説明

鉄キレート剤と抗新生物剤を含む組合せ剤およびそれらの使用

本発明は、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸と、少なくとも1種の抗新生物剤を含む組合せ剤、および増殖性疾患の処置用医薬の製造のための当該組合せ剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類、とりわけヒトにおける新生物細胞および/または組織の成長および/または増殖に関連するおよび/または難治性血管形成によって引き金となる疾患を、
(a)鉄キレート剤;および
(b)1種以上の薬学的活性剤
を含む医薬の組合せによって予防または処置する方法に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明は、
(a)鉄キレート剤;および
(b)1種以上の薬学的活性剤
を含む医薬の組合せ剤に関する。
【0003】
1つの態様において、本発明は、増殖性疾患の処置用医薬の製造のための、
(a)鉄キレート剤;および
(b)1種以上の薬学的活性剤
を含む医薬の組合せ剤の使用に関する。
【0004】
本発明はさらに、
(a)鉄キレート剤;
(b)薬学的活性剤;および
(c)薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物に関する。
【0005】
本発明はさらに、
(a)鉄キレート剤の医薬製剤;および
(b)同時、併用、個別または逐次的使用のための薬学的活性剤の医薬製剤
を含む商品パッケージまたは製品に関する。
【0006】
組合せパートナー(a)および(b)を、1個の組合せ単位投与形態または2個の別個の単位投与形態で、同時に、連続的に、または個別に投与することができる。単位投与形態は、固定された組合せ剤であってもよい。
【0007】
増殖性疾患の処置のための化学療法は既知である。
【0008】
驚くべきことに、とりわけ増殖性疾患、とりわけ液性腫瘍疾患、例えば多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群または固形腫瘍疾患、例えば肝臓がん、例えば抗新生物剤として知られている他の化学療法に難治性の例えば肝細胞癌腫の処置における、抗新生物剤と鉄キレート剤、例えば置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸の組合せ剤の抗新生物効果が、抗新生物剤または鉄キレート剤、例えば置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール単独、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸単独のいずれかを用いた治療効果よりも大きいことを見出した。
【0009】
組合せ剤
成分(a)および(b)についての言及は、いずれかの活性物質の薬学的に許容される塩も含むことを意味する。成分(a)および/または(b)によって含まれる活性物質が例えば少なくとも1個の塩基性中心を有するとき、それらは酸付加塩を形成し得る。対応する酸付加塩を、所望により、さらなる塩基性中心を有するように形成させることもできる。酸性基、例えばCOOHを有する活性物質は、塩基と塩を形成することができる。成分(a)および/または(b)に含まれる活性物質、またはその薬学的に許容される塩は、水和物の形態で用いることもでき、あるいは結晶化に用いた他の溶媒を含み得る。置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールは最も好ましい組合せパートナー(a)である。
【0010】
本発明は:
(a)鉄キレート剤、例えば式II
【化1】

〔式中、
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ−低級アルコキシ、カルボキシル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイルまたはニトリルであり;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、置換もしくは非置換低級アルカノイルまたはアロイル、または生理的条件下で除去することができる基であり;
はRN−C(O)−低級アルキル、置換もしくは非置換アリール;N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはピロリジノで置換されたアリール−低級アルキル;または置換もしくは非置換ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルである。ただし、RおよびRが水素であり、そしてRおよびRが水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシまたはニトリルであるとき、Rはフェニルまたはハロゲン、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシもしくは低級アルコキシカルボニルで置換されたフェニルではなく;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ−低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕
の化合物およびその塩;と
(b)1種以上の抗新生物剤
を含む薬剤の組合せ剤に関する。
【0011】
ハロゲンは例えば、塩素、臭素またはフッ素であるが、ヨウ素であってもよい。
【0012】
接頭語「低級」は、7個以下、とりわけ4個以下の炭素原子を有する基を意味する。
【0013】
アルキルは、直鎖または分枝鎖である。それ自体、例えば低級アルキル、または他の基、例えば低級アルコキシ、低級アルキルアミン、低級アルカノイル、低級アルキルアミノカルボニルの構成要素としてのアルキルは、非置換であるか、または例えばハロゲン、ヒドロキシル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、シクロ低級アルキル、アザアリシクリルまたはフェニルで置換されていてもよく、好ましくは非置換であるか、またはヒドロキシルで置換されている。
【0014】
低級アルキルは、例えばn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチル、好ましくはメチル、エチルおよびn−プロピルである。ハロ−低級アルキルは、ハロゲン、好ましくは塩素またはフッ素、とりわけ3個までの塩素またはフッ素原子で置換された低級アルキルである。
【0015】
低級アルコキシは例えば、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−アミルオキシ、イソアミルオキシ、好ましくはメトキシおよびエトキシである。ハロ−低級アルコキシは、ハロゲン、好ましくは塩素またはフッ素、とりわけ3個までの塩素またはフッ素原子で置換された低級アルコキシである。
【0016】
カルバモイルは基HN−C(O)−であり、N−低級アルキルカルバモイルは低級アルキル−HN−C(O)−であり、そしてN,N−ジ−低級アルキルカルバモイルはジ−低級アルキル−N−C(O)−である。
【0017】
低級アルカノイルはHC(O)−であり、低級アルキル−C(O)−は例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイルまたはピバロイルである。
【0018】
低級アルコキシカルボニルは、基低級アルキル−O−C(O)−を意味し、例えばn−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−アミルオキシカルボニル、イソアミルオキシカルボニル、好ましくはメトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルである。
【0019】
アリールそれ自体、例えばアリール、または他の基、例えばアリール−低級アルキルまたはアロイルの構成要素としてのアリールは、例えばフェニルまたはナフチルであり、これは置換または非置換である。アリールは好ましくは、非置換であるか、または1個以上、とりわけ1または2個の置換基、例えば低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、アミノカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、ジ−低級アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールもしくはシアノで置換されたフェニルである。一次的に、アリールは非置換フェニルもしくはナフチル、または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたフェニルである。
【0020】
アロイルは基アリール−C(O)−であり、例えばベンゾイル、トルオイル、ナフトイルまたはp−メトキシベンゾイルである。
【0021】
アリール−低級アルキルは、例えばベンジル、p−クロロベンジル、o−フルオロベンジル、フェニルエチル、p−トリルメチル、p−ジメチルアミノベンジル、p−ジエチルアミノベンジル、p−シアノベンジル、p−ピロリジノベンジルである。
【0022】
ヘテロシクロアルキルは、3〜8個、とりわけ5〜7個の環原子を有しておりそのうちの少なくとも1個がヘテロ原子(酸素、窒素および硫黄が好ましい)を含むシクロアルキル基を意味する。アザアリシクリルは、3〜8個、とりわけ5〜7個の環原子を有しておりそのうちの少なくとも1個の環原子が窒素原子である飽和シクロアルキル基を意味する。アザアリシクリルはまた、さらなる環ヘテロ原子、例えば酸素、窒素または硫黄を含んでいてもよく;例えばピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルまたはピロリジニルである。アザアリシクリル基は非置換であるか、またはハロゲンもしくは低級アルキルで置換されていてもよい。窒素原子を介して結合しているアザアリシクリル基が好ましく、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、ピロリジノ等を意味する。
【0023】
ヘテロアリールそれ自体、例えばヘテロアリール、または他の置換基、例えばヘテロアリール−低級アルキルの構成要素としてのヘテロアリールは、3〜7個、とりわけ5〜7個の環原子を有しており、そのうちの少なくとも1個の環原子がヘテロ原子である芳香族性基、例えばピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラニル、チオフェニル、ピリジル、ピラジニル、オキサジニル、チアジニル、ピラニルまたはピリミジニルである。ヘテロアリールは、置換または非置換であり得る。非置換であるか、または1個以上、とりわけ1または2個の置換基、例えば低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルボキシルもしくは低級アルコキシカルボニルで置換されたヘテロアリールが好ましい。
【0024】
ヘテロアリール−低級アルキルは、アルキル鎖が2個以上の炭素原子を含むとき、好ましくは末端C原子において少なくとも1個の水素原子がヘテロアリール基で置換されている低級アルキル基を意味する。
【0025】
N−低級アルキルアミノは、例えばn−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、i−プロピルアミノ、i−ブチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、好ましくはメチルアミノおよびエチルアミノである。N,N−ジ−低級アルキルアミノ、アルキル置換基は同一または異なっていてよい。したがって、N,N−ジ−低級アルキルアミノは例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−メチルエチルアミノ、N−メチル−N−モルホリノエチルアミノ、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ、N−メチル−N−ベンジルアミノである。
【0026】
式Iの化合物の塩は、とりわけ薬学的に許容される塩、とりわけ塩基、例えば適当なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩、薬学的に許容される遷移金属塩、例えば亜鉛塩、または有機アミンとの塩、例えば環状アミン塩、例えばモノ−、ジ−もしくはトリ−低級アルキルアミン塩、例えばヒドロキシ−低級アルキルアミン塩、例えばモノ−、ジ−もしくはトリヒドロキシ−低級アルキルアミン塩、ヒドロキシ−低級アルキル−低級アルキルアミン塩またはポリヒドロキシ−低級アルキルアミン塩である。環状アミンは、例えばモルホリン、チオモルホリン、ピペリジンまたはピロリジンである。適当なモノ−低級アルキルアミンは、例えば実施例、エチル−およびtert−ブチルアミンであり;ジ−低級アルキルアミンは例えば、ジエチル−およびジイソプロピルアミンであり;そしてトリ−低級アルキルアミンは例えば、トリメチル−およびトリエチルアミンである。適当なヒドロキシ−低級アルキルアミンは、例えばモノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミンであり;ヒドロキシ−低級アルキル−低級アルキルアミンは例えば、N,N−ジメチルアミノ−およびN,N−ジエチルアミノエタノールであり;適当なポリヒドロキシ−低級アルキルアミンは例えば、グルコサミンである。他の場合において、例えば強無機酸、例えば鉱酸、例えば硫酸、リン酸またはハロゲン化水素酸と、強有機カルボン酸、例えば酢酸、例えば飽和もしくは不飽和ジカルボン酸、例えばマロン酸、マレイン酸もしくはフマル酸、または例えばヒドロキシカルボン酸、例えば酒石酸もしくはクエン酸と、あるいはスルホン酸、例えば低級アルカン−または置換もしくは非置換ベンゼンスルホン酸、例えばメタン−もしくはp−トルエンスルホン酸との酸付加塩を形成することもできる。酸性基、例えばカルボキシルおよび塩基性基、例えばアミノを有する化合物は、分子内塩の形態、すなわち両性イオン形態で存在していてもよく、あるいは分子の一部が分子内塩として、そして他の部分が通常の塩として存在していてもよい。
【0027】
およびRが各々水素であり、RおよびRがヒドロキシルであり、そしてRがカルボキシルで置換されたフェニルである式Iの化合物は、EXJADE(登録商標)として知られている4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸である。
【0028】
式Iの化合物および4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸およびその薬学的に許容される塩は、1997年12月31日公開のWO97/49395および米国特許第6,465,504号に記載されている。
【0029】
遊離形または塩形の4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸、およびその結晶形態は、国際公開公報WO97/49395に記載されている(出典明示により本明細書の一部とする)。
【0030】
「抗新生物剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、アロマターゼインヒビター;
i.抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤またはゴナドレリンアゴニスト;
ii.トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤;
iii.微小管活性化剤、アルキル化剤、抗新生物性代謝拮抗剤またはプラチナ化合物;
iv.タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性またはタンパク質もしくは脂質リン酸化活性を標的とする/減少させる化合物、さらなる抗血管形成化合物または細胞分化プロセスを誘導する化合物;
v.モノクローナル抗体;
vi.シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ビスホスホネート、ヘパラナーゼ阻害剤、生物学的応答調整剤;
vii.Ras発がん遺伝子アイソフォーム阻害剤;
viii.テロメラーゼ阻害剤;
