説明

針を留置し、防護する包帯

針を留置し、防護する装置であって、中央部(7)で分離する第1および第2の粘着部分(3、8)を有し、第1の部分(3)は皮膚に貼付され、針を挿入するために選択した穿刺部位の向かいに貼付され、第1の部分(3)の片面のみに粘着性がある装置において、この装置が縦の2つのアーム片(22、23)を決定する切り離し線(12)を1本有し、この各アーム片(22、23)が第2の粘着部(8)に属する端部を有することを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療または獣医学分野に関連するとともに針の保持手段に関し、さらに詳細には翼付針に関するが、これに限定するものではない。
【0002】
また、本発明は、針挿入部位の防護装置に関する。
【0003】
本発明は特に、医療または獣医分野での静脈カテーテルの使用法に関する。
【0004】
本発明は特に、血液透析分野、または針/カテーテルやcathlon(登録商標)タイプの短い静脈内カテーテルまたは装置(PTEE製カニューレ)を用いる点滴分野での適用に関する。
【0005】
本発明は、とりわけ静脈または動静脈への点滴を行う際に翼付針を静脈穿刺部位に留置する装置に関し、特に血液透析の際に動静脈瘻に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0006】
針またはカテーテルを取り付けたチューブを用いてヒトや動物に対して流体(電解質液、麻酔作用のある等張性の血清グルコースなど)を採取したり注入したり、薬剤を投与したりすることがよくある。
【0007】
この針またはこのカテーテルは、たとえば静脈、筋肉、皮下などの正確な位置に手動で挿入しなければならない。
【0008】
翼付針は、輸血、特に採血に使用される。このような針は、蝶の羽形状をした手で挟持する箇所があるためにこう呼ばれる。この翼を向かい合わせて折り曲げるとしっかりとつかむことができ、針を皮下に挿入するのが容易になる。針を設置すると、通常は翼を皮膚の上にそのまま残し、針が抜き出ないように粘着テープをこの翼と皮膚の上に貼付する。
【0009】
翼付針の実施例は、次の番号の米国特許に記載されている:第2725058号、第3064648号、第3640275号、第4194504号、第4300553号、第4627842号、第5108376号、第5149328号、第6270480号。
【0010】
針を血管に挿入する場合、この針がわずかに動くだけで針が血管を貫通し、静脈炎や血腫を来たすおそれがある。
【0011】
通常は、針は多数の粘着テープを用いて保持する。よって針の保持具合は、とりわけこのテープを貼付する人の取り扱い方によって異なる。この粘着テープは不快なものであり、皮膚に問題を起こすおそれがある。
【0012】
従来の粘着テープを使うと、針が偶発的に抜ける危険性を回避できず、たとえば長時間じっとしていられない小児に静脈内点滴を行う場合はこのような危険性は避けられない。
【0013】
神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病)を来たす人がとる制御不能な動きによっても針が抜けることがあり、患者の生命維持や肉体的または精神的均衡の維持に不可欠な物質(血液、治療剤、栄養剤、緩和療法剤など)が流出しかねない。
【0014】
従来の粘着テープを使用すると、少なくとも挿管の一部が見えなくなることがよくあり、そのために流体が正常に注入または排出されているかを視覚的に管理することが困難なことがある。
【0015】
この管理を行うために粘着テープを定期的に剥がすことは、患者にとっては面倒で不快なことであり、これによって針が一時的に動く危険性が増大する。
【0016】
この粘着テープは作業者の手袋に接着することがよくあり、これが看護師を穿刺する危険性があることが知られ、危惧されている。AIDS、肝炎、とりわけ血管からの感染症が拡大するにつれて、この危険性がますます危惧されている。しかし、従来の粘着テープは針の翼に付着し、手袋の指の部分に接着し、針を引っ張って針の先が偶発的に作業者を穿刺するおそれがある。
【0017】
針を迅速に抜くことが望ましい場合もあり、この針が不注意に貼付した多数の粘着テープで留置されている場合は容易ではない。
【0018】
患者の皮膚が流体または汗が流れることによって濡れている場合、粘着テープによっては皮膚から剥がれるものがあり、そうなると針を正しく留置することはできなくなる。
【0019】
