説明

鉄道踏切のゴム製舗装板およびそのゴムパッド

【課題】鉄道踏切の軌道の2本のレール間に敷設されるゴム製舗装板およびそのゴムパッドを提供すること。
【解決手段】ゴム製舗装板は、2本のレール間に対応する各外側に肩部を有し、少なくとも1つの排水部材が設けられた舗装板本体と、肩部の各側にそれぞれ設けられ、上面と肩部の間の高低差によって形成され、各側の凹溝内に複数個の結合孔が設けられている2つの凹溝とを含む。ゴムパッドは、ゴム製舗装板の凹溝内に嵌設され、上面と底面の間に空洞の緩衝室が形成されたパッド本体と、パッド本体の底面に形成され、ゴム製舗装板の結合孔に対応して差し込まれる複数本の固定棒とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道踏切のゴム製舗装板およびそのゴムパッド、特に排水構造を有するゴム製舗装板およびゴム製舗装板とレールの間に詰めるゴムパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示す鉄道踏切に敷設した舗装板の説明図を参照されたい。一般の鉄道踏切の軌道は、鉄道車両が脱線することなく安全走行できるように、使用する鉄道車両の車輪の外形寸法に合わせるため、2本のレール10の内側に凹溝形状の輪縁溝11を設けなければならない。しかし、この設計は踏切に溝状の障害をつくり、潜在的危険因子となり、人やオートバイの乗り手を絶えず危険にさらす。
【0003】
また、踏切の路面にアスファルトを敷設するものもあるが、この路面は常に大型車両の圧力を受けるため軌道内側の輪縁部位のアスファルトがしばしば脱落し、路面が凹んだり凸凹になったりする。特にオートバイの乗り手が斜め交差踏切を通過するときに、オートバイの車輪が輪縁溝にはまる転倒事故がしばしば起きる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、鉄道踏切の軌道の2本のレール間に連結して敷設でき、ゴム製舗装板の底部に溜まった水を排出する設計となっており、さらに輪縁溝が平らに敷き詰められる鉄道踏切のゴム製舗装板およびそのゴムパッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が提供する鉄道踏切のゴム製舗装板の技術的手段は、上面と底面を有し、両外側に肩部を有し、排水部材が設けられた舗装板本体と、上面と肩部の間の高低差によって形成され、各側に複数個の結合孔が設けられた2つの凹溝とを含む。
【0006】
本発明が提供する鉄道踏切のゴムパッドの技術的手段は、ゴム製舗装板の凹溝内に嵌設され、上面と底面を有し、上面と底面の間に空洞の緩衝室を有するパッド本体と、パッド本体の底面に形成され、ゴム製舗装板の結合孔に対応し、パッド本体を凹溝に嵌設する際に結合孔に差し込まれる複数本の固定棒とを含む。
【0007】
本発明の特徴は、排水可能なゴム製舗装板を使用することにより、ゴム製舗装板底部の鉄道路床の底に水が溜まったときに、大型車両の強い圧力で緊急排水し、したがって、底部に溜まった水が原因となって強い圧力を受けたときに浮き上がって抜け、走行の安全に影響を与えることが避けられることである。また、空洞のゴムパッドは、鉄道車両の輪縁が圧力をかけて通過した後に原状復帰し、その底部の複数本の固定棒はゴム製舗装板の結合孔と接合し、しっかり係合しておけば緩んで抜けることが起こりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来技術の鉄道踏切の舗装板敷設の概略図である
【図2】本発明のゴム製舗装板およびゴムパッドの実施形態の立体分解図である。
【図3】本発明のゴム製舗装板およびゴムパッドの実施形態の組合せ概略図である。
【図4】本発明のゴム製舗装板およびゴムパッドの実施形態のレール内側への使用の概略図である。
