金属鋲
【課題】電磁波の出力を低下させることなく、確実に情報データを読み取ることができ、電磁波の出力を一定に保持することができる金属鋲を提供する。
【解決手段】金属鋲本体2に嵌合孔5を穿設し、この嵌合孔5内にキャリア保持部材9を固着する。データキャリア3を嵌合孔5に挿入し、キャリア保持部材9に係合させる。データキャリア3としては、ICチップ15とアンテナ14とを一体化したICチップ装着体10を外装材11,12によって被覆したRFIDデータキャリアを使用する。外装材11,12は、セラミック製外装材であるのが好ましい。
【解決手段】金属鋲本体2に嵌合孔5を穿設し、この嵌合孔5内にキャリア保持部材9を固着する。データキャリア3を嵌合孔5に挿入し、キャリア保持部材9に係合させる。データキャリア3としては、ICチップ15とアンテナ14とを一体化したICチップ装着体10を外装材11,12によって被覆したRFIDデータキャリアを使用する。外装材11,12は、セラミック製外装材であるのが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたケーブル、水道管、ガス管等の埋設状況、土地、道路等の位置、地籍情報、又は土地の境界や測量点等を標示するために、地面に設置される金属鋲に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設されたケーブル、水道管、ガス管等の埋設状況、土地、道路等の位置、地籍情報、又は土地の境界や測量点等を標示するために、通常、金属鋲が適宜場所の地面に設置される。
【0003】
例えば、土地測量の基準点を標示する金属鋲101は、図13に示すように、真鍮等の金属材料から成形される円盤状を呈するものであって、裏面101b中央部に雌ネジ部102を形成してあり、地中に埋設したボルト(図示しない)に前記雌ネジ部102を螺合させることによって、適宜場所の地面に設置できるようになっている。
【0004】
前記金属鋲101の表面101aには、図13に示すように、基準点位置が+記号103で表示され、基準点番号104が数字、文字及び記号等で表示されている。
測量、調査等をする作業者は、設置場所において金属鋲101の表面101aに表示された基準点番号104を目視で確認した後、事務所等に戻って基準点成果表を閲覧し、その基準点番号104に該当する記載欄を参照し、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを取得する。
【0005】
よって、金属鋲101の設置場所において直ちに情報データを取得することができず、測量、調査等の作業に時間がかかった。又、基準点番号104を目視で確認するので、誤認することも多く、間違った情報データを取得することもあった。
又、前記金属鋲101にあっては、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを変更する場合には、基準点成果表の該当記載欄を一々書き換えなければならず、情報データを変更する作業は面倒なものであった。
【0006】
そこで、設置場所において直ちに情報データを取得することができ、測量、調査等の作業に時間がかからず、間違った情報データを取得することもないと共に、情報データを変更する作業も容易とするために、金属鋲101にRFIDデータキャリアを埋設し、リーダライタをこのRFIDデータキャリアに近接させて、情報データを読み書きすることが考えられる。
【0007】
しかし、上記の如く、金属鋲101は真鍮等の金属材料から成形されているから、電磁波を通過させ難く、金属鋲101に埋設されたRFIDデータキャリアとリーダライタとの間の通信は困難であり、結局、RFIDデータキャリアとの間で情報データを読み書きすることは困難である。
【0008】
かかる問題を解消するべく、金属鋲本体11の裏面に取付凹所13を穿設し、この取付凹所13にアモルファスを含有する反射体3を介在させてRFIDデータキャリア2を設置した金属鋲1が提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に開示された金属鋲1にあっては、RFIDデータキャリア2から発生する電磁波は、アモルファスを含有する反射体3によって広角度に反射され、取付凹所13の開口から放出されるから、RFIDデータキャリアとリーダライタとの間の通信が可能であり、情報データを読み書きすることが可能となる。
【0010】
【特許文献1】特開2003−4444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に開示された金属鋲1にあっては、RFIDデータキャリア2を金属鋲本体11の裏面に穿設した取付凹所13に設置したためか、反射体3によって反射される電磁波の出力は微弱であり、情報データを読み取り難いという問題があった。
又、反射体3の大きさ、RFIDデータキャリア2の設置状態等によって、放出される電磁波の出力は大きく変化するため、読み取り時にリーダライタの受信状態を調整する必要があった。
さらに、金属鋲本体11の裏面から放出される電磁波については、数百kHzという長波長帯については読み取り可能であるが、数MHzという短波長帯については読み取りができないため、RFIDデータキャリア2で使用する周波数が長波長帯に限定されるという問題があった。
【0012】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、発生する電磁波の出力を低下させることなく、確実に情報データを読み取ることができ、放出される電磁波の出力を一定に保持することができ、しかも、データキャリアにおいて短波長帯、長波長帯の何れの周波数をも使用できる金属鋲を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の金属鋲は、金属鋲本体に嵌合孔を穿設すると共に、前記嵌合孔から周側面に亘って切欠溝を形成し、前記嵌合孔にデータキャリアを保持させたことを特徴とする。
