金属線入りガラス板の端面処理装置
【課題】金属線突出端の端面加工工程、防錆剤の塗布工程及び乾燥工程を1つの装置で行うことができる金属線入りガラス板の端面処理装置を提供する。
【解決手段】ガラス板Pを所定位置に固定する固定手段10と、固定されたガラス板Pの端面に沿って往復動する端面加工部30及び塗布加工部60からなる加工手段20と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段80とを備え、前記端面加工部30はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具40とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具50とが交換可能になっており、前記塗布加工部60は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具70を有しており、前記加工手段20において、端面の加工と防錆剤塗布とが順次行われ、防錆剤塗布完了後に乾燥が開始するように構成した。
【解決手段】ガラス板Pを所定位置に固定する固定手段10と、固定されたガラス板Pの端面に沿って往復動する端面加工部30及び塗布加工部60からなる加工手段20と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段80とを備え、前記端面加工部30はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具40とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具50とが交換可能になっており、前記塗布加工部60は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具70を有しており、前記加工手段20において、端面の加工と防錆剤塗布とが順次行われ、防錆剤塗布完了後に乾燥が開始するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚内に金網などの金属線を封入してある金属線入りのガラス板の切断面である端面の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に金属線入りのガラス板の切断面である端面は、金属線の端部が露出しており、端面付近では金属線とガラスとの間に微細な隙間が生じている。したがって端面から露出した金属線に錆が生じたり、この隙間から毛細管現象によって、雨水等がガラス内部へ侵入して金属線に錆が生じ、このような錆の発生により従来から種々の問題が生じていた。また、ガラス板の端面から金属線の端部が突出している場合、金属線の突出端で他のものに傷をつけたり、ガラス板の取り扱い時に金属線の突出端で怪我をすることもあった。
【0003】
上記のような問題を解決するために、金属線が露出した端面に下記特許文献1〜5に示されるような防錆剤を塗布することが提案されている。また、前記の防錆剤を塗布する前に、金属線の突出端をグラインダーで研削したり、また、ガラス板の端面に沿うように金属線の突出端を折り曲げるなどの端面加工がなされることもある。さらに、防錆剤塗布後は防錆剤塗布面を固化安定させるために乾燥させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−3335号公報
【特許文献2】実開昭60−25736号公報
【特許文献3】特開平5−221688号公報
【特許文献4】特開平10−45430号公報
【特許文献5】特開2007−176733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金属線突出端の研削加工又は折り曲げ加工の端面加工工程、防錆剤の塗布工程及び乾燥工程は、少なくともそのいずれかが手作業で行われるか、そうでないとしても少なくとも別々の装置や器具により各別の工程で行われていた。したがって、生産性が悪いものであった。
【0006】
そこで、本発明者は、金属線突出端の端面加工工程、防錆剤の塗布工程及び乾燥工程を1つの装置で行うことができる金属線入りガラス板の端面処理装置を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る金属線入りガラス板の端面処理装置は、ガラス板を所定位置に固定する固定手段と、固定されたガラス板の端面に沿って往復動する端面加工部及び塗布加工部からなる加工手段と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段とを備え、前記端面加工部はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具とが交換可能になっており、前記塗布加工部は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具を有しており、前記加工手段において、前記端面加工部による端面の加工と、塗布加工部による端面の防錆剤塗布とが順次行われるように構成し、塗布加工部により防錆剤塗布が完了すると、乾燥手段により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
また、上記構成に加えて、端面加工部による端面の加工の最終段階の加工中に、塗布加工部による端面の防錆剤塗布が同時に行われるように構成してもよい。
【0009】
