説明

錠剤供給用ボウルフィーダ

【課題】錠剤から生じる粉塵を効果的に除去し、粉塵による不具合を抑制することの可能な錠剤供給用ボウルフィーダを提供する。
【解決手段】ボウルフィーダの備えるボウル51の底面(錠剤搬送面)に、環状溝54と排出孔56〜60とが形成されている。環状溝54は、錠剤から発生する粉塵を収容するのであるが、収容された粉塵が錠剤に再び付着することのないよう錠剤の収容を規制する(許容しない)溝幅を有してなる。つまり、錠剤から発生した粉塵のみを環状溝54に収容することで、錠剤と粉塵とをボウルフィーダのボウル51上で分離するようにする。また、上記環状溝54をボウル51の底面のほぼ全域に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシート製造のために錠剤を下流側へ一定供給するための錠剤供給用ボウルフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシートは、PTP包装機(ブリスター包装機)によって製造される。PTP包装機は、搬送される長尺状のフィルムのポケット部に対して錠剤を投入する錠剤投入機構を具備してなる。
【0003】
錠剤投入機構には、錠剤を定量供給するための装置であるボウルフィーダを具備するものがある。ボウルフィーダは、錠剤を貯留可能な円板体を備えており、この円板体を円周方向に振動させることで円板体上の錠剤を旋回移動させ、円板体の底部に設けられた供給孔から錠剤を下流側へ供給する。
【0004】
ところで、上記錠剤投入機構においては多数の錠剤がボウルフィーダの振動によって擦れ合うことなどにより、錠剤の一部が粉塵となって、投入機構各部や錠剤自体に付着する。ここで、「粉塵」とあるのは、所謂粉状の微細なものに加えて、錠剤のかけら等、紛状物よりも一回り大きいものをも含む趣旨である。特に、錠剤が口腔内崩壊錠のように脆いものであると、粉塵の発生が顕著となる。このような粉塵は、錠剤投入機構において錠剤を詰まらせる等の不具合を生じさせるおそれがある(特に、錠剤のかけらが錠剤投入機構に入ると詰まりやすい)。また、このような粉塵がポケット部内に混入すると、錠剤の投入されたポケット部の透明性を阻害し、見栄えを悪化させ、また、特に着色錠の場合は、錠剤に付着した粉塵が錠剤自体の見栄えを悪化させ、場合によっては、錠剤投入後の異物検査に支障を来たすおそれもある。
【0005】
そのため、従来、ボウルフィーダの下流側の錠剤搬送経路に、粉塵だけを通過させる多孔板を設けて粉塵の除去を可能にした錠剤投入機構がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−290806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多孔板を用いた粉塵除去では、多孔板において孔以外の部分の平坦面に粉塵が滞留し、当該粉塵が多孔板上を移動する錠剤に再度付着してしまうおそれがあった。そのため、従来技術における粉塵除去は、粉塵による不具合を抑制するのに十分なものとは言えなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、錠剤から生じる粉塵を効果的に除去し、粉塵による不具合を抑制することの可能な錠剤供給用ボウルフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.一定量の錠剤を貯留可能な円形皿状の円板体と、当該円板体を振動させて前記円板体上の錠剤を旋回移動させる振動体とを備え、前記振動体にて錠剤を旋回移動させることにより、錠剤を前記円板体の底面に設けられた供給孔から下流側へ供給する錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記円板体は、その底面のほぼ全域に形成され錠剤から発生する粉塵を収容する同心円状の環状溝と、当該環状溝に収容された粉塵を外部へ排出するための排出孔とを具備し、
前記環状溝は、前記収容された粉塵が錠剤に再び付着することのないよう錠剤の収容を規制する溝幅を有してなることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【0010】
上述のとおり、本発明にいう「粉塵」とは、所謂粉状の微細なものに加えて、錠剤のかけら等、紛状物よりも一回り大きいものをも含む趣旨である。
【0011】
手段1に記載の錠剤供給用ボウルフィーダでは、円板体に、環状溝と排出孔とが形成されている。ここで特に、環状溝は、錠剤から発生する粉塵を収容するのであるが、収容された粉塵が錠剤に再び付着することのないよう錠剤の収容を規制する溝幅を有してなる。つまり、錠剤から発生した粉塵のみを環状溝に収容することで、錠剤と粉塵とをボウルフィーダの円板体上で分離するようにしたのである。また、上記環状溝は円板体の底面のほぼ全域に形成されているため、一度分離された粉塵の再付着を効果的に抑制できる。その結果、手段1によれば、錠剤から生じる粉塵を効果的に除去し、粉塵による不具合を抑制することができる。
【0012】
なお、上記底面とは、錠剤が旋回移動させられる領域をいう。その意味において「その底面のほぼ全域に」を「その錠剤搬送面のほぼ全域に」としてもよい。
【0013】
手段2.手段1に記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記環状溝同士を区切る環状の区切部は、その上部にエッジを有しないように、その断面における上角部が略円弧状となっていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【0014】
