説明

金属錯体および素子

【課題】3座配位子と単座配位子を有し、十分な発光性能を示すことのできる金属錯体を提供すること。
【解決手段】第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属と、単座配位子と、1個以上の芳香環を含みかつ当該芳香環構造内に3個の配位原子を含む3座配位子とを有する金属錯体であって、10℃以上で可視域に発光を示す金属錯体。
陽極および陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が上記金属錯体を含む発光層であることを特徴とする発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体および素子に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス(EL)発光素子の発光層に用いる発光材料として、三重項励起状態からの発光を示す金属錯体が、知られている。
【0003】
三重項励起状態からの発光を示す金属錯体としては、配位子として2座配位子を有する金属錯体が知られている。(非特許文献1)
【0004】
上記2座配位子を有する金属錯体の特性を改良等するために配位子として3座配位子および単座配位子を有する金属錯体が検討されている。(非特許文献2、3)
【0005】
【非特許文献1】APPLIED PHYSICS LETTERS、75,1、4,(1999)
【非特許文献2】Organometallics 1998, 17, 3505-3511
【非特許文献3】Zeitschrift fuer Naturforschung (1964), 19b(8), 767-8.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公知の、3座配位子および単座配位子を有する金属錯体は、その発光性能において未だ十分ではなかった。
【0007】
本発明の目的は、3座配位子と単座配位子を有し、十分な発光性能を示すことのできる金属錯体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち本発明は、第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属と、単座配位子と、1個以上の芳香環を含みかつ当該芳香環構造内に3個の配位原子を含む3座配位子とを有する金属錯体であって、10℃以上で可視域に発光を示す金属錯体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属錯体は、単座配位子と3座配位子とを有し、十分な発光性能を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】

本発明の金属錯体が有する金属は第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。
【0011】
本発明の金属錯体が有する単座配位子としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アミド基、酸イミド基、アミノ基、シリル基、カルボキシル基、複素環配位子、カルボニル配位子、アルケン配位子、アルキン配位子、アミン配位子、イミン配位子、イソニトリル配位子、ホスフィン配位子、ホスフィンオキシド配位子、ホスファイト配位子、エーテル配位子、スルホン配位子、スルホキシド配位子またはスルフィド配位子などが例として挙げられる。いずれの配位子もフッ素や塩素などのハロゲン原子が置換していても良い。
【0012】
アルキル基としては、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜10程度であり、好ましくは炭素数3〜10である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、 i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0013】
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜10程度であり、好ましくは炭素数3〜10である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0014】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜10程度であり、好ましくは炭素数3〜10である。具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、 i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、 i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0015】
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。ここに、アリール基とは、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団である。ここに芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
【0016】
アリールオキシ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェノキシ基として具体的にはメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
【0017】
アリールチオ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0018】
アシル基は、炭素数は通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
【0019】
アミド基は、炭素数は通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。具体的には、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基、などが例示される。
【0020】
酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基があげられ、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。具体的には以下に示す基が例示される。


【0021】
複素環配位子としては、0価でも1価でもよく、0価のものとしては例えば、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、2−(4−チオフェン−2−イル)ピリジン、2−(ベンゾチオフェン−2−イル)ピリジンなどが例示され、1価のものとしては例えば、フェニルピリジン、2-(パラフェニルフェニル)ピリジン、7−ブロモベンゾ[h]キノリン、2−(4−フェニルチオフェン−2−イル)ピリジン、2−フェニルベンゾオキサゾール、2-(パラフェニルフェニル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−(パラフェニルフェニル)ベンゾチアゾールなどが例示される。
カルボニル配位子としては、一酸化炭素やアセトン、べンゾフェノンなどのケトン類、アセチルアセトン、アセナフトキノンなどのジケトン類、アセチルアセトナート、ジベンゾメチラート、テノイルトリフルオロアセトナートなどのアセトナート配位子などが例示される。
アルケン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンまたはデセン等が挙げられる。
アルキン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、アセチレン、フェニルアセチレンまたはジフェニルアセチレン等が挙げられる。
アミン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミンまたはトリブチルアミン等が挙げられる。
イミン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾフェノンイミンまたはメチルエチルケトンイミン等が挙げられる。
イソニトリル配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、t−ブチルイソニトリルまたはフェニルイソニトリル等が挙げられる。
ホスフィン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンまたはトリブチルホスフィン等が挙げられる。
ホスフィンオキシド配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリブチルホスフィンオキシドまたはトリフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
ホスファイト配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスファイト、トリトリルホスファイト、トリブチルホスファイトまたはトリエチルホスファイト等が挙げられる。
エーテル配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等が挙げられる。
スルホン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルスルホンまたはジブチルスルホン等が挙げられる。
スルホキシド配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルスルホキシドまたはジブチルスルホキシド等が挙げられる。
スルフィド配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、エチルスルフィドまたはブチルスルフィド等が挙げられる。
【0022】
単座配位子としては、芳香環を有している(芳香環を有する単座配位子である)ことが好ましく、当該芳香環構造内(芳香環中)に、配位原子を含むことがより好ましく、さらには芳香環中の配位原子が炭素または窒素であるか、芳香環が縮合環であることが好ましい。
【0023】
発光効率の観点から、芳香環中の配位原子が炭素または窒素である単座配位子としては、下記式(S−1)に示される構造であることが好ましい。
【0024】


〔上記式(S−1)中、*は金属に配位している原子を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。〕
【0025】
ここにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アミド基、酸イミド基としては前記と同様の基を表す。
【0026】
アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0027】
アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0028】
アリールアルキルチオ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0029】
アリールアルケニル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0030】
アリールアルキニル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0031】
置換アミノ基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基をいい、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。炭素数は該置換基の炭素数を含めないで通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。
具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
【0032】
置換シリル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基をいい、炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピリシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
【0033】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
【0034】
アシルオキシ基は、炭素数は通常2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。具体的には、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
【0035】
イミン残基としては、イミン化合物( 分子内に、−N=C-を持つ有機化合物のことをいう。その例として、アルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物があげられる)から水素原子1個を除いた残基があげられ、通常炭素数2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。具体的には、以下の構造式で示される基などが例示される。


