説明

鋼板コンクリート構造体及び鋼板コンクリート工法

【課題】水密性、気密性又は放射線遮蔽性を備えた安価かつ容易に実施可能な鋼板コンクリート構造物を提供する。
【解決手段】開口1を有する鋼板2と、開口1と同心に配置され、鋼板1の上面に溶接された筒状のスリーブ3と、開口1及びスリーブ3を貫通する配管等4と、スリーブ3内の底部に設置された穴仕舞用ストッパ5と、スリーブ3内を除く鋼板2の上面に打設されたコンクリート6と、スリーブ3の内面と配管等4の外面と穴仕舞用ストッパ5の上面とで構成される空間内に充填される穴仕舞用充填材7とをもって鋼板コンクリート構造体を構成する。スリーブ3の内径を開口1の直径よりも大きくし、当該スリーブ3の底部に張り出される鋼板2の張出部8上に穴仕舞用ストッパ5を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板コンクリート構造体及び鋼板コンクリート工法に係り、特に、鋼板コンクリート造の床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原子力プラントの建屋構造として、工場で製作されるSCパネルと呼ばれる部材を現地に搬入して据え付けることにより構築可能であり、鉄筋コンクリート構造(RC構造)に比べて現地における工事量の減少と工期の短縮とを図れることから、鋼板コンクリート構造(SC構造)を採用する例が増加している。
【0003】
従来、この種の鋼板コンクリート造の建屋の床構造としては、図6及び図7に示すものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図6に示すものは、配管、空調ダクト又はケーブルトレイ(以下、本明細書においては、これらを総称して「配管等」という。)を貫通するための開口101が開設された鋼板102の片面に所要の配列でスタッド103及び根太104を溶接してなるSCパネル105と、外径が開口101の直径よりも小さく、外面の所定の位置に外向きに張り出す鍔106が形成されたスリーブ107とを用いる。この床構造は、現地に搬入されたSCパネル105を、スタッド103及び根太104を上向きにして所要の柱間又は梁間に敷設した後、開口101にスリーブ107を挿入して鋼板102の上面に鍔106を当接し、鍔106の外周部を鋼板102に溶接する。そして、開口101内及びスリーブ107内を貫通して所要の配管等を配設した後、スリーブ107内を除く鋼板102の上面にコンクリート108を打設することにより構築される。
【0005】
一方、図7に示すものは、スリーブ107が鋼板102の開口101と同心に溶接されたSCパネル105を工場段階で製作することを特徴とする。鋼板102に対するスタッド103及び根太104の溶接、現地に搬入した後の柱間又は梁間へのSCパネル105の敷設、開口101及びスリーブ107を貫通しての配管等の配設、及び鋼板102の上面へのコンクリート108の打設については、図6の例と同じである。
【特許文献1】特開2006−78240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記公知例に係る鋼板コンクリート構造体は、いずれも開口101が穴仕舞されていないので、このままでは水密性、気密性又は放射線遮蔽性などを備えた実用的な原子力プラント建屋の床構造として利用することができない。
【0007】
ところで、開口101の穴仕舞は、開口101と同心に取り付けられたスリーブ107の内面底部に、配管等の貫通孔を有するリング状の穴仕舞用ストッパを設置し、スリーブ107の内面と配管等の外面と穴仕舞用ストッパの上面とで構成される空間内に、例えばモルタル、鉛毛又はシリコンなどから選択される所要の穴仕舞用充填材を充填することにより行われるが、スリーブ107内を貫通する配管等は、各階床に設けられた各スリーブ107毎に配管量及び貫通位置が異なるため、スリーブ107に対する穴仕舞用ストッパの設置は、SCパネル105を所要の柱間又は梁間に敷設し、かつSCパネル105の所要の位置にスリーブ107を溶接した後(図6の鋼板コンクリート構造体の場合)、又は所要の位置にスリーブ107が溶接されたSCパネル105を所要の柱間又は梁間に敷設した後(図7の鋼板コンクリート構造体の場合)に、スリーブ107内を貫通する配管等の配管量及び貫通位置に合わせて現地で行う必要がある。そのため、穴仕舞用ストッパの設置に際しては、各階床の床下に足場を組んで作業を行わなくてはならず、穴仕舞用ストッパの設置作業に多大な労力を要するという問題がある。