さらに、上記構成に加えて、金属線入りガラス板が矩形であり、加工手段が2つ備えられており、各加工手段が直交する2軸をそれぞれ各別に往復動することにより、ガラス板の2辺を同時に又は択一的に加工するように構成し、乾燥手段は、ガラス板の2辺が同時に又は択一的に乾燥するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記した本発明に係る端面処理装置は、1つの装置において端面加工部及び塗布加工部からなる加工手段と塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段とを備えているため、各工程ごとにガラス板を移動する作業が削減できるので、生産性が向上する利点がある。また、矩形のガラス板に対して2辺を同時に加工できるように構成するとさらに生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る端面処理装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例に係る端面処理装置の左側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る端面処理装置の右側面図である。
【図4】本発明の実施例に係る端面処理装置の背面図である。
【図5】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端研削加工具を備えた加工手段の正面図である。
【図6】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端研削加工具を備えた加工手段の左側面図である。
【図7】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端折り曲げ加工具を備えた加工手段の正面図である。
【図8】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端折り曲げ加工具を備えた加工手段の左側面図である。
【図9】本発明の実施例に係る第一の乾燥手段の概略正面図である。
【図10】本発明の実施例に係る第二の乾燥手段の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に基づき、本発明に係る金具の好適な実施例について詳述する。
【実施例1】
【0013】
図1〜図4において、Aは本実施例に係る端面処理装置を表し、固定手段10と加工手段20と乾燥手段80とから構成される。
【0014】
固定手段10は、ガラス板Pを載置する水平な載置台11とガラス板Pを押さえる押さえ軸12とから構成される。まず、ガラス板Pを載置台11に載せ、不図示のブロワーにより載置台11に形成された吹き出し兼吸い込み穴11aから空気を吹き出させると、ガラス板Pと載置台11との間に空気層が形成されて浮いた状態となり、これによりガラス板Pが水平移動できるようになるので、ガラス板Pを所定の位置に容易に移動することができる。なお、ガラス板Pを載置する所定の位置の位置決めとしては、図1における載置台11の上端縁及び左端縁において、上下に出没する垂直片を配し、ガラス板Pを移動させて垂直片に接した時点での位置がガラス板Pの所定の位置とするように構成してもよい。このようにしてガラス板Pを所定の位置に移動させたときに、前記ブロワーによる吹き出しを吸い込みに切り替えて吹き出し兼吸い込み穴11aから空気を吸引することにより載置台11にガラス板Pを吸着させ、かつ、押さえ軸12を垂下させてガラス板Pを押さえ軸12にて押圧することによりガラス板Pが載置台11に固定される。このときに、載置台11の上端縁及び左端縁に配した前記垂直片はもはや不要となり、後述するガラス板端面の加工に邪魔になるのでガラス板Pより下方に没入させておく。
【0015】
加工手段20は、固定されたガラス板Pの端面に沿って往復動するものであって、図5〜図8に示すように、端面加工部30と塗布加工部60とから構成される。端面加工部30は、ガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具としての図5及び図6に示すグラインダー40と、ガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具としての図7及び図8に示す圧接ローラ50とが交換可能になっている。図1〜図4は、グラインダー40を取り付けた場合の実施例である。塗布加工部60には、塗布具として塗布用ローラ70が取着されており、塗布用ローラ70には防錆剤が適宜注入補給されるようになっている。また、端面加工部30と塗布加工部60とは個々別々に上下動可能になっており、両加工部30、60は、これらが下降している状態においてはガラス板端面と接触して加工動作を行い、これらが上昇している状態においてはガラス板端面と接触せず、加工動作をしない空運転となるように設定されている。
【0016】
本実施例においては、図1に示すように、2個の加工手段20、20’が設けられており、端面処理装置Aの停止時においては、図1に示すようにそれぞれ左上と右下の待避位置に加工手段20、20’が停止するように制御されている。また、本実施例においては、加工手段20、20’が、それぞれの待避位置から右上の進行方向に向かって、塗布加工部60、60’が先行し、端面加工部30、30’が追随するように設計されている。加工手段20、20’の動作方法としては、端面加工部30、30’及び塗布加工部60、60’を上昇させて、空運転の状態で試運転を行うことができる。
【0017】