【0036】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、好ましくは4〜20である。なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。具体的には、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0037】
置換カルボキシル基は、通常炭素数2〜60程度であり、好ましくは炭素数2〜48である。アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基で置換されたカルボキシル基をいい、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、などが挙げられる。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
【0038】
発光効率の観点から、縮合環である単座配位子としては、下記式(S−2)に示される構造であることが好ましい。
【0039】



〔上記式(S−2)中、*は金属に配位している原子を表し、Rは前記と同様の基を表す。〕
【0040】
合成上の観点から、式(S−1)および(S−2)中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子であることが好ましい。
【0041】
特に下記式(1)〜(3)で示される3座配位子が縮合環を含まない場合は、単座配位子が縮合環を有していることが好ましい。
【0042】
次に、三座配位子について説明する。本発明の金属錯体は、1個以上の芳香環を含みかつ環構造内に3個の配位原子を含む3座配位子を有する。
この3座配位子が1個の芳香環を含む場合は、この芳香環の環構造内に3個の配位原子を含み、2個の芳香環を含む場合は一方の環に1個の配位原子を含み、もう一方の環に2個の配位原子を含む。3座配位子が3個の芳香環を含む場合は、例えば、各々の環が1個の配位原子を含む。このとき、3座配位子が含む芳香環の数には、置換基に含まれる芳香環の数は含まない。
【0043】
本発明の金属錯体が有する3座配位子が含む芳香環は置換基を有していてもよく、
該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、シアノ基等があげられる。三座配位子の芳香環上に置換基が複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0044】
ここに、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基および置換カルボキシル基としては前記と同様の基である。
【0045】
置換シリルオキシ基は、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基または1価の複素環オキシ基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルオキシ基をいい、炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基または1価の複素環オキシ基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、ジメチル−i−プロピリシリルオキシ基、ジエチル−i−プロピルシリルオキシ基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリルオキシ基、ヘキシルジメチルシリルオキシ基、ヘプチルジメチルシリルオキシ基、オクチルジメチルシリルオキシ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルオキシ基、ノニルジメチルシリルオキシ基、デシルジメチルシリルオキシ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルオキシ基、ラウリルジメチルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基などが例示される。
【0046】
置換シリルチオ基は、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基または1価の複素環チオ基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルチオ基をいい、炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルコキシ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基または1価の複素環チオ基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリ−i−プロピルシリルチオ基、ジメチル−i−プロピリシリルチオ基、ジエチル−i−プロピルシリルチオ基、t−ブチルシリルジメチルシリルチオ基、ペンチルジメチルシリルチオ基、ヘキシルジメチルシリルチオ基、ヘプチルジメチルシリルチオ基、オクチルジメチルシリルチオ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルチオ基、ノニルジメチルシリルオチオ基、デシルジメチルシリルチオ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルチオ基、ラウリルジメチルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、t−ブチルジフェニルシリルオチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基などが例示される。
【0047】
置換シリルアミノ基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基または1価の複素環アミノ基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルアミノ基をいい、炭素数は通常1〜60程度であり、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルコキシ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基または1価の複素環アミノ基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリ−i−プロピルシリルアミノ基、ジメチル−i−プロピリシリルアミノ基、ジエチル−i−プロピルシリルアミノ基、t−ブチルシリルジメチルシリルアミノ基、ペンチルジメチルシリルアミノ基、ヘキシルジメチルシリルアミノ基、ヘプチルジメチルシリルアミノ基、オクチルジメチルシリルアミノ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルアミノ基、ノニルジメチルシリルオアミノ基、デシルジメチルシリルアミノ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルアミノ基、ラウリルジメチルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、t−ブチルジフェニルシリルオアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基などが例示される。
【0048】
ヘテロアリールオキシ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、チエニル基、C1〜C12アルコキシチエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジルオキシ基、ピリジルオキシ基、イソキノリルオキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルピリジルオキシ基として具体的にはメチルピリジルオキシ基、エチルピリジルオキシ基、ジメチルピリジルオキシ基、プロピルピリジルオキシ基、1,3,5−トリメチルピリジルオキシ基、メチルエチルピリジルオキシ基、i−プロピルピリジルオキシ基、ブチルピリジルオキシ基、i−ブチルピリジルオキシ基、t−ブチルピリジルオキシ基、ペンチルピリジルオキシ基、イソアミルピリジルオキシ基、ヘキシルピリジルオキシ基、ヘプチルピリジルオキシ基、オクチルピリジルオキシ基、ノニルピリジルオキシ基、デシルピリジルオキシ基、ドデシルピリジルオキシ基などが例示される。
【0049】
ヘテロアリールチオ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、ピリジルチオ基、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基、イソキノリルチオ基などが例示され、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基が好ましい。
【0050】
本発明の金属錯体としては、下記一般式(1)、(2)または(3)で表される構造と単座配位子とを有する金属錯体が好ましい。



(1)

〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、A環、B環およびC環はそれぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX1、Y1およびZ1は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。fおよびgはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基または炭素数1〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。mおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。〕



(2)

〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、D環およびE環は、それぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX2、Y2およびZ2は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わし、hは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基または炭素数1〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子に置換されていてもよく、oは0または1を表す。〕



