説明

金属顔料を含有する水性顔料ペースト及び効果付与する水性被覆材料の製造のためのその使用

水性顔料ペーストの総量に対して、
(A)少なくとも1種類の金属顔料殊にアルミニウム顔料15〜40質量%、(B)(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタクリラート共重合体からの少なくとも1種類の非会合性作用のある増粘剤0.45〜0.75質量%、(C)少なくとも1種類の有機アミン0.1〜0.4質量%、(D)少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤0.5〜8質量%及び(E)少なくとも水50質量%
を含有する、バインダー及び練摩樹脂を含まない水性顔料ペースト;水性被覆材料の製造のためのその使用及び製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の金属顔料、殊にアルミニウム顔料を含有する、バインダー及び練摩樹脂を含まない水性顔料ペーストに関する。更に本発明は、新規の、金属顔料を含有する、バインダー及び練摩樹脂を含まない水性顔料ペーストの、効果付与する水性被覆材料の製造のための使用に関する。更に本発明は、効果付与する水性被覆材料の新規の製造方法に関する。
【0002】
水性塗料中の金属効果顔料又はアルミニウム効果顔料の使用はそれ自体以前から公知である。
【0003】
機械的な作用に比較的敏感であるために金属顔料、殊にアルミニウム顔料は水性被覆材料、殊に水性塗料に混入する場合に問題を引き起こす。
【0004】
金属顔料は通常は有機溶剤中でバインダーあり又はなしでペースト化又は練摩される。
【0005】
前述の顔料ペーストは最大で数日の非常に限定された貯蔵安定性しか有しないことも欠点である。その後でこれは沈殿し、ピンホール及び凝結を形成し、これらは着色及び/又は効果付与する多層塗装の品質を、特にくもり形成によって低下させる。自動車製造者の場合のラインでの大工業的な塗装のためにも不十分な貯蔵安定性は大きな問題である。従って、経済的な理由からは望ましいのだが、顔料ペーストはより大量のストックで製造されることは不可能である。顔料ペーストの輸送安定性もまた強く望まれているままである。これによって、最適な製造条件を有する製造場所において顔料ペーストを製造し、顧客に輸送するという可能性が失われる。更に水性塗料の後着色のためには顔料ペーストはそのつど新規に製造されなくてはならない。
【0006】
本発明の課題は、新規の、金属顔料殊にアルミニウム顔料を含有する水性顔料ペーストを準備することであり、前記水性顔料ペーストは先行技術の欠点をもはや示さず、有機溶剤、添加剤及びポリマーバインダーに関して可能な限り少ない含有量の場合に安定で、貯蔵安定で、輸送安定で、金属顔料を損傷することなく単純な方法で製造可能である。特に新規の、金属顔料を含有する水性顔料ペーストは3ヶ月まで沈殿せずに、及びピンホール及び凝結を形成せずに、貯蔵安定であることが好ましい。
【0007】
新規の、金属顔料を含有する水性顔料ペーストは最適な条件を提供する製造場所において製造され、顧客に、殊に自動車製造者に輸送されることが好ましい。このような方法では、保管のための費用が著しく減少されることが好ましい。更に、新規の、金属顔料を含有する水性顔料ペーストは塗装装置の環状の配管において、これが損なわれることなく問題なく剪断されることが好ましい。
【0008】
新規の、金属顔料を含有する水性顔料ペーストは貯蔵安定で、輸送安定で、色調が安定した、効果が安定した及び容易に塗装可能な水性被覆材料、殊に水性塗料の製造を可能にし、自動車品質(参照、これについてヨーロッパ特許明細書EP0352298 B1、15頁42行〜17頁40行)の優れた着色及び/又は効果付与する多層塗装を提供することが好ましい。
【0009】
それに応じて、水性顔料ペーストの総量に対して、次の成分:
(A)少なくとも1種類の金属顔料15〜40質量%、
(B)(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタクリラート共重合体からの少なくとも1種類の非会合性作用のある増粘剤0.45〜0.75質量%、
(C)少なくとも1種類の有機アミン0.1〜0.4質量%、
(D)少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤0.5〜8質量%及び
