鋭尖表面構造物を設けるために配列された複合材
複合材物品は、陥没様相部用材料及び突出様相部用材料を含む第1の組成物を有する支持層(16)と、支持層に結合されるとともに支持層(16)の表面から突出している複数の離間した微小規模の鋭尖表面構造物(18)とを備える。ナノ構造化した構造物の少なくとも先端は、基本的に、突出様相部用材料より構成される。鋭尖表面構造物を被覆して、表面超疎水性の材を製造しうる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料に関し、より詳細には、鋭尖の表面構造物を有するとともに、区別をつけてエッチングされ、配列された複数の材料に関する。本発明は、さらに、超疎水性表面、そしてさらに詳細には、鋭尖表面構造物を有し、区別をつけてエッチングされ、配列された超疎水性表面に関する。
【背景技術】
【0002】
疎水性表面は、水と非常に弱く結合することによって、水滴を表面に連ならせる。疎水性表面は、一般に及び本明細書においては、水滴との接触角が90°より大きいことによって定義される。疎水性材料には、周知、かつ商業的に入手可能な多数の重合体がある。
【0003】
超疎水性表面は、一般に及び本明細書においては、水滴との接触角が150°より大きいことによって定義される。ハスの葉の表面は、その蝋様の表面の素材により、天然の超疎水性であることが公知である。
【0004】
超疎水性用途に特に適している、鋭尖構造物を有した表面を形成するための能力を提供すべく、新たな材料及び方法が探求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、鋭尖表面構造物を有するように区別をつけてエッチングされ、配列された複数の材料の複合材、ならびにその製造方法を提供することにある。本発明のさらなる他の目的は、本明細書の記載からも明確となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複合材物品は、陥没様相部用材料及び突出様相部用材料からなる第1の組織を有する支持層と、その支持層に結合されるとともに支持層の表面から突出している複数の離隔した微小規模の鋭尖表面構造物とを備える。ナノ規模の構造物の少なくとも先端は、基本的に、突出様相部用材料より形成される。1つの実施態様では、陥没様相部用材料と突出様相部用材料は、整列して配列される。例えば、支持層は、被覆金属を含む被覆加工材料が陥没様相部用材料又は突出様相部用材料であり、そしてコアからなるコア材料が、これらの材料の他方である複数の融合被覆加工で囲まれたコアを含みうる。
【0007】
陥没様相部用材料は、ガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂を含むことができ、そして突出様相部用材料は、ガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂から選択される第1の材料とは異なる第2の材料を含むことができる。1つの実施態様では、陥没様相部用材料は、第1のガラスからなり、突出様相部用材料は、第2のガラスからなる。別の実施態様では、陥没様相部用材料は、ガラスからなり、そして突出様相部用材料は、金属からなる。疎水性被覆材は、ミクロン規模の鋭尖表面構造物の少なくとも一部を被覆しうる。疎水性被覆材は、PTFEのような少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体を含みうる。
【0008】
鋭尖表面構造物を有する複合体を作る方法は、次の工程を備える。
陥没様相部用材料を含む第1の領域、及び突出様相部用材料を含む第2の領域を有する表面層を含む前駆体物品を設ける工程。陥没様相部用材料は、突出様相部用材料より予め選択されたエッチャントに対して高い感受性を示す。
【0009】
表面層を上記予め選択されたエッチャントで処理し、陥没様相部用材料が、突出様相部用材料より早くエッチングする工程。この工程では、突出様相部用材料と陥没様相部用材料とからなる支持層と結合した突出層材料を含む複数のミクロン規模の鋭尖表面構造物を形成する。予め選択されたエッチャントは、有機酸、無機酸、有機アルカリ、無機アルカリ、極性溶媒、非極性溶媒、有機溶媒、無機溶媒、及びそれの混合物より構成される群から選択される少なくとも1つのエッチャントを含有しうる。1つの実施態様では、予め選択されたエッチャントは、HFを含む。別の実施態様では、予め選択されたエッチャントは、混合エッチャント系を含む。その方法は、さらに、少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体のような疎水性材料で複数の鋭尖表面構造物を被覆する段階を含む。
【0010】
複数の図面に渡って基本的に同じものを示すいくつかの構成要素には同一の参照符号が割当てられる。
本発明をより理解するために、他の、そしてさらなるそれの目的、利点及び能力と一緒に、上記図面と繋げて、以下の開示及び付随の請求項を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
典型的な微細組織化及びナノ組織化エッチング工程では、急勾配側壁及び、高アスペクト比を示す構造のうちの少なくとも一方を形成するために注意が払われる。液体化学エッチャントの使用は典型的に角が丸い構造物を生じるので、真空エッチング工程を使用する。微細チャネルまたはナノチャネルのガラスを製造する工程でさえ、材料及びエッチャント(類)は、急勾配の側壁と極度に高いアスペクト比を生じるために選択される。本発明では、意図的に角度を付けた側壁を有する新たな構造物を形成することによって表面構造物を形成するために、新規のエッチング工程が使用される。新規方法は、簡単かつ確実な方法で微細に鋭尖点を生じうる。これは、通常の丸型の「ウェット」エッチングされた構造物、または真空加工のために特に必要とされる正確なタイミング及び条件と著しく対照的である。
【0012】
本発明は、陥没様相部用材料と突出様相部用材料とを含む複合材構造に基づく。個々の材料は、異なるエッチング特性/溶解性を供し、陥没様相部は、突出様相部より大きなエッチング特性/溶解性を有する。複合材構造の表面に、突出様相部より多くの陥没様相部を除去するエッチャント/溶媒をかけることによって、突出様相部のいくつかは、鋭尖突出表面構造物を形成する。この語句「鋭尖表面構造物」は、好適には鋭尖な先端、理想的には微細な鋭尖点または先端で終端する全般的に先細りの突出構造物であることがここで定義される。したがって、「鋭尖表面構造物」は、第1の断面領域を有する基本部分、及び第1の断面領域の30%以下、例えば25%、20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は1%未満の小さい断面領域を有する基本部分に対峙する先端部分を有する構造物に該当する。基本部分から先端部分に移動する際に断面領域における減少は、好適には単調である。微小規模の構造物は、高さ、幅及び/又は先端面積のような少なくとも1つのミクロン規模またはナノ規模の寸法を示す表面構造物に該当する。
【0013】
鋭尖表面構造物は、例えば、突起及び/又は先端のような突出部を含む。突出様相部用材料は、突出様相部用材料がその工程でエッチングされるでさえ、陥没様相部用材料より若干緩慢であるので、鋭利になる。望ましい効果を生じるためにあらゆる組合せでのいずれかの異なるエッチング特性/溶解性の陥没様相部用材料及び突出様相部用材料の使用は、本発明の範囲内に入ると見なされる。さらに、鋭尖表面構造物のサイズ及び形状の変動に制限はない。複合材基本材料は、いずれかの公知のエッチング方法または複数方法により、様々にエッチングできるいずれかの材料から製造しうる。
【0014】
複合材基本材料は、適切な様々なエッチング構造物を示すいずれかの材料から製造され
うる。適切な材料としては、例えば、ガラス、金属(アロイを含めて)、セラミックス、重合体、樹脂などが挙げられる。材料の選択は、例えば化学耐性、被覆の容易さ及び/または必要性、強度、硬度、柔軟性、弾性、可塑性などのような製品の特性に影響を示しうる。
【0015】
エッチャントは、有機または無機酸またはアルカリ;極性、非極性、有機、無機または混合の溶媒;または前述のもののいずれかの混合物を含みうる。エッチャントは、ここに記述されるとおり複合材材料を様々にエッチングするために予め選択される。例えば、HF、HCl、HBrまたはHIのような酸を、ガラス組成物を様々にエッチングするために選択しうる。
【0016】
エッチャントは、複合材表面に塗布されたときに、様々なエッチングのコントラスト比を付与する複数のエッチャントの混合物より構成される「混合エッチャント系」でありうる。例えば、一方のエッチャントは、一方の相を優先的にエッチングしうる一方で、他方のエッチャントは、他方の相を優先的にエッチングしうる。混合エッチャント系は、組成物及び/またはエッチャントの相対的濃度を変動させることによって、エッチング工程のコントラスト比が、改質されうるので、特に有用である。混合エッチャント系の例は、HFとHClの混合物である。適切な混合エッチャント系の有望な組成物は、実質的に制限がない。
【0017】
さらに、複数のエッチャントを、一連の2段階またはそれより多くの連続エッチング工程で使用しうる。例えば、HFは、第1エッチング段階で複合材表面に塗布され、洗浄除去し、そしてその後HClを、第2エッチング段階で複合材表面に塗布する。適切な混合エッチャント及びエッチング段階の有望な組合せは、実質的に制限がない。
【0018】
エッチングが行われる方法は、所望の表面構造物が達成される限り、本発明に重要ではない。例えば、プラズマエッチングまたは他の等方性エッチング技術のような他の非溶液エッチング技術を使用しうる。
【0019】
突起付複合材材料を、周知の微細チャネルまたはナノチャネルのガラスを製造する方法に類似の手段で製造しうる。
図1に関して、マトリックス材料12より異なる材料のコア14を有する複合材ロッドは、配列されたアレイ、あるいは束10に束ねられる。束14にあるロッドは、一般に、引張工程の間に一緒に融合される。ロッド(マトリックス材料)12は、好ましくは、空隙を最小限にする六角形または他の外側断面形状を示す一方で、これらのパラメーターのいずれも本発明に重要であると見なされるものではないが、コア材料14は、好ましくは、円形断面を示す。マトリックス材料12が円形断面を有するのは経済的製造に有利でありうる。この場合には、空隙は、連続加工の間に充填される。丸型ロッド12を用いて、コア材料14の空間は、いくぶん正確さが低い。
【0020】
マトリックス材料12及びコア材料14は、好ましくは、様々なエッチング特性(エッチングまたは溶解に対する敏感さ)に基づいて選択される。ナノチャネルのガラスの場合には、コアガラスは、マトリックスガラスのものよりいっそう高いエッチング特性を示す。本発明の先に知られていない突起付表面の場合には、コア材料14は、マトリックス材料12より低いエッチング特性を示し、そして複合材表面のエッチングにより、突出した鋭尖構造物を形成する。
【0021】
複合材における不可欠な要素の使用が、材料の引張の容易さを改善することに注目すべきである。一般に、材料の相互分散が多すぎること(過剰に混和すること)なしに、そしていずれかの要素が液滴に崩壊すること(不十分に混和すること)なしに、特定の混和性
を示す材料を選択することが有利でありうる。
【0022】
束10を含む材料を軟化させるのに十分であるが、しかし損傷、分解、または他の破壊的変化を避けるのに十分に低い温度まで、束10を加熱しうる。束10の直径を融合及び減少させるために、束10を、束ねられたロッドの軸と一緒に引張りうる。図2で示されるとおり、引張束20は、減じられたサイズ材料ロッドマトリックス材料12及び個々のコア材料14を有する。引張られた束20を、再度束ねて、その断面でコア材料14コアの数を増大させうる切片に横軸で切断しうる。
【0023】
束20をその後、再度引張りうる。図3で示されるとおり、2回の引張束30は、さらに減少されたサイズ材料ロッドマトリックス材料12及び個々のコア材料14を有する。二回の引張束30を、再度、横軸で、切片に切断して、再度束ねて、さらにそれの断面でコア材料14コアの数を増大させうる。
【0024】
単回で、またはコア材料14の望ましい直径及び空間が得られるまで多数回繰り返して、束ね、引張、及び切断のプロセスが行われうる。ナノメートル尺度でコア材料14直径及び空間が可能である。そこに含まれる束のサイズ及びロッドの数は、望まれるとおりプロセスの間じゅう変化されうる。
【0025】
最終引張(第1の引張であってもよい)の後、大型直径のブールを得るために、束を、切断、束ね及び融合しうる。図4は、ブール40の代表的部分を概略的に示す。ブール40を、横軸で切断して、いずれかの所望の厚みのスライス(平板、タイル)を製造しうる。図5は、平板50の代表的部分を概略的に示す。切断物は、通常(しかし必然的ではなく)には、当初のロッド12及び引張方向に垂直である。一方または両方の切断面を仕上げ加工しうる。六角形のブール40が例として示される、そして説明されるが、いずれかの所望の立体的形状の束を、本発明の種々の実施態様のいずれかを行う上で、形成、加工及び使用しうる。
【0026】
連続して、平板50の切断物(複合材)表面の一方または両方を、エッチングして、平板50の一方または両方の側にコア材料14の突起の列を造りだしうる。複合材表面を、エッチャント(例えばHF)と接触させ、そしてそれは、コア材料14(突出様相部)より早くマトリックス材料12(陥没様相部)をエッチングする。エッチングは、マトリックス材料12が、所望の深さまで戻ってエッチングされるまで継続し、そしてコア材料14のいくつかが、その表面から突出たままにする。結果は、コア材料14をコーン型突起に尖らせ、突起のアスペクト比がマトリックス材料12とコア材料14のエッチング速度の比に依存するということである(例えば、下の図6,7を参照)。
【0027】
下に示される実施例は、例示目的のためにのみに供され、そして本発明の範囲をいかなる手段でも規定しないと理解すべきである。
実施例1
本発明によって、エッチング特性の低い突出様相部としてシルバニアSG12(商標)(コーニング0120(商標)に相当する)コアガラスを、そしてエッチング特性の高い陥没様相部としてコーニング8161(商標)クラッド(マトリックスガラス)を有するガラスロッドを束ね、ロッドを軟化させるのに十分な温度まで加熱し、そしてそれの直径を減らすために引抜いた。生じたロッドを、再度束ねられ、そして再引抜きされた断面に切断した。コアガラスの直径が5μmまで減少し、そして約7μm離れて空間を空けるまで、上のプロセスを繰り返した。ロッドは、断面に切断し、束ね、そして融合して、約1.5cmの直径を有する短く、厚みのあるロッドを形成した。薄平板を、ロッドの末端から横軸に切断し、仕上げ加工し、そして20分の期間、室温で、HFを用いてエッチングして、ディスクに突起付表面を生じた。突起は、高さ約12μmであった。
【0028】
図6は、実施例1によって製造された突起付ガラス平板の斜視顕微鏡写真である。陥没様相領域16及び突起18が明瞭に見られる。図7は、高倍率での突起付ガラス平板を示す。図8は、低倍率での突起付ガラス平板を示し、融合束の六角形パターンを表す。図9は、突起付ガラス平板の平面図を示す。
【0029】
上述の発明は、特に超疎水性または超親水性材料の製造に種々の用途を示す。一般に、本発明の鋭尖表面構造物は、少なくとも突出様相部が、その材料から製造されるか、またはそれで被覆される場合、材料と液体の「親和力を示さない」(例えば、疎水性)または「親和」(例えば、親水性)相互関係を増幅する。特に、特定の液体に自然に反発する(強い親和性を示さない)材料表面は、その液体に超反発性になるのに対して、特定の液体に自然に誘引性のある材料は、その特定の液体に超誘引性になる。したがって、本発明は、その材料の物理的及び化学的起因に基づいて、種々の液体を超誘引または超反発するかのいずれかである多数の新たな材料を造りだす能力を有する。
【0030】
被覆材は、鋭尖な構造物が形成された表面に塗布して、超誘引または超反発表面を増強または造りだしうる。被覆材は、粘着性があり、そして複合材基本材料に化学的に適合性があるべきである。複数の被覆材を塗布しうる。例えば、第1の被覆材は、機能性第2被覆材との適合性を促進する緩衝剤層として役割を果たしうる。鋭尖構造物表面に塗布されうる層の型及び数を制限するものはない。したがって、本発明は、その材料及び被覆材の物理的及び化学的起因に基づいて、種々の液体を超誘引または超反発するかのいずれかである多数の新たな被覆材料を造りだす別の能力を有する。
【0031】
長疎水性表面を作り出すために、鋭尖構造物が形成された表面を、例えば炭化水素のような疎水性材料で被覆しうる。疎水性被覆材は、例えばPTFEまたは類似の重合体の被覆材を含むことができ、CF3末端基を有する重合体が、特に適切である。被覆材を、均一な厚みを得るために回転被覆しうる(材料を回転させながら液体として使用される)(例えば、デュポンのテフロン(登録商標)AFを、液体で塗布しうる)。それは、真空蒸着法を介しても蒸着されうる。例えば、スパッタリングまたはホットフィラメント化学蒸着(HFCVD)によってPTFEまたは他の炭化水素を塗布しうる。自己組立単層は、それが、適切な溶液中で材料を単に浸漬することによって、またはそれを表面に注ぐか、または例えば噴霧することによって使用されるので、ガラスを含めた種々の材料のための特に簡単で、そして有効な疎水性被覆材である。重合体の表面をフッ化して、表面をいっそう疎水性にしうる。金属を疎水性にするために他の被覆材を使用でき、そして複合材中に使用される材料に依存しうる。結果は、水(多様な水性流動体を含めて)をはじく被覆された超疎水性表面である。
実施例II
実施例Iによって製造された突起付ディスクを、ヘキサン中の(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシランの溶液に浸漬して、突起付表面上に自己組立疎水性単層を形成した。得られたディスクは、超疎水性特性を示した。
【0032】
実施例IIによって製造された超疎水性ディスクを、超疎水性特性について試験した。図10は、シリンジからディスク上に直接溶出された1滴の水を示す。液滴は、175°より大きく、そして180°に近づく見掛けの接触角を示す。図11は、本発明との比較のために、シリンジから平坦で疎水性の被覆ガラス表面上に直接溶出された1滴の水を示す。その液滴は、約105°の見掛けの接触角を示す。
【0033】
図12−14は、シリンジから溶出され、超疎水性ディスクに向かって落下する(図12)、超疎水性ディスクの上に落下し、そして圧縮する(図13)、及び超疎水性ディスクから上向きに跳ね上がる(図14)1滴の水を示す連続動画から抜粋されたフレームで
ある。その1滴の水は、超疎水性ディスクの表面を転がり落ちるまで跳ね上がり続け、そしてディスクを完全に乾燥させる。
超疎水性ディスクを、ペトリ皿の底に載せ、そして水をディスクに落とした。水がおよそ5mm深度に達するまで、水は、上に示すとおり動いた。水は、超疎水性ディスク覆わないが、しかしむしろその周辺に環状メニスカスを形成した。図15は、メニスカスの水によって囲まれた超疎水性ディスクを示す。十分な水がペトリ皿に添加されたとき、水は、結局ディスクを越えて崩壊した。しかし、シリンジを介したディスク上のある程度の水の除去、及び/または気泡の配置は、図15で示される条件に直ぐに戻る結果になった。
【0034】
本発明の他の実施態様では、複合材材料は、1種類より多い複合材ロッドを含みうる。例えば、コアのいくらかは、貫通した製品を製造するために、高エッチング特性/溶解性を示す異なるコア相(例えば、ナノチャネル様コア)を有しうる。図16は、同じマトリックスガラス12から製造された全てガラスロッドを有する平板160を示し、そしてそのロッドのほとんどは、ここで上で示されるものと同じコアガラス14を有する。しかし、いくつかのコアは、脆弱物162であり、そして異なる材料から製造される。平板160のエッチングにより、脆弱コア162は、溶解し、そして平板162で貫通したままである一方で、他方のコア14は突起を生じる。脆弱コア162の溶解は、完璧でありうる。貫通を示す実施態様は、本発明が、妨害の疑いか少なく、したがって種々の水性流動体からの溶解ガスの除去を含めた種々の用途に、そして種々の水性流動体中の表面ガス層の圧縮に有用である点で、現存の濾過材料を越える利点を示す。
【0035】
脆弱コア162は、予め選択されたエッチャント以外の溶媒中に可溶性である材料から製造されうる。例えば、脆弱コア162は、アセトンに可溶性である重合体から製造されうる。図17は、コア162が溶出している部分の貫通物172と共に、溶媒にさらした後の未エッチング平板160'を示す。その後、平板160'をエッチングして、他のコア14の突起を形成し、そして最も起こりそうなのは、貫通物172の拡大である。貫通物172のサイズは、結局、脆弱コア162のサイズによって決定される。
【0036】