ix.プロテアーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤、またはプロテアソーム阻害剤;
x.血液学的悪性腫瘍の処置に用いる薬剤、またはFlt−3の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
xi.HSP90阻害剤;
xii.抗増殖性抗体;
xiii.ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤;
xiv.セリン/スレオニンmTORキナーゼの活性/機能を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
xv.ソマトスタチン受容体アンタゴニスト;
xvi.抗白血病化合物;
xvii.腫瘍細胞損傷アプローチ;
xviii.EDG結合剤;
xix.リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;
xx.S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤;
xxi.VEGFまたはVEGFRのモノクローナル抗体;
xxii.光線力学療法;
xxiii.血管形成阻害ステロイド;
xxiv.コルチコステロイドを含むインプラント;
xxv.AT1受容体アンタゴニスト;および
xxvi.ACE阻害剤
が含まれる。
【0031】
「アロマターゼインヒビター」なる用語は、本明細書において使用するとき、エストロゲン生産、すなわち基質のアンドロステンジオンおよびテストステロンのそれぞれエストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物を意味する。当該用語には、これに限定されないが、ステロイド、とりわけアタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタン、とりわけ非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール、および極めてとりわけレトロゾールが含まれる。エキセメスタンは例えば、AROMASIN(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。フォルメスタンは例えば、LENTARON(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。ファドロゾールは例えば、AFEMA(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。アナストロゾールは例えば、ARIMIDEX(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。レトロゾールは例えば、FEMARA(商標)またはFEMAR(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。アミノグルテチミドは例えば、ORIMETEN(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0032】
「抗エストロゲン剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、エストロゲン受容体レベルでエストロゲンの効果に拮抗する化合物に関する。当該用語には、これらに限定されないが、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよび塩酸ラロキシフェンが含まれる。タモキシフェンは例えば、NOLVADEX(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。塩酸ラロキシフェンは例えば、EVISTA(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。フルベストラントはUS 4,659,516に記載の通りに製剤することができるか、またはFASLODEX(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。抗エストロゲン剤である抗新生物剤を含む本発明の組合せ剤は、ホルモン受容体陽性乳がんの処置にとりわけ有用である。
【0033】
「抗アンドロゲン剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、アンドロゲンホルモンの生物学的効果を阻害することができる物質に関し、そしてこれに限定されないが、ビカルタミド(CASODEX(商標)、これは例えばUS 4,636,505に記載の通りに製剤することができる)を含む。
【0034】
「ゴナドレリンアゴニスト」なる用語には、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、アバレリクス、ゴセレリン、酢酸ゴセレリンが含まれる。ゴセレリンはUS 4,100,274に記載されており、例えばZOLADEX(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
アバレリクスは例えば、US 5,843,901に記載の通りに製剤することができる。
【0035】
「トポイソメラーゼI阻害剤」なる用語には、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシン、例えば9−ニトロカンプトテシンおよび巨大分子カンプトテシン結合PNU−166148、すなわちWO99/17804の化合物A1が含まれる。イリノテカンは例えば、CAMPTOSAR(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。トポテカンは例えば、HYCAMTIN(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0036】
「トポイソメラーゼII阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、リポソーム製剤を含むアントラサイクリンドキソルビシン、例えばCAELYX(商標)、リポソーム製剤を含むダウノルビシン、例えばDAUNOSOME(商標)、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ピラルビシン、およびネモルビシン、ならびにアントラキノンミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシンエトポシドおよびテニポシドを含む。エトポシドは例えば、ETOPOPHOS(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。テニポシドは例えば、VM 26−BRISTOL(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。ドキソルビシンは例えば、ADRIBLASTIN(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。エピルビシンは例えば、FARMORUBICIN(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。イダルビシンは例えば、ZAVEDOS(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。ミトキサントロンは例えば、NOVANTRON(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0037】
「微小管活性化剤」なる用語は、微小管安定化剤、微小管脱安定化剤および微小管重合阻害剤、例えばこれらに限定されないが、タキサン、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、とりわけ硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、とりわけ硫酸ビンクリスチン、およびビノレルビンおよびディスコデルモリド、コルヒチンおよびエポチロンおよびその誘導体、例えばエポチロンBまたはその誘導体を含む。パクリタキセルは例えば、TAXOL(商標)の商標名で、ドセタキセルは例えば、TAXOTERE(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。硫酸ビンブラスチンは例えば、VINBLASTIN R.P.(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。硫酸ビンクリスチンは例えば、FARMISTIN(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。また、ジェネリック形態のパクリタキセルおよび様々な投与形態のパクリタキセルが含まれる。ジェネリック形態のパクリタキセルには、これに限定されないが、塩酸ベタキソロールが含まれる。様々な投与形態のパクリタキセルには、これらに限定されないが、ABRAXANE(商標)、ONXOL(商標)、CYTOTAX(商標)として市販されているアルブミンナノ粒子パクリタキセルが含まれる。ディスコデルモリドは例えば、Harbor Branch Oceanographic Instituteの米国特許US 4,939,168およびUS 5,618,487に記載の通りに、または例えばGB 2280677、WO98/24429および米国特許US 5,789,605およびUS 6,031,133に記載の化学合成によって得ることができる(これらを、出典明示により本明細書の一部とする)。また、米国特許第6,194,181号、WO98/10121、WO98/25929、WO98/08849、WO99/43653、WO98/22461およびWO00/31247に記載のエポチロン誘導体も含まれる。エポチロンAおよび/またはBがとりわけ好ましい。
【0038】
「アルキル化剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファランまたはニトロソウレア(BCNUまたはGliadel)、またはテモゾラミド(TEMODAR)を含む。シクロホスファミドは例えば、CYCLOSTINとして;そしてイフォスファミドは例えば、HOLOXANの商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0039】
「抗新生物性代謝拮抗剤」なる用語は、これらに限定されないが、5−フルオロウラシル(5−FU);カペシタビン;ゲムシタビン;DNA脱メチル化剤、例えば5−アザシチジンおよびデシタビン;メトトレキセート;エダトレキセート;および葉酸アンタゴニスト、例えばこれらに限定されないが、ペメトレキセドおよびロイコボリン;およびチミジレートシンターゼ阻害剤、例えばラルチトレキセド(TOMUDEX)が含まれる。カペシタビンは例えば、XELODAとして;そしてゲムシタビンは例えば、GEMZARの商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0040】
「プラチナ化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、カルボプラチン、シスプラチン、ストラタプラチン、オキサリプラチンまたはプラチナ薬剤、例えばZD0473を意味する。好ましくは、プラチナ化合物はシスプラチンである。
【0041】
「カルボプラチン」なる用語は、本明細書において使用するとき、抗新生物剤シス−ジアミン(1,1−シクロブタンジカルボキシレート)プラチナム(II)を意味し、これは例えばUS 4,140,707またはR.C. Harrison et al.によるInorg. Chim. Acta 46, L15 (1980)に記載されている。この薬剤は例えば、CARBOPLAT(商標)またはPARAPLATIN(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0042】
「オキサリプラチン」なる用語は、本明細書において使用するとき、オキサレートプラチナムとしても知られている抗新生物剤を意味し、これは例えば、US 5,716,988に記載されている。この薬剤は例えば、上記米国特許に記載の形態で、またはELOXANTINE(商標)もしくは1−OHP(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0043】
「シスプラチン」なる用語は、本明細書において使用するとき、シス−ジアミンジクロロプラチナムとしても知られている抗新生物剤を意味し、この化合物およびその抗新生物剤としての使用は、例えばDE 2,318,020に記載されている。
【0044】
「タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性;またはタンパク質もしくは脂質リン酸化活性を標的とする/減少させる化合物;またはさらなる抗血管形成化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリンおよび/またはスレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤、例えば以下のものを含む:
i)血管内皮増殖因子受容体(VEGF)の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばVEGFの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけVEGF受容体を阻害する化合物、例えばこれらに限定されないが、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体、例えば7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体、{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]−((R)−1−フェニル−エチル)−アミン;BAY 43−9006;WO00/09495に記載のイソルコリン化合物、例えば(4−tert−ブチル−フェニル)−94−ピリジン−4−イルメチル−イソキノリン−1−イル)−アミン;および
【0045】
ii)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばPDGFRの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけPDGF受容体を阻害する化合物、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブ、SU101、SU6668およびGFB−111;
iii)繊維芽増殖因子受容体(FGFR)の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
iv)インシュリン様増殖因子受容体1(IGF−1R)の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばIGF−IRの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけIGF−1R受容体を阻害する化合物。化合物には、これらに限定されないが、WO02/092599に記載の化合物およびその誘導体、4−アミノ−5−フェニル−7−シクロブチル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体が含まれる;
【0046】
v)Trk受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
vi)Axl受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
vii)c−Met受容体の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
viii)Ret受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
ix)Kit/SCFR受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;
