説明

鋼矢板及びこれを用いた壁体

【課題】H形状矢板において、単一種類の矢板のみを用い複雑な形状の継手やコネクタを用いることなく簡単な継手構造とすることで、加工を容易にし、加工にかかる手間とコストを低減し、しかも壁延長方向及び壁体直交方向いずれに対しても打設位置を固定出来つつ破壊し難い継手構造であり繰り返して使用することを可能とする。
【解決手段】互いに対向して配置される一対のフランジ11A、11Bは、それぞれフランジ11A、11B同士の離間方向に直交する中立軸P方向の一方から他方に向かうにしたがって漸次、中立面R側に向けて傾斜し、フランジ11A、11Bの内向き端部11aには、中立面Rに対して離反する方向に向けて突出する外向き折曲げ部13が設けられ、フランジ11A、11Bの外向き端部11bには、中立面Rに対して近接する方向に向けて突出する内向き折曲げ部14が設けられた構成の鋼矢板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向して配置される一対のフランジと、これらフランジ同士を連結するウェブとからなる鋼矢板及びこれを用いた壁体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木建築工事において地下構造物を構築する場合には、土留めや護岸壁体構造としてH形鋼の鋼矢板を用いることがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、大小異なる2種類或いは同一のH形鋼を使用し、隣接するフランジ端部同士を交互に重ねて配置させて矢板壁を形成する構成であって、フランジ端部同士を単に重ねただけのものや、フランジ端部同士を重ねた状態で係合可能な継手部材をフランジ端部に溶着させた構成について記載されている。
【0003】
また、フランジに対して継手部材を別体で設けるコネクタ継手が知られている。このような別体のコネクタ継手は、隣り合うフランジ端部同士を同時に嵌合する凹部を形成させている。そして、この凹部の形状は、フランジ端部に設けられている突起を内包する形状となっている。
【0004】
さらに、H形鋼のフランジ端部に設けられる継手として、圧延によりフランジに対して一体成形したものが例えば特許文献2に開示されている。
図13は、上述した特許文献2で開示されるような圧延により成形された圧延継手100の一例を示している。この圧延継手100は、一方のフランジの一端に雄型継手101が設けられており、他端に雌型継手102が設けられ、これら雄型継手101と雌型継手102を係合させる構造となっており、その雄型継手101と雌型継手102の嵌合形状は、互いにずれたり回転することがないような複雑な形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−256570号公報
【特許文献2】特開昭56−111716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の鋼矢板では、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1においてH形鋼のフランジ端部同士を重ねて配置させただけの構成の場合、隣接する鋼矢板同士が継手を介して連結されていないので、壁延長方向(鋼矢板の配列方向)、壁体直交方向ともに打設位置がずれ易く、打設精度を確保することができない。そして、打設された鋼矢板が地中で曲がった場合には、元の鋼矢板の状態に戻す修正が困難となっている。
そのうえ、偏土圧が鋼矢板に対して局所的に作用して隣接する矢板間に空隙が生じた場合には、背後の地盤土砂が流出してしまうという問題があった。
【0007】
また、フランジ端部に継手部材を溶着する方法や別体で設ける場合、継手部材が複雑な嵌合形状をなしていることから、圧延が困難なうえ、熱押で製造する場合は製造コストが高くなり、また継手部材をフランジ端部に取り付ける溶接加工にかかるコストが増大するという問題があった。更に複数種類の継手部品や矢板本体が必要であったりするため、加工費が増大するだけでなく、部材管理が煩雑になることがあった。
