説明

鉛の定量

【課題】
【解決手段】原水サンプル中の鉛の定量方法であって、有機コロイド材料の少なくとも1つの実質的な部分を溶解した水サンプル(予備処理水サンプル)を使用し、pH調整した予備処理水サンプルを起点として、鉛を濃縮して他の妨害イオンを少なくとも部分的に除去することにより、他の妨害イオンをほとんど含まない鉛濃縮水サンプル(鉛濃縮水サンプル)を得る第1のステップと、鉛濃縮水サンプルを起点として、鉛濃縮水サンプルを、蛍光強度と鉛含有量との関数が分かっている鉛感知用の選択性の蛍光プローブと混合し、次いで、このように構成された水と蛍光プローブとの混合物を光により励起し、このように励起された水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度を光学的に回収し、最後に、このように検知された蛍光強度に基づいて、蛍光強度と鉛含有量との関数により定量サンプルの鉛含有量を決定する第2のステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛の定量に関する。本発明は、特に、水または固体サンプル中の鉛の定量方法と、この方法を実施するための鉛の定量装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
鉛を定量すべき水は、一般に、河川水、地表水、水道水、飲料水またはその他である。鉛を定量すべき固体サンプルは、一般に、塗料、土壌またはその他である。
【0003】
原子吸収分光法または原子発光分光法による定量方法および装置は既に知られている。この技術は、高選択性であり、また、鉛の場合には優れた感度を有する(たとえば1リットル当たり鉛1μg、すなわち1ppb)。これを利用した装置は、一般に試験所向けであって、価格が高いと同時にかさばるので、輸送ができない。しかも、定量操作には長い時間がかかる。従って、これらの方法および装置は、当該分野の規格に照らし合わせて十分な感度を有する安価で携帯式かつ迅速に実施できる簡易装置を用いたオンサイトでの鉛定量には適さない。
【0004】
また、電気化学的な方法による鉛定量方法および携帯装置が知られている。複数の実施形態によれば、この装置の感度は0.1μgから2μgであって、水銀電極を用いることが必要となるので、それに固有の問題が生じ、あるいは3〜5分以上の分析時間を要するために、分析を迅速に実施可能にしなければならないオンサイトでの用途には適さない。さらに、これらは価格が高く、使い方が複雑である。
【0005】
非特許文献1は、カリクサレン誘導体を用いる蛍光プローブの光学物理特性および錯体形成特性について紹介し、特に、鉛のためのCalix−DANS4の選択性と感度とについて記載している。しかし、オンサイトでの定量に適した完璧な鉛の定量装置については開示していない。これらのカリクサレンの合成に関しては、非特許文献2に記載されている。非特許文献3は、Calix−DANS4化合物の実施をめざしており、この化合物については、上記の刊行物でも論じられている。
【0006】
非特許文献4は、蛍光測定によるカリウムイオンの検出のためのマイクロ流体デバイスを開示している。このような装置は、混合ゾーンと蛍光強度の測定チャンバとの2つの入口を有し、蛍光強度の測定チャンバには、光学的な励起手段と、励起後の蛍光強度を回収して分析する手段とが接続されている。この場合、上記デバイスは、カリウムイオンの定量用であって、鉛用ではない。
【0007】
非特許文献5は、第1のステップで鉛を濃縮し、第2のステップで、鉛濃縮水サンプルの水を、鉛を感知する選択性の蛍光プローブと混合し、このように実施された水と蛍光プローブとの混合物を光により励起し、このように励起された水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度を光学的に回収し、蛍光強度と鉛含有量との関数に基づいて定量サンプルの鉛含有量を決定する鉛の定量方法を開示している。記載された実施形態では、励起源がアルゴンイオンレーザであるので、この方法は、携帯装置では実施できない。しかも、この方法は、顕微鏡と、1つは毛管電気泳動用(予備分離および予備濃縮を行う場合)で、1つはナノ多孔質ダイヤフラムを介したサンプル導入用の、2つの高電圧電源とを使用しなければならない。さらに、この方法は、鉛の担体で鉛の特別なDNAザイムを用いることが必要である。
【0008】
また、従来技術では、以下のような文献を挙げることができる。
−非特許文献6
−非特許文献7
−非特許文献8
この文献は、循環槽内での蛍光測定に基づくものであるので、マイクロ流体に関するものではない。
−非特許文献9
−非特許文献10
この文献は、カリウム検知のためのマイクロ流体センサに関する。
【0009】
−特許文献1
この文献は、「クラスタ」(PbBr113−の蛍光による鉛検知方法を記載している。