x)C−kit受容体チロシンキナーゼ(PDGFRファミリーの一部)の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばc−Kit受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけc−Kit受容体を阻害する化合物、例えばイマチニブ;
【0047】
xi)c−Ablファミリーおよびそれらの遺伝子融合生成物、例えばBCR−Ablキナーゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばc−AbIファミリーメンバーおよびそれらの遺伝子融合生成物の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えば式(N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンのイマチニブ、PD180970、AG957、NSC680410またはParkeDavisのPD173955;ニロチニブまたは4−メチル−N−[3−(4−メチルイミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]ベンズアミド、ダサチニブ(BMS354825)またはN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニル]アミノ]−5−チアゾールカルボキサミド1水和物、下記式
【化2】

のボスチニブ、および下記式
【化3】

のINNO−406;
【0048】
xii)プロテインキナーゼC(PKC)のメンバーおよびセリン/スレオニンキナーゼのRafファミリー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDKおよびRas/MAPKファミリーメンバー、またはPI(3)キナーゼファミリー、またはPI(3)−キナーゼ−関連キナーゼファミリー、および/またはサイクリン−依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を阻害する、減少させるまたは阻害する化合物、およびとりわけ米国特許第5,093,330号に記載のスタウロスポリン誘導体、例えばミドスタウリン;さらなる化合物の例には、例えばUCN−01;サフィンゴル;BAY43−9006;Bryostatin 1;Perifosine;Ilmofosine;RO 318220およびRO 320432;GO 6976;Isis 3521;LY333531/LY379196;イソキノリン化合物、例えばWO00/09495に記載のもの;FTIs;PD184352またはQAN697、P13K阻害剤が含まれる;
【0049】
xiii)プロテインチロシンキナーゼ活性を阻害する、減少させるまたは阻害する化合物;チルホスチンまたはピリミジルアミノベンズアミドおよびその誘導体、例えば4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−N−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド。チルホスチンは好ましくは、低分子量(M<1500)化合物またはその薬学的に許容される塩、とりわけベンジリデンマロニトリルクラスから選択される化合物、または2置換キノリンクラスの化合物、よりとりわけチルホスチンA23/RG−50810、AG 99、チルホスチンAG 213、チルホスチンAG 1748、チルホスチンAG 490、チルホスチンB44、チルホスチンB44 (+) エナンチオマー、チルホスチンAG 555、AG 494、チルホスチンAG 556;AG957およびアダホスチン(4−{[(2,5−ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}−安息香酸アダマンチルエステル、NSC 680410、アダホスチン)から成る群から選択される化合物;
【0050】
xiv)受容体チロシンキナーゼの上皮増殖因子ファミリー(ホモ−またはヘテロダイマーとしてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば上皮増殖因子受容体ファミリーの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけ例えばEGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4を阻害するか、またはEGFもしくはEGF関連リガンドと結合する化合物、タンパク質または抗体、およびとりわけ、一般的かつ具体的に下記開示の化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体:WO97/02266、例えば実施例39の化合物、EP0564409、WO99/03854、EP0520722、EP0566226、EP0787722、EP0837063、US5747498、WO98/10767、WO97/30034、WO97/49688、WO97/38983、およびとりわけ、WO96/30347、例えばCP358774と知られている化合物、WO96/33980、例えばZD1839と知られている化合物;およびWO95/03283、例えばZM105180と知られている化合物、例えばトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、セツキシマブ、イレッサ、OSI−774、CI1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3、7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン誘導体、例えばWO03/013541に開示のもの、エルロチニブ、ゲフィチニブ。エルロチニブは例えばTARCEVAとして、そしてゲフィチニブはIRESSAとして、市販されている形態で投与することができる。上皮増殖因子受容体に対するヒトモノクローナル抗体には、ABX−EGFRが含まれる;および
【0051】
xv)セリン/スレオニンmTORキナーゼの活性/機能を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、とりわけmTORキナーゼファミリーのメンバーを標的とする/阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えばRAD、RAD001、CCI−779、ABT578、SAR543、ラパマイシンおよびその誘導体/アナログ、AP23573およびAriadのAP23841、エベロリムス(CERTICAN)およびシロリムスである。治験中の新規増殖シグナル阻害剤であるCERTICAN(エベロリムス、RAD)は、T細胞および血管平滑筋細胞の増殖を予防する。
【0052】
抗体について言及するとき、これは無傷のモノクローナル抗体、ナノボディ、ポリクローナル抗体、少なくとも2個の無傷抗体から形成される複数特異的抗体、および所望の生物学的活性を示す程度の長さの抗体フラグメントを含む。
【0053】
「タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、PTENまたはCDC25の阻害剤、例えばオカダ酸またはその誘導体を含む。
【0054】
「さらなる抗血管形成化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、サリドマイド、例えばTHALOMID(商標)、レナリドマイド、例えばRevlimid(登録商標)、TNP−470およびSU5416を含む。
【0055】
「細胞分化プロセスを誘導する化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、レチノイン酸、トコフェロールまたはトコトリエノールを含む。
【0056】
「モノクローナル抗体」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、およびトシツモマブおよび葉素I131を含む。ベバシズマブは、例えばAVASTINとして;セツキシマブは例えばERBITUXとして;トラスツズマブは例えばHERCEPTINとして;リツキシマブは例えばMABTHERAとして;イブリツモマブ・チウキセタンは例えばZEVULINとして;そしてトシツモマブおよび葉素I131は例えばBEXXARとして、例えば市販されている形態で、投与することができる。
【0057】
「シクロオキシゲナーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、例えばCox−2阻害剤、5−アルキル置換2−アリールアミノフェニル酢酸および誘導体、例えばセレコキシブ(CELEBREX)、ロフェコキシブ(VIOXX)、エトリコキシブ、バルデコキシブまたは5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸、例えば5−メチル−2−(2’−クロロ−6’−フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブを含む。
【0058】
「ビスホスホネート」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、エトリドン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸、およびゾレドロン酸を含む。エトリドン酸は例えば、DIDRONEL(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。クロドロン酸は例えば、BONEFOS(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。チルドロン酸は例えば、SKELID(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。パミドロン酸は例えば、AREDIA(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。アレンドロン酸は例えば、FOSAMAX(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。イバンドロン酸は例えば、BONDRANAT(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。リセドロン酸は例えば、ACTONEL(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。ゾレドロン酸は例えば、ZOMETA(商標)の商標名で、例えば市販されている形態で投与することができる。
【0059】
「ヘパラナーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、硫酸ヘパリン分解を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を意味する。当該用語には、これに限定されないが、PI88が含まれる。
【0060】
「生物学的応答調整剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、リンホカインまたはインターフェロン、例えばインターフェロンγを含む。
【0061】
「Ras発がん遺伝子アイソフォームの阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、H−Ras、K−RasまたはN−Rasが含まれ、本明細書において使用するとき、Rasの発がん遺伝子活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI)、例えばL−744832、DK8G557またはR115777(ZARNESTRA)を意味する。
【0062】
「テロメラーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、テロメラーゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を含む。テロメラーゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、とりわけテロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えばテロメスタチンである。
【0063】
「マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤」または(MMP阻害剤)なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、コラーゲンペプチド模倣物、および非ペプチド模倣阻害剤;テトラサイクリン誘導体、例えばヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤、バチマスタト;およびその経口的に生物利用可能なアナログ、マリマスタト(BB−2516)、プリノマスタト(AG3340)、メタスタト(NSC 683551)、BMS−279251、BAY12−9566、TAA221、MMI270BまたはAAJ996。MMP阻害剤の標的には、これに限定されないが、ポリペプチドデホルミラーゼが含まれる。
【0064】
「メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を含む。メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、例えばベンガミドまたはその誘導体である。
【0065】
「プロテアソーム阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、プロテオソームの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を含む。プロテオソームの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物には、これらに限定されないが、PS−341、MLN341、ボルテゾミブまたはVelcadeが含まれる。
【0066】
「血液学的悪性腫瘍の処置に用いる薬剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、FMS−様チロシンキナーゼ阻害剤、例えばFMS−様チロシンキナーゼ受容体(Flt−3R)の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;インターフェロン、1−b−D−アラビノフランシルシトシン(ara−c)およびビスルファン;およびALK阻害剤、例えば未分化リンパ腫キナーゼを標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を含む。
【0067】
「Flt−3の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、Flt−3を阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えばN−ベンゾイル−スタウロスポリン、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518を含む。
【0068】
「HSP90阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;HSP90クライアントタンパク質をユビキチンプロテアーゼ経路を介して分解する、標的とする、減少するまたは阻害する化合物。HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とする、減少するまたは阻害する化合物は、とりわけHSP90のATPアーゼ活性を阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えば17−アリルアミノ−ゲルダナマイシン、17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;他のゲルダナマイシン関連化合物;ラジシコールおよびHDAC阻害剤である。
【0069】
