説明

鉄道車両内情報ネットワーク装置

【課題】車内表示用の画像データの伝送速度の向上が図れる鉄道車両内情報ネットワーク装置を提供する。
【解決手段】本発明の鉄道車両内情報ネットワーク装置では、サーバ10は各車両15上の表示装置101に表示させる画像データを特定の車両15a上の変調伝送装置11aに出力し、変調伝送装置11b、11cは、他の変調伝送装置から送られてきた画像データを中継するとともに画像データ記憶手段181に保持し、当該画像データの中継後に画像データ記憶手段に保持している当該画像データを画像データ再送手段17inにて表示装置101に送信して表示させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送線の特性に合わせて変調した信号を送信するとともに、受信した信号を復調する変調伝送装置を使用した鉄道車両内情報ネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両内の制御装置や表示装置間でのデータの送受信には、ネットワーク伝送が行われている。鉄道車両内においてべースバンド伝送による高速な通信を行う場合には、高周波通信用の伝送線、例えば同軸ケーブルやシールド付撚線を使用する必要がある。一方で、例えば周波数分割多重方式を用いた変調伝送装置を伝送媒体の特性に合わせた電気信号へ変換して通信を行うことで、高周波通信用の伝送線を使用せずに、一般の単芯シールド線、多芯シールド線、シールド無し撚線や単線などを用いて、高速な通信を行うことが可能である。
【0003】
車両内の端末が接続されたネットワーク装置に中継装置を接続し、隣接する他の車両の中継装置との間で通信フレームを変調し交互に送信するように構成し、信号減衰やノイズに対して強く、列車用の信号線である引き通し線を利用しながらも通信の安定性を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、鉄道車両用伝送装置として、自車両内では2対のツイストペアケーブルによるCSMA/CD方式を採用でき、車両間は1対のツイストペアケーブルにてネットワークを構築できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、鉄道車両内の伝送線は、他用途の線やノイズ発生源となる機器と近接して配線されることが多く、ノイズの影響を受け易い。図9に示すように、変調伝送装置11a、11bが伝送線12で接続されている場合に、その伝送線12に近接した配線13がある場合には、近接した配線13からのノイズの影響を受けることになる。また、図10に示すように、伝送線12に近接してノイズ発生源機器14が設置されている場合にも、そのノイズ発生源機器14からのノイズの影響を受けることになる。さらに、図11のように伝送線12同士が近接して配線された場合は、伝送線12間で信号が干渉することがあり、信号が干渉すると、伝送エラーの発生や伝送速度の低下等が発生することになる。
【0006】
このような技術的な問題点を解決する鉄道車両内情報ネットワーク装置として、伝送線の特性に合わせて変調した信号を送信するとともに受信した信号を復調する変調伝送装置と、隣接する車両間の変調伝送装置同士を接続して信号を伝送する伝送線と、各車両内の表示装置のような車内機器と接続して信号を伝送する伝送線とを備え、変調伝送装置には、外来ノイズの影響や信号の干渉の影響を回避する伝送特性低下防止手段として使用周波数調整回路を採用し、車両間の変調伝送装置間の伝送に用いる周波数帯領域と車両内の表示装置のような車内機器との間の伝送に用いる周波数帯領域とを分割し、各々の伝送線間の信号の干渉を防止するようにしたものが提案されている。この提案されている鉄道車両内情報ネットワーク装置によれば、伝送線同士が近接して配線されても伝送線間で信号が干渉することがなく、伝送エラーの発生や伝送速度の低下を防止し、安定して高速なデータ伝送から確保できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−113103号公報
【特許文献2】特開2005−80253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような提案されている鉄道車両内情報ネットワーク装置に対して、さらに伝送速度の向上が図れる鉄道車両内情報ネットワーク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、各車両に搭載され、受信したデータを中継する変調伝送装置と、各車両に搭載された表示装置と、それぞれ隣接する車両上の前記変調伝送装置間および各車両上の変調伝送装置と表示装置との間を接続する伝送線と、特定の車両上に設置され、当該車両上の変調伝送装置に対して画像データを送出するサーバとを備えた鉄道車両内情報ネットワーク装置において、前記変調伝送装置は、前記隣接する他の変調伝送装置との間のデータ伝送および前記表示装置へのデータ伝送に使用する周波数帯を信号干渉の影響を回避できる伝送周波数帯に分割して使用する使用周波数調整手段と、他の変調伝送装置から送られてきた前記画像データを保持する画像データ記憶手段と、前記画像データ記憶手段に保持している画像データを前記表示装置に送信する画像データ再送手段とを具備し、前記サーバは、各車両上の表示装置に表示させる画像データを前記特定の車両上の変調伝送装置に出力し、前記変調伝送装置は、他の変調伝送装置から送られてきた前記画像データを中継するとともに前記画像データ記憶手段に保持し、当該画像データの中継後に前記画像データ記憶手段に保持している当該画像データを前記画像データ再送手段にて前記表示装置に送信する鉄道車両内情報ネットワーク装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各車両上において変調伝送装置が隣接する他の変調伝送装置との間のデータ伝送および同一車両内の表示装置へのデータ伝送に使用する周波数帯を信号干渉の影響を回避できる伝送周波数帯に分割して使用し、かつ、車両内の表示装置には画像データを一時的に保持しておき、中継の後に再送することにより、信号干渉を起こさず、伝送速度の向上が図れる鉄道車両内情報ネットワーク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置を示すブロック図。
【図2】上記実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置における変調伝送装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】上記実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置における変調伝送装置に設けられた変復調回路のブロック図。
【図4】上記実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置における変調伝送装置間のデータ伝送の動作説明図。
【図5】上記実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置における変調伝送装置での周波数分割の説明図。
【図6】上記実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置における伝送線の領域ごとに異なる周波数を使用した状態を示すブロック図。
【図7】上記実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置における変調伝送装置での周波数分割の他の例を示す説明図。
【図8】上記実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置における変調伝送装置での周波数の分割のさらに別の例の説明図。
【図9】鉄道車両内情報ネッドワークの変調伝送装置間を接続する伝送線に近接して他の配線がありノイズの影響を受ける場合の説明図。
【図10】鉄道車両内情報ネットワーク装置の変調伝送装置間を接続する伝送線に近接してノイズ発生源機器がありノイズの影響を受ける場合の説明図。
【図11】鉄道車両内情報ネットワーク装置の変調伝送装置問を接続する伝送線同士が近接して配線され伝送線間で信号が干渉する場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。尚、以下の説明では車両は15a、15b、15cの3両編成とし、各車両に搭載されている機器の識別には文字a、b、cを用いて示す。また機器の搭載車両を区別することになく説明する場合にはa、b、cの添え字を付さないで説明する。車両編成は2両であってもよいし、4両以上であってもよい。そして4両以上の編成の場合、中間の2両では、一方の車両の上り側でA領域の周波数を使用し、下り側でB領域の周波数を使用すれば、この車両の下り側に隣接する他方の車両では、その上り側ではB領域の周波数を使用し、下り側D/A領域の周波数を使用する。また、特定の車両として先頭車両15aにのみサーバ10が搭載されているものとして説明する。このサーバ10は最後尾車両15cにも搭載されることもある。
【0013】
図1に示すように、本発明の1つの実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置では、各車両15にデータの中継、転送、配信を行う変調伝送装置11が設置され、また1台あるいは複数台の表示装置101〜104が設置されている。先頭車両15aには画像データを送出するためのサーバ10も設置されている。