ガラス板Pの金属線突出端の状況に応じて、端面加工部30、30’が1回の片道運転で金属線突出端を研削することが可能な場合には、空運転の状態で加工手段20、20’を右上に位置させ、端面加工部30、30’及び塗布加工部60、60’を下降させて、金属線突出端の研削と防錆剤の塗布とを一度の動作で行うように制御してもよい。また、ガラス板Pの金属線突出端の状況に応じて、端面加工部30、30’が1回の往復運転で金属線突出端を研削することが可能な場合には、加工手段20については、これを待避位置において端面加工部30を下降させ、塗布加工部60を下降させた状態で右上まで往路運転を行って金属線突出端を研削し、右上の位置から左上への復路において端面加工部30と塗布加工部60とを下降させて金属線突出端の研削と防錆剤の塗布とを同時に行うように制御してもよい。他方、右下に位置している加工手段20’については、これを待避位置において端面加工部30’を下降させ、塗布加工部60’を下降させた状態で右上まで往路運転を行って金属線突出端を研削し、右上の位置から右下への復路において端面加工部30’と塗布加工部60’とを下降させて金属線突出端の研削と防錆剤の塗布とを同時に行うように制御してもよい。以上の方法を組み合わせて動作を制御することにより種々のパターンで端面加工と塗布加工とを行うことができる。なお、この動作は、端面加工部30にグラインダー40又は圧接ローラ50のいずれが取着されていても同様に行うことができる。なお、加工手段20、20’は、これを同時に作動させるようにしてもよく、また、片一方の加工手段のみを作動させ、この作動により加工が完了するともう一方の加工手段を作動させるような択一的な作動をするように制御してもよい。
【0018】
前記のように、ガラス板Pに対し、加工手段20、20’において前記端面加工部30、30’による端面の加工と、塗布加工部60、60’による端面の防錆剤塗布とが完了すると、次に詳述するように、乾燥手段80、80’により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始する。図9及び図10は、本実施例に使用する乾燥手段の概略正面図である。
【0019】
図9に示す第一の乾燥手段である乾燥手段80は、図1においてガラス板Pの上部横方向の端面に沿ってその上方に平行に配置されるものであり、図10に示す第二の乾燥手段である乾燥手段80’は、図1においてガラス板Pの右側部縦方向の端面に沿ってその右方に平行に配置されるものである。各乾燥手段80、80’は、不図示の熱風供給装置から制御により熱風が供給されて熱風を吹き出す熱風吹き出しバー81、81’と、これをガラス板Pの端面に向き合うように起立させる姿勢と前記加工手段20、20’の作動の邪魔にならないように横倒しさせる姿勢とに制御により変換できる揺動構造82、82’とから構成される。揺動構造82、82’は、軸芯周りに回転可能な固定軸83、83’と、該固定軸83、83’に取着された揺動部材84、84’と、該揺動部材84、84’に連結された伸縮動作を行うシリンダー85、85’とからなる。前記固定軸83、83’は、熱風吹き出しバー81、81’と連結腕86、86’を介して連結され、固定軸83、83’が回転するとその回転に合わせて熱風吹き出しバー81、81’が固定軸83、83’の軸芯を中心として回転するように構成されている。前記揺動部材84、84’は、固定軸83、83’を把持するリング部87、87’とリング部87、87’から突出し、シリンダー85、85’の伸縮軸88、88’と連結する連結部89、89’とから構成される。
【0020】
このように構成することにより、シリンダー85、85’の伸縮軸88、88’が伸縮するとその伸縮に合わせて揺動部材84、84’が固定軸83、83’の軸芯を中心として固定軸83、83’と共に揺動回転し、固定軸83、83’の揺動回転に伴って、固定軸83、83’に連結腕86、86’を介して連結された熱風吹き出しバー81、81’が揺動回転するようになっている。本実施例においては、熱風吹き出しバー81、81’が起立と横倒しとの姿勢をとることができるように90°の角度だけ熱風吹き出しバー81、81’が揺動するように構成されている。したがって、シリンダー85、85’における伸縮軸88、88’の伸縮を制御することにより、熱風吹き出しバー81、81’の起立姿勢と横倒し姿勢とが変換できるようになっている。
【0021】
上記のように構成された前記乾燥手段80、80’は、乾燥のための作動時のみ熱風吹き出しバー81、81’が起立の姿勢をとるように設計制御され、加工手段20、20’において前記端面加工部30、30’による端面の加工と、塗布加工部60、60’による端面の防錆剤塗布とが完了すると、乾燥手段80、80’により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように制御してもよい。なお、乾燥手段80、80’は、これを同時に作動させるようにしてもよく、また、片一方の乾燥手段のみを作動させ、この作動により乾燥が完了するともう一方の乾燥手段を作動させるような択一的な作動をするように制御してもよい。
【0022】
