堆積する。後面上に金属カスが堆積すると径方向溝部が塞がれて空気が抜けにくくなるため、高品質の金属管を安定して製造するには溜まった金属カスを除去しなければならない。そして、金属カスを除去する間は押出工程を中断するので、除去作業分だけ製造効率が低下することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、金属管内周面にフクレが発生するのを有効に防止でき、かつ金属カスの除去頻度を減らして高品質の金属管を効率良く製造できる金属管の製造装置およびその関連技術を提供することを目的とする。
【0009】
即ち、本発明は下記[1]〜[16]に記載の構成を有する。
【0010】
[1] 前部にダイスが設けられ、内部に金属製のビレットが配置されるコンテナと、
前記コンテナにおけるビレットの後部に配置される環状の押盤と、
前記押盤の中央孔に後方から挿入されてビレットに挿通されるマンドレルと、
前記押盤を介してビレットを前方に押し込んで、前記ダイスおよび前記マンドレル間の環状隙間から押し出すための加圧ステムと、を備え、
前記押盤における中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられていることを特徴とする金属管の製造装置。
【0011】
[2] 前記空気抜き溝は、押盤の中央孔の周方向に沿って間隔をおいて複数設けられる前項1に記載の金属管の製造装置。
【0012】
[3] 前記軸方向溝の前端部が、中央孔内周面の前後方向中間位置に配置されて、中央孔内周面の前端部に溝のない部分が設けられる前項1または2に記載の金属管の製造装置。
【0013】
[4] 前記空気抜き溝は、その溝幅が5〜20mmに設定される前項1〜3のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0014】
[5] 前記空気抜き溝は、その溝深さが2〜10mmに設定される前項1〜4のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0015】
[6] 前記空気抜き溝は、中央孔内周面と後面とのコーナ部を除く位置に設けられている前項1〜5のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0016】
[7] 前記空気抜き溝は、軸方向溝と径方向溝とが中央孔の周方向において位相のずれた位置に設けられている前項1〜6のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0017】
[8] 前記空気抜き溝は、軸方向溝と径方向溝の本数が異なる前項1〜7のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0018】
[9] 前記ビレットの材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる前項1〜8のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0019】
[10] 前記コンテナは、押出時にビレットと同調して前方に移動するよう構成される前項1〜9のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0020】
[11] 前記ビレットは、貫通孔のない棒状ないし柱状部材によって構成される前項1〜10のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0021】
[12] 前記ビレットは、軸心に沿って貫通孔を有し、かつその貫通孔の内径がマンドレルの外径よりも小さい管状ないし筒状部材によって構成される前項1〜10のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【0022】
[13] 前部にダイスが設けられたコンテナ内に金属製のビレットを配置する工程と、
前記コンテナにおけるビレットの後部に環状の押盤を配置する工程と、
マンドレルを押盤の中央孔に後方から挿入してビレットに挿通する工程と、
加圧ステムによって押盤を介してビレットを前方に押し込んで、ダイスおよびマンドレル間の環状隙間から押し出す工程と、を含み、
前記押盤として、その中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられたものを用いたことを特徴とする金属管の製造方法。
【0023】
[14] 前部にダイスが設けられ、内部に金属製のビレットが配置されるコンテナと、
前記コンテナにおけるビレットの後部に配置される環状の押盤と、
前記押盤の中央孔に後方から挿入されてビレットに挿通されるマンドレルと、を備え、
前記押盤における中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられていることを特徴とするピアッシング装置。
【0024】