(E)少なくとも水50質量%
を含有する、新規の、金属顔料を含有する、バインダー及び練摩樹脂を含まない水性顔料ペーストが見出され、以下に「本発明による顔料ペースト」として呼ばれる。
【0010】
本発明による顔料ペーストは更に、一般に顔料ペースト及び/又は被覆材料において使用される更なる成分及び添加物の全てを含有してもよい。
【0011】
更に、効果付与する、特に着色及び効果付与する水性被覆材料の製造のための本発明による顔料ペーストの新規の使用が見出され、これは以下に「本発明による使用」として呼ばれる。
【0012】
更に、効果付与する又は着色及び/又は効果付与する水性被覆材料の新規の製造方法が見出され、この方法の場合、少なくとも1種類の顔料ペーストが、少なくとも1種類の水溶性及び/又は分散可能なバインダーを含有する少なくとも1種類の水性混合塗料と混合され、及び生じる混合物は均質化させられ、この場合少なくとも1種類の本発明による顔料ペーストは、生じる効果付与する又は着色及び効果付与する水性被覆材料が、水性被覆材料の総量に対して
−少なくとも1種類の金属顔料(A)0.1〜6質量%、
−(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタクリラート共重合体からの少なくとも1種類の非会合性作用のある増粘剤(B)0.05〜2質量%及び
−少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤(D)0.02〜2.4質量%
を含有するような量で混合塗料と混合される。
【0013】
以下には効果付与する被覆材料の新規の製造方法が「本発明による方法」として呼ばれる。
【0014】
本発明の基礎となる課題は本発明による顔料ペーストによって解決されることが可能で、この場合前記顔料ペーストが先行技術の導入部で前述された欠点を示さなかったことは、先行技術を顧慮して意外であり、当業者にとって予測できなかった。
【0015】
本発明による顔料ペーストは金属顔料の損傷なく単純な方法で製造することが可能であった。この場合前記顔料ペーストはほぼ又は完全に有機溶剤、バインダー及び練摩樹脂を含まなかった。また、添加剤に関して比較的少量しか添加されなかった。それにも関わらず、本発明による顔料ペーストは意外にも安定で、輸送安定で及び貯蔵安定であった。殊に意外なことに、本発明による顔料ペーストは3ヶ月まで沈殿なしに、及びピンホール及び凝結の形成なしに貯蔵安定であった。
【0016】
本発明による顔料ペーストは最適な条件を提供した製造場所において製造され、及び顧客に、殊に自動車製造者に輸送されることが可能であった。このような方法では、顧客における保管のための費用は著しく減少されることが可能であった。更に、本発明による顔料ペーストは塗装装置の環状の配管において問題なく、これが損なわれることなく剪断されることが可能であった。
【0017】
意外にも本発明による顔料ペーストは貯蔵安定で、輸送安定で、色調が安定した、効果が安定した及び容易に塗装可能な水性被覆材料、殊に水性塗料を提供する。
【0018】
水性塗料は、自動車品質の、優れた効果付与する又は着色及び効果付与する多層塗装の製造を可能にする。ヨーロッパ特許明細書EP0352298 B1、15頁、42行〜17頁、14行に従って、このことは前述の多層塗装は以下を示すことを意味する。
(1)高い光沢
(2)高いイメージ識別性
(3)高い及び均質な隠ぺい力
(4)均一な乾燥層の厚さ
(5)高い耐ガソリン性
(6)高い耐溶剤性
(7)高い耐酸性
(8)高い硬度
(9)高い耐摩耗性
(10)高い耐引掻性
(11)高い耐衝撃性
(12)高い中間層付着及び基板への付着及び
(13)高い天候安定性及び耐UV性
本発明による顔料ペーストはバインダー及び練摩樹脂を含まない。「バインダー」の概念はRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、「Bindemittel」、73〜74頁に指摘されている。練摩樹脂は顔料ペースト又は顔料調製物(参照、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、「Pigmentpraeparationen」、452頁)の製造のために、顔料の練摩(「Anreiben」34頁)に用いられる。練摩樹脂は顔料の分散のために殊に高い能力を示すバインダーである。
【0019】
