説明

針無注射器

【課題】ガス圧力により薬液吸入・噴射が行なえ、小衝撃音の針無注射器を提供する。
【解決手段】第2グリップ4内にガス連通孔4bを有する隔壁4cを形成し、後端にチャンバー蓋5を螺着してその内部空間をガスチャンバー6、前記隔壁4cの前部空間をシリンダ4gとし、このシリンダ4g内にピストン9と連結して内周面を摺動移動する受圧ピストン8を配設する。前記チャンバー蓋5にガス連通孔4bを開閉させる連通孔開閉ロッド15と連結する注射ボタン14を固着する。前記シリンダ4gに流路4dとガスチャンバー6に流路4fを形成し、この流路4d、4fを開閉または連結する流路切替器12を設ける。薬液バイアルを第1グリップ3のノズル2に装着し、第1グリップ3を前進させて薬液を吸入し、注射ボタン14を押してガスチャンバー6にあらかじめ貯留した高圧ガスをシリンダ4g内に移動させ受圧ピストン8を加圧して前進させ薬液を噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズルの噴射孔から吸入した一定量の薬液、または、あらかじめノズル内に充填されている薬液をジェット噴射させて注射を行なう針無注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
針無注射器はその先端部の噴射孔から一定量吸入したノズル内の薬液、またはあらかじめノズル内に充填されている薬液をピストンで押し出し、噴射孔からジェット噴射することにより、薬液を患者(人間以外の動物も含む)に注入する注射器である。すなわち、針無注射器による注射は注射針を使用しないため、針刺し事故の防止、先端恐怖症の患者に使用が容易等の利点があり、例えば糖尿病患者自身が日常的にインシュリンを自己注射する場合にも用いられている。また、遺伝子薬の導入等にも使用され、針有り注射器と比べて薬効が高い等の発表もされている。
【0003】
従来の針無注射器においては、一般に図7に示すような構造のノズル31内のピストン32を圧縮バネ33を動力源として高速前進させるタイプのものが多用されている(特許文献1参照。)。この針無注射器は噴射孔31aを有するノズル31が組み込まれた第1(前側)グリップ34と、ピストン32を連結したピストンロッド35をラッチまたは解除するラッチ機構36とラッチを解除して注射を行なう注射ボタン37を組み込んだ第2(後側)グリップ38をネジ部39で螺合させて構成されている。前記ピストンロッド35の前方部にはネジ部40が設けられ圧縮力を調節して薬液の噴射力を調節するためのナット41が螺合され、さらにその先端にはフランジリング42が一体的に固定され、前記ナット41と第2(後側)グリップ38の後方内壁間にピストンロッド35を通して圧縮バネ33が取り付けられている。
【0004】
上記針無注射器の第2(後側)グリップ38を回転して前進させると、ラッチ機構36はピストンロッド35をラッチして圧縮バネ33を圧縮し、この圧縮力によりピストンロッド35に前進方向の運動力が付勢される。この状態で薬液バイアル(図示省略)にノズル31を接触させて第2(後側)グリップ38を後退させて薬液を吸入する。そして注射部位にノズル31を押し当てたままで注射ボタン37を押してピストンロッド35のラッチを解除すると、圧縮バネ33は伸張してピストン32が前進し薬液が注射される。
【0005】
また、針無注射器として、圧縮バネを圧縮してピストンを駆動する代わりに、高圧ガスを利用してピストンを押圧して駆動する針無圧力注射器も多用されている。従来の高圧ガス式の針無圧力注射器では、通常炭酸ガスなどを高圧下で小形ボンベなどに封入して第2グリップに内蔵し、そこから薬液を加圧するために充分なガス圧を取り出す方法を用いている(特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−79725号公報
