説明

銀錯体

【課題】白金族金属の錯体と比べて安価であり、錯体を溶液中に溶解させた状態における発光量子効率が高い金属錯体を提供することを課題とする。
【解決手段】下記式(1)で表される銀錯体。
【化1】


(式中、2つのRは、共に水素原子であるか、又は2つのRが互いに結合して−CH=CH−を形成する。Rは、フェニル基又は直鎖状ヒドロカルビル基であり、2つのRは同じでも異なっていてもよい。Arは、フェニル基であり、該フェニル基における水素原子は、アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で置換されてもよい。4つのArは同じでも異なっていてもよい。Zはアニオンである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)等の発光素子に用いる発光材料として、イリジウム錯体を代表とする白金族金属を用いた燐光発光錯体が有望視されているものの、イリジウムは白金族金属の中でも希少であり、非常に高価である。
そのため、コスト面で有利である安価な金属を用いる錯体が、種々検討されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Coord.Chem.Rev.250,2093−2126(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、公知の安価な金属の錯体は、錯体を溶液中に溶解させた状態における発光量子効率が不十分であった。
【0005】
そこで、本発明は、白金族金属の錯体と比べて安価であり、錯体を溶液中に溶解させた状態における発光量子効率が高い金属錯体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記〔1〕〜〔3〕の銀錯体を提供する。
〔1〕下記式(1)で表される銀錯体。
【化1】

(式中、2つのRは、共に水素原子であるか、又は2つのRが互いに結合して−CH=CH−を形成する。Rは、フェニル基又は直鎖状ヒドロカルビル基であり、2つのRは同じでも異なっていてもよい。Arは、フェニル基であり、該フェニル基における水素原子は、アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で置換されてもよい。4つのArは同じでも異なっていてもよい。Zはアニオンである。)
〔2〕下記式(2)で表される、上記〔1〕に記載の銀錯体。
【化2】

(式中、R、Ar及びZの定義は上記式(1)と同じである。)
〔3〕上記式(1)又は(2)中の4つのArがメチル基で置換されてもよいフェニル基である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の銀錯体。
【0007】
また、本発明は、下記の発光素子を提供する。
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の銀錯体を含む発光素子。
【発明の効果】
【0008】
本発明の銀錯体は、白金族金属の錯体に比べて安価であり、固体状態において発光量子効率が高く、更に錯体を溶液中に溶解させた状態においても発光量子効率が高い。このことから本発明の銀錯体は、錯体周囲の環境が振動しにくい状態から、振動しやすい状態まで幅広く、高い発光量子効率を保持できる錯体であると言える。したがって、本発明の銀錯体は有機EL素子等の発光素子に利用される発光材料として好適である。本発明の銀錯体を利用した有機EL素子等の発光素子は高い発光効率を発現できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の銀錯体は、発光材料としての利用に好適である。発光性の観点からは、本発明の銀錯体の好ましい一形態として、室温空気下において、固体発光量子効率が0.5%以上を示す銀錯体が挙げられる。
【0010】
本発明の銀錯体は、下記式(1)で表される銀錯体である。
【0011】
【化3】