[15] 前部にダイスが設けられたコンテナ内に金属製のビレットを配置する工程と、
前記コンテナにおけるビレットの後部に環状の押盤を配置する工程と、
マンドレルを押盤の中央孔に後方から挿入してビレットに挿通する工程と、を含み、
前記押盤として、その中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられたものを用いたことを特徴とするピアッシング方法。
【0025】
[16] 前部にダイスが設けられ、内部に金属製のビレットが配置されたコンテナにおけるビレットの後部に配置され、かつ中央孔を有する環状の押出装置用押盤であって、
中央孔に後方からマンドレルが挿入されてビレットに挿通されるよう構成される一方、
中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられていることを特徴とする押出装置用押盤。
【発明の効果】
【0026】
上記発明[1]における金属管の製造装置によれば、マンドレルをビレットに圧入するピアッシング時に、マンドレル先端と押盤中央孔内周面との間の空気が、空気抜き溝を通って加圧ステム側に移動することにより、押盤中央孔内の圧力が過度に上昇することがない。従って空気がマンドレルとともにビレットの内部に巻き込まれるのを防止でき、気泡の残留によるフクレ部の形成を防止できて、高品質の押出製品を製造することができる。さらに、前記空気抜き溝は軸方向溝と径方向溝とが不連続であるから、軸方向溝に流入してその後端から排出される金属カスは直進しやすく押盤の後面に堆積しにくい。このため、後面に堆積して径方向溝を塞いでいる金属カスを除去する頻度を少なくすることができ、ひいては押出製品を効率よく製造することができる。さらに、直進した金属カスがさらなる金属カスの流入を堰き止めるために、金属カスの排出量そのものが低減されて、材料歩留まりの向上し、かつ金属カスの除去作業頻度を低減できる。
【0027】
上記発明[2]における金属管の製造装置によれば、空気抜き溝を押盤に周方向に間隔をおいて複数設けているため、周方向の全周からバランス良く空気を逃がし、効率良く空気抜きを行い、かつ周方向の全周からバランス良く金属カスを排出することができる。
【0028】
上記発明[3]における金属管の製造装置によれば、ピアッシング時やアプセット時にビレットが加圧圧縮されて、ビレット構成材が押盤中央孔内に侵入したとしても、そのビレット構成材が軸方向溝内に流入するのを防止することができる。従ってビレット構成材が押盤中央孔内に残存するのを防止することができ、そのビレット構成材がマンドレルの外周面に固着するという不具合を防止することができる。
【0029】
上記発明[4][5]における金属管の製造装置によれば、ピアッシング時における押盤中央孔内の上記空気抜きをより一層確実に行うことができる。
【0030】
上記発明[6]における金属管の製造装置によれば、空気抜き溝の加工が容易であり、押盤の加工費を低減できる。
【0031】
上記発明[7]における金属管の製造装置によれば、押盤の中央孔内周面と後面とのコーナ部の形状に関わらず、軸方向溝と径方向溝とを不連続に設けることができる。また、軸方向溝から内部空間に排出された金属カスが径方向溝に流入しにくくなるので、径方向溝の詰まりを防止する効果が大きい。
【0032】
上記発明[8]における金属管の製造装置によれば、軸方向溝および径方向溝の本数を金属カスの流入状況に適合させて上記の効果を得ることができる。例えば、径方向溝は軸方向溝よりも金属カスの流入による詰まりが少ないため、径方向溝の本数を軸方向溝よりも減らしてもフクレ部の形成防止に対して同等の効果が得られ、溝数を減らせば加工工数も減らすことができる。
【0033】
上記発明[9]における金属管の製造装置によれば、アルミニウムまたはアルミニウム
合金製の管状押出製品を製造することができる。
【0034】
上記発明[10]における金属管の製造装置によれば、間接方式の押出装置を構成する
ことができる。
【0035】
上記発明[11][12]における金属管の製造装置によれば、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【0036】
上記発明[13]によれば、上記と同様の作用効果を有する金属管の製造方法を提供することができる。
【0037】
上記発明[14]によれば、上記と同様の作用効果を有するピアッシング装置を提供することができる。
【0038】
上記発明[15]によれば、上記と同様の作用効果を有するピアッシング方法を提供す
ることができる。
【0039】
上記発明[16]によれば、上記と同様の作用効果を有する押出装置用押盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の一実施形態である押出装置を動作開始前のセット完了状態で示す側面断面図である。
【図2】図1の押出装置をピアッシング直後の状態で示す側面断面図である。
【図3】図1の押出装置を押出途中の状態で示す側面断面図である。
