説明

金属錯体

本発明は、新規なイオン性金属錯体を記載する。このタイプの化合物は、最も広い意味での電子産業に帰することのできる多くの種々の応用での機能性材料として使用することができる。
本発明の化合物は、式(1)及び(1a)で記載される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、新規な材料、その電子部品、特にエレクトロルミネセンス素子への使用及びそれに基づくディスプレーを記載している。
【0002】
有機金属化合物、特にIr及びPt化合物は、最も広い意味において電子産業に帰され得る多くの様々なアプリケーションに、例えば、有機エレクトロルミネセンス素子に、機能性材料として使用されている。そのような素子の一般構造は、例えば、US 4539507及びUS 5151629に記載されている。
【0003】
近年出現した開発は、蛍光の代わりに燐光を呈する有機金属化合物の使用である((M. A. Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由のために、エネルギー及びパワー効率の4個までの増加が、燐光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。この開発が成功するかどうかは、対応する素子組成が、エレクトロルミネセンス素子においてこれら効果(シングレット放出(=蛍光)と比べたトリプレット放出=(燐光))を実行することができるように、見出されるかどうかにかかっている。ここで言及されるべき本質的条件は、特に、長い駆動寿命と錯体の高温安定性である。文献から知られる多くの錯体は、中性化合物である。それらは、フェニルピリジン系の配位子若しくはイリジウム或いは白金に配位結合する関連構造(例えば、WO 02/068435、WO 04/026886)を含む。この構造は、ブリッジの不在(式A)により、或いは、2乃至20のアルキル炭素原子を含み、随意に、2つの環の間をヘテロ原子により置き代えられてもよいブリッジの存在(WO 03/000661、式B)により特徴付けられる。
【化6】

【0004】
上記錯体は、しばしば、有機溶媒に対して非常に貧弱な溶解性を有するが、これは、溶液からの加工が不可能か、非常に困難であることを意味する。しかしながら、溶液からの加工は、これが高真空条件下での加工より簡単で廉価であることから、製造に関連する技術的理由からは非常に望ましいものである。溶解性を改善する方法は、WO 04/026886に詳細に記載されており、中性のホモレプチックな錯体を生じる、芳香族若しくは脂肪族基による配位子の変性に存する。
【0005】
驚くべきことに、上記構造型のホモレプチックな錯体の溶解性、特に、両性及び両性プロトン性溶媒における溶解性は、配位子への陽イオン性及び/又は陰イオン性基の導入によりかなり増加でき、その結果溶液からのこれら錯体の良好な加工可能性が得られることが見出された。
【0006】
更に、これら錯体は、OLEDの使用において先行技術による中性金属錯体より低い始動電圧を示す。
【0007】
本発明は、陽イオン若しくは陰イオンとして式(2)の副構造M(L)t+/t−を含む式(1)のイオン性化合物に関する。
【化7】

【化8】

【0008】
ここで、使用される記号及び添字は、以下が適用される:
Mは、出現毎に元素周期表第1乃至9亜族の元素であり、好ましくは、イリジウム、ロジウム、白金、パラジウム、金、タングステン、レニウム、ルテニウム若しくはオスミウムであり;
Dは、出現毎に同一であるか異なり、Mに配位結合する非結合性電子対を有するsp-混成へテロ原子であり;
Cは、出現毎に、Mに結合するsp-混成炭素原子であり;
Cy1は、出現毎に同一であるか異なり、sp-混成炭素原子を経てMに結合するホモ若しくはヘテロ環であり、随意にR及び/又はQにより置換され;Cy1は、ここでモノ環若しくはオリゴ環のいずれかであり得るものであり;
Cy2は、出現毎に同一であるか異なり、原子Dを経てMに配位結合するヘテロ環であり、随意にR及び/又はQにより置換され;Cy2は、ここでモノ環若しくはオリゴ環のいずれかであり得るものであり;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、;正若しくは負の電荷数tを有する正若しくは負に荷電した置換基であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、NO、CN、N(R、B(OH)、B(OR、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基又は3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(上記アルキル若しくはアルコキシ基中の1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、-O-、-S-、NR-、-(C=O)-、-(C=NR)-、-P=O(R)-、-COOR-若しくは-CONR-で置き代えられていてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてもよい)であり、
又は6〜30個のC原子を有する芳香族構造、2〜30個のC原子を有する複素環式芳香族環構造、又は上記構造のアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基であって、夫々は、1以上の非芳香族R基により置換されていてもよく、複数のR基は、同一の環上若しくは異なる環上の何れかで、一緒になって更なるモノ若しくはポリ環状、脂肪族又は芳香族環構造を形成してもよいものであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H若しくは1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基若しくは6〜20個のC原子を有する芳香族炭化水素基若しくは2〜30個のC原子を有する複素環式芳香族炭化水素基であり、
nは1、2若しくは3であり、
tは、1、2若しくは3であり、好ましくは1若しくは2であり、特に1であり、ここで、配位子自身は電荷を担うものであり;
式(1)の配位子L‘及びL“は、2座配位でキレート化するモノ陰イオン性配位子であり、m及びoは、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であり;
少なくとも1つのQ基が式(2)の構造に存在することにより特徴付けられ;
そして、イオンが、錯イオン[M(L)t+/t−(L‘)(L“)]に対する対イオンとして作用するものである。
【0009】
ここで、n+m+o=2は、正方形平面で配位結合する金属、例えば白金及びパラジウムに対してのものであり、n+m+o=3は、八面体で配位結合する金属例えばイリジウムに対してのものである。
【0010】
更に、例えば、WO 05/019373に記載されたように、環Cy2が、へテロ原子Dを経てではなく、炭素原子を経て金属Mに配位結合するカルベンであってもよい。
【0011】
混成化は、原子軌道の線形結合を意味するものと解される。したがって、1つの2sと2つの2p軌道の線形結合は、互いに120°の角度を形成する3つの等価なsp混成軌道を生む。残るp軌道は、例えば芳香族構造でのπ結合を形成することができる。
【0012】
本発明の式(1)の化合物は、8面体錯体の場合には、面配位若しくは経線配位の性質を有してもよく、錯体が、夫々同じドナー原子を持つ3つの配位子を保持するならば、そのときにだけ面配位及び経線配位錯体との間の区別が意味を成す。本発明は、面配位及び経線配位の双方が存在する錯体若しくはその混合物の、純粋な面配位形態と純粋な経線配位形態に関する。好ましいのは、面配位錯体である。
【0013】
本出願の意味での面配位及び経線配位は、6つのドナー原子を有する金属Mの環境を表している。3つの同一のドナー原子が(偽)配位8面体中の三角形の表面を占有し、第1のドナー原子とは異なる3つの同一のドナー原子が(偽)配位8面体中の別の三角形の表面を占有するならば、面配位が生じる。経線配位の場合は、3つの同一のドナー原子が(偽)配位8面体中の最初の経線を占有し、第1のドナー原子とは異なる3つの同一のドナー原子が(偽)配位8面体中の別の経線を占有する。これは、3つのNドナー原子と3つのCドナー原子との配位の例を参照して以下に示される(スキーム1)。この記載は、ドナー原子に関するものであり、これらドナー原子を提供する環Cy1及びCy2に関するものではないから、3つの環Cy1及び3つの環Cy2は、出現毎に同一であっても異なってもよく、それでも本出願の意味での面配位及び経線配位に対応する。同一の元素とは、これらの元素が異なる構造、随意に環構造に組み入れられるかどうかにかかわらず、同一の元素(例えば、窒素)からなるものを意味するものと解される。
【化9】