「抗増殖性抗体」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、トラスツズマブ−DM1、エルロチニブ(TARCEVA)ベバシズマブ(AVASTIN)、リツキシマブ(RITUXAN)、PRO64553(抗−CD40)および2C4抗体を含む。抗体は、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2個の無傷抗体から形成される複数特異的抗体、および所望の生物学的活性を示す程度の長さの抗体フラグメントを含む。
【0070】
「ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、抗増殖性活性を有する化合物に関する。これには、これらに限定されないがWO02/22577に記載の化合物、とりわけN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、およびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、およびそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。さらにとりわけ、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA);MS−275、FK228(正式にはFR901228)、[4−(2−アミノ−フェニルカルバモイル)−ベンジル]−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステルおよびその誘導体;ブチル酸、ピロキサミド、トリコスタチンA、オキサムフラチン、アピシジン、デプシペプチド;デプデシン;トラポキシンおよびWO02/22577に記載の化合物、とりわけN−ヒドロキシ−3−[4−({(2−ヒドロキシ−エチル)−[2−(1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ}−メチル−フェニル]−アクリルアミドまたはその乳酸塩が含まれる。
【0071】
「セリン/スレオニンmTORキナーゼの活性/機能を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、mTORキナーゼファミリーのメンバーを標的とする/阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えばRAD、RAD001、CCI−779、ABT578、SAR543、ラパマイシンおよびその誘導体/アナログ、AriadのAP23573およびAP23841、エベロリムス(CERTICAN)およびシロリムス(RAPAMUNE)、CCI−779およびABT578を含む。治験中の新規増殖シグナル阻害剤であるCERTICAN(エベロリムス、RAD)は、T細胞および血管平滑筋細胞の増殖を予防する。
【0072】
「ソマトスタチン受容体アンタゴニスト」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、ソマトスタチン受容体を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えばオクトレオチド、バプレオチド、ランレオチド、およびSOM230を含む。
【0073】
「抗白血病化合物」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、Ara−C、デオキシシチジンの2’−α−ヒドロキシリボソーム(アラビノシド)誘導体であるピリミジンアナログを含む。ヒポキサンチンのプリンアナログ、6−メルカプトプリン(6−MP)および硫酸フルダラビンも含む。
【0074】
「腫瘍細胞損傷アプローチ」なる用語は、イオン化放射のようなアプローチを意味する。「イオン化放射」なる用語は、本明細書において、X−線およびガンマ線のような電磁波;またはアルファ、ベータおよびガンマ粒子のような粒子として発生するイオン化放射を意味する。イオン化放射は、これに限定されないが、放射線療法において提供され、そして当業者に既知である。Hellman, Cancer, 4th Edition, Vol. 1, Devita et al., Eds., pp. 248-275 (1993)参照。
【0075】
「EDG結合剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、リンパ球再循環を調節する免疫抑制剤のクラス、例えばFTY720を含む。
【0076】
「リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、ピリミジンまたはプリンヌクレオシドアナログ、例えばこれらに限定されないが、フルダラビンおよび/またはara−C;6−チオグアニン;5−FU;クラドリビン;6−メルカプトプリン、とりわけALLに対するara−Cとの組合せ;および/またはペントスタチンを含む。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は、とりわけヒドロキシウレアまたは2−ヒドロキシ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体、例えばPL−1、PL−2、PL−3、PL−4、PL−5、PL−6、PL−7またはPL8である。Nandy et al., Acta Oncologica, Vol. 33, No. 8, pp. 953-961 (1994)参照。
【0077】
「S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、US5,461,076に記載の化合物を含む。
【0078】
「VEGFまたはVEGFRのモノクローナル抗体」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、WO98/35958に記載の化合物、例えば1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンまたはその薬学的に許容される塩、例えばコハク酸塩、またはWO00/09495、WO00/27820、WO00/59509、WO98/11223、WO00/27819およびEP0769947に記載の化合物;例えばM. Prewett et al の Cancer Research 59 (1999) 5209-5218、F. Yuan et al の Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 93, pp. 14765-14770, Dec. 1996、Z. Zhu et al の Cancer Res. 58,1998, 3209-3214、および J. Mordenti et al の Toxicologic Pathology, Vol. 27, no. 1, pp 14-21,1999に記載のもの;WO00/37502およびWO94/10202に記載のもの;M. S. O’Reilly et al の Cell 79, 1994, 315-328に記載のアンギオスタチン;M. S. O’Reilly et al の Cell 88, 1997, 277-285に記載のエンドスタチン;アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;または抗VEGF抗体;または抗VEGF受容体抗体、例えばrhuMabおよびRHUFab;VEGFアプタマー、例えばMacugon;FLT−4阻害剤;FLT−3阻害剤;VEGFR−2 IgG1抗体;Angiozyme(RPI4610);およびAvastanを含む。
【0079】
「光線力学療法」なる用語は、本明細書において使用するとき、既知のある化学物質を感光剤として使用して、がんを処置または予防する治療を意味する。光線力学療法の例には、これに限定されないが、例えばVISUDYNEおよびポルフィマーナトリウムのような薬剤での処置が含まれる。
【0080】
「血管形成阻害ステロイド」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、血管形成を阻止または阻害する薬剤、例えばアネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11−αエピヒドロコチゾール、コルテキソロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロンおよびデキサメタゾンを含む。
【0081】
「コルチコステロイドを含むインプラント」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、例えばフルオシノロンおよびデキサメタゾンを含む。
【0082】
「AT1受容体アンタゴニスト」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、DIOVANのような薬剤が含まれる。
【0083】
「ACE阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、これらに限定されないが、CIBACEN、ベナゼプリル、エナゼプリル(LOTENSIN)、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、クイナプリル、ラミプリル、ペリンドプリル、およびトランドラプリルを含む。
【0084】
他の薬学的に活性な薬剤には、これらに限定されないが、植物アルカロイド、ホルモン剤、およびアンタゴニスト、生物学的応答調節剤、好ましくは、リンホカインまたはインターフェロン、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;または様々な薬剤または他のもしくは未知の作用機構を有する薬剤が含まれる。
【0085】
特許出願または科学文献の、とりわけそれぞれの請求項の化合物および実施例の最終生成物に関する言及が存在する各場合において、最終生成物、医薬製剤および請求項の主題を、参照により本明細書の一部とする。同様に、それらに記載されている対応する立体異性体、ならびに対応する結晶形、例えば溶媒和物および多形も含まれる。本明細書に記載の組合せにおいて有効成分として使用している化合物を、それぞれ文献に記載のとおりに製造および投与することができる。
【0086】
コード番号、一般名または商品名で特定されている活性剤の構造は、標準的概説書“The Merck Index”の現行版またはデータベース、例えばPatents International、例えばIMS World Publicationsから入手することができる。それらの対応する内容を、参照により本明細書の一部とする。
【0087】
1つの態様において、本発明は、
(a)式II
〔式中、
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシまたはハロ−低級アルコキシであり;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、または生理的条件下で除去することができる基であり;
はRN−C(O)−低級アルキル、置換アリール;N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはピロリジノで置換されたアリール−低級アルキル;または置換もしくは非置換ヘテロアラルキルである。ただし、RおよびRが水素であり、そしてRおよびRが水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキルまたは低級アルコキシであるとき、Rはフェニルまたはハロゲン、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシもしくは低級アルコキシカルボニルで置換されたフェニルではなく;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ−低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕
の鉄キレート剤およびその塩;と
(b)1種以上の抗新生物剤
を含む薬剤の組合せ剤に関する。
【0088】
1つの態様において、本発明は
(a)鉄キレート剤、例えば式II
【化4】

〔式中、
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ−低級アルコキシ、カルボキシル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイルまたはニトリルであり;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、置換もしくは非置換低級アルカノイルまたはアロイル、または生理的条件下で除去することができる基であり;
はRN−C(O)−低級アルキル、置換もしくは非置換アリール;N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはピロリジノで置換されたアリール−低級アルキル;または置換もしくは非置換ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルである。ただし、RおよびRが水素であり、そしてRおよびRが水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシまたはニトリルであるとき、Rはフェニルまたはハロゲン、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシもしくは低級アルコキシカルボニルで置換されたフェニルではなく;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ−低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕
の鉄キレート剤およびその塩;と
(b)アロマターゼインヒビター;抗エストロゲン剤;抗アンドロゲン剤;ゴナドレリンアゴニスト;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化剤;アルキル化剤;抗新生物性代謝拮抗剤;プラチナ化合物;タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性;またはタンパク質もしくは脂質リン酸化活性を標的とする/減少させる化合物、抗血管形成化合物;細胞分化プロセスを誘導する化合物;モノクローナル抗体;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;ヘパラナーゼ阻害剤;生物学的応答調整剤;Ras発がん遺伝子アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;Flt−3の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する薬剤;HSP90阻害剤;抗増殖性抗体;HDAC阻害剤;セリン/スレオニンmTORキナーゼの活性/機能を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;ソマトスタチン受容体アンタゴニスト;抗白血病化合物;腫瘍細胞損傷アプローチ;EDG結合剤;リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤;VEGFまたはVEGFRのモノクローナル抗体;光線力学療法;血管形成阻害ステロイド;コルチコステロイドを含むインプラント;AT1受容体アンタゴニスト;およびACE阻害剤から成る群から選択される1種以上の薬学的活性剤
の組合せ剤に関する。
【0089】
本発明は、本発明は、増殖性疾患または難治性血管形成によって引き金となる哺乳類、とりわけヒトにおける疾患を処置するための方法であって、
当該患者を薬学的に有効な量の
(a)鉄キレート剤;および
(b)1種以上の薬学的活性剤
の組合せ剤で同時または逐次的に処置する方法に関する。
【0090】
他の局面において、本発明は
(a)鉄キレート剤;および
(b)薬学的活性剤
の組合せ剤を含む医薬組成物に関する。
【0091】
さらなる局面において、本発明は
(a)鉄キレート剤;および
(b)1種以上の薬学的活性剤を、薬学的に許容される担体と共に含む薬剤を提供する。
【0092】
好ましい態様において、本発明は
(a)式II
【化5】

〔式中、