【図4】図1の押出装置を押出完了直前の状態で示す側面断面図である。
【図5】図1の押出装置における押盤周辺をピアッシング開始時の状態で示す拡大断面図である。
【図6】図1の押出装置における押盤周辺をピアッシング開始直後の状態で示す拡大断面図である。
【図7】図1の押出装置における押盤を示す斜視図である。
【図8】図7の押盤における空気抜き溝周辺の断面図である。
【図9】対比参照例としての押出装置における押盤周辺をピアッシング開始時の状態で示す拡大断面図である。
【図10】対比参照例としての押出装置における押盤周辺をピアッシング開始直後の状態で示す拡大断面図である。
【図11】図1の押出装置における金属カスの排出状態を模式的に示す断面図である。
【図12】本発明における押盤の異なる態様を示す斜視図である。
【図13】従来の押出装置における押盤周辺をピアッシング開始時の状態で示す拡大断面図である。
【図14】従来の押出装置における押盤周辺をピアッシング開始直後の状態で示す拡大断面図である。
【図15】比較例の押出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1〜6はこの発明の実施形態である金属管の製造装置が適用された間接押出装置を示す側面断面図である。この金属管の製造装置によれば、金属管内周面のフクレの発生を抑制するとともに、金属カスの除去作業を軽減して金属管の製造効率を高めることができる。
【0042】
これらの図に示すように、この押出装置は、内部にビレット(B)が配置されるコンテナ(1)と、コンテナ(1)の前部に設けられるダイス(2)と、コンテナ(1)の後部に設けられる環状の押盤(3)と、押盤(3)の中央孔(31)に後方から挿入されるマンドレル(4)と、押盤(3)を前方へ押し込む加圧ステム(5)とを基本的な構成要素として備えている。なお本実施形態の説明においては、発明の理解を容易にするため、押出方向(図1〜6の右方向)を前方として説明する。
【0043】
コンテナ(1)は、円管状ないし円筒状の形状を有しており、その軸心を前後方向に向けた状態に配置されている。
【0044】
ビレット(B)は、丸棒状ないし円柱状の形状を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の鋳造品をもって構成されている。そしてこのビレット(B)がコンテナ(1)内に収容される。
【0045】
ダイス(2)は、コンテナ(1)の前部にダイリング(25)およびバッカー(26)を介して配置されている。このダイス(2)はその円形ダイス孔(21)の軸心をコンテナ(1)の軸心に対し一致させた状態に配置されている。
【0046】
なお本実施形態の押出装置は、間接式のものであり、押出時にコンテナ(1)が、ビレット(B)、押盤(3)、加圧ステム(5)などと同調して、前方に移動するよう構成されている。
【0047】
図1〜8に示すように、ダミー、ダミーブロック等とも称される押盤(3)は、ビレット(B)の後端面に加圧接触させるものであって、中央に貫通状の孔(31)を有する円環状の形状を有し、この中央孔(31)の内周面(31a)と後面(3a)との間のコーナ部(32)が曲面で形成されている。この押盤(3)がその軸心をコンテナ(1)の軸心に一致させるようにして、コンテナ(1)におけるビレット(B)の後部に配置されている。なお、前記押盤(3)には空気抜き溝(35)が設けられているが、この詳細な構成については後に詳述する。
【0048】
図1〜6に示すように、マンドレル(4)は、丸棒状ないしは円柱状のマンドレルバー(4a)の先端に金属管の内周面を成形するチップ(4b)が取り付けられ、後端部はソケット(4c)に嵌入されている。そして、その軸心をコンテナ(1)の軸心に一致させるようにして、押盤(3)の中央孔(31)に対応して配置されている。このマンドレル(4)は、軸心方向に沿って移動自在に構成されており、押盤(3)の中央孔(31)から挿入されて、ビレット(B)内に貫通されるよう構成されている。
【0049】
加圧ステム(5)は、押盤(3)を前方に押し込むためのものであり、円管状の形状を有している。この加圧ステム(5)が、その軸心をコンテナ(1)およびマンドレル(4)の軸心と一致させるようにして、マンドレル(4)の外周に配置される。さらに加圧ステム(5)は、その押込面としての前端面の全周が押盤(3)の後面(3a)に圧接されるよう構成されている。
【0050】
図5〜8に示すように、前記押盤(3)は、中央孔(31)の内周面(31a)と後面(3a)とのコーナ部(32)が曲面に形成されている。そして、周方向に90°ずつ間隔をおいて、中央孔(31)の内周面(31a)および後面(3a)に4対の空気抜き溝(35)が設けられている。各空気抜き溝(35)は、中央孔(31)の内周面(31a)に設けられて軸方向に延びる軸方向溝(35a)と、後面(3a)に設けられて中央孔(31)の縁部から外径方向に放射状に設けられた径方向溝(35b)とからなる。前記軸方向溝(35a)は、その前端が前後方向中間の前方位置に配置されて内周面(31a)における前端部には空気抜き溝(35)のない溝無し部分(36)が設けられ、後端がコーナ部(32)に開放されている。一方、前記径方向溝(35b)は、一端がコーナ部(32)に開放され、その他端が押盤(3)の外周位置まで延びて、外周側に開放されている。上記構成により、空気抜き溝(35)はコーナ部(32)によって分断されて、軸方向溝(35a)と径方向溝(35b)とが不連続となされている。