入院患者の約80%は静脈内カテーテルによる投与で治療を受けていると思われる。末梢静脈カテーテルは、深部静脈へ挿入するカテーテルと中心静脈カテーテルほどは感染の影響を受けないが、末梢静脈カテーテルがブドウ球菌に感染することは珍しいことではない。針が動くことによってこのような感染症を助長していると思われる。
【0020】
一部の患者にとっては、末梢静脈カテーテルは日常的に使用するものである。これは特に、急性または慢性の腎不全を来たし、血液透析または人工透析による治療を受けている患者にあてはまる。
【0021】
1回の血液透析は約4時間続き、週3回の実施が必要である。
【0022】
血液透析には3種類の重要な血管アクセスがあり、動静脈瘻AVF、人工動静脈または人工移植片、および中心静脈カテーテルCVCである。
【0023】
AVFは、患者の動脈と静脈を接続するために外科手術によって形成される吻合であり、上腕または腕に施すことが多く、最も多いのは橈骨動脈と上腕動脈との間である。この吻合によって静脈への血流量の増加が可能となる。AVFを形成することによって動脈瘤領域が形成され、患者の上腕の外観が大きく変化する。そのため、従来技術にみられる針保持用の多くの堅固な装置を、AVFへ穿刺する透析針を保持するためには使用できない。
【0024】
AVFの穿刺に使用される針は、通常内径が1.6〜2mmの大口径である。血液を患者から透析装置へ輸送する針を動脈針、血液を患者へ戻す針を静脈針という。
【0025】
患者への血液透析1回で、いくつもの事故を回避せねばならない。
【0026】
針が正常に留置されていなければ、AVFの働きによって血流量が増加し、患者にとっては深刻な危機となる。穿刺部位からの出血がどのようなものであっても、患者とっては致命的となることは明らかである。さらに、血液透析の際には、カテーテルの内腔が血栓によって閉塞する危険性を制限するために抗凝血剤が使用される。血流量が増加し、抗凝血剤を使用することから、偶発的な透析針の逸脱による危険性はきわめて重大である。
【0027】
皮膚の壁と針の挿入部位との間に局地的な出血がみられることがよくあるが、これは、穿刺針の内壁を通じた感染性汚染の要因である。この危険性を回避するには、留置用装置が透析中常に針に挿入圧力をかけている必要がある。
【0028】
穿刺の最中または透析の最中に、針が血管を貫通してしまうことがある。つまり、針が血管壁を貫通して血腫を来たすことがある。これが静脈針であった場合、血液が透析中に圧力を受けて再注入され、大きな血腫が形成される。稀に、針は表面には出ていない動脈を貫通し、深刻な血腫を引き起こす。のちに動脈瘤を発症することもある。このような動脈瘤には外科手術が必要である。針が血管壁も貫通してから留置された場合は、透析中に血腫が突然発症することがある。この針は、患者が激しく動いたり無意識に動いたりすると血管を貫通することがある。よって、1回の透析を早期に停止する必要があるが、人工透析の質は低下してしまう。
【0029】
針が偶発的に外に出てしまうと、体外循環が機能していても重大な事故になる。これは静脈針の場合に特にきわめて重大となる。このような事故が起きると、患者は医原性出血によって死に至る。体外循環に対する特別なアラーム機能がなければ、血液ポンプは作動し続け、患者の血液はなくなるまで流出してしまう。
【0030】
このような事故は、躁状態の患者、うつ病患者、てんかん患者、舞踏病患者、パーキンソン病やパーキンソン病症候群などの神経変性疾患患者、またはその他のさまざまな理由により痙攣を起こす患者などに発生することが多い。
【0031】
静脈針が不意に抜けてしまうと、穿刺部位から出血し、塞栓症を来たす危険性にさらされる。現代の透析装置には空気検知器が搭載されているため、このようなことは稀であるが、血流量が増加した場合は、安全クランプが応答してからの潜伏時間があるためにこの危険性は現実に起こりうる。
【0032】
両方の針が同時に抜けてしまうと、患者には血液250ccの流出と穿刺部位の出血という2つの事態が起こる。この出血には透析の介入が必要であり、2回目の透析を開始するまでに圧迫する必要がある。
【0033】
人工臓器または人工移植片は手術により取り付けられ、生体適合性高分子材料製の管で接続された動静脈へと同じようにつながる。透析針はこの合成管に挿入しなければならず、これには相当強い力が必要である。
【0034】
AVFに導入された透析針の逸脱による危険性は、人工移植片に導入された透析針の逸脱による危険性とほぼ同等である。
【0035】