(3)
〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、F環は芳香環を表し、環構造内に存在するX3,Y3およびZ3は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。〕
【0051】
上記式(1)におけるMは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。
【0052】
上記式(1)におけるA環、B環およびC環はそれぞれ独立に芳香環を表す。
芳香環としては、芳香族炭化水素環、複素芳香環があげられる。芳香環は単環であっても、縮合環であってもよい。
【0053】
単環の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼンがあげられる。
縮合環の芳香族炭化水素環としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン等があげられる。
単環の複素芳香環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン等があげられる
縮合環の複素芳香環としては、例えば、キノキサリン、フェナントロリン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール等があげられる。
【0054】
式(1)において、A環のX1、B環のX2、C環のX3は、各々の環構造内に含まれる、金属(M)への配位原子である。
配位原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、リン原子、ヒ素原子、セレン原子が挙げられ、炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子がさらに好ましい。
【0055】
B環の具体例として、芳香族炭化水素環としては以下のものがあげられる。



〔上記中のRおよび*は前記と同様の意味を表す。〕
【0056】
また、B環の具体例として、複素芳香環としては、以下のものが例示される(B13〜B62)。









〔上記式中 R、*は前記と同じ意味を表す。〕
【0057】
A環、C環の具体例としては上記B環具体例のそれぞれの結合手のひとつが置換基Rに置換された基が例示される。
【0058】
式(1)において、mおよびnはそれぞれ独立に0または1を表し、fおよびgはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基または炭素数1〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子に置換されていてもよい。
【0059】
ここに、炭素数1〜6のアルキレン基としては、−CH2−、−C2H4−、−C3H6−、−C4H8−、があげられる。炭素原子(の一部)が酸素に置換されているものとしては、−OCH2−、−CH2OC2H4−、があげられ、炭素原子(の一部)が硫黄に置換されているものとしては、−SCH2−、−CH2SC2H4−、があげられる。
【0060】
炭素数1〜6のアルケニレン基としては、−CH=CH−CH2−、−CH=CH−C2H4−、−CH2−CH=CH−C2H4−、があげられる。炭素原子(の一部)が酸素に置換されているものとしては−CH=CH−CH2O−があげられ、炭素原子(の一部)が硫黄に置換されているものとしては、−CH=CH−CH2S−があげられる。
【0061】
炭素数1〜6のアルキニレン基としては−C≡C−CH2−、−C≡C−C2H4−、−CH2−C≡C−C2H4−があげられる。炭素原子(の一部)が酸素に置換されているものとしては−CH≡CH−CH2O−があげられ、炭素原子(の一部)が硫黄に置換されているものとしては、
−CH≡CH−CH2S−
があげられる。
【0062】
上記式(1)の3座配位子としては以下のものが例示される。


【0063】


【0064】


【0065】


【0066】








【0067】







〔上記式中 R、*は前記と同じ意味を表す。〕
【0068】
合成上の観点から、A環、B環、C環は単環の芳香族炭化水素環または単環の複素環であることが好ましい。
【0069】
次に式(2)の構造を有する金属錯体について説明する。
式(2)において、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。
【0070】
式(2)において、D環およびE環はそれぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX2、Y2およびZ2は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わし、hは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基または炭素数1〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子に置換されていてもよく、oは0または1を表す。
ここに、芳香環、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基または炭素数1〜6のアルキニレン基の定義、具体例は、式(1)におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0071】
D環としては、以下のものが例示されるが、錯体の安定性の観点から、縮合環が好ましい。



〔上記式中 R、*は前記と同じ意味を表す。〕
【0072】
E環の具体例としては、前記 B1〜B62のそれぞれの結合手のひとつが置換基Rに置換された基があげられ、合成上の観点から、E環は単環の芳香族炭化水素環または単環の複素環であることが好ましい。
【0073】
上記式(2)の3座配位子としては以下のものが例示される。








【0074】
次に式(3)の構造を有する金属錯体について説明する
式(3)において、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属であり、その具体例としては、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Os、Ir、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが例としてあげられ、高効率を得るという観点から、Ru,Rh,W,Os,Ir,Au,Eu、Tbが好ましく、さらにW,Os,Ir,Auが好ましく、さらに好ましくはW,Auであり、Auが最も好ましい。
【0075】
F環は芳香環を表し、
各々の環構造内に存在するX3,Y3およびZ3は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。
ここに、芳香環の定義、具体例は、式(1)におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0076】
F環の具体例、すなわち上記式(3)の3座配位子としては、以下のものがあげられるが、錯体の安定性の観点から、縮合環が好ましい。
【0077】