手段2によれば、環状溝同士を区切る環状の区切部はその上部にエッジを有していないため、錠剤表面の損傷を抑制することができる。その結果、粉塵の発生の抑制に寄与する。また、欠け等が生じた不良錠剤の発生を抑制できるという点でも有利である。
【0015】
手段3.手段1又は2に記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記環状溝同士を区切る環状の区切部は、その上部に水平面を有しないように、その上部が傾斜面で形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【0016】
上記区切部の上部に水平面が存在すると、この水平面に粉塵が滞留するおそれがあり、錠剤への再付着が懸念される。この点、手段3によれば、区切部の上部が傾斜面で形成されているため、円板体が振動させられることと相俟って、粉塵が速やかに環状溝に収容される。その結果、一度分離された粉塵の再付着を効果的に抑制できる。
【0017】
なお、傾斜面は、平面であっても、曲面であってもよい。例えば、区切部の上角部をその断面において略円弧状とし、上述したようにエッジを有しない構成にすると共に水平面を有しない構成とすれば、粉塵の発生の抑制に寄与し、しかも、一度分離された粉塵の再付着を効果的に抑制できる。
【0018】
手段4.手段1乃至3のいずれかに記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記排出孔は、前記円板体の下部を、前記環状溝に至るまで削り取るようにして形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【0019】
手段4によれば、上記排出孔が円板体の下部を環状溝に至るまで削り取るようにして形成されているため、排出孔の形成が比較的簡単になる。
【0020】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記排出孔は、最内周側から最外周側にかけて、前記環状溝を横切るように形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【0021】
手段5によれば、上記排出孔が最内周側から最外周側にかけて環状溝を横切るように形成されているため、全ての環状溝の粉塵が当該排出孔から排出されることになり、排出孔をバラバラに設ける場合と比べ、効率的な粉塵の除去が可能となる。
【0022】
手段6.手段5に記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記供給孔は、前記円板体の半径方向に複数形成されており、
前記環状溝を横切るように形成された前記排出孔は、少なくとも前記供給孔の直前に位置し、前記供給孔の配列方向に略平行に形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【0023】
手段6によれば、上記環状溝を横切るように形成された排出孔が、少なくとも供給孔の直前に位置し、しかも、供給孔の配列方向に略平行に形成されている。したがって、排出孔から各供給孔までの距離が半径方向の距離に依存せずほぼ一定となる。その結果、排出孔から各供給孔までの距離を比較的短く設定することで、各供給孔の直前における粉塵の再付着の抑制に寄与する。
【0024】
手段7.手段1乃至6のいずれかに記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記排出孔の下方に、前記粉塵を吸引するための吸引機構を具備してなることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【0025】
手段7によれば、排出孔の下方に吸引機構を具備しているため、より確実に粉塵を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた包装用フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして包装用フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。包装用フィルム3は、PPによって構成され、光透過性を有している(ここでは、透明を呈している)。カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。また、各ポケット部2には錠剤5(本実施形態では、口腔内崩壊錠)が1つずつ収容されている。PTPシート1の包装用フィルム3には、例えば2つのポケット部2が含まれたペア小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている(もちろん縦スリットが形成されていてもよいし、スリットを省略してもよい)。
【0028】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機(ブリスタ包装機)10の構成について説明することとする。
【0029】
図2に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の包装用フィルム3がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された包装用フィルム3は、間欠的に搬送されるようになっており、包装用フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置12とポケット成形装置13とが順に並設されている。これら加熱装置12及びポケット成形装置13によってポケット部形成装置14が構成されている。そして、加熱装置12によって包装用フィルム3が部分的に加熱され、該包装用フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット成形装置13によって包装用フィルム3にポケット部2が成形される。なお、このポケット部2の成形は、包装用フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