【0008】
また、図6の鋼板コンクリート構造体については、鍔106を必須の構成要素とするため、スリーブ107の製造コストが高くなるという問題もある。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の不備を解消するためになされたものであって、その課題は、水密性、気密性又は放射線遮蔽性を備えた安価かつ容易に実施可能な鋼板コンクリート構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するため、開口を有する鋼板と、前記開口と同心に配置され、前記鋼板の上面に溶接されるスリーブと、前記スリーブ内を除く前記鋼板の上面に打設されるコンクリートと、前記開口及び前記スリーブを貫通する配管等とからなる鋼板コンクリート構造体において、前記スリーブとして、内径が前記開口の直径よりも大きく、かつ内面及び外面に鍔が形成されていないものを用いると共に、前記スリーブ内に張り出される前記鋼板の張出部上に前記配管等の貫通孔を有する穴仕舞用ストッパを設置し、これらスリーブの内面と配管等の外面と穴仕舞用ストッパの上面にて構成される空間内に穴仕舞用充填材を充填することを特徴とする。
【0011】
このように、鍔を有しない単純筒状のスリーブを用いると、鍔を必須の構成要素とするスリーブを用いる場合に比べて、スリーブの製造コストを削減することができる。また、内径が鋼板に開設された開口の直径よりも大きいスリーブを用い、開口に対してこのスリーブを同心に設置すると、スリーブの底部に鋼板の一部を張り出させることができ、この張出部に鋼板の上面側からスリーブ内に挿入された穴仕舞用ストッパを設置することができるので、穴仕舞用ストッパを設置するための足場を床下に組む必要が無く、穴仕舞用ストッパの設置コストを削減することができる。さらに、スリーブの内部空間内に穴仕舞用充填材を充填するので、水密性、気密性又は放射線遮蔽性などを備えた実用的な床構造とすることができる。
【0012】
本発明は、第2に、前記第1の鋼板コンクリート構造体において、前記穴仕舞用ストッパとして、半リング状の2つのストッパ部材から成り、これら2つのストッパ部材の直線部を突き合わせたときに、前記スリーブ内に挿入可能な外径と前記配管等を貫通可能な内径とを有するリング状になるものを用いることを特徴とする。
【0013】
本構成の穴仕舞用ストッパは、2分割構造になっているので、配管等の配設後にスリーブ内に挿入することができ、下面をスリーブの底部に張り出された鋼板の一部に当接させることにより、鋼板に開設された開口を塞ぐことができる。また、穴仕舞用ストッパをスリーブに固定しないので、安価に実施できる。なお、穴仕舞用充填材は、スリーブの上端からスリーブ内に充填されるので、穴仕舞用ストッパをスリーブに固定しなくとも穴仕舞用充填材の流れ出しを防止することができ、何ら不都合を生じない。
【0014】
本発明は、第3に、前記第1の鋼板コンクリート構造体において、前記穴仕舞用ストッパとして、前記スリーブ内に挿入可能な外径と前記配管等を貫通可能な内径とを有するリング状に形成され、その半径方向に外周端から内周端に達するスリットが形成されたものを用いることを特徴とする。
【0015】
本構成の穴仕舞用ストッパは、スリットを介してその左右部分を反対方向に弾性変形させることにより、配管等への装着が可能になる。また、左右部分に加えていた力を除くことにより、穴仕舞用ストッパを所定のリング状に復帰させることができるので、スリーブ内への挿入が可能になり、鋼板に開設された開口を塞ぐことができる。また、穴仕舞用ストッパをスリーブに固定しないので、安価に実施できる。
【0016】