従って、当該分野の規格に照らし合わせて十分な感度を有する安価で携帯式かつ迅速に実施できる簡易装置を用いてオンサイトで鉛を定量することが求められている。実際、鉛は、非常に毒性の強い重金属であり、人間の健康にとってきわめて有害な様々な作用の原因となっている(行動障害、癲癇、鉛中毒等)。鉛は、水(河川水、地表水、水道水、飲料水等)の中に、あるいは、塗料、土壌等の固体担体中にみられる。欧州規格によれば、人間が消費する水における鉛の許容限界は、過去には1リットル当たり鉛50μg(すなわち50ppb)であったが、2003年に1リットル当たり25μg(すなわち25ppb)に制限され、2013年末からはさらに1リットル当たり10μg(すなわち10ppb)に下げられる。その結果、鉛の定量は、様々な状況において、時には過酷な状況下で、迅速かつ簡単に、さらには確実かつ高い精度で、オンサイトで実施可能でなければならない。使用される装置は、小型で簡単に持ち運びできるものでなければならない。また、大量生産が可能であって、毒性のある廃棄物を発生しないものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第2008/0280366号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「Lead and Mercury Sensing by Calixarene−Based Fluoroionophores Bearing Two or Four Dansyl Fluorophores」Chemistry、A European Journal、2004年、10、4480−4490頁
【非特許文献2】Chem.Commun.2003年、996 (Metivier、LerayおよびValeur)
【非特許文献3】XP−002542450 「Detection de cations polluants a l’aide de fluoroionophores selectifs(選択性のフルオロイオノフォアを用いた汚染カチオンの検出)」(TIPE2005年度共通試験−パートD)
【非特許文献4】「A novel microfluidic flow−injection analysis device with fluorescence detection for cation sensing」Analytical&Bioanalytical Chemistry、2007年、387:2627、2627−2632頁
【非特許文献5】「Miniaturized Lead Sensor Based on Lead−Specific DNAzyme in a Nanocapillary Interconnected Microfluidinc Device」Envionnemental Science&Technology、2005年、10、3756−3761頁
【非特許文献6】「Chaotic mixer for microchannels」Science、第295巻、2002年、647−651頁
【非特許文献7】「Rate of access to the binding sites in organically modified silicates」Chem.Mater. 2002年、14、2757−2766頁
【非特許文献8】「Mas−Produced lonophore−Based Fluorescent Microspheres for Trace Level Determination of Leads ions」Anal.Chem. 第74巻、第20号、2002年10月15日、5251−5256頁
【非特許文献9】「New highly sensitive and selective catalytic DNA biosensors for metal ions」Biosensors&Bioelectoronics、Elsevier BV NL、第18巻、第5/06号、2003年5月1日、529−540頁
【非特許文献10】「A novel microfluidic flow−injection analysis device with fluorescence detection for cation sensing. Application to potassium」Anal Bional Chem、Spinger、2007年2月8日、2627−2632頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の要求に対応することをめざしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため、第1の態様によれば、本発明は、河川水、地表水、水道水、飲料水またはその他の水サンプル(原水サンプル)中の鉛を定量する方法を対象とし、有機コロイド材料の少なくとも1つの実質的な部分を溶解した、鉛の定量が望まれる水サンプル(予備処理水サンプル)を使用し、この方法は、以下の連続ステップ、すなわち、pH調整した予備処理水サンプルを起点として、鉛を濃縮して鉛濃縮水サンプルを得る第1のステップと、
鉛濃縮水サンプルを起点として、最初に、鉛濃縮水サンプルの水を、蛍光強度と鉛含有量との関数が分かっている鉛感知用の選択性の蛍光プローブと混合し、次いで、このように構成された水と蛍光プローブとの混合物を光により励起し、このように励起された水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度を光学的に回収し、最後に、このように検知された蛍光強度に基づいて、蛍光強度と鉛含有量との関数により定量サンプルの鉛含有量を決定する、第2のステップとを含み、第1のステップでは、第1のサブステップで、他の妨害イオンを固着しない選択性の吸収剤に、pH調整した予備処理水サンプルを通過させることにより鉛を吸収し、次いで、第2のサブステップで、鉛の脱着を実施し(鉛濃縮水サンプル)、少なくとも部分的に他の妨害イオンを除去して、他の妨害イオンをほとんど含まない鉛濃縮水サンプルを得ることを特徴とする。
