説明

針描出のための方法及びデバイス

【課題】針描出のための方法及びデバイスを提供すること。
【解決手段】本発明は針描出のための方法及びデバイスを提供する。本発明の針描出のための方法は、ある時間間隔で交互に1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを収集してフレームシーケンスを形成するステップと、該フレームシーケンスを空間合成するステップと、空間合成から得られた画像フレームを出力するステップと、を含む。また本発明による針描出のためのデバイスは、収集のための手段、空間合成のための手段及び出力のための手段を備える。本発明は1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを反復方式で収集してフレームシーケンスを形成しているため、針フレームと組織フレームの間の均等な間隔が達成され、針のリアルタイム表示が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には医用超音波撮像に関し、またより詳細には針描出のための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像デバイスは人の血管及び血流に関する明瞭な画像を提供可能でありかつ侵襲的な心臓治療などの処置における位置決め及び支援ツールとして特に有用であるため、超音波撮像デバイスによれば医師は患者の病変部位及び処置の各進捗を識別可能となり、またこのため手術の成功にとって極めて重要なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6524247号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
神経や血管に対して侵襲を及ぼすような処置では、針探査並びにリアルタイムで高品質の針像の描出が最も重要である。したがって、移動する針の像をリアルタイムかつ高品質の方式で表示するための超音波撮像デバイスに対する必要性が存在する。
【0005】
超音波撮像システムにおける既存の針描出技法には主に、B steer、SteerXBeam、Expanded SteerXBeam、その他が含まれる。米国特許第3556079号、米国特許第4249539号、米国特許第4431006号、米国特許第4407294号及び米国特許第4428379号の書類は、針に関する超音波トランスジューサについて開示しており;Kurohijiらは「Motion marking in color Doppler ultrasound needle and catheter visualization」(J Ultrasound Med、9:243〜245、1990)と題するドプラ法について教示しており;米国特許第5095910号は「Applying mechanical vibration to the needle combined with Doppler method」と題する針描出方法を示しており;米国特許第4869259号、米国特許第4977897号、EP第1132049号及びその他は音響反射を増強するように針を修正するための技法を記載しており;MKEは針先に取り付ける電磁気デバイスを開発しており;Uhercikらは、「Multi−resolution parallel integral projection for fast localization of a straight electrode in 3D ultrasound images」(ISBI 2008)と題する記事を出版し振幅情報に基づいた画像解析について示しており;EP第0952462号は走査角度の調整について教示しており;また米国特許第6524247号は針描出に関する走査技法を開示している。
【0006】
上述の技法にとって特徴的なことは、人体組織フレーム(本明細書の以下では、組織フレームと呼ぶ)に対して針を検出するための追加のフレーム(本明細書の以下では、針フレームと呼ぶ)を付加することにある。例えば、組織フレームの各5フレームごとの表示に続いて針フレームを1フレーム表示する。前記の技法は超音波画像内に針像を提示することは可能であるが、その針像表示には遅延が存在する。換言すると針を操作した後に医師は、人体内の目下の針位置が超音波画像内に表示されるまである時間間隔だけ待たなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって対処しようとする主要な技術的問題は、リアルタイムかつ均等な方式での針の表示が可能な針描出のための方法及びデバイスを提供することである。
【0008】
前記の問題を解決するために本発明は:
ある時間間隔で交互に1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを収集してフレームシーケンスを形成するステップと;
フレームシーケンスを空間合成するステップと;
空間合成から得られた画像フレームを出力するステップと;
を含む針描出のための方法を提供する。
【0009】
同じ解剖空間に対して複数の正規角度で複数の組織フレームが収集される。
【0010】
各針フレームは、複数の組織フレームを収集するための正規角度のすべてと比べてより大きな角度で収集される。
【0011】