【0014】
隣接する車両15間の変調伝送装置11同士は伝送線12にて接続され、各車両内の変調伝送装置11と表示装置101とは伝送線121で接続されている。鉄道車両15a〜15c間も、各車両内に複数台設置される表示装置101〜104間もリピート接続としてある。
【0015】
図2に示すように、各車両15の変調伝送装置11は、上り側、下り側、車内用の3方の変復調回路17up、17dw、17inを備え、これらの変復調回路17up、17dw、17inにて伝送線12、121との信号の送受信を行う。各車両15の変調伝送装置11はまた、中継処理器18と使用周波数設定器19とを備えている。中継処理器18は変復調回路17up、17dw、17inそれぞれと接続されている。使用周波数設定器19も変復調回路17up、17dw、17inそれぞれと接続されていて、変復調回路17up、17dw、17inそれぞれの使用する周波数を設定する。また、中継処理器18には、受信した画像データを一時的に保持する画像データ記憶部181を備えている。
【0016】
図3に示すように、変復調回路17は、送信回路部21、受信回路部22、パワーオン・リセット手段24、変調制御部25から構成され、変調制御部25は使用周波数調整手段31を有している。
【0017】
次に、本実施の形態の鉄道車両内情報ネットワーク装置によるデータ伝送動作について説明する。図4に示すように、変調伝送装置11a、11bは伝送線12を介して接続され互いに信号を送受信する。いま、変調伝送装置11aから変調伝送装置11bに信号を送信する場合について説明する。変調伝送装置11a、11bは同一構成であるので、変調伝送装置11aについて説明する。
【0018】
通常のシステム運用中においては、変調制御部25は送信回路部21を介して伝送線12に信号を送信し、伝送線12からの信号を受信回路部22で受信し、変調制御部25に入力している。先頭車両15aの変調伝送装置11aでは、使用周波数設定器19は下り側の伝送線12に対する変復調回路17dwに対して周波数Aの帯域を使用するように設定信号を出力し、上り側の伝送線12に対する変復調回路17upに対して周波数Bの帯域を使用する設定信号を出力する。
【0019】
尚、この先頭車両15aに隣接する車両15bの変調伝送装置11bでは、使用周波数設定器19は下り側の伝送線12に対する変復調回路17dwに対して周波数Bの帯域を使用するように設定信号を出力し、上り側の伝送線12に対する変復調回路17upに対して周波数Aの帯域を使用する設定信号を出力する。
【0020】
使用周波数設定器19は表示装置101aに対する変復調回路17inに対して周波数Cの帯域を使用するように設定信号を出力する。そして、この周波数帯域A、B、Cについては後述するが、中継処理器18によって伝送線12上での変調伝送装置11a、11b間のデータ伝送を行わせる動作モードの際には周波数帯域A、Bを広く設定し、周波数帯域Cは狭める。逆に、中継処理器18によって伝送線121により表示装置101aに対して画像データを伝送させる動作モードの際には周波数帯域A、Bを狭め、周波数帯域Cを広げる設定にする。
【0021】
このような通常のシステム運用中において、例えば、変調制御部25は、あるタイミングまたは周期的に使用周波数調整手段31を動作させ、使用周波数調整手段31により、使用周波数設定器19にて指定された周波数帯域内で使用周波数を自動的に選定する動作を行う。
【0022】
図4に示すように、変復調回路17dwの使用周波数調整手段31は、下り側の変調伝送装置11b内の変復調回路17upに対し使用周波数調整用データd11を送信する。変調伝送装置11b内の変復調回路17upは、使用周波数調整用データd11を受信すると、例えば、周波数対ノイズ比を判定して、その判定結果データd12を変調伝送装置11a内の変復調回路17dwに送信する。変調伝送装置11a内の変復調回路17dwでは、使用周波数調整手段31により判定結果データd12を受信する。
【0023】
判定結果データd12を受信した使用周波数調整手段31は、結果確認データd13を変調伝送装置11b内の変復調回路17upに対して送信するとともに、判定結果データd12に基づいて使用周波数を自動的に選定する。例えば、ノイズの少ない使用周波数を自動的に選定する。これにより、変調伝送装置11a内の変復調回路17dwは使用周波数を確定させる。
【0024】
以上の説明では、あるタイミングまたは周期的に使用周波数調整手段31により使用周波数を自動的に選定する動作を行うようにしたが、電源起動または変調伝送装置リセット時に行うようにしてもよい。電源起動または変調伝送装置リセット時には、パワーオン・リセット手段24により、使用周波数調整手段31を動作させる。また、運転台に設置される表示操作器やパソコン等の保守用端末からの指令により、使用周波数を自動的に選定するようにすることも可能である。