【0012】
式中、2つのR1は、共に水素原子であるか、又は2つのR1が互いに結合して−CH=CH−を形成する。Rは、フェニル基又は直鎖状ヒドロカルビル基であり、2つのRは同じでも異なっていてもよい。Arは、フェニル基であり、該フェニル基における水素原子は、アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、又は、トリフルオロメチル基で置換されてもよい、4つのArは同じでも異なっていてもよい。Zはアニオンである。
【0013】
は、フェニル基又は直鎖状ヒドロカルビル基であり、好ましくはフェニル基又は炭素原子数が1〜10の直鎖状アルキル基である。Rの例としては、フェニル基、メチル基、エチル基、直鎖状プロピル基、直鎖状ブチル基、直鎖状ペンチル基、直鎖状ヘキシル基、直鎖状ヘプチル基、直鎖状オクチル基、直鎖状ノニル基、及び直鎖状デシル基が挙げられ、好ましくはフェニル基、メチル基、エチル基、直鎖状プロピル基、直鎖状ブチル基、直鎖状ヘキシル基、及び直鎖状オクチル基であり、より好ましくはフェニル基、メチル基、エチル基、及び直鎖状ヘキシル基であり、更に好ましくはフェニル基、メチル基、及び直鎖状ヘキシル基である。
【0014】
Arは、置換されていてもよいフェニル基である。本明細書において、「置換されていてもよいフェニル基」とは、「置換基を有していてもよいフェニル基」と同義である。即ち、Arは、フェニル基を構成する水素原子が無置換の場合及び水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の双方を含む。Arであるフェニル基が有し得る置換基は、アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基である。Arにおけるアルキル基及びアルキルオキシ基は、直鎖状であっても分岐していてもよく、環構造を含んでいてもよい。
【0015】
Arであるフェニル基が有し得る置換基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;及びトリフルオロメチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基である炭素原子数1〜6の直鎖状アルキルオキシ基;フッ素原子;及びトリフルオロメチル基が挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基である炭素原子数1〜4の直鎖状アルキルオキシ基;及びフッ素原子が挙げられ、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基である炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基;及びメトキシ基が挙げられ、特に好ましくはメチル基である。
【0016】
Arであるフェニル基が有し得る置換基の位置としては、好ましくは、1−位をPに結合する位置とした場合、2,3,4,5,6−位、2,4,6−位、3,4,5−位、2,6−位、2,4−位、3,5−位、3,4−位、2−位、3−位、4−位であり、より好ましくは、2,3,4,5,6−位、2,4,6−位、3,4,5−位、2,6−位、2,4−位、2−位、4−位であり、更に好ましくは、2,4,6−位、2,6−位、2−位、4−位であり、特に好ましくは、2,4,6−位、2−位、4−位であり、とりわけ好ましくは、2−位である。
【0017】
Arであるフェニル基が有し得る置換基の数は、0個〜5個であり、好ましくは0個、1個、2個、3個、5個であり、より好ましくは0個、1個、2個、3個であり、更に好ましくは0個、1個、3個であり、特に好ましくは0個又は1個である。
【0018】
4つのArは同じでも異なっていてもよいが、好ましくは4つのAr全てが同じであるか、又は、4つのArのうち2つのArが同じであり、且つもう2つのArが同じであり、更に好ましくは4つのAr全てが同じである。
【0019】
Zはアニオンである。その例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、及び、これらのイオンの構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物のアニオンが挙げられ、好ましくは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオンであり、より好ましくは、硝酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオンであり、更に好ましくは、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオンである。
【0020】
本発明の銀錯体の好ましい一形態は、下記式(2)で表される。
【0021】
【化4】

