金属触媒担体、金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法及び金属触媒担体の製造方法
【課題】外筒に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる金属触媒担体の提供。
【解決手段】波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体1を該ハニカム体1の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材2の溶融により外筒3の内周にロウ付け保持される金属触媒担体C1であって、ロウ箔材2にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段がロウ箔材2の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cで構成されている。
【解決手段】波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体1を該ハニカム体1の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材2の溶融により外筒3の内周にロウ付け保持される金属触媒担体C1であって、ロウ箔材2にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段がロウ箔材2の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cで構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属触媒担体、金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法及び金属触媒担体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の金属触媒担体は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部にロウ箔材を巻回した状態で外筒に圧入した後に、高温の真空炉中で20分の加熱によりハニカム体の波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合すると同時に外筒とハニカム体を帯状にロウ付けしている。
ところが、ロウ付けの適正温度(1,100℃前後)は、拡散接合の適正温度(1,250℃前後)より低いため、拡散接合時にロウ箔材が溶融してハニカム体と外筒の隙間を毛細管現象によりロウ上り、ロウ下りというハニカム体の軸方向に沿って波状の不均一なロウ流れをもたらし、所望の接合領域以外にも接合することとなる。これは熱応力の拘束を助長する結果となり、金属製触媒担体の耐久性上大きな問題となる。
そこで、外筒の内周にロウ溜り溝を設けてロウ上りの防止する技術が公知になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−80083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外筒の内周にロウ溜り溝を設けるには、まず、平板に溝をプレス成形した後に、円筒状に曲げて両端縁部を溶接する必要があるため、製造に多く手間と時間が掛かるという問題点があった。
本発明の解決しようとする課題は、外筒に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる金属触媒担体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材により外筒の内周にロウ付け保持される金属触媒担体であって、ロウ箔材にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられていることを特徴とする手段とした。
また、請求項10記載の発明は、請求項6または7に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、送り出し装置とラス加工装置を用い、帯状に連続するロウ箔材母材を送り出し装置により間欠的に送り出しながらラス加工装置によりラス加工部を加工するラス加工工程と、送り出し装置による送り出しにより非ラス加工部を送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置を用いロウ箔材の製品一単位毎に切断する切断工程とからなることを特徴とする手段とした。
【0006】
また、請求項11記載の発明は、請求項10に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部のラス加工により形成される隆起部を非ラス加工部の厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備えることを特徴とする手段とした。
また、請求項12記載の発明は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材の溶融により外筒の内周にロウ付け保持され、ロウ箔材にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている金属触媒担体の製造方法であって、第1所定温度でロウ箔材の溶融による外筒に対するハニカム体のロウ付け固定を行い、第1所定温度よりは高い第2所定温度でハニカム体の拡散接合を行うことを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明では、上述のように、ロウ箔材にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている。
これにより、拡散接合時に必要以上に溶融したロウ箔材はロウ箔材自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、ロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、外筒に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
請求項10記載の発明では、上述のように、送り出し装置とラス加工装置を用い、帯状に連続するロウ箔材母材を送り出し装置により間欠的に送り出しながらラス加工装置によりラス加工部を加工するラス加工工程と、送り出し装置による送り出しにより非ラス加工部を送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置を用いロウ箔材の製品一単位毎に切断する切断工程とからなる。
これにより、一部にラス加工によるロウ溜まり手段を有するロウ箔材を効率的に製造することができる。
【0008】
請求項11記載の発明では、上述のように、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部のラス加工により形成される隆起部を非ラス加工部の厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備える。
これにより、ラス加工により形成される隆起部の圧縮成形を連続的に行えるため、隆起部のないロウ箔材を効率的に製造することができる。
請求項12記載の発明では、上述のように、第1所定温度でロウ箔材の溶融による外筒に対するハニカム体のロウ付け固定を行い、第1所定温度よりは高い第2所定温度でハニカム体の拡散接合を行う。
これにより、拡散接合時にロウ箔材が必要以上に溶融するが、この必要以上に溶融したロウ箔材はロウ箔材自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、ロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、ロウ付け温度より拡散接合温度が高い場合でも、外筒に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の金属触媒担体を示す断面図である。
【図2】実施例1のロウ箔材を示す一部切欠展開図である。
【図3】実施例1のロウ箔材のラス加工方法を示す工程説明図である。
【図4】実施例1のロウ箔材の連続成形状態を示す平面図である。
【図5】実施例1のロウ箔材における隆起部の圧縮加工方法を示す説明図である。
【図6】図5のA1矢視図である。
【図7】図5のA2矢視図である。
【図8】実施例1のロウ箔材の製品一単位毎の切断位置を示す説明図である。
【図9】実施例1の圧入装置を説明する図である。
【図10】実施例1の圧入治具の平面図である。
【図11】図10のS11-S11線における断面図である。
【図12】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図13】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図14】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図15】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図16】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図17】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図18】実施例1の排気系を説明する図である。
【図19】実施例2の金属触媒担体を示す断面図である。
【図20】実施例2のロウ箔材を示す一部切欠展開図である。
【図21】実施例2のロウ箔材における隆起部の圧縮加工方法を示す説明図である。
【図22】実施例2のロウ箔材の製品一単位毎の切断位置を示す説明図である。
【図23】実施例3の金属触媒担体を示す断面図である。
【図24】実施例4のロウ箔材を示す一部切欠展開図である。
【図25】実施例5のロウ箔材母材B1を示す斜視図である。
【図26】実施例6のロウ箔材母材B1を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
〔実施例1〕
まず、この実施例1の金属触媒担体を図面に基づいて説明する。
図1はこの実施例1の金属触媒担体を示す断面図、図2はロウ箔材を示す一部切欠展開図、図3はロウ箔材のラス加工方法を示す工程説明図、図4はロウ箔材の連続成形状態を示す平面図、図5は隆起部の圧縮加工方法を示す説明図、図6は図5のA1矢視図、図7は図5のA2矢視図、図8は製品一単位毎の切断位置を示す説明図である。
【0011】
実施例1の金属触媒担体C1は、図1に示すように、ハニカム体1と、ロウ箔材2と、外筒3と、を備えている。
さらに詳述すると、ハニカム体1は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されている。
ハニカム体1を構成する金属箔の板厚や材質は適宜設定できる。
例えば、両金属箔の厚みはそれぞれ20〜30μm前後、材質は高剛性のアルミニウムを含むステンレス合金製で、さらに、焼き鈍し、または緩い焼き入れ処理が施されて高剛性になっている。
具体的には、例えばクロム(Cr)、アルミ(Al)をベースに高温酸化で生成するAl2O3被膜(アルミナ被膜)の成長を抑制する効果の高いランタン(LA)等を添加した、耐高温酸化性に優れたフェライト系ステンレス鋼が採用されている。
フェライト系ステンレス鋼の一例としてJFE規格のJFE20-5USRまたはJFE18-3USRを挙げておく。
同様に、ロウ箔材2の板厚や材質も適宜設定できる。一般的にはロウ箔材2の厚みは金属箔と同等の厚み(20〜30μm前後)で、材質はニッケル系のロウ箔材である。
ロウ箔材2は、図2の展開図に示すように、ロウ箔材2の一方の軸方向端部に周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cが形成されている。
この貫通孔2cは、外筒3に対するハニカム体1のロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段を構成するもので、この実施例1ではラス加工により形成されている。
そして、この実施例1では、図1、2に示すように、ロウ箔材2は、ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回されている。
【0012】
また、ロウ箔材6は、図2に示すように、その周方向両端縁部に非ラス加工部2bが形成され、図1に示すように、該両非ラス加工部2bを重ねてスポット溶接P1されている。非ラス加工部は必ずしも設けなくてもスポット溶接は可能である。
後に詳述するが、ロウ箔材2のラス加工部2aでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dはラス加工後に非ラス加工部2b(ロウ箔材母材B1)の厚さまで平坦に圧縮成形される(図5参照)。
【0013】
次に、ラス加工による貫通孔2cを有するロウ箔材2の製造方法を、図3〜8に基づいて説明する。