【0014】
本発明による式(1)若しくは(1a)のイオン性化合物は、混合塩の形態であってもよい。本発明による式(1)若しくは(1a)の化合物が、陽イオン性配位子を持つ式(2)若しくは(2)の副構造M(L)t+を含むならば、陰イオンは、対イオンとして陽イオン性配位子を持つ式(2)若しくは(2)の副構造M(L)t−から形成され得る。上記のことは逆の場合にも適用され、式(1)若しくは(1a)の化合物が、陰イオン性配位子を持つ式(2)若しくは(2)の副構造M(L)t−を含むならば、その結果、陽イオンは、対イオンとして陽イオン性配位子を持つ式(2)若しくは(2)の副構造M(L)t+から形成され得る。
【0015】
このタイプの混合された化合物は、イオン性構造の特別な調製と本発明の化合物の特性の調整を可能にする。
【0016】
本発明の目的のためには、C〜C40-アルキル基は、ここで、加えて、個々のH原子若しくはCH基は、上記した基により置換されていてもよいが、特に好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル若しくはオクチニル基を意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、特に好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ若しくは2-メチルブトキシを意味するものと解される。6〜30個のC原子を有する芳香族環構造又は2〜30個のC原子を有する複素環式芳香族環構造は、いずれの場合にも、上記したR基により置換されていてもよく、如何なる所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族環に結合されていてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-若しくはトランス-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0017】
Cy1及びCy2は、好ましくは、芳香族若しくは複素環芳香族構造である。
【0018】
式(2a)の副構造M(L)t+/t−を含む式(1)の化合物が好ましい。
【化10】

【0019】
ここで、M、R、R、L‘、L“、n及びtは、上記に記載されたのと同じ意味であり、他の記号は、以下が適用される:
Dは、出現毎に同一であるか異なり、窒素若しくは燐であり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR、N若しくはPであり、(X-X)若しくは(X=X)(即ち2個の隣接するX)は、NR、S若しくはOを表し;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、正若しくは負の電荷数tを有する正若しくは負に荷電した置換基であり又はここで、置換基が1つの正若しくは負の電荷数のみを有する場合には、k個で存在し、k=tであり、
kは、出現毎に同一であるか異なり、0,1,2,3若しくは4であり、ここで、式(2a)における少なくとも1つの添字kは0ではなく;
但し、2個の環の夫々は5若しくは6員環を表す。
【0020】
本発明の好ましい具体例では、Qは、正に荷電した置換基である。本発明の更に好ましい具体例では、Qは、負に荷電した置換基である。
【0021】
適切なQ基は、好ましくは、ピリジン、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、フェナジン若しくはそれらの混合物系の荷電複素環基であり、上記基は1以上のR基を保持していてもよい。これらの基は、好ましくは、窒素原子を経て錯体の配位子に結合している。
【0022】
Qが、陽イオン性置換基を表すならば、好ましいものは、-N+(R)、-P+(R)、-As+(R)、-Sb+(R)、-Bi+(R)、-S+(R)、-Se+(R)、-Te+(R)、若しくは次の基である。
【化11】