上記式中R、*は前記と同じ意味を表す。
【0078】
上記式(1)〜(3)の構造を有する金属錯体化合物は、3座配位子を2つ有していてもよいし、1つの3座配位子と単座配位子のほかに2座配位子を有していてもよい。
2座配位子としては、特に限定されるものではないが、例えばアルキル基やハロゲン原子で置換されていてもよいフェニルピリジン、フェナントロリン、フェニルキノリンや特表2003−515897に記載の2座配位子などが挙げられる。
【0079】
本発明の金属錯体からの発光は特に限定はされ無いが、MLCT励起状態(Metal to Ligand charge transfer励起状態)からの発光が含まれることが、高効率を得る点で好ましい。
【0080】
本発明の金属錯体は10℃以上で可視域にフォトルミネッセンスを示すことが好ましく、10℃以上で可視域にエレクトロルミネッセンスを示すことがさらに好ましい。
【0081】
次に、本発明の金属錯体の合成法について説明する。
金属のハロゲン化物及びその水和物が安定に入手可能なものについては金属塩と配位子をアルコール等の適当な溶媒で加熱し、オルトメタル化反応に代表される脱HX(X=金属塩由来のハロゲンイオン)反応により中間体であるM(L1)(L2)の合成が可能である。ここでL1は上記記載の3座配位子を表し、L2は金属塩由来のハロゲンイオンを表す。例えば非特許文献3記載の方法が合成法として例示される。
同様の反応は金属ハライドだけでなく酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩など一般的な金属塩についても適用が可能である。
金属ハライドのオルトメタル化反応による中間体の合成方法の他に低原子価金属への配位子の酸化的付加による合成方法も可能である。即ち前記中間体M(L1)(L2)の金属イオンの価数nとすると(n-2)価の金属M’とL1-Zを用いた酸化的付加反応によりM(L1)(Z)を得る事が出来る。ここで金属M’にはホスフィンやカルボニルといった置換活性な配位子を有していても良く、Zは臭素やよう素など酸化的付加しやすい置換基を表し、L1上の金属と結合する位置に置換されているものとする。Zは前記L2と同様な置換活性な配位子であるので、得られたM’(L1)(Z)も本発明における中間体として用いる事が可能である。
原料のM(L1)(L2)を適当な有機溶媒中での配位子交換反応によりハロゲン配位子を前記単座配位子に変換することが可能である。ここに示したすべての反応は通常有機溶媒中で行われ、溶媒としては例えば例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ターシャリーブチルメチルエーテル、ジオキサン、などのエーテル系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチルエステル、プロピオン酸メチルエステル、などのエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、などのハロゲン系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン系溶媒、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール系溶媒、などが用いられる。溶媒の使用量は、特に制限されないが、通常、原料である錯体類と配位子類の合計重量に対して通常重量比で10〜500倍程度である。
【0082】
反応温度は、特に限定されないが、通常溶媒の融点から沸点の間で反応させることができ-78℃〜溶媒の沸点が好ましい。
反応時間は、特に限定されないが、通常30分間から30時間程度である。
【0083】
合成操作としては、フラスコ内に溶媒を投入しこれを攪拌しながら、不活性ガス、例えば、窒素ガスやアルゴンガス、でバブリングなどにより脱気した後、錯体と配位子を投入する。攪拌しながら不活性ガス雰囲気下で配位子交換される温度まで昇温し、保温攪拌する。反応の終点は、TLCモニターや高速液体クロマトグラフィーにより原料の減少が停止することや、どちらかの原料の消失をもって決定することができる。
【0084】
反応混合液からの目的物の取り出しと精製については、錯体によって異なり、通常の錯体精製の手法が使われる。
【0085】
例えば、錯体に対して貧溶媒である1規定の塩酸水溶液を投入し錯体を析出させ、これをろ過して取りこの固体をジクロロメタンやクロロホルムなどの有機溶媒に溶かす。この溶液をろ過して不溶物を除去し再度濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン溶出)により精製し、目的物の分画溶液を集め、例えば、メタノール(貧溶媒)を適当量加え、濃縮し目的物錯体を析出させ、これをろ過して乾燥させ錯体を得る。
化合物の同定・分析はCHN元素分析及びNMRにより行う事が出来る。
【0086】
本発明の組成物は、上記本発明の金属錯体と有機化合物とを含む。
【0087】
本発明の組成物は、例えばホスト化合物として他の有機化合物を混合したものを表し、ホスト化合物としては、これまで知られている、金属錯体燐光発光化合物用の低分子ホスト化合物や、高分子が挙げられる。
低分子ホスト化合物としては、具体的には、下記化合物を挙げることができる。
【0088】




【0089】
また、ホスト化合物としては高分子も用いることができる。高分子としては、非共役系高分子、共役系高分子が挙げられる。非共役系高分子としては、ポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。共役系高分子としては、主鎖に芳香環を含むポリマーが例として挙げられ、さらに具体的には下記の構造を含む高分子を挙げることができる。


【0090】
ホストとして用いる高分子は、上記構造を含む共重合体や、高分子組成物でもよい。
【0091】
本発明の組成物に用いる高分子のポリスチレン換算の数平均分子量は103〜108が好ましく、さらに好ましくは104〜106である。ポリスチレン換算の重量平均分子量は103〜108であり、好ましくは5×104〜5×106である。
また、本発明の金属錯体は、高分子内に部分構造として組み込まれていてもよい。
即ち本発明は、上記本発明の金属錯体の構造を分子内に含む高分子金属錯体に関する。

