金属缶胴の製造方法
【課題】板厚の薄い金属板を素材とする場合でも、適正な形状の角筒型缶胴を効率的に製造することができる金属缶胴の製造方法を提供する。
【解決手段】金属板の円筒体aを被成形材とし、コーナー状の加工面を有するとともに、該加工面の先端部分が断面円弧状に構成された外型4と、先端に断面円弧状の加工面を有する内型3とにより、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型4により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する角筒型缶胴Aの製造方法であって、外型加工面40の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面40の開角θ(°)、外型加工面40の先端部分の曲率半径R(mm)、内型加工面30の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が特定の関係を満足する条件で、外型4と内型3による缶胴の成形を行う。
【解決手段】金属板の円筒体aを被成形材とし、コーナー状の加工面を有するとともに、該加工面の先端部分が断面円弧状に構成された外型4と、先端に断面円弧状の加工面を有する内型3とにより、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型4により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する角筒型缶胴Aの製造方法であって、外型加工面40の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面40の開角θ(°)、外型加工面40の先端部分の曲率半径R(mm)、内型加工面30の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が特定の関係を満足する条件で、外型4と内型3による缶胴の成形を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角筒型の金属缶胴の製造方法に関するもので、特に、極薄金属板を素材とする角筒型缶胴を得るのに好適な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
角筒型の容器は、例えば、複数個の容器を箱に詰めて梱包したり、店頭で陳列する際などに、容器間の空隙を小さくできるため、省スペースの点で有利である。内容量が400mL程度以下の飲料容器の場合、従来、こうした角筒型容器の素材には紙が用いられてきた。紙製の容器は軽いという利点がある反面、強度が小さく、圧迫や落下で容易に変形してしまう欠点がある。
一方、飲料容器には金属缶が広く用いられている。金属は紙に較べて強度が高く、容器の変形に対して有利である。但し、従来では角筒型の飲料容器の素材として金属が用いられることは殆どなかった。これは、金属缶が紙製容器に較べて重いことが一因であると考えられる。金属缶を軽くするには、素材金属板の板厚を薄くすることが有効である。
【0003】
特許文献1には、板厚を薄くした素材を用いて角筒型の金属缶を成形する方法が示されている。この方法では、所定寸法に剪断された長方形の素材をシーム溶接により円筒素体とし、これを角出しする(角部の成形)ことで角筒とする。角出しは成形すべき角部の数に対応した複数組の内型と外型を用いて行い、さらに角部に溝付けを行う。この方法により、板厚0.1mmまでの鋼板を角筒型の金属缶に成形できるとしている。
また、特許文献2には、缶胴の側壁部に内方に凹んだ凹部を形成した角缶およびその成形方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−34891号公報
【特許文献2】特開2002―211559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法について、本発明者らが板厚0.1mmの極薄鋼板を用いて実験を行った結果、以下に述べるような不具合が生じることが判った。まず、角出しおよび溝付けを行うと、溝付け部分に破断が生じた。この破断は溝付け部分に生じたことから、溝付けを行わないで成形したところ、角部は所定の角度(概ね90°)にならず、結果として側壁部が筒の外側に向けて湾曲した形状となり、適正な形状の角筒にはならないという結果が得られた。すなわち、4つの角部と側壁部を備えた角筒を成形するに当たり、図3(缶胴を高さ方向から見た平面図)に示すように、側壁部1が概ね平面で且つ角部2の角度α(コーナー角度)が概ね90°である形状を得ようとしたが、実際には、図4(缶胴を高さ方向から見た平面図)に示すように、側壁部1が外側に湾曲し、且つ角部2の角度αが90°よりも相当程度大きくなり、角筒としての適正な形状が得られないことが判った。このような形状では、容器間の空隙を小さくできるという角筒型容器としての利点が得られない。ここで、上述した角部2の角度αは以下のように定義される。すなわち、図19に示すように、角部2の曲率半径bを持ち且つ角部2に接する円20(仮想円)を想定し、円20と角部2とが乖離する点21,22における円20の接線23,24を定めた時、この接線23と接線24の成す角度を角部2の角度αとする。
【0006】
また、特許文献2のように、缶胴の側壁部に内方に凹んだ凹部を形成することにより、側壁部の外側への湾曲は回避できるが、側壁部を内方に凹んだ形状にすると角缶の内容量を減少させることになる。特許文献1や特許文献2が対象としているのは、18L缶などのような比較的内容量が多い缶であるため、側壁部の内方への凹みによる内容量の減少は大きな問題にはならないとも考えられるが、本発明が主たる対象とする内容量400mL程度の比較的内容量の少ない缶では、側壁部の内方への凹みによる内容量の減少は看過できないものである。また、特許文献2の方法は、角筒に成形した後、さらに成形を行って側壁部に凹部を形成するものであるため、缶胴の成形工程が増え、製造コストが高くなる。
以上のように、板厚の薄い金属板を素材とする角筒型缶胴の製造技術は、未だ確立されていない。
したがって本発明の目的は、板厚の薄い金属板を素材とする場合でも、適正な形状の角筒型缶胴を効率的に製造することができる金属缶胴の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]金属板の円筒体を被成形材とし、コーナー状の加工面を有するとともに、該加工面の両先端部分が断面円弧状に構成された外型と、先端に断面円弧状の加工面を有する内型とを用い、円筒体内側に位置する内型と円筒体外側に位置する外型とにより、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する角筒型缶胴の製造方法であって、
外型加工面の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面の開角θ(°)、外型加工面の先端部分の曲率半径R(mm)、内型加工面の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が下記(1)式および(2)式を満足する条件で、前記外型と内型による缶胴の成形を行うことを特徴とする金属缶胴の製造方法。
【数1】
[2]上記[1]の製造方法で得られた金属缶胴の少なくとも一方の端部に蓋を固定し、金属缶とすることを特徴とする金属缶の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板厚の薄い金属板を素材として、側壁部が概ね平面で且つ角部の角度(コーナー角度)が概ね90°となる適正な形状の角筒型缶胴を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の製造方法の実施状況の一例を示すもので、(イ)は成形前、(ロ)は成形中、(ハ)は成形後の各状態を示す平面図