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ−低級アルコキシ、カルボキシル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイルまたはニトリルであり;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、置換もしくは非置換低級アルカノイルまたはアロイル、または生理的条件下で除去することができる基であり;
はRN−C(O)−低級アルキル、置換もしくは非置換アリール;N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはピロリジノで置換されたアリール−低級アルキル;または置換もしくは非置換ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルである。ただし、RおよびRが水素であり、そしてRおよびRが水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシまたはニトリルであるとき、Rはフェニルまたはハロゲン、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシもしくは低級アルコキシカルボニルで置換されたフェニルではなく;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ−低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕
の化合物およびその塩;と
(b)アロマターゼインヒビター;抗エストロゲン剤;抗アンドロゲン剤;ゴナドレリンアゴニスト;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化剤;アルキル化剤;抗新生物性代謝拮抗剤;プラチナ化合物;タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性;またはタンパク質もしくは脂質リン酸化活性を標的とする/減少させる化合物、抗血管形成化合物;細胞分化プロセスを誘導する化合物;モノクローナル抗体;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;ヘパラナーゼ阻害剤;生物学的応答調整剤;Ras発がん遺伝子アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;Flt−3の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する薬剤;HSP90阻害剤;抗増殖性抗体;HDAC阻害剤;セリン/スレオニンmTORキナーゼの活性/機能を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;ソマトスタチン受容体アンタゴニスト;抗白血病化合物;腫瘍細胞損傷アプローチ;EDG結合剤;リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤;VEGFまたはVEGFRのモノクローナル抗体;光線力学療法;血管形成阻害ステロイド;コルチコステロイドを含むインプラント;AT1受容体アンタゴニスト;およびACE阻害剤から成る群から選択される1種以上の薬学的活性剤
を含む薬剤を提供する。
【0093】
他の好ましい態様において、本発明は
(a)式II
【化6】

〔式中、
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ−低級アルコキシ、カルボキシル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイルまたはニトリルであり;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、置換もしくは非置換低級アルカノイルまたはアロイル、または生理的条件下で除去することができる基であり;
はRN−C(O)−低級アルキル、置換もしくは非置換アリール;N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはピロリジノで置換されたアリール−低級アルキル;または置換もしくは非置換ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルである。ただし、RおよびRが水素であり、そしてRおよびRが水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシまたはニトリルであるとき、Rはフェニルまたはハロゲン、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシもしくは低級アルコキシカルボニルで置換されたフェニルではなく;
およびRは互いに同時にまたは独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ−低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕
の化合物およびその塩;と
(b)トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化剤;アルキル化剤;抗新生物性代謝拮抗剤;プラチナ化合物;タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性;またはタンパク質もしくは脂質リン酸化活性を標的とする/減少させる化合物、および抗血管形成化合物から成る群から選択される1種以上の薬学的活性剤
を含む薬剤を提供する。
【0094】
成分(a)および(b)の任意の組合せ剤、これらの2種の成分を投与することを含む温血動物の処置方法、これらの2種の成分を含む同時、個別または逐次的使用のための医薬組成物、増殖性疾患の進行の遅延もしくは処置のための、またはこれらの目的の薬剤を製造するための組合せ剤の使用、または成分(a)および(b)のかかる組合せ剤を含む市販製品、上記または上記定義の全ての態様を、以後本発明の組合せ剤と称する(したがってこの用語は、これらの態様の各々を意味し、適当であるとき置換することができる)。
【0095】
同時投与は、例えば2種以上の有効成分を含む1個の固定された組合せ剤の形態で、または独立して製剤された2種以上の有効成分を同時的に投与することで、行うことができる。逐次的使用(投与)は、好ましくは1個(またはそれ以上)の組合せ剤の成分をある時点で投与し、他の成分を別の時点で投与すること、すなわち時間を違えた方法で、好ましくは組合せ剤が1個の化合物を独立して投与するよりもより効果を示す(とりわけ相乗効果を示す)ような投与を意味する。個別使用(投与)は、好ましくは、互いに異なる時点で独立して組合せ剤の成分を投与すること、好ましくは、オーバーラップ方法において(同時で)成分(a)と(b)を両化合物の測定可能な血中レベルのオーバーラップが存在しないことを意味する。
【0096】
2種以上の組合せ剤の逐次、個別および同時投与、好ましくは組合せ成分薬剤が組合せ成分薬剤をそれらの治療効果に対して相互効果を示さない時間間隔で独立して用いたときに見出される効果を超える共同的治療効果を示す(とりわけ相乗効果が好ましい)ような投与も可能である。
【0097】
「進行の遅延」なる用語は、本明細書において使用するとき、処置される原発疾患または再発疾患の前段階または初期段階にある患者に組合せ剤を投与であって、患者が例えば対応する疾患の前形態であると診断されるか、または例えば医療処置中の状態または対応する疾患が発症する可能性のある事象を有する状態に患者があることを意味する。
【0098】
「共同的に治療上活性」または「共同的な治療効果」は、化合物を個別に(時間を違えて、とりわけ順序特異的な方法で)、ある時間間隔で投与して、それらが好ましくは処置する温血動物、とりわけヒトにおいてなおも(好ましくは相乗的)相互作用(共同的な治療効果)を示すことを意味する。これがその場合であるかは、とりわけ、血中レベルを追跡し、両方の化合物が処置するヒトの血中に少なくともある時間間隔の間存在することを示すことによって決定することができる。
【0099】
「治療上有効」は、好ましくは治療的、またはより広い意味において増殖性疾患の進行に対して予防的効果である量を意味する。
【0100】
「商品パッケージ」または「製品」なる用語は、本明細書において使用するとき、とりわけ上記定義の成分(a)および(b)を独立して、または異なる量の成分(a)および(b)を含む異なる固定された組合せ剤の使用によって、すなわち同時または異なる時点で投与することができるという意味における「パーツのキット」と定義される。さらに、これらの用語は有効成分として成分(a)と(b)を、増殖性疾患の進行の遅延または処置におけるそれらの同時、逐次(異なる時間で、時間特異的な順序で、好ましい)、または(やや好ましくない)個別使用のための指示書と共に含んで成る商品パッケージを含む。パーツのキットのパーツを、例えば同時にまたは時間を違えて、すなわち異なる時点で、そして等しいまたは異なる時間間隔で任意のパーツのキットのパーツを投与することができる。極めて好ましくは、時間間隔は、パーツの組合せ使用において処置される疾患に対する効果が組合せパートナー(a)および(b)のいずれかのみの使用によって得られる効果よりも大きいように選択される(標準的な方法によって決定することができる)。組合せ製剤において投与される組合せパートナー(b)に対する組合せパートナー(a)の総重量比は、処置する患者亜集団のニーズまたは患者の具体的な疾患、年齢、性別体重等のためであり得る1人の患者の異なるニーズに従うために、変化し得る。好ましくは、少なくとも1つの有利な効果、例えば組合せパートナー(a)および(b)の効果の相互上昇、とりわけ相加効果以上が存在し、したがって、組合せ剤なし個々の薬剤のみでの処置の場合に耐用であるよりも、それぞれの組合せ薬剤の用量を低減することができ、さらなる有利な効果、例えばより少ない副作用または1種または組合せパートナー(成分)(a)および(b)の両方の非効果的投与量での組合せ治療効果、および極めて好ましくは組合せパートナー(a)および(b)の強い相乗効果を生み出す。
【0101】
成分(a)および(b)の組合せ剤、および商品パッケージの使用の場合において、同時、逐次および個別使用のあらゆる組合せが可能であり、成分(a)と(b)をある時点で同時に、その後1つの成分のみを低い宿主毒性で経時的に、例えば3−4週間以上の1日用量で投与し、後の時点で続けて他の成分または両方の成分の組合せ剤を更に後の時点で(最適な抗腫瘍効果のための続く薬剤組合せ処置コースにおいて)投与すること等を意味する。
【0102】
本発明の組合せ剤は、他の処置、例えば外科的介入、温熱療法、および/または放射線治療と組み合わせて適用することもできる。
【0103】
本発明の医薬組成物を常套の方法で製造することができ、それらはヒトを含む哺乳類への経腸、例えば経口または直腸、および非経腸投与に適しており、治療上有効量のVEGF阻害剤と、少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を単独で、または1種以上の薬学的に許容される担体、とりわけ経腸または非経腸適用に適したものとの組合せで含んでいる。
【0104】
医薬組成物は約0.00002〜約100%、とりわけ例えば輸液希釈液(即時使用可)の場合、0.0001〜0.02%、または例えば、注射または輸液、とりわけ非経腸製剤濃度の場合、とりわけ約0.1%〜約95%、好ましくは約1%〜約90%、より好ましくは約20%〜約60%含む(各々重量%)。本発明の医薬組成物を、例えば単位投与形態、例えばアンプル、バイアル、糖衣錠、錠剤、輸液バッグまたはカプセル剤のような形態であり得る。
【0105】
本発明の製剤において用いる各組合せパートナーの有効投与量は、使用する具体的な化合物または医薬組成物、投与形態、処置する状態、処置する状態の重症度に依存して変化し得る。通常の知識を有する医師、臨床医または獣医は状態の予防、処置または進行の阻止のために必要な有効成分の各々の有効量を容易に決定することができる。
【0106】
「組合せ製剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、とりわけ上記定義の組合せパートナー(a)と(b)を独立してまたは異なる量の組合せパートナー(a)および(b)を含む異なる固定された組合せ剤の使用によって、すなわち同時または異なる時点で投与することができるという意味での「パーツのキット」を意味する。パーツのキットのパーツを、例えば同時にまたは時間を違えて、すなわち異なる時点で、そして等しいまたは異なる時間間隔で任意のパーツのキットのパーツを投与することができる。本発明はさらに、経口投与に適した形態の置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩を、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩を、固形腫瘍疾患の化学療法を受けている患者に投与するための指示書と共に含む、商品パッケージを含む。
【0107】
本発明はまた、増殖性疾患の処置のための、または増殖性疾患の処置用医薬の製造のための、本発明の組合せ剤の使用に関する。
【0108】
本発明の組合せ剤療法は、液体腫瘍疾患の処置にとりわけ有用である。「液体腫瘍疾患」なる用語は、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ腫、多発性骨髄腫および骨髄異形成症候群を意味する。
【0109】
本発明の組合せ剤療法は、固形腫瘍疾患の処置にとりわけ有用である。「固形腫瘍疾患」なる用語は、とりわけ肝臓がん、例えば肝細胞癌腫、腎臓がん、乳がん、卵巣がん、結腸のがん、例えば進行性結直腸がん、および一般的なGI管様がん、例えば胃がん、頸部がん、肺がん、とりわけ小細胞肺がん、および非小細胞肺がん、頭部および頸部のがん、膀胱がん、前立腺がん、カポジ肉腫、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群を意味する。本発明の組合せ剤は、固形腫瘍および液体腫瘍の増殖を阻害し、そしてまたこれらの腫瘍の転移性増殖の予防に適している。
【0110】
「カルチノイド腫瘍」なる用語は、本明細書において使用するとき、主として腸および主気管支に散乱しているクロム親和性細胞から生じる神経内分泌系腫瘍を意味する。カルチノイド腫瘍によって合成されるペプチドには、5−ヒドロキシトリプタミンおよび5−ヒドロキシトリプトファンが含まれる。
【0111】
「カルチノイド症候群」なる用語は、本明細書において使用するとき、疾患、とりわけ進行疾患の発現を意味し、その症状には皮膚潮紅、下痢および明白な腹部腫瘤または肝腫大が含まれる。当該疾患において、5−ヒドロキシインドール酢酸(5−HIAA)の尿濃度が典型的には、腫瘍体積に直接関係しており、そして生存のチャンスと相関する。5−HIAA濃度>8mg/24時間は、カルチノイド症候群の全症例の75%における高精度の測定である。当該症候群の他の指標は、血漿セロトニンレベルの上昇、とりわけ薬250、とりわけ350ng/ml以上の血漿セロトニンレベルを含む。
【0112】
「転移性増殖」なる用語は、本明細書において使用するとき、腫瘍の転移性拡散およびがん患者の他の臓器における微小転移巣の増殖および発生を含む。
【0113】
組合せパートナー(a)および(b)についての言及は、化合物の薬学的に許容される塩も含む意味であることが理解される。
【0114】
(a)少なくとも1種の化学療法において既知の抗新生物剤および(b)置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸(各場合において、有効成分は遊離形または薬学的に許容される塩形である)と、所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組合せ剤を、以後本発明の組合せ剤と称する。
【0115】
増殖性疾患の性質は様々な要素に関係する。ある状況下では、異なる作用機構を有する薬剤を組み合わせることができる。しかし、異なる作用形態を有する薬剤のあらゆる組合せが必ずしも有利な効果を有する組合せ剤とならないことには注意するべきである。
【0116】
より驚くべきことに、本発明の組合せ剤のインビボ投与によって、本発明の組合せ剤に用いる薬学的有効成分の1種のみを適用する単独療法と比較して、有利な効果、とりわけ相乗治療的効果、例えば新生物形成の遅延、阻止または退行、または腫瘍応答の期間を長期化することのみならず、さらなる驚くべき有利な効果、例えば副作用の低減、生活の質の改善、および死亡率および疾病率の低下がもたらされることが、実験的に見出された。