【0023】
ここで、wは、整数1、2、3、4若しくは5を表し、記号Xは、上記定義のものであり、Rには以下が適用される。
【0024】
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、重水素、F、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、又は3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(上記アルキル若しくはアルコキシ基中の1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、-O-、-S-、NR-、-(C=O)-、-(C=NR)-、-P=O(R)-若しくは-CONR-で置き代えられていてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてよい)であり、
又は6〜30個のC原子を有する芳香族構造、2〜30個のC原子を有する複素環式芳香族環構造又は上記構造のアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基であって、夫々は、1以上のR基により置換されていてよく、2以上のR基は、同一の環上若しくは異なる環上で、互いに更なる脂肪族又は芳香族環構造を形成してよいものである。
【0025】
特に好ましい陽イオン性基Qは、NR+、PR+、AsR+、SR+及びピリジニウムであり、非常に特に好ましいものは、NR+、PR及びピリジニウムである。
【0026】
Qが、陰イオン性置換基であるならば、Q基は、好ましくは、-B(R)、-Al(R)、-Ga(R)、-In(R)、-Tl(R)、-Si2−(R)、-Ge2−(R)、-Sn2−(R)、-Pb2−(R)、-R-O、-R-S、-R-COO、-R-CSS、-R-SO(ここで、R基は、上記で定義したとおりである)、-COO、-CSS、-O、-S、-Se、-Te、-SO、-SO、-SO2−、-PO2−、-PO2−、-PO2−、[PHal、[AsHal、[SbHalを表し、ここでHal基は、塩素、臭素、ヨウ素、弗素、若しくはSCN、CN若しくはOCNのような偽ハロゲン、AuCl、PtCl2−、Fe(CN)2−/3−、ポリ電解質及びポリスチレンサルフェートのようなイオン交換樹脂を表す。特に好ましい陰イオン性基Qは、-B(R)、-O、-S、-R-COO、-COO及び-SOである
特別な具体例では、Qは、金属Mへの結合のパラ位で、特に環Cy1と結合する。
【0027】
特別な具体例では、複数のR及び/又はR基が、同一の環上若しくは異なる環上の何れかで、1以上の芳香族又は脂肪族環構造を形成する。
【0028】
本発明の特に好ましい具体例は、少なくとも1つの式(2b)の副構造M(L)t+/t−を含み、随意に式(3)の副構造M(L‘)を含む、式(1a)の化合物に関する。
【化12】