しかも、このような複雑な形状をした継手部材の場合、フランジ端部に対して溶着により一体的に設ける構成となっているが、打設時や土圧を受けることにより大きな力を受ける鋼矢板に対して継手が外れたり、変形等が生じ易く、継手が破壊した鋼矢板の使用後の修理にコストがかかり、或いは修理不能な場合には繰り返して使用することができないという問題があり、その点で改良の余地があった。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、単一種類の矢板のみを用い複雑な形状の継手やコネクタを用いることなく簡単な継手構造とすることで、加工が容易になり、加工にかかる手間とコストを低減することができ、しかも壁延長方向及び壁体直交方向いずれに対しても打設位置を固定出来つつ破壊し難い継手構造となるので繰り返して使用することが可能となる鋼矢板及びこれを用いた壁体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る鋼矢板では、互いに対向して配置される一対のフランジと、これらフランジ同士を連結するウェブとからなる鋼矢板であって、フランジは、それぞれフランジ同士の離間方向に直交する中立軸方向の一方から他方に向かうにしたがって漸次、中立軸を含む中立面側に向けて傾斜し、フランジの内向き端部には、中立面に対して離反する方向に向けて突出する外向き突起が設けられ、フランジの外向き端部には、中立面に対して近接する方向に向けて突出する内向き突起が設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る鋼矢板を用いた壁体では、上述した鋼矢板を中立軸に沿って複数配列させた壁体であって、隣接する一方の鋼矢板の一対の外向き端部同士の間に、他方の鋼矢板の一対の内向き端部を挿入し、一方の鋼矢板側の内向き突起と他方の鋼矢板側の外向き突起とが係合していることを特徴としている。
【0011】
本発明では、隣接する一方の鋼矢板の一対の外向き端部同士の間に、他方の鋼矢板の一対の内向き端部を挿入し、一方の鋼矢板側の内向き突起と他方の鋼矢板側の外向き突起とを係合させることで、鋼矢板同士を連結させることができる。この場合、内向き突起と外向き突起とが傾斜したフランジに沿って打設時におけるガイドとして機能するとともに、鋼矢板の継手を構成し、簡単な構造の突起のみで壁延長方向及び壁体直交方向への動きを規制して打設位置を固定することができる。そのため、従来のような複雑な形状で加工コストがかかる継手が不要になる。
【0012】
そして、隣接する一方の鋼矢板の一対の外向き端部同士の間に、他方の鋼矢板の一対の内向き端部を挿入するため、双方の鋼矢板の上下2枚のフランジ同士が重なった状態となり、双方のフランジ面に直交する方向(壁体直交方向)の力を伝達することができ、従来のように断面が複雑に折れ曲がり屈曲部に局所的に応力が集中する爪状部材同士を係止させる継手構造に比べて、継手にかかる応力集中を分散させることができる。そのため、継手部が曲がったり、フランジに対して外れたりするといった破損の程度を小さくすることができ、これにより使用した鋼矢板に対して簡単な補修で済み、又は補修が不要になることから、繰り返し使用することができる。
【0013】
また、鋼矢板同士の内向き端部と外向き端部とを緩やかに係合させることができるため、熱間圧延やコネクタ継手のように繰り返し打設時の摩擦による継手の削れが発生しないという利点がある。
また、傾斜したフランジの外向き端部に内向き突起が設けられ、内向き端部に外向き突起が設けられるので、突起部分が一対のフランジの外側に張り出すことがなく、壁体直交方向の壁厚に対して所定寸法内に収めることができる。
【0014】
また、本発明に係る鋼矢板では、外向き突起及び内向き突起は、それぞれ内向き端部及び外向き端部が同一の角度で折り曲げて形成されていることが好ましい。
【0015】
この場合、外向き突起及び内向き突起がそれぞれ内向き端部及び外向き端部を折り曲げた折曲げ面を形成することになる。つまり、前記折曲げ面同士の面接触によって係合した継手となることから、従来のように爪状部材同士を係止させる継手構造に比べて、継手にかかる応力集中を分散させることができる。
【0016】
また、本発明に係る鋼矢板では、隣接する一方の鋼矢板の外向き端部の内側折曲げ面と、他方の鋼矢板の内向き端部の外側折曲げ面とを重ねた状態で、内側折曲げ面と外側折曲げ面との間に隙間が設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明では、隣接する鋼矢板同士を連結させた状態で、一方の鋼矢板側の内側折曲げ面と他方の鋼矢板側の外側折曲げ面との間に隙間が設けられるので、その隙間が連結される鋼矢板同士の施工余裕となる。そのため、打設時に鋼矢板間で接触して摩擦抵抗が大きくなり、打設ができなくなるのを防止することができる。
また、折曲げ面同士の前記隙間を利用して一方の鋼矢板に対して回転させて打設することが可能となることから、例えば河川などの曲線に合わせて曲線を有する壁体を施工することができる。
【0018】
また、本発明に係る鋼矢板では、フランジの傾斜角度θ1と、内向き端部及び外向き端部の折曲げ角度θ2とは、(1)式及び(2)式においてA=Bとなるようにフランジ厚tf、ウェブ厚tw、隙間c、及び折曲げ長dの各パラメータを設定することにより算出されることが好ましい。
