説明

鏡餅

【課題】この発明は、鏡毎に包装することなく、鏡餅をガス不透過材で気密に包装すると共に、食用時に切断不用とすることを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容するとともに、脱酸素剤を収容し、前記大小の丸餅のそれぞれの周側面、又は少なくとも前記小丸餅及び上の大丸餅の周側面に角を設け、前記角を設けた丸餅は平面視多角形とすることで、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間をつくり、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密閉したことを特徴とする鏡餅により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鏡餅容器の中へ小さい丸餅を複数個封入した鏡餅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来容器入り鏡餅は、鏡餅容器入へ、大小の丸餅を一体的に形成した鏡餅又は鏡餅容器内へ脱酸素剤入り包装丸餅の複数を収容した鏡餅が使用されていた。
【特許文献1】実開平6−34494
【特許文献2】特公平6−88613
【特許文献3】特開平8−256713
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の容器入り鏡餅は、食用に供する為に、所定の大きさに切断しなければならないが、硬化している為に、容易に切断できない問題点があった(特許文献2)。
【0004】
また鏡餅容器内へ包装丸餅の複数個を収容した鏡餅は二重包装による資材、労力の無駄があり、かつ食用時に二重包装を開かなければならないなどの問題点があった(特許文献1)。また鏡餅内に包装丸餅が収容されていること自体、鏡餅のイメージダウンになるおそれがあった。
【0005】
また鏡餅容器内へ一体的に充填した鏡餅を縦に数個に分割する提案もあるが、前記分割によって餅の外形が崩れるのみならず(切り餅の外形と著しく異なる)、各切り餅片をほぼ同一重量にすることがむつかしくなる問題点があった(特許文献3)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、鏡餅容器の中へ、小丸餅1個と、大丸餅2個とを重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容して密封することにより前記従来の問題点を解決したものである。
【0007】
即ちこの発明は、ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密封し、脱酸素終了時に、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させたことを特徴とする鏡餅であり、ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記各丸餅の当接面は平面とし、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密封し、脱酸素終了時に、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させたことを特徴とする鏡餅である。
【0008】
また他の発明は、ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記大丸餅2個は、同一形状の大丸餅の一方を反転して当接し、前記各丸餅の当接面は平面とし、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密封し、脱酸素終了時に、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させたことを特徴とする鏡餅であり、小丸餅と大丸餅の重さは何れも50g〜60gとしたものであり、大小の丸餅の一方又は両方に切目を入れて、分割可能としたものである。
【0009】
前記における大小の丸餅の大きさは50g〜60g(例えば55g)であって、市販の切り餅と同等の重量とし、食用時の取扱い上適度の大きさとしたものである。
【0010】
前記大小の丸餅の形は、収容時の安定性を考慮し、少なくとも下面は平面とする。また大きい丸餅は、1個の重さを50g〜60gにする為に、若干扁平とし、かつ同一形状の丸餅を反転して重ね合わせてある。例えば反転しないと安定性が悪くなるおそれがあるからである。また同一形状にすることによって成形型は大小2つで済むからである。
【0011】
また他の発明は、ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間をつくり、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密閉したことを特徴とする鏡餅である。また、ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記大小の丸餅のそれぞれの周側面、又は少なくとも前記小丸餅及び上の大丸餅の周側面に角を設け、前記角を設けた丸餅は平面視多角形とすることで、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間をつくり、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密閉したことを特徴とする鏡餅である。
【0012】