フレームシーケンスを空間合成するステップはさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値を平均化するステップと;
を含む。
【0012】
別法として、フレームシーケンスを空間合成するステップはさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値から最大値を選択するステップと;
を含む。
【0013】
好ましくはフレームシーケンスを空間合成するステップはさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと;
該多数の順次フレームの内部において組織フレームを空間合成し新規組織フレームを形成するステップと;
深度に連れて増加する比に従って針フレームと新規組織フレーム内の同じ位置の値を選択し次いでこれらの値を足し合わせるステップであって、該深度は超音波探触子の走査深度を意味する選択ステップと;
を含む。
【0014】
前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び複数の針フレームを含む。
【0015】
別法としてその多数の順次フレームは、複数の組織フレーム及び1つの最新の針フレームを含む。
【0016】
本発明はさらに:
ある時間間隔で交互に1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを収集してフレームシーケンスを形成するための手段と;
フレームシーケンスを空間合成するための手段と;
空間合成から得られた画像フレームを出力するための手段と;
を備えた針描出のためのデバイスを提供する。
【0017】
本デバイスでは、同じ解剖空間に対して複数の正規角度で複数の組織フレームが収集される。
【0018】
本デバイスでは、各針フレームは、複数の組織フレームを収集するための正規角度のすべてと比べてより大きな角度で収集される。
【0019】
前記空間合成のための手段はさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値を平均化するための手段と;
を備える。
【0020】
別法として、前記空間合成のための手段はさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値から最大値を選択するための手段と;
を備える。
【0021】
好ましくは前記空間合成のための手段はさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と;
該多数の順次フレームの内部の組織フレームを空間合成し新規組織フレームを形成するための手段と;
深度に連れて増加する比に従って針フレームと新規組織フレーム内の同じ位置の値を選択し次いでこれらの値を足し合わせるための手段であって、該深度は超音波探触子の走査深度を意味する手段と;
を備える。
【0022】
前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び複数の針フレームを含む。
【0023】
別法としてその多数の順次フレームは、複数の組織フレーム及び1つの最新の針フレームを含む。
【0024】
従来技術と比較して本針描出のための方法及びデバイスによれば以下の利点が得られる。
【0025】
先ず本発明によれば、1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを反復方式で収集することによってフレームシーケンスを得ており、針フレームと組織フレームの間の均等な間隔が達成されており、これにより針のリアルタイム表示が実現される。
【0026】
第2に本発明によれば、深度に連れて増加する比に従って針フレームと新規組織フレーム内の同じ位置の値が選択されており、これにより組織画像の品質を保証しながらノイズが抑制される。
【0027】
添付の図面を参照しながら以下の説明を読むことによって当業者には本発明がより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来技術の針描出のための方法の一実施形態に従った流れ図である。
【図2】従来技術の一実施形態により得られるフレームシーケンスを表した図である。
【図3】本発明の針描出のための方法の一実施形態に従った流れ図である。
【図4】本発明の一実施形態により得られるフレームシーケンスを表した図である。
【図5】本発明の針描出のための方法の一実施形態により収集される組織フレームの図である。
【図6】本発明の針描出のための方法の一実施形態により収集される針フレームの図である。
【図7】本発明の針描出のための方法の一実施形態により出力される画像フレームの図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
具体的な実施形態により本発明について詳細に説明することにする。しかし、本発明はこれらの具体的な実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0030】
明瞭にするために、先ず図1に示すような従来技術の技術的解決法であって:
1)複数の組織フレームと1つの針フレームをある時間間隔で交互に収集しフレームシーケンスを形成するステップと;
2)フレームシーケンスを空間合成するステップと;
3)空間合成から得られた画像フレームを出力するステップと;