【0030】
ポケット部2が形成された包装用フィルム3の移送経路に沿って、ポケット部2に錠剤5を自動的に投入する錠剤投入装置16、外観検査装置17、シール装置18が、配設されている。
【0031】
錠剤投入装置16は、包装用フィルム3に形成されたポケット部2に錠剤5を投入する。この錠剤投入装置16については、後に詳述する。
【0032】
外観検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に投入されているか否か、また錠剤5の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。該外観検査装置17は、ポケット部2の開口側からの検査を行う。
【0033】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、シール装置18の方へと案内されている。シール装置18は、フィルム受けロール19と、加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。そして、両ロール19,20間に包装用フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっており、包装用フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、包装用フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、これにより、錠剤5が各ポケット部2に投入された帯状のPTPフィルム21が製造される。このとき、加熱ロール20の表面には、シール用の網目状の凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。
【0034】
前記シール装置18の下流には、ポケット部2側から錠剤5等の異常を検出するための外観検査装置23が設けられている。尚、外観検査装置17,23によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、その不良品判定となったPTPシート1は、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送されるようになっている。
【0035】
外観検査装置23の下流ではPTPフィルム21移送経路に沿って、スリット成形装置24及びシート打抜装置26が順に配設されている。スリット成形装置24は、PTPフィルム21の所定位置に上記横スリット6を形成する機能を有する。シート打抜装置26は、PTPフィルム21をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。前記シート打抜装置26の下流側には、裁断された端材27を貯留するためのスクラップ用ホッパ28が設けられている。また、シート打抜装置26の下側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア29が設けられており、該PTPシート1は完成品用ホッパ30に移送されるようになっている。
【0036】
さて、本実施形態においては、PTP包装機10の備える錠剤投入装置16に特徴を有している。そこで次に、錠剤投入装置16について、より具体的に説明する。図3は、錠剤投入装置16を模式的に示す斜視図である。
【0037】
同図に示すように、錠剤投入装置16は、「錠剤供給用ボウルフィーダ」としてのボウルフィーダ50と、ボウルフィーダ50から下流側へ錠剤5を案内するスプリングホース70と、スプリングホース70にて案内される錠剤5を包装用フィルム3へ投入するシュータ80とを備えている。
【0038】
ボウルフィーダ50は、「円板体」としてのボウル51と、このボウル51を下方から支持する振動体52とを具備してなる。ボウル51は、多数の錠剤5を貯留することができるよう、円形皿状をなしている。また、振動体52は、図示しないアクチュエータにより、ボウル51を円周方向斜め上方へ振動させるようになっている。これにより、振動体52によってボウル51が振動させられると、上記ボウル51に貯留されている錠剤5が所定方向(図3中に記号Hで示す方向)へ旋回移動するようになっている。
【0039】
また、ボウル51の底面には、複数の供給孔53が形成されている。供給孔53の数は、包装用フィルム3の幅方向に配列されたポケット部2の数(本実施形態では4個)に対応している。この供給孔53には、上記スプリングホース70の一端側が接続されている。かかる構成により、ボウル51上で旋回移動する錠剤5が、供給孔53を通って下流側へ供給されることになる。
【0040】
スプリングホース70は、コイルスプリングによって形成されており、可撓性を有している。スプリングホース70の一端側は上述したように供給孔53に接続されており、他端側は、上記シュータ80に接続されている。
【0041】
シュータ80は、包装用フィルム3に対し僅かな距離を隔てて上方位置に固定配置されている。このシュータ80は、断面略コ字状の溝部を有するシュータ本体81と、前記溝部を塞ぐようにしてシュータ本体81に取り付けられた壁部82とを備えている。そして、溝部及び壁部82内面により囲まれた空間が錠剤5の通路83となっている。