【0029】
ここで、M、D、X、R、R、R、L“、Q、n、m、o及びtは、上記と同じ意味であり、更に:
Aは、出現毎に同一であるか異なり、-CR=CR-、N=CR-、-P=CR-、-N=N-、-P=N-、NR、O若しくはSであり;
但し、2個の環の夫々は5若しくは6員環を表す。
【0030】
本発明のモノ陰イオン性2座配位子L“は、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、1,5-ジェフェニルアセチルアセトン、ビス(1,1,1-トリフルオロアセチル)メタンのような1,3-ジケトン由来の1,3-ジケトネート、例えば、エチルアセトアセテートのような3-ケトエステル由来の3-ケトネート、例えば、ピリジン-2-カルボン酸、キノリン-2-カルボン酸、グリシン、N,N-ジメチルグリシン、アラニン、N,N-ジメチルアラニンのようなアミノカルボン酸由来のカルボキシレート、例えば、メチルサリチリミン、エチルサリチリミン、フェニルサリチリミンのようなサリチリミン由来のサリチリミネート及び、例えば、テトラキス(1-イミダゾリル)ボレート及びテトラキス(1-ピラゾリル)ボレートのような窒素含有ヘテロ環のボレートである。
【0031】
式(1)若しくは式(1a)の好ましい化合物は、添字n=2若しくは3であり、ここで、n=3は正方形平面錯体は不可能である。n=2及びm=o=0は、正方形平面錯体若しくは四面体錯体を生じる。(正方形平面錯体の例はPt)n=3及びm=o=0は、八面体錯体を生じ、ある場合歪んでいてもよい。特に好ましい化合物は、添字o=0の化合物である。特に好ましいものは、n=2及びm=o=0の正方形平面錯体及びn=3及びm=o=0の八面体錯体である。非常に特に好ましいものは、ホモレプチック錯体であり、即ちm=o=0の錯体で、存在する全ての配位子は、同一であり、また同一に置換されている。ホモレプチック錯体に対する選好は、より大きい化学的及び熱的安定性に基づくものである。
【0032】
更なる芳香族若しくは脂肪族環式構造を規定するブリッジが、2つの環Cy1及びCy2の間に存在することが好ましいかもしれない。
【0033】
式(1)若しくは式(1a)の更に好ましい化合物は、記号Mが、イリジウム若しくは白金を、特にイリジウムを表すものである。
【0034】
式(1)若しくは式(1a)の更に好ましい化合物は、記号D=Nのものである。
【0035】
式(1)若しくは式(1a)の更に好ましい化合物は、記号X=CR若しくはN、特にX=CRのものである。
【0036】
蒸着可能な系に対する式(1)若しくは式(1a)の更に好ましい化合物は、記号Rは、以下が適用される。
【0037】
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、メチル、tert-ブチル、フェニル、CF若しくは1〜4個のC原子を有する縮合環状アルコキシ基である。
【0038】
溶液から加工され、それゆえ有機溶媒中で良好な溶解性を有する必要がある式(1)若しくは式(1a)の化合物に対しては、少なくとも1つの置換基Rは、好ましくは少なくとも4個のC原子を有するアルキル及び/又はアルコキシ鎖若しくはアルキル置換アリール基若しくは、2-ビフェニルのようなオルト-アリール置換アリール基を含む。その代わり或いはそれに加えて、Q基が、少なくとも4個のC原子を有する1以上の長鎖基R若しくはRを有していてもよい。
【0039】
出発錯体の合成は、好ましくは、WO 02/060910及びWO 04/085449に記載のようになされる。ヘテロレプチック錯体も、例えば、WO 05/042548により合成することができる。対応するハロゲン化錯体の合成は、WO 02/068435に詳細に記載されている。本発明による金属錯体は、ハロゲン化特に臭素化錯体からホスフィン若しくはアミンとの反応により,夫々対応するホスフィニウム塩若しくはアンモニウム塩を生じることにより、例えば、ハロゲン化ニッケル(例えば、NiCl若しくはNiBr)によるトリアルキルホスフィン若しくはトリアルキルアミンとの触媒反応により、合成することができる。最初に存在する陰イオン、この場合はハロゲン化物であるが、更なる段階で、より溶解性の良い錯体さえ生じる別の陰イオン、例えばPFにより置き代えられることができる。対応する化学量論比により、この反応は配位子のただ1つ若しくは2つの上で選択的になされることも可能である。したがって、陽イオン性対イオンのイオン交換は、陰イオン性錯体の場合になされ得る。
【0040】
最初に荷電配位子を合成し、そして次の段階でそれを金属に結合することも更に可能である。合成は、その後WO 02/060910及びWO 04/085449に類似した荷電配位子でなされる。
【0041】
陰イオンが、1つの負電荷だけを担うならば、陰イオン基の数はt値に対応することができる。例えば、添字tが整数3を表すならば、陰イオンは3個存在してもよいが、3重に負に帯電した陰イオンが存在してもよい。同様のことは、陽イオンに対する逆の場合に適用される。
【0042】
本発明は、更に、置換アミン、ホスフィン、アルシン若しくはチオエーテルとの反応による対応するハロゲン化錯体から出発する、本発明の金属錯体の調製方法に関する。
【0043】
この方法は、本発明による式(1)の化合物を高純度で、好ましくは(H-NMR及び/又はHPLCにより測定された)99%より大きい純度で得ることを可能にする。
【0044】
ここで説明された合成方法は、式(1)の化合物に対して以下の構造(1)乃至(54)を特に調製することを可能にする。荷電イリジウム錯体のみが示されているが、対イオン(陰イオン或いは陽イオン)は所望のように選択され得ることに注意すべきである。
【化13−1】