【0025】
さらに、変復調回路17の使用周波数調整手段31は使用周波数を選定し、選定した結果の使用周波数を確定させたときは、図3に示すように、選定結果記録部32に記憶する。すなわち、使用周波数調整手段31は、使用周波数を選定したときはその使用周波数選定値を選定結果記録部32に記億し、変復調回路17は、電源再起動時や変調伝送装置リセット時に、その記憶した使用周波数選定値の使用周波数で伝送を行う。電源起動または変調伝送装置リセット時には、パワーオン・リセット手段24により使用周波数調整手段31を動作させる。尚、記憶した使用周波数選定値で伝送を開始した後に、前記説明に従い使用周波数選定を改めて行ってもよい。
【0026】
次に、使用周波数調整手段31は、OFDM方式で周波数帯を複数に分割し、別ネットワークとの信号干渉の影響を回避できるように、伝送路特性に合わせて分割した使用周波数帯を割り当てる動作について説明する。
【0027】
図5は周波数帯を3つに分割した例を示している。伝送線12、121の領域に対応させて、A領域、B領域、C領域の3つの領域に周波数帯を分割する。周波数帯は、例えば、2MHz〜30MHzである。そして、伝送線の領域(A領域、B領城、C領域)ごとにそれぞれ異なる領域の周波数帯を使用する。通常モードでは、図5(a)に示したように周波数帯をA領域、B領域、C領域で等分割して使用する。図6は伝送線の領域(A領域、B領域、C領域)ごとに異なる周波数帯fa〜fcを使用した場合の鉄道車両内情報ネットワーク装置の構成である。例えば、伝送線12aの使用周波数帯はA領域の周波数帯fa、伝送線12bの使用周波数帯はB領域の周波数帯fb、伝送線121、121b、121cの使用周波数帯はいずれもC領域の周波数帯fcとする。これにより、近接する伝送線12、121の使用周波数帯は異なる領域の周波数帯fa〜fcとなる。例えば、fa=2〜12MHz、fb=12〜22MHz、fc=22〜30MHzとなる。
【0028】
例えば、先頭の鉄道車両15aでは、変調伝送装置11aから引き出された伝送線=12a、121aは、それぞれ異なる領域の周波数帯fa、fcとなり、次の鉄道車両15bでは、変調伝送装置11bから引き出された伝送線12a、12b、121bは、それぞれ異なる領域の周波数帯fa、fb、fcとなる。そして、次の鉄道車両15cでは、変調伝送装置11cから引き出された伝送線12b、121cは、それぞれ異なる領域の周波数帯fb、fcとなる。これにより、各々の伝送線12、121の信号が干渉することはなくなる。
【0029】
本実施の形態にあって、周波数帯を3つに分割したが、動作モードに応じて分割する周波数帯領域の幅は変化させる。また、周波数帯faとfbとの間、fbとfcとの間は連続であっても連続でなくても構わない。また、図7に示すように、周波数fをさらに細かく分割し、A領域に対して、A0、A1、A2…の周波数fa0、fa1、fa2…を使用し、B領域に対して、B0、B1、B2…の周波数fb0、fb1、fb2…を使用し、C領域に対して、C0、C1、C2…の周波数fc0、fc1、fc2…を使用するようにしてもよい。さらに、図8に示すように、図5の周波数帯分割と図7の周波数分割を併用し、A領域に対してA0、A1、A2、…、Akの周波数fa0、fa1、fa2、…、fakを使用し、B領域に対してBm、Bm+1、Bm+2、…、Bnの周波数fbm、fbm+1、fbm+2、…、fbnを使用し、C領域に対してCp、Cp+1、Cp+2、…、Cqの周波数fcp、fcp+1、.fcp+2、…、fqを使用するようにしてもよい。
【0030】
[通常の動作モード]
通常の運転モードでは、図5(a)に示したように分割帯域A、B、Cは均等にし、隣接する変調伝送装置11間のデータ伝送には周波数帯A、Bを上り側と下り側で異ならせて使用し、表示装置101との間のデータ伝送には周波数帯Cを使用する。
【0031】
[サーバからの画像データ伝送モード]
先頭車両15aのサーバ10から画像データのような大容量のデータを各表示装置101に向けて伝送する場合には、周波数帯域を可変分割して使用する。まず、サーバ10から各変調伝送装置11に向けて画像データの伝送を通知する。これに対して、各変調伝送装置11の中継処理器18は使用周波数設定器19に対して画像データ伝送モードであることを通知する。この動作モード通知を受け取ると、使用周波数設定器19は、図5(b)に示したように変調伝送装置間データ伝送用の変復調回路17up、17dwに対してA帯域、B帯域を通常モードよりも一定幅だけ拡げる指令を出力する。この際、表示装置101に対する変復調回路17inには、C帯域を通常モードよりも一定幅だけ狭める指令を出力する。これにより、下流側の変調伝送装置11はその中継処理器18にて広い帯域で画像データを受信して隣接する他車両の変調伝送装置11に順次に中継するとともに、画像データ記憶部181に一時的に保持する。