血液透析用の翼付針は、通常複数の粘着テープで留置し、そのうちの少なくとも1つのテープをチューブの下に通したのちに翼の上に通してシェブロン型またはネクタイの状態にして貼付する。
【0036】
点滴用のカテーテルまたは針を留置する従来の装置は、ほとんどの透析に使用することができないが、それは以下の理由によるものである。
【0037】
第一に、このような従来の装置の一定数が堅固なためである。ところが、AVFの場合、最初の徴候として血管周辺に最もよくみられるのは動脈瘤領域の出現であり、皮膚はAVFの周囲で非常に変形する。堅固な留置装置を使用することによって皮膚に何度も炎症が起こり、特に細菌感染をもたらす擦過傷が助長される。さらに、瘻孔は長年にわたって使用することがあり、透析患者によっては皮膚があまり順応せず、加齢により細く脆弱なことがある。
【0038】
第二に、従来の針留置装置の一定数がベルトを備えているためである。このようなベルトは、締め付けることにより虚血を引き起こすおそれがあるため、AVF保有患者には完全に禁止されている。
【0039】
第三に、このような従来の針留置装置の多くが大型であるためである。ところが、AVFの幅は小さいことが多いため、動脈針と静脈針の2つは互いに接近して設置する必要がある。
【0040】
文献EP0284219には、カテーテルまたはカニューレを皮膚に留置させる包帯が記載されている。この包帯には縦に分離する線が1本入っており、この線の先にカニューレのコネクタを通過させる細長い孔がある。
【0041】
文献EP0284219に記載の包帯には、多くの不都合がある。その製造は複雑でコストがかかる。特に、先行技術によるこの包帯は、脱着可能な第1のバンドを有し、その端部が把持用のフラップの形状を成し、この脱着可能な第1のバンドはこれ自体を折り畳んで粘着部と脱着可能な第2のバンドの端部との間に収めるようになっている。先行技術によるこの包帯の取り付けおよび取り外しには注意を要する。取り付ける際は、看護師は脱着可能な2本のバンドを外すには両手で包帯をつかまなければならず、これでは全体的に粘着性のある包帯の下面が障害になる。包帯を取り付けたり外したりする際、不適切な時機に看護師の手袋に接着する危険性が高まる。
【0042】
文献US4490141には、カテーテルの留置装置が記載されている。この文献に記載の従来の装置には、多くの不都合がある。特に、この装置は穿刺部位を被覆しないため、細菌感染の防止はできない。このほか、従来のこの装置では、針が動く危険性を効率よく制限できない。
【0043】
上記の課題を鋭意検討したのち、本発明者は列挙した難点を大幅に緩和することができる多数の利点を備える製品を考案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】米国特許第2725058号
【特許文献2】米国特許第3064648号
【特許文献3】米国特許第3640275号
【特許文献4】米国特許第4194504号
【特許文献5】米国特許第4300553号
【特許文献6】米国特許第4627842号
【特許文献7】米国特許第5108376号
【特許文献8】米国特許第5149328号
【特許文献9】米国特許第6270480号
【特許文献10】欧州特許第0284219号
【特許文献11】米国特許第4490141号
【特許文献12】米国特許第4863432号
【特許文献13】米国特許第4534762号
【特許文献14】米国特許第5087248号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
先行技術による従来の手段、とりわけ特許文献US4863432、US4534762、US4490141、US5087248に記載の手段とはまったく反対の方法により、本発明者は、針(特に翼付針)が皮膚にほとんど接着せず、どのような粘着テープとも接触しないという一見自然に反した発想であるが、しっかりとその位置に固定する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0046】
本発明は、第1の目的によれば、針を留置し、防護する装置であって、この装置が、中央部で分離する第1および第2の粘着部分を有し、第1の部分は皮膚に貼付され、有利には針を挿入するために選択した穿刺部位の向かいに貼付され、第1の部分の片面のみに粘着性があり、この装置が縦の2つのアーム片を決定する切り離し線を1本有し、この各アーム片が第2の粘着部に属する端部を有する装置に関する。
【0047】
有利なように、第1の部分は前方面に粘着性があり、第2の部分は後方面のみに粘着性がある。