【化13−2】

【化13−3】

【化13−4】

上記本発明による化合物、例えば構造40、41及び42の化合物は、対応する共役、部分共役若しくは非共役オリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマーの調製のためのコモノマーとしても使用することができる。重合は、ここでは好ましくは臭素官能基によりなされる。ポリマーの更なる反復単位は、好ましくは、フルオレン(例えばEP 842208若しくはWO 00/22026による)、スピロビフルオレン(例えばEP 707020若しくはEP 894107による)、ジヒドロフェナントレン(例えばWO 05/014689による)、インデノフルオレン(例えばWO 04/041901及びWO 04/113412による)、フェナントレン(例えばWO 05/104264による)、パラ-フェニレン(例えばWO 92/18552による)、カルバゾール(例えばWO 04/070772若しくはWO 04/113468による)、ケトン(例えばWO 05/040302による)、シラン(例えばWO 05/111113による)、トリアリールアミン若しくはチオフェン(例えばEP 1028136による)若しくは複数のこれらの異なる単位より成る基から選択される。本発明による金属ポリマー錯体はポリマーの側鎖若しくは主鎖に組み込むこともできるし、ポリマー鎖の分岐点を表してもよい(例えばWO 06/003000による)。
【0045】
したがって、本発明は、更に1以上の式(1)若しくは式(1a)の化合物を含む、共役、部分共役若しくは非共役オリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマーに関し、上記定義した少なくとも1つのR若しくはR基、好ましくはRは、ポリマー若しくはデンドリマーへの結合を表す。式(1)若しくは式(1a)の単位に対して、上記既になされたものと同じ選好が、ポリマー及びデンドリマーに適用される。
【0046】
その良好な溶解性に基づいて、本発明の錯体は、簡単にコポリマー化されるが、他方、先行技術による錯体は、その貧弱な溶解性により重合化の間しばしば問題を生じる。
【0047】
上記オリゴマー、ポリマー、コポリマー及びデンドリマーは、有機溶媒への良好な溶解性及び有機エレクトロルミネセンス素子での高い効率と安定性により特徴付けられる。
【0048】
本発明による式(1)の化合物、特に、ハロゲンにより官能化されたものは、通常の反応タイプにより更に官能化され、その結果拡張された式(1)の化合物に変換されてもよい。ここで言及される例は、アリールボロン酸を使用する鈴木官能化若しくはアミンを使用するブーフバルト-ハートウイッグ官能化である。
【0049】
本発明は、更に、本発明による化合物若しくは本発明によるオリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマーを含む溶液に関する。ここで好ましい溶液は、両性非プロトン性溶媒若しくは両性プロトン性溶媒、特にDMF、DMSO、NMP、アルコール、グリコール若しくは水である。
【0050】
本発明による式(1)の化合物、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー若しくは拡張された化合物は、例えば、有機発光ダイオード(OLED、PLED)、有機発光電子化学電池(LEC)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、有機レーザーダイオード(O-laser)のような有機電子素子における活性成分として使用される。
【0051】
したがって、本発明は、更に本発明による式(1)の化合物、本発明によるオリゴマー、ポリマー及びデンドリマー並びに式(1)の対応する拡張された化合物の、有機電子素子での活性成分としての、特に発光成分としての使用に関する。
【0052】
本発明は、更に、有機若しくはポリマー発光ダイオード(OLED、PLED)、有機発光電子化学電池(LEC)(例えば、E. S. Handy et al., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 3525-3528; J. Slinker et al., Chem. Commun. 2003, 2392-2399)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、酸素センサー、特に水溶液中で動作する酸素センサー及び有機レーザーダイオード(O-laser)の群から選択される有機電子素子に関し、1以上の本発明による式(1)の化合物、本発明によるオリゴマー、ポリマー及びデンドリマー並びに式(1)の対応する拡張された化合物を特に発光成分として含む、特に、有機若しくはポリマー発光ダイオードに関する。
【0053】
本発明による化合物は、先行技術による化合物を超える以下の効果を有する。
【0054】
1.本発明による化合物は、先行技術による荷電金属錯体より簡単に合成することができる。これは、顕著な技術的効果である。
【0055】
2.本発明による化合物は、有機溶媒特に両性及び両性プロトン性溶媒での良好な溶解性により特徴付けられ、再結晶化若しくはクロマトグラフィ法のような通常の方法により比較的簡単に純化できる。化合物は、それゆえ、被覆若しくは印刷技術により、良好に溶液から加工できる。この特性は、物質の純化例えば再結晶化が比較的単純であることから、合成中にも有利である。高溶解性の更なる効果は、その結果、対応する官能化された錯体が、先行技術による錯体より容易に共重合できるということである。
【0056】
3.本発明による錯体は、特に極性プロトン性及び極性非プロトン性溶媒にも溶解性である。対照的に、OLEDに使用される他の大部分の官能材料は非極性溶媒に溶解可能である。したがって、材料の異なる溶解度は、例えば、溶液から簡単に構成され、全体的に白色発光を生じる多層素子を可能とする。
【0057】
4.本発明による化合物は、OLEDでの使用において、先行技術による化合物よりも低い始動電圧を示す。したがって、それらは、先行技術による錯体よりも、OLED及び有機発光電池での使用により適している。
【0058】
本発明は、以下の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、進歩性を必要とせず、その記載から、更なる本発明の化合物を調製し、有機電子素子へ使用することができる。
【0059】

以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下で行われる。出発物質(トリ-n-ブチルホスフィン、ニッケル(II)クロライド、無機物、溶媒)は、アルドリッチ(ALDRICH)若しくはABCRから購入することができる。ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)(5-ブロモフェニル)-κC]イリジウム(III)は、WO/068435記載のように調製することができる。
【0060】
例1:ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(トリ-n-ブチルホスホニウム)フェニル)-κC]イリジウム(III)トリブロマイド
【化14】

【0061】
25.0ml(100ミリモル)のトリ-n-ブチルホスフィンが、70mlの1-メチル-2-ピロリドン(NMP)中の3.00g(3.37ミリモル)のファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)(5-ブロモフェニル)-κC]イリジウム(III)及び6.5mg(0.05ミリモル)のNiClの脱気された懸濁液に添加され、混合物は、150℃で16時間加熱される。冷却後400mlのクロロホルムが、混合物に添加される。有機相は、100mlの水で5度洗浄され、分離され、MgSOで乾燥され、減圧下溶媒から単離される。生成物は、引き続き少量の酢酸エチルから、3度再結晶化される。収量は、NMRによる99.5%の純度で、3.20g(2.13ミリモル)であり、理論値の63.2%に対応する。
【0062】
例2:ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(トリ-n-ブチルホスホニウム)フェニル)-κC]イリジウム(III)トリブロマイドの溶解度
以下の表はファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(トリ-n-ブチルホスホニウム)フェニル)-κC]イリジウム(III)トリブロマイドの、T=25℃での種々の溶媒中への溶解度を示す。錯体の良好な溶解度が、多くの通常の有機溶媒で、エタノール及びエタノール/水混合物のような極性プロトン性溶媒においてさえ見出される。先行技術による比較として、ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(IrPPy)の溶解度が示されている。
【表1】

【0063】
例3:例1と同様にして、以下の化合物が、ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)(5-ブロモフェニル)-κC]イリジウム(III)若しくは対応するホスフィンをもつ対応するイリジウム錯体アナログの反応により調製される。
【化15−1】

【化15−2】

【化15−3】

例16:ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(トリメチルアミノ)フェニル)-κC]イリジウム(III)トリブロマイド
【化16】