【0117】
本発明の組合せ剤において用いる各組合せパートナーの有効用量は、使用する具体的な化合物または医薬組成物、投与形態、処置する状態、処置する状態の重症度に依存して変化し得る。したがって、本発明の組合せ剤の投与レジメンは投与経路および患者の腎臓および肝臓機能を含む様々な要因に従って選択される。通常の技術を有する医師、臨床医または獣医は、状態の予防、反転または進行の停止に必要な1種の有効成分の有効量を容易に決定または予測することができる。毒性なしに効果を達成する範囲内の有効成分の濃度を得るための最善の予測には、標的部位に対する有効成分の利用能の動力学に基づくレジメンが必要である。
【0118】
有効成分の用量は、様々な要因、例えば有効成分の活性および作用期間、処置する疾患またはその症状の重症度、投与方法、温血動物の種、性別、年齢、体重および/または温血動物の状態に依存し得る。経口投与の場合に投与するべき1日用量は、10〜約120mg/kg、とりわけ20〜約80mg/kgであり、約40kgの体重を有する温血動物については、好ましくは約400mg〜約4,800mg、とりわけ約800mg〜3,200mgであり、これは所望により2〜12回の個別投与量に分割され得る。しかし、他の投与スケジュールも同様に有効であり、本発明の範囲に含まれる。
【0119】
本発明の組合せ剤において、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩を、継続的に、例えば毎日、化学療法中およびその後に投与することができる。500mg〜4000mg、例えば500mg/日〜2000mg/日、とりわけ1000、1500または2000mg/日の1日経口用量が予定される。しかし、他の投与スケジュールも本発明の範囲に含まれる。置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールを塩形で投与するとき、上記1日経口用量範囲を、同等量の遊離塩基が投与されるように調節する。
【0120】
本発明の組合せ剤において用いる組合せパートナーを1個の薬剤として市販されている形態で適用するとき、特に記載がない限り、本明細書に記載の有利な効果を得るために、それらの用量および投与形態を各市販薬剤の添付文書によって提供される情報に従って投与することができる。
【0121】
カルボプラチンは、静脈内でヒトに約100〜400、例えば200、mg/m体表面の用量範囲で、約4〜6週間毎に投与することができる。
【0122】
オキサリプラチンは、静脈内でヒトに約25〜135、例えば45または85mg/m体表面の用量範囲で、約2〜3週間毎に投与することができる。
【0123】
シスプラチンは、ヒトに約25〜100mg/mの用量範囲で、約3週間毎に投与することができる。
【0124】
トポテカンは、ヒトに約1〜5mg/m日の用量範囲で投与することができる。
【0125】
イリノテカンは、ヒトに約50〜350mg/m日の用量範囲で投与することができる。
【0126】
ファドロゾールは、経口的にヒトに約0.5〜約10mg/日、好ましくは約1〜約2.5mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0127】
エキセメスタンは、経口的にヒトに約5〜約200mg/日、好ましくは約10〜約25mg/日、または非経腸的に約50〜500mg/日、好ましくは約100〜約250mg/日の用量範囲で投与することができる。薬剤を個別の医薬組成物において投与するべきとき、GB2,177,700に記載の形態で投与することができる。
【0128】
フォルメスタンは、非経腸的にヒトに約100〜500mg/日、好ましくは約250〜約300mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0129】
アナストロゾールは、経口的にヒトに約0.25〜20mg/日、好ましくは約0.5〜約2.5mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0130】
アミノグルテミドは、ヒトに約200〜500mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0131】
クエン酸タモキシフェンは、ヒトに約10〜40mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0132】
ビンブラスチンは、ヒトに約1.5〜10mg/m/日の用量範囲で投与することができる。
【0133】
硫酸ビンクリスチンは、非経腸的にヒトに約0.025〜0.05mg/kg体重*週の用量範囲で投与することができる。
【0134】
ビノレルビンは、ヒトに約10〜50mg/m/日の用量範囲で投与することができる。
【0135】
リン酸エトポシドは、ヒトに約25〜115mg/m/日、例えば56.8または113.6mg/m/日の用量範囲で投与することができる。
【0136】
テニポシドは、ヒトに約75〜150mgの用量範囲で約2週間毎に投与することができる。
【0137】
ドキソルビシンは、ヒトに約10〜100mg/m/日、例えば25または75mg/m日の用量範囲で投与することができる。
【0138】
エピルビシンは、ヒトに約10〜200mg/m/日の用量範囲で投与することができる。
【0139】
イダルビシンは、ヒトに約0.5〜50mg/m日、例えば8mg/m/日の用量範囲で3日間投与することができる。
【0140】
ミトキサントロンは、ヒトに約2.5〜25mg/m/日の用量範囲で投与することができる。
【0141】
パクリタキセルは、ヒトに約50〜300mg/m/日の用量範囲で投与することができる。
【0142】
アレンドロン酸は、ヒトに約5〜10mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0143】
クロドロン酸は、ヒトに例えば、約750〜1500mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0144】
エトリドン酸は、ヒトに約200〜400mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0145】
イバンドロン酸は、ヒトに約1〜4mgの用量範囲で、3〜4週間毎に投与することができる。
【0146】
リセドロン酸は、ヒトに約20〜30mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0147】
パミドロン酸は、ヒトに約15〜90mgの用量範囲で、3〜4週間毎に投与することができる。
【0148】
チルドロン酸は、ヒトに約200〜400mg/日の用量範囲で投与することができる。
【0149】
ビカルタミドは、ヒトに約25〜50mg/m日の用量範囲で投与することができる。
【0150】
ADRIAMYCINは、100−1500mg/日、例えば200−1000mg/日、例えば200、400、500、600、800、900または1000mg/日の用量範囲で、1日1または2回投与で投与することができる。
【0151】
5−FUは、100−1500mg日、例えば200−1000mg/日、例えば200、400、500、600、800、900または1000mg/日の範囲の適当な用量で、1日1または2回投与で投与することができる。
【0152】
CAMPTOTHECINは、100−1500mg/日、例えば200−1000mg/日、例えば200、400、500、600、800、900または1000mg/日の範囲の適当な用量で、1日1または2回投与で投与することができる。
【0153】
5−AZACYTIDINEは、100−1500mg/日、例えば200−1000mg/日、例えば200、400、500、600、800、900または1000mg/日の範囲の適当な用量で、1日1または2回投与で投与することができる。
【0154】
TOMUDEX(ラルチトレキセド、AstraZeneca Pharmaceuticals, Wilmington DE, USA)を、製造業者の指示書に従って投与することができる。
【0155】
レナリドマイドおよびCC−5013として知られているREVLIMIDは、Celgeneから市販されており、2004年に導入されたサリドマイドの誘導体である。これは、サリドマイドが治療的手段として許容されていたため、最初は多発性骨髄腫の処置を意図していたが、骨髄異形成症候群として知られる血液学的障害にも効果を示した。
【0156】
チルホスチン、とりわけアダホスチンは、好ましくは温血動物、とりわけヒトに、約1−6000mg/日、より好ましくは25−5000mg/日、最も好ましくは50−4000mg/日の用量範囲で投与することができる。特に記載がない限り、当該化合物を好ましくは、1〜5、とりわけ1〜4回/日投与する。
【0157】
経腸または非経腸投与用組合せ療法のための医薬製剤は、例えば単位投与形態のもの、例えば糖衣錠、カプセル剤または座薬、およびさらにはアンプルである。特に記載がない限り、これらの製剤を常套の方法、例えば常套の混合、造粒、糖コーティング、溶解または凍結乾燥手段によって製造する。必要な有効量を複数の投与単位の投与によって達成することができるため、各投与形態の個々の用量に含まれる組合せパートナーの単位成分が、それ自体有効量を構成する必要がないことは理解される。当業者は、組合せ成分の適当な薬学的有効量を決定する能力を有する。
【0158】
好ましくは、化合物またはその薬学的に許容される塩を、経口医薬製剤として、錠剤、カプセル剤またはシロップの形態で;または適当なとき、非経腸的注射剤として投与する。
【0159】
経口投与製剤の製造において、あらゆる薬学的に許容される媒体、例えば水、グリコール、油、アルコール、風味剤、保存剤、着色剤を用いることができる。薬学的に許容される担体には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤が含まれる。
【0160】
有効成分の溶液、および懸濁液、とりわけ等張水溶液または懸濁液が、有効成分の非経腸投与に有用であり、例えば使用の直前に溶液または懸濁液を製造するための、有効成分を単独でまたは薬学的に許容される担体、例えばマンニトールと共に含む凍結乾燥製剤が可能である。医薬組成物は、滅菌することができ、および/または賦形剤、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧調節のための塩および/またはバッファーを含んでいてもよく、そして自体公知の方法で、例えば常套の溶解または凍結乾燥手段によって製造する。溶液または懸濁液は、増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンを含んでいてもよい。油中懸濁液は、油成分として注射目的で常套の植物油、合成または半合成油を含んでいる。
【0161】
等張剤は、当業者に既知のもの、例えばマンニトール、デキストロース、グルコースおよび塩化ナトリウムから選択される。輸液製剤を水性媒体で希釈し得る。希釈剤として用いる水性媒体の量は、輸液溶液中の有効成分の所望の濃度によって選択される。輸液溶液は静脈内投与の製剤において一般的に使用される他の賦形剤、例えば抗酸化剤を含み得る。
【0162】
本発明はさらに、「組合せ製剤」に関する。これは、本明細書において使用するとき、とりわけ上記定義の組合せパートナー(a)と(b)を独立してまたは異なる量の組合せパートナー(a)および(b)を含む異なる固定された組合せ剤の使用によって、すなわち同時または異なる時点で投与することができるという意味での「パーツのキット」を意味する。パーツのキットのパーツを、例えば同時にまたは時間を違えて、すなわち異なる時点で、そして等しいまたは異なる時間間隔で任意のパーツのキットのパーツを投与することができる。組合せ製剤において投与される組合せパートナー(b)に対する組合せパートナー(a)の総重量比は、処置する患者亜集団のニーズまたは患者が有するあらゆる副作用の重症度に応じて1人の患者の異なるニーズに従うために、変化し得る。
【0163】
本発明はとりわけ、
(a)鉄キレート剤の1種以上の単位投与形態;および
(b)薬学的に活性な薬剤の1種以上の単位投与形態
を含む組合せ製剤に関する。
【0164】
本発明の目的の1つは、増殖性疾患に対して共同的に治療上有効な量の本発明の組合せ剤を含む医薬組成物を提供することである。この組成物において、組合せパートナー(a)および(b)を一緒に、連続的に、または別個に、1個の組合せ単位投与形態において、または2個の別個の単位投与形態において投与することができる。単位投与形態はまた、固定された組合せ剤であってもよい。
【0165】
組合せパートナー(a)および(b)の個別投与のための、および固定された組合せ剤、すなわち少なくとも2種の組合せパートナー(a)および(b)を含む1個のガレヌス製剤を投与するための本発明の医薬組成物を、自体公知の方法で製造することができ、ヒトを含む哺乳類(温血動物)への経腸、例えば経口または直腸、および非経腸投与に適した、治療上有効量の少なくとも1種の薬理学的に活性な組合せパートナーを単独で、または1種以上の薬学的に許容される、とりわけ経腸または非経腸適用に適した担体との組合せを含むものである。
【0166】
新規医薬組成物は、例えば約10%〜約100%、好ましくは約20%〜約60%の有効成分を含む。経腸または非経腸投与用組合せ療法のための医薬製剤は、例えば単位投与形態のもの、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または座薬、さらにまたアンプルである。特に記載がない限り、これらは自体公知の方法で、例えば常套の混合、造粒、糖コーティング、溶解または凍結乾燥手段によって製造する。必要な有効量を複数の投与単位の投与によって達成することができるため、各投与形態の個々の用量に含まれる組合せパートナーの単位成分が、それ自体有効量を構成する必要がないことは理解される。当業者は、組合せ成分の適当な薬学的有効量を決定する能力を有する。
【0167】
置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、1997年12月31日公開のWO97/49395および米国特許6,465,504に記載されている。4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸を含む分散可能錠剤は、2004年4月29日公開の国際公開公報WO200/035026および2005年10月20日公開のWO2005/097062に記載されている。
【0168】
本発明のさらなる局面は、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸、またはその薬学的に許容される塩の投与のための、肝臓がんおよびとりわけ肝細胞癌腫を含む固形腫瘍疾患を有する患者の処置のための改善された処置レジメンの使用に関する。
【0169】
本発明のレジメンによって、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸、またはその薬学的に許容される塩を、1日2回以上、例えば1日2または3回、既知の1日1回投与レジメンと比較して少ない量で投与する。あるいは、本発明は、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸を50mg/日〜4200mg/日、とりわけ1200mg/日〜1300mg/日、とりわけ1250mg/日の範囲の用量で1日1回投与する処置レジメンを含む。
【0170】
本発明の1つの局面において、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸を1日1回単独で、または他の治療法、例えば化学療法の間またはその後に投与する。300mg〜4000mg、例えば300mg/日〜2000mg/日または300mg/日〜1000mg/日、とりわけ300、500、750、1000、1500または2000mg/日の範囲の量の1日経口投与が、1日レジメンにおいて薬学的有効量と理解される。
【0171】
置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸を薬学的に許容される塩として投与するとき、同等量の遊離塩基(すなわち、上記量に等しい)を投与する。本願において、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸についての言及は、その薬学的に許容される塩を含むことを意図する。
