説明

鑑識用粘着シートおよびその製造方法

【課題】粘着剤層の厚膜塗工が容易であって、採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも使用でき、製造工程で有機溶剤を用いない、採取対象物の表面の破損を抑えた鑑識用粘着シートならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートにおいて、前記粘着剤層が、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射して形成され、かつ、前記粘着剤層のゲル分率が50重量%以上であり、前記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜2.0N/20mmであることを特徴とする鑑識用粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉末を刷毛等で塗布する方法や溶液中に分散させた微粉末を噴霧する方法などで視覚化した指紋、足跡、タイヤ痕跡等の痕跡を、粘着面に転写して採取するのに使用する鑑識用粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指紋、足跡等を採取する方法としては、採取対象面に、アルミなどの粉末を刷毛等で塗布し、指紋の痕跡部分に付着させた粉末を採取する方法や、四三酸化鉄と界面活性剤を水で溶かした溶液を痕跡部分に塗布し、痕跡部分に付着した四三酸化鉄を、粘着シート等を用いて採取する方法等が知られている。
【0003】
従来、指紋等の採取に使用する鑑識用粘着シートとしては、透明フィルムの片面にウレタン系粘着シートを塗布したものが知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。ウレタン系粘着シートは、耐熱性、耐寒性、耐水性を有するため、鑑識用粘着シートとして主に使用されてきた。その他、指紋検出や指紋採取用シートとして、下記の特許文献5〜8に記載のものが知られている。
【0004】
指紋隆線部分にアルミ粉等を付着させて浮き上げさせた指紋痕跡を鑑識用粘着シートに満足に転写させるには、粘着剤層の厚みをある程度厚くする必要がある。
【0005】
しかしながら、上記の鑑識用粘着シートでは、それらの粘着剤層は、通常、溶剤で希釈した粘着剤溶液を塗布し、この粘着剤溶液中の溶剤を乾燥させる事により形成されるものであり、厚膜塗工を行うと、粘着剤層の表面に乾燥した粘着剤層膜が形成する事により、内部の溶剤が乾燥されず、粘着剤層がクレーター状になってしまうという問題があった。また、この問題の解決手段として、粘着剤層を積層する手法(たとえば、特許文献3参照)などが提案されてはいるが、粘着剤層を積層する回数だけ塗布や乾燥の工程が必要であり、生産工数が多くなってしまうものであった。
【0006】
また、従来のアクリル系粘着剤を用いた鑑識用粘着シート(たとえば、特許文献8)では、凹凸の急峻の隆起面に付着した指紋を採取する場合、採取対象面にアクリル系粘着シートを密接すると、角等の急峻な面変化箇所で粘着剤層が伸びて薄肉化してその箇所での粘着剤量が不足し正確な採取が難しくなるものであった。一方、粘着剤層を厚くすると、それだけ粘着力がアップし、アクリル系粘着剤の本来の高い粘着力とあいまって、採取対象面の塗装の剥離等、特に古い塗装面等では現状破損が生じ易くなるものであった。
【0007】
一方、四三酸化鉄、雲母等の溶液(分散液)を用いる湿式法では、指紋等の痕跡以外の部分に残留する四三酸化鉄等を水洗等で除去する必要が有り、水洗後の乾燥に長時間を要する場合があった。たとえば、指紋を採取する対象が自動車である場合、乾燥するまでに5時間もかかる場合があった。また、雨天の場合でも、指紋の採取が必要な場合もあり、採取対象物が濡れた状態でも、指紋等を粘着面に十分転写して採取できる鑑識用粘着シートが望まれていた。
【0008】
しかしながら、上記従来のウレタン系粘着剤等を用いた鑑識用粘着シートでは、採取対象物の表面が水分で濡れている場合、指紋等の接着力が低下し、また採取対象物に対して粘着シートのズレが生じ易く、指紋等の採取が困難であった。なお、ゼラチン系の鑑識用粘着シートも知られているが、ゼラチンが水に溶解するため、水分が存在する場合には、使用できなかった。
【0009】
他方、上記従来の鑑識用粘着シートに使用されているウレタン系粘着剤等の感圧性粘着剤の製造に際し、通常、多量の有機溶剤を用いている。しかし、最近では、これら有機溶剤の安全性と環境保護の観点から、こうした多量の有機溶剤の使用を止めるまたは低減する手法が求められている。
【0010】
【特許文献1】特開2001−40299号公報
【特許文献2】特開2002−194302号公報
【特許文献3】特開2002−200060号公報
【特許文献4】特開2003−89776号公報
【特許文献5】特開2000−83929号公報
【特許文献6】特開平9−75329号公報
【特許文献7】特開2004−187859号公報
【特許文献8】特開平3−80833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような事情に照らし、粘着剤層の厚膜塗工が容易であって、採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも使用でき、製造工程で有機溶剤を用いない、採取対象物の表面の破損を抑えた鑑識用粘着シートを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、粘着剤層の厚膜塗工が容易であって、採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも使用でき、製造工程で有機溶剤を用いない、採取対象物の表面の破損を抑えた鑑識用粘着シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す鑑識用粘着シートにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートにおいて、