【0051】
上記構成の押出装置において、以下の工程により押出成形を行う。
【0052】
まず、図1に示すように、ダイス(2)をセットしたコンテナ(1)にビレット(B)および押盤(3)をセットする。
【0053】
そして、その状態で図2に示すようにマンドレル(4)を前方へ移動させて、押盤(3)の中央孔(31)に挿入する。続けてマンドレル(4)を前方へ移動させていき、ビレット(B)に軸心に沿って圧入して貫通(挿通)させる(ピアッシング工程)。こうしてマンドレル(4)が圧入されると、マンドレル(4)のチップ(4b)がダイス(2)のダイス孔(21)内に配置されて、チップ(4b)の外周面とダイス孔(21)内周面との間に環状の押出用隙間が形成される。
【0054】
次に、図3、4に示すように、加圧ステム(5)を駆動させて、その加圧ステム(5)によって押盤(3)を介してビレット(B)を前方へ徐々に押し込んでいく。これによりビレット(B)の構成材が上記環状の押出用隙間から押し出されて、金属管としての管状押出材(6)が押出成形される(押出工程、アプセット工程)。こうして継目の無い環状押出材(6)が連続して押出成形されるものである。
【0055】
なお本実施形態の押出装置は間接式ものものであり、押出時には、押盤(3)、加圧ステム(5)およびビレット(B)などの前方移動に同調して、コンテナ(1)が前方に移動するよう構成されている。
【0056】
前記構成の押出装置において、押盤(3)の空気抜き溝(35)はビレット(B)への空気の巻き込みを防止し、かつ金属カスの排出方向を制御する効果を奏する。以下にこれらの効果について詳述する。
〔空気の巻き込み防止〕
前記押盤(3)は、中央孔(31)の内周面(31a)および後面(3a)に空気抜き溝(35)を有しているため、ピアッシング工程において、マンドレル(4)をビレット(B)に圧入する際に、マンドレル(4)とともに空気がビレット(B)内に巻き込まれてしまうという不具合を確実に防止することができる。
【0057】
即ち、図13に示す従来より一般的な押出装置では、押盤(50)の中央孔(51)の内周面(51a)や後面(50a)は平坦に形成されており、空気抜き溝などが形成されることはなく、このような押出装置においては、ピアッシング工程において、マンドレル(4)をビレット(B)に圧入する際に、マンドレル(4)のチップ(4b)と押盤(50)の内周面(51a)との間の空気(A)は、逃げ場がなく圧縮されていく。さらに圧縮された空気(A)は図14に示すように、チップ(4b)外周面に付着した状態でビレット(B)内に巻き込まれてしまい、ビレット(B)の内周面部に気泡(A)として残留してしまう。この気泡(A)が残存したまま押出工程を行うと、管状押出製品の内周面に、残存気泡(A)に起因するフクレ部が形成されてしまい、製品の品質を低下させて、場合によっては押出不良を発生させてしまう。
【0058】
上記構成の従来の押出装置に対し、図5、6に示すように、本実施形態の押盤(3)は、中央孔(31)の内周面(31a)に後端がコーナ部(32)に開放された軸方向溝(35a)が形成されているため、中央孔(31)の内部と加圧ステム(5)の内部、即ち加圧ステム(5)の内周面、マンドレルバー(4a)、ソケット(4c)、押盤(3)とで囲まれた内部空間(S)とが軸方向溝(35a)によって連通している。このため、ピアッシング工程において、マンドレル(4)をビレット(B)に圧入する際に、マンドレル(4)のチップ(4b)と押盤(3)の内周面(31a)との間の空気(A)は、軸方向溝(35a)を通って後端から加圧ステム(5)の内部空間(S)に排出され、さらに径方向溝(35b)に導かれて加圧ステム(5)の外部に排出されることにより、押盤(3)の中央孔(31)内の圧力が過度に上昇することがない。従って、空気(A)がマンドレル(4)外周面に付着することがなく、気泡(A)がビレット(B)の内部に巻き込まれるのを確実に防止でき、気泡(A)の残留、ひいてはフクレ部の形成を確実に防止することができ、高い品質の押出製品を製作することができる。
【0059】
前記径方向溝部(35b)は、その外周端が押盤(3)の外周面位置まで延設されて外周側に開放されているため、径方向溝部(35b)を介して加圧ステム(5)の内部空間(S)と外部とが連通される。このため、加圧ステム(5)内部空間(S)の空気を外部に放出させて、加圧ステム(5)の内圧を確実に低下させることができる。従ってピアッシング時における中央孔(31)内の空気(A)を加圧ステム(5)の内部空間(S)にスムーズに導くことができ、上記の空気抜きを確実に行えて、空気の巻き込みを確実に防止することができる。また、押出時においては、径方向溝(35b)を介して外部から加圧ステム(5)の内部空間(S)に空気を導入することができる。