を含む解決法を導入しており、その複数とは一般的には3である(例えば、0度、15度、−15度のそれぞれにおける走査を通じて3つの組織フレームを取得している)。これは単に一例であり、走査は別の任意の角度で実行されることがある。
【0031】
さらに、組織フレームを4フレーム、5フレームまたは別の任意のフレーム数で収集し続いて針フレームを1フレーム収集することも可能であることに留意すべきである。
【0032】
図2に示したようにこの実施形態では、3つの正規角度(0度、10度、−10度)で組織が走査されており、これにより組織フレーム(角度を用いて示す)0、+10、−10、0、+10、−10、・・・0、+10、−10、以下同様(ここで、0は角度0度の走査により得られる組織フレームを意味し、+10はステアリング角10度の走査により得られる組織フレームを意味し、また−10はステアリング角−10度による組織フレームを意味する)が取得される。解剖空間においてその針フレームは、組織フレームに採用されたこれらの角度と異なる角度での走査によって得られる。この実施形態では、針フレームについて+20の角度が採用される。
【0033】
図2のフレームシーケンスは、F’(1)、F’(2)、F’(3)、F’(4)、F’(5)、・・・F’(i)、以下同様を含む。次に、各多数のフレーム(その数は3、4、5、その他とし得る)について空間合成が実行される。その数が3に等しければ、F’(1)、F’(2)及びF’(3)に対して空間合成が実施され、次いでF’(2)、F’(3)及びF’(4)に対して空間合成が実施され、またその後にF’(3)、F’(4)及びF’(5)に対して空間合成が実施され、以下同様となる。したがって空間合成が順番に実行される。その数が4に等しければ、F’(1)、F’(2)、F’(3)及びF’(4)に対して空間合成が実施され、次いでF’(2)、F’(3)、F’(4)及びF’(5)に対して空間合成が実施され、またその後にF’(3)、F’(4)、F’(5)及びF’(6)に対して空間合成が実施され、以下同様となり、これにより空間合成が順番に実行される。空間合成に続いて、医師に対して表示させるために得られた画像フレームが超音波撮像デバイスに出力される。
【0034】
さらに図2から明らかなように、このフレームシーケンスは未ステアリングの組織フレーム、右ステアリングの組織フレーム、左ステアリングの組織フレーム、大角度の針フレーム、その他を順番に含む。フレーム同士の時間間隔は等しい。すなわちフレームは、固定の時間間隔(この実施形態では、kミリ秒など)で収集される。
【0035】
さらに図2に示したように、未ステアリング組織フレームと隣接する左ステアリング組織フレームとの間の時間間隔をmとし、未ステアリング組織フレームと最も近い針フレームとの間の時間間隔をnとし、かつ隣接する2つの未ステアリング組織フレーム同士の間の時間間隔をTとしてみると、m=2k、T=4kかつn=3kとなる。
【0036】
このためステアリング方向を無視すると、そのフレーム速度は1/k(Hz)となる一方、その針フレーム速度は1/n=1/3k(Hz)となり、したがって超音波画像に針表示遅延が生じることになる。
【0037】
図3に示したように本発明の一態様では、針描出のための方法であって:
10)ある時間間隔で交互に1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを収集してフレームシーケンスを形成するステップと;
20)フレームシーケンスを空間合成するステップと;
30)空間合成から得られた画像フレームを出力するステップと;
を含む針描出方法を開示する。
【0038】
本発明の針描出のための方法に従って形成されるフレームシーケンスは、1つの組織フレーム、1つの針フレーム、1つの組織フレーム、1つの針フレーム、以下同様を含むことが了解されよう。ステアリング方向を無視すると、最も近い2つの針フレーム同士の間の時間間隔は、最も近い2つの組織フレーム同士の間の時間間隔に等しく、またしたがって組織フレームに関するフレーム速度は針フレームに関するフレーム速度に等しく、これにより針描出に関して従来技術の方法で見られる針フレーム遅延が排除される。
【0039】
この実施形態では、複数の組織フレームが同じ解剖空間に対して複数の正規角度で収集された後に合成されており、これにより画像ノイズの抑制が可能である。
【0040】
この実施形態では各針フレームは、組織フレームを収集するための正規角度のすべてと比べてより大きな角度で収集されている。別法として、針の高品質像の取得を可能とするように針フレームに関する角度を針の貫通角度と概ね直交させることが好ましい。
【0041】
上述の角度はすべて同じ走査方向に沿った角度を意味している。
【0042】
例えば同じ解剖空間(すなわち、人体内の同じ位置)が同じ走査方向に沿った3つの正規角度(例えば、0度、+10度、−10度)で走査され、組織フレームが取得される。さもなければ、同じ解剖空間は5つの正規角度(例えば、0度、+10度、−10度、+15度、−15度)で走査され、組織フレームが取得される。正規角度の数並びに正規角度の度数は状況に応じて自由に選択可能である。
【0043】
この実施形態ではステップ20)はさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値を平均化するステップと;
を含む。
【0044】