本発明の枠内では「バインダー及び練摩樹脂を含まない」とは、本発明による顔料ペーストはバインダー及び練摩樹脂を含有しない、又はこれについて非常に少量しか含有しないため、本発明による顔料ペーストの適用技術の特性はこれによって影響されず、殊に不利には影響を及ぼされない。
【0020】
特に本発明による顔料ペーストは有機溶剤をも含まない。これは、本発明による顔料ペーストは有機溶剤に関して非常に少量しか含有しないため、本発明による顔料ペーストの適用技術の特性はこれによって影響されず、殊に不利には影響を及ぼされないことを示す。特に、有機溶剤に関する含有量は本発明による顔料ペーストに対して、10より少なく、有利には5より少なく、及び殊に有利には1質量%より少なく、殊に有機溶剤の検出限度より少ない。
【0021】
本発明による顔料ペーストは少なくとも1種類の金属顔料(A)及び特に少なくとも2種類、有利には少なくとも3種類、及びとりわけ2種類の金属顔料(A)を含有する。金属顔料とは、細かい、大抵は小片状の金属顔料で、これは粉末又は顔料ペーストとして市販されている。金属効果顔料と、機能的な課題を満たす金属効果顔料、例えば腐蝕保護のため、伝導性顔料としての又は電磁波に対する保護のため(EMIシールド)の金属効果顔料は区別される、表参照。小片状の金属効果顔料(フレーク)の他に球状の粒子を有する粉塵(亜鉛粉塵、鉛粉塵)及び樹枝状の銅粉末がある(参照、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、381頁「Metallpigmente」)。
【0022】
【表1】

【0023】
金属顔料(A)は本発明による顔料ペースト中で、その総量に対して15〜40及び特に22質量%の量で含有されている。この場合、金属顔料は有利にはアルミニウム顔料である。
【0024】
アルミニウム顔料(アルミニウム青銅、銀青銅)とは、最低純度99.5%(DIN EN573−3;1994−12)の一次アルミニウム又は最低純度99.95%の純アルミニウムから、Hall方法又はHametag方法に従って製造される小片状金属効果顔料と解釈される。アルミニウム顔料は、例えば自動車上塗り塗料、ハンマートーン塗料、クロム効果塗料、特に効果塗料において並びに印刷インキにおいて効果付与(金属効果)に用いられる。これらはしかし機能性顔料としても、腐蝕防止被覆(バリアー作用)、反射塗料、特に特別分野において使用される。比較的新規な作用は効果顔料で、これらの場合アルミニウム小片は酸化鉄の薄い層で覆われている(酸化鉄−アルミニウム顔料)。これらの層における干渉によって、金属効果の他に着色効果も生じる(参照、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、24頁「Aluminium−Pigmente」)。
【0025】
更に本発明による顔料ペーストは、以下のような付加的な顔料が本発明による顔料ペーストの適用技術の特性を不利に影響しない限りは、少なくとも1種類の、金属顔料(A)とは異なる顔料を更に含有していてもよい。これは特に有機及び無機の、着色性、光学的効果付与性、導電性、磁性、磁性保護性、蛍光性、りん光性、腐蝕防止性及び充填性顔料からなるグループ、これらの特性の少なくとも2種類を示す顔料、及びナノ粒子から選択されてもよい。特に本発明による顔料ペーストは更なる顔料を含有しない。
【0026】
本発明による顔料ペーストは、その総量に対して、(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸、殊にメタクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタクリラート共重合体からの少なくとも1種類、殊に1種類の非会合性作用のある増粘剤0.45〜0.75殊に0.5〜0.7質量%を含有する。特に増粘剤(B)は少なくとも2種類の異なる(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラート単量体を重合によって組み込み含有している。有利にはこれはその総量に対して、メタクリル酸40〜60質量%を重合によって組み込み含有している。殊に増粘剤(B)は水性の分散液の形で使用される。特に有利には増粘剤(B)の分散液が、例えばドイツ国特許明細書DE19652842 A1、3欄、42行〜4欄、4行又はDE19741554 A1、2欄、54行〜3欄、15行に記載されたように使用される。とりわけ殊に有利には、Allied社の商品名Viscalex(R)HV30で販売され、増粘剤(B)に関して含有量30質量%を有する、増粘剤(B)の水性の分散液が使用される。