まず、製造装置に付いて説明する。
ロウ箔材の製造には、送り出し装置4と、ラス加工装置5と、圧縮装置6と、切断装置7が用いられる。
送り出し装置4は、帯状に連続するロウ箔材母材B1をラス加工装置5及び圧縮装置6に順次送り出すもので、図3に示すように、上下一対の送り出しローラ41,41で構成されている。この送り出し装置4はロウ箔材母材B1の連続的な送り出しと間欠的な送り出しが行えるようになっている。
ラス加工装置5は、送り出し装置4によって送り出されるロウ箔材母材B1にラス加工により貫通孔2cを形成するもので、平坦な刃部51aを有する固定下刃51と、鋸刃状刃部52aを有する可動上刃52とで構成されている。可動上刃52は、上下方向への可動と、切断線方向への移動が可能になっている。
圧縮装置6は、ラス加工装置5により形成されるラス加工部2aでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dを非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形するもので、図4に示すように、上下一対の圧縮ローラ61,61で構成されている。
切断装置7は、ロウ箔材母材B1の一部にラス加工により貫通孔2cが形成されたロウ箔材2の製品一単位毎に切断するもので、図7に示すように、固定下刃71と、可動上刃72とで構成されている。
【0014】
次に、上記製造装置によるロウ箔材の製造方法を説明する。
<ラス加工>(図3(イ)〜(ヘ)参照)
(イ)ラス加工装置5の可動上刃52が上昇した状態で、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1の先端縁部がラス加工装置5の固定下刃51上に送り出す。
(ロ)可動上刃52を下降させ、一列目の貫通孔2cを加工する。
(ハ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出す。
(ニ)可動上刃52を貫通孔2cの幅(LW)の約1/2幅だけ横移動させる。
(ホ)可動上刃52を下降させ、二列目の貫通孔2cを加工する。
(ヘ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出すと共に、可動上刃52を貫通孔2cの幅LWの約1/2幅だけ横移動させた分だけ元の位置に戻す。
以上の工程を繰り返すことにより、ロウ箔材母材B1の一部にラス加工により貫通孔2cを形成する。
【0015】
そして、その後、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1を非ラス加工部2bの倍の長さ分だけ送り出し、ラス加工装置5によるラス加工を行う。このように、送り出し装置4による送り出しとラス加工装置5によるラス加工を交互に繰り返すことにより、図4に示すように、貫通孔2cを有するラス加工部2aと非ラス加工部2b,2bが交互に形成されたロウ箔材2が連続的に製造される。
なお、非ラス加工部2bを設けない場合は中断することなく連続ラス加工製造が可能となり効率的である。
【0016】
<圧縮加工>(図5〜8参照)
上記ラス加工装置5で貫通孔2cを有するラス加工部2aと非ラス加工部2b,2bが交互に形成されたロウ箔材母材B1は、圧縮装置6における上下一対のローラ61,61間を通過することで、ラス加工部2aでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dが非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形される。
<切断加工>(図8参照)
上記圧縮装置で隆起部2dが非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形されたロウ箔材母材B1は、連続して形成された両非ラス加工部2b,2bの境界K1部において切断装置7を構成する固定下刃71に向けて下降する可動上刃72で切断することにより、ラス加工による貫通孔2cが形成されたラス加工部2aの両端に非ラス加工部2b,2bが形成されたロウ箔材2の製品一単位毎に切断されていく。
【0017】
次に、実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する。
まず、外筒3に対するハニカム体1の組み付け方法を図9〜18に基づいて説明する。
図9は実施例1の圧入装置を説明する図、図10は実施例1の圧入治具の平面図、図11は図9のS11-S11線における断面図、図12〜17は実施例1の圧入装置の作動を説明する図、図18は実施例1の排気系を説明する図である。
ハニカム体1は、図1に示すように、該ハニカム体1の外周の軸方向一部である排気ガス流れ方向下流側寄りの位置にロウ箔材2を巻回しスポット溶接P1で固定した状態で外筒3内に圧入装着される。
この圧入工程では、公知の特開平11−197518号公報と同様の圧入装置10を用いてハニカム体1を外筒3内に収容する。
【0018】
<圧入装置について>
先ず、圧入装置10について詳述する。
図9において、水平な基台11上に立設されたタワーブロック12には、鉛直方向にレール13が延設されると共に、このレール13には昇降板14が摺動可能に係合されている。
昇降板14には、タワーブロック12に取付けられたエア式または油圧式等のシリンダ15のピストンロッド15aが連結しており、このシリンダ15の作動により昇降板14を上下動可能に構成されている。
また、昇降板14の上部には支持ブラケット16が備えられる一方、下部には支持ブラケット17が備えられている。
支持ブラケット16にはエア式または油圧式等のシリンダ18が鉛直方向に向けて装着される一方、支持ブラケット17には円筒状の圧入治具19がシリンダ18のピストンロッド18aと同軸上に装着されている。
ピストンロッド18aの下端には、円柱状の圧入ブロック20が連結されている。
なお、圧入ブロック20は、特開2001−341034号公報に記載のものと同様に径方向へ拡縮可能な構成にしても良い。
基台11上には、圧入治具19の下方で同軸上に配置されたワーク支持ブロック21が固設されると共に、このワーク支持ブロック21の上面には、外筒3の下端内周に嵌合する環状突起状の突起21aが形成されている。
さらに、圧入ブロック20の下方には同軸上に円盤状の支持体22が配置されている。
この支持体22の下部には、圧入治具19及びワーク支持ブロック21を貫通して基台11内に収容されたエア式または油圧式等のシリンダ23のピストンロッド23aが連結されており、このシリンダ23の作動により支持体22を上下動可能に構成されている。
【0019】
図10、11に示すように、圧入治具19には同軸上に入口端部19aと出口端部19bを有する貫通孔19cが形成されている。
貫通孔19cには、入口端部19aから先細りした傾斜面を有する傾斜部19dと、この傾斜部19dから出口端部19b側へ鉛直方向に延設された環状突起状のガイド部19eが備えられている。
なお、傾斜部19dとガイド部19eとは滑らかな曲面で接続されている。
さらに、貫通孔19cの出口端部19bには所定の曲率で面取り加工された曲部19f(図11参照)が形成されている。
【0020】
図11に示すように、貫通孔19cの入口端部19aの内径L1は巻回直後のハニカム体1の外径よりも大きく設定される一方、出口端部19bの内径L2はガイド部19eの板厚の分だけ外筒3の内径よりも小さい値に設定されている。
さらに、ガイド部19eにおける圧入治具19の底面19gからガイド部19eの下端までの突出長さL3は、前述したハニカム体1の各端面と外筒3のそれぞれ対応する端部3a(3b)からまでの長さH1と同じ値に設定されている。
【0021】
<圧入装置の作動について>
このように構成された圧入装置10では、先ず、シリンダ15のピストンロッド15aの収縮作動により昇降板14を上昇位置に停止させる。
また、図12に示すように、シリンダ23のピストンロッド23aの収縮作動により支持体22を突起21aと同一高さで停止させた状態として、ワーク支持ブロック21上に外筒3を載置する。
この際、外筒3の下端内側に突起21aを嵌合させることにより、外筒3を圧入治具19と同軸上に配置できる。
次に、図12、13に示すように、シリンダ15のピストンロッド15aの伸長作動により昇降板14を徐々に下降させて、圧入治具19のガイド部19eを外筒3の上端部内側に挿入して、外筒3の上端部が圧入治具19の底面19gに当接したところで昇降板14の下降を停止させる。
この際、外筒3の上端部が圧入治具19の底面19gに当接することで、ガイド部19eの外筒3内への挿入代を適正にできる。
【0022】
次に、図14に示すように、シリンダ23のピストンロッド23aの伸長作動により支持体22を圧入治具19の上端よりも僅かに上方となるように配置した後、支持体22上にハニカム体1を載置する。
次に、シリンダ18の伸長作動によりピストンロッド18aに結合された圧入ブロック20を徐々に下降させて、図15に示すように、圧入ブロック20の下面がハニカム体1の上面に当接したところで、シリンダ23のピストンロッド23aの収縮作動により支持体22を圧入ブロック20と同期させて下降させる。
その後、ハニカム体1の下端が圧入治具19の傾斜部19dに接触したところで、支持体22を増速して元位置に復帰させる(図14参照)。
一方、図16に示すように、圧入ブロック20はハニカム体1の上面を下方へ押して、圧入ブロック20の下端がガイド部19eの下端と同一高さか僅かに下方位置になるまで下降する。
これにより、ハニカム体1は、ガイド部19eを貫通して、外筒3内への圧入が開始され、圧入ブロック20の下端がガイド部19eの下端位置に達して、ハニカム体1がガイド部19eを完全に貫通したところで、外筒3内への圧入が終了する。
なお、ハニカム体1が収容された外筒3は、シリンダ15、18のピストンロッド15a、18aの収縮作動により、昇降板14(圧入治具19)を元位置に復帰させた後、ワーク支持ブロック21から取り外すことができる。
【0023】
<ハニカム体の損傷防止について>
ここで、図17に示すように、ガイド部19eは外筒3内の上端部から突出長さL3だけ移動した位置まで挿入されているため、ハニカム体1は外筒3の上端部から突出長さL3だけ移動した位置から外筒3内に圧入されることとなる。
これにより、ハニカム体1の圧入開始位置が外筒3の端部から軸方向内側位置へ突出長さL3だけ移動した位置になる。
従って、ハニカム体1の圧入距離を短くでき、ハニカム体1の変形・座屈を防止できる。
また、ハニカム体1の圧入距離を短くしたことで、圧入抵抗を軽減できる上、圧入に掛かる時間を短縮でき、結果的にハニカム体1の変形・座屈の防止に繋がる。
【0024】
さらに、貫通孔19cの出口端部19bには曲部19f(図12参照)が形成されているため、ハニカム体1を保護できると同時に、圧入治具19の耐用寿命を延ばすこともできる。
また、ガイド部19eの内径L2はガイド部19eの板厚の分だけ外筒3の内径よりも小さいため、ハニカム体1の外径を外筒3の内径よりも僅かに小さくした状態でハニカム体1を外筒3内に圧入できる。
これにより、ハニカム体1の圧入抵抗を低減でき、結果的にハニカム体1の変形・座屈の防止に繋がる。
このように、実施例1では、ハニカム体1の座屈を招くことなく、比較的小さい圧入荷重でもって、ハニカム体1を外筒3内にスムーズに圧入できる。
【0025】
<外筒端部の変形防止について>
また、従来の発明のようにハニカム体の圧入開始位置を外筒の上端部位置とした場合には、ハニカム体によって外筒の上端部に負担が掛かり、歪みが生じる虞がある。
これに対し、実施例1では外筒3の上端部に負担が掛かる虞がなく、真円度を維持することができる。
【0026】
次に、ハニカム体1における波板状の金属箔と平板状の金属箔の拡散接合とロウ箔材2の溶融による外筒3とハニカム体1のロウ付け固定方法について説明する
以上のようにハニカム体1の外周の軸方向一部である排気ガス流れ方向下流側寄りの位置にロウ箔材2を巻回した状態で外筒3内に圧入装着された金属触媒担体C1は、真空炉内で加熱することでハニカム体1の波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合すると同時に外筒3とハニカム体1を帯状にロウ付け固定することにより製造される。
即ち、真空炉内の温度を上昇させて行くことにより、まず、1,100℃(第1所定温度)でハニカム体1の外周一部と外筒3がロウ箔材2の溶融によりロウ付け固定され、1,250℃(第2所定温度)でハニカム体1の波板状金属箔と平板状金属箔の接している部が拡散接合される。
【0027】
このように構成された金属触媒担体C1は、外筒3の端部3a、3bが自動車の内燃機関排気系に連通接続された状態で介装される。
例えば、図18に示すように、自動車の内燃機関排気系は、排気上流側となるエンジンa1の図示しない排気ポートから各排気管a2〜a4を介して金属触媒担体C1、サブマフラa5、メインマフラa6が連通接続されている。
また、金属触媒担体C1の外筒3の端部3a、3bには、筒状のディフューザ24,25の一端部が溶接固定されている。
さらに、ディフューザ24,25の縮径した他端部にはそれぞれ対応する排気管a2,a3と締結するための接続フランジa7が溶接固定されている。
