説明

鋳型造型装置の遠隔監視システム

【課題】鋳枠無し上・下鋳型造型装置の駆動手段や構成要素の動作を遠隔地からでも適確に監視することができる鋳型造型装置の遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】鋳型造型装置の遠隔監視システムにおいて、鋳型造型装置の駆動手段および構成要素に装着されて駆動手段および構成要素に関連する各種の属性の大きさを測定する各種のセンサと、これら各種のセンサによる測定値を通信回線上に送信する送信手段31と、この送信手段31から通信回線33を介して送信された各種のセンサの測定値を分析しかつ分析結果を表示する監視ツール32と、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、重ね合せられた鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し鋳型造型装置を遠隔的に監視する遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】

本出願人は、鋳型造型装置の一つとして次に示すように構成された鋳枠無し上・下鋳型造型装置を開発している。この鋳枠無し上・下鋳型造型装置は、側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する上鋳枠と下鋳枠を連結杆を介し相互に接近・離隔自在にして連結した上・下鋳枠ユニットと;この上・下鋳枠ユニットの上鋳枠と下鋳枠の間に搬入出機構によって入出可能に配設したマッチプレートと;前記上・下鋳枠ユニットを複数のクランプ機構を介して着脱可能に取り付け、前記上・下鋳枠によって前記マッチプレートを挟持し、前記上・下鋳枠における前記マッチプレートが無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレートを挟持した前記上・下鋳枠が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を支持軸を中心にして垂直面内で正逆回転可能に構成した鋳物砂スクイズ機構と;この鋳物砂スクイズ機構を正逆回転させる回転駆動機構と;この回転駆動機構の駆動によって垂直状態にある前記上・下鋳枠に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構と;を具備して、重ね合せられた鋳枠無しの上・下鋳型を造型するようにしたものである。
【0003】
そして、この鋳枠無し上・下鋳型造型装置においては、各種の構成要素は駆動手段である各種の流体シリンダによって駆動され、また鋳枠内への鋳物砂の充填は、砂吹込み機構における圧縮空気を用いたエアレーション作用および吹込み作用によって行われ、さらに砂吹込み機構内の鋳物砂の上面はレベルセンサによって測定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように構成された開発中の鋳枠無し上・下鋳型造型装置では、駆動手段や構成要素が正常に作動しているか否かをチェックする好適な方法や手段がなく、専ら、現実に作動しなくなった、あるいは動作が不良となった駆動手段や構成要素を作業者等が感覚器官等で知覚するに留まっていた。しかも、作業者等は、その駆動手段や構成要素の故障等を発見することができても、鋳型造型装置が所望の鋳型を造型するように、駆動手段や構成要素が正常にして十分に作動あるいは機能を発揮しているかを検出することができるまでには至っておらず、ましてや鋳型造型装置を遠隔地からその動作を監視することは全く不可能であった。
【0005】

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、鋳枠無し上・下鋳型造型装置の駆動手段や構成要素の動作を遠隔地からでも適確に監視することができる鋳型造型装置の遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鋳型造型装置の遠隔監視システムは、側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する上鋳枠と下鋳枠を連結杆を介し相互に接近・離隔自在にして連結した上・下鋳枠ユニットと;この上・下鋳枠ユニットの上鋳枠と下鋳枠の間に搬入出機構によって入出可能に配設したマッチプレートと;前記上・下鋳枠ユニットを複数のクランプ機構を介して着脱可能に取り付け、前記上・下鋳枠によって前記マッチプレートを挟持し、前記上・下鋳枠における前記マッチプレートが無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレートを挟持した前記上・下鋳枠が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を支持軸を中心にして垂直面内で正逆回