【図2】本発明で用いる外型および内型の構造を示す平面図
【図3】角筒型缶胴の成形工程により得られる適正な缶胴形状(高さ方向から見た缶胴の平面形状)を示す説明図
【図4】角筒型缶胴の成形工程により得られる不適正な缶胴形状(高さ方向から見た缶胴の平面形状)を示す説明図
【図5】特許文献1の方法において、角部の溝付けを行わずに角付けする成形試験を行った際の成形前の材料(円筒体)と成形手段(内型、外型)を示すもので、缶胴を高さ方向から見た平面図
【図6】図5の成形試験で用いた1組の内型と外型を示す平面図
【図7】特許文献1の方法において、角部の溝付けを行わずに角付けする成形試験を行った際に得られた缶胴角部の角度αを、内型加工面の曲率半径rとの関係で示すグラフ
【図8】図7の成形試験において、缶胴角部の角度αが95°以上となった現象を説明するための説明図
【図9】図7の結果をσ・r/(1000・t)と缶胴角部の角度αとの関係で整理したグラフ
【図10】本発明を得るために行った缶胴の成形試験において使用した内型と外型を示す平面図
【図11】図10に示す内型と外型を用いた成形試験で得られた角筒型缶胴の形状を示す説明図
【図12】外型加工面の開角θを45〜90°として缶胴の成形を行った際に得られた缶胴角部の角度αを、外型加工面の開角θとの関係で示すグラフ
【図13】図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが90°となる条件を外型加工面の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したグラフ
【図14】外型加工面の先端部分の曲率半径Rを4〜16mmとして缶胴の成形を行った際に得られた側壁部の変位量hを、外型加工面の先端部分の曲率半径Rとの関係で示すグラフ
【図15】図14の結果に基づき、側壁部の変位量hが0mmとなる条件を外型加工面の先端部分の曲率半径Rと(t・104)/σとの関係で整理したグラフ
【図16】図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが85°〜93°となる条件を外型加工面の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したグラフ
【図17】図14の結果に基づき、側壁部の変位量hが±1mmとなる条件を外型加工面の先端部分の曲率半径Rと(t・104)/σとの関係で整理したグラフ
【図18】特許文献1の方法において、角部の溝付けを行う成形手段(内型、外型)の断面図
【図19】角部の角度αを定義するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の角筒型缶胴の製造方法では、金属板の円筒体を被成形材とし、この円筒体内側に位置する内型と円筒体外側に位置する外型とにより、角筒の角部となるべき筒体部分を挟圧して角部の成形を行う。
図1は、本発明の製造方法の実施状況の一例を示すもので、(イ)は成形前、(ロ)は成形中、(ハ)は成形後の各状態を示す平面図である。図において、aは被成形材である円筒体であり、円筒状に変形させた長方形の金属板の対向する両端縁部をシーム溶接などにより接合して得られたものである。Aは成形された角筒である。3は円筒体aの内側に位置する内型、4は円筒体aの外側に位置する外型であり、この内型3と外型4を対とする成形型が4組備えられ、これらにより成形手段が構成されている。
【0011】
図2は、1組の内型3と外型4を示す平面図である。
前記外型4は、所定の開角θを有するコーナー状(水平方向断面でコーナー状)の加工面40を有するとともに、この加工面40の両方の先端部分400(コーナーの開放端部分)が断面円弧状に構成されている。成形時には、この外型4の加工面40が缶胴角部2の外面側を拘束するとともに、隣り合う2つの外型4の加工面40が1つの側壁部の外面側を半分(半幅)ずつ拘束する。前記内型3は、先端に所定の曲率半径rを有する断面円弧状(水平方向断面で円弧状)の加工面30を有し、成形時には、この加工面30が缶胴角部の内面側を拘束する。
外型4と内型3による缶胴の成形では、材料が内型3の円弧状の加工面30の2点と外型4の加工面40との間で挟圧されつつ、内型3の加工面30に沿って曲げられる結果、缶胴の各角部が成形され、同時に、隣り合う2つの外型4の加工面40(先端部分400を含む加工面)により角筒の側壁部となる円筒体部分が円筒体内側方向に押圧され、側壁部が成形される。
なお、内型3と外型4の好ましい形態については、後に詳細に説明する。
【0012】
本発明の製造方法では、図1(イ)に示すように、円筒体aの周方向で等間隔となるように、円筒体aに対して4組の内型3・外型4を配した状態で、図1(ロ)に示すように、これら4組の内型3と外型4により、角筒の角部となるべき円筒体部分を挟圧して角部の成形を行うとともに、外型4により角筒の側壁部となるべき円筒体部分を円筒体内側方向に押圧し、側壁部の成形を行う。これにより図1(ハ)に示すような角部2と側壁面1を有する角筒Aが得られる。
本発明では、このような成形工程において、外型加工面40の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面40の開角θ(°)、外型加工面40の先端部分400の曲率半径R、内型加工面30の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が後述する(1)式および(2)式を満足する条件で成形を行うものである。以下、そのような本発明の製造方法の詳細と、本発明に至った検討の結果について説明する。
【0013】
本発明者らは、特許文献1の方法により極薄鋼板を成形した場合、上述したように溝付けで破断が生じ、また、側壁面が缶胴の外側に向けて湾曲し、適正な形状の角筒とはならない理由について詳細に検討した。
まず、溝付けで破断が生じるのは、以下のような理由によるものと考えられる。特許文献1の方法における溝付けは、図18に示すように外型11に備えられたポンチ12と、内型10に備えられた凹部13で材料14(金属板)を成形することにより行われる。この際、内型10で拘束された材料14がポンチ12で凹部13内に押し込まれ、伸ばされることになる。材料14がこのような成形に耐え得る十分な伸びを備えていれば問題はないが、伸びが劣る場合は材料が成形に耐えられず、破断に至ると考えられる。材料の伸びは、その化学成分、製造方法、金属組織などで決まる材質的特性であるが、一方で板厚に大きく影響され、板厚が薄いほど伸びは低くなる。従来、製缶分野では用いられてこなかった板厚0.1mm程度の極薄鋼板は、それよりも板厚が厚い鋼板に較べて、材質的特性が同等であったとしても伸びは低い。そのため、溝付け部分で破断が生じたものと考えられる。
【0014】
材料の破断は、飲料容器では内容物の漏洩に結びつくため、あってはならない現象である。よって、破断の原因である溝付けは行わないことが望ましい。そこで、溝付けを行わずに、内型と外型で角出しする実験を行った。