【0028】
次に、この実施例1の作用を説明する。
<ロウ流れ防止作用について>
ロウ箔材2にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段がロウ箔材2の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cで構成されることで、拡散接合のため加熱された時に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられた貫通孔2c内に広がり受け止められるため、ロウ箔材2の幅を越えてハニカム体1の軸方向に広がらないので外筒3に溝を設けることなしにロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
【0029】
<ロウ箔材の材料費低減作用について>
ロウ溜まり手段を構成する貫通孔2cがラス加工により形成されることで、ラス加工では貫通孔2cが切り開かれてロウ箔材2の貫通孔2cを含めた面積が広がるため、高価なニッケルロウ箔材2の使用量は、ロウ箔材2の面積比で数分の1(1/3〜1/5)ですむことなり、材料費の大幅低減が可能になる。つまり、同じ貫通孔2cを含めた面積のロウ箔材2をプレス等の打ち抜き加工で製造する場合に比べて廃棄する材料が無くなるためである。
なお、ラス加工による貫通孔2cの大きさは、任意であるが、1.4×2.0mm程度まで小さくすることが望ましい。
また、貫通孔2cの大きさが1.4×2.0mmの場合に網部の幅を0.4mmとすることで、ロウ箔材2の使用量は、ロウ箔材2の面積比で約1/5まで減少させることができる。
【0030】
<ロウ箔材の生産性向上作用について>
ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回することで、金属触媒担体C1の直径が変わっても、同じ幅のロウ箔材母材B1で切断長さを変えるだけであるため、幅鋸となる複数のロウ箔材母材B1を準備する必要がなくなる。
ハニカム体1の外周長さの異なるものを製造する場合に任意の位置で切断し、巻回後スポット溶接でハニカム体1の外周に固定することができる。
なお、この実施例1におけるようにロウ箔材2の両端に非ラス加工部2b,2bを形成する場合は、金属触媒担体C1の直径に応じて送り出し装置4による送り出し量を変えればよい。
【0031】
<組み付け性向上作用について>
ロウ箔材2のラス加工により形成される隆起部2dが平坦に圧縮成形されることで、一部にロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の摩擦抵抗が低減し、スムーズに圧入することができる。
また、ロウ箔材2がラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回されることにより、ロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の、ラス加工により形成される隆起部2dによる摩擦抵抗がラス加工により切り開かれる方向を軸方向とする場合に比べて小さくなるため、隆起部2dを平坦に圧縮成形しない場合でもハニカム体1を外筒3内にスムーズに圧入装着できるようになる。
【0032】
<金属触媒担体の耐久性向上作用について>
ハニカム体1は、該ハニカム体1の外周の軸方向一部にロウ箔材2を巻回した状態で外筒3内に圧入装着されてロウ接される。これによりハニカム体1の軸方向に溶融したロウ材が所定範囲内にとどまり、広がらないようになることで、ハニカム体1のロウ箔材2が巻回されていない部分は軸方向及び半径方向に自由に熱膨張収縮できるため、高温の排気ガスが流通したときの熱膨張、冷却時の熱収縮時における熱応力の集中を防止、耐久性を向上させることができる。
【0033】
<ロウ箔材の製造効率化作用について>
送り出し装置4とラス加工装置5を用い、帯状に連続するロウ箔材母材B1を送り出し装置4により間欠的に送り出しながらラス加工装置5によりラス加工部2aを加工するラス加工工程と、送り出し装置4による送り出しにより非ラス加工部2bを送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置7によりロウ箔材2の製品一単位毎に切断する切断工程とからなる製造装置を用いることで、ラス加工による貫通孔2c(ロウ溜まり手段)が形成されたラス加工部2aの両端に非ラス加工部2b,2bが形成されたロウ箔材2を効率的に製造することができる。
【0034】
なお、非ラス加工部2bを設けない場合は中断することなく連続ラス加工製造が可能となり効率的である。
また、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部2aのラス加工により形成される隆起部2dを圧縮装置6により非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備えることで、ラス加工により形成される隆起部2dの圧縮成形を連続的に行えるため、隆起部2dのないロウ箔材2を効率的に製造することができる。
【0035】
次に、実施例1の効果を列挙する。
(1) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ箔材2にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている。
これにより、拡散接合時に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、必要以上にハニカム体1と外筒3の間に広がらない。所謂メタルロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、外筒3に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
(2) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ溜まり手段がロウ箔材2の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cで構成されている。
これにより、拡散接合時に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられた貫通孔2c(ロウ溜まり手段)に受け止められるため必要以上にハニカム体1と外筒3の間に広がらない。所謂、ロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、外筒3に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
(3) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ溜まり手段を構成する貫通孔2cがラス加工により形成されている。
このように、ラス加工では貫通孔2cが切り開かれてロウ箔材2の面積が広がるため、高価なニッケルロウ箔材2の使用量は、ロウ箔材2の面積比で数分の1(1/3〜1/5)ですむことなり、材料費の大幅低減が可能になる。
【0036】
(4) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ箔材2がラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回されている。
これにより、ロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の、ラス加工により形成される隆起部2dによる摩擦抵抗がラス加工により切り開かれる方向を軸方向とする場合に比べて小さくなるため、隆起部2dを平坦に圧縮成形しない場合でもハニカム体1を外筒3内にスムーズに圧入装着できるようになる。
さらに、ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回することにより、金属触媒担体C1の直径が変わっても、同じ幅のロウ箔材母材B1で切断長さを変えるだけであるため、幅鋸となる複数のロウ箔材母材B1を準備する必要がなくなる。なお、この実施例1におけるようにロウ箔材2の両端に非ラス加工部2b,2bを形成する場合は、金属触媒担体C1の直径に応じて送り出し装置4による送り出し量を変えればよい。
また、非ラス加工部2bは、ロウ箔材2の成形の長手方向に任意の間隔で連続的に設けることにより、任意に切断してハニカム体1の周囲に巻回し任意の位置でスポット溶接P1することができるようになる。また、ハニカム体1の半径方向の大きさの種類の異なるものに対して公倍数的に間隔を設けることにより、1種類のラス加工ロウ箔材2で異なる半径のハニカム体1へ対応することも可能になる。
【0037】
(5) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ箔材2のラス加工により形成される隆起部2dが平坦に圧縮成形されている。
これにより、一部にロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の摩擦抵抗が低減し、スムーズに圧入することができる。
(6) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ハニカム体1は、該ハニカム体1の外周の軸方向一部にロウ箔材2を巻回した状態で外筒3内に圧入装着されている。
これにより、ハニカム体1のロウ箔材2が巻回されていない部は軸方向及び半径方向に自由に熱膨張収縮できるため、外筒3とハニカム体1との間の熱応力の集中を防止、耐久性を向上させることができる。
(7) 実施例1の金属触媒担体の製造方法では、上述のように、送り出し装置4とラス加工装置5を用い、帯状に連続するロウ箔材母材B1を送り出し装置4により間欠的に送り出しながらラス加工装置5によりラス加工部2aを加工するラス加工工程と、送り出し装置4による送り出しにより非ラス加工部2bを送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置7を用いロウ箔材2の製品一単位毎に切断する切断工程とからなる。
これにより、一部にラス加工によるロウ溜まり手段を有するロウ箔材2を効率的に製造することができる。
【0038】
(8) 実施例1の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法では、上述のように、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部2aのラス加工により形成される隆起部2dを圧縮装置6により非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備える。
これにより、ラス加工により形成される隆起部2dの圧縮成形を連続的に行えるため、隆起部2dのないロウ箔材2を効率的に製造することができる。
(9) 実施例1の金属触媒担体の製造方法では、上述のように、1,100℃(第1所定温度)でロウ箔材の溶融による外筒に対するハニカム体のロウ付け固定を行い、1,100℃(第1所定温度)よりは高い1,250℃(第2所定温度)でハニカム体の拡散接合を行う。
これにより、拡散接合時にロウ箔材2が必要以上に溶融するが、この必要以上に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、ロウ上り、ロウ下りというロウが外筒3とハニカム体1の隙間に広がるロウ流れを防止できる。
従って、ロウ付け温度より拡散接合温度が高い場合でも、外筒3に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
【0039】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0040】
〔実施例2〕
この実施例2は、実施例1におけるロウ箔材の変形例を示すものであり、図19(金属触媒担体を示す断面図)、図20(ロウ箔材の一部切欠展開図)に示すように、ロウ箔材2が、ラス加工により切り開かれる方向を軸方向として前記ハニカム体の外周に巻回されるもので、該ロウ箔材2の排気ガス上流側となる軸方向端部の貫通孔2cが形成されたラス加工部2eと、排気ガス下流側となる軸方向端部側の貫通孔2cが形成されていない非ラス加工部2fとで構成されている点が、上記実施例1とは相違したものである。
【0041】
次に、ラス加工による貫通孔2cを有するロウ箔材2の製造方法を、図3〜8に基づいて説明する。
この実施例2では、上記実施例1で用いた製造装置が用いられる。
<ラス加工>(図3(イ)〜(ヘ)参照)
(イ)ラス加工装置5の可動上刃52が上昇した状態で、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1の先端縁部がラス加工装置5の固定下刃51上に送り出す。
(ロ)可動上刃52を下降させ、一列目の貫通孔2cを加工する。
(ハ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出す。
(ニ)可動上刃52を貫通孔2cの幅(LW)の約1/2幅だけ横移動させる。