これによって、情報データを読み書きする際に発生する渦電流による損失を低減し、情報データを読み書きする際の安定性を向上させると共に、通信距離をより長くすることができる。
【0014】
前記データキャリアは、ICチップとアンテナとを一体化したICチップ装着体を外装材によって被覆したRFIDデータキャリアであることを特徴とする。
【0015】
前記外装材は、セラミック製外装材であるのが好ましい。これによって、機械的強度が高く、容易に破壊することはないと共に、耐熱性、耐湿性、耐水性、耐薬品性も高く、環境変化にも強い。
【0016】
前記嵌合孔内にキャリア保持部材を固着し、前記データキャリアをこのキャリア保持部材に係合させるのが好ましい。
【0017】
前記キャリア保持部材に係合突部を形成し、前記データキャリアに係合溝部を形成し、データキャリアをキャリア保持部材に係合させるのが好ましい。
【0018】
前記データキャリアの上面を強打することによって、データキャリアを下方に移動できるようにするのが好ましい。これによって、データキャリアが破損した時にも、金属鋲を交換する必要はなく、新品のデータキャリアを金属鋲の嵌合孔内に保持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の金属鋲の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
金属鋲1は、図1に示すように、金属鋲本体2及びデータキャリア3から構成される。
【0021】
金属鋲本体2は、図1に示すように、真鍮等の金属材料から成形される円盤状を呈するものであって、裏面2b中央部には雌ネジ部4を形成してある。
周辺部には表裏面を貫通する嵌合孔5を穿設してあり、その嵌合孔5から周側面に亘って切欠溝6を形成してある。
【0022】
金属鋲本体2の表面2aには、従来と同様、図1に示すように、基準点位置が+記号7で表示され、基準点番号8が数字、文字及び記号等で表示されている。
【0023】
図1に示すように、嵌合孔5内の下半部にはキャリア保持部材9を嵌合し、接着してある。このキャリア保持部材9は、合成樹脂材料から成形される円筒状を呈するものであって、内周面の上端部には内方に突出した係合突部9aを形成してある。
【0024】
データキャリア3は、超小型のICチップと無線通信用のアンテナとを一体化し、セラミック製外装材によって被覆したRFID(Radio Frequency Identification)データキャリアであって、図2乃至5に示すように、ICチップ装着体10と、セラミック製外装材11,12と、セラミック系充填材13とから構成される。
【0025】
ICチップ装着体10は、図5に示すように、銅、アルミニウム等の導電性を有する金属製線材を巻き回して形成したコイルアンテナ14とICチップ15とを接合して一体化したものである。
【0026】
セラミック製外装材11,12は、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2・SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等のセラミック材料を焼成したものであり、図2に示すように、上下の外装材11,12は互いに嵌合するようになっている。
【0027】
下側の外装材11は、図4に示すように、上端部を大径の円盤状部16に形成し、この円盤状部16に接続して小径の円筒状部17を形成してある。
円盤状部16の上面側にはICチップ装着体10を収納するための陥没部16aを形成してあり、円筒状部17の下端部には環状に切欠した係合溝部17aを形成してある。
【0028】
上側の外装材12は、図3に示すように、円盤状を呈し、下面側には前記陥没部16aと嵌合する突出部12aを形成してある。
【0029】
セラミック系充填材13としては、アルミナセメント、ポルトランドセメント等のセラミックセメント材料が使用される。
【0030】
データキャリア3は、以上のような構成であり、以下のようにして製作することができる。
【0031】
先ず、ICチップ装着体10を下側のセラミック製外装材11の陥没部16a内に位置させ、載置させる。一方、上側のセラミック製外装材12の下面全体にセラミック系充填材13を十分に塗布させ、付着させておく。
【0032】
次に、図2に示すように、セラミック製外装材12の突出部12aをセラミック製外装材11の陥没部16aに嵌合させ、両者を完全に結合させれば、データキャリア3を製作することができる。
【0033】
金属鋲1は、前記金属鋲本体2の嵌合孔5に前記データキャリア3を挿入し、下側の外装材11の円筒状部17に形成した係合溝部17aをキャリア保持部材9に形成した係合突部9aに係合させれば、図1に示すように、嵌合孔5内にデータキャリア3を保持させることができる。
【0034】
以上の如く、本発明の金属鋲1は、金属鋲本体2にデータキャリア3を保持させてあるから、測量、調査等をする作業者は、携帯したリーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させるだけで、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを容易に取得することができる。
又、測量、調査等をする作業者は、携帯したリーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させるだけで、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを容易に変更することもできる。
【0035】
さらに、リーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させることによって情報データを自動的に取得することができるから、基準点番号を目視で誤認したとしても、間違った情報データを取得することもない。
【0036】