【0022】
式(2)中、R、Ar及びZの定義は、上記式(1)と同じである。
【0023】
式(2)において、Arの例は、下記のとおりである。1−位をPに結合する位置とした場合、Arの例としては、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル基、2−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル基、4−メトキシ基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、フェニル基が挙げられ、好ましくは、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル基、2−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル基、4−メトキシ基、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、フェニル基である。
【0024】
Arは、メチル基で置換されていてもよいフェニル基であることが好ましい。
Arとしてより好ましくは、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル基、2−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−メチルフェニル基、フェニル基であり、更に好ましくは、2−メチルフェニル基、フェニル基である。
【0025】
本発明の銀錯体は、溶媒中で銀塩と銀錯体を構成する分子とを混合する等の常法に従って製造できる。
【0026】
本発明の銀錯体の製造方法は、例えば、1mmolの(10,10−ジメチル−フェノキサシリン−4,6−ジイル)−ビス(ジフェニルホスフィン)と、1mmolのテトラフルオロホウ酸銀(I)と、溶媒(例えば、アセトニトリルやジクロロメタン)30mLとを混合し、10分程度室温で撹拌し反応させた後、1mmolの2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリンを加え、30分程度加熱し還流させる。反応液をろ過し、ろ液の溶媒をゆっくりと留去して再結晶を行うことにより製造することができる。
【0027】
また本発明は、上記本発明の銀錯体を含む発光素子を提供する。以下、本発明の発光素子について説明する。本発明の発光素子の好ましい一形態としては、上記本発明の銀錯体が発光層に含まれる有機EL素子が挙げられる。
【0028】
本発明の銀錯体を発光素子に用いるには、例えば、まず、単独、又は高分子化合物との組成物の状態で薄膜に成型する。
【0029】
薄膜は、例えば、銀錯体と担体とを任意の割合で基板上に蒸着する工程を含む方法、又は、銀錯体と担体とを任意の割合で溶媒中に懸濁又は溶解させ、塗布する工程を含む方法によって製造することができるが、後者の方法が好ましい。該懸濁液又は溶液を作製するための溶媒には、水又は有機溶媒を使用することができる。
【0030】
前記有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサン、それらの混合物が挙げられる。
【0031】
塗布方法は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びインクジェット法が挙げられ、スピンコート法、キャスティング法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法及びオフセット印刷法が好ましく、ロールコート法、スプレーコート法及びフレキソ印刷法がより好ましい。
【0032】
塗布後に溶媒を乾燥させることにより薄膜が得られるが、例えば、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥及び窒素ガスを吹き付けて行う乾燥があり、風乾及び加熱乾燥が好ましく、加熱乾燥がより好ましい。
【0033】
本発明の発光素子は、例えば、前記薄膜を含む発光素子であり、通常、陽極と陰極からなる一対の電極と、該電極間に設けられた発光層を有する一層又は複数層からなる薄膜層とが挟持されている発光素子において、該薄膜層の少なくとも1層が、本発明の薄膜である発光素子である。
【0034】
薄膜の厚さは、通常、1nm〜50μmであり、好ましくは3nm〜10μmであり、より好ましくは5nm〜5μmであり、更に好ましくは10nm〜1μmであり、特に好ましくは20nm〜300nmである。薄膜はピンホールや凹凸の形状を含んでいてもよいが、ピンホールや凹凸の形状がないことが好ましい。
【0035】
本発明の発光素子において、本発明の銀錯体を含む薄膜中の該銀錯体の含有量は、薄膜全体の重量に対して、通常、0.01〜100重量%であり、好ましくは0.1〜99重量%であり、より好ましくは1〜90重量%であり、更に好ましくは5〜80重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0036】
薄膜は、薄膜を形成するための担体を含んでいてもよい。該担体には、低分子有機材料、高分子有機材料、有機無機複合材料、無機材料及びそれらの混合物が使用でき、用途に応じて任意に選択できる。
【0037】
本発明の発光素子としては、例えば、単層型の発光素子(陽極/発光層/陰極)が挙げられ、この発光層が本発明の薄膜を含有する。また、多層型の発光素子の層構成としては、例えば、次の(a)〜(e)が挙げられる。
(a)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/陰極
(b)陽極/発光層/電子注入層/(電子輸送層)/陰極
(c)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/電子注入層/(電子輸送層)/陰極(d)陽極/発光層/(電子輸送層)/電子注入層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/(電子輸送層)/電子注入層/陰極
【0038】
前記(a)〜(e)において、(正孔輸送層)、(電子輸送層)は、その位置にこれらの層がそれぞれ存在していてもしなくてもよい任意の層であることを表す。
【0039】
陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給するものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが好ましい。陽極の材料には、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物及びこれらの組み合わせを用いることができる。陽極の材料として、具体的には、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これらの導電性金属酸化物と金属との混合物及び積層物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン類、ポリチオフェン類〔ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン等〕、ポリピロール等の有機導電性材料及びこれらとITOとの組み合わせを用いることができる。
【0040】
陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給するものである。陰極の材料には、金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物及びこれらの組み合わせを用いることができる。陰極の材料として、例えば、アルカリ金属(Li、Na、K、Cs等)及びそのフッ化物並びに酸化物、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba、Sr等)及びそのフッ化物並びに酸化物;金、銀、鉛、アルミニウム等の金属類;合金及び混合金属類〔ナトリウム−カリウム合金、ナトリウム−カリウム混合金属、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−アルミニウム混合金属、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銀混合金属等〕;並びに希土類金属〔イッテルビウム等〕、インジウムを用いることができる。