【0014】
官能基を導入されたシリカペレットに、pH調整した予備処理水サンプルを通過させることにより鉛を吸着し、酸性化した水である溶離剤により脱着を実施して鉛濃縮水サンプルを得る。
【0015】
実施形態によれば、第1のステップでは、少なくとも濃縮係数25で鉛を濃縮し、カルシウムおよびナトリウムイオンを少なくとも部分的に除去し、第2の蛍光分析ステップで鉛と干渉する可能性のある妨害イオンを、これらの妨害イオンが第2の蛍光分析ステップの実施を可能にする濃度まで、除去する。
【0016】
さらに、1つの実施形態によれば、第1のステップは、第2のサブステップの脱着により得られる溶離水の濾過を行う第3のサブステップを含んでおり、第3のサブステップに続いて、この第3のサブステップにより得られる濾液に、アセトニトリル中に3‐クロロピリジンを溶かした溶液が添加される第4のサブステップが行われ、最終pHが3である。
【0017】
1つの実施形態によれば、原水サンプルを起点としており、予備ステップでは、酸性化サブステップの後に、無機化サブステップを実施することによって、有機コロイド材料の少なくとも1つの実質的な部分を溶解する(予備処理水サンプル)。この場合、1つの実施形態によれば、予備ステップが、室温で約1時間にわたって超純粋濃縮硝酸(69% HNO)を添加することによりpH2未満に酸性化することからなる。別の実施形態によれば、予備ステップが、硝酸の添加によるpH2未満への酸性化サブステップと、温度約80℃で約1時間にわたって約2%の酸化水を添加することによる無機化サブステップとからなる。
【0018】
1つの実施形態によれば、予備ステップの後および第1のステップの前に、特に炭酸ナトリウムを添加することにより、予備処理水サンプルのpH値を約10にする。別の特性によれば、第2のステップに対して、pHが約3に調整される。1つの実施形態によれば、蛍光プローブは、アセトニトリルと水とを混合して混合物中のpHが3である溶媒に溶かした、濃度約2×10−6MのフルオロイオノフォアCalix−DANS4である。この場合、鉛濃縮水サンプルでは、カルシウム濃度が100mg/リットル未満であり、ナトリウム濃度が11.5mg/リットル未満であって、これは、蛍光プローブの選択性が考慮されたものである。
【0019】
1つの実施形態によれば、マイクロ流体デバイスで第2のステップを実施する。1つの実施形態によれば、発光ダイオードを用いて水と蛍光プローブとの混合物を光によって励起し、このように励起された水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度を、光検知器が結合された光ファイバを用いて回収する。
【0020】
前述のような本発明による方法によれば、鉛の定量が望まれる水1リットルについて2μgの含有量まで鉛を検知することができる。
【0021】
第2の態様によれば、本発明は、上記の方法を実施するために、地表水、飲料水またはその他の水の中の鉛を定量する装置を対象とし、この方法の第1のステップを実施可能にすることができる上流側の第1の動作アセンブリと、この方法の第2のステップを実施可能にすることができる下流側の第2の動作アセンブリとを含み、この第2のアセンブリが、
一方では鉛濃縮水サンプルのための入口を、他方では蛍光プローブのための入口を有し、上流から下流に流体通路で、水と蛍光プローブとの混合ゾーンと、蛍光強度測定チャンバと、残留物の出口とを有する、マイクロ流体デバイスと、水と蛍光プローブとの混合物を励起する光手段と、このように励起された水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度の回収手段とを含み、この双方の手段が、横方向に測定チャンバに結合され、あるいは互いに垂直に接続され、励起が、測定チャンバの面で行われ、放射の回収が、測定チャンバに対して垂直方向に行われ、また、検知された蛍光強度から、蛍光強度と蛍光プローブの鉛含有量との関数に基づいて定量サンプルの鉛含有量を決定するようにプログラムされた計算手段を含み、第1のアセンブリは、予備処理水サンプルが通過可能な、官能基を導入された微小シリカペレットのマイクロカラムをなす少なくとも1つの毛細管を含んでいることを特徴とする。
【0022】
1つの実施形態によれば、マイクロ流体デバイスの混合ゾーンが、アクティブまたはパッシブな混合手段を含み、特に混合用のジグザグ部が組み込まれている。
【0023】
1つの実施形態によれば、マイクロ流体デバイスの蛍光強度測定チャンバが拡張されて、流体分配装置を含んでいる。
【0024】
1つの実施形態によれば、水と蛍光プローブとの混合物を励起する光手段が、少なくとも1つの励起用の光ファイバに結合された少なくとも1つの発光ダイオードを含んでおり、水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度の回収手段が、少なくとも1つの回収用の光ファイバに結合された少なくとも1つの光検知器を含んでいる。
【0025】
予備ステップを含む方法の事例に適した実施形態によれば、前述のように、装置はさらに、第1のアセンブリの上流側に、この方法の予備ステップを実施可能にすることができる予備アセンブリを含んでいる。1つの実施形態によれば、装置は、少なくとも部分的に組み込まれるマニュアル携帯式の小型アセンブリを形成する。
