説明

錠剤等の薬剤選択供給装置用の薬剤収容容器

【課題】 薬剤収容容器を薬剤選択供給装置に装着脱する際に薬剤収容容器内に残った薬剤を不用意に排出させない薬剤収容容器の提供。
【解決手段】 薬剤収納部16に収納される薬剤を薬剤選択供給装置の指示に応じて排出すべく薬剤収容容器支持体2に装着され、装着時には、互いに噛合するギアを介して薬剤収容容器支持体2の回転駆動体により薬剤整列ローラー25が回転して薬剤収納部16に収納した薬剤が薬剤整列路24に導入されて個々に開口部13から薬剤選択供給装置へと排出され、非装着時には薬剤整列ローラー25の自転を抑止するよう係止部がギアに係止し薬剤収容容器支持体2への装着時には係止部がギアから離反するゴム製のストッパーを設け、ストッパーは薬剤収容容器支持体2への非装着時には自己の弾性力でギアに当接する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として病院等に設置される薬剤選択供給装置、即ち錠剤、カプセル等の薬剤を患者毎の処方箋に従って適宜選択して取り出すための装置に装着される錠剤等の薬剤選択供給装置用の薬剤収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤、カプセル等の薬剤収容容器は、その薬剤を入れる薬剤収納部と、その薬剤収納部内に回転自在に設けられ、且つ周囲に薬剤を整列させるための薬剤整列路が形成された薬剤整列ローラーと、その薬剤整列ローラーの回転軸に固着されたギアと、薬剤整列路から薬剤を排出する薬剤排出用の開口部とから構成される。
かかる薬剤収容容器は、薬剤選択供給装置に装着され、その薬剤選択供給装置のモーターの回転駆動がギアを介して薬剤整列ローラーに伝達されてそのローラーが回転し、処方箋等のデータに従って薬剤整列路に整列した薬剤を開口部から個々に薬剤選択供給装置内に所定数量排出するものである。
そして、薬剤選択供給装置内では排出された薬剤を分包装置で1包ずつに包装する分包作業を行うのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、分包作業が進むと、当然として薬剤収容容器内に収納された薬剤が少量となり補充しなければならず、この場合には、薬剤収容容器を外し、薬剤を補給した後、再び薬剤選択供給装置に装着して分包作業を続行する。
【0004】
しかしながら、従来の薬剤収容容器は、薬剤整列ローラーが回転自在に設けられているので、脱着時に薬剤収容容器に加わる振動、衝撃等によって薬剤整列ローラーが不用意に回転し、薬剤整列路に残っていた薬剤が薬剤排出用の開口部から薬剤選択供給装置に排出される可能性がある。
【0005】
本発明は上記の点を解決するものであり、薬剤収容容器を装着脱する際にその薬剤収容容器内に残った薬剤を不用意に排出させない錠剤等の薬剤選択供給装置用の薬剤収容容器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その課題を解決するための手段は、薬剤収納部16に収納される錠剤、カプセル等の薬剤を薬剤選択供給装置の指示に応じて排出するために薬剤収容容器支持体2 に装着され、該薬剤収容容器支持体2 への装着時には、互いに噛合するギアを介して該薬剤収容容器支持体2 の回転駆動体により薬剤整列ローラー25が回転して前記薬剤収納部16に収納された錠剤、カプセル等の薬剤が薬剤整列路24に導入されて個々に開口部13から薬剤選択供給装置へと排出される薬剤収容容器であって、前記薬剤収容容器支持体2 への非装着時には、前記薬剤整列ローラー25の自転を抑止する抑止手段が設けられてなることにある。
【0007】
また、好ましくは、前記抑止手段が、前記薬剤整列ローラー25の軸体29に取付けられたギア30又はギア30の歯に弾性体の付勢によって係止しうるストッパー18とされてなるものとし得る。
さらに、好ましくは、前記薬剤収容容器支持体2 には、前記収容容器本体1 が該薬剤収容容器支持体2 に装着された場合に前記薬剤整列ローラー25の抑止手段を解除する解除手段が設けられ得る。
【0008】