【0048】
有利なように、包帯は弾性素材で作製され、特に縦および横の方向に沿って作製される。包帯は、支持体の湾曲、たとえば体の湾曲にも沿って作製される。
【0049】
有利なように、包帯は、少なくとも中央部が透明または半透明の素材で作製される。これによって、特に挿入部位での視覚による異常確認が容易になる。
【0050】
一使用法では、包帯は中央部に、特に縦に広がるスリットを1つ有する。
【0051】
このスリットは、少なくとも第1の粘着部分まで伸びている。
【0052】
有利なように、第2の部分は第1の部分とほぼ同じ形状であり、たとえば楕円形、正方形または長方形である。よって、包帯の製造が経済的になる。
【0053】
本発明は、第2の局面によれば、上記のような装置を含み、少なくとも1本の針またはこれと同等のものを有する装置を備える点滴装置一式に関する。
【0054】
本発明のその他の目的および利点は、添付の図面を参照しながら好適な実施形態に沿った説明する以下の記載を読めば明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】針を留置し、防護する包帯の平面図である。
【図2】図1に示す包帯を取り付ける様子を示す概略図であり、例として患者の上腕に挿入した針を示す。
【図3】図1に示す包帯を取り付ける様子を示す概略図であり、例として患者の上腕に挿入した針を示す。
【図4】図1に示す包帯を取り付ける様子を示す概略図であり、例として患者の上腕に挿入した針を示す。
【図5】図1に示す包帯を取り付ける様子を示す概略図であり、例として患者の上腕に挿入した針を示す。
【図6】図1に示す包帯を取り付ける様子を示す概略図であり、例として患者の上腕に挿入した針を示す。
【図7】図1に示す包帯を取り付ける様子を示す概略図であり、例として患者の上腕に挿入した針を示す。
【図8】一実施変形例による、針を留置し、防護する包帯の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
添付の図に示す針を留置し、防護する包帯1は、簡略化のため、以下の説明では「包帯」という語で示す。
【0057】
以下の説明では、「縦」という語は、包帯を広げる第1の方向を指すのに使用し、「横」という語はこれに対してほぼ垂直の方向を指すのに使用する。
【0058】
まず、図1からみていく。
【0059】
包帯1は、伸ばしたテープの一般的な形状をしている。
【0060】
図に示す実施形態では、この伸ばしたテープはほぼ長方形であり、包帯は縦軸P1に対して左右対称な平面を有する。
【0061】
包帯1は、縦のスリット2を有する。以下の説明で明らかになるが、この縦のスリット2の寸法のなかでも特に横の寸法は、穿刺装置の寸法の特に針を支持する先端開口部の直径に適合する。
【0062】
図に示す実施形態では、このスリット2は長方形である。別の実施形態(図示せず)では、このスリットは楕円形、正方形または多角形である。
【0063】
図に示す実施形態では、このスリット2は包帯の幅の中央に位置する。別の実施形態(図示せず)では、このスリットは中心から離れ、包帯の縦の縁の近辺にある。
【0064】
包帯1は、第1の部分(前方部分)3の第1の面(下面)に粘着性がある。
【0065】
包帯を取り付ける前に、脱着可能なテープ4が前方下のこの面を防護する。有利なように、この脱着可能なテープ4は、把持フラップを有する。一実施例では、この把持フラップは包帯1の横の自由端縁5の向こう側へ広がっている。
【0066】
図に示す実施形態では、粘着性のある前方下面は包帯の横に広がり、包帯1の横の自由端縁5と包帯1の中央領域7の横の第1の縁6との間に広がるほぼ長方形の粘着性のある表面である。一使用法では、剥離可能なテープの把持フラップは、横の第1の縁6を超えて中央領域7をわずかに被覆している。
【0067】
図に示す実施形態では、縦のスリット2は、主に包帯の中央領域7に広がり、中央領域7の横の縁6をわずかに超えて広がっている。別の実施形態(図示せず)では、縦のスリット2は、横の第1の縁6のすぐ近辺まで広がってが、第1の部分3には広がっていない。
【0068】
包帯1は、第2の部分(後方部分)8の第2の面(上面)に粘着性がある。
【0069】
包帯を取り付ける前に、剥離可能なテープが後方上のこの面を防護する。有利なように、この剥離可能なテープは把持フラップを有する。一使用法では、この把持フラップは中央部分7をわずかに被覆している。
【0070】