【0041】
正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、又は陰極から注入された電子を障壁する機能を有する。これらの層に用いられる材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、及びこれらの残基を含む重合体;並びにアニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマーが挙げられる。前記正孔注入層及び前記正孔輸送層は、これらの1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0042】
電子注入層及び電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、又は陽極から注入された正孔を障壁する機能を有する。これらの層に用いられる材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンやペリレン等の芳香環のテトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、金属錯体(例えば、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニンを配位子とする金属錯体、ベンゾオキサゾールを配位子とする金属錯体、ベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体)、及び有機シラン誘導体が挙げられる。電子注入層及び前記電子輸送層は、これらの1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0043】
電子注入層及び電子輸送層の材料として、絶縁体又は半導体の無機化合物も使用できる。電子注入層及び電子輸送層が絶縁体又は半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。このような絶縁体としては、例えば、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物が挙げられ、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが好ましい。また、電子注入層及び電子輸送層を構成する半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物、窒化物、酸化窒化物が挙げられる。
【0044】
また、本発明の発光素子において、陰極と陰極に接する薄膜との界面領域に還元性ドーパントが添加されていてもよい。前記還元性ドーパントとしては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物又は希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体が挙げられる。
【0045】
発光層は、電界印加時に陽極、正孔注入層又は正孔輸送層より正孔を注入することができ、陰極、電子注入層又は電子輸送層より電子を注入することができる機能、注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能のいずれかを有する。発光層に含有される本発明の銀錯体をゲスト材料とするホスト材料を、発光層に含有させてもよい。
【0046】
ホスト材料としては、例えば、フルオレン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物、ジアリールアミン骨格を有する化合物、ピリジン骨格を有する化合物、ピラジン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物及びアリールシラン骨格を有する化合物が挙げられる。ホスト材料のT1(最低三重項励起エネルギー)は、ゲスト材料のそれより大きいことが好ましく、その差が0.2eVよりも大きいことが更に好ましい。ホスト材料は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。ホスト材料は更に電解質を含有してもよく、該電解質は、例えば、支持塩(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等)を含有してもよい溶媒(プロピレンカーボネート、アセトニトリル、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソフラン、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、プロピルアルコール、水等)、又は該溶媒で膨潤したゲル状の高分子(ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体等)である。また、ホスト材料と銀錯体とを混合して塗布する、又は共蒸着することにより、発光材料が前記ホスト材料にドープされた発光層を形成することができる。
【0047】
本発明の発光素子において、各層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法〔抵抗加熱蒸着法、電子ビーム法等〕、スパッタリング法、LB法、分子積層法、塗布法〔キャスティング法、スピンコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法等〕が挙げられるが、製造プロセスを簡略化できる点で、塗布法が好ましい。前記塗布法では、前記銀錯体、前記ポリマー又は前記組成物を溶媒と混合して塗布液を調製し、該塗布液を所望の層(又は電極)上に、塗布・乾燥させることによって形成することができる。塗布液中にはホスト材料及び/又はバインダーとして樹脂を含有させてもよい。この樹脂は溶媒に溶解状態とすることも、分散状態とすることもできる。
【0048】
塗布液中でホスト材料及び/又はバインダーとして用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルカルバゾール等の非共役系高分子、ポリオレフィン系高分子等の共役系高分子を使用することができ、具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコン樹脂が挙げられる。樹脂の溶液は、更に、酸化防止剤、粘度調整剤等を含有してもよい。前記溶液に用いられる溶媒としては、薄膜の成分を均一に溶解するもの又は安定な分散液を与える溶媒が好ましく、例えば、アルコール類〔メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等〕、ケトン類〔アセトン、メチルエチルケトン等〕、塩素化炭化水素類〔クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等〕、芳香族炭化水素類〔ベンゼン、トルエン、キシレン等〕、脂肪族炭化水素類〔ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等〕、アミド類〔ジメチルホルムアミド等〕、スルホキシド類〔ジメチルスルホキシド等〕、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0049】
インクジェット法においては、例えば、ノズルからの蒸発を押さえるために高沸点の溶媒〔アニソール、ビシクロヘキシルベンゼン等〕を用いることができる。また、溶液の粘度は、25℃において、1〜100mPa・sが好ましい。
【0050】
本発明の発光素子の各層の厚さは、1nm〜100μmが好ましく、数nm〜1μmがより好ましい。
【0051】
本発明の発光素子は、例えば、照明用光源、サイン用光源、バックライト用光源、ディスプレイ装置、及びプリンターヘッドに用いることができる。ディスプレイ装置としては、公知の駆動技術、駆動回路等を用い、セグメント型、ドットマトリクス型等の構成とすることができる。
【実施例】
【0052】
次に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
NMR測定には、Varian社製、300MHzNMRスペクトロメータ−を用いた。NMR測定のケミカルシフト(δ)は、百万分率(ppm)で示す。
【0053】
<実施例1>
【化5】