【図5】図4の軌道車輪外縁の圧迫による変形の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴に対する理解を深めていただくために、関連の実施形態および図面とともに以下に詳しく説明する。
【0010】
まず、図2に示す本発明のゴム製舗装板およびゴムパッドの実施形態の立体分解図と図3に示す本発明のゴム製舗装板およびゴムパッドの実施形態の組合せ説明図を参照されたい。ゴム製舗装板20は、舗装板本体21と外側の2つの凹溝30を含む。舗装板本体21は上面22と底面23を有し、前記舗装板本体21の前記2本のレールAに対応する各外側に肩部24を有し、前記舗装板本体21には少なくとも1つの排水部材25が設けられ、その排水部材25は孔でも溝状構造でもよく、舗装板本体21全体を貫通している。舗装板本体21が圧力を受けたとき、鉄道路床内に溜まった水が前記排水部材25から排出される。2つの凹溝30がそれぞれ、各肩部24に設けられ、前記上面22と前記2つの肩部24の間の高低差によって形成され、各側の凹溝30内に複数の結合孔31が設けられている。
【0011】
上述の本実施形態のゴム製舗装板20の上面22に滑り止め部材26が設けられ、これは、ゴム製舗装板の上面から突出した複数個の楕円形滑り止め粒261として設けることができ、これら楕円形滑り止め粒は間隔を置いて交錯して設けられる。もちろん楕円形の形状の他に別の形状や文字に置き換えてもよい。
【0012】
本実施形態のゴムパッド40は、パッド本体41と複数本の固定棒50を含む。パッド本体41は前記ゴム製舗装板20に嵌設された前記凹溝30内に対応し、前記パッド本体41の上面42と底面43の間に空洞の緩衝室44が形成され、複数本の固定棒50が前記パッド本体41の前記底面43に形成され、これらの固定棒50は前記ゴム製舗装板20の前記複数の結合孔31に対応し、前記パッド本体41を前記凹溝30に嵌設する際に前記結合孔31に差し込まれ、肩部24を貫通してこれを結合固定する。
【0013】
前記固定棒50の棒身はそれぞれテーパ状(taper)に形成でき、また、末端にフック部材51を有し、このフック部材51はゴムパッド40が外力により弾性変形したときにゴム製舗装板20から抜けるのを防ぐことができる。具体的な構造は、突出した半球形511として設計でき、このようにすると、固定棒50が結合するときに容易に結合孔31に入る上、係合作用ももつ。また、上述の複数の固定棒50は少なくとも3本であり、ゴムパッド41が外力によって弾性変形したときに前後両端が反り返りやすいため、抜け落ちを防ぐためにこの固定棒50の最初と最後の2本の棒身の長さを中間の固定棒50の棒身より長くする。
【0014】
図4に示す本発明のゴム製舗装板およびゴムパッドの実施形態のレール内側への使用の説明図と、図5に示す図4の軌道車輪外縁の圧迫による変形の説明図を参照されたい。上述のゴム製舗装板20は複数個を連結して鉄道踏切の2本のレールA間に敷設することができ、各ゴム製舗装板20は鉄道の枕木B上にちょうど跨置できる長さであり、その上面22がレールの車輪当接面Dとほぼ平らになり、また2つの肩部24を利用して2本のレールAの内側立面に密着させることができる。上記ゴム製舗装板20の材質は合成ゴムであり、外層は耐磨耗合成ゴムでよく、硬度はショアA硬さ(Shore A)70、引張強さは120kg/cm2以上、最大伸長率は350%以上である。
【0015】
上記ゴムパッド40のパッド本体41の材質は合成ゴムであり、硬度はショアA硬さ(Shore A)50、引張強さは200kg/cm2以上、最大伸長率は500%以上である。固定棒50の材質は硬質合成ゴムであり、硬度はショアA硬さ(Shore A)75、引張強さは160kg/cm2以上、最大伸長率は300%以上である。
【0016】