【特許文献2】特開2005−261855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の針無注射器は上記のように構成されているが、圧縮バネを使用する場合は注射を行なう都度圧縮バネを圧縮する操作を必要とし面倒である。また、圧縮バネを圧縮しておくラッチ機構が複雑であり、製作の手間やコストがかかるとともに、圧縮バネでも噴射力の調整はできるがその調整範囲が狭いという問題があった。さらに圧縮バネの力を解放する際、ラッチ機構から大きな衝撃音が発生し使用者や患者を驚かせるという問題がある。また、上記のような小形ボンベを使用した針無圧力注射器では、注射の都度、薬液を加圧するために所定量のガスを使い切ることになり、高圧ガス源の確保または補充に労を要するという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡単な構成で操作が容易で衝撃音が小さく、ガス供給が容易な針無注射器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の針無注射器は、薬液をガス圧により付勢されたピストンで押圧して噴射孔からジェット噴射させて皮下注射を行なう針無注射器において、
前記薬液を噴射するノズルを有する第1グリップと、前記第1グリップに螺合し、前後に連通する連通孔を有する隔壁が形成され前記ノズル側内方にシリンダを有するとともに、隔壁を挟んで他方に蓋部材を螺着してガスチャンバーが形成された第2グリップと、前記連通孔を開閉する連通孔開閉手段と、前記ガスチャンバーに高圧ガスを供給する高圧ガス供給手段と、前記ピストンに接続され、前記連通孔から供給される高圧ガスを受けて前記シリンダ内を摺動する受圧ピストンと、前記シリンダ内において、前記受圧ピストンと前記第1グリップで形成される空間と連通する第1流路と、前記ガスチャンバーに連通する第2流路と、前記第1流路と前記第2流路の連通、ならびに前記第1流路の大気開放と前記第2流路の閉鎖、および前記第1流路の閉鎖と前記第2流路の大気開放の3つの状態を切り替え可能とする流路切換手段とを備えたものである。
【0008】
さらに、前記連通孔開閉手段は、前記蓋部材外面上に設けられる支点形成部材と支点に係着されるレバーからなる注射ボタンと、蓋部材に形成される貫通孔を貫通し、前端に前記連通孔を開閉する開閉部位を形成し、後端を前記レバーに係着する連通孔開閉ロッドと、前記連通孔開閉ロッドに巻設され該連通開閉ロッドに前進方向の付勢力を与えるスプリングと、前記貫通孔と連通孔開閉ロッド間をシールするために貫通孔に嵌合されるシール部材と、前記連通孔と開閉部位間をシールするために開閉部位に貼着されるシール部材から構成されている。
【0009】
前記流路切換手段は、前記第1流路と第2流路に連結され、第1流路に連結する第1外周溝と第2流路に連結する第2外周溝が形成された連結部材と、前記第1外周溝と第2外周溝を連結する流路が形成され、前記連結部材に嵌合してスライドさせることにより、前記第1流路と前記第2流路の連通、ならびに前記第1流路の大気開放と前記第2流路の閉鎖、および前記第1流路の閉鎖と前記第2流路の大気開放の3つの状態を切り替える流量切換スイッチから構成されている。
【0010】
前記高圧ガス供給手段は、高圧ガス源からの高圧ガスの圧力を注射部位に対応してあらかじめ設定された圧力に制御する手動圧力制御弁と、制御された高圧ガスの供給をオンオフするストップ弁と、前記蓋部材に設けられる継ぎ手を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本針無注射器は、高圧ガスを薬液噴射・吸入の動力として用いているので、従来のバネ圧縮方式の針無注射器のようなバネを圧縮しピストンロッドをラッチする複雑な機構や操作を必要とせず、バネ圧縮方式と比べて部品点数が少なく済むので安価で製作でき、圧縮バネの保持機構がないので発射時の音が静かになる。高圧ガスの供給を注射ボタンにより開閉するだけで注射ができる。
また、外部から供給される高圧ガスを動力源として用いるので、ガス圧を変えるだけで噴射力を変えることができ、噴射力の調整範囲が広く取れ、広い用途に用いることができる。
さらに、本針無注射器は、薬液吸入も高圧ガスを動力として行なえるので、注射の都度前側、後側グリップを操作して圧縮バネを圧縮し薬液を吸入する操作が省略され、同じ薬液量を繰り返し注射する場合に労力が省け非常に便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の針無注射器の実施例を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例による針無注射器1の縦断断面図とその動力源の構成図である。