一方、鋼板コンクリート工法に関しては、第1に、開口を有する鋼板を所要の柱間又は梁間に敷設する工程と、内径が前記開口の直径よりも大きく、かつその内面及び外面に鍔が形成されていないスリーブを前記開口と同心に配置して前記鋼板の上面に溶接する工程と、前記スリーブ内を除く前記鋼板の上面にコンクリートを打設する工程と、前記スリーブ及び前記開口を貫通して配管等を配設する工程と、前記スリーブ内に張り出された前記鋼板の張出部上に前記配管等の貫通孔を有する穴仕舞用ストッパを設置する工程と、前記スリーブの内面と前記配管等の外面と前記穴仕舞用ストッパの上面とで構成される空間内に穴仕舞用充填材を充填する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
また、第2に、開口を有する鋼板の片面に、内径が前記開口の直径よりも大きくかつその内面及び外面に鍔が形成されていないスリーブを、前記開口と同心に配置して溶接する工程と、前記スリーブを上向きにして前記鋼板を所要の柱間又は梁間に敷設する工程と、前記スリーブ内を除く前記鋼板の上面にコンクリートを打設する工程と、前記スリーブ及び前記開口を貫通して配管等を配設する工程と、前記スリーブ内に張り出された前記鋼板の張出部上に前記配管等の貫通孔を有する穴仕舞用ストッパを設置する工程と、前記スリーブの内面と前記配管等の外面と前記穴仕舞用ストッパの上面とで構成される空間内に穴仕舞用充填材を充填する工程とを有することを特徴とする。
【0018】
これらの工法を適用すると、スリーブの製造コスト及びスリーブに対する穴仕舞用ストッパの設置コストを削減できるので、水密性、気密性又は放射線遮蔽性を備えた鋼板コンクリート構造体を容易かつ安価に実施することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の鋼板コンクリート構造体及び鋼板コンクリート工法は、内径が鋼板に開設された開口の直径よりも大きく、かつ内面及び外面に鍔が形成されていない単純筒状のスリーブを鋼板に開設された開口に対して同心に設置すると共に、スリーブの底部に張り出された鋼板の張出部に、鋼板の上面側からスリーブ内に挿入された穴仕舞用ストッパを設置するので、鍔付きのスリーブを用いる場合に比べてスリーブの製造コストを削減できると共に、穴仕舞用ストッパを設置するための足場が不要になって、穴仕舞用ストッパの設置コストを削減することができる。よって、水密性、気密性又は放射線遮蔽性を備えた鋼板コンクリート構造体を容易かつ安価に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る鋼板コンクリート構造体及び鋼板コンクリート工法の実施形態を、図1乃至図5に基づいて説明する。図1は実施形態に係る鋼板コンクリート構造体の要部断面図、図2は実施形態に係る穴仕舞用ストッパの第1例を示す平面図、図3は実施形態に係る穴仕舞用ストッパの第2例を示す平面図及び斜視図、図4は実施形態に係る鋼板コンクリート構造体のコンクリート打設時の状態を示す斜視断面図、図5は実施形態に係る鋼板コンクリート構造体の穴仕舞用ストッパ設置時の状態を示す斜視断面図である。
【0021】
図1に示すように、本例の鋼板コンクリート構造体は、開口1を有する鋼板2と、開口1と同心に配置され、鋼板1の上面に溶接された筒状のスリーブ3と、開口1及びスリーブ3を貫通する配管等4と、スリーブ3内の底部に設置された穴仕舞用ストッパ5と、スリーブ3内を除く鋼板2の上面に打設されたコンクリート6と、スリーブ3の内面と配管等4の外面と穴仕舞用ストッパ5の上面とで構成される空間内に充填される穴仕舞用充填材7とから主に構成されている。
【0022】
鋼板2は、その上面に打設されるコンクリート6と共に鋼板コンクリート構造の床を構成するもので、原子力プラントの建屋用としては、通常6mm程度の厚さのものが使用される。鋼板2に開設される開口1の直径は、これを貫通して配設される配管等4の総量を考慮して決定される。なお、この鋼板2の上面には、必要に応じて、図6及び図7に示したスタッド103及び根太104を設けることもできる。
【0023】
スリーブ3は、コンクリート6の打設後に配管等4の配設通路を確保するもので、鋼板2と同種の鉄鋼材料をもって、内面及び外面に鍔を有しない単純筒状の円筒形又は角筒形に形成される。その内径は、鋼板2に開設された開口1の直径よりも大きく形成され、その全長は、鋼板2の上面に打設されるコンクリート6の厚さよりも大きく形成される。このスリーブ3は、開口1と同心に配置され、鋼板2の上面に一端が溶接される。したがって、スリーブ3の底部には、図1に示すように、スリーブ3の内径と開口1の直径の差の1/2に相当する幅の張出部8が張り出される。この張出部8の幅は、穴仕舞用ストッパ5を安定に載置可能な大きさに設定される。なお、図中の符号9は、鋼板2とスリーブ3との溶接部を示している。