【0060】
ここで本実施形態においては、押盤(3)の中央孔(31)の前端部に、軸方向溝(35a)のない溝無し部分(36)を設けているため、コンテナ(1)内のビレット構成材が空気抜き溝(35)に流入するという不具合を確実に防止することができる。
【0061】
即ち、図9、10に示す押盤(30)のように、仮に軸方向溝(35a)を内周面(31a)の前端まで形成した場合、ピアッシング工程やアプセット工程(押出工程)において、ビレット(B)が加圧圧縮されると、ビレット構成材が中央孔(31)内に侵入して、そのビレット構成材が軸方向溝(35a)内に流入して残留してしまう。このようにビレット構成材が中央孔(31)の軸方向溝(35a)内に残存したままの状態で、押出加工完了後、マンドレル(4)を後退させて抜き取ると、軸方向溝(35a)内に残存したビレット構成材(アルミニウム合金等の金属材料)が、マンドレル(4)の外周面に固着してしまう。マンドレル(4)の外周面に金属材料が固着してしまうと、次にマンドレル(4)を押盤(30)の中央孔(31)に挿入する際に、マンドレル外周面に固着した金属材料が、マンドレル(4)と押盤(30)の中央孔(31)との間に介在されてロックされてしまい、マンドレル(4)を挿入できないばかりか、場合によっては、金属材料の衝撃によって、マンドレル(4)や押盤(30)が破損してしまうおそれがある。
【0062】
このようなビレット構成材の侵入に対し、本実施形態の押盤(3)においては、中央孔(31)の前端部に溝無し部分(36)を設けているため、ピアッシング時やアプセット時にビレット(B)が加圧圧縮されて、図6に示すようにビレット構成材が中央孔(31)内に侵入したとしても、そのビレット構成材が軸方向溝(35a)内に流入するのを防止することができる。従ってビレット構成材が中央孔(31)内に残存するのを防止することができ、そのビレット構成材がマンドレル(4)の外周面に固着し、その固着に起因する上記の不具合を確実に防止することができる。
【0063】
図5、6に示すように、前記溝無し部分(36)の前後方向長さ(L)は、5〜25mm、より好ましくは10〜20mmに設定するのが良い。すなわちこの長さ(L)が短過ぎる場合には、ピアッシング時などにビレット(B)が加圧圧縮されて、ビレット構成材が中央孔(31)内に侵入した際に、軸方向溝(35a)内に流入して、上記の不具合が発生するおそれがある。逆に溝無し部分(36)の長さ(L)が長過ぎる場合には、ピアッシング時などに中央孔(31)内の空気(A)を加圧ステム(5)側にスムーズに逃がすことができない恐れがある。従って本発明においては、溝無し部分(36)の長さ(L)を上記特定範囲内に設定することによって、マンドレル外周面にビレット構成材が固着するのを確実に防止しつつ、空気抜きを確実に行うことができる。
【0064】
また、図8に示すように、前記軸方向溝(35a)および径方向溝(35b)は、その溝幅(W)を5〜20mmに設定するのが良く、溝深さ(D)を2〜10mmに設定するのが良い。溝幅(W)および溝深さ(D)を上記特定範囲に設定する場合には、ピアッシング時に、中央孔(31)内から加圧ステム(5)内への空気抜きや、加圧ステム(5)の内部から外部への空気抜きをスムーズに行うことができる。
【0065】
以上のように、本実施形態においては、押盤(3)の中央孔(31)の内周面(31a)に軸方向溝(35a)を形成し、後面(3a)に径方向溝(35b)を形成しているため、ピアッシング工程において、マンドレル(4)をビレット(B)に圧入する際に、マンドレル先端と押盤(3)の内周面(31a)との間の空気(A)は、軸方向溝(35a)および径方向溝(35b)を通って加圧ステム(5)の内部空間(S)あるいはさらに外部に移動することにより、中央孔(31)内の圧力が過度に上昇することがない。従って、空気(A)がマンドレル(4)とともにビレット(B)の内部に巻き込まれるのを確実に防止でき、気泡(A)の残留、ひいてはフクレ部の形成を確実に防止することができ、高い品質の押出材を製造することができる。
〔金属カスの排出〕
図11に示すように、押出工程において、前記押盤(3)の前進によって中央孔(31)の内周面(31a)とマンドレルバー(4a)との間に入り込んだ金属カス(C)の一部は、軸方向溝(35a)に流入し、軸方向溝(35a)に導かれて後方に進んで内部空間(S)に排出される。前記軸方向溝(35a)と径方向溝(35b)とは不連続であり、軸方向溝(35a)の後端が開放されているため、軸方向溝(35a)から排出された金属カス(C)が溝による拘束から解放されると直進し、前記内部空間(S)の後方部分に溜まっていく。しかも、軸方向溝(35a)の後端が曲面に形成されたコーナ部(32)に開放され、溝の深さが後端に向かって徐々に浅くなっているので、溝から受ける拘束力は軸方向溝(35a)の後端に達する以前に弱まっている。このように、早い段階で溝からの拘束力から解放されると、金属カス(C)は曲がりにくく直進しやすくなる。従って、金属カス(C)がコーナ部(32)で外方に曲がることなく直進するので、押盤(3)の後面(3a)に堆積しにくくなる。