【0019】
【数1】

【0020】
これにより、隣接する一方の鋼矢板の一対の外向き端部同士の間に、他方の鋼矢板の一対の内向き端部を挿入することが可能な最適なフランジの傾斜角度θ1が算出できるとともに、折曲げ面同士の隙間を利用して一方の鋼矢板に対して回転させて打設することが可能な最適な内向き端部及び外向き端部の折曲げ角度θ2を算出することができる。
【0021】
また、本発明に係る鋼矢板では、外向き突起及び内向き突起は、それぞれ内向き端部及び外向き端部に棒鋼を固着することにより設けられていてもよい。
【0022】
この場合、傾斜するフランジに棒鋼を固着させるだけで外向き突起及び内向き突起を形成することができる簡単な構造であり、従来のような複雑な形状の継手が不要となることから、加工コストを低減することができる。
【0023】
また、本発明に係る鋼矢板では、外向き突起及び内向き突起は、それぞれ内向き端部及び外向き端部を突出側に向けて膨出させて肉厚に形成されていてもよい。
【0024】
本発明では、膨出により形成されたフランジ端部が肉厚となるので、補強された状態となり、上述した折り曲げるだけの突起に比べて、その突起部の破損をより確実に防止することができる。また、この肉厚とした外向き突起及び内向き突起もまた圧延により一体成形が可能となるので、加工が容易であり、加工コストと手間を低減することができる。
【0025】
また、本発明に係る鋼矢板では、外向き突起のフランジ外面側および内向き突起のフランジ内面側の少なくとも一方には、曲面または多角形面が形成されていることが好ましい。
【0026】
これにより、壁延長方向(鋼矢板の配列方向)に引張力が作用したときに、継手部の外向き突起と内向き突起とが互いに引っ掛かり易くなるため、配列方向に対する離脱強度を高めることができる。
【0027】
また、本発明に係る鋼矢板では、隣接する鋼矢板間の、外向き突起のフランジ外面側および内向き突起のフランジ内面側から形成される空間内に、外向き突起と内向き突起との間を液密な状態で止水する止水材が設けられていることがより好ましい。
【0028】
この場合、隣接する鋼矢板同士の継手部が止水材によって止水されるので、壁体として高い止水性を確保することができる。
【0029】
また、本発明に係る鋼矢板では、一対のフランジ同士が複数のウェブによって連結されていてもよい。
【0030】
本発明の鋼矢板によれば、複数枚のウェブを備えることで、鋼矢板単体の横の長さ寸法(配列方向の長さ寸法)を大きくすることが可能となり、所定の壁体延長距離に対して鋼矢板の打設数量を低減することができ、施工速度を速くすることができる。また、壁延長方向での継手箇所数が減るので、壁体としての止水性を高めることができるという利点がある。さらに、この場合、フランジを連結するウェブの枚数が増えるので、構造全体として剛性が高まり、供用時の壁体の剛性が増加するだけでなく、打設時の鋼矢板のねじれ等の変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の鋼矢板及びこれを用いた壁体によれば、傾斜させたフランジの内向き端部と外向き端部とに突起を設けるといった簡単な継手構造とすることで、単一種類の矢板のみを用い複雑な形状の継手やコネクタを用いることがなくなり、加工が容易になるとともに、加工にかかる手間とコストを低減することができる。しかも、壁延長方向及び壁体直交方向いずれに対しても打設位置を固定出来つつ破壊し難い継手構造となるので、繰り返して使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態による第1鋼矢板を使用した壁体の構成を示す斜視図である。
【図2】第1鋼矢板の構成を示す断面図である。
【図3】外向き折曲げ部と内向き折曲げ部の折曲げ角度と折曲げ長さの算出を説明するための図である。
【図4】図3に示す継手部Tの拡大図である。
【図5】第1鋼矢板を回転打設させた状態を示す断面図であって、図2に対応する図である。
【図6】第2の実施の形態による第2鋼矢板の構成を示す断面図であって、図2に対応する図である。
【図7】第3の実施の形態による第3鋼矢板の構成を示す断面図であって、丸鋼を突起部に用いた一例である。
【図8】第4の実施の形態による第4鋼矢板の構成を示す断面図であって、平鋼を突起部に用いた一例である。
【図9】第5の実施の形態による第5鋼矢板の構成を示す断面図である。
【図10】第6の実施の形態による第6鋼矢板の構成を示す断面図である。
【図11】複数枚のウェブを備えた鋼矢板の設定方法を説明するための図である。