【0024】
穴仕舞用ストッパ5は、図2及び図3に示すように、配管等4が貫通されたスリーブ3内に設定可能な形状に形成される。
【0025】
図2に示す穴仕舞用ストッパ5は、図2(a)に示すように、半リング状の2つのストッパ部材5a,5bから成り、これら2つのストッパ部材5a,5bの直線部を突き合わせることにより、図2(b)に示すように、スリーブ3内に挿入可能な外径と配管等4を貫通可能な内径とを有するリング状になる。なお、図2(a),(b)の例では、2つのストッパ部材5a,5bの直線部を突き合わせたときに、その中央部に配管等4を貫通するための貫通孔10が形成されるように各ストッパ部材5a,5bの形状を形成したが、スリーブ3内を貫通する配管等4の位置がスリーブ3の中心部にない場合には、配管等4と穴仕舞用ストッパ5との干渉を防止するため、図2(c)に示すように、貫通孔10が穴仕舞用ストッパ5の中心部から偏心ものが用いられる。
【0026】
また、図3に示す穴仕舞用ストッパ5は、図3(a)に示すように、スリーブ3内に挿入可能な外径と配管等4を貫通可能な内径とを有するリング状に形成され、その半径方向には、外周端から内周端に達するスリット5cが形成されている。この穴仕舞用ストッパ5は、図3(b)に示すように、スリット5cを介してその両側を反対方向に弾性変形させることにより、配管等4を挿通可能な隙間を形成して、配管等4に装着する。配管等4に装着した後は、穴仕舞用ストッパ5に加えていた力を除いて穴仕舞用ストッパ5をリング状に復帰させ、スリーブ5内に張り出した張出部8の上面に当接させる。スリーブ3内を貫通する配管等4の貫通位置がスリーブ3の中心部にない場合には、図3(c)に示すように、貫通孔10が偏心した位置に形成されたものを用いる。
【0027】
穴仕舞用充填材7は、床構造に水密性、気密性又は放射線遮蔽性などをもたせるものであって、その目的に応じて、例えばモルタル、鉛毛又はシリコンなどから選択される所要の材質が用いられる。
【0028】
本例の鋼板コンクリート構造体は、鍔を有しない単純筒状のスリーブ3を用いるので、鍔を必須の構成要素とするスリーブ3を用いる場合に比べて、スリーブ3の製造コストを削減できる。また、内径が鋼板2に開設された開口1の直径よりも大きいスリーブ3を用い、開口1に対してスリーブ3を同心に設置するので、スリーブ3の底部に鋼板の一部である張出部8を張り出させることができ、この張出部8に鋼板の上面側からスリーブ3内に挿入された穴仕舞用ストッパ5を設置することができるので、穴仕舞用ストッパ5を設置するための足場を床下に組む必要が無く、穴仕舞用ストッパ5の設置コストを削減することができる。よって、所要の鋼板コンクリート構造体を容易かつ安価に実施することができる。さらに、スリーブ3の内部空間内に穴仕舞用充填材7を充填するので、水密性、気密性又は放射線遮蔽性などを備えた実用的な床構造とすることができる。
【0029】
次に、本発明に係る鋼板コンクリート工法の実施形態について説明する。
【0030】
まず、工場にて製作された開口1を有する鋼板2を、現地に設置された所要の柱間又は梁間に敷設する。スリーブ3は、工場において鋼板2に溶接することもできるし、鋼板2が所要の柱間又は梁間に敷設された後に現地で溶接することもできる。次いで、図4に示すように、スリーブ3内を除く鋼板2の上面にコンクリート6を打設する。次いで、図5に示すように、開口1及びスリーブ3を貫通して所要の配管等4を配設した後、鋼板2の上方からスリーブ3内に穴仕舞用ストッパ5を収納し、その下面をスリーブ3の底部に張り出された鋼板2の張出部8上に設定する。穴仕舞用ストッパ5としては、図2に示すものを用いることもできるし、図3に示すものを用いることもできる。最後に、スリーブ3の内面と配管等4の外面と穴仕舞用ストッパ5の上面とで構成される空間内に穴仕舞用充填材7を充填して、図1に示す鋼板コンクリート構造体とする。
【0031】