本発明の実施形態における取替可能なゴムパッド40の設計と排水機能をもつゴム製舗装板20の組合せ実施形態では、前記ゴムパッド40は2本のレールAの内側にあり、車両がレールAを通過していないときは、前記ゴムパッド40の上面42とゴム製舗装板20の上面22がほぼ平らであるが、軌道車両がレールAを通過するときは、軌道車両の車輪Cの輪縁がゴムパッド40のパッド本体41の上面42を圧迫して通過する。前記空洞の緩衝室44に弾性変形作用が生じるため、パッド本体41の上面42が一時的に下に凹み、車輪の通過後には元の状態に戻る。しかし、底面の硬質固定棒50も硬質のゴム製舗装板20と係合しているため、緩んで抜けることが起こりにくい。
【0017】
本発明を前述の好ましい実施形態によって示したが、これは本発明を限定するものではなく、当業者が、本発明の精神および範囲から逸脱せずに行った変更および改変という等価な置換は、すべて本発明の特許保護の範囲内とする。
【符号の説明】
【0018】
20 ゴム製舗装板
21 舗装板本体
22 上面
23 底面
24 肩部
25 排水部材
26 滑り止め部材
261 滑り止め粒
30 凹溝
31 結合孔
40 ゴムパッド
41 パッド本体
42 上面
43 底面
44 緩衝室
50 固定棒
51 フック部材
511 半球形
A レール
B 枕木
C 軌道車輪
D 車輪当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道踏切の2本のレール間に敷設される鉄道踏切のゴム製舗装板であって、
上面と底面を有し、2本のレールに対応する各外側に肩部を有し、少なくとも1つの排水部材が設けられた舗装板本体と、
それぞれ各肩部に設けられ、前記上面と前記これら肩部の間の高低差によって形成され、各側に複数個の結合孔が設けられている2つの凹溝と、
を含むゴム製舗装板。
【請求項2】
前記舗装板本体の前記底面が枕木上に置かれ、前記上面は前記2レールの車輪当接面とほぼ平らである、請求項1に記載のゴム製舗装板。
【請求項3】
前記舗装板本体の排水部材が孔または溝である、請求項1に記載のゴム製舗装板。
【請求項4】
前記舗装板本体の排水部材が前記舗装板本体に垂直に貫通している、請求項1に記載のゴム製舗装板。
【請求項5】
前記上面がさらに滑り止め部材を含む、請求項1に記載のゴム製舗装板。
【請求項6】
前記滑り止め部材が、間隔を置いて交錯して設けられた、突出した複数個の楕円形滑り止め粒である、請求項5に記載のゴム製舗装板。
【請求項7】
前記請求項1に記載のゴム製舗装板と組み合わせて前記凹溝に敷設されるゴムパッドであって、
前記ゴム製舗装板に嵌設された前記凹溝内に対応し、上面と底面を有し、前記上面と前記底面の間に空洞の緩衝室が形成されたパッド本体と、
前記パッド本体の前記底面に形成され、前記ゴム製舗装板の前記複数の結合孔に対応し、前記パッド本体を前記凹溝に嵌設する際に前記結合孔に差し込まれる複数本の固定棒と
を含むゴムパッド。
【請求項8】
前記パッド本体を前記ゴム製舗装板の前記凹溝に嵌設するときに前記パッド本体の上部が前記舗装板本体の上部とほぼ平らになる、請求項7に記載のゴムパッド。
【請求項9】
前記固定棒のそれぞれの硬度が前記ゴム製舗装板より高い、請求項7に記載のゴムパッド。
【請求項10】
前記固定棒の棒身がそれぞれテーパ状(taper)をなす、請求項7に記載のゴムパッド。
【請求項11】
前記固定棒の棒身の末端にそれぞれフック部材を有する、請求項7に記載のゴムパッド。
【請求項12】
前記フック部材が突出した半球形である、請求項11に記載のゴムパッド。
【請求項13】
前記これら固定棒が少なくとも3本であり、その最初と最後の2本の棒身の長さが中間の固定棒の棒身より長い、請求項7に記載のゴムパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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