本発明の多くの実施態様で、材料は、好ましくは、表面を被覆及び/または積層するためのタイルで製造される。図5及び他の図は、タイルまたはタイルの一部を概略的に表し、そしてそれは、数百万またはそれより多くの突起を含みうる。タイルは、例えば船舶船体または水中翼船のような種々の表面に結合されうる。不規則形状の表面にタイルを貼るために、未エッチングタイルを非常に薄く切断し、及び/または加熱して、タイルを不規則形状に注型するのに十分に柔軟にさせうる。タイルが適切な形状を要求すると、それによりタイルはそこに結合され、そして加工(エッチング、そして都合により被覆)しうる。代わりに、タイルを最初に加工し、そしてその後、望ましい表面に結合させうる。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様では、粉末形態の材料を、裸眼に粉末として見える非常に小さなタイルである「微細タイル」を生じることによって製造しうる。他の2つの要素に比較して急速にエッチングされる第3のガラスまたは要素を使用することによって、微細タイルを形成する。図18に関して、単独の微細タイル180を、ここで上に示されるとおりコア14を有するロッド12から形成する。最も外部のロッド182は、ここで上に示されるとおりの高いエッチング特性のガラスまたは非常に溶解性のある重合体のような脆弱材料から製造される。束を引っ張り、切断し、そして再度引っ張ったとき、各微細タイル180のサイズを大いに減少させる一方で、束中の微細タイル180の数は、大いに増大する。続いて、多数の小さな微細タイル180を含む平板を製造し、そして各々は、脆弱ロッド182の輪郭を示す。エッチングまたは溶解により、脆弱ロッド182をエッチングまたは溶出させ、そして個々の微細タイルの全てを放出する。したがって、被覆材及び/または積層体として複合体表面に容易に接着して塗布されうる一定な形状の粉末を製造する。本発明のこの実施態様は、超疎水性被覆材として特に有用である。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様では、特に、ロッドの化合物列では、陥没様相部を形成するためにコア材料を選択する一方で、マトリックス材料は、突出様相部として選択される。このような配列は、平坦さが少ない陥没様相領域と共に、突起で覆われた大きな部分の表面を有する突起付表面を形成しうる。図19に関して、平板190は、突出様相部ガラスの固体ロッド196、及び突出ガラスマトリックス192と陥没様相部ガラスコア194を有する複合材ロッドを含みうる。示される特定のパターンでは、6つの複合材ロッド192/194は、各個体ロッド196を取り囲む。
【0039】
図20、21は、図19で示される平板190をエッチングした結果を示す。図20は、エッチングされた表面構造物の輪郭線を示す平面図でエッチングされた平板200の一部を示す。陥没様相領域220は、実線円202、202'、202"によって示される。突出領域(突起)216は、破線輪郭線204、206及び点208によって示される。
【0040】
図21は、図20で点線で示される方形区分の側面図である。図21の突出部は、図20で矢印214からである。切断物210及び212の面は、突出様相部218のマトリックス中の陥没様相部220の区分202、202'、202"を示す。突起216は、輪郭線204、206を通して突出し、そして点208まで伸びる。
【0041】
図20、21で示される陥没様相部220を、完全にエッチングして、ここに示されるとおり有用である突出平板200を製造しうる。このようなエッチングを、同様に、及び/または突出様相部218をエッチングしないエッチャントを用いた連続段階で行いうる。
【0042】
図22は、図19に示されるものと類似である本発明の別の代替的実施態様を示す。図22では、平板220は、突出様相部用材料の固体ロッド222を含み、そしてその各々は、陥没様相部用材料の6つのむくロッド224によって取り囲まれる。この配列の有望な利点は、大きな陥没様相領域での交換条件で、固体ロッドの費用が減少されることである。
いくつかの用途については、突起空間及び/またはサイズの勾配を生じる異なるサイズのコアを束ねることが望ましい可能性がある。
【0043】
明らかに、多くの組合せが、複合材で突起付けられた表面を生じる。束は、同一でなくてよいロッドの集合であり、そして異なる多様なロッドを、種々のパターンで配列しうる。
【0044】
いくつかの用途について、引っ張り方向に対して垂直以外の角度で材料を切断することが望ましい可能性があり、そしてある程度方向的に感度のある用途で有用である角度付突起を生じる。
【0045】
本発明のいくつかの実施態様では、平方、長方形、三角形などのような代替の束ねられた列形状を製造しうる。
微細チャネルまたはナノチャネルのガラスを製造し、コアをエッチングし、電解メッキによりその穴を金属で充填し、そしてその後マトリックスガラス、そして(さらにゆっくりと)金属をエッチングし戻して、金属突起を残すことによって、電気的に導体(例えば、金属)突起を有する複合材突起付表面を作成することが望ましい可能性がある。したがって、金属は、突出様相部を形成する一方で、残りの微細チャネルガラスは、陥没様相部を形成する。適切な金属は、それに限定されないが、Au、Ag、Ir、Ni、Pd、Pt、及び前述のいずれかのアロイを含む。導体突起も、例えば導体重合体を使用して、他の微細チャネルまたはナノチャネル材料から製造しうる。
【0046】
電気的に導体な突起付表面を、疎水性被覆材または自己組立単層で被覆しうる。超疎水性特性は、例えば、電気絶縁体での電気湿潤(EWOD)によって、または電気的に交換可能な表面被覆材でスイッチを開閉しうる。金属から形成される複合材突起の別の用途は、電界放出装置(電界放出ディスプレイなどのための電子放出装置として使用される)としてである。導体コアが、平板を通して透過するので、突起に対する電気的接触を、平板の底部(エッチング前)側で製造しうる。
【0047】
突起付表面は、それが損傷を受けた場合、容易に再生されうる。一般に、要求される全ては、古い疎水性被覆材(必要であれば)の分断、鋭尖構造物を再生する表面の再エッチング、及び疎水性被覆材の再使用(必要であれば)である。基本材料は、その厚みを通しての複合材パターン(Z軸)を含み、そしてそれが完全にエッチングされるまで交換される必要がない。これは、小さな形状の構造物が擦ることによって損傷を受けうるので、大きな利点である。
【0048】
従来の集積回路製造技術を使用して、複合材材料を形成しうる。例えば、異方性の深い溝は、本発明により、適切な第1の相(陥没様相部又は突出様相部)材料をエッチングし、第2の材料で充填し、平坦化し、そして続いてエッチングする。マトリックス材料を、基板の別個の部分のみのように、基板材料上に付着さえうる。本発明によるデバイスは、電子デバイス、センサー(例えば、MEMS)などに続くチップ上に蒸着させうる。
【0049】
本発明の上に記述される実施態様のある程度の利点としては、
1.表面の構築に使用される材料は、主に不活性であるか、または少なくとも非反応性でありうる。
【0050】
2.単独の酸及び/または溶媒を、エッチング工程のために使用しうる。
3.典型的な光リソグラフに基づいた製造と比較した場合、その材料を多量に製造する規模拡大生産は、ほとんどの場合に、簡単でそして直接的である。
【0051】
4.突起付表面構造物は、必要な場合、現場で早急に、そして安価に再生されうる。
を含む。
本発明の用途、特にそれの超疎水性材の実施態様としては、限定されないが以下のものがあげられる。
【0052】
超疎水性の突出構造(例えば図16、21を参照)を使用することによって、本発明は、溶解ガス抽出装置/監視装置として使用されうる。その材料は、水透過または湿潤にさえ対して強力な耐性を示す。圧力または真空が、材料に対して水を押しやるために使用される(一般に周囲温度で)とき、液体に掛けられた増大したエネルギーは、その液体の局在化した顕微鏡下の沸騰(蒸発)を有効にするのに十分になる。あらゆる溶解ガスは、容易に構造を通過できるが、水を通過しない。本発明は、それにより、水から溶解した有害ガス(例えば、毒性化学及び/または生物学上の剤)を除去及び/または採取し、溶解ガスに対して透過性があるが、しかし水に対して透過性がない濾材として作用する手段を提供する。本発明のこの特定の用途は、自国防衛とテロ行為に対抗する継続中の努力に特に使用可能性がある。
【0053】
船舶船体、水中翼船などにおける本発明の使用は、水を通して摩擦性の引っ張りを特に減少させ、そして同じ量の力を使用して高速及び/または長い範囲の移動を可能にする。被覆材/積層物は、船体により水に残された乱れまたは後流(すなわち、サイン)を減少させるためにも使用されうる。被覆材/積層体は、フジツボ類、泥などによる船体の付着物を減少または排除するために使用されうる。被覆材/積層体は、塩水のエッチング効果
を大いに減少させるためにも使用されうる。したがって、被覆材/積層体は、小型船舶船体、海上船、潜水艦、魚雷、無人海上または水中船舶及び海洋グライダーを含めたあらゆる水運搬体またはデバイスに実質的に有利である。
【0054】
本発明は、プロペラ、タービン、方向舵、操舵面などの部品及び固定子を移動するのに使用して、引っ張り及び空洞現象を減少させ、そしてその効率を改善させうる。
EWODを可能にする電気的に導体な突起を有する本発明の実施態様は、海上及び水中船体を操舵するために使用しうる。船体の一方の側でEWODを活性化する(超疎水性特性を選択的にスイッチを切る)ことによって、摩擦操舵は、船体を、その側の方向で摩擦させる。水中船体では、本発明は、船体の深度を調節するためにも使用される。
【0055】
本発明は、有害及び/または厳密な液体操作についてガラス製品を製造するために使用されうる。その材料から製造されるか、または被覆されたガラス製品を注いだとき、水及び他の水基本の溶液は、残基がなく、そしてガラス製品から完全に除去する。利点は、実験の間の混入の排除である。
本発明は、自己洗浄ガラス製品、窓、レンズなどを製造するために使用されうる。超疎水性材料は、いずれの残基も残さないが、しかし水及び多くの水性溶液は表面を転がり落ちる場合、遭遇したほとんどの塵及び泥は、濡れさせ、そしてふき取り、それにより材料を自己洗浄させうる。
本発明は、抗濃縮用途として使用されうる。水蒸気が、表面で凝結されたとき、液滴は、コーン型突起の先端に移動し、そして非常に早期に表面から除去されうる。この転落は、一般に、表面のいずれかの可視材料が霧で覆われるか、または凍結する前に、ミクロンからサブミクロン濃度までで起こる。水分または氷の蓄積を除去する。用途は、それに限定されないが、例えば、メガネ、安全ゴーグル、マスク、風防ガラス、窓などのような明らかな目的が挙げられる。透明であるべき構造材料の能力は、光学回折の法則により支配される。突起周期性が、光波長より大いに低いとき、単に載せられた構造は透明に見える。これは、300nmより少ない突起周期について、空中で典型的に起こる。さらに、用途は、それに限定されないが、例えば冷蔵庫、熱ポンプ、除湿機冷却コイルなどのような熱交換が挙げられ、それによりそれらのエネルギー効率を増大させ、そして除霜周期による必要性を減少あるいは排除する。