以上のように、本実施例における金属線入りガラス板の端面処理装置Aは、ガラス板Pを所定位置に固定する固定手段10と、固定されたガラス板Pの端面に沿って往復動する端面加工部30及び塗布加工部60からなる加工手段20と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段80とを備え、前記端面加工部30はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具40とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具50とが交換可能になっており、前記塗布加工部60は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具70を有しており、前記加工手段20において、前記端面加工部30による端面の加工と、塗布加工部60による端面の防錆剤塗布とが順次行われるように構成し、塗布加工部60により防錆剤塗布が完了すると、乾燥手段80により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように構成されており、また、端面加工部30による端面の加工の最終段階の加工中に、塗布加工部60による端面の防錆剤塗布が同時に行われるように構成されており、さらに、金属線入りガラス板が矩形であり、加工手段20、20’が2つ備えられており、各加工手段20、20’が直交する2軸をそれぞれ各別に往復動することにより、ガラス板Pの2辺を同時に又は択一的に加工するように構成し、乾燥手段80は、ガラス板Pの2辺が同時に又は択一的に乾燥するように構成されているので、前記端面処理装置Aは、各工程ごとにガラス板を移動する作業が削減できるので、生産性が向上する利点があり、矩形のガラス板に対して2辺を同時に加工できるので、生産性が向上する。
【符号の説明】
【0023】
A……端面処理装置 P……ガラス板
10……固定手段 11……載置台
11a…吹き出し兼吸い込み穴 12……押さえ軸
20、20’……加工手段 30、30’……端面加工部
40……突出端研削加工具 50……突出端折り曲げ加工具
60、60’……塗布加工部 70……塗布具
80、80’……乾燥手段 81、81’……熱風吹き出しバー
82、82’……揺動構造 83、83’……固定軸
84、84’……揺動部材 85、85’……シリンダー
86、86’……連結腕 87、87’……リング部
88、88’……伸縮軸 89、89’……連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚内に金網などの金属線を封入してある金属線入りのガラス板の切断面である端面の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に金属線入りのガラス板の切断面である端面は、金属線の端部が露出しており、端面付近では金属線とガラスとの間に微細な隙間が生じている。したがって端面から露出した金属線に錆が生じたり、この隙間から毛細管現象によって、雨水等がガラス内部へ侵入して金属線に錆が生じ、このような錆の発生により従来から種々の問題が生じていた。また、ガラス板の端面から金属線の端部が突出している場合、金属線の突出端で他のものに傷をつけたり、ガラス板の取り扱い時に金属線の突出端で怪我をすることもあった。
【0003】
上記のような問題を解決するために、金属線が露出した端面に下記特許文献1〜5に示されるような防錆剤を塗布することが提案されている。また、前記の防錆剤を塗布する前に、金属線の突出端をグラインダーで研削したり、また、ガラス板の端面に沿うように金属線の突出端を折り曲げるなどの端面加工がなされることもある。さらに、防錆剤塗布後は防錆剤塗布面を固化安定させるために乾燥させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−3335号公報
【特許文献2】実開昭60−25736号公報
【特許文献3】特開平5−221688号公報
【特許文献4】特開平10−45430号公報
【特許文献5】特開2007−176733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金属線突出端の研削加工又は折り曲げ加工の端面加工工程、防錆剤の塗布工程及び乾燥工程は、少なくともそのいずれかが手作業で行われるか、そうでないとしても少なくとも別々の装置や器具により各別の工程で行われていた。したがって、生産性が悪いものであった。
【0006】
そこで、本発明者は、金属線突出端の端面加工工程、防錆剤の塗布工程及び乾燥工程を1つの装置で行うことができる金属線入りガラス板の端面処理装置を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る金属線入りガラス板の端面処理装置は、ガラス板を所定位置に固定する固定手段と、固定されたガラス板の端面に沿って往復動する端面加工部及び塗布加工部からなる加工手段と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段とを備え、前記端面加工部はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具とが交換可能になっており、前記塗布加工部は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具を有しており、前記加工手段において、前記端面加工部による端面の加工と、塗布加工部による端面の防錆剤塗布とが順次行われるように構成し、塗布加工部により防錆剤塗布が完了すると、乾燥手段により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
また、上記構成に加えて、端面加工部による端面の加工の最終段階の加工中に、塗布加工部による端面の防錆剤塗布が同時に行われるように構成してもよい。
【0009】