【図12】第1の実施の形態による第1鋼矢板の他の製造方法を示す断面図であって、(a)はウェブの押圧前の状態、(b)はウェブの押圧後の状態である。
【図13】従来の壁体の鋼矢板継手の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態による鋼矢板及びこれを用いた壁体について、図面に基づいて説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本実施の形態による壁体10は、複数の第1鋼矢板1A、1A、…を一方向に配列させた一般的な山留め壁として施工されている。
図2に示すように、第1鋼矢板1Aは、互いに間隔をあけて対向して配置される一対のフランジ11A、11Bと、これらフランジ11A、11B同士を連結するウェブ12とから横断面が略H形状に形成されている。
【0035】
ここで、図1及び図2において、第1鋼矢板1Aの材軸方向を「長さ方向Z」といい、ウェブ12におけるフランジ11A、11B同士の離間方向を「幅方向X」といい、幅方向Xおよび長さ方向Zに直交する方向でウェブ12の幅方向Xの中心を通る直線を「中立軸P」といい、中立軸Pを通るとともに幅方向Xに直交する平面を「中立面R」といい、中立軸Pに平行な方向を「壁延長方向Y」(「配列方向Y」ともいう)という。
【0036】
図2に示すように、一対のフランジ11A、11Bは、互いに平行ではなく、それぞれ壁延長方向Yの一方(図2で紙面左側)から他方(図2で紙面右側)に向かうにしたがって漸次、中立面Rに向けて所定のフランジ傾斜角度θ1(図3参照)で傾斜している。つまり、一対のフランジ11A、11Bは、それぞれウェブ12を挟んで片側(図2で右側)が中立軸P方向に沿う方向でウェブ12から離れるにしたがって漸次、中立面Rに近付く方向に傾斜し、他方側(図2で左側)が中立軸P方向に沿う方向でウェブ12から離れるにしたがって漸次、中立面Rから遠ざかる方向に傾斜している。
なお、本実施の形態の第1鋼矢板1Aは、フランジ11A、11Bを中立軸Pおよび中立面Rに対して傾斜させた状態で圧延成形することができる。
【0037】
フランジ11A、11Bの内向き端部11aには、中立軸Pおよび中立面Rに対して離反する方向に向けて突出するようにして所定の折曲げ角度θ2(図4参照)で折り曲げられた外向き折曲げ部13(外向き突起)を有している。フランジ11A、11Bの外向き端部11bには、中立軸Pおよび中立面Rに対して近接する方向に向けて突出するようにして所定の折曲げ角度θ2で折曲げられた内向き折曲げ部14(内向き突起)を有している。単にフランジ端部を折り曲げるだけの構造であり複雑な断面形状の継手ではないため、圧延が容易である。また折曲げ部13、14は板材を単にプレスすることでも成形出来る。
【0038】
そして、隣接する鋼矢板1Aa、1Ab同士が連結した状態において、隣接する一方の鋼矢板1Aa(図2では紙面右側)の一対の外向き端部11b、11b同士の間に、他方の鋼矢板1Abの一対の内向き端部11a、11aを挿入し、一方の鋼矢板1Aa側の内向き折曲げ部14と他方の鋼矢板1Ab側の外向き折曲げ部13とが係合している。
このような係合方法により、複数の鋼矢板1A、1A、…を配列することで図1に示すような壁体10が築造される。
【0039】
図4に示すように、外向き折曲げ部13及び内向き折曲げ部14は、双方の折曲げ角度θ2と折曲げ長さdとが同等の大きさとなっている。
また、図2に示す継手部Tにおいて、外向き端部11bに形成される内向き折曲げ部14の内側折曲げ面14aは、内向き端部11aの外向き折曲げ部13の外側折曲げ面13aよりも中立面Rからの距離が大きくなっている。つまり、隣接する鋼矢板1A、1A同士が連結した状態で、内側折曲げ面14aと外側折曲げ面13aの間にクリアランスc(隙間)が設けられている。
【0040】
図3及び図4に示すように、フランジ傾斜角度θ1と継手部Tの折曲げ角度θ2は、前記クリアランスcを確保できるように設定される。
具体的には、外向き折曲げ部13の折曲げ頂部13bと、内向き折曲げ部14の折曲げ頂部14bのそれぞれを通る中立軸Pおよび中立面Rと平行な2つの直線p1、p2同士、および2つの平面r1、r2同士の間隔をA(mm)とする。また、クリアランスcを含むとともに、折曲げ頂部13b、14bとの間の寸法をB(mm)とする。
【0041】
(1)式のAと(2)式のBとが等しく(A=B)なるように、(1)式と(2)式の各パラメータを設定する。ここで、(1)式及び(2)式において、フランジ傾斜角度θ1(°)、外向き折曲げ部13及び内向き折曲げ部14の折曲げ角度θ2(°)、フランジ厚tf(mm)、ウェブ厚tw(mm)、クリアランスc(mm)、折曲げ長d(mm)である。