転可能に構成した鋳物砂スクイズ機構と;この鋳物砂スクイズ機構を正逆回転させる回転駆動機構と;この回転駆動機構の駆動によって垂直状態にある前記上・下鋳枠に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構と;を具備した鋳枠無し上・下鋳型造型装置か、または側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する2対の上・下鋳枠と;これら2対の上・下鋳枠のうち1対の上・下鋳枠の間に搬入出機構によって入出可能に配設されたマッチプレートと;前記1対の上・下鋳枠によって前記マッチプレートを挟持し、前記上・下鋳枠における前記マッチプレートが無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレートを挟持した前記1対の上・下鋳枠が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を支持軸を中心にして垂直面内で正逆回転可能にして支持した鋳物砂スクイズ機構と;この鋳物砂スクイズ機構を正逆回転させる回転駆動機構と;この回転駆動機構の駆動によって垂直状態にある前記1対の上・下鋳枠に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構と;重ね合わせられかつ水平状態にある上・下鋳型内在の前記1対の上・下鋳枠から前記上・下鋳型を抜き出す鋳型抜出し機構と;前記1対の上・下鋳枠が水平状態にある前記鋳物砂スクイズ機構と前記鋳型抜出し機構の間を、一対ずつ上下に連なって水平に並ぶ水平状態の2対の前記上・下鋳枠を、交互に間欠的に旋回させかつ前記上鋳枠を昇降可能な鋳枠旋回機構と;を具備した鋳枠無し上・下鋳型造型装置を用いて、重ね合せられた鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し、この鋳型造型装置を遠隔的に監視する遠隔監視システムであって;前記鋳型造型装置の駆動手段および構成要素に装着されて駆動手段および構成要素に関連する各種の属性の大きさを測定する各種のセンサと、これら各種のセンサによる測定値を通信回線上に送信する送信手段と、この送信手段から通信回線を介して送信された前記各種のセンサの測定値を分析しかつ分析結果を表示する監視ツールと、を具備したことを特徴とする。
【0007】
このように構成されたものは、鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し、鋳型造型装置の駆動手段および構成要素に関連する属性の大きさをセンサによって測定し、続いて、このセンサによる測定値を送信手段によって通信回線上に送信し、その後、通信回線を介してこの送信手段から送信されたセンサの測定値を監視ツールによって分析しかつ分析結果を表示する。
【発明の効果】
【0008】

上記の説明から明らかなように本発明は、側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する上鋳枠と下鋳枠を連結杆を介し相互に接近・離隔自在にして連結した上・下鋳枠ユニットと;この上・下鋳枠ユニットの上鋳枠と下鋳枠の間に搬入出機構によって入出可能に配設したマッチプレートと;前記上・下鋳枠ユニットを複数のクランプ機構を介して着脱可能に取り付け、前記上・下鋳枠によって前記マッチプレートを挟持し、前記上・下鋳枠における前記マッチプレートが無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレートを挟持した前記上・下鋳枠が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を支持軸を中心にして垂直面内で正逆回転可能に構成した鋳物砂スクイズ機構と;この鋳物砂スクイズ機構を正逆回転させる回転駆動機構と;この回転駆動機構の駆動によって垂直状態にある前記上・下鋳枠に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構と;を具備した鋳枠無し上・下鋳型造型装置か、または側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する2対の上・下鋳枠と;これら2対の上・下鋳枠のうち1対の上・下鋳枠の間に搬入出機構によって入出可能に配設されたマッチプレートと;前記1対の上・下鋳枠によって前記マッチプレートを挟持し、前記上・下鋳枠における前記マッチプレートが無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレートを挟持した前記1対の上・下鋳枠が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を支持軸を中心にして垂直面内で正逆回転可能にして支持した鋳物砂スクイズ機構と