【0054】
上記の合成反応を下記の手順に従って行い、実施例1の銀錯体を合成した。2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリンを、Bull,Chem,Soc,Jpn,65,2007−2009(1992)に記載の方法で合成した。
テトラフルオロホウ酸銀(I)(23.2mg,0.19mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、(10,10−ジメチル−フェノキサシリン−4,6−ジイル)−ビス(ジフェニルホスフィン)(70.9mg,0.119mmol)を加え、室温で10分撹拌した。反応液に2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(34.1mg,0.137mmol)を加え、40℃で10分間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、ジクロロメタン−エーテルでスローディフュージョンによる再結晶を行い、淡黄色結晶を93.2mg(収率75.3%)得た。
【0055】
得られた銀錯体のNMRデータを下記に示す。
【0056】
【数1】

【0057】
得られた銀錯体の元素分析結果を下記に示す。
【数2】

【0058】
<比較例1>
【化6】

【0059】
上記の合成反応を下記手順に従って行い、比較例1の銀錯体を合成した。
アルゴン雰囲気下、テトラフルオロホウ酸銀(I)(27.5mg,0.141mmol)のジクロロメタン8mL溶液に、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(81.7mg,0.141mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。反応液に2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(44.0mg,0.177mmol)を加え、1時間加熱し還流した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、クロロホルム−エーテルでスローディフュージョンによる再結晶を行い、乾燥させて淡黄色固体の錯体を135mg(収率93.5%)得た。
【0060】
得られた銀錯体のNMRデータを下記に示す。
【数3】