前記発明においては、脱酸素終了時には、鏡餅容器内が減圧される為に底フィルムが凸弧状に変形するので、丸餅が若干持ち上がることから、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させるため、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に隙間をつくる必要がある。他方、前記大小の丸餅の少なくとも上部外形は、前記鏡餅容器の内形に沿った形状(相似形)に近い形状が好ましい。即ち、前記鏡餅容器は主として不透明合成樹脂材料で成形するが、脱酸素状態では厚さの関係上指先で押すと、凹入するおそれがあるため、内容餅で支える必要がある。そのため、前記発明においては、大小の丸餅のそれぞれの側周面に角を設け、前記角を設けた丸餅は平面視多角形(丸餅としての形状を保つため、八角以上の多角形が好ましい)とすることにより平面部分に前記隙間をつくり、同時に前記角により前記鏡餅容器を支えることとした。ここで、これらの目的を達成することができるのであれば、前記大小の丸餅はそのままにして、前記鏡餅容器に角を設けることで前記隙間をつくっても良く、また、前記大小の丸餅に溝を設けて前記隙間をつくっても良い。
【0013】
前記脱酸素剤は、前記鏡餅容器に前記大小の丸餅を収容する前に収容すれば効率良く収容作業ができ、また、脱酸素状態の際にも空間を確保しやすいため、前記小丸餅と前記鏡餅容器の間に収容されることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、鏡餅容器内へ、重さをほぼ同一にした大小3個の丸餅を封入してあるので、食用に供する際切断の手間が不用になる効果がある(請求項1)。また、鏡餅容器をガス難透過性とし、大小の丸餅と脱酸素剤とを密封することによって、従来の包装丸餅の封入と同様に丸餅の日持ちを飛躍的に増大させ、かつ、従来丸餅毎に封入した包装が不用になり、材料と労力の節減になる効果がある(請求項1,2,3,4,5)。そして、脱酸素終了時に、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させたことにより、該全空間を脱酸素状態とすることができるため、一部において脱酸素が不十分となりカビが生えたりするおそれを防止する効果がある。
【0015】
更に2個の大丸餅は同形としたので、成形時の型は1つで間に合うことになる効果がある(請求項3)。
【0016】
次に、前記大小の丸餅のそれぞれの周側面、又は少なくとも前記小丸餅及び上の大丸餅の周側面に角を設け、前記角を設けた丸餅は平面視多角形とすることなど、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間をつくることで、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させ、全体を脱酸素状態にすることができる(請求項4,5)。
【0017】
また、丸餅に切れ目を入れると、1個50g〜60gよりも更に小さく分断することができる効果がある(例えば27.5g)。例えば切目を縦横に入れると、1個が15g以下になり、老人であっても食用に供し易くなる効果がある。また、丸餅は、赤などの着色を施したり、各種の味を付けたりすることで、より見た目が良い外観とすることができ、また、バラエティに富んだ味わいにすることができる効果がある。
【0018】
そして、脱酸素剤は小丸餅と鏡餅容器の間に収容されることで、効率良く脱酸素状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明は、ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記大小の丸餅のそれぞれの周側面、又は少なくとも前記小丸餅及び上の大丸餅の周側面に角を設け、前記角を設けた丸餅は平面視多角形とすることで、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間をつくり、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密閉する。前記大丸餅は同一形状として重ね、当接面へ平面としたものである。また、前記脱酸素剤は前記小丸餅と前記鏡餅容器の間に収容したものである。
【0020】
前記大小の丸餅は例えば1つ55gとしてあり、従来の切り餅と同様にそのまま調理して(焼いたり、煮たりして)食用に供することができる。従って硬化していても、切断する必要性がない。
【実施例1】
【0021】
この発明の実施例を図1について説明すると、ガス難透過性フィルム(例えば高剛性ポリプロピレンとエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂とを使用した材質)よりなる鏡餅容器1内へ、小丸餅2と、大丸餅3,3とを順次重ね合わせて収容すると共に(図1(a))、脱酸素剤袋4を収容し、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の底フィルム5で密封してこの発明の鏡餅6を得た。
【0022】
前記大丸餅3は、上面を小円形3aとし、下面を大円形3bに形成した丸餅であって、鏡餅容器1に収容する場合には、下の大丸餅3を反転し(図1(a))、大円形3b同士を当接すれば、安定して収容することができる。
【0023】
前記において、大丸餅3は、小丸餅2より若干厚みを小さくすることにより、3個共に重さを55gとすることができる。
【実施例2】
【0024】