そして、本発明の金属鋲1は、金属鋲本体2に嵌合孔5を穿設すると共に、前記嵌合孔5から周側面に亘って切欠溝6を形成し、前記嵌合孔5にデータキャリア3を保持させたから、情報データを読み書きする際に発生する渦電流による損失を低減し、情報データを読み書きする際の安定性を向上させると共に、通信距離をより長くすることができる。
【0037】
本発明の金属鋲1は、データキャリア3としてセラミック製外装材11,12によって被覆したRFIDデータキャリアを使用するから、機械的強度が高く、容易に破壊することはない。又、耐熱性、耐湿性も高く、環境変化にも強い。
【0038】
しかし、金属鋲1は、路面等に一旦設置されると、数年間又は数十年間という長期に亘って使用される。よって、その長期間のうちには、データキャリア3のコイルアンテナ14又はICチップ15が破損してしまうこともある。
【0039】
かかる場合には、金属鋲1を一旦路面等から取り外して、新品のデータキャリア3を保持させた金属鋲1を再度路面等に設置する必要がある。しかし、この金属鋲1を交換する作業は極めて面倒であり、時間もかかる。
【0040】
そこで、本発明の金属鋲1は、データキャリア3のコイルアンテナ14又はICチップ15が破損する事態についても十分に考慮してある。すなわち、少なくともデータキャリア3が一回破損した時には、金属鋲1を交換する必要がないようにした。
【0041】
データキャリア3が破損した場合に備えて、図6に示すような別のデータキャリア23を用意しておく。
データキャリア23も、セラミック製外装材によって被覆したRFIDデータキャリアであって、図6に示すように、下側のセラミック製外装材31以外は、データキャリア3と同様の構成である。
【0042】
セラミック製外装材31の材料は、セラミック製外装材11,12と同様であるが、図6に示すように、円盤状を呈し、上面側にはICチップ装着体10を収納するための陥没部31aを形成してある。
【0043】
よって、データキャリア23は、ICチップ装着体10を下側のセラミック製外装材31の陥没部31a内に載置させ、上側のセラミック製外装材12の突出部12aをその陥没部31aに嵌合させ、両者を完全に結合させることによって製作することができる。
【0044】
金属鋲1が路面等に設置された時は、図7(A)に示すように、下側の外装材11に形成した係合溝部17aがキャリア保持部材9に形成した係合突部9aに係合した状態で、金属鋲本体2の嵌合孔5内にデータキャリア3が保持されている。
【0045】
データキャリア3が万が一破損した時には、金属鋲本体2の嵌合孔5内に新品のデータキャリア23を補充して保持させることができる。
【0046】
新品のデータキャリア23を補充する際には、先ず、測量、調査等の作業者は、金属鋲本体2の嵌合孔5内に保持されたデータキャリア3を完全に動作不能な状態にする。
一時的なICチップ15の動作不良やコイルアンテナ14との接触不良等が原因でデータキャリア3が破損している場合には、後日、データキャリア3が再び動作可能となることもある。そのような時には、補充したデータキャリア23から情報データを読み書きする際にデータキャリア3が干渉し、悪影響を及ぼすことがあるから、これを未然に防止するのである。
【0047】
データキャリア3を完全に動作不能な状態にするために、図11に示すようなデータ消去装置61を使用する。
データ消去装置61は、携帯可能な筐体62内にデータ消去回路63を構成したものであり、データ消去回路63は、図11に示すように、電源64、抵抗65、コンデンサ66、コイル67及びスイッチ68から成る。
【0048】
データ消去装置61を使用する場合には、先ず、スイッチ68の接点68aを充電側端子69aと接続するように切り替える。
これによって、電源64からコンデンサ66に電流が流れ、コンデンサ66に電荷が蓄積され、充電される。
【0049】
充電が完了したならば、データ消去装置61のコイル67が配設された先端部を金属鋲本体2の嵌合孔5の上方に近接させ、次に、スイッチ68の接続接点68aを消去側端子69bと接続するように切り替える。
これによって、コンデンサ66に蓄積された電荷が放逸されて、コイル67に電流が流れ、コイル67の周囲には電磁誘導によって強力な磁界が形成される。
【0050】
この強大な磁界に曝されると、データキャリア3のコイルアンテナ14には高電圧が励起され、ICチップ15にこの高電圧が印加される。そして、この高電圧によって、ICチップ15は破壊されてしまうから、以後、再びその機能を発揮することはない。
このようにして、データキャリア3は完全に動作不能となるから、嵌合孔5内に新品のデータキャリア23を補充しても、データキャリア3からの干渉は受けず、悪影響が及ぶ危険性を完全に排除することができる。
【0051】
データキャリア3を完全に動作不能な状態とした後に、測量、調査等の作業者は、小径の棒状部材等を使用して、嵌合孔5内に保持されたデータキャリア3の上側のセラミック製外装材12の上面を強打する。
すると、データキャリア3は下方に移動し、キャリア保持部材9に形成した係合突部9aを押潰し、図7(B)に示すように、セラミック製外装材12の下面がキャリア保持部材9の上面に当接して停止し、保持される。
【0052】
この時、嵌合孔5の上部には空間部Sが形成されるから、図7(C)に示すように、データキャリア23をその空間部Sに挿入し、データキャリア3のセラミック製外装材12の上面にデータキャリア23のセラミック製外装材31の下面を当接し、接着する。
【0053】
このようにすれば、データキャリア3が破損した時にも、金属鋲1を交換する必要はなく、新品のデータキャリア23を金属鋲1の嵌合孔5内に保持させることができる。
【0054】
[実施例2]
前記実施例1においては、データキャリア3の外装材をセラミック製外装材11,12から構成したが、図8に示すように、データキャリア43の外装材をセラミック製外装材31,12から構成し、さらに、支持部材41を連結してもよい。
【0055】
支持部材41は、図9に示すように、合成樹脂材料から成形される円筒状を呈するものであって、セラミック製外装材31,12よりも小径としてある。又、その下端部には環状に切欠した係合溝部41aを形成してある。