【0056】
本発明は、粘着または蓄積から氷まじりの雨を保持するために、航空機翼、プロペラなどを被覆するために使用されうる。このような被覆材は、水滴が氷を形成できる以前にそれらが表面から転がり落ちるので凍結防止材である。
【0057】
本発明は、結晶化についての媒体として使用されうる。水基本の溶液が、表面に存在する場合、それは、球形の液滴を形成する。その液滴を蒸散させた場合、それは、表面に固定されることなく、均質に収縮する(固定は、ほとんどの他の表面に「コーヒー染み」状の輪を引き起す)。これは、微量重力環境で行われたものに類似して、超純度タンパク質を結晶化するのに特に有用でありうる。
【0058】
本発明は、例えばパイプ、チューブ、ホースなどのような環状管のための被覆材として使用されうる。粘性の抵抗物での減少は、環状管を通しての層流及び乱れに正常に関連したせん断力を大いに減少または排除する。これは、水の全体積に、乱れをほとんど、またはまったく伴わない単位として移動させ、そしてそれにより、それを通して流動体にかけることが要求されるエネルギーの量を大いに減少させる。これは、稼動力が弱い対流循環系にとって特に適正である。表面特性も、流れが乱れている条件を変化しうる。水が、表面と最小限の接触しているので、熱の接触も減少され、そして加熱及び冷却された水性流動体の熱損失を減少させ、そしてパイプ中の被覆材を戦略的に配置することによって、それの管理を可能にする。
【0059】
本発明は、水及び油のような非混和性である液体を分離するために使用しうる。超疎水性材料は、油及び他の有機性液体を誘引する。
適切な鋭尖表面構造物及び表面特性の選択で、本発明は、血液についての抗凝集表面として使用され得て、そしてそれは、一般に、表面に粘着性でない。したがって、材料は、血液が、そこに凝固することを防止し、そしてステント、熱バルブ、人工心臓表面、手術用機器のような合成移植片のための、そして血液を循環させるために使用される外部機械のための被覆材として使用されうる。表面で粘度が減少した抵抗物は、血液でのせん断力を減少させ、そして血液に対する損傷を減少させる。
【0060】
本発明は、周期的官能化表面を使用する細胞操作デバイスとして使用されうる。例として、特定の分子を、未被覆(超疎水性)突起付ガラス表面の各ガラス突起の末端に付着させうる。使用法としては、例えば、DNA/RNA/タンパク質操作及び分析研究、及び例えば雌性配偶子生殖のための細胞の直接挿入が挙げられる。
金属突起を有する本発明の実施態様は、磁界発生デバイスとして使用されうる。配列された構造は、電子を発生するために引き起される。各金属突起は、裏地板を介して活性化され、そして制御されうる(複合材表面は、突起付表面に対峙する)。突起先端は、極度に小さい(<10nm)ので、ほんの小さな電圧が、電子発生に必要とされる。このようなデバイスは、ディスプレインデバイスで、または電界発生顕微鏡から光発生ダイオードまでの範囲にある電界放出装置で使用されうる。
【0061】
本発明の好ましい実施態様を現時点で考慮されているものが示され、そして記述された一方で、付随の請求項により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変化及び修飾がそこに準備されうることは、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図2】本発明による加熱、引張及び切断の後に、図1で示される複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図3】本発明による再拘束、再引張及び切断の後に、図2で示される複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図4】本発明による再拘束及び融合の後に、図3で示される複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図5】本発明による、図4で示される複合材ロッドの融合束から平板切断部の概略を示す斜視図。
【図6】本発明によるエッチングの後に、図5で示されるもののような突起付ガラス板の斜視顕微鏡写真。
【図7】高倍率で図6に示されるもののような突起付ガラス板の斜視顕微鏡写真。
【図8】低倍率で図6に示されるもののような突起付ガラス板の斜視顕微鏡写真。
【図9】高倍率で図6に示されるもののような突起付ガラス板の平面顕微鏡写真。
【図10】本発明による、シリンジから、超疎水性ガラス表面に溶離した1滴の水を側面から観察した写真。
【図11】本発明と比較するための、シリンジから、平坦な超疎水性被覆ガラス表面に溶離した1滴の水を側面から観察した写真。
【図12】本発明による、シリンジから溶離され、そして超疎水性ガラス表面に向かって落下する1滴の水を側面から観察した写真。
【図13】本発明による、超疎水性ガラス表面に落下し、そしてそれに対して圧縮する図12で示される1滴の水の連続写真フレーム。
【図14】本発明による、超疎水性ガラス表面を反射する図13に示される1滴の水の連続写真。
【図15】本発明による、水のメニスカスによって囲まれた超疎水性ガラスディスクの写真。
【図16】図5に示されるものに類似するが、しかし本発明による脆弱コアを有する平板の概略を示す斜視図。
【図17】図16に示されるものに類似するが、しかし本発明により溶解した脆弱コアを有する平板の概略を示す斜視図。
【図18】本発明による脆弱材料の先端ロッドを有する微細タイルの概略を示す斜視図。
【図19】本発明による化合物パターンを有する平板の概略を示す斜視図。
【図20】図19に示される平板をエッチングする結果を示す平板の概略を示す図。
【図21】図20に示される平板の区分の概略を示す側面図。
【図22】本発明による代替パターンを有する平板の概略を示す斜視図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料に関し、より詳細には、鋭尖の表面構造物を有するとともに、区別をつけてエッチングされ、配列された複数の材料に関する。本発明は、さらに、超疎水性表面、そしてさらに詳細には、鋭尖表面構造物を有し、区別をつけてエッチングされ、配列された超疎水性表面に関する。
【背景技術】
【0002】
疎水性表面は、水と非常に弱く結合することによって、水滴を表面に連ならせる。疎水性表面は、一般に及び本明細書においては、水滴との接触角が90°より大きいことによって定義される。疎水性材料には、周知、かつ商業的に入手可能な多数の重合体がある。
【0003】
超疎水性表面は、一般に及び本明細書においては、水滴との接触角が150°より大きいことによって定義される。ハスの葉の表面は、その蝋様の表面の素材により、天然の超疎水性であることが公知である。
【0004】
超疎水性用途に特に適している、鋭尖構造物を有した表面を形成するための能力を提供すべく、新たな材料及び方法が探求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、鋭尖表面構造物を有するように区別をつけてエッチングされ、配列された複数の材料の複合材、ならびにその製造方法を提供することにある。本発明のさらなる他の目的は、本明細書の記載からも明確となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複合材物品は、陥没様相部用材料及び突出様相部用材料からなる第1の組織を有する支持層と、その支持層に結合されるとともに支持層の表面から突出している複数の離隔した微小規模の鋭尖表面構造物とを備える。ナノ規模の構造物の少なくとも先端は、基本的に、突出様相部用材料より形成される。1つの実施態様では、陥没様相部用材料と突出様相部用材料は、整列して配列される。例えば、支持層は、被覆金属を含む被覆加工材料が陥没様相部用材料又は突出様相部用材料であり、そしてコアからなるコア材料が、これらの材料の他方である複数の融合被覆加工で囲まれたコアを含みうる。
【0007】
陥没様相部用材料は、ガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂を含むことができ、そして突出様相部用材料は、ガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂から選択される第1の材料とは異なる第2の材料を含むことができる。1つの実施態様では、陥没様相部用材料は、第1のガラスからなり、突出様相部用材料は、第2のガラスからなる。別の実施態様では、陥没様相部用材料は、ガラスからなり、そして突出様相部用材料は、金属からなる。疎水性被覆材は、ミクロン規模の鋭尖表面構造物の少なくとも一部を被覆しうる。疎水性被覆材は、PTFEのような少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体を含みうる。
【0008】
鋭尖表面構造物を有する複合体を作る方法は、次の工程を備える。
陥没様相部用材料を含む第1の領域、及び突出様相部用材料を含む第2の領域を有する表面層を含む前駆体物品を設ける工程。陥没様相部用材料は、突出様相部用材料より予め選択されたエッチャントに対して高い感受性を示す。
【0009】
表面層を上記予め選択されたエッチャントで処理し、陥没様相部用材料が、突出様相部用材料より早くエッチングする工程。この工程では、突出様相部用材料と陥没様相部用材料とからなる支持層と結合した突出層材料を含む複数のミクロン規模の鋭尖表面構造物を形成する。予め選択されたエッチャントは、有機酸、無機酸、有機アルカリ、無機アルカリ、極性溶媒、非極性溶媒、有機溶媒、無機溶媒、及びそれの混合物より構成される群から選択される少なくとも1つのエッチャントを含有しうる。1つの実施態様では、予め選択されたエッチャントは、HFを含む。別の実施態様では、予め選択されたエッチャントは、混合エッチャント系を含む。その方法は、さらに、少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体のような疎水性材料で複数の鋭尖表面構造物を被覆する段階を含む。
【0010】
複数の図面に渡って基本的に同じものを示すいくつかの構成要素には同一の参照符号が割当てられる。
本発明をより理解するために、他の、そしてさらなるそれの目的、利点及び能力と一緒に、上記図面と繋げて、以下の開示及び付随の請求項を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