さらに、上記構成に加えて、金属線入りガラス板が矩形であり、加工手段が2つ備えられており、各加工手段が直交する2軸をそれぞれ各別に往復動することにより、ガラス板の2辺を同時に又は択一的に加工するように構成し、乾燥手段は、ガラス板の2辺が同時に又は択一的に乾燥するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記した本発明に係る端面処理装置は、1つの装置において端面加工部及び塗布加工部からなる加工手段と塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段とを備えているため、各工程ごとにガラス板を移動する作業が削減できるので、生産性が向上する利点がある。また、矩形のガラス板に対して2辺を同時に加工できるように構成するとさらに生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る端面処理装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例に係る端面処理装置の左側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る端面処理装置の右側面図である。
【図4】本発明の実施例に係る端面処理装置の背面図である。
【図5】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端研削加工具を備えた加工手段の正面図である。
【図6】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端研削加工具を備えた加工手段の左側面図である。
【図7】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端折り曲げ加工具を備えた加工手段の正面図である。
【図8】本発明の実施例に係る端面処理装置における突出端折り曲げ加工具を備えた加工手段の左側面図である。
【図9】本発明の実施例に係る第一の乾燥手段の概略正面図である。
【図10】本発明の実施例に係る第二の乾燥手段の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に基づき、本発明に係る金具の好適な実施例について詳述する。
【実施例1】
【0013】
図1〜図4において、Aは本実施例に係る端面処理装置を表し、固定手段10と加工手段20と乾燥手段80とから構成される。
【0014】
固定手段10は、ガラス板Pを載置する水平な載置台11とガラス板Pを押さえる押さえ軸12とから構成される。まず、ガラス板Pを載置台11に載せ、不図示のブロワーにより載置台11に形成された吹き出し兼吸い込み穴11aから空気を吹き出させると、ガラス板Pと載置台11との間に空気層が形成されて浮いた状態となり、これによりガラス板Pが水平移動できるようになるので、ガラス板Pを所定の位置に容易に移動することができる。なお、ガラス板Pを載置する所定の位置の位置決めとしては、図1における載置台11の上端縁及び左端縁において、上下に出没する垂直片を配し、ガラス板Pを移動させて垂直片に接した時点での位置がガラス板Pの所定の位置とするように構成してもよい。このようにしてガラス板Pを所定の位置に移動させたときに、前記ブロワーによる吹き出しを吸い込みに切り替えて吹き出し兼吸い込み穴11aから空気を吸引することにより載置台11にガラス板Pを吸着させ、かつ、押さえ軸12を垂下させてガラス板Pを押さえ軸12にて押圧することによりガラス板Pが載置台11に固定される。このときに、載置台11の上端縁及び左端縁に配した前記垂直片はもはや不要となり、後述するガラス板端面の加工に邪魔になるのでガラス板Pより下方に没入させておく。
【0015】
加工手段20は、固定されたガラス板Pの端面に沿って往復動するものであって、図5〜図8に示すように、端面加工部30と塗布加工部60とから構成される。端面加工部30は、ガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具としての図5及び図6に示すグラインダー40と、ガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具としての図7及び図8に示す圧接ローラ50とが交換可能になっている。図1〜図4は、グラインダー40を取り付けた場合の実施例である。塗布加工部60には、塗布具として塗布用ローラ70が取着されており、塗布用ローラ70には防錆剤が適宜注入補給されるようになっている。また、端面加工部30と塗布加工部60とは個々別々に上下動可能になっており、両加工部30、60は、これらが下降している状態においてはガラス板端面と接触して加工動作を行い、これらが上昇している状態においてはガラス板端面と接触せず、加工動作をしない空運転となるように設定されている。
【0016】
本実施例においては、図1に示すように、2個の加工手段20、20’が設けられており、端面処理装置Aの停止時においては、図1に示すようにそれぞれ左上と右下の待避位置に加工手段20、20’が停止するように制御されている。また、本実施例においては、加工手段20、20’が、それぞれの待避位置から右上の進行方向に向かって、塗布加工部60、60’が先行し、端面加工部30、30’が追随するように設計されている。加工手段20、20’の動作方法としては、端面加工部30、30’及び塗布加工部60、60’を上昇させて、空運転の状態で試運転を行うことができる。
【0017】