【0042】
【数2】

【0043】
なお、(1)式の16tfは、フランジ11A、11Bのウェブ12から外向き折曲げ部13(内向き折曲げ部14)の折曲げ頂部13b(14b)までの突出長さである。例えば、「道路橋示方書・同解説 鋼橋編」の圧縮応力を受ける自由突出長に基づいて、硬い地盤の場合にはフランジ厚tfの16倍以下に設定することが好ましいとされており、本実施の形態では16倍を採用している。
そして、折曲げ長dを従来の鋼矢板継手幅と同様の50mmとし、クリアランスcを10mmとし、フランジ厚tfを12mm、ウェブ厚twを9mmとして、上記(1)式、(2)式よりA=Bとなるようにフランジ傾斜角度θ1と係合部の折曲げ角度θ2を算出した。その結果、A、Bは共に42.7mmとなり、フランジ傾斜角度θ1を6.2°、折曲げ角度θ2を10°に設定することができる。
【0044】
次に、上述した第1鋼矢板1Aの作用について図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、予めH鋼を横に置いたガイド2を設けておき、このガイド2に案内させて第1鋼矢板1Aを鉛直方向に向けて挿入する。このとき、隣接する一方の鋼矢板1Aa(図2で右側)の一対の外向き端部11b、11b同士の間に、他方の鋼矢板1Ab(図2で左側)の一対の内向き端部11aを挿入し、一方の鋼矢板1Aa側の内向き折曲げ部14と他方の鋼矢板1Ab側の外向き折曲げ部13とを係合させることで、鋼矢板1Aa、1Ab同士を連結させることができる。この場合、内向き折曲げ部14と外向き折曲げ部13とが、それぞれの内側折曲げ面14aと外側折曲げ面13a及び傾斜したフランジ11A、11Bにより挿入位置が限定されることで、打設時におけるガイドとして機能するとともに、鋼矢板1Aa、1Abの継手部Tを構成し、簡単な構造の突起のみで壁延長方向Y及び壁体直交方向Xへの動きを規制して打設位置を固定することができる。そのため、従来のような複雑な形状で加工コストがかかる継手が不要になる。
【0045】
そして、隣接する一方の鋼矢板1Aaの一対の外向き端部11b、11b同士の間に、他方の鋼矢板1Abの一対の内向き端部11a、11aを挿入するため、双方の鋼矢板1Aのフランジ11A、11B同士が重なった状態となり、双方のフランジ面に直交する方向(壁体直交方向)の力を伝達することができ、従来のように爪状部材同士を係止させる継手構造に比べて、継手にかかる応力集中を分散させることができる。
そのため、継手部が曲がったり、フランジに対して外れたりするといった破損の程度を小さくすることができ、これにより使用した鋼矢板1Aの破損に対して簡単な補修で済み、又は補修が不要になることから、鋼矢板1Aを繰り返し使用することができる。
【0046】
また、鋼矢板1A、1A同士の内向き端部11aと外向き端部11bとを緩やかに係合させることができるため、コネクタ継手のような密実に係合される継手と比べて繰り返し打設時の摩擦による継手の削れが発生しないという利点がある。
また、傾斜したフランジ11A、11Bの外向き端部11bに内向き折曲げ部14が設けられ、内向き端部11aに外向き折曲げ部13が設けられるので、突起部分が一対のフランジ11A、11Bの外側に張り出すことがなく、壁体直交方向Xの壁厚に対して所定寸法内に収めることができる。
【0047】
また、外向き突起及び内向き突起は、それぞれ内向き端部及び外向き端部が所定角度で折り曲げられて形成されているので、外向き突起及び内向き突起がそれぞれ内向き端部及び外向き端部を折り曲げた折曲げ面を形成することになる。つまり、前記折曲げ面同士の面接触によって係合した継手となることから、従来のコネクタ継手のように爪状部材同士を係止させる継手構造に比べて、継手にかかる応力集中を分散させることができる。
【0048】
また、外向き端部11bの内側折曲げ面14aは、内向き端部11aの外側折曲げ面13aよりも中立面Rからの距離が大きく、隣接する鋼矢板1Aa、1Ab同士を連結させた状態で、一方の鋼矢板1Aa側の内側折曲げ面14aと他方の鋼矢板1Ab側の外側折曲げ面と13aの間にクリアランスc(隙間)が設けられるので、そのクリアランスcが連結される鋼矢板1A、1A同士の施工余裕となる。そのため、打設時に鋼矢板1A、1A間で接触して摩擦抵抗が大きくなり、打設ができなくなるのを防止することができる。
【0049】
また、図5に示すように、一方の鋼矢板1Aaを折曲げ面13a、14a同士のクリアランスcを利用して他方の鋼矢板1Abに対して回転角度αで回転させて打設することが可能となることから、例えば河川などの曲線に合わせて曲線を有する壁体を施工することができる。なお、このときの一方の鋼矢板1Aaの回転は、折曲げ面13a、14a同士の継手部のうち図5で紙面上側の継手部を回転中心とする回転方向となる。