前記粘着剤層が、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射して形成され、かつ、
前記粘着剤層のゲル分率が50重量%以上であり、前記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜2.0N/20mmであることを特徴とする。
【0015】
なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいう。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0016】
本発明の鑑識用粘着シートによると、実施例の結果に示すように、上述の特定の成分からなるアクリル系粘着剤組成物(無溶媒型光重合性粘着剤組成物)からなる層を光照射して架橋した粘着剤層を用いるため、採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも使用でき、採取対象物の表面の破損を抑えたものとなる。上記鑑識用粘着シートがかかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、上述の無溶媒型光重合性粘着剤組成物を用いることにより、これを光にて架橋した粘着剤層は凝集力および粘着力がバランスよく付与され、鑑識用粘着シートに適した優れた粘着性および採取対象物の表面の破損の抑制を並立して実現していると推測される。
【0017】
また、上記の鑑識用粘着シートは上記アクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射して得られたものであるため、製造工程で有機溶剤を用いることなく製造することができる。さらには、上記アクリル系粘着剤組成物を用いることにより、粘着剤層の厚膜塗工において、従来の内部の溶剤が乾燥されず、粘着剤層がクレーター状になってしまうという問題も生じることがなく、さらには、従来の粘着剤層を積層する回数だけ塗布や乾燥の工程が必要であった手法に比べて、生産工数を大幅に低減したものとなる。
【0018】
本発明の鑑識用粘着シートは、前記粘着剤層が、a)主単量体である炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射して形成され、かつ、前記粘着剤層のゲル分率が50重量%以上であり、前記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜2.0N/20mmであることを特徴とする。上記無溶媒型光重合性粘着剤組成物を用いることにより、凝集力および粘着力がバランスよく付与された粘着剤層となる。
【0019】
なお、本発明におけるb)多官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に2個以上の反応性の官能基を含有する(メタ)アクリレート(少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)をいうが、反応性の官能基としては、水酸基、メチロール基などと反応する官能基があげられる。上記b)多官能(メタ)アクリレートを用いることにより、バランスの良い凝集力および剥離性を得ることができると推測される。
【0020】
上記b)多官能(メタ)アクリレートとしては、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0021】
上記b)多官能(メタ)アクリレートの使用量は、アクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤層のゲル分率が50重量%以上となるように配合することが好ましい。上記ゲル分率が50重量%未満となると、粘着剤層の凝集力が不足し、被着体への糊残りの発生を抑える効果が低減してしまう。
【0022】
なお、本発明におけるゲル分率は、粘着剤組成物約1gを精秤し、これを酢酸エチル約40gに7日間浸漬し、その後、酢酸エチルに対する不溶解分をすべて回収し、130℃で2時間乾燥し、その重量を求め、得られた数値を以下の式に代入して算出した。
・不溶解分(ゲル分率)=(不溶解分重量/浸漬前の粘着剤組成物の重量)×100(重量%)。
【0023】
本発明において、上記アクリル系粘着剤組成物が無溶媒型光重合により得られたものであることが好ましい。かかるアクリル系粘着剤組成物を用いることにより、無溶媒型の光重合性粘着剤組成物の調整および重合率の制御を行いやすくなり、さらには光架橋の工程を容易にかつ効率よく行うことができる。
【0024】
さらに、上記アクリル系粘着剤組成物の全単量体中、a)主単量体である炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対して、d)極性基含有モノマーの含有量が4.5重量部未満であることが好ましい。上記d)極性基含有重合性モノマーの含有量を規定することにより、バランスの良い凝集力および剥離性をより確実に得ることができる。
【0025】
なお、本発明におけるd)極性基含有重合性モノマーとは、分子中に極性の大きい官能基を含有し、重合性の不飽和結合を有する重合性モノマーであって、上記b)多官能(メタ)アクリレートに該当しないものをいうが、極性の大きい官能基としては、カルボキシル基、スルフォニル基、水酸基、メチロール基などの官能基があげられる。
【0026】
また、本発明の鑑識用粘着シートにおいては、上記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜2.0N/20mmである。上記工程を有する製造方法を用いることによりこの範囲の鑑識用粘着シートを製造することが容易となり、また、粘着力がこの範囲であると、転写・採取を行う際に、剥離の作業性も良好になる。