この実験では、表1に示す板厚tと降伏強度σを有する供試材A〜D(錫めっき鋼板)を用いた。供試材をシーム溶接により外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体aとし、この円筒体aに対して、図5のように配置した内型5(先端に断面円弧状の加工面50を有する内型)と外型6(コーナー状の加工面60を有する外型)により角部を成形し、角筒型の缶胴とした。図6に示す外型6の加工面60の開角βについては、特許文献1には記述されていないが、同文献の図面を測定するとそれぞれ90°であるため、ここでも同様とした。また、図6に示す内型5の加工面50の曲率半径rについては、特許文献1では18L缶に対して22mmが例示されているが、本発明は主に小型の400mL以下程度の缶を想定しているため、サイズの相違を考慮して本実験では2〜8mmとした。4組の内型5・外型6は、各々の組が円筒体aの周方向において等間隔となるように配置した。成形後の缶胴について、その角部2の角度α(コーナー角度)を測定した。
【0015】
【表1】
【0016】
その缶胴角部2の角度αを内型加工面50の曲率半径rで整理した結果を図7に示す。同図によれば、缶胴角部2の角度αは95°以上となっており、いずれの条件でも側壁面1が筒の外側に向けて湾曲し、適正な形状の角筒とはならかった。この理由は以下のように考えられる。本実験における成形の概要を図8に示す。図8(イ)に示すように円筒体(被成形材)が内型5と外型6とで挟圧されると、型が接している間は角筒Aの側壁面1は平面状に保たれ、角部2の角度は外型加工面60の開角βに沿って90°となる。しかし、図8(ロ)に示すように成形後に型から開放された缶胴Aでは、角部2がスプリングバックで開くことで、その角度αが95°よりも大きくなり、これによって側壁面1が筒の外側に向けて湾曲した状態となる。特許文献1の方法では、溝付けすること、すなわち小さい曲率半径の2つの内型先端部(加工面)で2箇所の曲げを行うことになるため、その効果で角部2のスプリングバックが抑制されるものと考えられる。
【0017】
したがって、側壁面の湾曲を抑制するためには、型から開放された後の缶胴角部の角度αを90°に近づければよいことになる。そこで、角度αを制御する方法を見出すべく、前記実験結果を改めて検討すると、材料の降伏強度σが大きいほど、また、内型加工面の曲率半径rが大きいほど、さらに、材料の板厚tが小さいほど、角度αは大きくなる。つまり、缶胴角部の角度αは材料の降伏強度σと内型加工面の曲率半径rに比例し、材料の板厚tに反比例する。そこで、上述した実験結果について、σ・r/(1000・t)と缶胴角部の角度αとの関係を整理したものが図9である。ここで、板厚tに1000を乗じたのは、σ・r/(1000・t)の絶対値を角度αと同程度の大きさの値とすることで、計算を簡易にするためである。図9によれば、缶胴角部の角度αはσ・r/(1000・t)を指標とすることで統一的に整理できることが判る。つまり、缶胴角部の角度αを制御するためには、材料の降伏強度σ、板厚t、内型加工面の曲率半径rの関係を調整すればよいことが判る。
【0018】
缶胴角部の角度αを小さくするには、材料の板厚tが厚く、降伏強度σが低く、内型加工面の曲率半径rが小さいほどよい。しかし、本発明が目指す軽量の缶体を得るためには、材料の板厚tは薄いほうがよく、概ね0.10〜0.15mm程度が望ましい。また、缶体の強度を確保する観点から薄い板厚を補うために材料の降伏強度σは高い方がよく、300〜750N/mm2程度が望ましい。また、内型加工面の曲率半径rは、内型が接触する際に材料に損傷を与えないために大きい方がよく、概ね2mm以上が望ましい。このように、材料の板厚t、降伏強度σおよび内型加工面の曲率半径rの望ましい条件は、いずれも缶胴角部の角度αを小さくして90°に近づけるために必要な条件とは相反する関係にある。しかも、そのような望ましい板厚t、降伏強度σおよび内型加工面の曲率半径rの範囲で得られる缶胴角部の角度αは、図7の実験結果では最低でも95°である。
【0019】
そこで、本発明者らは外型加工面の開角θに着目し、この開角θをより小さい角度とすることで、缶胴角部の角度αを90°にすることができると考え、これに基づき成形方法について検討を行った。その結果、図10に示すような、開角θが90°未満のコーナー状の加工面40を有するとともに、この加工面40の先端部分400が断面円弧状に構成された外型4と、先端に断面円弧状の加工面30を有する内型3とを用い、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型4により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する方法を創案した。この成形方法は、角筒の角部を外型4と内型3に拘束された状態で90°未満の角度になるように成形し、スプリングバック後に角部の角度が概ね90°となるようにするものであり、角部の成形と側壁部の矯正とが一工程で達成される。この方法の有効性を確認するため、以下のような実験を行った。
【0020】
表2に示す板厚tと降伏強度σを有する供試材(i)〜(iv)(錫めっき鋼板)を用い、この供試材をシーム溶接して外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体とし、この円筒体に対して図10に示すような内型3と外型4を用いて缶胴の成形を行った。この実験では、内型加工面30の曲率半径rを2mm、4mmとし、外型加工面40の開角θを45〜90°、外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rを4mmとして缶胴の成形を行った。この実験で得られた外型加工面40の開角θと缶胴角部の角度αとの関係を図12に示す。同図に示されるように、外型加工面40の開角θを適切に設定することで、缶胴角部の角度αを90°に近い値とすることができる。
【0021】
【表2】
【0022】
外型加工面40の適切な開角θは、表2の(i)〜(iv)の条件によって、つまり材料の板厚t、降伏強度σおよび内型加工面の曲率半径rの組み合わせによって異なる。そこで、図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが90°となる条件を外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したものが図13である。すなわち、図13に示される外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係を満足する条件で缶胴の成形を行うことにより、缶胴角部の角度αが90°で側壁面が平面状の缶胴が得られる。
【0023】
図12および図13の(i)〜(iv)はそれぞれ表2の供試材に対応する。図13に示されるように、外型加工面40の開角θを適切に設定することで、缶胴角部の角度αを90°に近い値とすることができる。ただし、図11に示すように、単に内型3と外型4で角部と側壁部を成形しただけでは、缶胴角部の角度αを90°に近い値とすることができても、特許文献2のように側壁部が内側に凹んだ形状となり(図11中のh:凹みによる側壁部中央部の変位量)、望ましくない。そこで、このような側壁部の形状不良を生じない成形条件について検討した結果、外型加工面40の形状を最適化すればよいことが判った。
【0024】
表3に示す板厚tと降伏強度σを有する供試材(v)〜(vii)(錫めっき鋼板)を用い、この供試材をシーム溶接して外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体とし、この円筒体に対して図10のように配置した内型3と外型4を用いて角部と側壁部を成形し、角筒状の缶胴とした。内型加工面30の曲率半径rと外型加工面40の開角θを表3に示す値とし、且つ外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rを4〜16mmとした。成形後の缶胴を型から開放し、側壁部の中央部での変位量h(図11参照)を測定した。外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと側壁部の中央部での変位量hとの関係を図14に示す。図14の側壁部の変位量hは、缶内側への凹みの場合をプラス、缶外側への張り出しの場合をマイナスとして示した。図14によれば、外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rを最適化することで、凹み、張り出しによる側壁部の変位を抑制できることが判る。ただし、外型加工面40の先端部分400の最適な曲率半径Rは、表3の(v)〜(vii)の条件、すなわち材料の板厚tと降伏強度σの組み合わせによって異なる。