【0064】
520mg(10ミリモル)のリチウムジメチルアミドが、30mlのジオキサン中の892mg(1ミリモル)のファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)(5-ブロモフェニル)-κC]イリジウム(III)の脱気された懸濁液に添加され、混合物は、140℃で16時間カリウス管で加熱される。冷却後、1.3ml(20ミリモル)のヨウ化メチルが添加され、混合物は再び100℃で16時間カリウス管で加熱される。冷却後、1mlの濃アンモニア水と50mlのジオキサンの混合物が、注意深く混合物に添加され、室温で3時間撹拌され、減圧下蒸発乾燥される。生成物は、引き続き少量のアセトニトリルから3度再結晶化される。収量は、NMRによる99.7%の純度で、880mg(0.8ミリモル)であり、理論値の82.3%に対応する。
【0065】
例17:
例16と同様にして、以下の化合物が、ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)(5-ブロモフェニル)-κC]イリジウム(III)若しくは対応する2級リチウムアミドをもつ対応するイリジウム錯体アナログの反応と、対応するアルキルヨウ化物を使用した引き続くアルキル化により調製される。
【化17】

【0066】
例24:トリス(テトラメチルアンモニウム)-ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(フェノキシ)-κC]イリジウム(III)
【化18】

【0067】
1.62g(30ミリモル)のソジウムメトキシドが、50mlの1-メチル-2-ピロリドン(NMP)中の2.67g(3ミリモル)のファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)(5-ブロモフェニル)-κC]イリジウム(III)及び6.5mg(0.05ミリモル)のNiClの脱気された懸濁液に添加され、混合物は、150℃で16時間加熱される。冷却後、13,4g(100ミリモル)の無水ヨウ化リチウムが混合物に添加され、180℃で24時間加熱される。冷却後、反応混合物は200mlの水が添加される。混合物は濃塩酸を使用してpH=1に調整され、100mlのジクロロメタンで3度その度毎に抽出される。結合有機相は、3度0.01Nの塩酸で3度洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、蒸発乾燥される。残留物は、20mlメタノール中に懸濁され、1.8gのテトラメチルアンモニウム水酸化物5水和物が添加され、混合物は16時間撹拌される。析出した結晶は吸引ろ過され、5mlの氷冷メタノールで1度洗浄され、10mlのジエチルエーテルで3度洗浄される。収量は、NMRによる99.0%の純度で、1.49g(1.6ミリモル)であり、理論値の53.8%に対応する。
【0068】
例25:トリソジウム ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(フェニルスルホニウム)-κC]イリジウム(III)
【化19】

【0069】
1.91g(12ミリモル)の3酸化硫黄/ピリジン錯体が、200mlのジクロロメタン中の655mg(1ミリモル)のファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(フェニル)-κC]イリジウム(III)の溶液に添加され、混合物は、16時間遮光下撹拌される。混合物は、引き続き減圧下5mlの容積まで濃縮され、648mg(12ミリモル)のソジウムメトキシドが添加され、混合物は更に3時間撹拌され、25mlのジエチルエーテルが添加され、混合物は、16時間室温に置かれ、析出した結晶は吸引ろ過され、3度10mlのジエチルエーテルでその度毎に洗浄され、ジクロロメタン/ジエチルエーテル(1:5,v:v)から再度、再結晶化され、吸引ろ過され、3度10mlのジエチルエーテルでその度毎に洗浄され、減圧下乾燥される。収量は、NMRによる99.0%の純度で、431mg(0.5ミリモル)であり、理論値の44.8%に対応する。
【0070】
例26:ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(フェノキシ)-κC]イリジウム(III)を有するファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(トリメチルアミノ)フェニル)-κC]イリジウム(III)
【化20】

【0071】
100mlのジクロロメタン中の1069mg(1ミリモル)のファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(トリメチルアミノ)フェニル)-κC]イリジウム(III)トリブロミド及び922mg(1ミリモル)のトリソジウムファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)-5-(フェノキシ)-κC]イリジウム(III)の混合物が室温で5時間撹拌される。懸濁液は、ジクロロメタンでスラリー化されたシリカゲル(30g)カラムでろ過され、シリカゲルは、50mlのジクロロメタンですすがれ、結合したジクロロメタン相は、蒸発され、残留物は少量のジクロロメタン/ジエチルエーテル(1:5,v:v)から再結晶化される。収量は、NMRによる99.5の純度で、1346mg(0.9ミリモル)であり、理論値の88.0%に対応する。
【0072】
例27:OLEDの製造と特性決定
本発明の化合物が、OLEDでの使用に対する配合物で調査される。これらのOLEDは、夫々2層構造であり、即ち、基板/ITO/PEDOT/ポリマー/陰極である。PEDOTは、ポリチオフェン誘導体(H.C.Starck,Goslar社からのBaytron P)である。全ての場合で使用された陰極は、Ba/Ag(いづれもAldrichから)である。OLEDが製造され得る方法は、WO 04/037887及びそこで引用された文献に詳細に記載されている。
【0073】
配合物は、配合成分を所望の比で所望の濃度で適切な溶媒に溶解することにより調製される。ここで例として使用される溶媒は、トルエンである。ここでの溶解プロセスは、60℃で不活性雰囲気中でなされる。溶液は、配合物を単離(固形成分の再沈殿)せずに、直接処理される。
【0074】
代替として、成分は、個々に溶解し、その後対応する容積に組み合わせて、結合溶液とすることもできる。
【0075】
本発明によるBLEND1乃至BLEND4の配合物のいくつかの素子特性(色調、効率、駆動電圧)が、表1に示される。
【0076】
BLEND1:
5.0重量%のポリ(N-ビニルカルバゾール)、Mn=25,000〜50,000(Aldrichから)と0.5重量%の例1によるエミッターを含むトルエン溶液
BLEND2:
5.0重量%のポリ(N-ビニルカルバゾール)、Mn=25,000〜50,000(Aldrichから)と0.5重量%の例14によるエミッターを含むトルエン溶液
BLEND3:
5.0重量%のWO 04/070772によるポリマーP1と0.5重量%の例16によるエミッターを含むトルエン溶液
BLEND4:
5.0重量%のWO 04/070772によるポリマーP1と0.5重量%の例26によるエミッターを含むトルエン溶液
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン若しくは陰イオンとして式(2)の副構造M(L)t+/t−を含む式(1)のイオン性化合物。
【化1】