【0027】
さらに、上記粘着剤層の厚みが50〜500μmであることが好ましい。この範囲であると、採取対象面に凹凸が有る場合でも、凹凸への追従性が良好になる。
【0028】
また、上記転写の対象が、痕跡に付着した四三酸化鉄の微粉末であることが好ましい。四三酸化鉄の微粉末は、その分散液が使用されるため、水洗が必要となり、本発明のように採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも、粘着シートがズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取することができる鑑識用粘着シートが、特に有効になる。
【0029】
一方、本発明は、視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートの製造方法において、
a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を、基材上に形成する工程、ならびに、
アクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射する工程、
を含むことを特徴とする。
【0030】
上述の工程を有する本発明の製造方法を用いることにより、製造工程で有機溶剤を用いることなく、粘着剤層の厚膜塗工が容易となり、上述の特徴を有する鑑識用粘着シートを効率良く得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の鑑識用粘着シートの一例の使用前の状態を示す断面図である。
【0032】
本発明の鑑識用粘着テープは、図1に示すように、視覚化された痕跡を粘着剤層20の表面に転写して採取するものであるが、粘着剤層20は、基材10の片面側に形成される。このとき、粘着剤層20と基材10との間にはプライマー層などを設けてもよい。
【0033】
視覚化される痕跡としては、鑑識の対象となる、指紋、足跡、タイヤ痕跡等があげられる。視覚化の方法としては、微粉末等を用いた乾式法、湿式法いずれによるものでもよい。
【0034】
乾式法としては、たとえば、アルミの微粉末を痕跡部分に刷毛等で塗布した後、痕跡部以外の粉末は風等で吹き除ける方法や、その他、アルミの代わりに、磁性粉末等を使用する方法などがあげられる。本発明の鑑識用粘着テープを用いると、採取対象面の塗装の剥離等、特に古い塗装面等でも現状破損の発生を抑制することが可能となる。
【0035】
湿式法としては、たとえば、四三酸化鉄の微粉末と界面活性剤を水で溶かした分散液を痕跡部分に塗布した後、水洗する方法や、その他、四三酸化鉄の代わりに、雲母類や真珠粉などの微粉末を使用する方法などがあげられる。本発明では、特に転写の対象が、痕跡に付着した四三酸化鉄の微粉末である場合に有効である。本発明の鑑識用粘着テープを用いると、水洗後に採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも、粘着シートがズレを起こさずに、視覚化された痕跡を鮮明に転写・採取することができる。つまり、水洗の採取対象物の乾燥を実施しなくても転写・採取が可能であり、雨天の場合にもそれが可能となる。
【0036】
本発明に用いられる粘着剤層は、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射して形成され、かつ、
前記粘着剤層のゲル分率が50重量%以上であり、前記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜2.0N/20mmであることを特徴とする。
【0037】
上記アクリル系粘着剤組成物としては、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物が用いられる。
【0038】
上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0039】
上述のa)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は上記アクリル系粘着剤組成物の全単量体成分中50〜99重量%であることが好ましく、60〜98重量%であることがより好ましく、70〜95重量%であることがさらに好ましい。
【0040】
また、上記粘着剤組成物中において、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは部分重合体(一部重合したモノマーシロップなど)であってもよい。その場合、たとえば、高分子が10重量%含まれ、粘度が20ポイズのモノマー溶液(モノマーシロップ)などが好ましい。
【0041】
また、上記アクリル系粘着剤組成物においては、その他の重合性単量体成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、アクリル系粘着剤組成物のガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0042】
上記アクリル系粘着剤組成物において用いられる上述のその他の重合性単量体成分としては、たとえば、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物などの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテル類などの接着力向上や架橋化基点としてはたらく官能基を有す成分などを適宜用いることができる。これらのモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0043】
上記ビニルエステル類としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0044】
上記芳香族ビニル化合物としては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0045】