【0027】
本発明による顔料ペーストは、その総量に対して、0.1〜0.4、殊に0.2〜0.3質量%の少なくとも1種類、殊に1種類の有機アミン(C)を含有する。特にこのアミン(C)は第三アミン、特に第三アルキルアミン、とりわけ第三ヒドロキシアルキルアミンのグループから選択される。適した第三ヒドロキシアルキルアミンの例は、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン、殊にジメチルエタノールアミンである。
【0028】
本発明による顔料ペーストは更にその総量に対して、0.5〜8、殊に0.61質量%の少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤を含有する。本発明により非イオン性界面活性剤(ニオテンシド)(参照、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998、410頁「Niotenside」)とは、界面活性剤が考慮にいれられ、その親水性はポリエーテル鎖、ヒドロキシル基、カルボン酸アミド基、ウレタン基及び/又はエステル基により調整されている。ニオテンシドは市販の製品であり、例えばTego社の商品名Tegodispers(R)740で、Cognis社の商品名Hydropalat(R)3037で、又はAkzo社の商品名Setalux(R)6802 AQ4で販売されている。特にTegodispers(R)740及びHydropalat(R)3037が使用される。Hydropalat(R)3037は、ヒドロキシル価73〜83mgKOH/g及び鹸化価(DGF C−V3)56〜62を有する水系のための、シリコンを含まない界面活性レベリング助剤である。Tegodispers(R)740は非イオン性の、修飾された脂肪酸誘導体で、これは芳香族化合物エトキシラート、アミンエトキシラート、及びノニルフェノールエトキシラートを含まない。特に適しているのはSurfynolである。
【0029】
本発明による顔料ペーストは更に、その総量に対して少なくとも50、有利には少なくとも52、殊に有利には54質量%の水を含有している。
【0030】
そのうえ、本発明による顔料ペーストは更に常用及び公知の添加剤、例えば塗料で常用されている添加剤を含有してもよい。しかし本発明による顔料ペーストの特別な利点は、本発明による顔料ペーストが本発明による利点を達成するのに、更なる添加剤を含有しなくてもよいことである。
【0031】
本発明による顔料ペーストの製造は方法的な特徴を有さず、顔料ペースト又は顔料調合物の常用及び公知の製造方法に従って、適した混合装置、例えば撹拌槽、ディゾルバー、ウルトラチュラックス(Ultraturrax)、インラインディゾルバー、撹拌ミル、ビーズミル、又は押出機中で、前述に記載の成分の混合によって行う。この場合当業者はその一般的な専門知識に基づいて、そのつど分散されるべき金属顔料(A)が損なわれないように方法及び装置を選択してもよい。
【0032】
本発明に従って、本発明による顔料ペーストは効果付与する又は着色及び効果付予する水性被覆材料、殊に水性塗料の製造のために使用される。
【0033】
これに対して、本発明による顔料ペーストは少なくとも1種類の水性混合塗料と混合され、その後、生じる混合物は均質化される。特にこのために、前述に記載された方法及び装置が使用される。
【0034】
混合塗料は少なくとも1種類の水溶性及び/又は分散可能なバインダーを含有する。特にエチレン性不飽和単量体の、ランダム、交互、及びブロック式に合成された、線形、分枝及び櫛型に合成された(共)重合体又は重付加樹脂及び/又は重縮合樹脂からなるグループからバインダーが選択される。これらの概念対してRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、457頁「Polyaddition」及び「Polyadditionsharze(Polyaddukte)」並びに463頁及び464頁、「Polykondensate」、「Polykondensation」及び「Polykondensationsharze」、並びに73頁及び74頁、「Bindemittel」が参照される。