【0032】
サーバ10からの画像データの伝送が止まれば、中継処理器18は使用周波数設定器19に対して車両内データ伝送モードに切り換える指令を出力する。これを受けて、使用周波数設定器19は、図5(c)に示したように変調伝送装置間データ伝送用の変復調回路17up、17dwに対してA帯域、B帯域を通常モードよりも一定幅だけ狭める指令を出力し、逆に、表示装置101に対する変復調回路17inにはC帯域を通常モードよりも一定幅だけ拡げる指令を出力する。これにより、画像データを表示装置101へ広帯域にて伝送し、大容量の画像データの伝送が速く行えるようにする。画像データの伝送完了後には、通常動作モードに復帰する。
【0033】
以上述べたように、本発明の実施の形態によれば、変調伝送装置に外来ノイズの影響や干渉の影響を回避するための送信出力調整手段、受信感度調整手段、使用周波数調整手段を持たせて調整を行うので、高周波通信用の伝送線である同軸ケーブルやシールド線でなくとも、鉄道車両内の高速な情報ネットワーク装置を構築することができる。
【0034】
加えて、画像データのような大容量のデータをサーバ10から各車両15内の表示装置101に伝送するのに、データが実際に伝送される伝送線12または121の周波数帯域を拡げることにより、例えばサーバから各車両15内の表示装置101にコンテンツをダウンロードするのに要する時間を短縮できるメリットがある。
【符号の説明】
【0035】
10…サーバ
11…変調伝送装置
12、121…伝送線
15…鉄道車両
17…変復調回路
18…中継処理器
19…使用周波数設定器
20…送信出力調整手段
21…送信回路部
22…受信回路部
24…パワーオン・リセット手段
25…変調制御部
31…使用周波数調整手段
32…選定結果記録部
101〜104…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各車両に搭載され、受信したデータを中継する変調伝送装置と、各車両に搭載された表示装置と、それぞれ隣接する車両上の前記変調伝送装置間および各車両上の変調伝送装置と表示装置との間を接続する伝送線と、特定の車両上に設置され、当該車両上の変調伝送装置に対して画像データを送出するサーバとを備えた鉄道車両内情報ネットワーク装置において、
前記変調伝送装置は、
前記隣接する他の変調伝送装置との間のデータ伝送および前記表示装置へのデータ伝送に使用する周波数帯を信号干渉の影響を回避できる伝送周波数帯に分割して使用する使用周波数調整手段と、
他の変調伝送装置から送られてきた前記画像データを保持する画像データ記憶手段と、
前記画像データ記憶手段に保持している画像データを前記表示装置に送信する画像データ再送手段とを具備し、
前記サーバは、各車両上の表示装置に表示させる画像データを前記特定の車両上の変調伝送装置に出力し、
前記変調伝送装置は、他の変調伝送装置から送られてきた前記画像データを中継するとともに前記画像データ記憶手段に保持し、当該画像データの中継後に前記画像データ記憶手段に保持している当該画像データを前記画像データ再送手段にて前記表示装置に送信することを特徴とする鉄道車両内情報ネットワーク装置。
【請求項2】
前記変調伝送装置は、
隣接する他の変調伝送装置から前記画像データを受信するサイドと隣接する他の変調伝送装置に前記画像データを中継して送信するサイドと、前記表示装置に前記画像データを伝送するサイドとで異なる周波数帯を使用し、
他の変調伝送装置から送られてきた前記画像データを中継するとともに前記画像データ記憶手段に保持する際には、隣接する変調伝送装置との間のデータ伝送に使用する周波数帯を共に一定域だけ広くし、かつ、前記表示装置との間のデータ伝送に使用する周波数帯を一定域だけ狭くし、
当該画像データの中継後に前記画像データ記憶手段に保持している当該画像データを前記画像データ再送手段にて前記表示装置に送信する際には、隣接する変調伝送装置との間のデータ伝送に使用する周波数帯を共に一定域だけ狭くし、かつ、前記表示装置との間のデータ伝送に使用する周波数帯を一定域だけ広くすることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両内情報ネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−247745(P2010−247745A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101035(P2009−101035)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】