【0026】
第3の態様によれば、本発明は、固体担体から鉛を予め抽出し、鉛を含まない水にこれを溶かし、次いで、前述のように水で鉛の定量方法を実施する、固体担体における鉛の定量方法を対象とする。次に、添付図面を用いて本発明の複数の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】上流側の第1の動作アセンブリおよび下流側の第2の動作アセンブリと、第1のアセンブリの上流側の予備アセンブリとを含み、本発明による方法が前述の予備ステップを含む場合に適している、本発明による鉛定量装置の概略的な立面図である。
【図2】第1の動作アセンブリの一部を示す概略的な立面図である。
【図3】第2の動作アセンブリを示す概略的な斜視図である。
【図4】第2の動作アセンブリのマイクロ流体デバイスを示す概略的な立面図である。
【図5】第2の動作アセンブリのマイクロ流体デバイスの測定チャンバを示す概略的な立面図である。
【図6】第2の動作アセンブリのマイクロ流体デバイスの較正曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、水サンプル(便宜上、原水サンプルと呼ぶ)中に含まれる鉛の定量方法について説明する。前述のように、水は、場合に応じて、河川水、地表水、水道水、飲料水、または特に衛生上の目的で鉛を定量することが望ましい他のあらゆる水である。
【0029】
この原水サンプルはオンサイトで採取され、この方法は、定量装置1を用いてオンサイトで実施される。場合によって原水サンプルは、定量が実施される場所に搬送される。実施される方法を考慮して、定量装置1は、手で持ち運べる携帯式であり、少なくとも部分的に組み込まれる小型アセンブリを形成し、たとえばケース2に収容することができる。そのため、この定量装置1は、所望のあらゆる場所、特に、オンサイトすなわち定量すべき原水サンプルを採取する場所に運ぶことができる。
【0030】
原水サンプルを起点として、予備処理を行う予備ステップでは、このサンプルが含む有機コロイド材料の少なくとも1つの実質的な部分を溶解する。このため、1つの実施形態によれば、室温で約1時間にわたって超純粋濃縮硝酸(69% HNO)を添加することにより、pH2未満に酸性化することが可能である。
【0031】
加熱と酸化水の添加とを伴う1つの変形実施形態によれば、最初に、超純粋濃縮硝酸(69% HNO)の添加によりpH2未満への酸性化を行うサブステップを実施し、次いで、1時間にわたって温度80℃で2%の量の酸化水を添加することにより無機化を行うサブステップを実施する。
【0032】
このようにして、原水サンプルの有機コロイド材料の少なくとも1つの実質的な部分が溶解される。予備処理を行うこうした予備ステップ後に得られた水サンプルを、便宜上、予備処理水サンプルと呼ぶ。
【0033】
有機コロイド材料が原水サンプルに既に溶解されていたり、あるいは原水サンプルになかったりあったりする可能性があるが、この方法の実施には支障はない。この場合、上記の予備処理を行う予備ステップは実施されない。しかしながら、以下の説明では、便宜上、予備処理を行う予備ステップを実施し、その結果として予備処理水サンプルを使用するものとする。
【0034】
上記の予備処理ステップの後および/またはこの方法の第1のステップの前に、特に炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の1つの塩基の添加により、予備処理水サンプルのpH値を10にする。このようにして、便宜上、pH調節された予備処理水サンプルと呼ばれる水サンプルが得られる。pH値10は、この方法の後段の第1のステップで鉛の全体的な吸収を可能にするように決定されている。
【0035】
定量装置1は、ケース2内に、予備処理が行われる予備ステップを実施可能にする入口3を備えた予備動作アセンブリを含み、この予備ステップの後にpH調整が行われる。入口3を備えたこの予備動作アセンブリ(図1の左側部分)は、便宜上、第1の予備濃縮動作アセンブリ4と呼ばれる動作アセンブリの上流に機能的に配置される。
【0036】
その場合、実際には、この方法は、第1のステップを含み、この第1のステップで、10に近いpH値に調整された予備処理水サンプルを起点として鉛を濃縮すると同時に、他の妨害イオンを少なくとも部分的に除去する。この第1のステップにより、便宜上、鉛濃縮水サンプルと呼ばれる水サンプルが得られる。
【0037】
このため、第1のサブステップでは、他の妨害イオンを固着しない選択性の吸収剤に、10に近いpH値に調整した予備処理水サンプルを通過させることにより、このサンプルの鉛イオンPb2+を吸収する。
【0038】
次いで、第2のサブステップで、ごくわずかな容量の酸性溶液を用いて溶離により鉛の脱着を行う。一般に、予備処理水サンプル25mlをカラムに流すと、溶離容量は0.5mLとなり、濃縮係数は50になる。pH2の場合、以前に吸収されたすべての鉛が、その後、脱着される。
【0039】
次いで、第3のサブステップでは、溶離水の濾過を行う。
【0040】
さらに、第4のサブステップでは、アセトニトリル中に3‐クロロピリジンを溶かした溶液を濾液に添加し、新しい溶液の最終pHは、アセトニトリル(60容量%)と水(40容量%)との混合液中で3になる。この緩衝液の使用により、その後、鉛と干渉し得るアルカリイオンまたはアルカリ土類イオンの添加が回避される。この第4のサブステップの後に、わずかな容量の水を添加すると、濃縮係数が50〜31.25に下がり、すなわち少なくとも25になる。