代替的な一実施形態ではステップ20)はさらに、:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値から最大値を選択するステップと;
を含むことがある。
【0045】
ステップ20)の目的は主に、ノイズを低減することである。空間合成に関しては、すでに複数の周知の技法が存在する。
【0046】
得られる画像が過強調となるのを避けるため、深度に沿った段階的な強調(ここで深度は超音波探触子の走査深度を意味する)を採用することがある。ステップ20)はさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択すること;
該多数の順次フレームの内部において組織フレームを空間合成し新規組織フレームを形成すること;
深度に連れて増加する比に従って針フレームと新規組織フレームにおいて同じ位置の値を選択し、次いでこれらの値を足し合わせること;
に従って実現されることもある。
【0047】
先ずある数の順次フレーム内部の組織フレームを空間合成し、新規の組織フレームを形成することが確認されよう。次に1つの針フレーム及びこの組織フレーム内の同じ位置にある画素点の値がある比に従って選択される。例えば1〜2cmの深度では、3:7の比を適用することがある。すなわち、針フレームの同じ位置の画素点の値の30%と新規組織フレームの同じ位置の画素点の値の70%とが選択され、次いで足し合わされる。この比3:7は単に例示であって、別の比が採用されることもある。
【0048】
「深度に連れて増加」とは、深度を3cmまで増加させる場合、針フレームと組織フレーム内の同じ位置の値の間の比を深度が1〜2cmの場合の比と比べてより大きくさせることを意味する。例えば、深度2cmについて3:7の比が採用されている場合、深度が3cmの場合の比は3:7より大きくする(例えば、4:6やその他の比とさせる)ことになる。
【0049】
深度が5cm以上の場合では、針フレームの値だけを採用する一方、組織フレームの値は無視することになる。すなわち得られる強調がより低くなるように、針フレームの対応する画素点の値が100パーセントで取り入れられる。
【0050】
別法としてその多数の順次フレームは、複数の組織フレーム及び複数の針フレームを含む。多数の組織フレームと多数の針フレームを順繰りに空間合成することによって得られる画像フレーム内の針は、多くの場合に十分に明瞭とならない。このため、その画像フレーム内の針が明瞭に識別可能となるように複数の組織フレーム及び1つの最新の針フレームに対して空間合成が実施されることもある。
【0051】
以下では、本発明の針描出のための方法について神経に対する侵襲的処置を例として詳述することにする。
【0052】
図4は、本発明の針描出のための方法の一実施形態により得られるフレームシーケンスを表している。この実施形態では、組織フレームは3つの正規角度(0度、+10度、−10度)における走査によって取得されており、また針フレームは20度のステアリング角度での走査によって取得されている。この実施形態では、2つのフレーム収集同士の時間間隔をKで表すと共に、初期収集時間を0で表している。
【0053】
図4で明瞭に分かるようにフレームシーケンスはF(1)、F(2)、F(3)、F(4)、F(5)、・・・F(i)、以下同様を含んでおり、ここでF(1)は角度0度で時点0において収集した組織フレームを意味しており、F(2)はステアリング角20度で時点kにおいて収集した針フレームであり、F(3)は角度+10度で時点2kにおいて収集した組織フレームであり、F(4)はステアリング角20度で時点3kにおいて収集した針フレームであり、F(5)は角度−10度で時点4kにおいて収集した組織フレームであり、F(6)はステアリング角20度で時点5kにおいて収集した針フレームであり、F(7)は角度0度で時点6kにおいて収集した組織フレームであり、以下同様である。0度における組織フレーム収集から0度における次の組織フレーム収集までの時間間隔のことを周期Tと呼ぶことが可能であり、本実施形態ではこれは6Kに等しい。
【0054】
図5は、第1の時点において0度で取り込んだ収集組織フレームを示しており、また図6は、第2の時点において大きな角度で走査した針フレームである。針の貫通角度が大きいため、組織フレームは針についての情報を全く包含していない。針フレームでは、走査角度が針の貫通角度と概ね直交するため、針フレーム内でかなり良質の針像が見られる。
【0055】
次に、その各々が連続する6フレームを含むことがあるフレームシーケンスに対して順番に空間合成が実行される。例えば、F(1)、F(2)、F(3)、F(4)、F(5)及びF(6)が先ず空間合成され、次いでF(2)、F(3)、F(4)、F(5)、F(6)及びF(7)が空間合成され、以下同様となる。換言すると、各空間合成に関する連続する6フレームのうちに、3つの組織フレームと3つの針フレームとを存在させている。しかしこの3つの針フレームは、同じステアリング角度であるが異なる時点で収集されている。これら3つの針フレームが合成されると、テーリング(tailing)が生じることになる。このため本実施形態では、最初に収集される2つの針フレームを棄却し、最新の針フレームのみを保持することになる。このため、空間合成されるのは4つのフレームである。角度で示した場合、そのシーケンスは0、+10、−10、+20;+10、−10、+20、0;・・・;0、+10、−10、+20;以下同様のように読み取れられる。このシーケンスはまた、F(1)、F(3)、F(5)、F(6);F(3)、F(5)、F(6)、F(7);・・・のように表現することもできる。