【0056】
データキャリア43は、以上のような構成であり、データキャリア3と同様にして製作することができ、最後に、セラミック製外装材11の下面に接着、溶着等によって支持部材41の上面を固着させる。
【0057】
データキャリア43を使用した場合にも、前記金属鋲本体2の嵌合孔5にデータキャリア43を挿入し、支持部材41に形成した係合溝部41aをキャリア保持部材9に形成した係合突部9aに係合させれば、嵌合孔5内にデータキャリア43を保持させることができる。
【0058】
そして、データキャリア43を使用した場合にも、データキャリア3を使用した金属鋲1と同様に、測量、調査等をする作業者は、リーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させるだけで、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを容易に取得することができる等の同様の作用・効果を奏する。
【0059】
さらに、データキャリア43を使用した場合には、データキャリア43及び予備のデータキャリア23の構成部材である外装材を同一形態の外装材31,12にすることができるから、部品コストを安価にすることができる。
【0060】
データキャリア43が万が一破損した時に、新品のデータキャリア23を保持させる方法についても、図10(A)〜(C)に示すように、データキャリア3を使用した場合と同様である。
【0061】
[実施例3]
前記実施例1の金属鋲1においては、係合突部9aを形成したキャリア保持部材9を採用したが、データキャリアが破損した時には金属鋲を交換する場合には、図12に示すように、合成樹脂材料から成形される単なる円筒状を呈するキャリア保持部材59を採用した金属鋲51としてもよい。
【0062】
本実施例の金属鋲51も、図12に示すように、金属鋲本体52及びデータキャリア53から構成され、金属鋲本体52は、実施例1の金属鋲本体2と同様の構成である。
データキャリア53は、図6に示すデータキャリア23と同様の構成であり、キャリア保持部材59は、図12に示すように、合成樹脂材料から成形される単なる円筒状を呈するものである。
【0063】
そして、嵌合孔55内の下半部にキャリア保持部材59を嵌合し、接着すると共に、嵌合孔55にデータキャリア53を挿入し、データキャリア53の下面をキャリア保持部材59の上面に当接させれば、図12に示すように、嵌合孔55内にデータキャリア53を保持させることができる。
【0064】
かかる構成によれば、データキャリア53の上面を金属鋲本体52の表面と確実に略面一とすることができ、発生する電磁波の出力低下を極力防止することができる。
又、データキャリア53及びキャリア保持部材59を使用した場合には、部品コストをより安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の金属鋲の一実施例の(A)は平面図、(B)はB−B線断面図である。
【図2】データキャリアの一実施例の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図3】図2に示すデータキャリアの上側外装材の(A)は平面図、(B)は縦断面図、(C)は底面図である。
【図4】図2に示すデータキャリアの下側外装材の(A)は平面図、(B)は縦断面図、(C)は底面図である。
【図5】ICチップ装着体の(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図6】予備のデータキャリアの(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図7】予備のデータキャリアを保持する方法を示す説明図である。
【図8】データキャリアの他実施例の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図9】図8に示すデータキャリアの支持部材の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図10】予備のデータキャリアを保持する方法を示す説明図である。
【図11】データ消去装置の(A)は平面図、(B)はデータ消去回路の構成図である。
【図12】本発明の金属鋲の他実施例の(A)は平面図、(B)はB−B線断面図である。
【図13】従来の基準点金属鋲の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 金属鋲
2 金属鋲本体
3 データキャリア
5 嵌合孔
6 切欠溝
9 キャリア保持部材
9a 係合突部
10 ICチップ装着体
11 外装材
12 外装材
14 アンテナ
15 ICチップ
17a 係合溝部
51 金属鋲
52 金属鋲本体
53 データキャリア
55 嵌合孔
56 切欠溝
59 キャリア保持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたケーブル、水道管、ガス管等の埋設状況、土地、道路等の位置、地籍情報、又は土地の境界や測量点等を標示するために、地面に設置される金属鋲に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設されたケーブル、水道管、ガス管等の埋設状況、土地、道路等の位置、地籍情報、又は土地の境界や測量点等を標示するために、通常、金属鋲が適宜場所の地面に設置される。
【0003】
例えば、土地測量の基準点を標示する金属鋲101は、図13に示すように、真鍮等の金属材料から成形される円盤状を呈するものであって、裏面101b中央部に雌ネジ部102を形成してあり、地中に埋設したボルト(図示しない)に前記雌ネジ部102を螺合させることによって、適宜場所の地面に設置できるようになっている。
【0004】
前記金属鋲101の表面101aには、図13に示すように、基準点位置が+記号103で表示され、基準点番号104が数字、文字及び記号等で表示されている。