【0035】
特にエチレン性不飽和単量体の(共)重合体は(メタ)アクリラート(共)重合体及び部分的に鹸化されたポリビニルエステル、殊に(メタ)アクリラート(共)重合体からなるグループから、及び重付加樹脂及び/又は重縮合樹脂はポリエステル、アルキド、ポリウレタン、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂−アミン−付加化合物、ポリ尿素、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン又はポリエステル−ポリエーテル−ポリウレタン、殊にポリエステル−ポリウレタンからなるグループから選択される。
【0036】
とりわけ殊に有利には、例えば常用及び公知の水性塗料において使用されるバインダーが使用される。これらの種類のバインダーは例えばドイツ国特許明細書DE19652842 A1、2欄、53行〜3欄、46行及びドイツ国特許明細書DE19914896 A1、5欄、34行〜11欄、5行に記載される。
【0037】
バインダーは水性塗料ための常用及び公知の量において混合塗料中で使用される。
【0038】
混合塗料は更に常用及び公知の硬化剤及び添加剤を、常用及び公知の量において含有していてもよく、これは例えばドイツ国特許明細書DE19914896 A1、11欄、6行〜16欄、16行において記載される。
【0039】
本質的には、本発明による顔料ペーストは本発明による方法の場合に、生じる効果付与する又は着色及び効果付与する水性被覆材料が、水性被覆材料の総量に対して
−少なくとも1種類の金属顔料(A)0.1〜6質量%、
−(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタアクリラート共重合体からの少なくとも1種類の非会合性作用のある増粘剤(B)0.05〜2質量%及び
−少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤(D)0.02〜2.4質量%
を含有するような量で使用される。
【0040】
生じる水性被覆材料、殊に水性塗料は、物理的に、熱的に自己架橋して及び/又は自己以外と架橋して、化学線によって又は熱及び化学線によって、硬化してもよい。化学線とは、近赤外線(NIR)、可視光、UV線又はX線で、殊にUV線、並びに粒子線、例えば電子線を理解してよい。熱及び化学線による硬化は当業者によってデュアルキュアとしても呼ばれている。
【0041】
特に水性塗料は、下塗り塗装された又は下塗り塗装されていない支持体上の、効果付与する又は着色及び効果付与する多層塗装の製造のために使用される。
【0042】
支持体とは、塗装しうる表面の全てが考慮に入り、前記表面は熱又は熱及び化学線の適用下で、この上にある塗装の硬化によって損なわれない。適した支持体は例えば金属、プラスチック、木材、セラミック、石材、織物、不織布、皮革、ガラス、ガラス繊維、ガラスウール及び岩綿、鉱物結合建材及び樹脂結合建材、例えば石膏板及びセメント板、又は屋根瓦、並びにこれらの材料の複合材料からなる。これらの材料の表面はすでに前塗りまたは前被覆されていてもよい。
【0043】
これに応じて水性塗料は、自動車ボディ及びこれに関した部材、内部の範囲及び外部の範囲における自動車、内部の範囲及び外部の範囲における建築物、ドア、窓及び家具の塗装のために適していて、並びに工業的塗装の枠内では、プラスチック部材、殊に透明なプラスチック部材、小部材、コイル、容器、包装材、電気化学的な部品及び白物のための塗装並びに中空のガラス製品の被覆のために殊に良好に適している。
【0044】
水性塗料は、自動車、殊に乗用車のオリジナル塗装(OEM)及び補修塗装のためにとりわけ殊に良好に適している。
【0045】
導電性支持体の場合には、下塗り塗装が使用されてもよく、これは常用及び公知の方法で電着塗装(ETL)から製造されてもよい。このためにはアノード(ATL)及びカソード(KTL)電着塗装、しかし殊にKTLが考慮される。
【0046】
下塗り塗装された又は下塗り塗装されていないプラスチック、例えばABS、AMMA、ASA、CA、CAB、EP、UF、CF、MF、MPF、PF、PAN、PA、PE、HDPE、LDPE、LLDPE、UHMWPE、PET、PMMA、PP、PS、SB、PUR、PVC、RF、SAN、PBT、PPE、POM、PURRIM、SMC、BMC、PP−EPDM及びUP(DIN7728T1に従った略称)並びにそれらのポリマーブレンド、又はこれらのプラスチックで製造された繊維強化複合材料も、本発明による被覆で塗装されてもよい。