ガラス板Pの金属線突出端の状況に応じて、端面加工部30、30’が1回の片道運転で金属線突出端を研削することが可能な場合には、空運転の状態で加工手段20、20’を右上に位置させ、端面加工部30、30’及び塗布加工部60、60’を下降させて、金属線突出端の研削と防錆剤の塗布とを一度の動作で行うように制御してもよい。また、ガラス板Pの金属線突出端の状況に応じて、端面加工部30、30’が1回の往復運転で金属線突出端を研削することが可能な場合には、加工手段20については、これを待避位置において端面加工部30を下降させ、塗布加工部60を下降させた状態で右上まで往路運転を行って金属線突出端を研削し、右上の位置から左上への復路において端面加工部30と塗布加工部60とを下降させて金属線突出端の研削と防錆剤の塗布とを同時に行うように制御してもよい。他方、右下に位置している加工手段20’については、これを待避位置において端面加工部30’を下降させ、塗布加工部60’を下降させた状態で右上まで往路運転を行って金属線突出端を研削し、右上の位置から右下への復路において端面加工部30’と塗布加工部60’とを下降させて金属線突出端の研削と防錆剤の塗布とを同時に行うように制御してもよい。以上の方法を組み合わせて動作を制御することにより種々のパターンで端面加工と塗布加工とを行うことができる。なお、この動作は、端面加工部30にグラインダー40又は圧接ローラ50のいずれが取着されていても同様に行うことができる。なお、加工手段20、20’は、これを同時に作動させるようにしてもよく、また、片一方の加工手段のみを作動させ、この作動により加工が完了するともう一方の加工手段を作動させるような択一的な作動をするように制御してもよい。
【0018】
前記のように、ガラス板Pに対し、加工手段20、20’において前記端面加工部30、30’による端面の加工と、塗布加工部60、60’による端面の防錆剤塗布とが完了すると、次に詳述するように、乾燥手段80、80’により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始する。図9及び図10は、本実施例に使用する乾燥手段の概略正面図である。
【0019】
図9に示す第一の乾燥手段である乾燥手段80は、図1においてガラス板Pの上部横方向の端面に沿ってその上方に平行に配置されるものであり、図10に示す第二の乾燥手段である乾燥手段80’は、図1においてガラス板Pの右側部縦方向の端面に沿ってその右方に平行に配置されるものである。各乾燥手段80、80’は、不図示の熱風供給装置から制御により熱風が供給されて熱風を吹き出す熱風吹き出しバー81、81’と、これをガラス板Pの端面に向き合うように起立させる姿勢と前記加工手段20、20’の作動の邪魔にならないように横倒しさせる姿勢とに制御により変換できる揺動構造82、82’とから構成される。揺動構造82、82’は、軸芯周りに回転可能な固定軸83、83’と、該固定軸83、83’に取着された揺動部材84、84’と、該揺動部材84、84’に連結された伸縮動作を行うシリンダー85、85’とからなる。前記固定軸83、83’は、熱風吹き出しバー81、81’と連結腕86、86’を介して連結され、固定軸83、83’が回転するとその回転に合わせて熱風吹き出しバー81、81’が固定軸83、83’の軸芯を中心として回転するように構成されている。前記揺動部材84、84’は、固定軸83、83’を把持するリング部87、87’とリング部87、87’から突出し、シリンダー85、85’の伸縮軸88、88’と連結する連結部89、89’とから構成される。
【0020】
このように構成することにより、シリンダー85、85’の伸縮軸88、88’が伸縮するとその伸縮に合わせて揺動部材84、84’が固定軸83、83’の軸芯を中心として固定軸83、83’と共に揺動回転し、固定軸83、83’の揺動回転に伴って、固定軸83、83’に連結腕86、86’を介して連結された熱風吹き出しバー81、81’が揺動回転するようになっている。本実施例においては、熱風吹き出しバー81、81’が起立と横倒しとの姿勢をとることができるように90°の角度だけ熱風吹き出しバー81、81’が揺動するように構成されている。したがって、シリンダー85、85’における伸縮軸88、88’の伸縮を制御することにより、熱風吹き出しバー81、81’の起立姿勢と横倒し姿勢とが変換できるようになっている。
【0021】
上記のように構成された前記乾燥手段80、80’は、乾燥のための作動時のみ熱風吹き出しバー81、81’が起立の姿勢をとるように設計制御され、加工手段20、20’において前記端面加工部30、30’による端面の加工と、塗布加工部60、60’による端面の防錆剤塗布とが完了すると、乾燥手段80、80’により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように制御してもよい。なお、乾燥手段80、80’は、これを同時に作動させるようにしてもよく、また、片一方の乾燥手段のみを作動させ、この作動により乾燥が完了するともう一方の乾燥手段を作動させるような択一的な作動をするように制御してもよい。
【0022】
以上のように、本実施例における金属線入りガラス板の端面処理装置Aは、ガラス板Pを所定位置に固定する固定手段10と、固定されたガラス板Pの端面に沿って往復動する端面加工部30及び塗布加工部60からなる加工手段20と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段80とを備え、前記端面加工部30はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具40とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具50とが交換可能になっており、前記塗布加工部60は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具70を有しており、前記加工手段20において、前記端面加工部30による端面の加工と、塗布加工部60による端面の防錆剤塗布とが順次行われるように構成し、塗布加工部60により防錆剤塗布が完了すると、乾燥手段80により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように構成されており、また、端面加工部30による端面の加工の最終段階の加工中に、塗布加工部60による端面の防錆剤塗布が同時に行われるように構成されており、さらに、金属線入りガラス板が矩形であり、加工手段20、20’が2つ備えられており、各加工手段20、20’が直交する2軸をそれぞれ各別に往復動することにより、ガラス板Pの2辺を同時に又は択一的に加工するように構成し、乾燥手段80は、ガラス板Pの2辺が同時に又は択一的に乾燥するように構成されているので、前記端面処理装置Aは、各工程ごとにガラス板を移動する作業が削減できるので、生産性が向上する利点があり、矩形のガラス板に対して2辺を同時に加工できるので、生産性が向上する。