測量、調査等をする作業者は、設置場所において金属鋲101の表面101aに表示された基準点番号104を目視で確認した後、事務所等に戻って基準点成果表を閲覧し、その基準点番号104に該当する記載欄を参照し、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを取得する。
【0005】
よって、金属鋲101の設置場所において直ちに情報データを取得することができず、測量、調査等の作業に時間がかかった。又、基準点番号104を目視で確認するので、誤認することも多く、間違った情報データを取得することもあった。
又、前記金属鋲101にあっては、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを変更する場合には、基準点成果表の該当記載欄を一々書き換えなければならず、情報データを変更する作業は面倒なものであった。
【0006】
そこで、設置場所において直ちに情報データを取得することができ、測量、調査等の作業に時間がかからず、間違った情報データを取得することもないと共に、情報データを変更する作業も容易とするために、金属鋲101にRFIDデータキャリアを埋設し、リーダライタをこのRFIDデータキャリアに近接させて、情報データを読み書きすることが考えられる。
【0007】
しかし、上記の如く、金属鋲101は真鍮等の金属材料から成形されているから、電磁波を通過させ難く、金属鋲101に埋設されたRFIDデータキャリアとリーダライタとの間の通信は困難であり、結局、RFIDデータキャリアとの間で情報データを読み書きすることは困難である。
【0008】
かかる問題を解消するべく、金属鋲本体11の裏面に取付凹所13を穿設し、この取付凹所13にアモルファスを含有する反射体3を介在させてRFIDデータキャリア2を設置した金属鋲1が提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に開示された金属鋲1にあっては、RFIDデータキャリア2から発生する電磁波は、アモルファスを含有する反射体3によって広角度に反射され、取付凹所13の開口から放出されるから、RFIDデータキャリアとリーダライタとの間の通信が可能であり、情報データを読み書きすることが可能となる。
【0010】
【特許文献1】特開2003−4444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に開示された金属鋲1にあっては、RFIDデータキャリア2を金属鋲本体11の裏面に穿設した取付凹所13に設置したためか、反射体3によって反射される電磁波の出力は微弱であり、情報データを読み取り難いという問題があった。
又、反射体3の大きさ、RFIDデータキャリア2の設置状態等によって、放出される電磁波の出力は大きく変化するため、読み取り時にリーダライタの受信状態を調整する必要があった。
さらに、金属鋲本体11の裏面から放出される電磁波については、数百kHzという長波長帯については読み取り可能であるが、数MHzという短波長帯については読み取りができないため、RFIDデータキャリア2で使用する周波数が長波長帯に限定されるという問題があった。
【0012】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、発生する電磁波の出力を低下させることなく、確実に情報データを読み取ることができ、放出される電磁波の出力を一定に保持することができ、しかも、データキャリアにおいて短波長帯、長波長帯の何れの周波数をも使用できる金属鋲を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の金属鋲は、金属鋲本体に嵌合孔を穿設すると共に、前記嵌合孔から周側面に亘って切欠溝を形成し、前記嵌合孔にデータキャリアを保持させたことを特徴とする。
これによって、情報データを読み書きする際に発生する渦電流による損失を低減し、情報データを読み書きする際の安定性を向上させると共に、通信距離をより長くすることができる。
【0014】
前記データキャリアは、ICチップとアンテナとを一体化したICチップ装着体を外装材によって被覆したRFIDデータキャリアであることを特徴とする。
【0015】
前記外装材は、セラミック製外装材であるのが好ましい。これによって、機械的強度が高く、容易に破壊することはないと共に、耐熱性、耐湿性、耐水性、耐薬品性も高く、環境変化にも強い。
【0016】
前記嵌合孔内にキャリア保持部材を固着し、前記データキャリアをこのキャリア保持部材に係合させるのが好ましい。
【0017】
前記キャリア保持部材に係合突部を形成し、前記データキャリアに係合溝部を形成し、データキャリアをキャリア保持部材に係合させるのが好ましい。
【0018】
前記データキャリアの上面を強打することによって、データキャリアを下方に移動できるようにするのが好ましい。これによって、データキャリアが破損した時にも、金属鋲を交換する必要はなく、新品のデータキャリアを金属鋲の嵌合孔内に保持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の金属鋲の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
金属鋲1は、図1に示すように、金属鋲本体2及びデータキャリア3から構成される。
【0021】
金属鋲本体2は、図1に示すように、真鍮等の金属材料から成形される円盤状を呈するものであって、裏面2b中央部には雌ネジ部4を形成してある。
周辺部には表裏面を貫通する嵌合孔5を穿設してあり、その嵌合孔5から周側面に亘って切欠溝6を形成してある。
【0022】
金属鋲本体2の表面2aには、従来と同様、図1に示すように、基準点位置が+記号7で表示され、基準点番号8が数字、文字及び記号等で表示されている。
【0023】