ここで、使用される記号及び添字は、以下が適用される:
Mは、出現毎に、元素周期表第1乃至9亜族からの元素であり、好ましくは、イリジウム、ロジウム、白金、パラジウム、金、タングステン、レニウム、ルテニウム若しくはオスミウムであり;
Dは、出現毎に同一であるか異なり、Mに配位結合する非結合性電子対を有するsp-混成へテロ原子であり;
Cは、出現毎に、Mに結合するsp-混成炭素原子であり;
Cy1は、出現毎に同一であるか異なり、sp-混成炭素原子を経てMに結合するホモ若しくはヘテロ環であり、随意にR及び/又はQにより置換され;ここで、Cy1は、モノ環若しくはオリゴ環のいずれかであり得るものであり;
Cy2は、出現毎に同一であるか異なり、原子Dを経てMに配位結合するヘテロ環であり、随意にR及び/又はQにより置換され;ここで、Cy2は、モノ環若しくはオリゴ環のいずれかであり得るものであり;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、;正若しくは負の電荷数tを有する、正若しくは負に荷電した置換基であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、NO、CN、N(R、B(OH)、B(OR、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、又は3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(上記アルキル若しくはアルコキシ基中の夫々の1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、-O-、-S-、NR-、-(C=O)-、-(C=NR)-、-P=O(R)-、-COOR-若しくは-CONR-で置き代えられていてもよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてもよい)であり、
又は6〜30個のC原子を有する芳香族構造、2〜30個のC原子を有する複素環式芳香族構造、又は上記構造のアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基であって、夫々は、1以上の非芳香族R基により置換されていてもよく、複数の置換基Rは、同一の環上若しくは異なる環上の何れかで、一緒になって更なるモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成してもよいものであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H若しくは1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基若しくは6〜20個のC原子を有する芳香族炭化水素基若しくは2〜30個のC原子を有する複素環式芳香族炭化水素基であり、
nは1、2若しくは3であり、
tは、1、2若しくは3であり、好ましくは1若しくは2であり、特に1であり、ここで、配位子自身は電荷を担っており;
式(1)の配位子L‘及びL“は、2座配位でキレート化するモノ陰イオン性配位子であり、m及びoは、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であり;
少なくとも1つのQ基が、式(2)の構造に存在することにより特徴付けられ;
そして、イオンが、錯イオン[M(L)t+/t−(L‘)(L“)]の対イオンとして作用するものである。
【請求項2】
Cy1及びCy2が、芳香族若しくは複素環式芳香族構造であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Cy2が、へテロ原子Dを経てではなく、炭素原子を経て金属Mに配位結合するカルベンであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
少なくとも1つの式(2a)の副構造M(L)t+/t−を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の化合物。
【化2】

ここで、M、R、R、L‘、L“、n及びtは、請求項1に記載されたのと同じ意味であり、他の記号は、以下が適用される:
Dは、出現毎に同一であるか異なり、窒素若しくは燐であり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR、N若しくはPであり、又は、
(X-X)若しくは(X=X)(即ち2個の隣接するX)は、NR、S若しくはOを表し;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、正若しくは負の電荷数tを有する正若しくは負に荷電した置換基であり、又はこの置換基が1個の正若しくは負の電荷のみを有する場合には、k個で存在し、ここでk=tであり、
kは、出現毎に同一であるか異なり、0,1,2,3若しくは4であり、ここで、式(2a)における少なくとも1つの添字kは0ではなく;
但し、2個の環の夫々は、5若しくは6員環を表す。
【請求項5】
少なくとも1つの式(2b)の副構造M(L)t+/t−を含み、随意に式(3)の副構造M(L‘)を含む、式(1a)の化合物であることを特徴とする請求項1乃至4項何れか1項記載の化合物。
【化3】