【0061】
得られた銀錯体の元素分析結果を下記に示す。
【数4】

【0062】
<銀錯体及び膜の発光特性>
(1)固体発光波長:
銀錯体及び膜の発光スペクトルは、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製、Fluorolog−Tau3)を用いて測定した。
【0063】
(2)量子効率の測定装置及び測定方法
量子効率は、量子効率測定装置(住友重機械メカトロニクス社製)にて測定した。
該機器構成は以下の通りである。光源はKimmon社製クラス3BのHe−Cd式CWレーザーを用いた。出射部にOFR社製のNDフィルターFDU0.5を挿入し、光ファイバーで積分球へ導いた。住友重機械メカトロニクス社製のオプテル部の積分球、ポリクロメータ、及びCCDマルチチャンネル検出器を介し、KEYTHLEY社製の型式2400ソースメーターを連結して、一般的なノート型PCに接続した。
【0064】
量子効率の測定方法は、以下の通りで行った。室温空気中、積分球内に以下の条件で調製したサンプルを配置し、積分球のアパーチャを3に設定した。レーザー励起光を325nmとし、CW光で、積分時間を300ms、励起光積分範囲を315〜335nm、PL波長積分範囲を390〜800nmとした。そして、住友重機械メカトロニクス社製の測定・解析ソフトの手順に従って、量子効率を算出した。
【0065】
(2)−1 固体発光量子効率:
錯体の固体発光量子効率の測定は、次のようにして行った。
サンプル調製は以下の通りで行った。室温空気下、18mm角、厚さ0.3mmの2枚の石英板に、上記実施例1或いは比較例1で合成した錯体およそ1.5mgを挟み込み、10mm×5mm程度の楕円形に引き伸ばし、固定した。
上記の方法で固体発光量子効率を求めたところ、実施例1の銀錯体は63%(最大発光波長は485nm)、比較例1の銀錯体は33%(最大発光波長は526nm)であった。
【0066】
(2)−2 溶液発光量子効率:
銀錯体の溶液発光量子効率の測定は、次のようにして行った。
サンプル調製は、以下の通りで行った。室温空気下、光路長さ10mmの石英四面セルにて、上記実施例1或いは比較例1で合成した錯体をクロロホルムに溶解させ、325nmにおける吸収をおよそ0.3とし、およそ3分間アルゴンバブリングし、上記住友重機械メカトロニクス社製の積分球内に調製したサンプルを配置し、上記固体発光量子効率と同様に測定した。
【0067】
実施例1の銀錯体の溶液発光量子効率は41%(最大発光波長は564nm)、比較例1の銀錯体の溶液発光量子効率は25%(最大発光波長は546nm)であった。
【0068】
このことから、本発明の銀錯体は、固体状態において優れた発光特性を発現すると共に、溶液中においても優れた発光特性を発現し得ることが明らかとなった。
【0069】
<実施例2>(発光素子)
厚さ150nmのITO膜が付着したガラス基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer製、商品名:Bytron P AI4083)の懸濁液をスピンコート法(1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間)により塗布し、厚さ80nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を、ホットプレート上で170℃、10分間乾燥させた。その後、基板を室温まで自然冷却させ、正孔注入層が形成された基板を得た。
【0070】
上記で得た正孔注入層が形成された基板の上に、正孔輸送性高分子材料の0.6重量%キシレン溶液をスピンコート法(1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間)により塗布し、厚さ25nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を窒素雰囲気下、200℃で15分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔輸送層が形成された基板を得た。
【0071】
ここで、正孔輸送性高分子材料は、以下の方法で合成した。
還流冷却器及びオーバーヘッドスターラを装備した三つ口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキシボロール)−9,9−ジ(1−オクチル)フルオレン(3.86g,7.28mmol)、N,N−ジ(p−ブロモフェニル)−N−(4−(ブタン−2−イル)フェニル)アミン(3.18g,6.92mmol)及びジ(4−ブロモフェニル)ベンゾシクロブタンアミン(156mg,0.364mmol)を入れた。そこに、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(2.29g)、トルエン50mL、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)[PdCl2(PPh32](4.90mg)を順次添加した。得られた混合物を、105℃の油浴中で15分間撹拌した。混合物に2.0mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(14mL)を添加し、105℃の油浴中で更に16.5時間撹拌した。次いで、フェニルボロン酸(500mg)を添加し、得られた混合物を7時間撹拌した。反応液に水を加え、抽出して水層を除去した。こうして得られた有機層を還流冷却器及びオーバーヘッドスターラを装備した三つ口丸底フラスコに移し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.750g及び水50mLを添加した。得られた混合物を85℃の油浴中で16時間撹拌した。反応液に水を加え、抽出して水層を除去する操作を3回繰り返し、有機層をシリカゲル及び塩基性アルミナのカラムに通した。溶離剤としてトルエンを用い、溶出したポリマーを含むトルエン溶液を回収した。回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを再度トルエンに溶解させ、得られたトルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを再び沈殿させた。沈殿したポリマーを60℃で真空乾燥し、正孔輸送性高分子材料4.20gを得た。得られた正孔輸送性高分子材料のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布指数[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。その結果、得られた正孔輸送性高分子材料のMwは1.24×105であり、Mw/Mnは2.8であった。
【0072】
次に、正孔輸送層が形成された基板の上に、実施例1の銀錯体と、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼンと、2,4,6−トリス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(住商ファーマインターナショナル社製)の2:2:1(重量比)の混合物が、合計で1.0重量%の濃度になるようにクロロホルム:1,2−ジクロロエタン=2:1(重量比)の混合溶媒に溶かして調製した溶液を、スピンコート法(1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間)により塗布し、厚さ95nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を、50℃で20分間乾燥させることにより、発光層が形成された基板を作製した。
【0073】
この発光層が形成された基板の上に、陰極として、フッ化リチウムを2nm、続いてアルミニウムを約100nm蒸着により成膜して、発光素子を作製した。
【0074】
得られた発光素子に10.6Vの電圧をかけることにより発光効率16.1cd/A、また、18.2Vの電圧をかけることにより輝度2250cd/m2の発光を確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される銀錯体。
【化1】

(式中、2つのRは、共に水素原子であるか、又は2つのRが互いに結合して−CH=CH−を形成する。Rは、フェニル基又は直鎖状ヒドロカルビル基であり、2つのRは同じでも異なっていてもよい。Arは、フェニル基であり、該フェニル基における水素原子は、アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で置換されてもよい。4つのArは同じでも異なっていてもよい。Zはアニオンである。)
【請求項2】
下記式(2)で表される、請求項1に記載の銀錯体。
【化2】

(式中、R、Ar及びZの定義は上記式(1)と同じである。)
【請求項3】
上記式(1)又は(2)中の4つのArがメチル基で置換されてもよいフェニル基である、請求項1又は2に記載の銀錯体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の銀錯体を含む発光素子。

【公開番号】特開2012−12380(P2012−12380A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117277(P2011−117277)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】