金属錯体が組み込まれる高分子としては、本発明の組成物として用いる高分子として上記に記載した高分子が同様に例示される。
【0092】
本発明の組成物中の金属錯体の量は、組み合わせる有機化合物種類や、最適化したい特性により異なるので、特に限定されないが、有機化合物の量を100重量部としたとき、通常0.01〜80重量部、好ましくは0.1〜60重量部である。また、金属錯体を2種類以上含んでいてもよい。
【0093】
本発明の組成物は、さらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含んでいてもよい。
【0094】
正孔輸送材料としては、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体など、これまで有機EL素子に正孔輸送材料として使われているようなものが挙げられ、
【0095】
また電子輸送材料としては、同様にこれまで有機EL素子に電子輸送材料として使われているような、オキサジアゾール誘導体アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体などが挙げられる。
【0096】
発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
【0097】
インク組成物(例えば、印刷法等では溶液として用いられる)としては、少なくとも1種類の本発明の金属錯体または組成物が含有されていればよい。
該インク組成物は、本発明の金属錯体または組成物以外に、通常は溶媒を含み、また正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、安定剤、粘度および/または表面張力を調節するための添加剤、酸化防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における本発明の金属錯体または組成物の割合は、溶媒を除いた該インク組成物の全重量に対して通常は20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中の溶媒の割合は、該インク組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.9wt%であり、さらに好ましく90wt%〜99.8wt%である。
該インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sの範囲があげられ、1〜100mPa・sが好ましく、インクジェットプリント法などインク組成物が吐出装置を経由するもの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0098】
インク組成物に用いる溶媒としては、本発明の金属錯体または組成物を溶解または均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。上記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが好ましい。
【0099】
溶媒の種類としては、本発明の金属錯体または組成物の有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、メチルベンゾエート、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルメチルベンゾエートのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
【0100】
インク組成物の溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
【0101】
インク組成物に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、2種類の溶媒ともに、60℃において0.2wt%以上の本発明の金属錯体または組成物が溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において0.2wt%以上の本発明の金属錯体または組成物が溶解することが好ましい。
【0102】
インク組成物に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において0.2wt%以上の本発明の金属錯体または組成物が溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において0.2wt%以上の本発明の金属錯体または組成物が溶解することが好ましい。
【0103】
インク組成物に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度および成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、インク組成物の全溶媒の重量の40〜90wt%であることが好ましく、50〜90wt%であることがより好ましく、65〜85wt%であることがさらに好ましい。
【0104】
本発明のインク組成物としては、粘度および成膜性の観点から、アニソールおよびビシクロヘキシルからなる組成物、アニソールおよびシクロヘキシルベンゼンからなる組成物、キシレンおよびビシクロヘキシルからなる組成物、キシレンおよびシクロヘキシルベンゼンからなる組成物、メシチレンおよびメチルベンゾエートからなる組成物が好ましい。
【0105】
本発明のインク組成物が含むことができる添加剤のなかで、
正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体があげられる。
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体があげられる。
発光材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などがあげられる。
安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などがあげられる。
粘度および/または表面張力を調節するための添加剤としては、粘度を高めるための高分子量の高分子化合物(増粘剤)や貧溶媒、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤などを適宜組み合わせて使用すれば良い。
【0106】
前記の高分子量の高分子化合物としては、本発明の金属錯体または組成物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであれば良い。例えば、高分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、あるいは本発明の高分子化合物のうち分子量が大きいものなどを用いることができる。重量平均分子量が50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。貧溶媒を増粘剤として用いることもできる。すなわち、溶液中の固形分に対する貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。この目的で貧溶媒を添加する場合、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶媒の種類と添加量を選択すれば良い。保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、溶液全体に対して50wt%以下であることが好ましく、30wt%以下であることが更に好ましい。
【0107】
酸化防止剤としては、本発明の金属錯体または組成物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであれば良く、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが例示される。酸化防止剤を用いることにより、本発明の金属錯体または組成物、溶媒の保存安定性を改善し得る。
【0108】
本発明の金属錯体または組成物の溶媒への溶解性の観点から、溶媒の溶解度パラメータと、高分子化合物の溶解度パラメータとの差が10以下であることをが好ましく、7以下であることがより好ましい。
【0109】
溶媒の溶解度パラメーターと本発明の金属錯体または組成物の溶解度パラメーターは、「溶剤ハンドブック(講談社刊、1976年)」に記載の方法で求めることができる。
【0110】
インク組成物に含まれる本発明の金属錯体は、1種類でも2種類以上でもよく、素子特性等を損なわない範囲で本発明の金属錯体以外の高分子化合物を含んでいてもよい。
【0111】
なお、本発明に用いる金属錯体は、発光材料として用いることができるだけでなく、有機半導体材料、光学材料、あるいはドーピングにより導電性材料として用いることもできる。
【0112】
次に、本発明の素子について説明する。本発明の素子は、陽極および陰極からなる電極間に、本発明の金属錯体または本発明の組成物を含む層を有することを特徴とし、例えば、光電素子、発光素子として用いることができる。該素子が発光素子の場合は、本発明の金属錯体を含む層が、発光層であることが好ましい。
【0113】
また、本発明の発光素子としては、陽極および陰極からなる電極間に、さらに電荷輸送層または電荷阻止層を含んでいてもよい。電荷輸送層とは、正孔輸送層または電子輸送層を意味し、電荷阻止層とは、ホール阻止層または電子阻止層を意味する。陰極と発光層との間に、電子輸送層またはホール阻止層を設けた発光素子、陽極と発光層との間に、正孔輸送層または電子阻止層を設けた発光素子、陰極と発光層との間に、電子輸送層またはホール阻止層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層または電子阻止層を設けた発光素子等が挙げられる。ここで、電子輸送層とホール阻止層は、「有機ELのすべて」162頁(城戸淳二著、日本実業出版)に記載されているように、同じ機能を持ち、たとえば電子輸送層とホール阻止層を構成する材料は同じものを用いることができ、材料の特性により、どちらかの機能がより強く反映される場合がある。正孔輸送層と電子阻止層も同様である。本発明の発光素子には、例えば特許文献(Journal of the SID 11/1,161−166,2003
)記載の素子構造が例に挙げられる。
また、上記少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた発光素子;少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して平均膜厚2nm以下のバッファー層を設けた発光素子が挙げられる
【0114】
具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0115】
ここで、発光層とは、発光する機能を有する層、すなわち発光性薄膜であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。
発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0116】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
【0117】
また、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
【0118】
さらに、電子を輸送し、かつ正孔を閉じ込めるために発光層との界面に正孔阻止層を挿入してもよい。
【0119】
積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0120】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた発光素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子が挙げられる。
【0121】
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0122】
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0123】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。
【0124】
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103S/cm以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0125】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
【0126】
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0127】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリアミノフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0128】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
【0129】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
【0130】
正孔阻止層は、電子を輸送しかつ、陽極から輸送された正孔を閉じ込める働きを有するものであり、発光層の陰極側の界面に設けられ、発光層のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有する材料、例えば、バソクプロイン、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体などから構成される。
【0131】
正孔阻止層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0132】
具体的には、例えば、以下のac)〜an)の構造が挙げられる。
ac)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/陰極
ad)陽極/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ae)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
af)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/陰極
ag)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ah)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ai)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極
aj)陽極/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
ak)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
al)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極
am)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
an)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0133】
本発明の発光素子を作製する際に、ホストを含めた発光材料を溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。印刷法等で製膜する場合は、上記インク組成物を用いて製膜することができる。またホストを含めた発光材料が比較的低分子の場合は、発光層を真空蒸着法を用いて製膜してもよい。
【0134】
本発明の発光素子においては、発光層に本発明の金属錯体または組成物以外の発光材料を混合して使用してもよい。また、本発明の発光素子においては、本発明以外の発光材料を含む発光層が、本発明の金属錯体または組成物を含む発光層と積層されていてもよい。
【0135】
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
【0136】
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0137】
本発明の発光素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリアミノフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
【0138】
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0139】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリアミノフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0140】
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
【0141】
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0142】
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
【0143】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0144】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0145】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0146】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0147】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0148】
本発明の発光素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
【0149】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0150】
これらのうアミノキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0151】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
【0152】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0153】
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0154】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリアミノフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。
【0155】
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0156】
本発明の発光素子を形成する基板は、電極を形成し、該高分子LEDの各層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0157】
通常、陽極および陰極からなる電極のうち少なくとも一方が透明または半透明であり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリアミノフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0158】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0159】
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0160】
本発明の発光素子で用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0161】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0162】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けても良く、陰極作製後、該発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。該発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
【0163】
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0164】
本発明の金属錯体または組成物は、導電性材料または半導体材料としても使うことができる。上記に記載した発光素子の作製方法と同様の方法で、導電性薄膜または有機半導体薄膜を製膜、素子化することができ、該半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれか大きいほうが、10-5cm2/V/秒以上であることが好ましい。
【0165】
また、該有機半導体薄膜は有機太陽電池や有機トランジスタに用いることができる。
【0166】
本発明の発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス、液晶表示装置のバックライトまたは照明に用いることができる。
【0167】
本発明の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる発光材料を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは発光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動しても良い。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0168】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0169】
つぎに本発明の別の様態として、光電素子について説明する。
光電素子としては、たとえば光電変換素子があり、少なくとも一方が透明または半透明な二組の電極間に本発明の金属錯体または組成物を含む層を挟持させた素子や、基板上に製膜した本発明の高分子化合物または高分子組成物を含む層上に形成した櫛型電極を有する素子が例示される。特性を向上するために、フラーレンやカーボンナノチューブ等を混合してもよい。
光電変換素子の製造方法としては、特許第3146296号公報に記載の方法が例示される。具体的には、第一の電極を有する基板上に高分子薄膜を形成し、その上に第二の電極を形成する方法、基板上に形成した一組の櫛型電極の上に高分子薄膜を形成する方法が例示される。第一または第二の電極のうち一方が透明または半透明である。
高分子薄膜の形成方法やフラーレンやカーボンナノチューブを混合する方法については特に制限はないが、発光素子で例示したものが好適に利用できる。
【実施例】
【0170】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0171】
ここで、ポリスチレン換算の数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:HLC−8220GPC、東ソー製もしくはSCL−10A、島津製作所製)により求めた。
【0172】
〔実施例1〕 化合物(M−2)の合成
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに水素化ナトリウム(60wt%in mineral oil,17mg,0.43mmol)を秤り取りヘキサンで洗浄してデカンテーションにより上澄を除いた。ここに脱水THF(20ml)、次いでカルバゾール(72mg,0.43mmol)を加え室温で30分撹拌した。目視で水素の発生が終了したことを確認し、化合物(M−1)(200mg,0.43mmol)を加えて室温で撹拌した。反応開始時には懸濁しているが1時間ほど経過するとオレンジ色の溶液となる。さらに室温で1時間程撹拌した後、溶媒を減圧留去し、得られた固体をクロロホルム(100ml)に溶解し、アルミナのショートカラムを通した。フラクションを減圧濃縮し、ヘキサンを適量加えて再結晶することにより赤色の粉状の化合物(M−2)を得た(216mg)。
1H−NMR(CD2Cl2,300MHz)δ6.80(d,2H)、7.12−7.39(m,8H)、7.54(d,2H)、7.68(d,2H)、7.73(d,2H)、8.08(t,1H)、8.24(d,2H).
MS(ESI−positive)m/z:594.1([M+H]+).