;この鋳物砂スクイズ機構を正逆回転させる回転駆動機構と;この回転駆動機構の駆動によって垂直状態にある前記1対の上・下鋳枠に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構と;重ね合わせられかつ水平状態にある上・下鋳型内在の前記1対の上・下鋳枠から前記上・下鋳型を抜き出す鋳型抜出し機構と;前記1対の上・下鋳枠が水平状態にある前記鋳物砂スクイズ機構と前記鋳型抜出し機構の間を、一対ずつ上下に連なって水平に並ぶ水平状態の2対の前記上・下鋳枠を、交互に間欠的に旋回させかつ前記上鋳枠を昇降可能な鋳枠旋回機構と;を具備した鋳枠無し上・下鋳型造型装置を用いて、重ね合せられた鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し、この鋳型造型装置を遠隔的に監視する遠隔監視システムであって;前記鋳型造型装置の駆動手段および構成要素に装着されて駆動手段および構成要素に関連する各種の属性の大きさを測定する各種のセンサと、これら各種のセンサによる測定値を通信回線上に送信する送信手段と、この送信手段から通信回線を介して送信された前記各種のセンサの測定値を分析しかつ分析結果を表示する監視ツールと、を具備したから、鋳枠無し上・下鋳型造型装置の駆動手段や構成要素の動作を遠隔地からでも容易にして適確に監視することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を適用した鋳枠無し上・下鋳型造型装置の最良の形態について図1および図2に基づき詳細に説明する。図示するように、本鋳枠無し上・下鋳型造型装置は、機台1と、側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する上鋳枠2および下鋳枠3を1対の連結杆18を介し相互に接近・離隔自在にして連結した上・下鋳枠ユニット27と;上・下鋳枠2・3の間に搬入出機構4によって入出可能に配設したマッチプレート5と;前記上・下鋳枠ユニット27を1対のクランプ機構28を介して着脱可能に取り付け、前記上・下鋳枠2・3によって前記マッチプレート5を挟持し、前記上・下鋳枠2・3における前記マッチプレート5が無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段(図示せず)をそれぞれ入出可能に設け、かつ、前記マッチプレート5を挟持した前記上・下鋳枠2・3が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を前記機台1の上部の中央に装着された支持軸8を中心にして垂直面内で正逆回転可能に構成した鋳物砂スクイズ機構9と;この鋳物砂スクイズ機構9を正逆回転させる回転駆動機構としての2本の横向きのシリンダ10と;このシリンダ10の伸長作動によって垂直状態にある前記上・下鋳枠2・3に対して砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構11と;で構成してある。
【0010】
そして、前記下鋳枠3を前記上鋳枠2に垂設した前記連結杆18に上鋳枠2から所要距離下降可能にして装架してある。また、前記鋳物砂スクイズ機構9においては、前記支持軸8に回転フレーム12を垂直面内で正逆回転自在に枢支して設け、この回動フレーム12の右側面には上下方向へ延びる一対のガイドロッド13を前後方向へ所要の間隔をおいて装着してある。この一対のガイドロッド13間における上部には上昇降フレーム14を、また、その下部には下昇降フレーム15をそれぞれ摺動自在にして装架してあって、上・下昇降フレーム14・15は前記回転フレーム12に装着されたシリンダ16・17の伸縮作動によって相互に接近・離隔するようになっている。また、前記砂吹込み機構11を前記機台1の天井部の左寄り位置に装着し、さらに、前記砂吹込み機構11の下部には2個のエアレーション手段(図示せず)を設けてある。
【0011】
また、前記鋳型造型装置には、特に図1に示すように、前記鋳型造型装置の構成要素を駆動する各種の流体シリンダの油圧あるいは空圧、構成要素である砂吹込み機構11におけるエアレーション用および砂吹込み用の圧縮空気の圧力あるいは砂の上面レベルの大きさをそれぞれ測定する各種のセンサが装着してあり、これら各種のセンサには測定値を送信する送信手段31が電気的に接続してあり、送信手段31には前記センサによる各種の測定値を分析しかつ分析結果を表示する監視ツール32が通信回線33を介して接続してある。
【0012】
そして、このように構成した鋳枠無し上・下鋳型造型装置においては、水平状態の上鋳枠2と下鋳枠3間にマッチプレート5を搬入出機構4によって搬入したのち、シリンダ16・17を収縮作動して上・下鋳枠2・3によってマッチプレート5を挟持し、続いて、シリンダ10を伸長作動して鋳物砂スクイズ機構9を回転させ、上・下鋳枠2・3およびマッチプレート5を垂直状態にするとともに上・下鋳枠2・3の砂吹込み口を、砂吹込み機構11の2個の砂噴出口にそれぞれ当接させ、かつ、上・下スクイズ手段をそれぞれ上・下鋳枠2・3内に所要長さ挿入して上・下造型空間を画成する。