【0056】
この実施形態では、平均化を採用している。すなわち、F(1)、F(3)、F(5)、F(6)内の同じ位置の値を平均して画像フレームを取得し次いでこれを出力する、この後にF(3)、F(5)、F(6)、F(7)内の同じ位置の値を平均して別の画像フレームを取得し次いでこれを出力する、以下同様のようにして順番に平均化が実行される。図7は、空間合成後に出力される取り込み画像フレームの図であり、組織内にある針の表示が組織画像を損なうことなく強調されている。
【0057】
以下の表1は、従来技術と本発明のテスト結果を表している。1行目の「データ速度」は超音波システムのフロントエンド走査に関するデータ更新速度であり、2行目は該システムのリアーエンドにおける実際の処理速度を提供している。3行目及び4行目は、同じデータ速度における本発明と従来技術のそれぞれに関するテストデータのリストである。5行目は、本発明と従来技術の針フレームリフレッシュ速度間の比を提供している。本発明による針フレームのリフレッシュ速度が大幅に改善されていることは明らかであろう。データ速度が15フレーム/秒または20フレーム/秒のとき、本発明の針フレームリフレッシュ速度は従来技術の場合と比べて1.86または1.97倍であり、またデータ速度が25、30または36のとき、本発明の針フレームリフレッシュ速度は従来技術の場合と比べて2倍である。
【0058】
【表1】

【0059】
本発明の別の態様では:
ある時間間隔で交互に1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを収集してフレームシーケンスを形成するための手段と;
フレームシーケンスを空間合成するための手段と;
空間合成から得られた画像フレームを出力するための手段と;
を備える超音波撮像デバイス向けの針描出のためのデバイスを提供する。
【0060】
前記デバイスでは同じ解剖空間に対して複数の正規角度で複数の組織フレームが収集される。
【0061】
前記デバイスでは各針フレームは、複数の組織フレームを収集するための正規角度のすべてと比べてより大きな角度で収集される。
【0062】
好ましくはある解決法における空間合成のための手段はさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値を平均化するための手段と;
を備える。
【0063】
好ましくは別の解決法における空間合成のための手段は:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と;
該多数の順次フレームにおいて同じ位置の値から最大値を選択するための手段と;
を備えることがある。
【0064】
好ましくは空間合成のための手段はさらに:
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と;
該多数の順次フレームの内部の組織フレームを空間合成し新規組織フレームを形成するための手段と;
深度に連れて増加する比に従って針フレームと新規組織フレーム内の同じ位置の値を選択し次いでこれらの値を足し合わせるための手段であって該深度は超音波探触子の走査深度を意味する手段と;
を備えることがある。
【0065】
前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び複数の針フレームを含む。
【0066】
別法として、前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び1つの最新の針フレームを含むことがある。
【0067】
本発明の針描出のためのデバイスは本針描出のための方法に対応するため、本明細書の以下では本デバイスに関する詳細部分は提供しないことにする。
【0068】
要約すると本発明は1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを反復方式で収集することによって1つのフレームシーケンスを取得し、これにより針フレームと組織フレームの間の均等な間隔を達成すると共に、針のリアルタイム表示を実現している。
【0069】
さらに本発明は、針フレームと新規組織フレーム内で深度に連れて増加する比に従って同じ位置の値を選択しており、これにより組織画像の品質を保証しながらノイズが抑制される。
【0070】
上では本発明について図面と関連した具体的な実施形態に関して説明してきたが、本発明の精神及び趣旨を逸脱することなくそのすべてが添付の特許請求の範囲に規定した精神及び趣旨の域内にあるような様々な変更、修正及び代替が行われ得ることは当業者であれば理解されよう。
【符号の説明】
【0071】
k フレーム同士の固定時間間隔
m 未ステアリング組織フレームと隣接する左ステアリング組織フレームの間の時間間隔
n 未ステアリング組織フレームと最も近い針フレームの間の時間間隔
T 隣接する2つの未ステアリング組織フレーム同士の間の時間間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波撮像デバイス向けの針描出のための方法であって、