下記化合物(M−2)の0.8wt%クロロホルム溶液を石英板上に1500rpmで60秒間、スピンコートして薄膜を作製した。この薄膜の蛍光スペクトルを蛍光分光高度計(JOBINYVON−SPEX社製 Fluorolog)を用い、励起波長350nm、室温下でPL測定することにより、発光スペクトルにおいて575nmにピークを有するPL発光が観測された。

化合物(M−1)


化合物(M−1)はOrganometallics;1998,17,3505−3511.記載の方法で合成した。


上記化合物(M−1)の0.8wt%クロロホルム溶液を石英板上に1600rpmで60秒間、スピンコートして薄膜を作製した。室温下でPL測定を行ったが発光スペクトルは観測できなかった。

化合物(M−2)

【0173】
〔実施例2〕 化合物(M−3)の合成
ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロミドはTHF中、アルゴン雰囲気でマグネシウムとブロモペンタフルロベンゼンを反応させることにより調整し、そのまま用いた。アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに化合物(M−1)(400mg,0.86mmol)を秤り取り、脱水THF(40ml)を加えた。得られた懸濁液を水で冷却しながら、上記ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロミドTHF溶液(1M,1.3ml,1.3mmol)をシリンジで滴下した。滴下後、室温で1時間撹拌すると無色の溶液となった。しばらく撹拌を続けた後溶媒を減圧留去し、クロロホルムに錯体を溶解してアルミナのショートカラムに通した。先に展開する黄色いフラクションと次に展開する無色のフラクションを分け、無色のフラクションより化合物(M−3)を得た(300mg)。
1H−NMR(CD2Cl2,300MHz)δ7.19(d,2H)、7.31−7.35(m,4H)、7.62(d,2H)、7.70(dd,2H)、8.01(dd,1H).