【0025】
図14の結果から、側壁部の凹み或いは張り出しによる変位量hを0に近づける曲率半径Rは、板厚tが厚いほど小さく、また、降伏強度が大きいほど小さい。そこで、図14の結果に基づき、側壁部の変位量hが0となる条件を外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係で整理したものが図15である。ここで、板厚tに104を乗じたのは、(104・t)/σの絶対値を曲率半径Rと同程度の大きさの値とすることで、計算を簡易にするためである。すなわち、図15に示される外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係を満足する条件で缶胴の成形を行うことにより、側壁部の変位量hが0の缶胴が得られる。
【0026】
【表3】
【0027】
以上のように、図10に示すような内型3と外型4を用いた缶胴の成形方法において、缶胴角部の角度αを90°とし、且つ側壁部の凹みあるいは張り出しによる変位量hを0にできる成形条件が存在することが判った。
本発明により製造される缶胴を角筒型容器として用いるには、缶胴の両端(両開口部)にフランジ部を設けた後、同様にフランジ部を備えた蓋を装着し、双方のフランジ部を巻締めることで蓋を取付固定する。ここで、容器間の空隙を小さくできるという角筒型容器の利点は、厳密に缶胴の側壁部が平面状で且つ缶胴角部の角度αが90°でなくても、すなわち、缶胴の側壁部が概ね平面状で且つ缶胴角部の角度αが90°に近い角度であれば、実質的に問題なく得られる。
具体的には、缶胴角部の角度αが85〜93°であれば、側壁部を外型で押圧成形する条件を適正化することで、側壁部の凹みあるいは張り出しによる変位量hを±1mm以内とすることができる。
【0028】
そこで、図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが85°〜93°となる条件を外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したものが図16である。すなわち、図16に示される外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係を満足する、下記(1)式の条件で缶胴の成形を行うことにより、缶胴角部の角度αが85°〜93°の缶胴が得られる。
また、図14の結果に基づき、側壁部の中央部の変位量が±1mm以内となる条件を外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係で整理したものが図17である。すなわち、図17に示される外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係を満足する、下記(2)式の条件で缶胴の成形を行うことにより、側壁部の中央部の変位量が±1mm以内の缶胴が得られる。
したがって、本発明では、外型加工面40の開角θ(°)、外型加工面40の先端部分400の曲率半径R(mm)、内型加工面30の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が下記(1)式および(2)式を満足する条件で前記外型4と内型3よる缶胴の成形を行う。
【0029】
【数2】
【0030】
本発明で製造される缶胴の素材としては、耐食性の確保のため各種の表面処理を施した鋼板が望ましい。そのような表面処理鋼板としては、錫、亜鉛、ニッケル、クロムなどの1種または2種以上を鋼板表面にめっきしたもの、さらに、そのめっき層の上層にクロメート処理やリン酸塩処理のような各種化成処理を施したものが好適である。なかでも、従来から飲料容器に用いられている錫めっき鋼板(ぶりき)、電解クロメート処理鋼板(ティンフリー・スチール)が好適である。また、各種表面処理鋼板に有機樹脂フィルムを被覆したラミネート鋼板は、耐食性、環境適合性などの観点から特に好適である。
【0031】
金属板の板厚に特別な制限はないが、容器の軽量化の観点からは、0.095〜0.155mmが好適である。また、金属板の降伏強度σは、360〜650N/mm2程度が特に好ましい。
被成形材である円筒体aを得るには、通常、円筒状に変形させた長方形の金属板の対向する両端縁部を接合して円筒体とする。金属板の両端縁部を接合する方法は、十分な接合強度が得られる方法であれば特に制限はないが、溶接法、接着法、半田法などを用いことができる。これらのうち、特に接合強度の高い溶接法が好適である。溶接法としは、シーム溶接などの通電溶接や、レーザー溶接などを適用することができる。
【0032】
内型3と外型4は、缶胴の成形を精度よく行う必要性から、材料を成形する際に型自体が変形しないことが必要である。したがって、剛体であることが望ましく、通常の金属加工で用いられる金属等の素材を用いたものが望ましい。
本発明により製造される角筒型缶胴のサイズや、この缶胴を用いる角筒型容器のサイズ、内容量に特別な制限はないが、特に好適な角筒型缶胴、角筒型容器のサイズは、相対する側壁部間が約4cm〜5cm、缶高さが約5cm〜15cm、内容量が約80〜400mL程度のものである。また、本発明により製造されるのは、断面四角形状の角筒型缶胴および角筒型容器である。
本発明により製造される缶胴は、少なくとも一方の端部に蓋が取り付けられ、角筒型金属缶となる。蓋の取付は、通常、缶胴の端部周縁と蓋の周縁にそれぞれフランジ部を設け、缶胴端部に蓋を装着した状態で、両者のフランジ部を巻締めることにより行う。
【実施例】
【0033】
表4〜表6に示す板厚tと降伏強度σを有する錫めっき鋼板を供試材として用いた。この供試材をシーム溶接法で外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体とした後、表4〜表6に示す内型加工面の曲率半径r、外型加工面の開角θ、外型加工面の先端部分の曲率半径Rとした各4個の内型と外型で角筒型缶胴への成形を行った。このようにして得られた缶胴について、角部の角度αと側壁部の凹みまたは張り出しによる変位量hを測定した。側壁部の変位量hは、缶内側への凹みの場合をプラス、缶外側への張り出しの場合をマイナスとして示した。それらの結果を表4〜表6に併せて示す。
表4〜表6に示されるように、本発明例はいずれも、缶胴角部の角度αが85°〜93°の範囲で且つ側壁部の変位量hが±1mm以内となっている。
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
なお、表4〜表6において、f1,f2は以下のように本発明の(1)式の左辺と右辺を示し、f3,f4は以下のように本発明の(2)式の左辺と右辺を示す。
【数3】
【符号の説明】
【0038】
1 側壁部
2 角部
3 内型
4 外型
30 内型加工面
40 外型加工面
400 先端部分
a 円筒体
A 角筒
【技術分野】
【0001】
本発明は、角筒型の金属缶胴の製造方法に関するもので、特に、極薄金属板を素材とする角筒型缶胴を得るのに好適な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