【0042】
ここで、ボウルフィーダ50の備えるボウル51の構成について、より詳しく説明する。図4は、ボウル51を模式的に示す平面図である。図5(a)は、図4のA−A線断面図である。また、図6(a)は、図4のB−B線断面図である。
【0043】
ボウル51の底面には、同心円状の環状溝54が形成されている。図4では、煩雑になることを避けるため、環状溝54を一部省略して示している。底面とは、錠剤5の搬送面であり、同図に示す中央円形部分を除くドーナツ型の領域である。上記振動体52によってボウル51が振動させられると、錠剤5は、この領域を時計回り(図4中に記号Hで示す方向)に旋回移動する。そして、この環状溝54は、底面の一部を除いてほぼ全域に形成されている。具体的には、上記供給孔53(図4では二点鎖線で示した)に上記スプリングホース70の一端側を接続するため、供給孔53に対応する位置に取付部材55が設けられており(図4中に斜線を施して示した)、この部分にだけは、環状溝54が形成されていない。
【0044】
環状溝54は、図5(a)に示すボウル51の半径方向に渡って等間隔で形成されている。そして特に、図5(b)の部分拡大断面図に示すように、錠剤5の収容を規制する(許容しない)溝幅で形成されている。さらに、環状溝54同士を区切る区切部61は、その上部にエッジを有しないように、また、その上部に水平面を有しないように、その上角部が断面略円弧状となっている。
【0045】
上記環状溝54には錠剤5から発生する粉塵が収容されるのであるが、この粉塵を排出するため、図4に示すように、ボウル51の底面には、さらに、5つの排出孔56,57,58,59,60が形成されている。これらの排出孔56〜60のうち、錠剤5の搬送方向において供給孔53の直前に位置する(取付部材55に隣接する)排出孔60は、供給孔53の配列方向に略平行に配列形成されている。また、残りの4つの排出孔56〜59は、円形状のボウル51に対して放射状に配列形成されている。これら排出孔56〜60はいずれも、図6(a),(b)に示すように上記環状溝54に到達するまでボウル51の下部を削り取るようにして形成されている。すなわち、供給孔53の直前に位置する排出孔60は、ボウル51の下部を供給孔53の配列方向に平行に削り取るようにして形成されており、残りの4つの排出孔56〜59は、ボウル51の下部を放射状に削り取るようにして形成されている。また、これら排出孔56〜60は、環状溝54の最内周側から最外周側にかけて環状溝54を横切るように形成されている。さらに、ボウル51の排出孔56〜60の下方には、図示しない吸塵機構が具備されている。
【0046】
かかる構成により、本実施形態のボウルフィーダ50では、振動体52によってボウル51が振動させられると、錠剤5が平面視時計回りに旋回移動するのであるが、このとき、錠剤5から生じた粉塵のみが環状溝54に収容される。環状溝54は円周方向に形成されているため、ボウル51が振動させられると、環状溝54に収容された粉塵も錠剤5と同様、平面視時計回りに旋回移動する。そして、ボウル51に形成された排出孔56〜60から排出される。
【0047】
このようにして、錠剤5から発生した粉塵が分離され、粉塵の付着が極めて少ない錠剤5が下流側へ供給される。具体的には、ボウルフィーダ50のボウル51に形成された供給孔53から下流側へ供給される錠剤5は、上記スプリングホース70の内部を通過し、シュータ80にて包装用フィルム3のポケット部2へ投入される。
【0048】
なお、ボウルフィーダ50への錠剤5の供給は、作業者が直接ボウルフィーダ50へ錠剤5を供給するものとしてもよいし、あるいは、直線トラフなどを用いホッパなどから自動的に供給されるものとしてもよい。
【0049】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ボウル51の底面(錠剤搬送面)に、環状溝54と排出孔56〜60とが形成されている。環状溝54は、錠剤5から発生する粉塵を収容するのであるが、収容された粉塵が錠剤5に再び付着することのないよう錠剤5の収容を規制する(許容しない)溝幅を有してなる。つまり、錠剤5から発生した粉塵のみを環状溝54に収容することで、錠剤5と粉塵とをボウルフィーダ50のボウル51上で分離するようにしたのである。また、上記環状溝54はボウル51の底面のほぼ全域に形成されているため、一度分離された粉塵の錠剤5への再付着を効果的に抑制できる。これによって、錠剤5から生じる粉塵を効果的に除去し、粉塵による不具合を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、環状溝54同士を区切る区切部61は、その上角部が断面略円弧状となっており(図5(b)参照)、その上部にエッジ及び水平面を有しない形状となっている。エッジを有しないことにより、錠剤5表面の損傷を抑制することができ、粉塵の発生の抑制に寄与する。また、欠け等が生じた不良錠剤の発生を抑制できるという点でも有利である。さらに、水平面を有しないことにより、ボウル51が振動させられることと相俟って、粉塵が速やかに環状溝54に収容される。その結果、一度分離された粉塵の錠剤5への再付着を効果的に抑制できる。
【0051】
さらにまた、本実施形態によれば、上記排出孔56〜60は、上記環状溝54に到達するまでボウル51の下部を削り取るようにして形成されている(図6参照)。これにより、排出孔56〜60の形成が比較的簡単になっている。
【0052】