典型的な微細組織化及びナノ組織化エッチング工程では、急勾配側壁及び、高アスペクト比を示す構造のうちの少なくとも一方を形成するために注意が払われる。液体化学エッチャントの使用は典型的に角が丸い構造物を生じるので、真空エッチング工程を使用する。微細チャネルまたはナノチャネルのガラスを製造する工程でさえ、材料及びエッチャント(類)は、急勾配の側壁と極度に高いアスペクト比を生じるために選択される。本発明では、意図的に角度を付けた側壁を有する新たな構造物を形成することによって表面構造物を形成するために、新規のエッチング工程が使用される。新規方法は、簡単かつ確実な方法で微細に鋭尖点を生じうる。これは、通常の丸型の「ウェット」エッチングされた構造物、または真空加工のために特に必要とされる正確なタイミング及び条件と著しく対照的である。
【0012】
本発明は、陥没様相部用材料と突出様相部用材料とを含む複合材構造に基づく。個々の材料は、異なるエッチング特性/溶解性を供し、陥没様相部は、突出様相部より大きなエッチング特性/溶解性を有する。複合材構造の表面に、突出様相部より多くの陥没様相部を除去するエッチャント/溶媒をかけることによって、突出様相部のいくつかは、鋭尖突出表面構造物を形成する。この語句「鋭尖表面構造物」は、好適には鋭尖な先端、理想的には微細な鋭尖点または先端で終端する全般的に先細りの突出構造物であることがここで定義される。したがって、「鋭尖表面構造物」は、第1の断面領域を有する基本部分、及び第1の断面領域の30%以下、例えば25%、20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は1%未満の小さい断面領域を有する基本部分に対峙する先端部分を有する構造物に該当する。基本部分から先端部分に移動する際に断面領域における減少は、好適には単調である。微小規模の構造物は、高さ、幅及び/又は先端面積のような少なくとも1つのミクロン規模またはナノ規模の寸法を示す表面構造物に該当する。
【0013】
鋭尖表面構造物は、例えば、突起及び/又は先端のような突出部を含む。突出様相部用材料は、突出様相部用材料がその工程でエッチングされるでさえ、陥没様相部用材料より若干緩慢であるので、鋭利になる。望ましい効果を生じるためにあらゆる組合せでのいずれかの異なるエッチング特性/溶解性の陥没様相部用材料及び突出様相部用材料の使用は、本発明の範囲内に入ると見なされる。さらに、鋭尖表面構造物のサイズ及び形状の変動に制限はない。複合材基本材料は、いずれかの公知のエッチング方法または複数方法により、様々にエッチングできるいずれかの材料から製造しうる。
【0014】
複合材基本材料は、適切な様々なエッチング構造物を示すいずれかの材料から製造され
うる。適切な材料としては、例えば、ガラス、金属(アロイを含めて)、セラミックス、重合体、樹脂などが挙げられる。材料の選択は、例えば化学耐性、被覆の容易さ及び/または必要性、強度、硬度、柔軟性、弾性、可塑性などのような製品の特性に影響を示しうる。
【0015】
エッチャントは、有機または無機酸またはアルカリ;極性、非極性、有機、無機または混合の溶媒;または前述のもののいずれかの混合物を含みうる。エッチャントは、ここに記述されるとおり複合材材料を様々にエッチングするために予め選択される。例えば、HF、HCl、HBrまたはHIのような酸を、ガラス組成物を様々にエッチングするために選択しうる。
【0016】
エッチャントは、複合材表面に塗布されたときに、様々なエッチングのコントラスト比を付与する複数のエッチャントの混合物より構成される「混合エッチャント系」でありうる。例えば、一方のエッチャントは、一方の相を優先的にエッチングしうる一方で、他方のエッチャントは、他方の相を優先的にエッチングしうる。混合エッチャント系は、組成物及び/またはエッチャントの相対的濃度を変動させることによって、エッチング工程のコントラスト比が、改質されうるので、特に有用である。混合エッチャント系の例は、HFとHClの混合物である。適切な混合エッチャント系の有望な組成物は、実質的に制限がない。
【0017】
さらに、複数のエッチャントを、一連の2段階またはそれより多くの連続エッチング工程で使用しうる。例えば、HFは、第1エッチング段階で複合材表面に塗布され、洗浄除去し、そしてその後HClを、第2エッチング段階で複合材表面に塗布する。適切な混合エッチャント及びエッチング段階の有望な組合せは、実質的に制限がない。
【0018】
エッチングが行われる方法は、所望の表面構造物が達成される限り、本発明に重要ではない。例えば、プラズマエッチングまたは他の等方性エッチング技術のような他の非溶液エッチング技術を使用しうる。
【0019】
突起付複合材材料を、周知の微細チャネルまたはナノチャネルのガラスを製造する方法に類似の手段で製造しうる。
図1に関して、マトリックス材料12より異なる材料のコア14を有する複合材ロッドは、配列されたアレイ、あるいは束10に束ねられる。束14にあるロッドは、一般に、引張工程の間に一緒に融合される。ロッド(マトリックス材料)12は、好ましくは、空隙を最小限にする六角形または他の外側断面形状を示す一方で、これらのパラメーターのいずれも本発明に重要であると見なされるものではないが、コア材料14は、好ましくは、円形断面を示す。マトリックス材料12が円形断面を有するのは経済的製造に有利でありうる。この場合には、空隙は、連続加工の間に充填される。丸型ロッド12を用いて、コア材料14の空間は、いくぶん正確さが低い。
【0020】
マトリックス材料12及びコア材料14は、好ましくは、様々なエッチング特性(エッチングまたは溶解に対する敏感さ)に基づいて選択される。ナノチャネルのガラスの場合には、コアガラスは、マトリックスガラスのものよりいっそう高いエッチング特性を示す。本発明の先に知られていない突起付表面の場合には、コア材料14は、マトリックス材料12より低いエッチング特性を示し、そして複合材表面のエッチングにより、突出した鋭尖構造物を形成する。
【0021】
複合材における不可欠な要素の使用が、材料の引張の容易さを改善することに注目すべきである。一般に、材料の相互分散が多すぎること(過剰に混和すること)なしに、そしていずれかの要素が液滴に崩壊すること(不十分に混和すること)なしに、特定の混和性
を示す材料を選択することが有利でありうる。
【0022】
束10を含む材料を軟化させるのに十分であるが、しかし損傷、分解、または他の破壊的変化を避けるのに十分に低い温度まで、束10を加熱しうる。束10の直径を融合及び減少させるために、束10を、束ねられたロッドの軸と一緒に引張りうる。図2で示されるとおり、引張束20は、減じられたサイズ材料ロッドマトリックス材料12及び個々のコア材料14を有する。引張られた束20を、再度束ねて、その断面でコア材料14コアの数を増大させうる切片に横軸で切断しうる。
【0023】
束20をその後、再度引張りうる。図3で示されるとおり、2回の引張束30は、さらに減少されたサイズ材料ロッドマトリックス材料12及び個々のコア材料14を有する。二回の引張束30を、再度、横軸で、切片に切断して、再度束ねて、さらにそれの断面でコア材料14コアの数を増大させうる。
【0024】
単回で、またはコア材料14の望ましい直径及び空間が得られるまで多数回繰り返して、束ね、引張、及び切断のプロセスが行われうる。ナノメートル尺度でコア材料14直径及び空間が可能である。そこに含まれる束のサイズ及びロッドの数は、望まれるとおりプロセスの間じゅう変化されうる。
【0025】
最終引張(第1の引張であってもよい)の後、大型直径のブールを得るために、束を、切断、束ね及び融合しうる。図4は、ブール40の代表的部分を概略的に示す。ブール40を、横軸で切断して、いずれかの所望の厚みのスライス(平板、タイル)を製造しうる。図5は、平板50の代表的部分を概略的に示す。切断物は、通常(しかし必然的ではなく)には、当初のロッド12及び引張方向に垂直である。一方または両方の切断面を仕上げ加工しうる。六角形のブール40が例として示される、そして説明されるが、いずれかの所望の立体的形状の束を、本発明の種々の実施態様のいずれかを行う上で、形成、加工及び使用しうる。
【0026】
連続して、平板50の切断物(複合材)表面の一方または両方を、エッチングして、平板50の一方または両方の側にコア材料14の突起の列を造りだしうる。複合材表面を、エッチャント(例えばHF)と接触させ、そしてそれは、コア材料14(突出様相部)より早くマトリックス材料12(陥没様相部)をエッチングする。エッチングは、マトリックス材料12が、所望の深さまで戻ってエッチングされるまで継続し、そしてコア材料14のいくつかが、その表面から突出たままにする。結果は、コア材料14をコーン型突起に尖らせ、突起のアスペクト比がマトリックス材料12とコア材料14のエッチング速度の比に依存するということである(例えば、下の図6,7を参照)。
【0027】
下に示される実施例は、例示目的のためにのみに供され、そして本発明の範囲をいかなる手段でも規定しないと理解すべきである。
実施例1
本発明によって、エッチング特性の低い突出様相部としてシルバニアSG12(商標)(コーニング0120(商標)に相当する)コアガラスを、そしてエッチング特性の高い陥没様相部としてコーニング8161(商標)クラッド(マトリックスガラス)を有するガラスロッドを束ね、ロッドを軟化させるのに十分な温度まで加熱し、そしてそれの直径を減らすために引抜いた。生じたロッドを、再度束ねられ、そして再引抜きされた断面に切断した。コアガラスの直径が5μmまで減少し、そして約7μm離れて空間を空けるまで、上のプロセスを繰り返した。ロッドは、断面に切断し、束ね、そして融合して、約1.5cmの直径を有する短く、厚みのあるロッドを形成した。薄平板を、ロッドの末端から横軸に切断し、仕上げ加工し、そして20分の期間、室温で、HFを用いてエッチングして、ディスクに突起付表面を生じた。突起は、高さ約12μmであった。
【0028】
図6は、実施例1によって製造された突起付ガラス平板の斜視顕微鏡写真である。陥没様相領域16及び突起18が明瞭に見られる。図7は、高倍率での突起付ガラス平板を示す。図8は、低倍率での突起付ガラス平板を示し、融合束の六角形パターンを表す。図9は、突起付ガラス平板の平面図を示す。
【0029】
上述の発明は、特に超疎水性または超親水性材料の製造に種々の用途を示す。一般に、本発明の鋭尖表面構造物は、少なくとも突出様相部が、その材料から製造されるか、またはそれで被覆される場合、材料と液体の「親和力を示さない」(例えば、疎水性)または「親和」(例えば、親水性)相互関係を増幅する。特に、特定の液体に自然に反発する(強い親和性を示さない)材料表面は、その液体に超反発性になるのに対して、特定の液体に自然に誘引性のある材料は、その特定の液体に超誘引性になる。したがって、本発明は、その材料の物理的及び化学的起因に基づいて、種々の液体を超誘引または超反発するかのいずれかである多数の新たな材料を造りだす能力を有する。
【0030】