上記構成からなる錠剤等の薬剤収容容器は、その容器内に収納される錠剤、カプセル等の薬剤を薬剤選択供給装置の指示に応じて排出するためにその薬剤収容容器支持体2 に装着され、薬剤収容容器支持体2 の回転駆動体により薬剤整列ローラー25が回転し、薬剤収納部16に収納された錠剤、カプセル等の薬剤が薬剤整列路24に導入されて個々に開口部13から薬剤選択供給装置へと排出される。
ところで、薬剤収容容器に薬剤を補充する時などは、薬剤収容容器支持体2 から薬剤収容容器を着脱しなければならないが、上記構成からなる薬剤収容容器には、薬剤整列ローラー25の自転を抑止する抑止手段が設けられているので、薬剤収容容器を外し、又装着した際に生ずる振動等によって回転自在な薬剤整列ローラー25が自然に回転することがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薬剤収納部や薬剤整列路内に薬剤が残っていても不用意に開口部から排出されるということを防止できる。
【0010】
さらに、薬剤収容容器が装着される薬剤収容容器支持体に薬剤整列ローラーの抑止手段を解除する解除手段が設けられていれば、装着時には抑止手段の規制は解除されて薬剤整列ローラーは完全に回転自在となり、薬剤収容容器支持体の回転駆動体に何ら負荷がかかることもなく薬剤選択供給装置の指示に従って薬剤を排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に従って説明する。
図1〜図3に於いて、1 は、薬剤選択供給装置内の薬剤収容容器支持体2 に装着脱可能で、且つ錠剤、カプセル等の薬剤を収納可能な薬剤収納部16が設けられた収容容器本体を示す。
その収容容器本体1 は、平面視略扇形に形成されており、薬剤収納部16の上部に薬剤投入口1aとそれを開閉すべく蓋1bが設けられている。
【0012】
前記薬剤収容容器支持体2 の装着面2aには、収容容器本体1 を装着する際の導き路となる一対の案内レール3,3'が突設され、且つ薬剤収容容器支持体2 の内側には、収容容器本体1 の前壁に設けられた凹部4 に嵌合する凸部5aが形成された前面板5 が立設されている。
前記案内レール3,3'の前面板5 側には、平面視略碗状の段部6,6'が夫々形成されている。
7 は、収容容器本体1 から排出される薬剤を分包装置(図示せず)に供給するための搬出口を示し、8 は、モーター等の回転駆動体9 を介して回転する大ギア8aと小ギア8bからなり、且つ装着面2aから突出した二連歯車を示す。
10は、一の案内レール3 の略中央部近傍に突設された棒状の突起棒を示し、かかる突起棒10は、後述する薬剤攪拌ローラー体11の回転を抑止する抑止手段であるストッパー18の規制を解除する解除手段である。
【0013】
一方、前記収容容器本体1 内の略中央底部には、薬剤攪拌ローラー体11が設けられており、薬剤収納部16は、その薬剤攪拌ローラー体11方向に薬剤収容容器本体1 の前壁面12とそれに対向する他壁面14から下向き傾斜で一体的に底部15が延出されて形成されている。
前記薬剤攪拌ローラー体11には、大ギア30と小ギア33とからなる二連歯車17が取付けられている。
【0014】
さらに詳しくは、収容容器本体1 の下方には仕切壁19を介してギア収納部20が設けられている。
加えて、図2に示すように、仕切壁19の上方には薬剤攪拌ローラー体11の周囲を包囲する筒状のローラー収納壁21と、薬剤攪拌ローラー体11を下方から支持する筒状の支持壁22が形成されている。
【0015】
また、薬剤攪拌ローラー体11は、周囲に薬剤23が整列する薬剤整列路24が複数形成された薬剤整列ローラー25と、その薬剤整列ローラー25の上面部に嵌合され、且つ略円筒を斜めに切断することにより一周端側が高い高部26a と他周端側が低い低部26b とを有する傾斜面27の形成された攪拌ローラー26とから構成される。
薬剤整列ローラー25には、回転軸芯部に孔28が穿通されており、しかも、下方側に延出されたパイプ状の軸体29が前記支持壁22に嵌入されてギア収納部20に突出され、下端部に大ギア30が固着されている。
一方、前記孔28には、円柱状の軸31が挿通されており、その上端部には攪拌ローラー26が固定され、且つその下端部には小ギア33が固着されている。
【0016】