【0013】
次いで、上・下造型空間に砂吹込み機構11によって鋳物砂を吹込み充填したのち、上・下スクイズ手段をそれぞれ作動して上・下造型空間内の鋳物砂をそれぞれスクイズし、続いて、シリンダ10を収縮作動して上・下鋳枠2・3およびマッチプレート5を水平状態に戻す。次いで、シリンダ16・17を伸長作動して上鋳枠2を上昇させるとともに下鋳枠3を下降させ、上・下鋳枠2・3をマッチプレート5からそれぞれ分離するとともに、下鋳枠3を連結杆18を介して懸吊し、続いて、搬入出機構4によってマッチプレート5を上・下鋳枠2・3間から搬出する。次いで、シリンダ16・17を収縮作動して上鋳枠2を下降させるとともに下鋳枠3を上昇させ、上鋳枠2および下鋳枠3を重ね合せ、続いて、上・下スクイズ手段を作動させかつシリンダ16・17を伸長作動して上鋳枠2を上昇させるとともに下鋳枠3を下降させたのち、下鋳枠3を連結杆18を介して懸吊させて、上・下鋳枠2・3から上・下鋳型を抜き出す。
【0014】
上述のようにして鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し、鋳型造型装置の構成要素を駆動する各種の流体シリンダとしてのシリンダ10・16・17などの油圧あるいは空圧、砂吹込み機構11におけるエアレーション用および吹込み用の圧縮空気の圧力あるいは砂の上面レベルの大きさを各種のセンサによってそれぞれ測定し、続いて、これら各種のセンサによる測定値を送信手段31よって通信回線33上に送信し、その後、通信回線33を介して送信手段31から送信されたセンサの測定値を監視ツール32よって分析しかつ分析結果を表示する。
【0015】
なお、本発明を適用した鋳枠無し上・下鋳型造型装置は、図1および図2に示すものに限定されるものではなく、図3および図4に示すような鋳枠無し上・下鋳型造型装置でも同様の作用効果が得られる。
【0016】
すなわち、本鋳枠無し上・下鋳型造型装置は、図示するように、機台101と、側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する2対の上・下鋳枠102・103と;これら2対の上・下鋳枠102・103のうち1対の上・下鋳枠102・103の間に搬入出機構104によって入出可能に配設されたマッチプレート105と;前記1対の上・下鋳枠102・103によって前記マッチプレート105を挟持し、前記上・下鋳枠102・103における前記マッチプレート105が無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段106・107をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレート105を挟持した前記1対の上・下鋳枠102・103が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を前記機台101に設けた支持軸108を中心にして垂直面内で正逆回転可能にして支持した鋳物砂スクイズ機構109と;この鋳物砂スクイズ機構109を正逆回転させる回転駆動機構としてのシリンダ110と;このシリンダ110の伸長作動によって垂直状態にある前記1対の上・下鋳枠102・103に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構111と;重ね合わせられかつ水平状態にある上・下鋳型内在の前記1対の上・下鋳枠102・103から前記上・下鋳型を抜き出す鋳型抜出し機構112と;前記1対の上・下鋳枠102・103が水平状態にある前記鋳物砂スクイズ機構109と前記鋳型抜出し機構112の間を、1対ずつ上下に連なって水平に並ぶ水平状態の2対の前記上・下鋳枠102・103を交互にして間欠的に旋回させかつ前記上鋳枠102を掛止して昇降可能な鋳枠旋回機構113と;で構成してある。
【0017】
そして、前記下鋳枠103を前記上鋳枠102に垂設した連結杆114間に摺動自在にして架装してある。また、前記鋳物砂スクイズ機構109においては、前記機台101の前記支持軸108に前記回転フレーム118を垂直面内で正逆回転自在に枢支して設け、この回動フレーム118の右側面には上下方向へ延びる一対のガイドロッド119を前後方向へ所要の間隔をおいて装着してある。この一対のガイドロッド119間における上部には上昇降フレーム120を、また、その下部には下昇降フレーム121をそれぞれ摺動自在にして架装し、これら上・下昇降フレーム120・121は前記回転フレーム118に装着したシリンダ122・123の伸縮作動によって相互に接近・離隔するようになっている。また、前記砂吹込み機構111を前記機台1の天井部の左寄り位置に装着し、さらに、前記砂吹込み機構111の下部には2個のエアレーション手段(図示せず)を設けてある。また、前記鋳型抜出し機構112においては、上下に重なった水平状態の前記上・下鋳枠102・103内に進入可能な抜出し板128を、前記機台1の天井部に装着したシリンダ129のピストンロットの下端に固着し、また、前記抜出し板128の真下には前記上・下鋳枠102・103から抜き出された上下鋳型を受ける鋳型受け装置130を配設してある。