【0066】
一方、比較例として示す図15の押盤(60)においては、中央孔(61)の内周面(61a)の軸方向溝(65a)がコーナ部(62)を経て後面(60a)の径方向溝(65b)に続いている。このように、空気抜き溝(65)が軸方向溝(65a)から径方向溝(65b)に連通している場合は、軸方向溝(65a)に流入した金属カス(C)はコーナ部(62)に入ってからも溝からの拘束力を受け続けるために、溝なりに曲がり易く、径方向溝(65b)に流入して押盤(60)の後面(60a)に堆積しやすい。
【0067】
押盤(3)(60)の後面(3a)(60a)に金属カス(C)が堆積して径方向溝(35b)(55b)が塞がれると、空気が抜けなくなるため、内部空間(S)に排出された金属カス(C)は適宜除去しなければならない。上述したように、本発明における空気抜き溝(35)は押盤(3)の後面(3a)に金属カス(C)が堆積しにくい構造であるから、図15の径方向溝(65b)が軸方向溝(65a)に連通する押盤(60)よりも金属カス(C)の除去頻度が少なくて済み、ひいては金属管の製造効率を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態の空気抜き溝(35)の構造によれば、内部空間(S)に排出される金属カス(C)の排出量そのものが低減される。これは、図11に示したように金属カス(C)が直進するので金属カス(C)同士の接触機会が多く、その摩擦抵抗により、内部空間(S)の端部(図示例ではソケット(4c)の先端面)に突き当たった金属カス(C)がさらなる金属カス(C)の流入を堰き止めることによる。金属カス(C)の排出量低減は、即ち材料歩留まりの向上であり、かつ金属カス(C)の除去作業頻度の低減である。また、内部空間(S)に金属カス(C)が溜まると押出不良を引き起こし、ひいてはマンドレルバー(4a)の折損の原因となるが、金属カス(C)の排出量が低減されることによって、マンドレルバー(4a)の折損頻度も低減される。
【0069】
金属カス(C)の径方向溝(35b)への流入を阻止するには、軸方向溝(35a)と径方向溝(35b)とを連続しない位置に設け、これらが連通しないようにすれば良い。従って、これらの2方向の溝が不連続である限り、その位置は限定されない。
【0070】
例えば、本実施形態のように、2方向の溝(35a)(35b)の周方向における位置が等しい場合は、2方向の溝の接点となるコーナ部(32)に溝を設けなければ不連続となる。本実施形態では、ピアッシング時のマンドレル(4)の挿入および空気抜きを円滑に行うためにコーナ部(32)が曲面に形成されているので、直進する2方向の溝(35a)(35b)を形成すれば自ずと不連続になる。しかも、軸方向溝(35a)の後端および径方向溝(35b)の中央側端はコーナ部(32)に開放されているので、支障なく空気抜きがなされる。また、2方向の溝を連通させるためにコーナ部(32)に溝加工を施す必要がないので溝加工が容易であり加工費も低減できる。
【0071】
また、図12に示す押盤(40)ように、軸方向溝(45a)および径方向溝(45b)の2方向の溝の位相をずらすことによっても不連続とすることができる。2方向の溝の位相をずらせば、中央孔(41)の内周面(41a)と後面(40a)とのコーナ部(42)が曲面または出隅が面取り状に切り欠かれていない場合でも、軸方向溝(45a)と径方向溝(45b)とを不連続に設けることができる。また、軸方向溝(45a)と径方向溝(45b)の位相をずらすことによって、軸方向溝(45a)から内部空間(S)に排出された金属カス(C)が径方向溝(45b)に流入しにくくなるので、径方向溝(45b)の詰まりを防止する効果が大きい。なお、図12において、(45)は空気抜き溝、(46)は内周面(41a)における溝無し部分である。
【0072】
本発明は、上述した実施形態のものに限定されず、種々の変更が可能である。
【0073】
押盤において、中央孔の内周面と後面とのコーナ部の形状は、曲面であることに限定されず、出隅を面取り状に切り欠いたものや、図12のように切り欠くことなく出隅のままのものも本発明に含まれる。上述したように、2方向の溝の位相をずらすことにより、コーナ部の形状に関係なく2方向の溝を不連続に設けることができるからである。ただし、前記コーナ部を曲面に形成することで、ピアッシング時に、マンドレルの挿入を支障なく行いつつ、空気抜きをスムーズに行うことができる。コーナ部(32)を曲面に形成する場合は、図5および図6に示すように、その曲率半径(R)を20〜40mmに設定するのが好ましい。
【0074】