(ホ)可動上刃52を下降させ、二列目の貫通孔2cを加工する。
(ヘ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出すと共に、可動上刃52を貫通孔2cの幅LWの約1/2幅だけ横移動させた分だけ元の位置に戻す。
以上の工程を繰り返すことにより、ロウ箔材母材B1の一部にラス加工により貫通孔2cを形成する。
【0042】
そして、その後、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1を非ラス加工部2fの長さ分だけ送り出した後、ラス加工装置5によるラス加工を行う。このように、送り出し装置4による送り出しとラス加工装置5によるラス加工を交互に繰り返すことにより、一部に貫通孔2cを有するラス加工部2eを備えたロウ箔材2が連続的に製造される。
【0043】
<圧縮加工>(図21参照)
上記ラス加工装置5で一部に貫通孔2cが形成されたロウ箔材母材B1は、圧縮装置6における上下一対のローラ61,61間を通過することで、ラス加工部2eでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dが非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形される。
<切断加工>(図22参照)
上記圧縮装置で隆起部2dが非ラス加工部2fの厚さまで平坦に圧縮成形されたロウ箔材母材B1は、非ラス加工部2fとラス加工部2eとの境界K2部において切断装置7を構成する固定下刃71に向けて下降する可動上刃72により、一部にラス加工による貫通孔2cが形成されたロウ箔材2の製品一単位毎に切断されていく。
以上のようにして形成されたロウ箔材2は、図19、20に示すように、ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を軸方向としてハニカム体1の外周に巻回し、ロウ箔材2の周方向両縁部同士を重ね、両非ラス加工部2f、2fをスポット溶接P1することでハニカム体1に取り付けられている。
【0044】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例2の金属製触媒担体では、上記実施例1とほぼ同様の効果が得られる他、ロウ流れ防止に最小限必要なロウ箔材2の軸方向端部だけをラス加工することにより、ラス加工の作業時間が短縮され、加工費の低減と、生産性の向上が可能になるという追加の効果が得られる。
【0045】
〔実施例3〕
この実施例3は、実施例1におけるロウ箔材の変形例を示すものであり、図23(金属触媒担体を示す断面図)に示すように、ロウ箔材2の軸方向両端部に貫通孔2cが形成されたラス加工部2eと、ロウ箔材2の軸方向中央部の貫通孔2cが形成されていない非ラス加工部2fとで構成され、ロウ箔材2がハニカム体1の軸方向中央部に配置されている点が、上記実施例1とは相違したものである。
このように、ロウ箔材2をハニカム体1の軸方向中央部に配置することにより、ハニカム体1が軸方向均一に熱膨張収縮するため、軸方向における熱応力の集中を防止することができる。
【0046】
〔実施例4〕
この実施例4は、実施例1におけるロウ箔材の変形例を示すものであり、図24(ロウ箔材の展開図)に示すように、ロウ箔材2の全体にラス加工による貫通孔2cを形成した点が、実施例1、2とは相違したものである。
このように、ロウ箔材2の全体にラス加工による貫通孔2cを形成したラス加工部2eとすることにより、高価なニッケルロウ箔材2の使用量を最大限に少なくでき、材料費の大幅低減が可能になる。
【0047】
〔実施例5〕
実施例5は、ロウ箔材の構造が実施例1と異なる。図25は、実施例5のロウ箔材母材B1を示す斜視図であり、ロウ箔材母材B1は、箔材26の両面をロウ層27,28で挟んだ三層構造である。
箔材26は、ハニカム体1と同一のフェライト系ステンレス鋼、例えば、JFE規格のJFE20-5USRまたはJFE18-3USRで形成されている。箔材26は、必ずしもハニカム体1と同一のステンレス鋼でなくてもよい。例えば、オーステナイト系ステンレス鋼を用いることができる。なお、箔材26の厚みは、例えば、10〜20μmとする。
ロウ層27,28は、Ni基の粉末ロウ材(ニッケル系ロウ材)を有機バインダによりペースト状にしたものを適当な厚さ(例えば、20μm)で箔材26にプリント塗布したものである。ここで、有機バインダとは、ロウ材を箔材26に被膜として構成させるための結合剤であって、例えば、樹脂が用いられる。
実施例5のロウ箔材母材B1を用い、実施例1に示したロウ箔材の製造方法を用いてロウ箔材を製造することで、箔材26の両面をロウ層27,28で被覆したロウ箔材が得られる。
【0048】
次に、実施例5の作用を説明する。
ロウ箔材をニッケル系ロウ材による単層構造、つまり、ロウ材そのもので形成した場合、アモルファス合金は脆く、塑性加工性に劣るため、ラス加工が困難である。
これに対し、実施例5では、ロウ箔材をフェライト系ステンレス鋼による箔材26と、その両面にプリント塗布されたNi基の粉末ロウ材によるロウ層27,28との三層構造とした。フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系であり、ニッケル系と比較して成形性に優れるため、ラス加工性を向上できる。また、ハニカム体1における波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合する際、ロウ層27,28を構成するロウ材が溶融することで、ハニカム体1と外筒3とをロウ付け固定できる。
【0049】
つまり、実施例5のロウ箔材では、ステンレス鋼による箔材26を用いてラス加工時の加工性を高めつつ、箔材26の両面にロウ層27,28を塗布することで、ハニカム体1と外筒3とをロウ付け固定するロウ箔材としての機能を担保しようとするものである。さらに、箔材26はハニカム体1の使用条件によるが、オーステナイト系、フェライト系の安価なステンレス鋼を採用できるため、ロウ箔材を高価なニッケル系ロウ材のみで形成したものと比較して、製造コストを大幅に低減できる。
【0050】
次に、実施例5の効果を説明する。
実施例5の金属触媒担体では、上記実施例1とほぼ同様の効果が得られる他、ロウ箔材母材B1を、ステンレス鋼の箔材26と、その両面にNi基の粉末ロウ材を有機バインダによりペースト状にしたものをプリント塗布したロウ層27,28とから構成したため、ラス加工時の加工性を高めることができる。また、安価なステンレス鋼を用いることができるため、製造コストを低減できる。
【0051】
〔実施例6〕
図26は、実施例6のロウ箔材母材B1を示す斜視図である。
実施例5では、ラス加工前に箔材26の両面にロウ層27,28を被覆する例を示したが、実施例6では、箔材26のみからなるロウ箔材母材B1をラス加工した後、箔材26の片面にNi基の粉末ロウ材を有機バインダによりペースト状にしてロウ層29を形成している。ロウ層29の厚みは、実施例5のロウ層27,28よりも厚くする。
次に、実施例6の作用を説明する。
実施例6では、箔材26の片面側にのみロウ層29を設けたが、ロウ層29の厚みを適宜コントロールすることで、波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合する際、ロウ層29を構成するロウ材が溶融流動して貫通孔2cから箔材26のロウ層29が設けられていない他面側に至り、ハニカム体1と外筒3とをロウ付け固定できる。また、ロウ層を片面のみとすることで、ロウ箔材26をより薄くできるため、ハニカム体1を外筒3に圧入する圧入工程における作業性を高めることができる。
他の作用および効果については実施例5と同様である。
【0052】
〔実施例7〕
実施例7は、ロウ箔材の構造が実施例1と異なる。
実施例7では、融点が1,200℃以下であって、かつ冷間圧延可能な低合金N基合金を冷間圧延加工してロウ箔材母材B1を形成している。ロウ箔材簿材B1の厚みは実施例1と同様、20〜30μm前後とする。なお、融点は、ハニカム体1の拡散接合の適正温度(1,250℃)よりも低い温度であればよい。
次に、実施例7の作用を説明する。
従来のロウ箔材は、ニッケル系合金を急冷箔帯加工したアモルファス体であるため、ラス加工時の成形性に劣るという問題があった。これに対し、実施例7では、冷間圧延可能なロウ箔材母材B1を用いているため、ラス加工時の成形性を高めることができる。
【0053】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、貫通孔をラス加工により形成したが、打ち抜きによるパンチング孔としてもよい。
また、実施例では、波状の金属箔と平板状の金属箔とを用いたが、平板状の金属箔に代えて小波状の金属箔を用いてもよい。
実施例2〜4において、実施例5〜7に示したロウ箔材を用いることで、実施例5〜7と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 ハニカム体
2 ロウ箔材
3 外筒
2c 貫通孔(ロウ溜まり手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属触媒担体、金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法及び金属触媒担体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の金属触媒担体は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部にロウ箔材を巻回した状態で外筒に圧入した後に、高温の真空炉中で20分の加熱によりハニカム体の波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合すると同時に外筒とハニカム体を帯状にロウ付けしている。
ところが、ロウ付けの適正温度(1,100℃前後)は、拡散接合の適正温度(1,250℃前後)より低いため、拡散接合時にロウ箔材が溶融してハニカム体と外筒の隙間を毛細管現象によりロウ上り、ロウ下りというハニカム体の軸方向に沿って波状の不均一なロウ流れをもたらし、所望の接合領域以外にも接合することとなる。これは熱応力の拘束を助長する結果となり、金属製触媒担体の耐久性上大きな問題となる。
そこで、外筒の内周にロウ溜り溝を設けてロウ上りの防止する技術が公知になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−80083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外筒の内周にロウ溜り溝を設けるには、まず、平板に溝をプレス成形した後に、円筒状に曲げて両端縁部を溶接する必要があるため、製造に多く手間と時間が掛かるという問題点があった。
本発明の解決しようとする課題は、外筒に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる金属触媒担体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材により外筒の内周にロウ付け保持される金属触媒担体であって、ロウ箔材にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられていることを特徴とする手段とした。
また、請求項10記載の発明は、請求項6または7に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、送り出し装置とラス加工装置を用い、帯状に連続するロウ箔材母材を送り出し装置により間欠的に送り出しながらラス加工装置によりラス加工部を加工するラス加工工程と、送り出し装置による送り出しにより非ラス加工部を送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置を用いロウ箔材の製品一単位毎に切断する切断工程とからなることを特徴とする手段とした。
【0006】
また、請求項11記載の発明は、請求項10に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部のラス加工により形成される隆起部を非ラス加工部の厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備えることを特徴とする手段とした。
また、請求項12記載の発明は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材の溶融により外筒の内周にロウ付け保持され、ロウ箔材にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている金属触媒担体の製造方法であって、第1所定温度でロウ箔材の溶融による外筒に対するハニカム体のロウ付け固定を行い、第1所定温度よりは高い第2所定温度でハニカム体の拡散接合を行うことを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明では、上述のように、ロウ箔材にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている。