図1に示すように、嵌合孔5内の下半部にはキャリア保持部材9を嵌合し、接着してある。このキャリア保持部材9は、合成樹脂材料から成形される円筒状を呈するものであって、内周面の上端部には内方に突出した係合突部9aを形成してある。
【0024】
データキャリア3は、超小型のICチップと無線通信用のアンテナとを一体化し、セラミック製外装材によって被覆したRFID(Radio Frequency Identification)データキャリアであって、図2乃至5に示すように、ICチップ装着体10と、セラミック製外装材11,12と、セラミック系充填材13とから構成される。
【0025】
ICチップ装着体10は、図5に示すように、銅、アルミニウム等の導電性を有する金属製線材を巻き回して形成したコイルアンテナ14とICチップ15とを接合して一体化したものである。
【0026】
セラミック製外装材11,12は、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2・SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等のセラミック材料を焼成したものであり、図2に示すように、上下の外装材11,12は互いに嵌合するようになっている。
【0027】
下側の外装材11は、図4に示すように、上端部を大径の円盤状部16に形成し、この円盤状部16に接続して小径の円筒状部17を形成してある。
円盤状部16の上面側にはICチップ装着体10を収納するための陥没部16aを形成してあり、円筒状部17の下端部には環状に切欠した係合溝部17aを形成してある。
【0028】
上側の外装材12は、図3に示すように、円盤状を呈し、下面側には前記陥没部16aと嵌合する突出部12aを形成してある。
【0029】
セラミック系充填材13としては、アルミナセメント、ポルトランドセメント等のセラミックセメント材料が使用される。
【0030】
データキャリア3は、以上のような構成であり、以下のようにして製作することができる。
【0031】
先ず、ICチップ装着体10を下側のセラミック製外装材11の陥没部16a内に位置させ、載置させる。一方、上側のセラミック製外装材12の下面全体にセラミック系充填材13を十分に塗布させ、付着させておく。
【0032】
次に、図2に示すように、セラミック製外装材12の突出部12aをセラミック製外装材11の陥没部16aに嵌合させ、両者を完全に結合させれば、データキャリア3を製作することができる。
【0033】
金属鋲1は、前記金属鋲本体2の嵌合孔5に前記データキャリア3を挿入し、下側の外装材11の円筒状部17に形成した係合溝部17aをキャリア保持部材9に形成した係合突部9aに係合させれば、図1に示すように、嵌合孔5内にデータキャリア3を保持させることができる。
【0034】
以上の如く、本発明の金属鋲1は、金属鋲本体2にデータキャリア3を保持させてあるから、測量、調査等をする作業者は、携帯したリーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させるだけで、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを容易に取得することができる。
又、測量、調査等をする作業者は、携帯したリーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させるだけで、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを容易に変更することもできる。
【0035】
さらに、リーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させることによって情報データを自動的に取得することができるから、基準点番号を目視で誤認したとしても、間違った情報データを取得することもない。
【0036】
そして、本発明の金属鋲1は、金属鋲本体2に嵌合孔5を穿設すると共に、前記嵌合孔5から周側面に亘って切欠溝6を形成し、前記嵌合孔5にデータキャリア3を保持させたから、情報データを読み書きする際に発生する渦電流による損失を低減し、情報データを読み書きする際の安定性を向上させると共に、通信距離をより長くすることができる。
【0037】
本発明の金属鋲1は、データキャリア3としてセラミック製外装材11,12によって被覆したRFIDデータキャリアを使用するから、機械的強度が高く、容易に破壊することはない。又、耐熱性、耐湿性も高く、環境変化にも強い。
【0038】
しかし、金属鋲1は、路面等に一旦設置されると、数年間又は数十年間という長期に亘って使用される。よって、その長期間のうちには、データキャリア3のコイルアンテナ14又はICチップ15が破損してしまうこともある。
【0039】
かかる場合には、金属鋲1を一旦路面等から取り外して、新品のデータキャリア3を保持させた金属鋲1を再度路面等に設置する必要がある。しかし、この金属鋲1を交換する作業は極めて面倒であり、時間もかかる。
【0040】
そこで、本発明の金属鋲1は、データキャリア3のコイルアンテナ14又はICチップ15が破損する事態についても十分に考慮してある。すなわち、少なくともデータキャリア3が一回破損した時には、金属鋲1を交換する必要がないようにした。
【0041】
データキャリア3が破損した場合に備えて、図6に示すような別のデータキャリア23を用意しておく。
データキャリア23も、セラミック製外装材によって被覆したRFIDデータキャリアであって、図6に示すように、下側のセラミック製外装材31以外は、データキャリア3と同様の構成である。
【0042】
セラミック製外装材31の材料は、セラミック製外装材11,12と同様であるが、図6に示すように、円盤状を呈し、上面側にはICチップ装着体10を収納するための陥没部31aを形成してある。
【0043】
よって、データキャリア23は、ICチップ装着体10を下側のセラミック製外装材31の陥没部31a内に載置させ、上側のセラミック製外装材12の突出部12aをその陥没部31aに嵌合させ、両者を完全に結合させることによって製作することができる。