図に示す実施形態では、粘着性のある後方上面は、包帯の横に広がり、包帯の横の自由端縁9と包帯の中央領域7の横の第2の縁10との間に広がるほぼ長方形の粘着性のある表面である。
【0071】
取り外し線11があるため、粘着表面を防護する剥離可能なテープまたはフィルムは、正確な設計に沿って引っ張るようにしてもよい。このようにして包帯の固定は容易になり、作業者の手袋に接着したりしわができたりする危険性もない。
【0072】
包帯1は、縦の切り離し線12を備えている。
【0073】
図に示す実施形態では、この切り離し線9は、横の縁から縦のスリット2までである。
【0074】
別の実施形態(図示せず)では、この切り離し線はスリット2までは達しない。このような使用法は、点滴チューブが円筒状で非常に柔らかく、押しつぶされる危険性がある場合に有用である。
【0075】
切り離し線とは、筋や溝を入れた線、ミシン目、あらかじめ切り目の入った線、厚みを薄くした線などのあらゆる線を指し、この強度を弱める線を入れるのに用いる技術は、包帯に使用する素材の種類によって決まる。
【0076】
また、切り離し線とは、作業者が工具を用いて包帯を切り離しやすいように包帯に入れられるあらゆる印を指す。
【0077】
有利な一使用法では、包帯は可撓性の高分子材料またはコーティング生地で作製され、点線はあらかじめ切り目の入った線である。「可撓性」とは、ここでは包帯を取り付ける表面が、たとえば患者の上腕などの湾曲部に合致する性質を意味し、この可撓性は素材の選択およびその厚みによって得られる。また、「可撓性」とは、ここでは包帯の素材がある程度引き伸ばしても耐え得る性質も意味する。
【0078】
包帯は、有利なように、特に中央領域7が透明または半透明になっている。
【0079】
例として、図1に示す包帯の寸法は次のようになる。a)第1の部分(前方部分)3は、粘着表面の寸法が40mm×25mm、b)第2の部分(後方部分)8は、粘着表面の寸法が40mm×15mm、横の自由端縁9と取り外し線との間の長さが5mm、c)中央部7の横の縁6と10の間の長さは60mm、中央部の幅は40mm、d)縦のスリット2は、幅7mm、長27mm、e)剥離可能なテープは、取り外し用フラップの幅が4mmである。
【0080】
次に、包帯を取り付ける様子を示す図2および以下の説明文をみていく。
【0081】
図2に示す第1の工程では、点滴針などの針20は、たとえば患者の上腕21に取り付ける。針をこのように挿入するのが一般的である。この針はcathlon(登録商標)の針、または翼付針とすることができる。針は、たとえば静脈またはAVFに挿入する。
【0082】
その後、作業者は、包帯の粘着性のある下方前方面を被覆している剥離可能なテープ4を持ち上げる。
【0083】
作業者は、この下方前方面を患者の皮膚に固定する。
【0084】
図3に示すように、包帯1の粘着性のある下方前方面は、針の両側に位置してこの針のわずかな長さ(約数ミリメートル)を被覆する。
【0085】
作業者は、必要ならばこの包帯を点線12に沿って切り離して包帯1のアーム片22、23を分離する。
【0086】
縦のスリット2があることによって、チューブ端部の大きさを考慮して包帯1のアーム片22、23を広げることができる。
【0087】
作業者は、針の右側にある包帯の第1のアーム片23を持ってこのアーム片をチューブの下を通したのち、チューブの上へと折り返す(図4)。包帯の粘着性のある上面を防護する剥離可能なテープはその位置に留まり、アーム片23は作業者の指には接着しない。
【0088】
作業者は、包帯の第1のアーム片23を患者の皮膚に固定する。
【0089】
次に、作業者は、針の左側にある包帯の第2のアーム片22を持ってこのアーム片をチューブの下を通したのち、チューブの上へと折り返す(図5)。包帯の粘着性のある上面を防護する剥離可能なテープはその位置に留まり、アーム片22は作業者の指には接着しない。
【0090】
作業者は、包帯の第2のアーム片22を患者の皮膚に固定する。
【0091】
ここで留意すべき点は、作業者は翼付針を使用することもできることである。針をつかんで誘導しやすいように翼を折り、針を取り付けた際に翼を放すと、翼は包帯1の前方面でスリット2の両側で静止する。翼が放された状態にあるときのスリット2の幅はこの翼の幅よりもわずかに短い。
【0092】
場合によっては、縦の補強テープをスリット2の両側に貼付する。
【0093】
本発明では、作業者は皮膚に針を挿入するという習慣を変更する必要がなく、これは作業者にとっては非常に安全である。
【0094】