さらに、空気抜き溝の本数や周方向における位置も何ら限定されない。本実施形態では4対の空気抜き溝であるが、1〜3対または5対以上の空気抜き溝を設けても良い。ただし、本実施形態のように、複数本の空気抜き溝を周方向において等間隔で設けることが好ましい。等間隔で設けることにより、周方向のほぼ全周からバランス良く空気を逃がすことができ、効率良く空気抜きを行うことができるからである。さらに、軸方向溝と径方向溝の本数を変えることも好ましく、上記効果を奏することができる。径方向溝は軸方向溝よりも金属カスの流入による詰まりが少ないため、径方向溝の本数を軸方向溝よりも減らしてもフクレ部の形成防止に対して同等の効果が得られ、溝数を減らせば加工工数も減らすことができる。
【0075】
また、前記軸方向溝が中央孔内周面の前端部まで設けられている場合や、径方向溝が後面の外周縁に達していない場合も本発明に含まれる。これらの態様の溝によっても空気抜き効果および金属カスの除去頻度を減らす効果が得られるからである。
【0076】
また上記実施形態においては、本発明を間接式押出装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は直接式押出装置にも適用することができる。
【0077】
また上記実施形態においては、ビレットとして、棒状ないし柱状のものを用いているが、それだけに限られず、本発明においては、ビレットとして、軸心に沿って貫通孔を有する管状(円管状)ないし筒状(円筒状)のものも用いることができる。もっともこの場合には、貫通孔の内径が、マンドレルの外径よりも小さいビレットを採用する必要がある。
【実施例】
【0078】
実施例として図5に示す押盤(3)を組み込んだ間接押出装置と、比較例として図15に示す押盤(60)を組み込んだ間接押出装置とを用いて押出試験を行った。
【0079】
実施例の押盤(3)と比較例の押盤(60)とは、中央孔(31)(61)の内周面(31a)(61a)と後面(3a)(60a)とのコーナ部(32)(62)が曲率半径(R):30mmの曲面に形成されていることが共通し、これらの面に周方向に90°の間隔で設けられた4対また4本の空気抜き溝(35)(65)の態様が異なる。
【0080】
即ち、実施例の押盤(3)における空気抜き溝(35)は、コーナ部(32)に溝が形成されておらず、周方向において同一位相に設けられた軸方向溝(35a)と径方向溝(35b)とがコーナ部(32)で分断されている。一方、比較例の押盤(60)における空気抜き溝(65)は、軸方向溝(65a)と径方向溝(65b)とが連続した1本の溝であり、コーナ部(62)にも溝が形成されている。また、すべての溝(35a)(35b)(65a)(65b)は、幅(W)が6mm、深さ(D)が3mmである。
【0081】
押出試験は、直径280mm×長さ500mmのアルミニウムビレット(B)を使用し、外径70mm、内径40mmの中空押出材(6)を押し出すものとした。
【0082】
各間接押出装置により、ビレット1本につき1パスで30本を押出した後、加圧ステム(5)の内部空間(S)におけるアルミニウムカス(C)の付着状況を観察するとともに、アルミニウムカス(C)の排出量を調べた。また、押出を繰り返し、内部空間(S)にアルミニウムカス(C)が溜まって空気抜き不良となった時点でアルミニウムカス(C)の除去を行うものとし、1回の除去について良好に空気抜きを行えるパス回数を調べた。さらに、実施例および比較例において、50パス毎にアルミニウムカス(C)の除去を行いながら長期間押出装置を稼働し、1ヶ月あたりのマンドレルバー(4a)の折損回数を調べた。
【0083】
これらの試験結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
上述した押出試験結果により、空気抜き溝の軸方向溝と径方向溝を不連続とすることにより、アルミニウムカスは押盤後面に堆積しにくく、かつ排出量そのものが減少することを確認した。ひいては、アルミニウムカスの除去頻度を低減し、マンドレルバーの折損回数も減らすことができた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明の金属管の製造装置およびその関連技術は、例えば管状押出製品の製造に採用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…コンテナ
2…ダイス
3、30、40、50、60…押盤
3a、40a、50a、60a…後面
4…マンドレル
5…加圧ステム
6…押出材
31、41、51、61…中央孔
31a、41a、51a、61a…内周面
32、42、52、62…コーナ部
35、45、65…空気抜き溝
35a、45a、65a…軸方向溝
35b、45b、65b…径方向溝
36、46…溝無し部分
B…ビレット
C…金属カス(アルミニウムカス)
D…溝深さ
L…溝無し部分の長さ
R…コーナ部の曲率半径
S…加圧ステムの内部空間
W…溝幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部にダイスが設けられ、内部に金属製のビレットが配置されるコンテナと、