被覆材は、鋭尖な構造物が形成された表面に塗布して、超誘引または超反発表面を増強または造りだしうる。被覆材は、粘着性があり、そして複合材基本材料に化学的に適合性があるべきである。複数の被覆材を塗布しうる。例えば、第1の被覆材は、機能性第2被覆材との適合性を促進する緩衝剤層として役割を果たしうる。鋭尖構造物表面に塗布されうる層の型及び数を制限するものはない。したがって、本発明は、その材料及び被覆材の物理的及び化学的起因に基づいて、種々の液体を超誘引または超反発するかのいずれかである多数の新たな被覆材料を造りだす別の能力を有する。
【0031】
長疎水性表面を作り出すために、鋭尖構造物が形成された表面を、例えば炭化水素のような疎水性材料で被覆しうる。疎水性被覆材は、例えばPTFEまたは類似の重合体の被覆材を含むことができ、CF3末端基を有する重合体が、特に適切である。被覆材を、均一な厚みを得るために回転被覆しうる(材料を回転させながら液体として使用される)(例えば、デュポンのテフロン(登録商標)AFを、液体で塗布しうる)。それは、真空蒸着法を介しても蒸着されうる。例えば、スパッタリングまたはホットフィラメント化学蒸着(HFCVD)によってPTFEまたは他の炭化水素を塗布しうる。自己組立単層は、それが、適切な溶液中で材料を単に浸漬することによって、またはそれを表面に注ぐか、または例えば噴霧することによって使用されるので、ガラスを含めた種々の材料のための特に簡単で、そして有効な疎水性被覆材である。重合体の表面をフッ化して、表面をいっそう疎水性にしうる。金属を疎水性にするために他の被覆材を使用でき、そして複合材中に使用される材料に依存しうる。結果は、水(多様な水性流動体を含めて)をはじく被覆された超疎水性表面である。
実施例II
実施例Iによって製造された突起付ディスクを、ヘキサン中の(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシランの溶液に浸漬して、突起付表面上に自己組立疎水性単層を形成した。得られたディスクは、超疎水性特性を示した。
【0032】
実施例IIによって製造された超疎水性ディスクを、超疎水性特性について試験した。図10は、シリンジからディスク上に直接溶出された1滴の水を示す。液滴は、175°より大きく、そして180°に近づく見掛けの接触角を示す。図11は、本発明との比較のために、シリンジから平坦で疎水性の被覆ガラス表面上に直接溶出された1滴の水を示す。その液滴は、約105°の見掛けの接触角を示す。
【0033】
図12−14は、シリンジから溶出され、超疎水性ディスクに向かって落下する(図12)、超疎水性ディスクの上に落下し、そして圧縮する(図13)、及び超疎水性ディスクから上向きに跳ね上がる(図14)1滴の水を示す連続動画から抜粋されたフレームで
ある。その1滴の水は、超疎水性ディスクの表面を転がり落ちるまで跳ね上がり続け、そしてディスクを完全に乾燥させる。
超疎水性ディスクを、ペトリ皿の底に載せ、そして水をディスクに落とした。水がおよそ5mm深度に達するまで、水は、上に示すとおり動いた。水は、超疎水性ディスク覆わないが、しかしむしろその周辺に環状メニスカスを形成した。図15は、メニスカスの水によって囲まれた超疎水性ディスクを示す。十分な水がペトリ皿に添加されたとき、水は、結局ディスクを越えて崩壊した。しかし、シリンジを介したディスク上のある程度の水の除去、及び/または気泡の配置は、図15で示される条件に直ぐに戻る結果になった。
【0034】
本発明の他の実施態様では、複合材材料は、1種類より多い複合材ロッドを含みうる。例えば、コアのいくらかは、貫通した製品を製造するために、高エッチング特性/溶解性を示す異なるコア相(例えば、ナノチャネル様コア)を有しうる。図16は、同じマトリックスガラス12から製造された全てガラスロッドを有する平板160を示し、そしてそのロッドのほとんどは、ここで上で示されるものと同じコアガラス14を有する。しかし、いくつかのコアは、脆弱物162であり、そして異なる材料から製造される。平板160のエッチングにより、脆弱コア162は、溶解し、そして平板162で貫通したままである一方で、他方のコア14は突起を生じる。脆弱コア162の溶解は、完璧でありうる。貫通を示す実施態様は、本発明が、妨害の疑いか少なく、したがって種々の水性流動体からの溶解ガスの除去を含めた種々の用途に、そして種々の水性流動体中の表面ガス層の圧縮に有用である点で、現存の濾過材料を越える利点を示す。
【0035】
脆弱コア162は、予め選択されたエッチャント以外の溶媒中に可溶性である材料から製造されうる。例えば、脆弱コア162は、アセトンに可溶性である重合体から製造されうる。図17は、コア162が溶出している部分の貫通物172と共に、溶媒にさらした後の未エッチング平板160'を示す。その後、平板160'をエッチングして、他のコア14の突起を形成し、そして最も起こりそうなのは、貫通物172の拡大である。貫通物172のサイズは、結局、脆弱コア162のサイズによって決定される。
【0036】
本発明の多くの実施態様で、材料は、好ましくは、表面を被覆及び/または積層するためのタイルで製造される。図5及び他の図は、タイルまたはタイルの一部を概略的に表し、そしてそれは、数百万またはそれより多くの突起を含みうる。タイルは、例えば船舶船体または水中翼船のような種々の表面に結合されうる。不規則形状の表面にタイルを貼るために、未エッチングタイルを非常に薄く切断し、及び/または加熱して、タイルを不規則形状に注型するのに十分に柔軟にさせうる。タイルが適切な形状を要求すると、それによりタイルはそこに結合され、そして加工(エッチング、そして都合により被覆)しうる。代わりに、タイルを最初に加工し、そしてその後、望ましい表面に結合させうる。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様では、粉末形態の材料を、裸眼に粉末として見える非常に小さなタイルである「微細タイル」を生じることによって製造しうる。他の2つの要素に比較して急速にエッチングされる第3のガラスまたは要素を使用することによって、微細タイルを形成する。図18に関して、単独の微細タイル180を、ここで上に示されるとおりコア14を有するロッド12から形成する。最も外部のロッド182は、ここで上に示されるとおりの高いエッチング特性のガラスまたは非常に溶解性のある重合体のような脆弱材料から製造される。束を引っ張り、切断し、そして再度引っ張ったとき、各微細タイル180のサイズを大いに減少させる一方で、束中の微細タイル180の数は、大いに増大する。続いて、多数の小さな微細タイル180を含む平板を製造し、そして各々は、脆弱ロッド182の輪郭を示す。エッチングまたは溶解により、脆弱ロッド182をエッチングまたは溶出させ、そして個々の微細タイルの全てを放出する。したがって、被覆材及び/または積層体として複合体表面に容易に接着して塗布されうる一定な形状の粉末を製造する。本発明のこの実施態様は、超疎水性被覆材として特に有用である。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様では、特に、ロッドの化合物列では、陥没様相部を形成するためにコア材料を選択する一方で、マトリックス材料は、突出様相部として選択される。このような配列は、平坦さが少ない陥没様相領域と共に、突起で覆われた大きな部分の表面を有する突起付表面を形成しうる。図19に関して、平板190は、突出様相部ガラスの固体ロッド196、及び突出ガラスマトリックス192と陥没様相部ガラスコア194を有する複合材ロッドを含みうる。示される特定のパターンでは、6つの複合材ロッド192/194は、各個体ロッド196を取り囲む。
【0039】
図20、21は、図19で示される平板190をエッチングした結果を示す。図20は、エッチングされた表面構造物の輪郭線を示す平面図でエッチングされた平板200の一部を示す。陥没様相領域220は、実線円202、202'、202"によって示される。突出領域(突起)216は、破線輪郭線204、206及び点208によって示される。
【0040】
図21は、図20で点線で示される方形区分の側面図である。図21の突出部は、図20で矢印214からである。切断物210及び212の面は、突出様相部218のマトリックス中の陥没様相部220の区分202、202'、202"を示す。突起216は、輪郭線204、206を通して突出し、そして点208まで伸びる。
【0041】
図20、21で示される陥没様相部220を、完全にエッチングして、ここに示されるとおり有用である突出平板200を製造しうる。このようなエッチングを、同様に、及び/または突出様相部218をエッチングしないエッチャントを用いた連続段階で行いうる。
【0042】
図22は、図19に示されるものと類似である本発明の別の代替的実施態様を示す。図22では、平板220は、突出様相部用材料の固体ロッド222を含み、そしてその各々は、陥没様相部用材料の6つのむくロッド224によって取り囲まれる。この配列の有望な利点は、大きな陥没様相領域での交換条件で、固体ロッドの費用が減少されることである。
いくつかの用途については、突起空間及び/またはサイズの勾配を生じる異なるサイズのコアを束ねることが望ましい可能性がある。
【0043】
明らかに、多くの組合せが、複合材で突起付けられた表面を生じる。束は、同一でなくてよいロッドの集合であり、そして異なる多様なロッドを、種々のパターンで配列しうる。
【0044】
いくつかの用途について、引っ張り方向に対して垂直以外の角度で材料を切断することが望ましい可能性があり、そしてある程度方向的に感度のある用途で有用である角度付突起を生じる。
【0045】
本発明のいくつかの実施態様では、平方、長方形、三角形などのような代替の束ねられた列形状を製造しうる。
微細チャネルまたはナノチャネルのガラスを製造し、コアをエッチングし、電解メッキによりその穴を金属で充填し、そしてその後マトリックスガラス、そして(さらにゆっくりと)金属をエッチングし戻して、金属突起を残すことによって、電気的に導体(例えば、金属)突起を有する複合材突起付表面を作成することが望ましい可能性がある。したがって、金属は、突出様相部を形成する一方で、残りの微細チャネルガラスは、陥没様相部を形成する。適切な金属は、それに限定されないが、Au、Ag、Ir、Ni、Pd、Pt、及び前述のいずれかのアロイを含む。導体突起も、例えば導体重合体を使用して、他の微細チャネルまたはナノチャネル材料から製造しうる。
【0046】
電気的に導体な突起付表面を、疎水性被覆材または自己組立単層で被覆しうる。超疎水性特性は、例えば、電気絶縁体での電気湿潤(EWOD)によって、または電気的に交換可能な表面被覆材でスイッチを開閉しうる。金属から形成される複合材突起の別の用途は、電界放出装置(電界放出ディスプレイなどのための電子放出装置として使用される)としてである。導体コアが、平板を通して透過するので、突起に対する電気的接触を、平板の底部(エッチング前)側で製造しうる。