これにより、拡散接合時に必要以上に溶融したロウ箔材はロウ箔材自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、ロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、外筒に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
請求項10記載の発明では、上述のように、送り出し装置とラス加工装置を用い、帯状に連続するロウ箔材母材を送り出し装置により間欠的に送り出しながらラス加工装置によりラス加工部を加工するラス加工工程と、送り出し装置による送り出しにより非ラス加工部を送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置を用いロウ箔材の製品一単位毎に切断する切断工程とからなる。
これにより、一部にラス加工によるロウ溜まり手段を有するロウ箔材を効率的に製造することができる。
【0008】
請求項11記載の発明では、上述のように、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部のラス加工により形成される隆起部を非ラス加工部の厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備える。
これにより、ラス加工により形成される隆起部の圧縮成形を連続的に行えるため、隆起部のないロウ箔材を効率的に製造することができる。
請求項12記載の発明では、上述のように、第1所定温度でロウ箔材の溶融による外筒に対するハニカム体のロウ付け固定を行い、第1所定温度よりは高い第2所定温度でハニカム体の拡散接合を行う。
これにより、拡散接合時にロウ箔材が必要以上に溶融するが、この必要以上に溶融したロウ箔材はロウ箔材自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、ロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、ロウ付け温度より拡散接合温度が高い場合でも、外筒に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の金属触媒担体を示す断面図である。
【図2】実施例1のロウ箔材を示す一部切欠展開図である。
【図3】実施例1のロウ箔材のラス加工方法を示す工程説明図である。
【図4】実施例1のロウ箔材の連続成形状態を示す平面図である。
【図5】実施例1のロウ箔材における隆起部の圧縮加工方法を示す説明図である。
【図6】図5のA1矢視図である。
【図7】図5のA2矢視図である。
【図8】実施例1のロウ箔材の製品一単位毎の切断位置を示す説明図である。
【図9】実施例1の圧入装置を説明する図である。
【図10】実施例1の圧入治具の平面図である。
【図11】図10のS11-S11線における断面図である。
【図12】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図13】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図14】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図15】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図16】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図17】実施例1の圧入装置の作動を説明する図である。
【図18】実施例1の排気系を説明する図である。
【図19】実施例2の金属触媒担体を示す断面図である。
【図20】実施例2のロウ箔材を示す一部切欠展開図である。
【図21】実施例2のロウ箔材における隆起部の圧縮加工方法を示す説明図である。
【図22】実施例2のロウ箔材の製品一単位毎の切断位置を示す説明図である。
【図23】実施例3の金属触媒担体を示す断面図である。
【図24】実施例4のロウ箔材を示す一部切欠展開図である。
【図25】実施例5のロウ箔材母材B1を示す斜視図である。
【図26】実施例6のロウ箔材母材B1を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
〔実施例1〕
まず、この実施例1の金属触媒担体を図面に基づいて説明する。
図1はこの実施例1の金属触媒担体を示す断面図、図2はロウ箔材を示す一部切欠展開図、図3はロウ箔材のラス加工方法を示す工程説明図、図4はロウ箔材の連続成形状態を示す平面図、図5は隆起部の圧縮加工方法を示す説明図、図6は図5のA1矢視図、図7は図5のA2矢視図、図8は製品一単位毎の切断位置を示す説明図である。
【0011】
実施例1の金属触媒担体C1は、図1に示すように、ハニカム体1と、ロウ箔材2と、外筒3と、を備えている。
さらに詳述すると、ハニカム体1は、波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されている。
ハニカム体1を構成する金属箔の板厚や材質は適宜設定できる。
例えば、両金属箔の厚みはそれぞれ20〜30μm前後、材質は高剛性のアルミニウムを含むステンレス合金製で、さらに、焼き鈍し、または緩い焼き入れ処理が施されて高剛性になっている。
具体的には、例えばクロム(Cr)、アルミ(Al)をベースに高温酸化で生成するAl2O3被膜(アルミナ被膜)の成長を抑制する効果の高いランタン(LA)等を添加した、耐高温酸化性に優れたフェライト系ステンレス鋼が採用されている。
フェライト系ステンレス鋼の一例としてJFE規格のJFE20-5USRまたはJFE18-3USRを挙げておく。
同様に、ロウ箔材2の板厚や材質も適宜設定できる。一般的にはロウ箔材2の厚みは金属箔と同等の厚み(20〜30μm前後)で、材質はニッケル系のロウ箔材である。
ロウ箔材2は、図2の展開図に示すように、ロウ箔材2の一方の軸方向端部に周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cが形成されている。
この貫通孔2cは、外筒3に対するハニカム体1のロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段を構成するもので、この実施例1ではラス加工により形成されている。
そして、この実施例1では、図1、2に示すように、ロウ箔材2は、ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回されている。
【0012】
また、ロウ箔材6は、図2に示すように、その周方向両端縁部に非ラス加工部2bが形成され、図1に示すように、該両非ラス加工部2bを重ねてスポット溶接P1されている。非ラス加工部は必ずしも設けなくてもスポット溶接は可能である。
後に詳述するが、ロウ箔材2のラス加工部2aでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dはラス加工後に非ラス加工部2b(ロウ箔材母材B1)の厚さまで平坦に圧縮成形される(図5参照)。
【0013】
次に、ラス加工による貫通孔2cを有するロウ箔材2の製造方法を、図3〜8に基づいて説明する。
まず、製造装置に付いて説明する。
ロウ箔材の製造には、送り出し装置4と、ラス加工装置5と、圧縮装置6と、切断装置7が用いられる。
送り出し装置4は、帯状に連続するロウ箔材母材B1をラス加工装置5及び圧縮装置6に順次送り出すもので、図3に示すように、上下一対の送り出しローラ41,41で構成されている。この送り出し装置4はロウ箔材母材B1の連続的な送り出しと間欠的な送り出しが行えるようになっている。
ラス加工装置5は、送り出し装置4によって送り出されるロウ箔材母材B1にラス加工により貫通孔2cを形成するもので、平坦な刃部51aを有する固定下刃51と、鋸刃状刃部52aを有する可動上刃52とで構成されている。可動上刃52は、上下方向への可動と、切断線方向への移動が可能になっている。
圧縮装置6は、ラス加工装置5により形成されるラス加工部2aでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dを非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形するもので、図4に示すように、上下一対の圧縮ローラ61,61で構成されている。
切断装置7は、ロウ箔材母材B1の一部にラス加工により貫通孔2cが形成されたロウ箔材2の製品一単位毎に切断するもので、図7に示すように、固定下刃71と、可動上刃72とで構成されている。
【0014】
次に、上記製造装置によるロウ箔材の製造方法を説明する。
<ラス加工>(図3(イ)〜(ヘ)参照)
(イ)ラス加工装置5の可動上刃52が上昇した状態で、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1の先端縁部がラス加工装置5の固定下刃51上に送り出す。
(ロ)可動上刃52を下降させ、一列目の貫通孔2cを加工する。
(ハ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出す。
(ニ)可動上刃52を貫通孔2cの幅(LW)の約1/2幅だけ横移動させる。
(ホ)可動上刃52を下降させ、二列目の貫通孔2cを加工する。
(ヘ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出すと共に、可動上刃52を貫通孔2cの幅LWの約1/2幅だけ横移動させた分だけ元の位置に戻す。
以上の工程を繰り返すことにより、ロウ箔材母材B1の一部にラス加工により貫通孔2cを形成する。
【0015】
そして、その後、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1を非ラス加工部2bの倍の長さ分だけ送り出し、ラス加工装置5によるラス加工を行う。このように、送り出し装置4による送り出しとラス加工装置5によるラス加工を交互に繰り返すことにより、図4に示すように、貫通孔2cを有するラス加工部2aと非ラス加工部2b,2bが交互に形成されたロウ箔材2が連続的に製造される。
なお、非ラス加工部2bを設けない場合は中断することなく連続ラス加工製造が可能となり効率的である。
【0016】
<圧縮加工>(図5〜8参照)
上記ラス加工装置5で貫通孔2cを有するラス加工部2aと非ラス加工部2b,2bが交互に形成されたロウ箔材母材B1は、圧縮装置6における上下一対のローラ61,61間を通過することで、ラス加工部2aでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dが非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形される。
<切断加工>(図8参照)
上記圧縮装置で隆起部2dが非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形されたロウ箔材母材B1は、連続して形成された両非ラス加工部2b,2bの境界K1部において切断装置7を構成する固定下刃71に向けて下降する可動上刃72で切断することにより、ラス加工による貫通孔2cが形成されたラス加工部2aの両端に非ラス加工部2b,2bが形成されたロウ箔材2の製品一単位毎に切断されていく。
【0017】
次に、実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する。
まず、外筒3に対するハニカム体1の組み付け方法を図9〜18に基づいて説明する。
図9は実施例1の圧入装置を説明する図、図10は実施例1の圧入治具の平面図、図11は図9のS11-S11線における断面図、図12〜17は実施例1の圧入装置の作動を説明する図、図18は実施例1の排気系を説明する図である。
ハニカム体1は、図1に示すように、該ハニカム体1の外周の軸方向一部である排気ガス流れ方向下流側寄りの位置にロウ箔材2を巻回しスポット溶接P1で固定した状態で外筒3内に圧入装着される。
この圧入工程では、公知の特開平11−197518号公報と同様の圧入装置10を用いてハニカム体1を外筒3内に収容する。
【0018】
<圧入装置について>
先ず、圧入装置10について詳述する。
図9において、水平な基台11上に立設されたタワーブロック12には、鉛直方向にレール13が延設されると共に、このレール13には昇降板14が摺動可能に係合されている。
昇降板14には、タワーブロック12に取付けられたエア式または油圧式等のシリンダ15のピストンロッド15aが連結しており、このシリンダ15の作動により昇降板14を上下動可能に構成されている。
また、昇降板14の上部には支持ブラケット16が備えられる一方、下部には支持ブラケット17が備えられている。
支持ブラケット16にはエア式または油圧式等のシリンダ18が鉛直方向に向けて装着される一方、支持ブラケット17には円筒状の圧入治具19がシリンダ18のピストンロッド18aと同軸上に装着されている。