本針無注射器1は薬液を吸入し、この薬液を噴射する噴射孔2aと吸入した薬液を貯留しておく中空孔2bを形成したノズル2を先端部に螺着するとともに軸方向の中間付近の外周面におねじ3aを形成し、後寄りの外周面と内周面に高圧ガスシール用のパッキン3A、3Bを嵌合する溝3b、3cを形成した第1グリップ3と、該第1グリップ3と螺合するためのめねじ4aを先端内周面に形成するとともに後寄りにガス連通孔4bを貫通させた隔壁4cとその前後に外部と通じる流路4d、4fを形成し、隔壁4cの前部をシリンダ4gとして使用し、後部に蓋部材として用いるチャンバー蓋5をネジ部25で螺着して高圧ガスを貯留するガスチャンバー6を配設した第2グリップ4と、前記シリンダ4g内を前記ガスチャンバー6から供給される高圧ガスをシールしながら前後に移動するパッキン7を嵌着した受圧ピストン8と薬液を押圧するピストン9をピストンロッド10で連結してなる薬液押圧具11と、前記流路4d、4fに連結してその流路の開閉と連結を行なう流路切替器12から構成されている。
【0013】
前記流路切替器12は、軸方向の流路と外周溝を連結した流路12a、12bを形成した連結用部材12Aと、前記流路4dと流路12aを連結する継ぎ手12Bと、前記流路4fと流路12bを連結する継ぎ手12Cと、前記連結用部材12A上を第2グリップ4上のラッチ4Aを押し込みながらスライドさせて中心、前後位置に移動することにより前記流路12aと流路12bの連結、流路12aまたは12bの開閉を行なう流路切替スイッチ12Dから構成されている。
【0014】
前記流路切替スイッチ12Dが中間位置にあるときは、シリンダ4gとガスチャンバー6は流路4d、12a、流路切替スイッチ12D、流路12b、4fを介して連通し、前方位置にあるときは、ガスチャンバー6は流路4f、12bを介して大気に開放され、流路12aは流路切替スイッチ12Dにより閉鎖される。また、流路切替スイッチ12Dが後方位置にあるときは、シリンダ4gは流路4d、12aを介して大気に開放され、流路12bは流路切替スイッチ12Dにより閉鎖される。
【0015】
前記チャンバー蓋5の後部には、手動圧力調節弁19と出口圧力計20を備えたガスボンベ21をストップ弁22に接続するとともに、このストップ弁22に接続され高圧ガスを送出する高圧ガスチューブ23を接続する継ぎ手13と、薬液噴射を開始するための注射ボタン14とこの注射ボタン14の回転動作の支点18aを形成する支点形成部材18が固定されている。
【0016】
また、チャンバー蓋5はその中心軸上には前記ガス連通孔4bを開閉するための連通孔開閉ロッド15を貫通させ、その外部に突出した部分を前記注射ボタン14に係着させ、先端部分に段付円形部15aを形成し、その前面に円板形のガスケット16を固着させている。そして前記連通孔開閉ロッド15とチャンバー蓋5の貫通孔との隙間から高圧ガスが外部に漏れるのを防止するためにチャンバー蓋5の貫通部内壁にロッドシール用ガスケット17を嵌合させている。また前記連通孔開閉ロッド15には、先端側段付円形部15aとチャンバー蓋5の内壁間に圧縮バネ15Aが介設されている。前記注射ボタン14が押されていない状態では前記圧縮バネ15Aの前方への付勢力によって前記連通孔開閉ロッド15を前方に押し込みガス連通孔4bを閉じており、注射ボタン14の下部を押すと支点18aを介して連通孔開閉ロッド15に後方向きの力が加わり、連通孔開閉ロッド15は後方に移動し、ガス連通孔4bが開かれる。
【0017】
上記針無注射器1により薬液の吸入、噴射を行なう操作手順とこの操作に伴う各部の動作を図2〜図6の針無注射器1の動作説明図を参照しながら以下に説明する。なお各図において図1と同一の符号で示す部品は、図1と同一の機能を有するものであり詳細な説明は省略する。図2に示すストップ弁22を閉じ、出口圧力計20が所定の注射圧力になるように手動圧力調節弁19を調節する。次に針無注射器1の流路切替スイッチ12Dを後側に移動し、ガスチャンバー6に連結される流路12bを閉じる。この針無注射器1のノズル2の先端に図3に示すような薬液バイアル24を装着した後、第2グリップ4を把持して固定した状態で第1グリップ3を目盛り3dの所定の薬液量の位置まで回転前進させる。この時、受圧ピストン8はパッキン7のシリンダ4g内壁への密着と、前進に対する受圧ピストン8後部での負圧発生による後方への付勢力により受圧ピストン8は移動せず、図3に示すようにノズル2の中空孔2bに空間ができ薬液バイアル24内の薬液が貯留される。そして薬液バイアル24をノズル2から取り外し、ストップ弁22を開きガスチャンバー6内に高圧ガスを供給して注射準備が完了する。