上記アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0046】
上記アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンなどがあげられる。
【0047】
上記エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0048】
上記ビニルエーテル類としては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0049】
本発明において、上述のその他の重合性単量体成分は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0050】
次に、上記b)多官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に2個以上の反応性の官能基を含有する(メタ)アクリレート(少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)をいうが、反応性の官能基としては、水酸基、メチロール基など反応する官能基があげられる。上記b)多官能(メタ)アクリレートを用いることにより、バランスの良い凝集力および剥離性を得ることができると推測される。
【0051】
上記b)多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートなどの2官能以上の多価アルキル(メタ)アクリレートなどがあげられる。上記b)多官能(メタ)アクリレートは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0052】
本発明に用いられる無溶媒型光重合性粘着剤組成物は、上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、上記b)多官能(メタ)アクリレート0.1〜3重量部含有するものであるが、0.1〜2重量部含有することが好ましく、0.2〜1.5重量部含有することがより好ましい。上記b)多官能(メタ)アクリレートの含有量を規定することにより、バランスの良い凝集力および剥離性を得ることができると推測される。
【0053】
さらに、本発明においては、上記無溶媒型光重合性粘着剤組成物中、上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、d)上記b)以外の極性基含有重合性モノマーの含有量が4.5重量部未満であることが好ましく、上記含有量が3重量部未満であることがより好ましく、上記含有量が2重量部未満であることがさらに好ましい。上記d)極性基含有重合性モノマーの含有量を規定することにより、バランスの良い凝集力および剥離性をより確実に得ることができると推測される。
【0054】
なお、本発明におけるd)極性基含有重合性モノマーとは、分子中に極性の大きい官能基を含有し、重合性の不飽和結合を有する重合性モノマーであって、上記b)多官能(メタ)アクリレートに該当しないものをいうが、極性の大きい官能基としては、カルボキシル基、スルフォニル基、水酸基、メチロール基などの官能基があげられる。
【0055】
上記d)極性基含有重合性モノマーの具体例としては、たとえば、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、リン酸基含有モノマーなどの不飽和酸、ヒドロキシル基含有モノマーなどがあげられる。上記d)極性基含有重合性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0056】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などがあげられる。
【0057】
上記酸無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、および上記カルボキシル基含有モノマーの無水物体などがあげられる。
【0058】
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウムなどをあげることができる。
【0059】
上記リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートがあげられる。
【0060】
上記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0061】
また、上記無溶媒型光重合性粘着剤組成物において、上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと上記b)多官能(メタ)アクリレートの配合時、または、上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと上記b)多官能(メタ)アクリレートの配合後に、さらにc)光重合開始剤(および光重合開始助剤)を配合してもよい。上記アクリル系粘着剤組成物の部分重合体が光重合により得られたものである場合には、上記光重合時に未反応のまま上記部分重合体中に残存している光重合開始剤(および光重合開始助剤)を粘着剤組成物の光架橋のために適宜用いてもよい。一方、上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの部分重合時の光重合開始剤(および光重合開始助剤)が残存していない場合には、上記光重合開始剤(および光重合開始助剤)を配合することが好ましい。
【0062】
上記c)光重合開始剤としては、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。具体的には、たとえば、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤などがあげられる。
【0063】