ピストンロッド18aの下端には、円柱状の圧入ブロック20が連結されている。
なお、圧入ブロック20は、特開2001−341034号公報に記載のものと同様に径方向へ拡縮可能な構成にしても良い。
基台11上には、圧入治具19の下方で同軸上に配置されたワーク支持ブロック21が固設されると共に、このワーク支持ブロック21の上面には、外筒3の下端内周に嵌合する環状突起状の突起21aが形成されている。
さらに、圧入ブロック20の下方には同軸上に円盤状の支持体22が配置されている。
この支持体22の下部には、圧入治具19及びワーク支持ブロック21を貫通して基台11内に収容されたエア式または油圧式等のシリンダ23のピストンロッド23aが連結されており、このシリンダ23の作動により支持体22を上下動可能に構成されている。
【0019】
図10、11に示すように、圧入治具19には同軸上に入口端部19aと出口端部19bを有する貫通孔19cが形成されている。
貫通孔19cには、入口端部19aから先細りした傾斜面を有する傾斜部19dと、この傾斜部19dから出口端部19b側へ鉛直方向に延設された環状突起状のガイド部19eが備えられている。
なお、傾斜部19dとガイド部19eとは滑らかな曲面で接続されている。
さらに、貫通孔19cの出口端部19bには所定の曲率で面取り加工された曲部19f(図11参照)が形成されている。
【0020】
図11に示すように、貫通孔19cの入口端部19aの内径L1は巻回直後のハニカム体1の外径よりも大きく設定される一方、出口端部19bの内径L2はガイド部19eの板厚の分だけ外筒3の内径よりも小さい値に設定されている。
さらに、ガイド部19eにおける圧入治具19の底面19gからガイド部19eの下端までの突出長さL3は、前述したハニカム体1の各端面と外筒3のそれぞれ対応する端部3a(3b)からまでの長さH1と同じ値に設定されている。
【0021】
<圧入装置の作動について>
このように構成された圧入装置10では、先ず、シリンダ15のピストンロッド15aの収縮作動により昇降板14を上昇位置に停止させる。
また、図12に示すように、シリンダ23のピストンロッド23aの収縮作動により支持体22を突起21aと同一高さで停止させた状態として、ワーク支持ブロック21上に外筒3を載置する。
この際、外筒3の下端内側に突起21aを嵌合させることにより、外筒3を圧入治具19と同軸上に配置できる。
次に、図12、13に示すように、シリンダ15のピストンロッド15aの伸長作動により昇降板14を徐々に下降させて、圧入治具19のガイド部19eを外筒3の上端部内側に挿入して、外筒3の上端部が圧入治具19の底面19gに当接したところで昇降板14の下降を停止させる。
この際、外筒3の上端部が圧入治具19の底面19gに当接することで、ガイド部19eの外筒3内への挿入代を適正にできる。
【0022】
次に、図14に示すように、シリンダ23のピストンロッド23aの伸長作動により支持体22を圧入治具19の上端よりも僅かに上方となるように配置した後、支持体22上にハニカム体1を載置する。
次に、シリンダ18の伸長作動によりピストンロッド18aに結合された圧入ブロック20を徐々に下降させて、図15に示すように、圧入ブロック20の下面がハニカム体1の上面に当接したところで、シリンダ23のピストンロッド23aの収縮作動により支持体22を圧入ブロック20と同期させて下降させる。
その後、ハニカム体1の下端が圧入治具19の傾斜部19dに接触したところで、支持体22を増速して元位置に復帰させる(図14参照)。
一方、図16に示すように、圧入ブロック20はハニカム体1の上面を下方へ押して、圧入ブロック20の下端がガイド部19eの下端と同一高さか僅かに下方位置になるまで下降する。
これにより、ハニカム体1は、ガイド部19eを貫通して、外筒3内への圧入が開始され、圧入ブロック20の下端がガイド部19eの下端位置に達して、ハニカム体1がガイド部19eを完全に貫通したところで、外筒3内への圧入が終了する。
なお、ハニカム体1が収容された外筒3は、シリンダ15、18のピストンロッド15a、18aの収縮作動により、昇降板14(圧入治具19)を元位置に復帰させた後、ワーク支持ブロック21から取り外すことができる。
【0023】
<ハニカム体の損傷防止について>
ここで、図17に示すように、ガイド部19eは外筒3内の上端部から突出長さL3だけ移動した位置まで挿入されているため、ハニカム体1は外筒3の上端部から突出長さL3だけ移動した位置から外筒3内に圧入されることとなる。
これにより、ハニカム体1の圧入開始位置が外筒3の端部から軸方向内側位置へ突出長さL3だけ移動した位置になる。
従って、ハニカム体1の圧入距離を短くでき、ハニカム体1の変形・座屈を防止できる。
また、ハニカム体1の圧入距離を短くしたことで、圧入抵抗を軽減できる上、圧入に掛かる時間を短縮でき、結果的にハニカム体1の変形・座屈の防止に繋がる。
【0024】
さらに、貫通孔19cの出口端部19bには曲部19f(図12参照)が形成されているため、ハニカム体1を保護できると同時に、圧入治具19の耐用寿命を延ばすこともできる。
また、ガイド部19eの内径L2はガイド部19eの板厚の分だけ外筒3の内径よりも小さいため、ハニカム体1の外径を外筒3の内径よりも僅かに小さくした状態でハニカム体1を外筒3内に圧入できる。
これにより、ハニカム体1の圧入抵抗を低減でき、結果的にハニカム体1の変形・座屈の防止に繋がる。
このように、実施例1では、ハニカム体1の座屈を招くことなく、比較的小さい圧入荷重でもって、ハニカム体1を外筒3内にスムーズに圧入できる。
【0025】
<外筒端部の変形防止について>
また、従来の発明のようにハニカム体の圧入開始位置を外筒の上端部位置とした場合には、ハニカム体によって外筒の上端部に負担が掛かり、歪みが生じる虞がある。
これに対し、実施例1では外筒3の上端部に負担が掛かる虞がなく、真円度を維持することができる。
【0026】
次に、ハニカム体1における波板状の金属箔と平板状の金属箔の拡散接合とロウ箔材2の溶融による外筒3とハニカム体1のロウ付け固定方法について説明する
以上のようにハニカム体1の外周の軸方向一部である排気ガス流れ方向下流側寄りの位置にロウ箔材2を巻回した状態で外筒3内に圧入装着された金属触媒担体C1は、真空炉内で加熱することでハニカム体1の波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合すると同時に外筒3とハニカム体1を帯状にロウ付け固定することにより製造される。
即ち、真空炉内の温度を上昇させて行くことにより、まず、1,100℃(第1所定温度)でハニカム体1の外周一部と外筒3がロウ箔材2の溶融によりロウ付け固定され、1,250℃(第2所定温度)でハニカム体1の波板状金属箔と平板状金属箔の接している部が拡散接合される。
【0027】
このように構成された金属触媒担体C1は、外筒3の端部3a、3bが自動車の内燃機関排気系に連通接続された状態で介装される。
例えば、図18に示すように、自動車の内燃機関排気系は、排気上流側となるエンジンa1の図示しない排気ポートから各排気管a2〜a4を介して金属触媒担体C1、サブマフラa5、メインマフラa6が連通接続されている。
また、金属触媒担体C1の外筒3の端部3a、3bには、筒状のディフューザ24,25の一端部が溶接固定されている。
さらに、ディフューザ24,25の縮径した他端部にはそれぞれ対応する排気管a2,a3と締結するための接続フランジa7が溶接固定されている。
【0028】
次に、この実施例1の作用を説明する。
<ロウ流れ防止作用について>
ロウ箔材2にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段がロウ箔材2の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cで構成されることで、拡散接合のため加熱された時に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられた貫通孔2c内に広がり受け止められるため、ロウ箔材2の幅を越えてハニカム体1の軸方向に広がらないので外筒3に溝を設けることなしにロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
【0029】
<ロウ箔材の材料費低減作用について>
ロウ溜まり手段を構成する貫通孔2cがラス加工により形成されることで、ラス加工では貫通孔2cが切り開かれてロウ箔材2の貫通孔2cを含めた面積が広がるため、高価なニッケルロウ箔材2の使用量は、ロウ箔材2の面積比で数分の1(1/3〜1/5)ですむことなり、材料費の大幅低減が可能になる。つまり、同じ貫通孔2cを含めた面積のロウ箔材2をプレス等の打ち抜き加工で製造する場合に比べて廃棄する材料が無くなるためである。
なお、ラス加工による貫通孔2cの大きさは、任意であるが、1.4×2.0mm程度まで小さくすることが望ましい。
また、貫通孔2cの大きさが1.4×2.0mmの場合に網部の幅を0.4mmとすることで、ロウ箔材2の使用量は、ロウ箔材2の面積比で約1/5まで減少させることができる。
【0030】
<ロウ箔材の生産性向上作用について>
ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回することで、金属触媒担体C1の直径が変わっても、同じ幅のロウ箔材母材B1で切断長さを変えるだけであるため、幅鋸となる複数のロウ箔材母材B1を準備する必要がなくなる。
ハニカム体1の外周長さの異なるものを製造する場合に任意の位置で切断し、巻回後スポット溶接でハニカム体1の外周に固定することができる。
なお、この実施例1におけるようにロウ箔材2の両端に非ラス加工部2b,2bを形成する場合は、金属触媒担体C1の直径に応じて送り出し装置4による送り出し量を変えればよい。
【0031】
<組み付け性向上作用について>
ロウ箔材2のラス加工により形成される隆起部2dが平坦に圧縮成形されることで、一部にロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の摩擦抵抗が低減し、スムーズに圧入することができる。
また、ロウ箔材2がラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回されることにより、ロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の、ラス加工により形成される隆起部2dによる摩擦抵抗がラス加工により切り開かれる方向を軸方向とする場合に比べて小さくなるため、隆起部2dを平坦に圧縮成形しない場合でもハニカム体1を外筒3内にスムーズに圧入装着できるようになる。
【0032】
<金属触媒担体の耐久性向上作用について>
ハニカム体1は、該ハニカム体1の外周の軸方向一部にロウ箔材2を巻回した状態で外筒3内に圧入装着されてロウ接される。これによりハニカム体1の軸方向に溶融したロウ材が所定範囲内にとどまり、広がらないようになることで、ハニカム体1のロウ箔材2が巻回されていない部分は軸方向及び半径方向に自由に熱膨張収縮できるため、高温の排気ガスが流通したときの熱膨張、冷却時の熱収縮時における熱応力の集中を防止、耐久性を向上させることができる。
【0033】
<ロウ箔材の製造効率化作用について>
送り出し装置4とラス加工装置5を用い、帯状に連続するロウ箔材母材B1を送り出し装置4により間欠的に送り出しながらラス加工装置5によりラス加工部2aを加工するラス加工工程と、送り出し装置4による送り出しにより非ラス加工部2bを送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置7によりロウ箔材2の製品一単位毎に切断する切断工程とからなる製造装置を用いることで、ラス加工による貫通孔2c(ロウ溜まり手段)が形成されたラス加工部2aの両端に非ラス加工部2b,2bが形成されたロウ箔材2を効率的に製造することができる。
【0034】
なお、非ラス加工部2bを設けない場合は中断することなく連続ラス加工製造が可能となり効率的である。
また、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部2aのラス加工により形成される隆起部2dを圧縮装置6により非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備えることで、ラス加工により形成される隆起部2dの圧縮成形を連続的に行えるため、隆起部2dのないロウ箔材2を効率的に製造することができる。
【0035】
次に、実施例1の効果を列挙する。
(1) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ箔材2にロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている。
これにより、拡散接合時に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、必要以上にハニカム体1と外筒3の間に広がらない。所謂メタルロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、外筒3に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