【0172】
本発明の別の局面は、互いに自由に組み合わせることができる。例えば、腎臓がん患者または他の腫瘍タイプを有する患者を、置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸の1日1回または1日2回基準での投与によって処置することができる。置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸の投与の改善されたレジメンを、単独療法または組合せ療法において適用することができ、すなわち置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸を単独で、または他の治療薬剤との組合せで投与することができる。組合せ療法として、それを本明細書に記載の通り、1日1回または1日2回基準で、そして他の治療薬剤(複数であってもよい)をその確立された投与レジメンに従って投与する。
【0173】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ストラタプラチンおよびZD0473から成る群から選択されるプラチナ化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0174】
さらなる態様において、本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンから成る群から選択されるプラチナ化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」を意図する。
【0175】
他のさらなる態様において、本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)シスプラチンを含む組合せ剤または「組合せ製剤」を意図する。
【0176】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)トポテカン、イリノテカン、カンプトテシン、例えば9−ニトロカンプトテシンおよび巨大分子カンプトテシン結合PNU−166148から成る群から選択されるトポイソメラーゼI阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0177】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)アタメスタン、エキセメスタン、フォルメスタン、アミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールから成る群から選択されるアロマターゼインヒビターを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0178】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよび塩酸ラロキシフェンから成る群から選択される抗エストロゲン剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0179】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)リポソーム製剤を含むドキソルビシン、例えばCAELYX(商標)、リポソーム製剤を含むダウノルビシン、例えばDAUNOSOME(商標)、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ピラルビシン、ネモルビシン、ミトキサントロン、ロソキサントロン、エトポシドおよびテニポシドから成る群から選択されるトポイソメラーゼII阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0180】
1つの態様において、本発明は(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)マイトマイシンCを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0181】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)パクリタキセルおよびドセタキセル、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン、ビノレルビン、ディスコデルモリド、コルヒチンならびにエポチロンA、エポチロンBまたはそれらの誘導体から成る群から選択される微小管活性化剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0182】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)サリドマイド、レナリドマイド、TNP−470およびSU5416から成る群から選択される抗血管形成化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0183】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)サリドマイド、TNP−470およびSU5416から成る群から選択される抗血管形成化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0184】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)アバレリクス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリンから成る群から選択されるゴナドレリンアゴニストを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0185】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)ビカルタミドを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)エトリドン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸から成る群から選択されるビスホスホネートを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0186】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、ニトロソウレア(BCNUまたはGliadel)およびテモゾラミド(TEMODAR)から成る群から選択されるアルキル化剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0187】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン、ゲムシタビン、5−アザシチジン、デシタビン、メトトレキセート、エダトレキセート、ペメトレキセド、ロイコボリンおよびラルチトレキセド(TOMUDEX)から成る群から選択される、好ましくは5−FU、ロイコボリンおよびラルチトレキセドから成る群から選択される抗新生物性代謝拮抗剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0188】
1つの態様において、本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)5−FUを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0189】
1つの態様において、本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)ロイコボリンを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0190】
1つの態様において、本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)ラルチトレキセド(TOMUDEX)を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0191】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、PTENおよびCDC25、例えばオカダ酸またはその誘導体から成る群から選択される化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0192】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)サリドマイド、例えばTHALOMID(商標)、レナリドマイド、例えばRevlimid(登録商標)、TNP−470およびSU5416から成る群から選択される化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0193】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)サリドマイド、例えばTHALOMID(商標)、TNP−470およびSU5416から成る群から選択される化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0194】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)トラスツズマブ(HERCEPTIN)、トラスツズマブ−DM1、エルロチニブ(TARCEVA)、ベバシズマブ(AVASTIN)、リツキシマブ(RITUXAN)、PRO64553(抗−CD40)および2C4抗体から成る群から選択される化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0195】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)N−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、MS−275、FK228(正式にはFR901228)、[4−(2−アミノ−フェニルカルバモイル)−ベンジル]−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステル、ブチル酸、ピロキサミド、トリコスタチンA、オキサムフラチン、アピシジン、デプシペプチド、デプデシン、トラポキシン、N−ヒドロキシ−3−[4−({(2−ヒドロキシ−エチル)−[2−(1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ}−メチル−フェニル]−アクリルアミドまたはその薬学的に許容される塩から成る群から選択されるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0196】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)レチノイン酸、トコフェロールまたはトコトリエノールから成る群から選択される化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0197】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)PI88を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0198】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)FTY720を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0199】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)RAD、RAD001、CCI−779、ABT578、SAR543、ラパマイシンおよびその誘導体/アナログ、AP23573およびAP23841、エベロリムス(CERTICAN)およびシロリムスから成る群から選択されるセリン/スレオニンmTORキナーゼの活性/機能を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0200】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)17−アリルアミノ、17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、ゲルダナマイシン誘導体、ゲルダナマイシン関連化合物およびラジシコールから成る群から選択されるHSP90阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0201】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)Ara−C、6−メルカプトプリン(6−MP)およびリン酸フルダラビンから成る群から選択される抗白血病化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0202】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)セレコキシブ(CELEBREX)、ロフェコキシブ(VIOXX)、エトリコキシブ、バルデコキシブ、5−メチル−2−(2’−クロロ−6’−フルオロアニリノ)フェニル酢酸およびルミラコキシブから成る群から選択されるシクロオキシゲナーゼ阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0203】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)L−744832、DK8G557およびR115777(ZARNESTRA)から成る群から選択される化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0204】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)PS−341、MLN341、ボルテゾミブまたはVelcadeから成る群から選択されるプロテアソーム阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0205】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)DIOVANを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0206】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)テロメスタチンを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0207】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)CIBECEN、ベナゼプリル、エナゼプリル(LOTENSIN)、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、ペリンドプリル、およびトランドラプリルから成る群から選択されるACE阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0208】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)バチマスタット、マリマスタット(BB−2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC683551)、BMS279251、BAY12−9566、TAA211、MMI270BおよびAAJ996から成る群から選択されるMMP阻害剤を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0209】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)ベンガミドまたはその誘導体を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0210】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)パシレオチド、ランレオチド、オクトレオチドおよびバプレオチドから成る群から選択されるソマトスタチン受容体アンタゴニストを含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0211】