【0044】
金属鋲1が路面等に設置された時は、図7(A)に示すように、下側の外装材11に形成した係合溝部17aがキャリア保持部材9に形成した係合突部9aに係合した状態で、金属鋲本体2の嵌合孔5内にデータキャリア3が保持されている。
【0045】
データキャリア3が万が一破損した時には、金属鋲本体2の嵌合孔5内に新品のデータキャリア23を補充して保持させることができる。
【0046】
新品のデータキャリア23を補充する際には、先ず、測量、調査等の作業者は、金属鋲本体2の嵌合孔5内に保持されたデータキャリア3を完全に動作不能な状態にする。
一時的なICチップ15の動作不良やコイルアンテナ14との接触不良等が原因でデータキャリア3が破損している場合には、後日、データキャリア3が再び動作可能となることもある。そのような時には、補充したデータキャリア23から情報データを読み書きする際にデータキャリア3が干渉し、悪影響を及ぼすことがあるから、これを未然に防止するのである。
【0047】
データキャリア3を完全に動作不能な状態にするために、図11に示すようなデータ消去装置61を使用する。
データ消去装置61は、携帯可能な筐体62内にデータ消去回路63を構成したものであり、データ消去回路63は、図11に示すように、電源64、抵抗65、コンデンサ66、コイル67及びスイッチ68から成る。
【0048】
データ消去装置61を使用する場合には、先ず、スイッチ68の接点68aを充電側端子69aと接続するように切り替える。
これによって、電源64からコンデンサ66に電流が流れ、コンデンサ66に電荷が蓄積され、充電される。
【0049】
充電が完了したならば、データ消去装置61のコイル67が配設された先端部を金属鋲本体2の嵌合孔5の上方に近接させ、次に、スイッチ68の接続接点68aを消去側端子69bと接続するように切り替える。
これによって、コンデンサ66に蓄積された電荷が放逸されて、コイル67に電流が流れ、コイル67の周囲には電磁誘導によって強力な磁界が形成される。
【0050】
この強大な磁界に曝されると、データキャリア3のコイルアンテナ14には高電圧が励起され、ICチップ15にこの高電圧が印加される。そして、この高電圧によって、ICチップ15は破壊されてしまうから、以後、再びその機能を発揮することはない。
このようにして、データキャリア3は完全に動作不能となるから、嵌合孔5内に新品のデータキャリア23を補充しても、データキャリア3からの干渉は受けず、悪影響が及ぶ危険性を完全に排除することができる。
【0051】
データキャリア3を完全に動作不能な状態とした後に、測量、調査等の作業者は、小径の棒状部材等を使用して、嵌合孔5内に保持されたデータキャリア3の上側のセラミック製外装材12の上面を強打する。
すると、データキャリア3は下方に移動し、キャリア保持部材9に形成した係合突部9aを押潰し、図7(B)に示すように、セラミック製外装材12の下面がキャリア保持部材9の上面に当接して停止し、保持される。
【0052】
この時、嵌合孔5の上部には空間部Sが形成されるから、図7(C)に示すように、データキャリア23をその空間部Sに挿入し、データキャリア3のセラミック製外装材12の上面にデータキャリア23のセラミック製外装材31の下面を当接し、接着する。
【0053】
このようにすれば、データキャリア3が破損した時にも、金属鋲1を交換する必要はなく、新品のデータキャリア23を金属鋲1の嵌合孔5内に保持させることができる。
【0054】
[実施例2]
前記実施例1においては、データキャリア3の外装材をセラミック製外装材11,12から構成したが、図8に示すように、データキャリア43の外装材をセラミック製外装材31,12から構成し、さらに、支持部材41を連結してもよい。
【0055】
支持部材41は、図9に示すように、合成樹脂材料から成形される円筒状を呈するものであって、セラミック製外装材31,12よりも小径としてある。又、その下端部には環状に切欠した係合溝部41aを形成してある。
【0056】
データキャリア43は、以上のような構成であり、データキャリア3と同様にして製作することができ、最後に、セラミック製外装材11の下面に接着、溶着等によって支持部材41の上面を固着させる。
【0057】
データキャリア43を使用した場合にも、前記金属鋲本体2の嵌合孔5にデータキャリア43を挿入し、支持部材41に形成した係合溝部41aをキャリア保持部材9に形成した係合突部9aに係合させれば、嵌合孔5内にデータキャリア43を保持させることができる。
【0058】
そして、データキャリア43を使用した場合にも、データキャリア3を使用した金属鋲1と同様に、測量、調査等をする作業者は、リーダライタのアンテナをデータキャリア3に近接させるだけで、点の名称、等級、経度緯度、座標値等の情報データを容易に取得することができる等の同様の作用・効果を奏する。
【0059】
さらに、データキャリア43を使用した場合には、データキャリア43及び予備のデータキャリア23の構成部材である外装材を同一形態の外装材31,12にすることができるから、部品コストを安価にすることができる。
【0060】
データキャリア43が万が一破損した時に、新品のデータキャリア23を保持させる方法についても、図10(A)〜(C)に示すように、データキャリア3を使用した場合と同様である。
【0061】
[実施例3]
前記実施例1の金属鋲1においては、係合突部9aを形成したキャリア保持部材9を採用したが、データキャリアが破損した時には金属鋲を交換する場合には、図12に示すように、合成樹脂材料から成形される単なる円筒状を呈するキャリア保持部材59を採用した金属鋲51としてもよい。
【0062】
本実施例の金属鋲51も、図12に示すように、金属鋲本体52及びデータキャリア53から構成され、金属鋲本体52は、実施例1の金属鋲本体2と同様の構成である。
データキャリア53は、図6に示すデータキャリア23と同様の構成であり、キャリア保持部材59は、図12に示すように、合成樹脂材料から成形される単なる円筒状を呈するものである。