【0041】
これらのサブステップは、予備濃縮動作アセンブリ4で実施される(図1の中央部分)。
このため、第1および第2のサブステップに関しては、10に近いpH値に調整した予備処理水サンプルを、3−アミノプロピル基(Aldrich製品番号:36425−8)によって官能基を導入されたシリカマイクロペレットに通す。あるいは、検出すべき重金属の特別なリガンドで官能基化されるナノ多孔性のシリカペレットの使用を検討することもできる。その結果、「シリカマイクロペレット」という表現は、官能基を導入されたものと理解し、あらゆる同等構造を含む。
【0042】
次いで、溶離による脱着を行うが、溶離剤は、pHが2に近い酸性化された純水であり、たとえば、過塩素酸水溶液である。このようにして、濾過後、60/40容量%のアセトニトリルと水の混合物中に3−クロロピリジンを添加することによってpHを3まで調整し、鉛濃縮水サンプルと呼ぶサンプルを得る。
【0043】
1つの実施形態では、図2に概略的に示したように、第1の予備濃縮アセンブリ4が、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の少なくとも1つの毛細管5を有し、この毛細管は、一端を絞って狭められ、官能基化されたマイクロシリカペレットのマイクロカラム6を形成し、あるいは含有する。毛細管5には、pH値を10近くに調整した予備処理水サンプルが通過することができる。鉛、場合によっては他の重金属は、官能基化されたマイクロシリカペレットの表面に吸収される。それに対して、水中にしばしば過度に存在するカルシウムイオンとナトリウムイオンは、官能基化されたマイクロシリカペレットにより捕集されないので、これらのイオンは、脱着後に溶離剤で除去される。
【0044】
官能基化されたマイクロシリカペレットのマイクロカラム6が、原水サンプル中に存在する有機コロイド材料によって詰まらないようにするために、前述のように予備処理を実施する。その機能は、有機コロイド材料を溶けやすくすることにある。脱着後に行われる濾過は、たとえば、孔径0.45μmのニトロセルロースフィルタを用いて実施される。
【0045】
濾液には、アセトニトリル中に3−クロロピリジンを溶かした溶液を添加し、最終的に、新しい溶液のpHが、アセトニトリル(60容量%)と水(40容量%)との混合物中で3になるようにする。この溶媒混合物は、第2の分析ステップで蛍光プローブを溶解するために使用される混合物と同じであり、これによって、マイクロ流体ダクトにおける熱作用を回避する。このような条件で行われる鉛の濃縮は、少なくとも25、特に30またはその前後の濃縮係数でなされる。
【0046】
他方で、吸収/脱着操作と同時に、また、この操作によって、少なくとも部分的にカルシウムイオンとナトリウムイオンとを除去し、一般的には、蛍光分析からなるこの方法の第2のステップで鉛と干渉し得る妨害イオンを除去する。こうした除去は、これらの妨害イオンがあっても第2のステップの実施が可能になるような濃度まで、すなわち、有効鉛含有量の顕著な蛍光強度を検知することができる濃度まで行われる。実際、カルシウムイオンは、一定の濃度では鉛と干渉するが、他の濃度では干渉しないので、それ以下になれば鉛と干渉しない値にカルシウムイオンの濃度を制限することが必要である。
【0047】
当然のことながら、上記の吸収、脱着、および濾過の操作条件は、特に、マイクロペレットカラム6内のフローあるいは溶離液中の過塩素酸の濃度に関して最適化される。その場合、この方法は、上記の第2のステップを含み、3−クロロピリジン緩衝液を事前に添加してpH3に調整された鉛濃縮水サンプル(すなわち分析物)を起点として、蛍光による鉛分析を実施する。
【0048】
この第2のステップは、第2の分析動作アセンブリ7で行われる。第2のアセンブリ7(図1の右側部分)は、機能的に第1の予備濃縮アセンブリ4の下流に配置される。第2の分析ステップは、鉛を感知する選択性の蛍光プローブと、第2の分析アセンブリ7の一部をなすマイクロ流体デバイス8とを用いて実施される。
【0049】
鉛を感知する選択性の蛍光プローブの蛍光強度と鉛含有量との関数は、そもそも知られており、あるいは設定されている。この関数は、図6に示したような較正曲線で示すことができる。本発明の場合、曲線は、減少線形関数に近いことが確認される。そのため、所定の蛍光強度に基づいて上記の関数または曲線が分かれば、これは確認されているので、この蛍光強度に対応する鉛含有量を、誤差を生じるおそれなしに正確に決定することができる。この関数または曲線は、プログラムされた計算手段にロード可能である。
【0050】
第2の分析ステップは、それ自体が3個の連続するサブステップを含んでいる。すなわち、鉛を感知する選択性の蛍光プローブと鉛濃縮水サンプルとを混合する第1のサブステップと、このような混合物を光により励起して、このように励起された混合物の蛍光強度を光学的に回収する第2のサブステップと、最後に、上記の蛍光強度と鉛含有量との関数に基づいて、定量すべきサンプルの鉛含有量を決定する第3のサブステップとである。
蛍光プローブは、アセトニトリル(60容量%)と水(40容量%)との混合物である溶媒に溶かしたフルオロイオノフォアCalix−DANS4であり、混合物のpHは3、濃度は2×10−6Mである。
【0051】
この錯体Calix−DANS4/鉛の構造式は次のとおりである。
[構造式]

【0052】
考慮された事例では、鉛に関する蛍光プローブの選択性を考慮して、鉛濃縮水サンプル中で、カルシウム濃度が100mg/リットル未満、ナトリウム濃度が11.5mg/リットル未満であり、あるいはそのようにすることが可能である。
【0053】
既に述べたように、酸性pH値は3である。実際、蛍光プローブの使用pHは、重要なパラメータである。なぜなら、ダンシル基に固定される4つの窒素による鉛の錯体化は、特にpHを感知しやすいからである。酸性pHは、鉛を錯体化可能にしない傾向があり、窒素はプロトン化される。塩基性pHは、この作用を持たないが、光学的な励起後に確認される蛍光変化を十分でないものにしようとする傾向がある。本発明のように、光による励起が波長365nmで行われ、検知が波長515nm以上で行われる場合、有効な蛍光定量を実施するにはpH3が好ましいことが確認されている。
【0054】
マイクロ流体デバイス8は、ガラス基板10に固定されるポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーンポリマー等の材料で成形された、Y字型のマイクロダクト9の形状を呈する。変形実施形態では、マイクロ流体デバイス8は、Y字型を出発点として、錯体化反応全体を実施するために選択された適切な長さを有する軌道に続く、マイクロダクト9の形状を呈する。マイクロダクト9は、鉛濃縮水サンプル(分析物)のための入口11と、蛍光プローブ(試薬)のための入口12とを有する。上流から下流に流体通路で、マイクロダクト9が、水と蛍光プローブとを混合する細長いゾーン13と、蛍光強度を測定する拡張されたチャンバ14と、残留物の出口15とを有する。
【0055】
図4に示された実施形態では、混合ゾーン13が、試薬と分析物とをパッシブに混合することが可能な、混合用の内部ジグザグ部(chevrons)16を備えている。もちろん、別のアクティブまたはパッシブな混合構造を備えていてもよい。
【0056】
図5に示された実施形態では、測定チャンバ14が拡張されていて、デフレクタの形状をとる1つまたは複数の流体分配装置17を含んでいる。マイクロ流体デバイス8には、水と蛍光プローブとの混合物を励起する光励起手段18と、水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度を回収する光学手段19とが結合されている。これらの光励起手段18と、蛍光強度を回収する光学手段19とは、特に流体分配装置17の下流で、測定チャンバ14に対して横方向に結合され、あるいは互いに垂直に結合される。励起は、測定チャンバの面で行われ、放射の回収は、測定チャンバに垂直な方向に行われる。
【0057】
1つの実施形態によれば、光励起手段18は、電源21と励起用の光ファイバ22、場合によってはレンズ23が結合された、少なくとも1つの発光ダイオード20を含む。
この実施形態では、発光ダイオード20が、365nmの放射を行うように選択されている。
【0058】
1つの実施形態によれば、蛍光強度を回収する光学手段19は、光検知器25が接続される励起用の光ファイバ22に対して直交するように配置された、回収用の導電性光ファイバ24を含んでおり、光検知器の前方にはハイパス光学フィルタ28が配置される(λ>515nm)。マイクロ流体デバイス8には、また、計算手段26が結合されており、計算手段は、この計算手段26にロードされた蛍光プローブの蛍光強度と鉛含有量との関数に基づいて、検知および収集された蛍光強度から定量すべきサンプルの鉛含有量を決定するようにプログラムされている。コンピュータ等の計算手段26は、ディスプレイ手段、保存手段、データ印刷手段を含む。
【0059】
さらに、同期検知増幅器27により、暗騒音を免れることができる。いうまでもないが、上記の方法の各ステップは、多少とも大規模な内蔵を意味し、その場合、これは、定量装置1にマイクロ流体デバイス8を多少とも多く組み込むことを意味する。そのため、マイクロ流体デバイス8は、定量すべきサンプルのための単一の入口だけを備えるように構成してもよく、その一方で、蛍光プローブのリザーバを定量装置1に内蔵し、マイクロ流体デバイス8には、適切なバルブや弁体等を設ける。
【0060】
以上、本発明による方法によって、鉛の定量が望まれる水1リットルに対し2μgの量まで鉛を検知可能であり、これは、飲料水に対して2013年の規格で要求されている閾値すなわち10μg/リットルを十分にクリアする。この方法は、さらに、鉛に対する選択性があるという長所を有する。実際、鉛の定量は、カルシウムおよびナトリウムが、水1リットルに対して、ナトリウムは11.5mgの濃度まで、カルシウムは100mgまで水中に存在していても実施可能である。
【0061】
たとえ鉛のように微量な状態で存在する他の重金属イオンがマイクロカラムの通過後に予め濃縮されていると仮定しても、鉛に対する蛍光プローブの選択性を考慮すれば、これらが第2のステップで検知されることはない。さらに展開した本発明の構成によれば、鉛の定量方法は、塗料、土壌、またはその他等の固体担体向けである。この場合、予め固体担体のサンプルから鉛を抽出し、これを、鉛を含まない水に溶かす。次いで、前述のように水中の鉛の定量方法を実施する。
【符号の説明】
【0062】
1 定量装置
2 ケース
4 第1の予備濃縮動作アセンブリ