下記化合物(M−3)の0.8wt%クロロホルム溶液を石英板上に1600rpmで60秒間、スピンコートして薄膜を作製した。室温下でPL測定することにより、発光スペクトルにおいて479nmと510nmにピークを有するPL発光が観測された。

(化合物M−3)

【0174】
〔実施例3〕
下記化合物(M−4)に化合物(M−2)を2wt%添加した混合物の、0.8wt%クロロホルム溶液を調製した。
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシアミノフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記調製したクロロホルム溶液を用いてスピンコートにより3000rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約100nmであった。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、LiFを約4nm、陰極として、カルシウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10-4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。
得られた素子に室温で電圧を引加することにより、発光スペクトルにおいて575nmにピークを有するEL発光が得られた。なおEL特性はOLED TEST SYSTEM(東京システム開発社製)により測定した。

(化合物M−4)


【0175】
〔実施例4〕
化合物(M−4)に化合物(M−3)を2wt%添加した混合物の、0.8wt%クロロホルム溶液を調製し、これを用いて実施例3記載と同様にしてEL素子を作製した。
得られた素子に室温で電圧を引加することにより、発光スペクトルにおいて480および510nmにピークを有するEL発光が得られた。なおEL特性はOLED TEST SYSTEM(東京システム開発社製)により測定した。
【0176】
〔実施例5〕
高分子化合物(P−1)に、化合物(M−3)を5wt%添加した混合物の、0.6wt%クロロホルム溶液を調製し、これを用いて実施例3記載と同様にしてEL素子を作製した。
得られた素子に室温で電圧を引加することにより、発光スペクトルにおいて580nmにピークを有するEL発光が得られた。なおEL特性はOLED TEST SYSTEM(東京システム開発社製)により測定した。
なお、高分子化合物(P−1)はEP1344788に記載の方法で合成した(ポリスチレン換算の数平均分子量は、Mn=1.1×105、重量平均分子量は、Mw=2.7×105)。

高分子化合物(P−1)


【0177】
〔比較例1〕
高分子化合物(P−1)に、化合物(M−1)を5wt%添加した混合物の、0.6wt%THF溶液を調製した。
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記調製したTHF溶液を用いてスピンコートにより2000rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約70nmであった。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、LiFを約4nm、陰極として、カルシウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10-4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に電圧を20Vまで引加したが、化合物(M−1)からの発光は観測されなかった。
【0178】
〔実施例6〕 化合物(M−5)の合成
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに水素化ナトリウム(60wt%in mineral oil,87mg,2.17mmol)を秤り取りヘキサンで洗浄してデカンテーションにより上澄を除いた。ここに脱水THF(200ml)、次いで2,7−ジブロモカルバゾール(704mg,2.17mmol)を加え室温で30分撹拌した。目視で水素の発生が終了したことを確認し、化合物(M−1)(1.0g,2.17mmol)を加えて室温で撹拌した。反応開始時には懸濁しているが1時間ほど経過するとオレンジ色の溶液となる。さらに室温で1時間程撹拌した後、溶媒を減圧留去し、得られた固体をジクロロメタン(300ml)に溶解し、セライトろ過を行った。ヘキサンを適量加えて再結晶することにより化合物(M−5)を得た(1.3g)。
1H−NMR(CD2Cl2,300MHz)δ6.74(d,2H)、7.17(dd,2H)、7.32(m,4H)、7.68(m,6H)、8.09(dd,3H).
MS(ESI−positive)m/z:594.1([M+H]+).

化合物(M−5)


【0179】
〔実施例7〕 高分子化合物(P−2)の合成
上記化合物(M−5)25mg (0.033mmol)、2,7−ジブロモ−3,6−オクチルオキシジベンゾフラン 475mg(0.82mmol)、2,2‘−ビピリジル351mgとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)35mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}を630mg加え、室温で30分間攪拌した後、60℃で3.3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、メタノール15ml/イオン交換水15ml/25%アンモニア水2.5mlの混合溶液中にそそぎ込み、約2時間攪拌した。次に、生成した沈殿物を、ろ過することにより回収した。この沈殿物を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液を、アルミナを充填したカラムを通すことにより精製した。次にこの溶液を1規定塩酸、2.5%アンモニア水、イオン交換水で洗浄し、メタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体(P−2)120mgを得た。
この重合体のポリスチレン換算数平均分子量は、2.6×104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は4.5×104であった。
なお、2,7−ジブロモ−3,6−オクチルオキシジベンゾフランはEP1344788記載の方法で合成した。
【0180】
〔実施例8〕 高分子化合物(P−3)の合成
上記化合物(M−5)50mg (0.067mmol)、2,7−ジブロモ−3,6−オクチルオキシジベンゾフラン 450mg(0.77mmol)、2,2‘−ビピリジル354mgとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)35mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}を623mg加え、室温で30分間攪拌した後、60℃で3.3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、メタノール15ml/イオン交換水15ml/25%アンモニア水2.5mlの混合溶液中にそそぎ込み、約2時間攪拌した。次に、生成した沈殿物を、ろ過することにより回収した。この沈殿物を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液を、アルミナを充填したカラムを通すことにより精製した。次にこの溶液を1規定塩酸、2.5%アンモニア水、イオン交換水で洗浄し、メタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体(P−2)116mgを得た。
この重合体のポリスチレン換算数平均分子量は、3.0×104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は4.8×104であった。
【0181】
〔実施例9〕
高分子化合物(P−3)の2wt%トルエン溶液を調製した。
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記調製した高分子化合物(P−3)の2wt%トルエン溶液を用いてスピンコートにより600rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約80nmであった。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、LiFを約4nm、陰極として、カルシウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10-4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に室温で電圧を引加することにより、発光スペクトルにおいて460nmにピークを有するEL発光が得られた。なおEL特性はOLED TEST SYSTEM(東京システム開発社製)により測定した。
【0182】
〔実施例10〕
高分子化合物(P−3)を用いて、ホール電流が主として流れる素子を作製した。素子は次のようにして作製した。
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、高分子化合物(P−3)の1.7wt%トルエン溶液を用いてスピンコートにより2800rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約80nmであった。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、Auを約100nm蒸着して、素子を作製した。なお真空度が、1×10-4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。
作製した素子に5Vおよび10Vの電圧を印加したときの電流密度は、各々2.0×10-5A/cm2、4.4×10-5A/cm2であった。電流密度の測定は、ピコアンメータ4140B(横河ヒューレットパッカード社製)を用いた。
【0183】
〔比較例2〕
比較のために、金属錯体構造を含まない、上記高分子化合物(P−1)を用いて、同様の素子を作製した。作製した素子に5V、10Vの電圧を印加したときの電流密度は、各々3.1×10-6A/cm2、8.7×10-6A/cm2で、高分子化合物(P−3)の方が良好なホール電流注入特性および輸送性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属と、単座配位子と、1個以上の芳香環を含みかつ当該芳香環構造内に3個の配位原子を含む3座配位子とを有する金属錯体であって、10℃以上で可視域に発光を示すことを特徴とする金属錯体。
【請求項2】
単座配位子が芳香環を有する単座配位子であることを特徴とする請求項1記載の金属錯体。
【請求項3】
芳香環を有する単座配位子が、当該芳香環構造内に、配位原子を含み、該配位原子が炭素又は窒素であることを特徴とする請求項2記載の金属錯体。
【請求項4】
芳香環を有する単座配位子が下記に示される構造(S−1)であることを特徴とする請求項3記載の金属錯体。