本発明は、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸および(b)(4−tert−ブチル−フェニル)−94−ピリジン−4−イルメチル−イソキノリン−1−イル)−アミン、SU101、SU6668、GFB−111、PD180970、AG957、NSC680410、PD173955、BMS354825、UCN−01、サフィンゴル;BAY43−9006、ブリオスタチン1、ペリフォシン、イルモフォシン、RO318220、RO320432、GO6976、Isis3521、LY333531/LY379196、PD184352、QAN697、4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−N−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、チルホスチンA23/RG−50810、AG99、チルホスチンAG213、チルホスチンAG1748、チルホスチンAG490、チルホスチンB44、チルホスチンB44(+) エナンチオマー、チルホスチンAG555、AG494、チルホスチンAG556、AG957、アダホスチン、(4−{[(2,5−ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}−安息香酸アダマンチルエステル、NSC680410、アダホスチン、CP358774、ZD1839、ZM105180、例えばトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、セツキシマブ、イレッサ、OSI−774、CI−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3、エルロチニブおよびゲフィチニブから成る群から選択される化合物を含む組合せ剤または「組合せ製剤」に関する。
【0212】
本発明は、増殖性疾患に対して共同的に治療上有効な量の、上記組合せ剤を含む医薬組成物に関する。
【0213】
本発明は、増殖性疾患の処置用医薬の製造のための、上記組合せ剤の使用に関する。
【0214】
本発明は、上記組合せ剤を指示書と共に含む商品パッケージに関する。
【実施例】
【0215】
実施例
実施例1:4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸(以下、化合物I)と抗新生物剤の組合せによる相乗的抗増殖活性の測定
化合物Iを、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、シスプラチン、Tumodexおよびロイコボリンとの組合せにおいて、ヒト肝臓腫瘍細胞HEP3B217およびSKHEP1に対するインビトロ相乗的抗増殖活性について試験した。標準的な化学療法のシリーズで、いずれもの組合せパートナーとの化合物Iの相乗的抗増殖活性を測定した。試験した2種の異なる腫瘍細胞系の結果は極めて異なった。化合物I抗増殖活性は、HEP3B217において12.0μM未満の濃度で投与したとき、全ての試験した化学療法で相乗的であった。しかし、G値によって計算した相乗効果のレベルは、異なる組合せパートナーで異なっており、シスプラチンで最も顕著であった。化合物I抗増殖活性は、SKHEP1細胞において相乗的未満であった;相乗形態の活性は、シスプラチンおよびTumodexについてのみ示され得た。しかし、何れの化合物についても、組合せ効果の相乗性は1.5μM未満または3μM未満の濃度で示された。これら2種の化合物の作用の訴状性は、Tumodexについて12.5μM以上、またはシスプラチンについて25.0μM以上の濃度では見出されなかった。
【0216】
3 材料および方法
3.1 材料
HEP3B217およびSKHEP1細胞系はいずれも、American Type Culture Collection (ATCC), Rockville, MD, USAから入手した。RPMI1640細胞培養培地およびFCSをInvitrogen (Mt. Waverley, VIC, Australia)から入手した。CellTitreBlue試薬をPromega (Annandale, NSW, Australia)から入手した。細胞培養材料は標準品質のものであり、市販のものから入手した。精製化学製品および薬品は高純度のものであり、現地の供給業者から入手可能であり、購入した。化合物Iは出資者によって提供され、オリジナルソース、同定および個々の特性に関する詳細は、記載されている限り、生データファイルに保有している。5−フルオロウラシル(Genentech, South San Francisco, CA, USA)、マイトマイシンC、シスプラチン、ロイコボリン(BristolMyers Squibb, New York, NY, USA)、およびTumodex(AstraZeneca Pharmaceuticals, Wilmington, DE, USA)を細胞培養培地で希釈した。
【0217】
3.2 試験化合物調製
化合物IをDMSOに溶解させて原液を製造した(1mg/mL)。この原液を十分にボルテックス攪拌し、細胞培養培地で希釈して、試験ウェルに加えるときに連続希釈のための所望の出発濃度(1.3μM)とした(50:50、v/v)。5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、シスプラチン、Tumodexおよびロイコボリンを細胞培養培地で希釈して、連続希釈のための所望の出発濃度とした。
【表1】

【0218】
3.3 化合物の投与、スケジュールおよびレジメン
両細胞系を、10% FCSを含むRPMI1640細胞培養培地中で培養した。細胞培養培地をペニシリン/ストレプトマイシン(50IU/mL、50μg/mL最終濃度)で補った。両細胞系を、96ウェルマイクロタイタープレートに、ウェルあたり50μL培地中800細胞/ウェルで播種した。試験化合物を含む細胞培養培地50μLを各ウェルに、播種の24時間後に加えた試験化合物を1化合物として、または所望の濃度比の1つとして、加えた(図1は1化合物または組合せ剤についての希釈スキーム(市松模様(chequer board approach))を詳細に示す)。インキュベーション混合物中の最終DMSO濃度は、最高濃度試験品目について0.05%(v/v)未満であり、より低い濃度の試験品目についてそれぞれ低下させた。細胞の増殖を、蛍光分析Alamar Blue(CellTiter Blue)試験を用いて評価した。
【0219】
3.4 データ収集
Alamar Blueアッセイを用いて試験化合物を含むプールの抗増殖活性を測定した。未処理細胞を増殖対照として用いた。データを、96ウェルマイクロタイタープレート中で2つの同一の設定を用いて2連で評価した。各プレートを別個に分析し、アイソボログラムを計算して相乗的活性を決定した(図2および3)。さらに、g値を下記式
g=Ac/Ae+Bc/Be
〔式中、A+BおよびAまたはB単独は、同様に有効な濃度(例えばIC50)であり、AcはBとの組合せにおけるAの濃度であり、そしてBcはAとの組合せにおけるBの濃度であり、AeはA単独の濃度であり、そしてBeはB単独の濃度である〕
を用いて計算した。g値は2種の組合せパートナーの相互作用のレベルを意味する。g値<1は相乗効果を意味し、g値>1は拮抗作用を意味し、そしてg値=1は相加効果を意味する。これらのカテゴリーの境界は不明確であり、明らかな決定点というよりもむしろ、傾向として理解するべきである。しかし、より低いg値はより高い相乗効果である。
【0220】
3.5 Alamar Blueアッセイ
Alamar Bluebased CellTiterBlueアッセイは、培地中で細胞がレザズリンをレゾルフィンに還元する能力(それによって蛍光シグナルの強度は生存細胞数に直接比例し、したがって細胞増殖の間接的な指標となる)を測定することによって細胞生存能力を示す。
【0221】
予備実験に基づき、両細胞系の培養物を0.8×10細胞/ウェルで96ウェルマイクロタイタープレートに播種した。24時間後、細胞を1化合物2種の試験化合物の組合せと共に72時間インキュベートした。CellTiterBlue Reagent (20μL/ウェル)を加え、短時間攪拌した後、細胞をさらに4時間インキュベートし、その後蛍光を、Spectramax M2マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Surrey Hills, VIC, Australia)を用いて測定した(Ex/Em 560/590nm)。
【0222】
4. 結果
標準的な化学療法、例えば5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、シスプラチン、Tumodexおよびロイコボリンとの組合せにおける化合物Iの抗増殖活性を試験した。化合物Iを50μMで出発して以後1:2の連続希釈の9種類の濃度で試験した。全ての他の化学療法を、表1に示す出発(最高)濃度および続く1:2の7連続希釈を用いて8種類の濃度で試験した。標準的化学療法との組合せにおける化合物Iの活性の相乗形態を評価するために、g値(式は方法の項目に記載)を計算した。g<1のとき、相互作用は相乗的であると考えることができる。1に等しいg値は、相加効果を示す。g値が1より大きいとき、組合せ薬剤の相互作用は拮抗的である(表2および3、図1および2)。g値をアイソボログラムにプロットした(アイソボリック線以下のデータ点は、両薬剤の組合せ濃度が相乗的であることを示し;アイソボリック線以上のデータ点は、両薬剤の組合せ濃度が拮抗的に作用していることを示す)。しかし、これらの閾値は絶対の数値ではなく、むしろ動的な方法で理解するべきである。組合せパートナーの最適濃度を評価するために、Surface Response Plotを引く。各試験を1回反復した。
【0223】
SKHEP1細胞における抗増殖性効果
抗増殖活性の明白な相乗効果(g<1)が、化合物IとシスプラチンまたはTumodexについてのみ観察された(表2)。興味深いことに、いずれの組合せパートナーもICL670について2つの濃度範囲で抗増殖活性の相乗効果を生じるようである(25μM〜3.25μMおよび0.78μM〜0.20μM)。さらにまた、3μM未満の化合物Iの濃度で相乗的抗増殖活性のかすかな傾向が、化合物IとマイトマイシンCの組合せについて示された(表2)。Surface Response Plotの評価は、化合物Iと組み合わせられるシスプラチンまたはTumodexの濃度は相乗作用にわずかに寄与しているが、低濃度の化合物Iのみが相乗作用を導くことを示している(図1、パネルBおよびE)。
【0224】
表2:ヒトSKHEP1肝臓がん細胞における5フルオロウラシル、マイトマイシンC、シスプラチン、Tumodexまたはロイコボリンとの組合せにおける化合物I(表中、ICL670)の相乗的抗増殖性効果。
【表2】

【0225】
HEP3B217細胞における抗増殖性効果
SKHEP1細胞における活性と比較して、全ての試験した標準的な化学療法と組み合わせたとき、化合物Iは抗増殖活性を誘導した。ロイコボリンおよびマイトマイシンCとの組合せについての反復試験は、不明な理由により失敗した(表3、灰色で標識した行)。したがって、化合物Iとこれら2種の薬剤の組合せについての全ての結論を注意して理解するべきである。最も強い相乗効果の誘導は、化合物Iをシスプラチンと組み合わせたときに観察され;シスプラチンと組合せた12.5μM未満の濃度の化合物Iは、広い範囲の濃度にわたって相乗形態の作用を生み出した(表3および図2、パネルB:アイソボログラムおよびg値プロット)。さらに、高濃度のシスプラチンと組み合わせた低濃度の化合物Iは、低濃度のシスプラチンと組み合わせた化合物Iよりもより強い相乗効果を生み出した(図2、パネルB:Surface Response Plot)。マイトマイシンCと化合物Iの6.25μM〜0.781μMでの組合せ(表3および図2、パネルD)によってまた、相乗形態の作用がもたらされた。しかし、シスプラチンと比較して、マイトマイシンCの濃度は相乗的相互作用のレベルに影響を与えなかった。g値が1に近いため、化合物Iと5フルオロウラシルの組合せによってより弱い相乗効果がもたらされた。フルオロウラシルによってより弱い相乗作用がもたらされた。Tumodexは、第1試験では低濃度の化合物I(<1.56μM)で強い相乗効果を誘導した。しかし、これは第2試験でははっきりと確認できなかった(表3)。
【0226】
表3:ヒトHEP3B217肝臓がん細胞における5フルオロウラシル、マイトマイシンC、シスプラチン、Tumodexまたはロイコボリンとの組合せにおける化合物I(表中、ICL670)の相乗的抗増殖性効果
【表3】

【0227】
標準的な組合せ療法5フルオロウラシル、マイトマイシンC、シスプラチン、Tumodexまたはロイコボリンとの組合せにおける化合物Iについて、抗増殖活性の相乗効果についての潜在性が、インビトロでヒトSKHEP1およびHEP3B217肝臓がん細胞において、vivoPharmの最適化市松模様アッセイを用いて決定された。何れの細胞系においても、シスプラチンは高いレベルの相乗効果を誘導し、次いでSKHEP1細胞におけるTumodexおよびHEP3B217細胞における5フルオロウラシルであった。化合物Iはヒト肝臓がん細胞系において相乗的に増殖を阻害することができる。相乗性の観察されたレベルは、SKHEP1細胞におけるよりもHEP3B217細胞における方が高く、そしてシスプラチンとの組合せにおいて最も明白であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)置換3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび(b)プラチナ化合物(有効成分は、各々の場合において遊離形または薬学的に許容される塩形である)、および所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含んで成る、組合せ剤。
【請求項2】
人体の処置において同時、個別または逐次的使用するための、請求項1の組合せ剤。
【請求項3】
(b)プラチナ化合物がカルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチンから成る群から選択される、請求項2の組合せ剤。
【請求項4】
(b)がシスプラチンである、請求項3の組合せ剤。
【請求項5】
(a)が4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸である、請求項1〜4のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項6】
増殖性疾患に対して共同的に治療上有効である量の請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ剤を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物。
【請求項7】
増殖性疾患の処置用医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ剤の使用。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ剤を、指示書と共に含む商品パッケージ。

【公表番号】特表2009−536180(P2009−536180A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508375(P2009−508375)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054456
【国際公開番号】WO2007/128820
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】