【0018】
上記針無注射器1の先端を注射部位に押し当てて注射ボタン14を押すと、図4に示すように、連通孔開閉ロッド15が後退してガス連通孔4bが開き、ガスチャンバー6内の高圧ガスがガス連通孔4bを通って受圧ピストン8を押圧し、シリンダ4g内の空気が流路4dを介して、大気中に排出されるため、ピストン9およびピストンロッド10は受圧ピストン8と連動してスムーズに高速で前進し、ノズル2内の薬液を押圧し、薬液は噴射孔2aより高速でジェット噴射され注射部位に注入される。噴射が終了し注射ボタン14を離しても、ガスチャンバー6内は高圧のままなので、注射ボタン14は押された状態を維持する。
【0019】
上記針無注射器1で同じ量の薬液を吸入して繰り返し注射を行なう場合、最初の注射を行なった後、図5に示すように流路切替スイッチ12Dを中間位置に移動させる。これにより流路切替器12内の流路12a、12bが連通し、高圧ガスが第2グリップ4の流路4dを介して受圧ピストン8の前部にも充填される。この状態でストップ弁22を閉じ、図6に示すように薬液バイアル24をノズル2に装着し、流路切替スイッチ12Dを前側に移動すると、受圧ピストン8の後部の高圧ガスは流路4fから外部に放出される。これにより受圧ピストン8は前部の高圧ガスで押圧されて後方へ移動し、ノズル2の中空孔2bに空間ができ薬液バイアル24内の薬液がそこに貯留される。ガスチャンバー6内は大気圧になり、注射ボタン14、連通孔開閉ロッド15、先端側段付円形部15a、ガスケット16は圧縮バネ15Aの前方への付勢力により、ガス連通孔4bを閉じた状態に戻る。その後、流路切替スイッチ12Dを後方位置へセットすれば、図3の状態となるので、続けて同量の注射を行なうことができる。
【0020】
また前回注射時と異なる薬液量を注射する場合は、前述の図3の状態にした後、前回より多い量の注射を行なう場合は、薬液バイアル24を装着したままで、第2グリップ4を把持して固定した状態で第1グリップ3を目盛り3dの所定の薬液量の位置まで回転前進させる。前回より少ない量の注射を行なう場合は、薬液バイアル24を取り外した後、第1グリップ3を回転後進させて必要な薬液目盛り位置に合わせる。ノズル2の噴射孔2aから余分な薬液があふれてくるが、脱脂綿などで拭き取ればよい。これらの薬液量の調整作業はストップ弁22が開閉どちらの状態で行っても良い。そして前述の図4、図5、図6に基づく手順で薬液の吸入、噴射を実行する。
【0021】
本針無注射器は、実施例に限定されるものではなく、例えばガスボンベ21からの高圧ガスの種類は窒素ガスが望ましいが他の種類のガスでも使用することができる。またガスボンベ21の代わりにエアーコンプレッサによる圧縮空気を動力源として使用することができる。またノズル2は第1グリップ3に着脱可能に螺合されているが、樹脂成型等により第1グリップ3と一体化したものを使用してもよい。この場合ノズル交換は第1グリップ3ごと使い捨てとして交換されるのでより衛生的な針無注射器として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
高圧ガスを動力源として、ノズルの噴射孔から一定量の薬液を吸入し、噴射させて注射を行なう針無注射器に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例による針無注射器の縦断断面図とその動力源の構成図である。
【図2】使用前の針無注射器の動作説明図である。
【図3】薬液吸入時の針無注射器の動作説明図である。
【図4】薬液噴射時の針無注射器の動作説明図である。
【図5】薬液噴射後に高圧ガスによる薬液吸入準備を行なう針無注射器の動作説明図である。
【図6】高圧ガスによる薬液吸入時の針無注射器の動作説明図である。
【図7】従来の針無注射器の構成例を示す縦断断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 針無注射器