かかる構成により、回転駆動体9 を介して大ギア8a及び小ギア8bが回転すると、それに噛合する小ギア33及び大ギア30が回転して薬剤攪拌ローラー体11が回転する。尚、大小ギアの歯数を適宜選択し、薬剤整列ローラー25と攪拌ローラー26との回転速度は異なる速度に設計されており、従って、攪拌ローラー26の高部26a 側が低部26b 側に集積した薬剤を攪拌するので、低部26b 側には薬剤がブリッジングすることもなく薬剤整列路24に確実に且つ迅速に導入され、図2に示すように縦列することとなる。
【0017】
また、収容容器本体1 のギア収納部20内には、抑止手段としてヘアピン状の板バネからなるストッパー18の一辺側18a が、仕切壁19にピンを介して固定された取付部35に固着されている。
かかるストッパー18の他辺側18b の先端には、平面視略碗状の受け部36が形成され、且つその受け部36近傍には、薬剤整列ローラー25の軸体29に固着された大ギア30の歯に係止する略三角形状の係止部37が設けられている。
【0018】
39,39'は、収容容器本体1 を薬剤収容容器支持体2 の案内レール3,3'に沿って装着するための導き路を示し、仕切壁19から下方に突出されてギア収納部20内に形成されている。
40,40'は、案内レール3,3'の段部6,6'に嵌合する位置決め突起を示す。
【0019】
上記薬剤収容容器を薬剤収容容器支持体2 の案内レール3,3'に沿って嵌め込むと、図2及び図3に示すように、位置決め突起40,40'と段部6,6'が嵌合することによって所定位置に装着されると共に、駆動手段9 の二連歯車8 が薬剤攪拌ローラー体11の二連歯車17に噛合し、同時に、薬剤収容容器支持体2 の突起棒10がストッパー18の受け部36に当接することにより板バネが押圧されてストッパー18による抑止が解除され、装着前は自転、即ち、ストッパー18により不用意に回転できなかった薬剤整列ローラー25が回転自在な状態となる。
そして、回転駆動体9 を介して薬剤攪拌ローラー体11が回転することにより、薬剤整列路24に導入された薬剤は、処方箋等のデータに基づいて開口部13から薬剤収容容器支持体2 の排出口7 に排出されて分包装置に供給される。
【0020】
一方、収容容器本体1 を薬剤収容容器支持体2 から外した場合、図4に示すように、突起棒10の押圧が解除されてストッパー18が弾性力によって復帰することにより、その係止部37が大ギア30の歯に係止して薬剤整列ローラー25の自由な回転を抑止する。
従って、少なくとも薬剤選択供給装置に薬剤収容容器が装着されていない状態のときは、薬剤整列ローラー25は回転しないので、薬剤整列路24等に薬剤が残っていても薬剤が開口部13から薬剤選択供給装置に排出されない。
【0021】
尚、上記実施例に於いて、薬剤収容容器支持体2 には解除手段10が設けられているが、必ずしも薬剤収容容器支持体2 には解除手段が設けられていなければならないわけではない。例えば、抑止手段であるストッパー18の板バネの弾性力を緩くしたり、ストッパー18の係止部37を略半円状にしたり、又ストッパー18の取付け位置を変える等適宜設計変更することにより、薬剤整列ローラー25に抑止手段が作用した状態でも薬剤収容容器支持体2 の回転駆動体9 によって薬剤整列ローラー25を回転させることは可能である。
【0022】
さらに、上記実施例に於いて、抑止手段はヘアピン状の板バネからなるストッパー18から構成されているが、必ずしも抑止手段は上記構成に限定されず、例えば、図5に示すように、中央一面部に薬剤整列ローラー25の大ギア30に係止する鋸状の係止部37が形成され、且つ両端側に孔41,41 が穿設された板状のストッパー18と、その孔41,41 に挿通された支持棒42,42 と、その支持棒42,42 に嵌挿され、且つストッパー18を他端面側から付勢するスプリング43,43 とから抑止手段が構成されていてもよい。
尚、かかる構成による薬剤収容容器を、図5の二点鎖線で示すように、解除手段である2本の突起棒が設けられた薬剤収容容器支持体2 に装着すれば、抑止手段であるストッパー18が後退してストッパー18は大ギア30から離反することとなって抑止は解除される。
【0023】