【0050】
上述した本実施の形態による鋼矢板及びこれを用いた壁体では、傾斜させたフランジ11A、11Bの内向き端部11aと外向き端部11bとに突起(外向き折曲げ部13、内向き折曲げ部14)を設けるといった簡単な継手構造とすることで、単一種類の矢板のみを用い複雑な形状の継手やコネクタを用いることがなくなり、加工が容易になるとともに、加工にかかる手間とコストを低減することができる。しかも、壁延長方向及び壁体直交方向いずれに対しても打設位置を固定出来つつ破壊し難い継手構造となるので繰り返して使用することが可能となる。
【0051】
次に、本発明の鋼矢板及びこれを用いた壁体による他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
【0052】
(第2の実施の形態)
図6に示すように、第2の実施の形態による第2鋼矢板1Bは、フランジ11A、11Bの内向き端部11a及び外向き端部11bを中立面Rに対して離反する方向に向けて膨出させて肉厚に形成させた外側肉厚部15(外向き突起)と、その逆方向に向けて膨出させて肉厚に形成させた内側肉厚部16(内向き突起)を設けた構成となっている。
この場合、外側肉厚部15及び内側肉厚部16が肉厚となるので、補強された状態となり、上述した第1の実施の形態による外向き折曲げ部13及び内向き折曲げ部14に比べて、その突起部の破損をより確実に防止することができる。また、この肉厚とした外側肉厚部15及び内側肉厚部16もまた圧延により一体成形が可能となるので、加工が容易であり、加工コストと手間を低減することができる。
【0053】
(第3の実施の形態)
また、図7に示す第3の実施の形態による第3鋼矢板1Cは、内向き端部11a及び外向き端部11bに丸鋼17(棒鋼)を長手方向を鋼矢板の長さ方向Z(図1参照)に向けて固着する構成となっている。
【0054】
(第4の実施の形態)
図8に示す第4の実施の形態による第4鋼矢板1Dは、内向き端部11a及び外向き端部11bに平鋼18(棒鋼)を長手方向を鋼矢板の長さ方向Z(図1参照)に向けて固着する構成となっている。
【0055】
ここで、丸鋼17及び平鋼18は、第2の実施の形態による外側肉厚部15又は内側肉厚部16と同様の本発明の外向き突起又は内向き突起に相当する。
そして、丸鋼17及び平鋼18は、それぞれ同一種類のものをフランジ端部から同じ距離の位置に配置されている。
【0056】
この場合、傾斜するフランジ11A、11Bに同一種類の丸鋼17または平鋼18を固着させるだけで外向き突起及び内向き突起を形成することができるという簡単な構造であり、従来のような複雑な形状の継手が不要となることから、加工コストを低減することができる。
【0057】
(第5の実施の形態)
また、図9に示すように、第5の実施の形態による第5鋼矢板1Eは、隣接する継手部を重ね合わせるフランジ対向部となる継手部Tにおいて、隣接する一方の鋼矢板1E(図9で紙面左側)の内向き端部11aに形成される外向き突起20のフランジ外面20a側と、他方の鋼矢板1E(図9で紙面右側)の外向き端部11bに形成する内向き突起21のフランジ内面21a側と、に複数段に屈折した多角形面が形成された構成となっている。これにより、壁延長方向(配列方向Y)に引張力が作用したときに、継手部Tの外向き突起20と内向き突起21とが互いに引っ掛かり易くなるため、配列方向Yに対する離脱強度を高めることができる。
【0058】
また、外向き突起20および内向き突起21に多角形面を形成させることで、隣接する第5鋼矢板1E、1E同士の間で嵌合する継手部Tの対向面間(フランジ外面20aとフランジ内面21aとの間)に空間Sを形成させることができる。この空間S内には、フランジ外面20aとフランジ内面21aとの間を液密な状態で止水する止水材22が設置されており、壁体としての止水性を高められている。止水材22は、例えばゴム状の膨張性吸水材を取り付けたり、ゲル状の膨張性吸水材を塗布したりするものを採用することができ、第5鋼矢板1Eにおける鉛直方向(図9で紙面に直交する方向)の全長にわたって設けられ、又は地盤条件や建設用途に応じた箇所に設けられている。
【0059】
また、止水材22は、先行打設側、後行打設側のどちらに取り付けられていてもよく、また両者に取り付けられていても構わない。なお、壁体直交方向(幅方向X)に2段あるフランジ11A、11Bに対して、本実施の形態のように片側(図9で上側のフランジ11A)だけに止水材22を取り付けても構ないが、壁体としての高い止水性を確保するためには、両方のフランジ11A、11Bに止水材22を取り付けることが好ましい。