7 第2の分析動作アセンブリ
8 マイクロ流体デバイス
9 マイクロダクト
10 ガラス基板
11 鉛濃縮水サンプルのための入口
12 蛍光プローブのための入口
13 混合ゾーン
14 蛍光強度の測定チャンバ
15 残留物の出口
16 ジグザグ部
17 流体分配装置
18 光励起手段
19 蛍光強度の回収用の光学手段
20 発光ダイオード
21 電源
22 励起用の光ファイバ
23 レンズ
24 回収用の光ファイバ
25 光検知器
26 計算手段
27 同期検知増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機コロイド材料の少なくとも1つの実質的な部分を溶解した鉛の定量が望まれる水サンプルを使用した、河川水、地表水、水道水、飲料水またはその他の水サンプル中の鉛を定量する方法であって、
pH調整した予備処理水サンプルを起点として、鉛を濃縮して鉛濃縮水サンプルを得る第1のステップと、
前記鉛濃縮水サンプルを起点として、前記鉛濃縮水サンプルの水を、蛍光強度と鉛含有量との関数が分かっている鉛感知用の選択性の蛍光プローブと混合し、次いで、このように構成された前記水と蛍光プローブとの混合物を光により励起し、このように励起された前記水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度を光学的に回収し、最後に、このように検知された前記蛍光強度に基づいて、前記蛍光強度と鉛含有量との関数により前記定量サンプルの鉛含有量を決定する、第2のステップとを含む方法において、
前記第1のステップでは、
第1のサブステップで、他の妨害イオンを固着しない選択性の吸収剤に、前記pH調整した予備処理水サンプルを通過させることにより鉛を吸収し、第2のサブステップで、前記鉛の脱着を実施し(鉛濃縮水サンプル)、少なくとも部分的に前記他の妨害イオンを除去して、前記他の妨害イオンをほとんど含まない鉛濃縮水サンプルを得ることを特徴とする鉛を定量する方法。
【請求項2】
前記第1のステップでは、
官能基を導入されたシリカペレットに、前記pH調整した予備処理水サンプルを通過させることにより鉛を吸着し、
酸性化した水である溶離剤により脱着を実施して、鉛濃縮水サンプルを得ることを特徴とする請求項1に記載の鉛を定量する方法。
【請求項3】
前記第1のステップでは、少なくとも濃縮係数25で鉛を濃縮することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉛を定量する方法。
【請求項4】
前記第1のステップでは、カルシウムおよびナトリウムイオンを少なくとも部分的に除去することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項5】
前記第1のステップでは、前記第2の蛍光分析ステップで鉛と干渉する可能性のある前記妨害イオンを、これらの妨害イオンが前記第2の蛍光分析ステップの実施を可能にする濃度まで除去することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項6】
前記第1のステップは、前記第2のサブステップの脱着により得られる溶離水の濾過を行う第3のサブステップを含んでいることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項7】
前記第3のサブステップに続いて、この第3のサブステップにより得られる濾液に、アセトニトリル中に3‐クロロピリジンを溶かした溶液が添加される第4のサブステップが行われ、最終pHが3であることを特徴とする請求項6に記載の鉛を定量する方法。
【請求項8】
原水サンプルを起点としていること、および、予備ステップでは、有機コロイド材料の少なくとも1つの実質的な部分を溶解することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項9】
予備ステップが、室温で約1時間にわたって超純粋濃縮硝酸(69% HNO)を添加することによりpH2未満に酸性化することからなることを特徴とする請求項8に記載の鉛を定量する方法。
【請求項10】
予備ステップが、硝酸の添加によるpH2未満への酸性化を行うサブステップと、温度約80℃で約1時間にわたって約2%の酸化水を添加することによる無機化サブステップとからなることを特徴とする請求項8に記載の鉛を定量する方法。
【請求項11】
前記予備ステップの後および/または前記第1のステップの前に、前記予備処理水サンプルのpH値を約10にすることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項12】
炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の1つの塩基の添加により前記予備処理水サンプルのpH値を約10にすることを特徴とする請求項11に記載の鉛を定量する方法。
【請求項13】
前記第2のステップに対して、pHが約3に調整されることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項14】
前記蛍光プローブは、アセトニトリルと水とを混合して混合物中のpHが3である溶媒に溶かした、フルオロイオノフォアCalix−DANS4であることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項15】