角筒型の容器は、例えば、複数個の容器を箱に詰めて梱包したり、店頭で陳列する際などに、容器間の空隙を小さくできるため、省スペースの点で有利である。内容量が400mL程度以下の飲料容器の場合、従来、こうした角筒型容器の素材には紙が用いられてきた。紙製の容器は軽いという利点がある反面、強度が小さく、圧迫や落下で容易に変形してしまう欠点がある。
一方、飲料容器には金属缶が広く用いられている。金属は紙に較べて強度が高く、容器の変形に対して有利である。但し、従来では角筒型の飲料容器の素材として金属が用いられることは殆どなかった。これは、金属缶が紙製容器に較べて重いことが一因であると考えられる。金属缶を軽くするには、素材金属板の板厚を薄くすることが有効である。
【0003】
特許文献1には、板厚を薄くした素材を用いて角筒型の金属缶を成形する方法が示されている。この方法では、所定寸法に剪断された長方形の素材をシーム溶接により円筒素体とし、これを角出しする(角部の成形)ことで角筒とする。角出しは成形すべき角部の数に対応した複数組の内型と外型を用いて行い、さらに角部に溝付けを行う。この方法により、板厚0.1mmまでの鋼板を角筒型の金属缶に成形できるとしている。
また、特許文献2には、缶胴の側壁部に内方に凹んだ凹部を形成した角缶およびその成形方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−34891号公報
【特許文献2】特開2002―211559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法について、本発明者らが板厚0.1mmの極薄鋼板を用いて実験を行った結果、以下に述べるような不具合が生じることが判った。まず、角出しおよび溝付けを行うと、溝付け部分に破断が生じた。この破断は溝付け部分に生じたことから、溝付けを行わないで成形したところ、角部は所定の角度(概ね90°)にならず、結果として側壁部が筒の外側に向けて湾曲した形状となり、適正な形状の角筒にはならないという結果が得られた。すなわち、4つの角部と側壁部を備えた角筒を成形するに当たり、図3(缶胴を高さ方向から見た平面図)に示すように、側壁部1が概ね平面で且つ角部2の角度α(コーナー角度)が概ね90°である形状を得ようとしたが、実際には、図4(缶胴を高さ方向から見た平面図)に示すように、側壁部1が外側に湾曲し、且つ角部2の角度αが90°よりも相当程度大きくなり、角筒としての適正な形状が得られないことが判った。このような形状では、容器間の空隙を小さくできるという角筒型容器としての利点が得られない。ここで、上述した角部2の角度αは以下のように定義される。すなわち、図19に示すように、角部2の曲率半径bを持ち且つ角部2に接する円20(仮想円)を想定し、円20と角部2とが乖離する点21,22における円20の接線23,24を定めた時、この接線23と接線24の成す角度を角部2の角度αとする。
【0006】
また、特許文献2のように、缶胴の側壁部に内方に凹んだ凹部を形成することにより、側壁部の外側への湾曲は回避できるが、側壁部を内方に凹んだ形状にすると角缶の内容量を減少させることになる。特許文献1や特許文献2が対象としているのは、18L缶などのような比較的内容量が多い缶であるため、側壁部の内方への凹みによる内容量の減少は大きな問題にはならないとも考えられるが、本発明が主たる対象とする内容量400mL程度の比較的内容量の少ない缶では、側壁部の内方への凹みによる内容量の減少は看過できないものである。また、特許文献2の方法は、角筒に成形した後、さらに成形を行って側壁部に凹部を形成するものであるため、缶胴の成形工程が増え、製造コストが高くなる。
以上のように、板厚の薄い金属板を素材とする角筒型缶胴の製造技術は、未だ確立されていない。
したがって本発明の目的は、板厚の薄い金属板を素材とする場合でも、適正な形状の角筒型缶胴を効率的に製造することができる金属缶胴の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]金属板の円筒体を被成形材とし、コーナー状の加工面を有するとともに、該加工面の両先端部分が断面円弧状に構成された外型と、先端に断面円弧状の加工面を有する内型とを用い、円筒体内側に位置する内型と円筒体外側に位置する外型とにより、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する角筒型缶胴の製造方法であって、
外型加工面の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面の開角θ(°)、外型加工面の先端部分の曲率半径R(mm)、内型加工面の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が下記(1)式および(2)式を満足する条件で、前記外型と内型による缶胴の成形を行うことを特徴とする金属缶胴の製造方法。
【数1】
[2]上記[1]の製造方法で得られた金属缶胴の少なくとも一方の端部に蓋を固定し、金属缶とすることを特徴とする金属缶の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板厚の薄い金属板を素材として、側壁部が概ね平面で且つ角部の角度(コーナー角度)が概ね90°となる適正な形状の角筒型缶胴を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の製造方法の実施状況の一例を示すもので、(イ)は成形前、(ロ)は成形中、(ハ)は成形後の各状態を示す平面図
【図2】本発明で用いる外型および内型の構造を示す平面図
【図3】角筒型缶胴の成形工程により得られる適正な缶胴形状(高さ方向から見た缶胴の平面形状)を示す説明図
【図4】角筒型缶胴の成形工程により得られる不適正な缶胴形状(高さ方向から見た缶胴の平面形状)を示す説明図
【図5】特許文献1の方法において、角部の溝付けを行わずに角付けする成形試験を行った際の成形前の材料(円筒体)と成形手段(内型、外型)を示すもので、缶胴を高さ方向から見た平面図
【図6】図5の成形試験で用いた1組の内型と外型を示す平面図
【図7】特許文献1の方法において、角部の溝付けを行わずに角付けする成形試験を行った際に得られた缶胴角部の角度αを、内型加工面の曲率半径rとの関係で示すグラフ
【図8】図7の成形試験において、缶胴角部の角度αが95°以上となった現象を説明するための説明図
【図9】図7の結果をσ・r/(1000・t)と缶胴角部の角度αとの関係で整理したグラフ
【図10】本発明を得るために行った缶胴の成形試験において使用した内型と外型を示す平面図
【図11】図10に示す内型と外型を用いた成形試験で得られた角筒型缶胴の形状を示す説明図
【図12】外型加工面の開角θを45〜90°として缶胴の成形を行った際に得られた缶胴角部の角度αを、外型加工面の開角θとの関係で示すグラフ
【図13】図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが90°となる条件を外型加工面の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したグラフ
【図14】外型加工面の先端部分の曲率半径Rを4〜16mmとして缶胴の成形を行った際に得られた側壁部の変位量hを、外型加工面の先端部分の曲率半径Rとの関係で示すグラフ
【図15】図14の結果に基づき、側壁部の変位量hが0mmとなる条件を外型加工面の先端部分の曲率半径Rと(t・104)/σとの関係で整理したグラフ
【図16】図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが85°〜93°となる条件を外型加工面の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したグラフ