【0060】
また、さらに止水性を高めるためには、2段のフランジ11A、11B間、すなわち一対のフランジ11A、11Bとウェブ12との間に囲まれる空間Dにモルタルやアスファルト等を充填することが好ましい。これにより、フランジ11A、11Bに取り付ける止水材22および充填材からなる、2重または3重構造の止水機能を壁体に付与することができるため、フェールセーフの観点からより確実に止水を行うことができる。
さらに、本壁体構造によれば、2段のフランジ11A、11B間に広い空間Dが形成されるため、この空間Dを利用して、目視、あるいはセンサー等によって止水状況のモニタリングを行うことができる。
【0061】
なお、本第5の実施の形態の第5鋼矢板1Eでは、外向き突起20のフランジ外面20aと内向き突起21のフランジ内面21aを多角形面に形成させているが、これらの面20a、21aは曲面であってもよい。
また、フランジ11A、11Bの端部11a、11bに形成される多角形面は、隣接する第5鋼矢板1E、1E間のうち片側の鋼矢板だけであってもいいし、両方の鋼矢板1E、1Eに設けてもよいが、配列方向Yに作用する離脱強度を高めるためには、両者に設けることが好ましい。
【0062】
(第6の実施の形態)
次に、図10に示すように、第6の実施の形態による第6鋼矢板1Fは、外向き折曲げ部13(外向き突起)と内向き折曲げ部14(内向き突起)とを有する一対のフランジ11A、11B同士が複数枚(ここでは2枚)のウェブ12A、12Bによって連結された構成となっている。複数枚のウェブ12A、12Bを備えることで、鋼矢板単体の横の長さ寸法(配列方向Yの長さ寸法)を大きくすることが可能となり、所定の壁体延長距離に対して鋼矢板の打設数量を低減することができ、施工速度を速くすることができる。また、壁延長方向での継手箇所数が減るので、壁体としての止水性を高めることができる。さらに、この場合、フランジ11A、11Bを連結するウェブ12A、12Bの枚数が増えるので、構造全体として剛性が高まり、供用時の壁体の剛性が増加するだけでなく、打設時の鋼矢板のねじれ等の変形を抑制することができる。
【0063】
また、鋼矢板単体としての重量バランスを保つために、複数枚取り付けるウェブ12A、12Bは、壁延長方向(配列方向Y)の中心ラインC1を挟んで、左右対称となる位置に取り付けられることが好ましい。
【0064】
さらに、本実施の形態のように複数枚のウェブを有する鋼矢板は、次のように設定することができる。
すなわち、図11に示すように、構造上の安定性を保つために、継手部T側に突出する部分のフランジの長さ寸法L1(フランジ11A、11Bのウェブ12から外向き折曲げ部13(内向き折曲げ部14)の折曲げ頂部13b(14b)までの突出長さ(mm))は、フランジ板厚tf(mm)の16倍以下、隣り合うウェブ間の距離L2(mm)はフランジ板厚tf(mm)の80倍以下となるようにすることが好ましい。
また、隣接する第6鋼矢板1F、1F間で確実に嵌合できるようにするために、ウェブをn枚設置するときのA(外向き折曲げ部13の折曲げ頂部13bと、内向き折曲げ部14の折曲げ頂部14bのそれぞれを通る中立軸Pおよび中立面Rと平行な2つの直線p1、p2同士、および2つの平面r1、r2同士の間隔)の長さ寸法(mm)は、(3)式に基づいて設定する。
【0065】
【数3】

【0066】
以上、本発明による鋼矢板及びこれを用いた壁体の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では一対のフランジ11A、11Bを1枚のウェブ12に対して初めから傾斜させた状態で一体で圧延成形させることにより製造することができるが、これに限定されることはない。例えば、図12(a)に示すように、上述した第1の実施の形態において、ウェブ12´を中立面Rで折り曲げた状態で一対のフランジ11A、11Bを平行となるように圧延してから、折り曲げたウェブ12´の凸部12aを押圧して平坦に延ばすことで、図12(b)に示すように、フランジ11A、11Bを傾斜させるようにして製造する方法を採用しても良い。
【0067】
また、フランジとウェブを別々に工場生産し、施工現場でH形状または井桁形状に組み立てても構わない。この場合、板状部材を運搬することになるので、H形状または井桁形状の部材を運搬するときに比べて輸送効率が向上する効果がある。またフランジとウェブと別々に製造することになるため、圧延設備の制約を受けずまたは施工現場ニーズに合わせた、設計自由度の高い矢板とすることが出来る。
【0068】