(2) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ溜まり手段がロウ箔材2の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔2cで構成されている。
これにより、拡散接合時に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられた貫通孔2c(ロウ溜まり手段)に受け止められるため必要以上にハニカム体1と外筒3の間に広がらない。所謂、ロウ上り、ロウ下りというロウ流れを防止できる。
従って、外筒3に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
(3) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ溜まり手段を構成する貫通孔2cがラス加工により形成されている。
このように、ラス加工では貫通孔2cが切り開かれてロウ箔材2の面積が広がるため、高価なニッケルロウ箔材2の使用量は、ロウ箔材2の面積比で数分の1(1/3〜1/5)ですむことなり、材料費の大幅低減が可能になる。
【0036】
(4) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ箔材2がラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回されている。
これにより、ロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の、ラス加工により形成される隆起部2dによる摩擦抵抗がラス加工により切り開かれる方向を軸方向とする場合に比べて小さくなるため、隆起部2dを平坦に圧縮成形しない場合でもハニカム体1を外筒3内にスムーズに圧入装着できるようになる。
さらに、ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を周方向としてハニカム体1の外周に巻回することにより、金属触媒担体C1の直径が変わっても、同じ幅のロウ箔材母材B1で切断長さを変えるだけであるため、幅鋸となる複数のロウ箔材母材B1を準備する必要がなくなる。なお、この実施例1におけるようにロウ箔材2の両端に非ラス加工部2b,2bを形成する場合は、金属触媒担体C1の直径に応じて送り出し装置4による送り出し量を変えればよい。
また、非ラス加工部2bは、ロウ箔材2の成形の長手方向に任意の間隔で連続的に設けることにより、任意に切断してハニカム体1の周囲に巻回し任意の位置でスポット溶接P1することができるようになる。また、ハニカム体1の半径方向の大きさの種類の異なるものに対して公倍数的に間隔を設けることにより、1種類のラス加工ロウ箔材2で異なる半径のハニカム体1へ対応することも可能になる。
【0037】
(5) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ロウ箔材2のラス加工により形成される隆起部2dが平坦に圧縮成形されている。
これにより、一部にロウ箔材2を巻き付けたハニカム体1を外筒3内に圧入する時の摩擦抵抗が低減し、スムーズに圧入することができる。
(6) 実施例1の金属触媒担体では、上述のように、ハニカム体1は、該ハニカム体1の外周の軸方向一部にロウ箔材2を巻回した状態で外筒3内に圧入装着されている。
これにより、ハニカム体1のロウ箔材2が巻回されていない部は軸方向及び半径方向に自由に熱膨張収縮できるため、外筒3とハニカム体1との間の熱応力の集中を防止、耐久性を向上させることができる。
(7) 実施例1の金属触媒担体の製造方法では、上述のように、送り出し装置4とラス加工装置5を用い、帯状に連続するロウ箔材母材B1を送り出し装置4により間欠的に送り出しながらラス加工装置5によりラス加工部2aを加工するラス加工工程と、送り出し装置4による送り出しにより非ラス加工部2bを送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、切断装置7を用いロウ箔材2の製品一単位毎に切断する切断工程とからなる。
これにより、一部にラス加工によるロウ溜まり手段を有するロウ箔材2を効率的に製造することができる。
【0038】
(8) 実施例1の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法では、上述のように、成形工程と切断工程との間に、ラス加工部2aのラス加工により形成される隆起部2dを圧縮装置6により非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備える。
これにより、ラス加工により形成される隆起部2dの圧縮成形を連続的に行えるため、隆起部2dのないロウ箔材2を効率的に製造することができる。
(9) 実施例1の金属触媒担体の製造方法では、上述のように、1,100℃(第1所定温度)でロウ箔材の溶融による外筒に対するハニカム体のロウ付け固定を行い、1,100℃(第1所定温度)よりは高い1,250℃(第2所定温度)でハニカム体の拡散接合を行う。
これにより、拡散接合時にロウ箔材2が必要以上に溶融するが、この必要以上に溶融したロウ箔材2はロウ箔材2自体に設けられたロウ溜まり手段に受け止められるため、ロウ上り、ロウ下りというロウが外筒3とハニカム体1の隙間に広がるロウ流れを防止できる。
従って、ロウ付け温度より拡散接合温度が高い場合でも、外筒3に溝を設けることなしに拡散接合時のロウ流れを防止してロウ付け品質を向上することができる。
【0039】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0040】
〔実施例2〕
この実施例2は、実施例1におけるロウ箔材の変形例を示すものであり、図19(金属触媒担体を示す断面図)、図20(ロウ箔材の一部切欠展開図)に示すように、ロウ箔材2が、ラス加工により切り開かれる方向を軸方向として前記ハニカム体の外周に巻回されるもので、該ロウ箔材2の排気ガス上流側となる軸方向端部の貫通孔2cが形成されたラス加工部2eと、排気ガス下流側となる軸方向端部側の貫通孔2cが形成されていない非ラス加工部2fとで構成されている点が、上記実施例1とは相違したものである。
【0041】
次に、ラス加工による貫通孔2cを有するロウ箔材2の製造方法を、図3〜8に基づいて説明する。
この実施例2では、上記実施例1で用いた製造装置が用いられる。
<ラス加工>(図3(イ)〜(ヘ)参照)
(イ)ラス加工装置5の可動上刃52が上昇した状態で、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1の先端縁部がラス加工装置5の固定下刃51上に送り出す。
(ロ)可動上刃52を下降させ、一列目の貫通孔2cを加工する。
(ハ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出す。
(ニ)可動上刃52を貫通孔2cの幅(LW)の約1/2幅だけ横移動させる。
(ホ)可動上刃52を下降させ、二列目の貫通孔2cを加工する。
(ヘ)可動上刃52を上昇させ、送り出し装置4でロウ箔材母材B1を所定量送り出すと共に、可動上刃52を貫通孔2cの幅LWの約1/2幅だけ横移動させた分だけ元の位置に戻す。
以上の工程を繰り返すことにより、ロウ箔材母材B1の一部にラス加工により貫通孔2cを形成する。
【0042】
そして、その後、送り出し装置4によりロウ箔材母材B1を非ラス加工部2fの長さ分だけ送り出した後、ラス加工装置5によるラス加工を行う。このように、送り出し装置4による送り出しとラス加工装置5によるラス加工を交互に繰り返すことにより、一部に貫通孔2cを有するラス加工部2eを備えたロウ箔材2が連続的に製造される。
【0043】
<圧縮加工>(図21参照)
上記ラス加工装置5で一部に貫通孔2cが形成されたロウ箔材母材B1は、圧縮装置6における上下一対のローラ61,61間を通過することで、ラス加工部2eでラス加工により隣接する貫通孔2c相互間の網部に形成される隆起部2dが非ラス加工部2bの厚さまで平坦に圧縮成形される。
<切断加工>(図22参照)
上記圧縮装置で隆起部2dが非ラス加工部2fの厚さまで平坦に圧縮成形されたロウ箔材母材B1は、非ラス加工部2fとラス加工部2eとの境界K2部において切断装置7を構成する固定下刃71に向けて下降する可動上刃72により、一部にラス加工による貫通孔2cが形成されたロウ箔材2の製品一単位毎に切断されていく。
以上のようにして形成されたロウ箔材2は、図19、20に示すように、ラス加工により貫通孔2cが切り開かれる方向を軸方向としてハニカム体1の外周に巻回し、ロウ箔材2の周方向両縁部同士を重ね、両非ラス加工部2f、2fをスポット溶接P1することでハニカム体1に取り付けられている。
【0044】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例2の金属製触媒担体では、上記実施例1とほぼ同様の効果が得られる他、ロウ流れ防止に最小限必要なロウ箔材2の軸方向端部だけをラス加工することにより、ラス加工の作業時間が短縮され、加工費の低減と、生産性の向上が可能になるという追加の効果が得られる。
【0045】
〔実施例3〕
この実施例3は、実施例1におけるロウ箔材の変形例を示すものであり、図23(金属触媒担体を示す断面図)に示すように、ロウ箔材2の軸方向両端部に貫通孔2cが形成されたラス加工部2eと、ロウ箔材2の軸方向中央部の貫通孔2cが形成されていない非ラス加工部2fとで構成され、ロウ箔材2がハニカム体1の軸方向中央部に配置されている点が、上記実施例1とは相違したものである。
このように、ロウ箔材2をハニカム体1の軸方向中央部に配置することにより、ハニカム体1が軸方向均一に熱膨張収縮するため、軸方向における熱応力の集中を防止することができる。
【0046】
〔実施例4〕
この実施例4は、実施例1におけるロウ箔材の変形例を示すものであり、図24(ロウ箔材の展開図)に示すように、ロウ箔材2の全体にラス加工による貫通孔2cを形成した点が、実施例1、2とは相違したものである。
このように、ロウ箔材2の全体にラス加工による貫通孔2cを形成したラス加工部2eとすることにより、高価なニッケルロウ箔材2の使用量を最大限に少なくでき、材料費の大幅低減が可能になる。
【0047】
〔実施例5〕
実施例5は、ロウ箔材の構造が実施例1と異なる。図25は、実施例5のロウ箔材母材B1を示す斜視図であり、ロウ箔材母材B1は、箔材26の両面をロウ層27,28で挟んだ三層構造である。
箔材26は、ハニカム体1と同一のフェライト系ステンレス鋼、例えば、JFE規格のJFE20-5USRまたはJFE18-3USRで形成されている。箔材26は、必ずしもハニカム体1と同一のステンレス鋼でなくてもよい。例えば、オーステナイト系ステンレス鋼を用いることができる。なお、箔材26の厚みは、例えば、10〜20μmとする。
ロウ層27,28は、Ni基の粉末ロウ材(ニッケル系ロウ材)を有機バインダによりペースト状にしたものを適当な厚さ(例えば、20μm)で箔材26にプリント塗布したものである。ここで、有機バインダとは、ロウ材を箔材26に被膜として構成させるための結合剤であって、例えば、樹脂が用いられる。
実施例5のロウ箔材母材B1を用い、実施例1に示したロウ箔材の製造方法を用いてロウ箔材を製造することで、箔材26の両面をロウ層27,28で被覆したロウ箔材が得られる。
【0048】
次に、実施例5の作用を説明する。
ロウ箔材をニッケル系ロウ材による単層構造、つまり、ロウ材そのもので形成した場合、アモルファス合金は脆く、塑性加工性に劣るため、ラス加工が困難である。
これに対し、実施例5では、ロウ箔材をフェライト系ステンレス鋼による箔材26と、その両面にプリント塗布されたNi基の粉末ロウ材によるロウ層27,28との三層構造とした。フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系であり、ニッケル系と比較して成形性に優れるため、ラス加工性を向上できる。また、ハニカム体1における波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合する際、ロウ層27,28を構成するロウ材が溶融することで、ハニカム体1と外筒3とをロウ付け固定できる。
【0049】
つまり、実施例5のロウ箔材では、ステンレス鋼による箔材26を用いてラス加工時の加工性を高めつつ、箔材26の両面にロウ層27,28を塗布することで、ハニカム体1と外筒3とをロウ付け固定するロウ箔材としての機能を担保しようとするものである。さらに、箔材26はハニカム体1の使用条件によるが、オーステナイト系、フェライト系の安価なステンレス鋼を採用できるため、ロウ箔材を高価なニッケル系ロウ材のみで形成したものと比較して、製造コストを大幅に低減できる。
【0050】
次に、実施例5の効果を説明する。