【図17】図14の結果に基づき、側壁部の変位量hが±1mmとなる条件を外型加工面の先端部分の曲率半径Rと(t・104)/σとの関係で整理したグラフ
【図18】特許文献1の方法において、角部の溝付けを行う成形手段(内型、外型)の断面図
【図19】角部の角度αを定義するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の角筒型缶胴の製造方法では、金属板の円筒体を被成形材とし、この円筒体内側に位置する内型と円筒体外側に位置する外型とにより、角筒の角部となるべき筒体部分を挟圧して角部の成形を行う。
図1は、本発明の製造方法の実施状況の一例を示すもので、(イ)は成形前、(ロ)は成形中、(ハ)は成形後の各状態を示す平面図である。図において、aは被成形材である円筒体であり、円筒状に変形させた長方形の金属板の対向する両端縁部をシーム溶接などにより接合して得られたものである。Aは成形された角筒である。3は円筒体aの内側に位置する内型、4は円筒体aの外側に位置する外型であり、この内型3と外型4を対とする成形型が4組備えられ、これらにより成形手段が構成されている。
【0011】
図2は、1組の内型3と外型4を示す平面図である。
前記外型4は、所定の開角θを有するコーナー状(水平方向断面でコーナー状)の加工面40を有するとともに、この加工面40の両方の先端部分400(コーナーの開放端部分)が断面円弧状に構成されている。成形時には、この外型4の加工面40が缶胴角部2の外面側を拘束するとともに、隣り合う2つの外型4の加工面40が1つの側壁部の外面側を半分(半幅)ずつ拘束する。前記内型3は、先端に所定の曲率半径rを有する断面円弧状(水平方向断面で円弧状)の加工面30を有し、成形時には、この加工面30が缶胴角部の内面側を拘束する。
外型4と内型3による缶胴の成形では、材料が内型3の円弧状の加工面30の2点と外型4の加工面40との間で挟圧されつつ、内型3の加工面30に沿って曲げられる結果、缶胴の各角部が成形され、同時に、隣り合う2つの外型4の加工面40(先端部分400を含む加工面)により角筒の側壁部となる円筒体部分が円筒体内側方向に押圧され、側壁部が成形される。
なお、内型3と外型4の好ましい形態については、後に詳細に説明する。
【0012】
本発明の製造方法では、図1(イ)に示すように、円筒体aの周方向で等間隔となるように、円筒体aに対して4組の内型3・外型4を配した状態で、図1(ロ)に示すように、これら4組の内型3と外型4により、角筒の角部となるべき円筒体部分を挟圧して角部の成形を行うとともに、外型4により角筒の側壁部となるべき円筒体部分を円筒体内側方向に押圧し、側壁部の成形を行う。これにより図1(ハ)に示すような角部2と側壁面1を有する角筒Aが得られる。
本発明では、このような成形工程において、外型加工面40の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面40の開角θ(°)、外型加工面40の先端部分400の曲率半径R、内型加工面30の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が後述する(1)式および(2)式を満足する条件で成形を行うものである。以下、そのような本発明の製造方法の詳細と、本発明に至った検討の結果について説明する。
【0013】
本発明者らは、特許文献1の方法により極薄鋼板を成形した場合、上述したように溝付けで破断が生じ、また、側壁面が缶胴の外側に向けて湾曲し、適正な形状の角筒とはならない理由について詳細に検討した。
まず、溝付けで破断が生じるのは、以下のような理由によるものと考えられる。特許文献1の方法における溝付けは、図18に示すように外型11に備えられたポンチ12と、内型10に備えられた凹部13で材料14(金属板)を成形することにより行われる。この際、内型10で拘束された材料14がポンチ12で凹部13内に押し込まれ、伸ばされることになる。材料14がこのような成形に耐え得る十分な伸びを備えていれば問題はないが、伸びが劣る場合は材料が成形に耐えられず、破断に至ると考えられる。材料の伸びは、その化学成分、製造方法、金属組織などで決まる材質的特性であるが、一方で板厚に大きく影響され、板厚が薄いほど伸びは低くなる。従来、製缶分野では用いられてこなかった板厚0.1mm程度の極薄鋼板は、それよりも板厚が厚い鋼板に較べて、材質的特性が同等であったとしても伸びは低い。そのため、溝付け部分で破断が生じたものと考えられる。
【0014】
材料の破断は、飲料容器では内容物の漏洩に結びつくため、あってはならない現象である。よって、破断の原因である溝付けは行わないことが望ましい。そこで、溝付けを行わずに、内型と外型で角出しする実験を行った。
この実験では、表1に示す板厚tと降伏強度σを有する供試材A〜D(錫めっき鋼板)を用いた。供試材をシーム溶接により外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体aとし、この円筒体aに対して、図5のように配置した内型5(先端に断面円弧状の加工面50を有する内型)と外型6(コーナー状の加工面60を有する外型)により角部を成形し、角筒型の缶胴とした。図6に示す外型6の加工面60の開角βについては、特許文献1には記述されていないが、同文献の図面を測定するとそれぞれ90°であるため、ここでも同様とした。また、図6に示す内型5の加工面50の曲率半径rについては、特許文献1では18L缶に対して22mmが例示されているが、本発明は主に小型の400mL以下程度の缶を想定しているため、サイズの相違を考慮して本実験では2〜8mmとした。4組の内型5・外型6は、各々の組が円筒体aの周方向において等間隔となるように配置した。成形後の缶胴について、その角部2の角度α(コーナー角度)を測定した。
【0015】
【表1】
【0016】
その缶胴角部2の角度αを内型加工面50の曲率半径rで整理した結果を図7に示す。同図によれば、缶胴角部2の角度αは95°以上となっており、いずれの条件でも側壁面1が筒の外側に向けて湾曲し、適正な形状の角筒とはならかった。この理由は以下のように考えられる。本実験における成形の概要を図8に示す。図8(イ)に示すように円筒体(被成形材)が内型5と外型6とで挟圧されると、型が接している間は角筒Aの側壁面1は平面状に保たれ、角部2の角度は外型加工面60の開角βに沿って90°となる。しかし、図8(ロ)に示すように成形後に型から開放された缶胴Aでは、角部2がスプリングバックで開くことで、その角度αが95°よりも大きくなり、これによって側壁面1が筒の外側に向けて湾曲した状態となる。特許文献1の方法では、溝付けすること、すなわち小さい曲率半径の2つの内型先端部(加工面)で2箇所の曲げを行うことになるため、その効果で角部2のスプリングバックが抑制されるものと考えられる。
【0017】
したがって、側壁面の湾曲を抑制するためには、型から開放された後の缶胴角部の角度αを90°に近づければよいことになる。そこで、角度αを制御する方法を見出すべく、前記実験結果を改めて検討すると、材料の降伏強度σが大きいほど、また、内型加工面の曲率半径rが大きいほど、さらに、材料の板厚tが小さいほど、角度αは大きくなる。つまり、缶胴角部の角度αは材料の降伏強度σと内型加工面の曲率半径rに比例し、材料の板厚tに反比例する。そこで、上述した実験結果について、σ・r/(1000・t)と缶胴角部の角度αとの関係を整理したものが図9である。ここで、板厚tに1000を乗じたのは、σ・r/(1000・t)の絶対値を角度αと同程度の大きさの値とすることで、計算を簡易にするためである。図9によれば、缶胴角部の角度αはσ・r/(1000・t)を指標とすることで統一的に整理できることが判る。つまり、缶胴角部の角度αを制御するためには、材料の降伏強度σ、板厚t、内型加工面の曲率半径rの関係を調整すればよいことが判る。