【0018】
また、前記鋳枠旋回機構113においては、上下方向へ指向する回転軸127を前記機台101に水平回転自在にして装着し、前記回転軸127の上端には前記機台101の天井に装着したモータ134の出力軸を連結してある。前記回転軸127の上部には支持部材135を装着し、支持部材135には下方へ延びかつ前後方向へ所要の間隔をおいて対を成す2対のガイドロッド136を垂設し、これら2対のガイドロッド136は前記回転軸127を中心にして左右に対向している。また、
前記2対のガイドロッド136のそれぞれの対には、前記上鋳枠102の突起部を掛止可能な上掛止部材137を上下摺動自在にして架装し、各上掛止部材137には前記回転軸127に装着したシリンダ138のピストンロットの先端を固着してあって、各上掛止部材137はシリンダ138の伸縮作動によって昇降するようになっている。さらに、前記2対のガイドロッド136の下端には前記2個の下鋳枠103の突起部を掛止可能な下掛止部材139を固着してある。
【0019】
また、前記鋳型造型装置には、特に図3に示すように、前記鋳型造型装置の構成要素を駆動する各種の流体シリンダの油圧あるいは空圧、構成要素である砂吹込み機構111におけるエアレーション用および吹込み用の圧縮空気の圧力あるいは砂の上面レベルの大きさをそれぞれ測定する各種のセンサが取り付けてあり、これら各種のセンサには測定値を送信する送信手段131が電気的に接続してあり、送信手段131には前記センサによる各種の測定値を分析しかつ分析結果を表示する監視ツール132が通信回線133を介して接続してある。
【0020】
そして、このように構成した鋳枠無し上・下鋳型造型装置においては、水平状態の上鋳枠102と下鋳枠103間にマッチプレート105を搬入出機構104によって搬入したのち、シリンダ122・123を収縮作動して上・下鋳枠102・103によってマッチプレート105を挟持し、続いて、上・下スクイズ手段106・107をそれぞれ上・下鋳枠102・103内に所要長さ挿入して上・下2個の造型空間を画成しながら、シリンダ110を伸長作動して鋳物砂スクイズ機構109を回転させ、1対の上・下鋳枠102・103およびマッチプレート105を垂直状態にするとともに砂吹込み口を砂吹込み機構11の下端にそれぞれ当接させる。
【0021】
次いで、上・下造型空間に砂吹込み機構111によって鋳物砂を吹込み充填したのち、上・下スクイズ手段をそれぞれ作動して上・下造型空間内の鋳物砂をそれぞれスクイズし、続いて、シリンダ110を収縮作動して上・下鋳枠102・103およびマッチプレー105を水平状態に戻す。次いで、シリンダ122・123を伸長作動して上・下昇降フレーム120・121を相互に離隔し、続いて、シリンダ138を伸長作動して鋳型を内在した上鋳枠102を上掛止部材137によって吊り上げるとともにマッチプレート105から分離し、かつ下鋳枠103を鋳枠旋回機構113の下掛止部材139上に載せる。次いで、マッチプレート105を上・下鋳枠102・103間から搬出し、続いて、モータ134の駆動により回転軸127を所要角度回転させて上・下鋳枠102・103を鋳型抜出し機構112まで旋回移動させる。次いで、鋳型抜出し機構112によって上・下鋳枠102・103から上・下鋳型を抜き出す。
【0022】
上述のようにして鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し、鋳型造型装置の構成要素を駆動する各種の流体シリンダとしてのシリンダ110・122・123・129・138などの油圧あるいは空圧、砂吹込み機構111におけるエアレーション用および吹込み用の圧縮空気の圧力あるいは砂の上面レベルの大きさを各種のセンサによって測定し、続いて、これら各種のセンサの測定値を送信手段131よって通信回線133上に送信し、その後、通信回線133を介して送信手段131から送信されたセンサによる測定値を監視ツー132よって分析しかつ分析結果を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】

【図1】本発明を適用した鋳枠無し上・下鋳型の造型装置の最良の形態の正面図である。
【図2】図1の一部切り欠き断面平面図である。
【図3】本発明を適用した鋳枠無し上・下鋳型の造型装置の一実施例の正面図である。
【図4】図3の一部切り欠き断面平面図である。
【符号の説明】