【0047】
機能化されていない及び/又は無極性の支持体表面の場合には、これらは被覆の前に公知の方法で、例えばプラズマで又は火炎で下処理させるか又はハイドロプライマーが供給されてもよい。
【0048】
多層塗装は様々な方法で製造されてもよい。有利にはドイツ国特許明細書DE19930664 A1、15頁36行〜58行、又はドイツ国特許明細書DE19914896 A1、2欄、15行〜3欄、24行及び16欄、54行〜18欄、54行に記載されたウェットオンウェット方法が使用される。
【0049】
この場合常用及び公知の方法及び装置が、被覆材料、殊に水性被覆材料の塗装及び硬化のために適用される。
【0050】
本発明による顔料ペーストにおける金属顔料(A)の優れた分散及びその貯蔵安定性に基づき、最終的に優れた色調安定性及び光学的効果安定性の多層塗装が生じる。多層塗装は従って高級乗用車のオリジナル塗装及び補修塗装のために有利に使用されてもよい。有利には本発明による被覆材料はその総量に対して、顔料ペースト0.25〜20質量%を含有する。
【0051】
実施例
顔料を含まない被覆組成物B1の製造
水性のバインダー混合物57.4kgを水性のメラミン樹脂スラリー12.3kg及びアクリラート樹脂添加物1.8kgと混合した。
これらの混合物を更に常用の添加物全部で6kg、市販のつや消しペースト1kg及びタルクペースト3kgと混ぜ、完全に混合した。引き続き更に水4.5kg及びポリウレタン増粘剤0.5kgと混ぜ、再度撹拌した。
【0052】
本発明による顔料ペーストB2の製造
本発明による顔料ペーストの製造のために次のように行った(100分率の記載は質量%である):
第1に水1.8kg(15%)をViscalexHV30 0.21kg(1.75%)と混合した。それから更なる水4.68kg(39%)を添加し、その後に10%ジメチルエタノールアミン溶液0.26kg(2.17%)と混ぜた。次にSurfynol0.7kg(5.83%)及びHydropalat3037 0.25kg(2.1%)を添加した。
総混合物をそれから20分間撹拌した。
次にクロメート処理された65%アルミニウムペースト4.1kg(34.15%)を添加し、生じる混合物を更なる30分間撹拌した。
【0053】
顔料化された被覆組成物B3の製造
顔料を含まない被覆組成物B1 86質量%に、本発明による顔料ペーストB2 12質量%を添加し、両方の成分を水2kg(2%)の混入下で十分に混合した。
【0054】
生じる顔料化された被覆組成物はほぼ溶媒を含まず、非常に良好に輸送安定で、優れた貯蔵安定性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性顔料ペーストの総量に対して、
(A)少なくとも1種類の金属顔料15〜40質量%
(B)(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタクリラート共重合体からの少なくとも1種類の非会合性作用のある増粘剤0.45〜0.75質量%、
(C)少なくとも1種類の有機アミン0.1〜0.4質量%、
(D)少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤0.5〜8質量%及び
(E)少なくとも水50質量%
を含有する、バインダー及び練摩樹脂を含まない水性顔料ペースト。
【請求項2】
増粘剤(B)は少なくとも2種類の異なる(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラート単量体を重合によって組み込み含有することを特徴とする、請求項1記載の顔料ペースト。
【請求項3】
増粘剤(B)は、顔料ペーストの総量に対して、メタクリル酸40〜60質量%を重合によって組み込み含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の顔料ペースト。
【請求項4】
有機アミン(C)は第三アミンのグループから選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料ペースト。
【請求項5】
第三アミン(C)はヒドロキシアルキルアミンのグループから選択されることを特徴とする、請求項4記載の顔料ペースト。