包帯の可撓性により、AVFの動脈瘤領域の周囲を含め、皮膚の外形に沿わせることが可能となる。有利なように、アーム片22、23を構成する素材、場合によっては包帯1全体は、少なくとも縦に伸張し、さらに有利なようには、縦と横の両方向に伸張する。こうすることによって、包帯を患者の体のさまざまな湾曲部にさらに適合させることができる。
【0095】
ここで留意すべき点は、針のなかでも特に翼付針の翼は皮膚には接着せず、粘着領域と接触することもないという点である。粘着性があるのはアーム片22、23の端部のみである。したがって、針の逸脱は、先行技術による装置よりも確実に防止される。実際に、針から離れたところに貼られているアーム片22、23を剥がしたのちに、包帯の前方部を剥がすだけでよく、この前方部は針の表面をわずかしか覆っていない。
【0096】
この包帯によって穿刺部位が見え、潜在的な異常を発見することができる。
【0097】
次に、使用に対してさまざまに異なる特殊な構成を示す図8をみていく。
【0098】
簡略化のため、このような構成全体を1つの図のみに統合する。しかしながら、これらの構成はそれぞれ、図1ないし図7を参照して説明した前述のタイプの包帯にも使用することができることは当然である。
【0099】
第1の特殊な構成によれば、縦のスリット2は、有利なように、鍵穴形状をしており、この構成によって針先の保持が容易になる。
【0100】
第2の特殊な構成によれば、矢印30などの表示で包帯の取り付け方向を表示する。
【0101】
第3の特殊な構成によれば、中央部7はわずかな幅であり、この構成によって包帯を取り付ける際にアーム片の設置が容易になる。
【0102】
第4の特殊な構成によれば、剥離可能なテープ4、13の把持フラップ4a、13aには、色付けなどの印付けをして、取り付けと使用が容易になるようにする。
【0103】
第5の特殊な構成によれば、粘着部全体に薬剤を混入する。
【0104】
もうひとつの特殊な構成によれば、包帯を形成する素材はピンホールを備える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針を留置し、防護する装置であって、中央部(7)で分離する第1および第2の粘着部分(3、8)を有し、該第1の部分(3)は皮膚に貼付され、針を挿入するために選択した穿刺部位の向かいに貼付され、前記第1の部分(3)の片面のみに粘着性がある装置において、該装置が縦の2つのアーム片(22、23)を決定する切り離し線(12)を1本有し、前記各アーム片(22、23)が第2の粘着部(8)に属する端部を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の部分(3)は前方面に粘着性があり、前記第2の部分(8)は後方面のみに粘着性があることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
弾性素材で作製され、特に縦および横の方向に沿って作製されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも中央部が透明または半透明の素材で作製されることを特徴とする、請求項1ないし3に記載の装置。
【請求項5】
前記中央部(7)に広がるスリット(2)を1つ有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記スリット(2)は縦に伸び、少なくとも前記第1の粘着部分(3)まで伸びていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の部分(8)は前記第1の部分(3)とほぼ同じ形状であり、たとえば楕円形、正方形または長方形であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
請求1〜7項に記載したような装置および針(20)を含む点滴装置一式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−525824(P2011−525824A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515530(P2011−515530)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000803
【国際公開番号】WO2009/156626
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(511001334)
【Fターム(参考)】