【0063】
そして、嵌合孔55内の下半部にキャリア保持部材59を嵌合し、接着すると共に、嵌合孔55にデータキャリア53を挿入し、データキャリア53の下面をキャリア保持部材59の上面に当接させれば、図12に示すように、嵌合孔55内にデータキャリア53を保持させることができる。
【0064】
かかる構成によれば、データキャリア53の上面を金属鋲本体52の表面と確実に略面一とすることができ、発生する電磁波の出力低下を極力防止することができる。
又、データキャリア53及びキャリア保持部材59を使用した場合には、部品コストをより安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の金属鋲の一実施例の(A)は平面図、(B)はB−B線断面図である。
【図2】データキャリアの一実施例の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図3】図2に示すデータキャリアの上側外装材の(A)は平面図、(B)は縦断面図、(C)は底面図である。
【図4】図2に示すデータキャリアの下側外装材の(A)は平面図、(B)は縦断面図、(C)は底面図である。
【図5】ICチップ装着体の(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図6】予備のデータキャリアの(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図7】予備のデータキャリアを保持する方法を示す説明図である。
【図8】データキャリアの他実施例の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図9】図8に示すデータキャリアの支持部材の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図10】予備のデータキャリアを保持する方法を示す説明図である。
【図11】データ消去装置の(A)は平面図、(B)はデータ消去回路の構成図である。
【図12】本発明の金属鋲の他実施例の(A)は平面図、(B)はB−B線断面図である。
【図13】従来の基準点金属鋲の(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 金属鋲
2 金属鋲本体
3 データキャリア
5 嵌合孔
6 切欠溝
9 キャリア保持部材
9a 係合突部
10 ICチップ装着体
11 外装材
12 外装材
14 アンテナ
15 ICチップ
17a 係合溝部
51 金属鋲
52 金属鋲本体
53 データキャリア
55 嵌合孔
56 切欠溝
59 キャリア保持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属鋲本体に嵌合孔を穿設すると共に、この嵌合孔から周側面に亘って切欠溝を形成し、前記嵌合孔にデータキャリアを保持させたことを特徴とする金属鋲。
【請求項2】
前記データキャリアは、ICチップとアンテナとを一体化したICチップ装着体を外装材によって被覆したRFIDデータキャリアであることを特徴とする請求項1に記載の金属鋲。
【請求項3】
前記外装材は、セラミック製外装材であることを特徴とする請求項2に記載の金属鋲。
【請求項4】
前記嵌合孔内にキャリア保持部材を固着し、前記データキャリアをこのキャリア保持部材に係合させたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の金属鋲。
【請求項5】
前記キャリア保持部材に係合突部を形成し、前記データキャリアに係合溝部を形成し、データキャリアをキャリア保持部材に係合させたことを特徴とする請求項4に記載の金属鋲。
【請求項6】
前記データキャリアの上面を強打することによって、データキャリアを下方に移動できることを特徴とする請求項1乃至5に記載の金属鋲。
【請求項1】
金属鋲本体に嵌合孔を穿設すると共に、この嵌合孔から周側面に亘って切欠溝を形成し、前記嵌合孔にデータキャリアを保持させたことを特徴とする金属鋲。
【請求項2】
前記データキャリアは、ICチップとアンテナとを一体化したICチップ装着体を外装材によって被覆したRFIDデータキャリアであることを特徴とする請求項1に記載の金属鋲。
【請求項3】
前記外装材は、セラミック製外装材であることを特徴とする請求項2に記載の金属鋲。
【請求項4】
前記嵌合孔内にキャリア保持部材を固着し、前記データキャリアをこのキャリア保持部材に係合させたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の金属鋲。
【請求項5】
前記キャリア保持部材に係合突部を形成し、前記データキャリアに係合溝部を形成し、データキャリアをキャリア保持部材に係合させたことを特徴とする請求項4に記載の金属鋲。
【請求項6】
前記データキャリアの上面を強打することによって、データキャリアを下方に移動できることを特徴とする請求項1乃至5に記載の金属鋲。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−241333(P2007−241333A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58535(P2006−58535)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(391035902)ケイ・アール・ディコーポレーション株式会社 (9)
【出願人】(591034017)株式会社リプロ (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(391035902)ケイ・アール・ディコーポレーション株式会社 (9)
【出願人】(591034017)株式会社リプロ (15)
【Fターム(参考)】
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