【符号の説明】
【0023】
A……端面処理装置 P……ガラス板
10……固定手段 11……載置台
11a…吹き出し兼吸い込み穴 12……押さえ軸
20、20’……加工手段 30、30’……端面加工部
40……突出端研削加工具 50……突出端折り曲げ加工具
60、60’……塗布加工部 70……塗布具
80、80’……乾燥手段 81、81’……熱風吹き出しバー
82、82’……揺動構造 83、83’……固定軸
84、84’……揺動部材 85、85’……シリンダー
86、86’……連結腕 87、87’……リング部
88、88’……伸縮軸 89、89’……連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を所定位置に固定する固定手段と、固定されたガラス板の端面に沿って往復動する端面加工部及び塗布加工部からなる加工手段と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段とを備え、
前記端面加工部はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具とが交換可能になっており、
前記塗布加工部は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具を有しており、
前記加工手段において、前記端面加工部による端面の加工と、塗布加工部による端面の防錆剤塗布とが順次行われるように構成し、
塗布加工部により防錆剤塗布が完了すると、乾燥手段により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように構成した
ことを特徴とする金属線入りガラス板の端面処理装置。
【請求項2】
端面加工部による端面の加工の最終段階の加工中に、塗布加工部による端面の防錆剤塗布が同時に行われるように構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の金属線入りガラス板の端面処理装置。
【請求項3】
金属線入りガラス板が矩形であり、加工手段が2つ備えられており、各加工手段が直交する2軸をそれぞれ各別に往復動することにより、ガラス板の2辺を同時に又は択一的に加工するように構成し、
乾燥手段は、ガラス板の2辺が同時に又は択一的に乾燥するように構成した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属線入りガラス板の端面処理装置。
【請求項1】
ガラス板を所定位置に固定する固定手段と、固定されたガラス板の端面に沿って往復動する端面加工部及び塗布加工部からなる加工手段と、塗布後のガラス板端面を乾燥させる乾燥手段とを備え、
前記端面加工部はガラス板端面の金属線突出端を研削する突出端研削加工具とガラス板端面の金属線突出端を折り曲げる突出端折り曲げ加工具とが交換可能になっており、
前記塗布加工部は防錆剤をガラス板の端面に塗布する塗布具を有しており、
前記加工手段において、前記端面加工部による端面の加工と、塗布加工部による端面の防錆剤塗布とが順次行われるように構成し、
塗布加工部により防錆剤塗布が完了すると、乾燥手段により防錆剤塗布後の端面の乾燥が開始するように構成した
ことを特徴とする金属線入りガラス板の端面処理装置。
【請求項2】
端面加工部による端面の加工の最終段階の加工中に、塗布加工部による端面の防錆剤塗布が同時に行われるように構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の金属線入りガラス板の端面処理装置。
【請求項3】
金属線入りガラス板が矩形であり、加工手段が2つ備えられており、各加工手段が直交する2軸をそれぞれ各別に往復動することにより、ガラス板の2辺を同時に又は択一的に加工するように構成し、
乾燥手段は、ガラス板の2辺が同時に又は択一的に乾燥するように構成した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属線入りガラス板の端面処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図4】
【公開番号】特開2011−111383(P2011−111383A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272341(P2009−272341)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(500298901)大阪板硝子販売株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(500298901)大阪板硝子販売株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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