また、第3の実施の形態では丸鋼17(棒鋼)、及び第4の実施の形態では平鋼18(棒鋼)を設けた構成としているが、棒鋼としてこれらに限定されることはない。つまり、丸鋼や平鋼の他に角鋼、或いは鉄筋等であっても良い。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0070】
1A、1B、1C、1D、1E、1F 鋼矢板
10 壁体
11A、11B フランジ
11a 内向き端部
11b 外向き端部
12 ウェブ
13 外向き折曲げ部
13a 外側折曲げ面
13b 折曲げ頂部
14 内向き折曲げ部
14a 内側折曲げ面
14b 折曲げ頂部
15 外側肉厚部(外向き突起)
16 内側肉厚部(内向き突起)
17 丸鋼(棒鋼)
18 平鋼(棒鋼)
20 外向き突起
20a フランジ外面
21 内向き突起
21a フランジ内面
22 止水材
c クリアランス(隙間)
D 空間
O 主材軸
P 中立軸
R 中立面
S 空間
X 幅方向
θ1 フランジ傾斜角度
θ2 折曲げ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置される一対のフランジと、これらフランジ同士を連結するウェブとからなる鋼矢板であって、
前記フランジは、それぞれ該フランジ同士の離間方向に直交する中立軸方向の一方から他方に向かうにしたがって漸次、前記中立軸を含む中立面側に向けて傾斜し、
前記フランジの内向き端部には、前記中立面に対して離反する方向に向けて突出する外向き突起が設けられ、
前記フランジの外向き端部には、前記中立面に対して近接する方向に向けて突出する内向き突起が設けられていることを特徴とする鋼矢板。
【請求項2】
前記外向き突起及び前記内向き突起は、それぞれ前記内向き端部及び前記外向き端部が同一の角度で折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板。
【請求項3】
隣接する一方の鋼矢板の前記外向き端部の内側折曲げ面と、他方の鋼矢板の前記内向き端部の外側折曲げ面とを重ねた状態で、前記内側折曲げ面と前記外側折曲げ面との間に隙間が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鋼矢板。
【請求項4】
前記フランジの傾斜角度θ1と、前記内向き端部及び前記外向き端部の折曲げ角度θ2とは、(1)式及び(2)式においてA=Bとなるようにフランジ厚tf、ウェブ厚tw、前記隙間c、及び折曲げ長dの各パラメータを設定することにより算出されることを特徴とする請求項3に記載の鋼矢板。
【数1】

【請求項5】
前記外向き突起及び前記内向き突起は、それぞれ前記内向き端部及び前記外向き端部に棒鋼を固着することにより設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板。
【請求項6】
前記外向き突起及び前記内向き突起は、それぞれ前記内向き端部及び前記外向き端部を突出側に向けて膨出させて肉厚に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の鋼矢板。
【請求項7】
前記外向き突起のフランジ外面側および前記内向き突起のフランジ内面側の少なくとも一方には、曲面または多角形面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板。
【請求項8】
隣接する前記鋼矢板間の、前記外向き突起のフランジ外面側および前記内向き突起のフランジ内面側から形成される空間内に、前記外向き突起と前記内向き突起との間を液密な状態で止水する止水材が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の鋼矢板。
【請求項9】
前記一対のフランジ同士が複数の前記ウェブによって連結されていることを特徴とする請求項1及至8のいずれか1項に記載の鋼矢板。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の鋼矢板を中立軸に沿って複数配列させた壁体であって、
隣接する一方の鋼矢板の一対の前記外向き端部同士の間に、他方の鋼矢板の一対の前記内向き端部を挿入し、
一方の鋼矢板側の前記内向き突起と他方の鋼矢板側の前記外向き突起とが係合していることを特徴とする壁体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−40553(P2013−40553A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157796(P2012−157796)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】