〔上記式(S−1)中、*は金属に配位している原子を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。〕
【請求項5】
単座配位子が有する芳香環が縮合環であることを特徴とする請求項2に記載の金属錯体。
【請求項6】
単座配位子が下記に示される構造(S−2)であることを特徴とする請求項5記載の金属錯体。



〔上記式(S−2)中、*は金属に配位している原子を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。〕
【請求項7】
金属がW,Os,IrまたはAuであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属錯体。
【請求項8】
金属がWまたはAuであることを特徴とする請求項7記載の金属錯体。
【請求項9】
下記一般式(1)、(2)または(3)で表される構造と単座配位子とを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金属錯体。


(1)
〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、A環、B環およびC環はそれぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX1、Y1およびZ1は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。fおよびgはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基または炭素数1〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。mおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。〕



(2)

〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、D環およびE環は、それぞれ独立に芳香環を表し、各々の環構造内に存在しているX2、Y2およびZ2は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わし、hは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基または炭素数1〜6のアルキニレン基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基および該アルキニレン基の炭素原子がそれぞれ酸素原子または硫黄原子に置換されていてもよく、oは0または1を表す。〕



(3)
〔式中、Mは第4および第5周期の遷移金属並びにW,Os、Ir、Auおよびランタノイドから選ばれる金属を表し、F環は芳香環を表し、環構造内に存在するX3,Y3およびZ3は、それぞれ独立に金属Mへの配位原子を表わす。〕
【請求項10】
上記一般式(1)、(2)および(3)中、A環、B環、C環、D環、E環およびF環で示される芳香環が芳香族炭化水素環または複素芳香環であることを特徴とする請求項9記載の金属錯体。
【請求項11】
上記一般式(1)および(2)中、A環、B環、C環およびE環で示される芳香環が単環の芳香族炭化水素環または単環の複素環であることを特徴とする請求項10記載の金属錯体。
【請求項12】
上記一般式(2)および(3)中、D環およびF環で示される芳香環が縮合環の芳香族炭化水素環または縮合環の複素環であることを特徴とする請求項10または11記載の金属錯体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体と有機化合物とを含む組成物。
【請求項14】
有機化合物が共役系高分子であることを特徴とする請求項13記載の組成物。
【請求項15】
さらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含むことを特徴とする請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体の構造を分子内に含む高分子金属錯体。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体または請求項13〜15のいずれかに記載の組成物の少なくとも1種類を含有することを特徴とするインク組成物。
【請求項18】
2種類以上の有機溶媒を含有することを特徴とする請求項17記載のインク組成物。
【請求項19】
粘度が25℃において1〜100mPa・sであることを特徴とする請求項17または18に記載のインク組成物。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体または請求項13〜15のいずれかに記載の組成物を含有する発光性薄膜。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体または請求項13〜15のいずれかに記載の組成物を含有する導電性薄膜。
【請求項22】
請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体または請求項13〜15のいずれかに記載の組成物を含有する有機半導体薄膜。
【請求項23】
請求項22に記載の有機半導体薄膜を有することを特徴とする有機トランジスタ。
【請求項24】
インクジェット法を用いることを特徴とする請求項20〜23のいずれかに記載の薄膜の製造方法。
【請求項25】
陽極および陰極からなる電極間に、請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体または請求項13〜15のいずれかに記載の組成物を含有する層を有することを特徴とする素子。
【請求項26】
陽極および陰極からなる電極間に、さらに電荷輸送層または電荷阻止層を含むことを特徴とする請求項25記載の素子。
【請求項27】
陽極および陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が請求項1〜12のいずれかに記載の金属錯体または請求項13〜15のいずれかに記載の組成物を含む発光層であることを特徴とする発光素子。
【請求項28】
発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含むことを特徴とする請求項27記載の発光素子。
【請求項29】
請求項27または28に記載の発光素子を用いたことを特徴とする面状光源。
【請求項30】
請求項27または28に記載の発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置
【請求項31】
請求項27または28に記載の発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
【請求項32】
請求項27または28に記載の発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項33】
請求項27または28に記載の発光素子を用いたことを特徴とする照明。

【公開番号】特開2006−219474(P2006−219474A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374249(P2005−374249)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】