【0018】
缶胴角部の角度αを小さくするには、材料の板厚tが厚く、降伏強度σが低く、内型加工面の曲率半径rが小さいほどよい。しかし、本発明が目指す軽量の缶体を得るためには、材料の板厚tは薄いほうがよく、概ね0.10〜0.15mm程度が望ましい。また、缶体の強度を確保する観点から薄い板厚を補うために材料の降伏強度σは高い方がよく、300〜750N/mm2程度が望ましい。また、内型加工面の曲率半径rは、内型が接触する際に材料に損傷を与えないために大きい方がよく、概ね2mm以上が望ましい。このように、材料の板厚t、降伏強度σおよび内型加工面の曲率半径rの望ましい条件は、いずれも缶胴角部の角度αを小さくして90°に近づけるために必要な条件とは相反する関係にある。しかも、そのような望ましい板厚t、降伏強度σおよび内型加工面の曲率半径rの範囲で得られる缶胴角部の角度αは、図7の実験結果では最低でも95°である。
【0019】
そこで、本発明者らは外型加工面の開角θに着目し、この開角θをより小さい角度とすることで、缶胴角部の角度αを90°にすることができると考え、これに基づき成形方法について検討を行った。その結果、図10に示すような、開角θが90°未満のコーナー状の加工面40を有するとともに、この加工面40の先端部分400が断面円弧状に構成された外型4と、先端に断面円弧状の加工面30を有する内型3とを用い、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型4により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する方法を創案した。この成形方法は、角筒の角部を外型4と内型3に拘束された状態で90°未満の角度になるように成形し、スプリングバック後に角部の角度が概ね90°となるようにするものであり、角部の成形と側壁部の矯正とが一工程で達成される。この方法の有効性を確認するため、以下のような実験を行った。
【0020】
表2に示す板厚tと降伏強度σを有する供試材(i)〜(iv)(錫めっき鋼板)を用い、この供試材をシーム溶接して外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体とし、この円筒体に対して図10に示すような内型3と外型4を用いて缶胴の成形を行った。この実験では、内型加工面30の曲率半径rを2mm、4mmとし、外型加工面40の開角θを45〜90°、外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rを4mmとして缶胴の成形を行った。この実験で得られた外型加工面40の開角θと缶胴角部の角度αとの関係を図12に示す。同図に示されるように、外型加工面40の開角θを適切に設定することで、缶胴角部の角度αを90°に近い値とすることができる。
【0021】
【表2】
【0022】
外型加工面40の適切な開角θは、表2の(i)〜(iv)の条件によって、つまり材料の板厚t、降伏強度σおよび内型加工面の曲率半径rの組み合わせによって異なる。そこで、図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが90°となる条件を外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したものが図13である。すなわち、図13に示される外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係を満足する条件で缶胴の成形を行うことにより、缶胴角部の角度αが90°で側壁面が平面状の缶胴が得られる。
【0023】
図12および図13の(i)〜(iv)はそれぞれ表2の供試材に対応する。図13に示されるように、外型加工面40の開角θを適切に設定することで、缶胴角部の角度αを90°に近い値とすることができる。ただし、図11に示すように、単に内型3と外型4で角部と側壁部を成形しただけでは、缶胴角部の角度αを90°に近い値とすることができても、特許文献2のように側壁部が内側に凹んだ形状となり(図11中のh:凹みによる側壁部中央部の変位量)、望ましくない。そこで、このような側壁部の形状不良を生じない成形条件について検討した結果、外型加工面40の形状を最適化すればよいことが判った。
【0024】
表3に示す板厚tと降伏強度σを有する供試材(v)〜(vii)(錫めっき鋼板)を用い、この供試材をシーム溶接して外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体とし、この円筒体に対して図10のように配置した内型3と外型4を用いて角部と側壁部を成形し、角筒状の缶胴とした。内型加工面30の曲率半径rと外型加工面40の開角θを表3に示す値とし、且つ外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rを4〜16mmとした。成形後の缶胴を型から開放し、側壁部の中央部での変位量h(図11参照)を測定した。外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと側壁部の中央部での変位量hとの関係を図14に示す。図14の側壁部の変位量hは、缶内側への凹みの場合をプラス、缶外側への張り出しの場合をマイナスとして示した。図14によれば、外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rを最適化することで、凹み、張り出しによる側壁部の変位を抑制できることが判る。ただし、外型加工面40の先端部分400の最適な曲率半径Rは、表3の(v)〜(vii)の条件、すなわち材料の板厚tと降伏強度σの組み合わせによって異なる。
【0025】
図14の結果から、側壁部の凹み或いは張り出しによる変位量hを0に近づける曲率半径Rは、板厚tが厚いほど小さく、また、降伏強度が大きいほど小さい。そこで、図14の結果に基づき、側壁部の変位量hが0となる条件を外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係で整理したものが図15である。ここで、板厚tに104を乗じたのは、(104・t)/σの絶対値を曲率半径Rと同程度の大きさの値とすることで、計算を簡易にするためである。すなわち、図15に示される外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係を満足する条件で缶胴の成形を行うことにより、側壁部の変位量hが0の缶胴が得られる。
【0026】
【表3】
【0027】
以上のように、図10に示すような内型3と外型4を用いた缶胴の成形方法において、缶胴角部の角度αを90°とし、且つ側壁部の凹みあるいは張り出しによる変位量hを0にできる成形条件が存在することが判った。
本発明により製造される缶胴を角筒型容器として用いるには、缶胴の両端(両開口部)にフランジ部を設けた後、同様にフランジ部を備えた蓋を装着し、双方のフランジ部を巻締めることで蓋を取付固定する。ここで、容器間の空隙を小さくできるという角筒型容器の利点は、厳密に缶胴の側壁部が平面状で且つ缶胴角部の角度αが90°でなくても、すなわち、缶胴の側壁部が概ね平面状で且つ缶胴角部の角度αが90°に近い角度であれば、実質的に問題なく得られる。
具体的には、缶胴角部の角度αが85〜93°であれば、側壁部を外型で押圧成形する条件を適正化することで、側壁部の凹みあるいは張り出しによる変位量hを±1mm以内とすることができる。