また、上記実施例に於いて、抑止手段であるストッパー18は板バネ又はスプリングの付勢力によって大ギア30の歯に係止する構成であったが、必ずしも抑止手段はかかる構成に限定されず、例えば、大ギア30の盤自体を係止するストッパーであってもよく、又、板バネ又はスプリングに代えてゴムの付勢力を利用してもよい。
さらに、図6に示すように、抑止手段であるストッパー18自体をゴムで形成すれば、上記実施例のようにストッパー18に係止部37を設けていなくても、その弾性力によって変形して大ギア30にゴムのストッパー18が当接し、且つ摩擦力の高いゴムの性質から大ギア30を確実に係止することができる。
【0024】
叙上のように、本発明に係る薬剤収容容器は、薬剤を個々に整列させて排出するための薬剤整列ローラーに、薬剤収容容器支持体への非装着時には、その回転を抑止する抑止手段が設けられているので、薬剤収容容器を薬剤選択供給装置から外す際又は装着する際に、回転自在な薬剤整列ローラーが不用意に回転することがない。
従って、薬剤整列路や薬剤収納部に薬剤が残っていても薬剤整列ローラーが自転して薬剤が開口部から薬剤選択供給装置に排出されることを防止できる。
よって、薬剤の無駄を無くし、一連の作業の円滑化を図ることができる。
【0025】
さらに、前記薬剤収容容器支持体に、前記収容容器本体が該薬剤収容容器支持体に装着された場合に前記薬剤整列ローラーの抑止手段を解除する解除手段を設ければ、薬剤収容容器を装着した時には薬剤整列ローラーは抑止手段が解除されて完全に回転自在となり、一方、薬剤収容容器を外した時には抑止手段が作用して薬剤整列ローラーは不用意に回転しない。
従って、薬剤収容容器を装着脱するだけで、薬剤整列ローラーの回転の抑止とその解除を行なうことができ、作業者が何ら新たな操作を行なう必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の薬剤収容容器とそれを装着する薬剤選択供給装置内の薬剤収容容器支持体の一部を示す参考図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面を下方側から現した断面図。
【図4】薬剤収容容器の底面図。
【図5】抑止手段と解除手段の他実施例を示す断面図。
【図6】抑止手段の他実施例を示す底面図。
【符号の説明】
【0027】
1 …収容容器本体、2 …薬剤収容容器支持体、16…薬剤収納部、18…ストッパー、24…薬剤整列路、25…薬剤整列ローラー、29…軸体、30…ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤収納部(16)に収納される錠剤、カプセル等の薬剤を薬剤選択供給装置の指示に応じて排出するために薬剤収容容器支持体(2)に装着され、該薬剤収容容器支持体(2)への装着時には、互いに噛合するギアを介して該薬剤収容容器支持体(2)の回転駆動体により薬剤整列ローラー(25)が回転して前記薬剤収納部(16)に収納された錠剤、カプセル等の薬剤が薬剤整列路(24)に導入されて個々に開口部(13)から薬剤選択供給装置へと排出される薬剤収容容器であって、
前記薬剤収容容器支持体(2)への非装着時には前記薬剤整列ローラー(25)の自転を抑止するよう係止部がギアに係止し、薬剤収容容器支持体(2)への装着時には係止部がギアから離反するゴム製のストッパーが設けられ、該ストッパーは薬剤収容容器支持体(2)への非装着時には自己の弾性力でギアに当接するものであることを特徴とする錠剤等の薬剤選択供給装置用の薬剤収容容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−89140(P2006−89140A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322926(P2005−322926)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【分割の表示】特願2003−201985(P2003−201985)の分割
【原出願日】平成7年7月13日(1995.7.13)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】