【0024】
2;102 上鋳枠
3;103
下鋳枠
105
マッチプレート
106
上スクイズ手段
7;107 下スクイズ手段
11
;111
砂吹込み機構
18
;114
連結杆
27 上・下鋳枠ユニット
31;131 送信手段
32;132 監視ツール
33;133 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する上鋳枠および下鋳枠を連結杆を介し相互に接近・離隔自在にして連結した上・下鋳枠ユニットと;この上・下鋳枠ユニットの上鋳枠と下鋳枠の間に入出可能に配設したマッチプレートと;前記上・下鋳枠ユニットを着脱可能に取り付け、前記上・下鋳枠によって前記マッチプレートを挟持し、前記上・下鋳枠における前記マッチプレートが無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレートを挟持した前記上・下鋳枠が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を垂直面内で正逆回転可能に構成した鋳物砂スクイズ機構と;この鋳物砂スクイズ機構を正逆回転させる回転駆動機構と;垂直状態にある前記上・下鋳枠に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構と;を具備した鋳枠無し上・下鋳型造型装置を用いて重ね合せられた鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し、この鋳型造型装置を遠隔的に監視する遠隔監視システムであって;
前記鋳型造型装置の駆動手段および構成要素に装着されて駆動手段および構成要素に関連する各種の属性の大きさを測定する各種のセンサと、
これら各種のセンサによる測定値を通信回線上に送信する送信手段と、
この送信手段から通信回線を介して送信された前記各種のセンサの測定値を分析しかつ分析結果を表示する監視ツールと、
を具備したことを特徴とする鋳型造型装置の遠隔監視システム。
【請求項2】
側壁に砂吹込み口をそれぞれ有する2対の上・下鋳枠と;これら2対の上・下鋳枠のうち1対の上・下鋳枠の間に入出可能に配設されたマッチプレートと;前記1対の上・下鋳枠によって前記マッチプレートを挟持し、前記上・下鋳枠における前記マッチプレートが無いそれぞれの開口部に、上・下スクイズ手段をそれぞれ入出可能に設け、かつ前記マッチプレートを挟持した前記1対の上・下鋳枠が垂直状態になる位置と水平状態になる位置の間を垂直面内で正逆回転可能にして支持した鋳物砂スクイズ機構と;この鋳物砂スクイズ機構を正逆回転させる回転駆動機構と;垂直状態にある前記1対の上・下鋳枠に対して前記砂吹込み口から鋳物砂を吹き込む砂吹込み機構と;重ね合わせられかつ水平状態にある上・下鋳型内在の前記1対の上・下鋳枠から前記上・下鋳型を抜き出す鋳型抜出し機構と;前記1対の上・下鋳枠が水平状態にある前記鋳物砂スクイズ機構と前記鋳型抜出し機構の間を、一対ずつ上下に連なって水平に並ぶ水平状態の2対の前記上・下鋳枠を、交互に間欠的に旋回させかつ前記上鋳枠を昇降可能な鋳枠旋回機構と;を具備した鋳枠無し上・下鋳型造型装置を用いて重ね合せられた鋳枠無し上・下鋳型を造型するに際し、この鋳型造型装置を遠隔的に監視する遠隔監視システムであって;
前記鋳型造型装置の駆動手段および構成要素に装着されて駆動手段および構成要素に関連する各種の属性の大きさを測定する各種のセンサと、
これら各種のセンサによる測定値を通信回線上に送信する送信手段と、
この送信手段から通信回線を介して送信された前記各種のセンサの測定値を分析しかつ分析結果を表示する監視ツールと、
を具備したことを特徴とする鋳型造型装置の遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の鋳型造型装置の遠隔監視システムにおいて、
前記駆動手段および構成要素に関連する属性は、前記鋳型造型装置の構成要素を駆動する各種の流体シリンダの油圧あるいは空圧、前記鋳型造型装置の砂吹込み機構におけるエアレーション用あるいは吹込み用の圧縮空気の圧力、および砂の上面レベルであることを特徴とする鋳型造型装置の遠隔監視システム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の鋳型造型装置の遠隔監視システムにおいて、
前記通信回線はインターネットまたはイントラネットであることを特徴とする鋳型造型装置の遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−326590(P2006−326590A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148946(P2005−148946)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】