上記光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイソメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのペンゾインエーテル、アニソールメチルエーテルなどの置換ペンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトンなどの置換アセトフェノン、2−メチル−2ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換アルファーケートル、2−ナフタレンスルフォニルクロライドなどの芳香族スルフォニルクロライド、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルポニル)−オキシムなどの光活性オキシム、アシルフォスフィンオキサイドなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
上記光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0065】
上記c)光重合開始剤は、上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの部分重合時の光重合開始剤(および光重合開始助剤)が残存していない場合、上記a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対し、0.01〜5重量部を上記単量体混合物に配合されることが好ましく、0.05〜5重量部配合されることがより好ましく、0.1〜3重量部配合されることがさらに好ましい。
【0066】
さらに、アミン類などの光重合開始助剤を併用することも可能である。上記光重合開始助剤としては、たとえば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0067】
また、本発明の粘着剤組成物は、適宜他の架橋することで、さらに耐熱性、耐候性に優れたものとなる。
【0068】
架橋方法の具体的手段としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン化合物などの架橋剤を用いる方法がある。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0069】
このうち、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。
【0070】
より具体的には、イソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン社製、コロネートHX)等のイソシアネート付加物などがあげられる。これらのイソシアネート化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0071】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱瓦斯化学社製、商品名TETRAD−X)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製、商品名TETRAD−C)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0072】
メラミン系樹脂としては、たとえば、ヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。メラミン系樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0073】
アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、商品名TAZM、商品名TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0074】
これらの架橋剤の使用量は、架橋すべきアクリル系粘着剤組成物とのバランスにより適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により十分な耐熱性を得るには一般的には、上記粘着剤層のゲル分率が50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
【0075】
また、本発明において、上記アクリル系粘着剤組成物が無溶媒型光重合により得られたものであることが好ましい。上記アクリル系粘着剤組成物を用いることにより、無溶剤型の光重合性粘着剤組成物の調整および重合率の制御を行いやすくなり、さらには光架橋の工程を容易にかつ効率よく行うことができる。また、特に上述の無溶媒型光重合により得られたアクリル系粘着剤組成物を用いる場合、未反応のまま上記アクリル系粘着剤組成物中に残存している(メタ)アクリレートや光重合開始剤(および光重合開始助剤)を含んだまま粘着剤組成物を調整してもよく、かかる場合には、上記アクリル系粘着剤組成物を重合した際の反応物を精製などの工程を適宜省略または軽減して用いることができる。
【0076】
上記光重合は、紫外線照射により行うことが好ましい。また、得られる上記アクリル系粘着剤組成物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。なお、上記紫外線による光重合を用いる場合には光重合開始剤を添加することが好ましい。
【0077】
上記紫外線としては、波長200〜400nmの紫外線が用いられることが好ましい。また、上記光重合開始剤の種類、添加量、および厚みにより適宜異なるものとすることができる。
【0078】
上記光重合開始剤としては、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。具体的には、たとえば、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤などがあげられる。
【0079】
上記光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイソメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのペンゾインエーテル、アニソールメチルエーテルなどの置換ペンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シク口へキシル−フェニル−ケトンなどの置換アセトフェノン、2−メチル−2ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換アルファーケートル、2−ナフタレンスルフォニルクロライドなどの芳香族スルフォニルクロライド、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルポニル)−オキシムなどの光活性オキシム、アシルフォスフィンオキサイドなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0080】
上記光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0081】
また、上記紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。
【0082】
また、本発明に用いられるアクリル系粘着剤組成物の主成分(粘着剤組成物全量中50重量%以上)として、上記アクリル系粘着剤組成物のガラス転移温度(Tg)が通常0℃以下のものが用いられるが、−100℃〜−5℃であることが好ましく、−80℃〜−10℃であることがより好ましい。
【0083】
上記ポリマーのガラス転移温度が0℃より高くなると、十分な粘着力を得るのが困難になる場合がある。なお、上記アクリル系粘着剤組成物のガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宣変えることにより上記範囲内に調整することができる。
【0084】
さらに本発明に用いられる粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0085】
本発明において用いられる粘着剤組成物は、上述のような構成を有する無溶媒型光重合性粘着剤組成物である。
【0086】
一方、本発明における粘着剤層20は、上記無溶媒型光重合性粘着剤組成物からなる層を光架橋して形成されることを特徴とする。
【0087】
上記アクリル系粘着剤組成物は、その取り扱い上、あらかじめ、塗工に適した粘度(通常、B型粘度計における粘度測定において、25℃で0.3〜40(Pa・s)に調整するのが好ましい。このため、上記無溶媒型光重合性粘着剤組成物は、予備重合して部分重合物としておくことができる。
【0088】
上記無溶媒型光重合性粘着剤組成物の部分重合物の重合率は、部分重合物中のポリマー分子量にもよるが、2〜40重量%程度とすることが好ましく、5〜20重量%とすることがより好ましい。
【0089】
また、上記部分重合を行う際には、酸素との接触を避けて紫外線照射することにより行うことが好ましい。
【0090】
アクリル系粘着剤層は、重合率96%以上にすることが好ましく、照度や光量は重合率を損なわない範囲で紫外線を照射することが好ましい。また、前記好ましい照射条件は、粘着剤組成や光重合開始剤の種類や部数によって異なる。
【0091】
前記重合率が96%未満の場合、接着力の低下が残存するモノマー成分による臭気等の不具合が生じる。また、前記重合率は、紫外線照射後に乾燥を行うことによっても向上させることができる。
・重合率(重量%)=〔130℃×2hr乾燥後のアクリル系粘着剤組成物重量(g)/乾燥処理前のアクリル系粘着剤組成物重量(g)〕×100。
【0092】
また、上記紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。
【0093】
本発明の鑑識用粘着シートは、上記粘着剤層を基材上に形成してなるものである。その際、上記粘着剤組成物の架橋は、上記粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、上記粘着剤組成物からなる層を他の支持体上で架橋して粘着剤層を形成した後、上記支持体に転写することも可能である。
【0094】
また、上記粘着剤層の形成方法としては、粘着シート類の製造に用いられる公知の方法が適宜用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
【0095】
さらに、上記粘着剤層の厚みが50〜500μmであることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。厚みが50μm以上にすることで、たとえば100円硬貨程度の凹凸面からでも指紋等の採取をより効果的に行うことができる。
【0096】
また、本発明の鑑識用粘着シートにおいては、上記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜2.0N/20mmであることが好ましく、0.1〜1.5N/20mmであることがより好ましく、0.2〜1.0N/20mmであることがさらに好ましい。本発明の製造方法を用いることにより上記範囲の鑑識用粘着シートを製造することが容易となり、また、上記粘着力がこの範囲であると、転写・採取を行う際に、剥離の作業性も良好になる。特に上記範囲の鑑識用粘着シートを用いることにより、塗装面が古くなった指紋採取面や、もろく壊れやすい指紋採取面であっても良好に採取することができる。
【0097】
また、本発明の基材10は、特に限定されるものでは無いが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムが使用出来る。この基材の粘着塗工面には、投錨性を向上させるために必要に応じてコロナ処理等を施す事が出来る。