この発明の他の実施例を図2について説明すると、鏡餅容器1内へ小丸餅2と、大丸餅3,3とを順次重ね合わせて収容すると共に、脱酸素剤4を収容し、前記鏡餅容器1の開口部を、ガス難透過性の底フィルム5で密封して鏡餅6としたものである(図2(a))。
【0025】
前記実施例においては、大丸餅3の底面又は上面と底面に切目7,7を設けたものである(図2(b)、(c))。前記実施例は切目7を一条設けたけれども、切目7a,7bとして十字状に入れることもできる(図2(d))。
【0026】
前記実施例によれば、大丸餅を必要に応じ4分割し、1個を14g程度にすることができる。
【実施例3】
【0027】
この発明の他の実施例を図3について説明すると、鏡餅容器1内の上部へ脱酸素剤4を収容すると共に、小丸餅8と、大丸餅9、9とを順次重ね合わせて収容し、前記鏡餅容器1の開口部をガス難透過性の底フィルム5で密封してこの発明の鏡餅6を得た。
【0028】
前記小丸餅8及び大丸餅9、9のそれぞれの周側面、又は少なくとも前記小丸餅8及び上の大丸餅9の周側面に角9a、9aを設け、平面視十角形とした。これにより、前記鏡餅容器1の内面と前記小丸餅8及び大丸餅9、9とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間10、10がつくられ(図3(b))、脱酸素時においても、前記鏡餅容器1と、前記小丸餅8及び大丸餅9、9とにより形成された全空間を連通させ、全体を脱酸素状態にすることが確認された。前記実施例は、大小の丸餅の形状を平面視多角形としたが、大小の丸餅の形状は変えず、平面視多角形の鏡餅容器11として、隙間12、12をつくることもできる(図3(c))。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)この考案の実施例の一部を断面した正面図、(b)同じく小丸餅の断面図、(c)同じく大丸餅の斜視図。
【図2】(a)同じく他の実施例の一部を断面した正面図、(b)同じく大丸餅の斜視図、(c)同じく大丸餅の反転斜視図、(d)同じく他の実施例の底面図。
【図3】(a)同じく他の実施例の一部を断面した正面図、(b)同じく図3(a)のAA断面図、(c)同じく他の実施例の断面図。
【符号の説明】
【0030】
1、11 鏡餅容器
2、8 小丸餅
3、9 大丸餅
4 包装脱酸素剤
5 底フィルム
6 鏡餅
7 切目
9a 餅の角
10、12 隙間
11a鏡餅容器の角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密封し、脱酸素終了時に、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させたことを特徴とする鏡餅。
【請求項2】
ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記各丸餅の当接面は平面とし、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密封し、脱酸素終了時に、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させたことを特徴とする鏡餅。
【請求項3】
ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記大丸餅2個は、同一形状の大丸餅の一方を反転して当接し、前記各丸餅の当接面は平面とし、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密封し、脱酸素終了時に、前記鏡餅容器と、前記大小の丸餅とにより形成された全空間を連通させたことを特徴とする鏡餅。
【請求項4】
ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間をつくり、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密閉したことを特徴とする鏡餅。
【請求項5】
ガス難透過性の材質よりなる鏡餅容器内へ、小丸餅1個と、大丸餅2個を順次重ねて収容すると共に、脱酸素剤を収容し、前記大小の丸餅のそれぞれの周側面、又は少なくとも前記小丸餅及び上の大丸餅の周側面に角を設け、前記角を設けた丸餅は平面視多角形とすることで、前記鏡餅容器の内面と前記大小の丸餅とのそれぞれの当接部に脱酸素時にも残存する隙間をつくり、前記鏡餅容器の開口部をガス難透過性の材質よりなる底フィルムで密閉したことを特徴とする鏡餅。
【請求項6】
小丸餅と大丸餅の重さは何れも50g〜60gとしたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つ記載の鏡餅。
【請求項7】
大小の丸餅の一方又は両方に切目を入れて、分割可能としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つ記載の鏡餅。
【請求項8】
脱酸素剤は、小丸餅と鏡餅容器の間に収容したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つ記載の鏡餅。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−95266(P2010−95266A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265546(P2008−265546)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(592221920)株式会社きむら食品 (6)
【Fターム(参考)】