2 ノズル
2a 噴射孔
2b 中空孔
3 第1グリップ
3a おねじ
3b 溝
3c 溝
3d 目盛り
3A パッキン
3B パッキン
4 第2グリップ
4A ラッチ
4a めねじ
4b ガス連通孔
4c 隔壁
4d 流路
4f 流路
4g シリンダ
5 チャンバー蓋
6 ガスチャンバー
7 パッキン
8 受圧ピストン
9 ピストン
10 ピストンロッド
11 薬液押圧具
12 流路切替器
12A 連結用部材
12B 継ぎ手
12C 継ぎ手
12D 流路切替スイッチ
12a 流路
12b 流路
13 継ぎ手
14 注射ボタン
15 連通孔開閉ロッド
15A 圧縮バネ
15a 段付円形部
16 ガスケット
17 ロッドシール用ガスケット
18 支点形成部材
18a 支点
19 手動圧力調節弁
20 出口圧力計
21 ガスボンベ
22 ストップ弁
23 高圧ガスチューブ
24 薬液バイアル
25 ネジ部
31 ノズル
31a 噴射孔
32 ピストン
33 圧縮バネ
34 第1(前側)グリップ
35 ピストンロッド
36 ラッチ機構
37 注射ボタン
38 第2(後側)グリップ
39 ネジ部
40 ネジ部
41 ナット
42 フランジリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液をガス圧により付勢されたピストンで押圧して噴射孔からジェット噴射させて皮下注射を行なう針無注射器において、前記薬液を噴射するノズルを有する第1グリップと、前記第1グリップに螺合し、前後に連通する連通孔を有する隔壁が形成され前記ノズル側内方にシリンダを有するとともに、隔壁を挟んで他方に蓋部材を螺着してガスチャンバーが形成された第2グリップと、前記連通孔を開閉する連通孔開閉手段と、前記ガスチャンバーに高圧ガスを供給する高圧ガス供給手段と、前記ピストンに接続され、前記連通孔から供給される高圧ガスを受けて前記シリンダ内を摺動する受圧ピストンと、前記シリンダ内において、前記受圧ピストンと前記第1グリップで形成される空間と連通する第1流路と、前記ガスチャンバーに連通する第2流路と、前記第1流路と前記第2流路の連通、ならびに前記第1流路の大気開放と前記第2流路の閉鎖、及び前記第1流路の閉鎖と前記第2流路の大気開放の3つの状態を切り替え可能とする流路切換手段とを備えたことを特徴とする針無注射器。
【請求項2】
前記連通孔開閉手段は、前記蓋部材外面上に設けられる支点形成部材と支点に係着されるレバーからなる注射ボタンと、蓋部材に形成される貫通孔を貫通し、前端に前記連通孔を開閉する開閉部位を形成し、後端を前記レバーに係着する連通孔開閉ロッドと、前記連通孔開閉ロッドに巻設され該連通開閉ロッドに前進方向の付勢力を与えるスプリングと、前記貫通孔と連通孔開閉ロッド間をシールするために貫通孔に嵌合されるシール部材と、前記連通孔と開閉部位間をシールするために開閉部位に貼着されるシール部材から構成されていることを特徴とする請求項1記載の針無注射器。
【請求項3】
前記流路切換手段は、前記第1流路と第2流路に連結され、第1流路に連結する第1外周溝と第2流路に連結する第2外周溝が形成された連結部材と、前記第1外周溝と第2外周溝を連結する流路が形成され、前記連結部材に嵌合してスライドさせることにより、前記第1流路と前記第2流路の連通、ならびに前記第1流路の大気開放と前記第2流路の閉鎖、及び前記第1流路の閉鎖と前記第2流路の大気開放の3つの状態を切り替える流量切換スイッチから構成されていることを特徴とする請求項1記載の針無注射器。
【請求項4】
前記高圧ガス供給手段は、高圧ガス源からの高圧ガスの圧力を注射部位に対応してあらかじめ設定された圧力に制御する手動圧力制御弁と、制御された高圧ガスの供給をオンオフするストップ弁と、前記蓋部材に設けられる継ぎ手を備えていることを特徴とする請求項1記載の針無注射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284177(P2008−284177A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132298(P2007−132298)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】