前記コンテナにおけるビレットの後部に配置される環状の押盤と、
前記押盤の中央孔に後方から挿入されてビレットに挿通されるマンドレルと、
前記押盤を介してビレットを前方に押し込んで、前記ダイスおよび前記マンドレル間の環状隙間から押し出すための加圧ステムと、を備え、
前記押盤における中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられていることを特徴とする金属管の製造装置。
【請求項2】
前記空気抜き溝は、押盤の中央孔の周方向に沿って間隔をおいて複数設けられる請求項1に記載の金属管の製造装置。
【請求項3】
前記軸方向溝の前端部が、中央孔内周面の前後方向中間位置に配置されて、中央孔内周面の前端部に溝のない部分が設けられる請求項1または2に記載の金属管の製造装置。
【請求項4】
前記空気抜き溝は、その溝幅が5〜20mmに設定される請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項5】
前記空気抜き溝は、その溝深さが2〜10mmに設定される請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項6】
前記空気抜き溝は、中央孔内周面と後面とのコーナ部を除く位置に設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項7】
前記空気抜き溝は、軸方向溝と径方向溝とが中央孔の周方向において位相のずれた位置に設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項8】
前記空気抜き溝は、軸方向溝と径方向溝の本数が異なる請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項9】
前記ビレットの材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項10】
前記コンテナは、押出時にビレットと同調して前方に移動するよう構成される請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項11】
前記ビレットは、貫通孔のない棒状ないし柱状部材によって構成される請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項12】
前記ビレットは、軸心に沿って貫通孔を有し、かつその貫通孔の内径がマンドレルの外径よりも小さい管状ないし筒状部材によって構成される請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属管の製造装置。
【請求項13】
前部にダイスが設けられたコンテナ内に金属製のビレットを配置する工程と、
前記コンテナにおけるビレットの後部に環状の押盤を配置する工程と、
マンドレルを押盤の中央孔に後方から挿入してビレットに挿通する工程と、
加圧ステムによって押盤を介してビレットを前方に押し込んで、ダイスおよびマンドレル間の環状隙間から押し出す工程と、を含み、
前記押盤として、その中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられたものを用いたことを特徴とする金属管の製造方法。
【請求項14】
前部にダイスが設けられ、内部に金属製のビレットが配置されるコンテナと、
前記コンテナにおけるビレットの後部に配置される環状の押盤と、
前記押盤の中央孔に後方から挿入されてビレットに挿通されるマンドレルと、を備え、
前記押盤における中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられていることを特徴とするピアッシング装置。
【請求項15】
前部にダイスが設けられたコンテナ内に金属製のビレットを配置する工程と、
前記コンテナにおけるビレットの後部に環状の押盤を配置する工程と、
マンドレルを押盤の中央孔に後方から挿入してビレットに挿通する工程と、を含み、
前記押盤として、その中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられたものを用いたことを特徴とするピアッシング方法。
【請求項16】
前部にダイスが設けられ、内部に金属製のビレットが配置されたコンテナにおけるビレットの後部に配置され、かつ中央孔を有する環状の押出装置用押盤であって、
中央孔に後方からマンドレルが挿入されてビレットに挿通されるよう構成される一方、
中央孔内周面および後面に空気抜き溝を有し、かつ該空気抜き溝は内周面の軸方向溝と後面の径方向溝とが不連続に設けられていることを特徴とする押出装置用押盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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