また、排出孔56〜60は、ボウル51の下部を削り取ることで、最内周側から最外周側にかけて環状溝54を横切るように形成されているため、全ての環状溝54の粉塵を各排出孔56〜59から排出することができ、効率的な粉塵の排出が可能となる。このうち供給孔53の直前に配置される排出孔60は、供給孔53の配列方向に略平行に削り取ることで形成されている。これにより、排出孔60から各供給孔53までの距離が半径方向の距離に依存せずほぼ一定となる。したがって、排出孔60から各供給孔53までの距離を比較的短く設定することで、たとえ環状溝54の形成されていない取付部材55が設けられた構成であっても、各供給孔53の直前における粉塵の再付着を効果的に抑制することができる。
【0053】
さらにまた、本実施形態によれば、排出孔56〜60の下方に吸引機構を具備しているため、より確実に粉塵を除去することができる。
【0054】
以上、一実施形態について説明したが、このような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々なる形態で実施できる。
【0055】
(a)上記実施形態ではボウル51の下部を削り取るようにして排出孔56〜60を形成していたが、環状溝54に収容された粉塵を排出できるものであればよく、例えば環状溝54の途中に個別に孔を開けて構成してもよい。
【0056】
(b)上記実施形態では排出孔56〜60の下方に吸塵機構を設けていたが、吸塵機構を省略してもよい。また、一部の排出孔56〜60にのみ吸塵機構を設けるようにしてもよい。
【0057】
(c)上記実施形態では錠剤投入装置16がシュート80を備える構成であったが、ロータリドラムを備える構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(a)はPTPシートの表側を示す斜視図であり、(b)はPTPシートの部分拡大断面図である。
【図2】実施形態のPTP包装機を示す概略構成図である。
【図3】錠剤投入装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】ボウルフィーダのボウルの構成を示す平面図である。
【図5】(a)は図4のA−A線断面図であり、(b)は部分拡大断面図である。
【図6】(a)は図4のB−B線断面図であり、(b)は部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…包装用フィルム、5…錠剤、10…PTP包装機、16…錠剤投入装置、50…ボウルフィーダ、51…ボウル、52…振動体、53…供給孔、54…環状溝、55…取付部材、56〜60…排出孔、61…区切部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定量の錠剤を貯留可能な円形皿状の円板体と、当該円板体を振動させて前記円板体上の錠剤を旋回移動させる振動体とを備え、前記振動体にて錠剤を旋回移動させることにより、錠剤を前記円板体の底面に設けられた供給孔から下流側へ供給する錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記円板体は、その底面のほぼ全域に形成され錠剤から発生する粉塵を収容する同心円状の環状溝と、当該環状溝に収容された粉塵を外部へ排出するための排出孔とを具備し、
前記環状溝は、前記収容された粉塵が錠剤に再び付着することのないよう錠剤の収容を規制する溝幅を有してなることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記環状溝同士を区切る環状の区切部は、その上部にエッジを有しないように、その断面における上角部が略円弧状となっていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記環状溝同士を区切る環状の区切部は、その上部に水平面を有しないように、その上部が傾斜面で形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記排出孔は、前記円板体の下部を、前記環状溝に至るまで削り取るようにして形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記排出孔は、最内周側から最外周側にかけて、前記環状溝を横切るように形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【請求項6】
請求項5に記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記供給孔は、前記円板体の半径方向に複数形成されており、
前記環状溝を横切るように形成された前記排出孔は、少なくとも前記供給孔の直前に位置し、前記供給孔の配列方向に略平行に形成されていることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の錠剤供給用ボウルフィーダにおいて、
前記排出孔の下方に、前記粉塵を吸引するための吸引機構を具備してなることを特徴とする錠剤供給用ボウルフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−284087(P2007−284087A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111819(P2006−111819)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【出願人】(506128097)第一ファルマテック 株式会社 (1)
【Fターム(参考)】