【化4】

ここで、M、D、X、R、R、L“、Q、n、m、o及びtは、請求項1乃至4に記載されたのと同じ意味であり、更に:
Aは、出現毎に同一であるか異なり、-CR=CR-、N=CR-、-P=CR-、-N=N-、-P=N-、NR、O若しくはSであり;
但し、2個の環の夫々は、5若しくは6員環を表す。
【請求項6】
式(1)若しくは(1a)のイオン性化合物が、混合塩の形態であることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の化合物。
【請求項7】
式(1)の化合物が、陽イオン性配位子と共に式(2)若しくは(2a)の副構造M(L)t+を含み、陰イオンは、対イオンとして陰イオン性配位子と共に式(2)若しくは(2a)の副構造M(L)t-から形成されることを特徴とする請求項6記載の化合物。
【請求項8】
Qが、ピリジン、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、フェナジン若しくはそれらの混合物系の荷電複素環基であり、上記基は請求項1で定義される1以上のR基を有していてもよいことを特徴とする請求項4又は5記載の化合物。
【請求項9】
Qが、陽イオン性置換基を表すことを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載の化合物。
【請求項10】
Qが、1以上の基-N+(R)、-P+(R)、-As+(R)、-Sb+(R)、-Bi+(R)、-S+(R)、-Se+(R)、-Te+(R)、若しくは基
【化5】

を表すことを特徴とする請求項9記載の化合物。
ここで、wは、整数1、2、3、4若しくは5を表し、記号Xは、請求項4で定義されるものであり、Rには以下が適用される:
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、重水素、F、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(上記アルキル若しくはアルコキシ基中の1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、-O-、-S-、NR-、-(C=O)-、-(C=NR)-、-P=O(R)-若しくは-CONR-で置き代えられていてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてよい)であり、
又は6〜30個のC原子を有する芳香族構造、2〜30個のC原子を有する複素環式芳香族環構造、又は上記構造のアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基であって、夫々は、1以上のR基により置換されていてもよく、2以上のR基は、同一の環上若しくは異なる環上で、更なる脂肪族若しくは芳香族環構造を互いに形成してもよいものである。
【請求項11】
Qが、陰イオン性置換基を表すことを特徴とする請求項1乃至10何れか1項記載の化合物。
【請求項12】
Qが、1以上の基、-B(R)、-Al(R)、-Ga(R)、-In(R)、-Tl(R)、-Si2−(R)、-Ge2−(R)、-Sn2−(R)、-Pb2−(R)、-R-O、-R-S、-R-COO、-R-CSS、-R-SO、(ここで、R基は、請求項10で定義したものである)、-COO、-CSS、-O、-S、-Se、-Te、-SO、-SO、-SO2−、-PO2−、-PO2−、-PO2−、[PHal、[AsHal、[SbHalを表し、ここでHal基は、塩素、臭素、ヨウ素、弗素、若しくは偽ハロゲン、特にSCN、CN若しくはOCN、AuCl、PtCl2−、Fe(CN)2−/3−、ポリ電解質及びイオン交換樹脂特にポリスチレンサルフェートを表すことを特徴とする請求項11記載の化合物。
【請求項13】
Qが、金属Mへの結合のパラ位で、特に環Cy1と結合することを特徴とする請求項1乃至12何れか1項記載の化合物。
【請求項14】
複数のR及び/又はR基が、同一の環上若しくは異なる環上の何れかで、1以上の芳香族若しくは脂肪族環構造を形成することを特徴とする請求項1乃至13何れか1項記載の化合物。
【請求項15】
更なる芳香族若しくは脂肪族環構造を規定するブリッジが、2個の環Cy1とCy2との間に存在することを特徴とする請求項14記載の化合物。
【請求項16】
D基が、窒素Nを表することを特徴とする請求項1乃至15何れか1項記載の化合物。
【請求項17】
X基が、CR若しくはN、特にCR基を表すことを特徴とする請求項1乃至16何れか1項記載の化合物。
【請求項18】
基が、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、メチル、tert-ブチル、フェニル、CF若しくは1〜4個のC原子を有する縮合環状アルコキシ基であることを特徴とする請求項1乃至17何れか1項記載の化合物。
【請求項19】
少なくとも1つの置換基Rが、少なくとも4個のC原子を有するアルキル及び/又はアルコキシ鎖であり、及び/又はQ基が、少なくとも4個のC原子を有する1以上の長鎖基R若しくはRを有することを特徴とする請求項1乃至18何れか1項記載の化合物。
【請求項20】
請求項1乃至19何れか1項記載の1以上の化合物を含む、共役、部分共役、若しくは非共役オリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマー。
【請求項21】
請求項1乃至20何れか1項記載の化合物、オリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマーを含む、特に両性非プロトン性若しくは両性プロトン性溶媒を含む溶液。
【請求項22】
請求項1乃至19何れか1項記載の化合物又は請求項20記載のオリゴマー、ポリマー及び/又はデンドリマー又は請求項21記載の溶液の、有機電子素子での使用。
【請求項23】
請求項1乃至19何れか1項記載の化合物又は請求項20記載のオリゴマー、ポリマー及び/又はデンドリマーを含む有機電子素子。
【請求項24】
有機及びポリマー発光ダイオード(OLED、PLED)、有機発光電子化学電池(LEC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)及び有機レーザーダイオード(O-laser)の群より選択されることを特徴とする請求項23記載の有機電子素子。

【公表番号】特表2009−500360(P2009−500360A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519814(P2008−519814)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005564
【国際公開番号】WO2007/006380
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】