【0047】
突起付表面は、それが損傷を受けた場合、容易に再生されうる。一般に、要求される全ては、古い疎水性被覆材(必要であれば)の分断、鋭尖構造物を再生する表面の再エッチング、及び疎水性被覆材の再使用(必要であれば)である。基本材料は、その厚みを通しての複合材パターン(Z軸)を含み、そしてそれが完全にエッチングされるまで交換される必要がない。これは、小さな形状の構造物が擦ることによって損傷を受けうるので、大きな利点である。
【0048】
従来の集積回路製造技術を使用して、複合材材料を形成しうる。例えば、異方性の深い溝は、本発明により、適切な第1の相(陥没様相部又は突出様相部)材料をエッチングし、第2の材料で充填し、平坦化し、そして続いてエッチングする。マトリックス材料を、基板の別個の部分のみのように、基板材料上に付着さえうる。本発明によるデバイスは、電子デバイス、センサー(例えば、MEMS)などに続くチップ上に蒸着させうる。
【0049】
本発明の上に記述される実施態様のある程度の利点としては、
1.表面の構築に使用される材料は、主に不活性であるか、または少なくとも非反応性でありうる。
【0050】
2.単独の酸及び/または溶媒を、エッチング工程のために使用しうる。
3.典型的な光リソグラフに基づいた製造と比較した場合、その材料を多量に製造する規模拡大生産は、ほとんどの場合に、簡単でそして直接的である。
【0051】
4.突起付表面構造物は、必要な場合、現場で早急に、そして安価に再生されうる。
を含む。
本発明の用途、特にそれの超疎水性材の実施態様としては、限定されないが以下のものがあげられる。
【0052】
超疎水性の突出構造(例えば図16、21を参照)を使用することによって、本発明は、溶解ガス抽出装置/監視装置として使用されうる。その材料は、水透過または湿潤にさえ対して強力な耐性を示す。圧力または真空が、材料に対して水を押しやるために使用される(一般に周囲温度で)とき、液体に掛けられた増大したエネルギーは、その液体の局在化した顕微鏡下の沸騰(蒸発)を有効にするのに十分になる。あらゆる溶解ガスは、容易に構造を通過できるが、水を通過しない。本発明は、それにより、水から溶解した有害ガス(例えば、毒性化学及び/または生物学上の剤)を除去及び/または採取し、溶解ガスに対して透過性があるが、しかし水に対して透過性がない濾材として作用する手段を提供する。本発明のこの特定の用途は、自国防衛とテロ行為に対抗する継続中の努力に特に使用可能性がある。
【0053】
船舶船体、水中翼船などにおける本発明の使用は、水を通して摩擦性の引っ張りを特に減少させ、そして同じ量の力を使用して高速及び/または長い範囲の移動を可能にする。被覆材/積層物は、船体により水に残された乱れまたは後流(すなわち、サイン)を減少させるためにも使用されうる。被覆材/積層体は、フジツボ類、泥などによる船体の付着物を減少または排除するために使用されうる。被覆材/積層体は、塩水のエッチング効果
を大いに減少させるためにも使用されうる。したがって、被覆材/積層体は、小型船舶船体、海上船、潜水艦、魚雷、無人海上または水中船舶及び海洋グライダーを含めたあらゆる水運搬体またはデバイスに実質的に有利である。
【0054】
本発明は、プロペラ、タービン、方向舵、操舵面などの部品及び固定子を移動するのに使用して、引っ張り及び空洞現象を減少させ、そしてその効率を改善させうる。
EWODを可能にする電気的に導体な突起を有する本発明の実施態様は、海上及び水中船体を操舵するために使用しうる。船体の一方の側でEWODを活性化する(超疎水性特性を選択的にスイッチを切る)ことによって、摩擦操舵は、船体を、その側の方向で摩擦させる。水中船体では、本発明は、船体の深度を調節するためにも使用される。
【0055】
本発明は、有害及び/または厳密な液体操作についてガラス製品を製造するために使用されうる。その材料から製造されるか、または被覆されたガラス製品を注いだとき、水及び他の水基本の溶液は、残基がなく、そしてガラス製品から完全に除去する。利点は、実験の間の混入の排除である。
本発明は、自己洗浄ガラス製品、窓、レンズなどを製造するために使用されうる。超疎水性材料は、いずれの残基も残さないが、しかし水及び多くの水性溶液は表面を転がり落ちる場合、遭遇したほとんどの塵及び泥は、濡れさせ、そしてふき取り、それにより材料を自己洗浄させうる。
本発明は、抗濃縮用途として使用されうる。水蒸気が、表面で凝結されたとき、液滴は、コーン型突起の先端に移動し、そして非常に早期に表面から除去されうる。この転落は、一般に、表面のいずれかの可視材料が霧で覆われるか、または凍結する前に、ミクロンからサブミクロン濃度までで起こる。水分または氷の蓄積を除去する。用途は、それに限定されないが、例えば、メガネ、安全ゴーグル、マスク、風防ガラス、窓などのような明らかな目的が挙げられる。透明であるべき構造材料の能力は、光学回折の法則により支配される。突起周期性が、光波長より大いに低いとき、単に載せられた構造は透明に見える。これは、300nmより少ない突起周期について、空中で典型的に起こる。さらに、用途は、それに限定されないが、例えば冷蔵庫、熱ポンプ、除湿機冷却コイルなどのような熱交換が挙げられ、それによりそれらのエネルギー効率を増大させ、そして除霜周期による必要性を減少あるいは排除する。
【0056】
本発明は、粘着または蓄積から氷まじりの雨を保持するために、航空機翼、プロペラなどを被覆するために使用されうる。このような被覆材は、水滴が氷を形成できる以前にそれらが表面から転がり落ちるので凍結防止材である。
【0057】
本発明は、結晶化についての媒体として使用されうる。水基本の溶液が、表面に存在する場合、それは、球形の液滴を形成する。その液滴を蒸散させた場合、それは、表面に固定されることなく、均質に収縮する(固定は、ほとんどの他の表面に「コーヒー染み」状の輪を引き起す)。これは、微量重力環境で行われたものに類似して、超純度タンパク質を結晶化するのに特に有用でありうる。
【0058】
本発明は、例えばパイプ、チューブ、ホースなどのような環状管のための被覆材として使用されうる。粘性の抵抗物での減少は、環状管を通しての層流及び乱れに正常に関連したせん断力を大いに減少または排除する。これは、水の全体積に、乱れをほとんど、またはまったく伴わない単位として移動させ、そしてそれにより、それを通して流動体にかけることが要求されるエネルギーの量を大いに減少させる。これは、稼動力が弱い対流循環系にとって特に適正である。表面特性も、流れが乱れている条件を変化しうる。水が、表面と最小限の接触しているので、熱の接触も減少され、そして加熱及び冷却された水性流動体の熱損失を減少させ、そしてパイプ中の被覆材を戦略的に配置することによって、それの管理を可能にする。
【0059】
本発明は、水及び油のような非混和性である液体を分離するために使用しうる。超疎水性材料は、油及び他の有機性液体を誘引する。
適切な鋭尖表面構造物及び表面特性の選択で、本発明は、血液についての抗凝集表面として使用され得て、そしてそれは、一般に、表面に粘着性でない。したがって、材料は、血液が、そこに凝固することを防止し、そしてステント、熱バルブ、人工心臓表面、手術用機器のような合成移植片のための、そして血液を循環させるために使用される外部機械のための被覆材として使用されうる。表面で粘度が減少した抵抗物は、血液でのせん断力を減少させ、そして血液に対する損傷を減少させる。
【0060】
本発明は、周期的官能化表面を使用する細胞操作デバイスとして使用されうる。例として、特定の分子を、未被覆(超疎水性)突起付ガラス表面の各ガラス突起の末端に付着させうる。使用法としては、例えば、DNA/RNA/タンパク質操作及び分析研究、及び例えば雌性配偶子生殖のための細胞の直接挿入が挙げられる。
金属突起を有する本発明の実施態様は、磁界発生デバイスとして使用されうる。配列された構造は、電子を発生するために引き起される。各金属突起は、裏地板を介して活性化され、そして制御されうる(複合材表面は、突起付表面に対峙する)。突起先端は、極度に小さい(<10nm)ので、ほんの小さな電圧が、電子発生に必要とされる。このようなデバイスは、ディスプレインデバイスで、または電界発生顕微鏡から光発生ダイオードまでの範囲にある電界放出装置で使用されうる。
【0061】
本発明の好ましい実施態様を現時点で考慮されているものが示され、そして記述された一方で、付随の請求項により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変化及び修飾がそこに準備されうることは、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図2】本発明による加熱、引張及び切断の後に、図1で示される複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図3】本発明による再拘束、再引張及び切断の後に、図2で示される複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図4】本発明による再拘束及び融合の後に、図3で示される複合材ロッドの束の一部の概略を示す斜視図。
【図5】本発明による、図4で示される複合材ロッドの融合束から平板切断部の概略を示す斜視図。
【図6】本発明によるエッチングの後に、図5で示されるもののような突起付ガラス板の斜視顕微鏡写真。
【図7】高倍率で図6に示されるもののような突起付ガラス板の斜視顕微鏡写真。
【図8】低倍率で図6に示されるもののような突起付ガラス板の斜視顕微鏡写真。
【図9】高倍率で図6に示されるもののような突起付ガラス板の平面顕微鏡写真。
【図10】本発明による、シリンジから、超疎水性ガラス表面に溶離した1滴の水を側面から観察した写真。
【図11】本発明と比較するための、シリンジから、平坦な超疎水性被覆ガラス表面に溶離した1滴の水を側面から観察した写真。
【図12】本発明による、シリンジから溶離され、そして超疎水性ガラス表面に向かって落下する1滴の水を側面から観察した写真。
【図13】本発明による、超疎水性ガラス表面に落下し、そしてそれに対して圧縮する図12で示される1滴の水の連続写真フレーム。
【図14】本発明による、超疎水性ガラス表面を反射する図13に示される1滴の水の連続写真。
【図15】本発明による、水のメニスカスによって囲まれた超疎水性ガラスディスクの写真。
【図16】図5に示されるものに類似するが、しかし本発明による脆弱コアを有する平板の概略を示す斜視図。
【図17】図16に示されるものに類似するが、しかし本発明により溶解した脆弱コアを有する平板の概略を示す斜視図。