【請求項6】
ヒドロキシアルキルアミン(C)はジメチルエタノールアミンであることを特徴とする、請求項5記載の顔料ペースト。
【請求項7】
金属顔料(A)はアルミニウム顔料であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の顔料ペースト。
【請求項8】
顔料ペーストの総量に対して、少なくとも52、殊に54質量%の水を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の顔料ペースト。
【請求項9】
顔料ペーストの総量に対して、
(A)アルミニウム顔料34質量%
(B)(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタクリラート共重合体からの非会合性作用のある増粘剤0.53質量%、
(C)有機アミン0.22質量%、
(D)非イオン性界面活性剤0.61質量%、
(E)水54質量%
を含有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の顔料ペースト。
【請求項10】
効果付与する又は着色及び効果付与する水性被覆材料の製造のための、請求項1から9までのいずれか1項記載の、バインダー及び練摩樹脂を含まない水性顔料ペーストの使用。
【請求項11】
水性被覆材料は水性塗料であることを特徴とする、請求項10記載の使用。
【請求項12】
水性被覆材料は効果付与する又は着色及び効果付与する多層塗装の製造に使用されることを特徴とする、請求項10又は11記載の使用。
【請求項13】
効果付与する又は着色及び効果付与する水性被覆材料を製造するにあたり、少なくとも1種類の顔料ペーストが、少なくとも1種類の水溶性及び/又は分散可能なバインダーを含有する少なくとも1種類の水性の混合塗料と混合され、及び生じる混合物は均質化される方法において、請求項1から9までのいずれか1項記載の、少なくとも1種類の、バインダー及び練摩樹脂を含まない水性顔料ペーストは、生じる効果付与する又は着色及び効果付与する水性被覆材料が、水性被覆材料の総量に対して
−少なくとも1種類の金属顔料(A)0.1〜6質量%
−(C〜C)−アルキル(メタ)アクリラートと(メタ)アクリル酸とをベースとする少なくとも1種類のメタクリラート共重合体からの少なくとも1種類の非会合性作用のある増粘剤(B)0.05〜2質量%及び
−少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤(D)0.02〜2.4質量%
を含有するような量で使用されることを特徴とする、効果付与する又は着色及び効果付与する水性被覆材料の製造方法。
【請求項14】
エチレン性不飽和単量体の、ランダム、交互、及びブロック式に合成された、線形、分枝及び櫛型に合成された(共)重合体又は重付加樹脂及び/又は重縮合樹脂からなるグループからバインダーが選択されることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
エチレン性不飽和単量体の(共)重合体は、(メタ)アクリラート(共)重合体及び部分的に鹸化されたポリビニルエステル、殊に(メタ)アクリラート(共)重合体からなるグループから、及び重付加樹脂及び/又は重縮合樹脂はポリエステル、アルキド、ポリウレタン、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂−アミン−付加化合物、ポリ尿素、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン又はポリエステル−ポリエーテル−ポリウレタン、殊にポリエステル−ポリウレタンからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2006−511636(P2006−511636A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535128(P2004−535128)
【出願日】平成15年8月21日(2003.8.21)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009267
【国際公開番号】WO2004/024837
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【Fターム(参考)】