本例の鋼板コンクリート工法は、スリーブ3の製造コスト及びスリーブ3に対する穴仕舞用ストッパ5の設置コストを削減できるので、水密性、気密性又は放射線遮蔽性を備えた鋼板コンクリート構造体を容易かつ安価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態に係る鋼板コンクリート構造体の要部断面図である。
【図2】実施形態に係る穴仕舞用ストッパの第1例を示す平面図である。
【図3】実施形態に係る穴仕舞用ストッパの第2例を示す平面図及び斜視図である。
【図4】実施形態に係る鋼板コンクリート構造体のコンクリート打設時の状態を示す斜視断面図である。
【図5】実施形態に係る鋼板コンクリート構造体の穴仕舞用ストッパ設置時の状態を示す斜視断面図である。
【図6】第1公知例に係る鋼板コンクリート構造体の要部断面図である。
【図7】第2公知例に係る鋼板コンクリート構造体の要部断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 開口
2 鋼板
3 スリーブ
4 配管等
5 穴仕舞用ストッパ
6 コンクリート
7 穴仕舞用充填材
8 張出部
9 溶接部
10 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する鋼板と、前記開口と同心に配置され、前記鋼板の上面に溶接されるスリーブと、前記スリーブ内を除く前記鋼板の上面に打設されるコンクリートと、前記開口及び前記スリーブを貫通する配管等とからなる鋼板コンクリート構造体において、
前記スリーブとして、内径が前記開口の直径よりも大きく、かつ内面及び外面に鍔が形成されていないものを用いると共に、前記スリーブ内に張り出される前記鋼板の張出部上に前記配管等の貫通孔を有する穴仕舞用ストッパを設置し、これらスリーブの内面と配管等の外面と穴仕舞用ストッパの上面にて構成される空間内に穴仕舞用充填材を充填することを特徴とする鋼板コンクリート構造体。
【請求項2】
前記穴仕舞用ストッパとして、半リング状の2つのストッパ部材から成り、これら2つのストッパ部材の直線部を突き合わせたときに、前記スリーブ内に挿入可能な外径と前記配管等を貫通可能な内径とを有するリング状になるものを用いることを特徴とする請求項1に記載の鋼板コンクリート構造体。
【請求項3】
前記穴仕舞用ストッパとして、前記スリーブ内に挿入可能な外径と前記配管等を貫通可能な内径とを有するリング状に形成され、その半径方向に外周端から内周端に達するスリットが形成されたものを用いることを特徴とする請求項1に記載の鋼板コンクリート構造体。
【請求項4】
開口を有する鋼板を所要の柱間又は梁間に敷設する工程と、内径が前記開口の直径よりも大きく、かつその内面及び外面に鍔が形成されていないスリーブを前記開口と同心に配置して前記鋼板の上面に溶接する工程と、前記スリーブ内を除く前記鋼板の上面にコンクリートを打設する工程と、前記スリーブ及び前記開口を貫通して配管等を配設する工程と、前記スリーブ内に張り出された前記鋼板の張出部上に前記配管等の貫通孔を有する穴仕舞用ストッパを設置する工程と、前記スリーブの内面と前記配管等の外面と前記穴仕舞用ストッパの上面とで構成される空間内に穴仕舞用充填材を充填する工程とを有することを特徴とする鋼板コンクリート工法。
【請求項5】
開口を有する鋼板の片面に、内径が前記開口の直径よりも大きくかつその内面及び外面に鍔が形成されていないスリーブを、前記開口と同心に配置して溶接する工程と、前記スリーブを上向きにして前記鋼板を所要の柱間又は梁間に敷設する工程と、前記スリーブ内を除く前記鋼板の上面にコンクリートを打設する工程と、前記スリーブ及び前記開口を貫通して配管等を配設する工程と、前記スリーブ内に張り出された前記鋼板の張出部上に前記配管等の貫通孔を有する穴仕舞用ストッパを設置する工程と、前記スリーブの内面と前記配管等の外面と前記穴仕舞用ストッパの上面とで構成される空間内に穴仕舞用充填材を充填する工程とを有することを特徴とする鋼板コンクリート工法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−68853(P2009−68853A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234434(P2007−234434)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)