【0028】
そこで、図12の結果に基づき、缶胴角部の角度αが85°〜93°となる条件を外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係で整理したものが図16である。すなわち、図16に示される外型加工面40の開角θとσ・r/(1000・t)との関係を満足する、下記(1)式の条件で缶胴の成形を行うことにより、缶胴角部の角度αが85°〜93°の缶胴が得られる。
また、図14の結果に基づき、側壁部の中央部の変位量が±1mm以内となる条件を外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係で整理したものが図17である。すなわち、図17に示される外型加工面40の先端部分400の曲率半径Rと(104・t)/σとの関係を満足する、下記(2)式の条件で缶胴の成形を行うことにより、側壁部の中央部の変位量が±1mm以内の缶胴が得られる。
したがって、本発明では、外型加工面40の開角θ(°)、外型加工面40の先端部分400の曲率半径R(mm)、内型加工面30の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が下記(1)式および(2)式を満足する条件で前記外型4と内型3よる缶胴の成形を行う。
【0029】
【数2】
【0030】
本発明で製造される缶胴の素材としては、耐食性の確保のため各種の表面処理を施した鋼板が望ましい。そのような表面処理鋼板としては、錫、亜鉛、ニッケル、クロムなどの1種または2種以上を鋼板表面にめっきしたもの、さらに、そのめっき層の上層にクロメート処理やリン酸塩処理のような各種化成処理を施したものが好適である。なかでも、従来から飲料容器に用いられている錫めっき鋼板(ぶりき)、電解クロメート処理鋼板(ティンフリー・スチール)が好適である。また、各種表面処理鋼板に有機樹脂フィルムを被覆したラミネート鋼板は、耐食性、環境適合性などの観点から特に好適である。
【0031】
金属板の板厚に特別な制限はないが、容器の軽量化の観点からは、0.095〜0.155mmが好適である。また、金属板の降伏強度σは、360〜650N/mm2程度が特に好ましい。
被成形材である円筒体aを得るには、通常、円筒状に変形させた長方形の金属板の対向する両端縁部を接合して円筒体とする。金属板の両端縁部を接合する方法は、十分な接合強度が得られる方法であれば特に制限はないが、溶接法、接着法、半田法などを用いことができる。これらのうち、特に接合強度の高い溶接法が好適である。溶接法としは、シーム溶接などの通電溶接や、レーザー溶接などを適用することができる。
【0032】
内型3と外型4は、缶胴の成形を精度よく行う必要性から、材料を成形する際に型自体が変形しないことが必要である。したがって、剛体であることが望ましく、通常の金属加工で用いられる金属等の素材を用いたものが望ましい。
本発明により製造される角筒型缶胴のサイズや、この缶胴を用いる角筒型容器のサイズ、内容量に特別な制限はないが、特に好適な角筒型缶胴、角筒型容器のサイズは、相対する側壁部間が約4cm〜5cm、缶高さが約5cm〜15cm、内容量が約80〜400mL程度のものである。また、本発明により製造されるのは、断面四角形状の角筒型缶胴および角筒型容器である。
本発明により製造される缶胴は、少なくとも一方の端部に蓋が取り付けられ、角筒型金属缶となる。蓋の取付は、通常、缶胴の端部周縁と蓋の周縁にそれぞれフランジ部を設け、缶胴端部に蓋を装着した状態で、両者のフランジ部を巻締めることにより行う。
【実施例】
【0033】
表4〜表6に示す板厚tと降伏強度σを有する錫めっき鋼板を供試材として用いた。この供試材をシーム溶接法で外径52.4mm、高さ136.7mmの円筒体とした後、表4〜表6に示す内型加工面の曲率半径r、外型加工面の開角θ、外型加工面の先端部分の曲率半径Rとした各4個の内型と外型で角筒型缶胴への成形を行った。このようにして得られた缶胴について、角部の角度αと側壁部の凹みまたは張り出しによる変位量hを測定した。側壁部の変位量hは、缶内側への凹みの場合をプラス、缶外側への張り出しの場合をマイナスとして示した。それらの結果を表4〜表6に併せて示す。
表4〜表6に示されるように、本発明例はいずれも、缶胴角部の角度αが85°〜93°の範囲で且つ側壁部の変位量hが±1mm以内となっている。
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
なお、表4〜表6において、f1,f2は以下のように本発明の(1)式の左辺と右辺を示し、f3,f4は以下のように本発明の(2)式の左辺と右辺を示す。
【数3】
【符号の説明】
【0038】
1 側壁部
2 角部
3 内型
4 外型
30 内型加工面
40 外型加工面
400 先端部分
a 円筒体
A 角筒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の円筒体を被成形材とし、コーナー状の加工面を有するとともに、該加工面の両先端部分が断面円弧状に構成された外型と、先端に断面円弧状の加工面を有する内型とを用い、円筒体内側に位置する内型と円筒体外側に位置する外型とにより、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する角筒型缶胴の製造方法であって、
外型加工面の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面の開角θ(°)、外型加工面の先端部分の曲率半径R(mm)、内型加工面の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が下記(1)式および(2)式を満足する条件で、前記外型と内型による缶胴の成形を行うことを特徴とする金属缶胴の製造方法。
【数1】
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法で得られた金属缶胴の少なくとも一方の端部に蓋を固定し、金属缶とすることを特徴とする金属缶の製造方法。
【請求項1】
金属板の円筒体を被成形材とし、コーナー状の加工面を有するとともに、該加工面の両先端部分が断面円弧状に構成された外型と、先端に断面円弧状の加工面を有する内型とを用い、円筒体内側に位置する内型と円筒体外側に位置する外型とにより、角筒の角部となる円筒体部分を挟圧して角部を成形するとともに、外型により角筒の側壁部となる円筒体部分を円筒体内側方向に押圧して側壁部を成形する角筒型缶胴の製造方法であって、
外型加工面の開角θを90°未満とし、且つ外型加工面の開角θ(°)、外型加工面の先端部分の曲率半径R(mm)、内型加工面の曲率半径r(mm)、金属板の板厚t(mm)および金属板の降伏強度σ(N/mm2)が下記(1)式および(2)式を満足する条件で、前記外型と内型による缶胴の成形を行うことを特徴とする金属缶胴の製造方法。
【数1】
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法で得られた金属缶胴の少なくとも一方の端部に蓋を固定し、金属缶とすることを特徴とする金属缶の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−11213(P2011−11213A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155450(P2009−155450)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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