【図18】本発明による脆弱材料の先端ロッドを有する微細タイルの概略を示す斜視図。
【図19】本発明による化合物パターンを有する平板の概略を示す斜視図。
【図20】図19に示される平板をエッチングする結果を示す平板の概略を示す図。
【図21】図20に示される平板の区分の概略を示す側面図。
【図22】本発明による代替パターンを有する平板の概略を示す斜視図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陥没様相部用材料及び突出様相部用材料からなる第1の組織を有する支持層と、
前記支持層と一体形成されるとともに前記支持層の表面から突出し、微細形状の構造物の少なくとも先端が、基本的に、前記突出様相部用材料より形成されている複数の離隔した微小規模の鋭尖表面構造物とからなる、複合材物品。
【請求項2】
前記陥没様相部用材料と突出様相部用材料は、整列して配列される請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記支持層は結合された被覆で囲まれた複数のコアを備え、前記被覆を構成する被覆加工材料は陥没様相部用材料又は突出様相部用材料の一方であり、前記コアを構成するコア材料がこれらの材料の他方である請求項2記載の物品。
【請求項4】
陥没様相部用材料はガラス、金属、セラミックス、重合体又は樹脂から選択される第1の材料からなり、前記突出様相部用材料は、前記第1の材料とは異なり、ガラス、金属、セラミックス、重合体又は樹脂から選択される第2の材料からなる請求項1記載の物品。
【請求項5】
前記陥没様相部用材料は第1のガラスからなり、前記突出様相部用材料は第2のガラスからなる請求項1記載の物品。
【請求項6】
前記陥没様相部用材料はガラスからなり、前記突出様相部用材料は金属からなる請求項1記載の物品。
【請求項7】
微小規模の鋭尖表面構造物の少なくとも一部上に疎水性被覆材をさらに備える請求項1記載の物品。
【請求項8】
前記疎水性被覆材は、少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体を含む請求項1記載の物品。
【請求項9】
a.陥没様相部用材料を含有する第1の領域、及び突出様相部用材料を含有する第2の領域を有した表面層を有する前駆体物品を設ける工程であって、前記陥没様相部用材料は、予め選択されたエッチャントに対して前記突出様相部用材料より高い反応性を示す、前駆体物品を設ける工程と、
b.表面層を前記予め選択されたエッチャントで処理する工程であって、陥没様相部用材料は突出様相部用材料より早くエッチングされるとともに、前記処理工程によって、突出様相部用材料と陥没様相部用材料とからなる陥没様相部支持層と一体形成されるとともに、前記突出様相部用材料からなる、複数の突出した微小規模の鋭尖表面構造物を形成する、処理工程とを備えた、鋭尖表面構造物を有する複合材物品の製造方法。
【請求項10】
前記陥没様相部用材料と突出様相部用材料は、整列して配列される請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
前記支持層は結合された被覆で囲まれた複数のコアを備え、前記被覆を構成する被覆加工材料は陥没様相部用材料又は突出様相部用材料のうちの一方であり、前記コアを構成するコア材料はこれらの材料のうちの他方である請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
陥没様相部用材料はガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂から選択される第1の材料からなり、前記突出様相部用材料は、前記第1の材料と異なり、ガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂から選択される第2の材料からなる請求項9記載の製造
方法。
【請求項13】
前記陥没様相部用材料は第1のガラスからなり、前記突出様相部用材料は第2のガラスからなる請求項9記載の製造方法。
【請求項14】
前記陥没様相部用材料はガラスからなり、前記突出様相部用材料は金属からなる請求項9記載の製造方法。
【請求項15】
予め選択されたエッチャントは、有機酸、無機酸、有機アルカリ、無機アルカリ、極性溶媒、非極性溶媒、有機溶媒、無機溶媒、及びそれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1つのエッチャントを含有する請求項9記載の製造方法。
【請求項16】
前記予め選択されたエッチャントが、HFを含む請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記予め選択されたエッチャントが、混合エッチャント系を含む請求項9記載の製造方法。
【請求項18】
c.前記複数の鋭尖表面構造物を疎水性材料で被覆する工程をさらに備える、請求項9記載の方法。
【請求項19】
前記疎水性材料が、少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体を含む請求項18記載の物品。
【請求項1】
陥没様相部用材料及び突出様相部用材料からなる第1の組織を有する支持層と、
前記支持層と一体形成されるとともに前記支持層の表面から突出し、微細形状の構造物の少なくとも先端が、基本的に、前記突出様相部用材料より形成されている複数の離隔した微小規模の鋭尖表面構造物とからなる、複合材物品。
【請求項2】
前記陥没様相部用材料と突出様相部用材料は、整列して配列される請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記支持層は結合された被覆で囲まれた複数のコアを備え、前記被覆を構成する被覆加工材料は陥没様相部用材料又は突出様相部用材料の一方であり、前記コアを構成するコア材料がこれらの材料の他方である請求項2記載の物品。
【請求項4】
陥没様相部用材料はガラス、金属、セラミックス、重合体又は樹脂から選択される第1の材料からなり、前記突出様相部用材料は、前記第1の材料とは異なり、ガラス、金属、セラミックス、重合体又は樹脂から選択される第2の材料からなる請求項1記載の物品。
【請求項5】
前記陥没様相部用材料は第1のガラスからなり、前記突出様相部用材料は第2のガラスからなる請求項1記載の物品。
【請求項6】
前記陥没様相部用材料はガラスからなり、前記突出様相部用材料は金属からなる請求項1記載の物品。
【請求項7】
微小規模の鋭尖表面構造物の少なくとも一部上に疎水性被覆材をさらに備える請求項1記載の物品。
【請求項8】
前記疎水性被覆材は、少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体を含む請求項1記載の物品。
【請求項9】
a.陥没様相部用材料を含有する第1の領域、及び突出様相部用材料を含有する第2の領域を有した表面層を有する前駆体物品を設ける工程であって、前記陥没様相部用材料は、予め選択されたエッチャントに対して前記突出様相部用材料より高い反応性を示す、前駆体物品を設ける工程と、
b.表面層を前記予め選択されたエッチャントで処理する工程であって、陥没様相部用材料は突出様相部用材料より早くエッチングされるとともに、前記処理工程によって、突出様相部用材料と陥没様相部用材料とからなる陥没様相部支持層と一体形成されるとともに、前記突出様相部用材料からなる、複数の突出した微小規模の鋭尖表面構造物を形成する、処理工程とを備えた、鋭尖表面構造物を有する複合材物品の製造方法。
【請求項10】
前記陥没様相部用材料と突出様相部用材料は、整列して配列される請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
前記支持層は結合された被覆で囲まれた複数のコアを備え、前記被覆を構成する被覆加工材料は陥没様相部用材料又は突出様相部用材料のうちの一方であり、前記コアを構成するコア材料はこれらの材料のうちの他方である請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
陥没様相部用材料はガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂から選択される第1の材料からなり、前記突出様相部用材料は、前記第1の材料と異なり、ガラス、金属、セラミックス、重合体または樹脂から選択される第2の材料からなる請求項9記載の製造
方法。
【請求項13】
前記陥没様相部用材料は第1のガラスからなり、前記突出様相部用材料は第2のガラスからなる請求項9記載の製造方法。
【請求項14】
前記陥没様相部用材料はガラスからなり、前記突出様相部用材料は金属からなる請求項9記載の製造方法。
【請求項15】
予め選択されたエッチャントは、有機酸、無機酸、有機アルカリ、無機アルカリ、極性溶媒、非極性溶媒、有機溶媒、無機溶媒、及びそれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1つのエッチャントを含有する請求項9記載の製造方法。
【請求項16】
前記予め選択されたエッチャントが、HFを含む請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記予め選択されたエッチャントが、混合エッチャント系を含む請求項9記載の製造方法。
【請求項18】
c.前記複数の鋭尖表面構造物を疎水性材料で被覆する工程をさらに備える、請求項9記載の方法。
【請求項19】
前記疎水性材料が、少なくとも1つのフッ化炭素含有重合体を含む請求項18記載の物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2008−508182(P2008−508182A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523766(P2007−523766)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026625
【国際公開番号】WO2006/028603
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(301027074)ユーティ―バテル エルエルシー (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026625
【国際公開番号】WO2006/028603
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(301027074)ユーティ―バテル エルエルシー (19)
【Fターム(参考)】
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