実施例5の金属触媒担体では、上記実施例1とほぼ同様の効果が得られる他、ロウ箔材母材B1を、ステンレス鋼の箔材26と、その両面にNi基の粉末ロウ材を有機バインダによりペースト状にしたものをプリント塗布したロウ層27,28とから構成したため、ラス加工時の加工性を高めることができる。また、安価なステンレス鋼を用いることができるため、製造コストを低減できる。
【0051】
〔実施例6〕
図26は、実施例6のロウ箔材母材B1を示す斜視図である。
実施例5では、ラス加工前に箔材26の両面にロウ層27,28を被覆する例を示したが、実施例6では、箔材26のみからなるロウ箔材母材B1をラス加工した後、箔材26の片面にNi基の粉末ロウ材を有機バインダによりペースト状にしてロウ層29を形成している。ロウ層29の厚みは、実施例5のロウ層27,28よりも厚くする。
次に、実施例6の作用を説明する。
実施例6では、箔材26の片面側にのみロウ層29を設けたが、ロウ層29の厚みを適宜コントロールすることで、波板状金属箔と平板状金属箔を拡散接合する際、ロウ層29を構成するロウ材が溶融流動して貫通孔2cから箔材26のロウ層29が設けられていない他面側に至り、ハニカム体1と外筒3とをロウ付け固定できる。また、ロウ層を片面のみとすることで、ロウ箔材26をより薄くできるため、ハニカム体1を外筒3に圧入する圧入工程における作業性を高めることができる。
他の作用および効果については実施例5と同様である。
【0052】
〔実施例7〕
実施例7は、ロウ箔材の構造が実施例1と異なる。
実施例7では、融点が1,200℃以下であって、かつ冷間圧延可能な低合金N基合金を冷間圧延加工してロウ箔材母材B1を形成している。ロウ箔材簿材B1の厚みは実施例1と同様、20〜30μm前後とする。なお、融点は、ハニカム体1の拡散接合の適正温度(1,250℃)よりも低い温度であればよい。
次に、実施例7の作用を説明する。
従来のロウ箔材は、ニッケル系合金を急冷箔帯加工したアモルファス体であるため、ラス加工時の成形性に劣るという問題があった。これに対し、実施例7では、冷間圧延可能なロウ箔材母材B1を用いているため、ラス加工時の成形性を高めることができる。
【0053】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、貫通孔をラス加工により形成したが、打ち抜きによるパンチング孔としてもよい。
また、実施例では、波状の金属箔と平板状の金属箔とを用いたが、平板状の金属箔に代えて小波状の金属箔を用いてもよい。
実施例2〜4において、実施例5〜7に示したロウ箔材を用いることで、実施例5〜7と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 ハニカム体
2 ロウ箔材
3 外筒
2c 貫通孔(ロウ溜まり手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材の溶融により外筒の内周にロウ付け保持される金属触媒担体であって、
前記ロウ箔材に前記ロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項2】
請求項1に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ溜まり手段が前記ロウ箔材の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔で構成されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項3】
請求項2に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ溜まり手段を構成する前記貫通孔がラス加工により形成されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項4】
請求項3に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材がラス加工により切り開かれる方向を周方向として前記ハニカム体の外周に巻回されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項5】
請求項3に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、その周方向に非ラス加工部が形成され、該非ラス加工部を重ねてスポット溶接されていることを特徴とする金属触媒担体
【請求項6】
請求項3に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、該ロウ箔材の軸方向端部の前記貫通孔が形成されたラス加工部と、前記貫通孔が形成されていない非ラス加工部とで構成されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項7】
請求項6に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、該ロウ箔材の軸方向両端部に前記貫通孔が形成されたラス加工部と、前記ロウ箔材の軸方向中央部の前記貫通孔が形成されていない非ラス加工部とで構成され、
前記ロウ箔材が前記ハニカム体の軸方向中央部に配置されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか1項に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材の前記ラス加工により形成される隆起部が平坦に圧縮成形されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の金属触媒担体において、
前記ハニカム体は、該ハニカム体の外周の軸方向一部に前記ロウ箔材を巻回した状態で前記外筒内に圧入装着されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、ステンレス製の箔材と、この箔材の片面または両面にロウ材を塗布したロウ層とから構成されることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項11】
請求項6または7に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、
送り出し装置とラス加工装置を用い、帯状に連続するロウ箔材母材を前記送り出し装置により間欠的に送り出しながら前記ラス加工装置により前記ラス加工部を加工するラス加工工程と、前記送り出し装置による送り出しにより前記非ラス加工部を送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、
切断装置を用い前記ロウ箔材の製品一単位毎に切断する切断工程とからなることを特徴とする金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、
前記成形工程と前記切断工程との間に、前記ラス加工部の前記ラス加工により形成される隆起部を前記非ラス加工部の厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備えることを特徴とする金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法。
【請求項13】
波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材の溶融により外筒の内周にロウ付け保持され、
前記ロウ箔材に前記ロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている金属触媒担体の製造方法であって、
第1所定温度で前記ロウ箔材の溶融による前記外筒に対する前記ハニカム体のロウ付け固定を行い、前記第1所定温度よりは高い第2所定温度で前記ハニカム体の拡散接合を行うことを特徴とする金属触媒担体の製造方法。
【請求項1】
波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材の溶融により外筒の内周にロウ付け保持される金属触媒担体であって、
前記ロウ箔材に前記ロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項2】
請求項1に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ溜まり手段が前記ロウ箔材の周方向に亘り略均一の開口面積でかつ均一間隔で形成された多数の貫通孔で構成されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項3】
請求項2に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ溜まり手段を構成する前記貫通孔がラス加工により形成されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項4】
請求項3に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材がラス加工により切り開かれる方向を周方向として前記ハニカム体の外周に巻回されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項5】
請求項3に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、その周方向に非ラス加工部が形成され、該非ラス加工部を重ねてスポット溶接されていることを特徴とする金属触媒担体
【請求項6】
請求項3に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、該ロウ箔材の軸方向端部の前記貫通孔が形成されたラス加工部と、前記貫通孔が形成されていない非ラス加工部とで構成されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項7】
請求項6に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、該ロウ箔材の軸方向両端部に前記貫通孔が形成されたラス加工部と、前記ロウ箔材の軸方向中央部の前記貫通孔が形成されていない非ラス加工部とで構成され、
前記ロウ箔材が前記ハニカム体の軸方向中央部に配置されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか1項に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材の前記ラス加工により形成される隆起部が平坦に圧縮成形されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の金属触媒担体において、
前記ハニカム体は、該ハニカム体の外周の軸方向一部に前記ロウ箔材を巻回した状態で前記外筒内に圧入装着されていることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の金属触媒担体において、
前記ロウ箔材は、ステンレス製の箔材と、この箔材の片面または両面にロウ材を塗布したロウ層とから構成されることを特徴とする金属触媒担体。
【請求項11】
請求項6または7に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、
送り出し装置とラス加工装置を用い、帯状に連続するロウ箔材母材を前記送り出し装置により間欠的に送り出しながら前記ラス加工装置により前記ラス加工部を加工するラス加工工程と、前記送り出し装置による送り出しにより前記非ラス加工部を送り出す非ラス加工工程とを交互に行う成形工程と、
切断装置を用い前記ロウ箔材の製品一単位毎に切断する切断工程とからなることを特徴とする金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法であって、
前記成形工程と前記切断工程との間に、前記ラス加工部の前記ラス加工により形成される隆起部を前記非ラス加工部の厚さまで平坦に圧縮成形する圧縮工程を備えることを特徴とする金属触媒担体で用いられるロウ箔材の製造方法。
【請求項13】
波板状の金属箔と平板状の金属箔を重ねて多重に巻回して形成されるハニカム体を該ハニカム体の外周の軸方向一部に巻回したロウ箔材の溶融により外筒の内周にロウ付け保持され、
前記ロウ箔材に前記ロウ付け時におけるロウ流れを受け止めるロウ溜まり手段が設けられている金属触媒担体の製造方法であって、
第1所定温度で前記ロウ箔材の溶融による前記外筒に対する前記ハニカム体のロウ付け固定を行い、前記第1所定温度よりは高い第2所定温度で前記ハニカム体の拡散接合を行うことを特徴とする金属触媒担体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−214362(P2010−214362A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292260(P2009−292260)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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