ある時間間隔で交互に1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを収集してフレームシーケンスを形成するステップと、
前記フレームシーケンスを空間合成するステップと、
空間合成から得られた画像フレームを出力するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数の組織フレームは同じ解剖空間に対して複数の正規角度で収集される、請求項1に記載の針描出方法。
【請求項3】
各針フレームは、複数の組織フレームを収集するための正規角度のすべてと比べてより大きな角度で収集される、請求項2に記載の針描出方法。
【請求項4】
フレームシーケンスを空間合成する前記ステップはさらに、
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと、
前記多数の順次フレームにおいて同じ位置の値を平均化するステップと、
を含む、請求項3に記載の針描出方法。
【請求項5】
フレームシーケンスを空間合成する前記ステップはさらに、
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと、
前記多数の順次フレームにおいて同じ位置の値から最大値を選択するステップと、
を含む、請求項3に記載の針描出方法。
【請求項6】
フレームシーケンスを空間合成する前記ステップはさらに、
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するステップと、
前記多数の順次フレームの内部において組織フレームを空間合成し新規組織フレームを形成するステップと、
深度に連れて増加する比に従って針フレームと新規組織フレーム内の同じ位置の値を選択し次いでこれらの値を足し合わせるステップであって、該深度は超音波探触子の走査深度を意味するステップと、
を含む、請求項3に記載の針描出方法。
【請求項7】
前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び複数の針フレームを含む、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の針描出方法。
【請求項8】
前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び1つの最新の針フレームを含む、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の針描出方法。
【請求項9】
超音波撮像向けの針描出のためのデバイスであって、
ある時間間隔で交互に1つの組織フレームに続いて1つの針フレームを収集してフレームシーケンスを形成するための手段と、
前記フレームシーケンスを空間合成するための手段と、
空間合成から得られた画像フレームを出力するための手段と、
を備える針描出デバイス。
【請求項10】
同じ解剖空間に対して複数の正規角度で複数の組織フレームが収集される、請求項9に記載の針描出デバイス。
【請求項11】
各針フレームは、複数の組織フレームを収集するための正規角度のすべてと比べてより大きな角度で収集される、請求項10に記載の針描出デバイス。
【請求項12】
前記空間合成のための手段はさらに、
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と、
前記多数の順次フレームにおいて同じ位置の値を平均化するための手段と、
を備える、請求項11に記載の針描出デバイス。
【請求項13】
前記空間合成のための手段はさらに、
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と、
前記多数の順次フレームにおいて同じ位置の値から最大値を選択するための手段と、
を備える、請求項11に記載の針描出デバイス。
【請求項14】
前記空間合成のための手段はさらに、
フレームシーケンス内部において多数の順次フレームを順番に選択するための手段と、
前記多数の順次フレームの内部の組織フレームを空間合成し新規組織フレームを形成するための手段と、
深度に連れて増加する比に従って針フレームと新規組織フレーム内の同じ位置の値を選択し次いでこれらの値を足し合わせるための手段であって、該深度は超音波探触子の走査深度を意味する手段と、
を備える、請求項11に記載の針描出デバイス。
【請求項15】
前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び複数の針フレームを含む、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の針描出デバイス。
【請求項16】
前記多数の順次フレームは複数の組織フレーム及び1つの最新の針フレームを含む、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の針描出デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−213629(P2012−213629A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−78491(P2012−78491)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】