前記蛍光プローブは、濃度約2×10−6Mであることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項16】
前記鉛濃縮水サンプル中では、カルシウム濃度が100mg/リットル未満であり、ナトリウム濃度が11.5mg/l未満であることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項17】
前記第2のステップをマイクロ流体デバイスで実施することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項18】
発光ダイオードを用いて前記水と蛍光プローブとの混合物を光によって励起し、このように励起された前記水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度を、光検知器が結合された光ファイバを用いて回収することを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項19】
鉛の定量が望まれる水1リットルについて2μgの含有量まで鉛を検知することを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか一項に記載の鉛を定量する方法。
【請求項20】
地表水、飲料水またはその他の水の中の鉛を定量する装置であって、
前記第1のステップを実施可能にすることができる上流側の第1の動作アセンブリと、
前記第2のステップを実施可能にすることができる下流側の第2の動作アセンブリとを含み、
前記第2のアセンブリが、
一方では前記鉛濃縮水サンプルのための入口を、他方では前記蛍光プローブのための入口を有し、上流側から下流側に流体通路で、水と蛍光プローブとの混合ゾーンと、蛍光強度測定チャンバと、残留物の出口とを有する、マイクロ流体デバイスと、
前記水と蛍光プローブとの混合物を励起する光手段と、このように励起された前記水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度の回収手段とを含み、この双方の手段が、横方向に前記測定チャンバに結合され、あるいは互いに垂直に接続され、励起が、前記測定チャンバの面で行われ、放射の回収が、前記測定チャンバに対して垂直方向に行われ、
また、検知された前記蛍光強度から、前記蛍光強度と蛍光プローブの鉛含有量との関数に基づいて前記定量サンプルの鉛含有量を決定するようにプログラムされた計算手段を含む装置において、
前記第1のアセンブリは、前記予備処理水サンプルが通過可能な、官能基を導入された微小シリカペレットのマイクロカラムをなす少なくとも1つの毛細管を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項21】
前記マイクロ流体デバイスの前記混合ゾーンが、アクティブまたはパッシブな混合手段を含み、特に混合用のジグザグ部が組み込まれていることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記マイクロ流体デバイスの前記蛍光強度測定チャンバが拡張されて、流体分配装置を含んでいることを特徴とする請求項20または請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記水と蛍光プローブとの混合物を励起する前記光手段が、少なくとも1つの励起用の光ファイバに結合された少なくとも1つの発光ダイオードを含んでおり、前記水と蛍光プローブとの混合物の蛍光強度の前記回収手段が、少なくとも1つの回収用の光ファイバに結合された少なくとも1つの光検知器を含んでいることを特徴とする請求項20〜請求項22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
さらに、前記第1のアセンブリの上流側に、この方法の前記予備ステップを実施可能にすることができる予備アセンブリを含んでいることを特徴とする、請求項8〜請求項19のいずれか一項に従属し、かつ請求項20〜請求項23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
少なくとも部分的に組み込まれるマニュアル携帯式の小型アセンブリを形成することを特徴とする請求項20〜請求項24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
固体担体から鉛を予め抽出し、鉛を含まない水にこれを溶かし、
次いで、請求項1〜請求項19のいずれか一項に記載の水で鉛の定量方法を実施する、
固体担体における鉛の定量方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−511710(P2012−511710A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540165(P2011−540165)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052450
【国際公開番号】WO2010/067012
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511134470)セントレ ナショナル デ ラ ルシェルシェ サイエンティフィック−シーエヌアールエス (2)
【Fターム(参考)】