【0098】
上記基材の厚みは、採取作業性が良好であれば特に限定される物では無いが、通常50〜150μm、好ましくは50〜125μm程度である。
【0099】
また、本発明の鑑識用粘着テープは、使用前または使用後には、通常、台紙30に貼着されている。台紙30は紙質シート32の裏面に黒色または白色のプラスチックフィルム31を接着または融着してあり、プラスチックフィルム31面に上記粘着剤層20が貼り合わされて形成されている。また、プラスチックフィルムに必要に応じ、シリコーン系や長鎖アルキル系等の離型処理剤を塗布することができる。
【0100】
上記台紙の厚みは、通常100〜400μm、好ましくは150〜300μm程度である。
【0101】
上記台紙には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理をすることもできる。
【0102】
さらに、本発明の鑑識用粘着シートにおいては、粘着シート全体の厚みが100〜650μmであることが好ましく、150〜550μmであることがより好ましく、300〜500μmであることがさらに好ましい。
【0103】
一方、本発明は、視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートの製造方法において、
a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を、基材上に形成する工程、ならびに、
アクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射する工程、
を含むことを特徴とする。
【0104】
上述の工程を有する本発明の製造方法を用いることにより、製造工程で有機溶剤を用いることなく、粘着剤層の厚膜塗工が容易となり、上述の特徴を有する鑑識用粘着シートを効率良く得ることができる。
【実施例】
【0105】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0106】
<モノマーシロップ(A)の調製>
〔モノマーシロップ(A)〕
2−エチルヘキシルアクリレート100重量部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.05重量部、および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.05重量部をフラスコに仕込み、
緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、紫外線を照射し、モノマーシロップ(A)を調製した。上記モノマーシロップ(A)の重合率13.0重量%、であった。
・重合率=(130℃×2hr乾燥後重量)/(乾燥前重量)×100(重量%)。
【0107】
〔実施例1〕
(粘着剤溶液の調製)
上記モノマーシロップ(A)に、上記モノマーシロップ(A)100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート0.6重量部を加えて、常温(25℃)下で15分間均一混合撹拌し、光重合性粘着剤(1)を調製した。
【0108】
(粘着シートの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラT60、厚さ:75μm)上に、上記光重合性アクリル粘着剤(1)を光重合後の厚さが280μmになるように塗布し、さらに上記粘着剤からなる層の上に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイヤホイルMRN38、厚さ:38μm)を被せ、貼り合せたシートを作製した。次いで、上記シートをメタルハライドランプ(最大照度:250mW/cm、光量:8000mJ/cm)を用いて光重合反応を行い、粘着シートを作製した。
【0109】
〔実施例2〕
(粘着剤溶液の調製)
上記モノマーシロップ(A)に、上記モノマーシロップ(A)100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート0.6重量部およびアクリル酸1重量部を加えて、常温(25℃)下で15分間均一混合撹拌し、光重合性粘着剤(2)を調製した。
【0110】
(粘着シートの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラT60、厚さ:75μm)上に、上記光重合性アクリル粘着剤(2)を光重合後の厚さが280μmになるように塗布し、さらに上記粘着剤からなる層の上に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイヤホイルMRN38、厚さ:38μm)を被せ、貼り合せたシートを作製した。次いで、上記シートをメタルハライドランプを用いて光重合反応を行い、粘着シートを作製した。
【0111】
〔実施例3〕
(粘着剤溶液の調製)
上記モノマーシロップ(A)に、上記モノマーシロップ(A)100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート0.4重量部およびアクリル酸1重量部を加えて、常温(25℃)下で15分間均一混合撹拌し、光重合性粘着剤(3)を調製した。
【0112】
(粘着シートの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラT60、厚さ:75μm)上に、上記光重合性アクリル粘着剤(3)を光重合後の厚さが280μmになるように塗布し、さらに上記粘着剤からなる層の上に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイヤホイルMRN38、厚さ:38μm)を被せ、貼り合せたシートを作製した。次いで、上記シートをメタルハライドランプを用いて光重合反応を行い、粘着シートを作製した。
【0113】
〔実施例4〕
(粘着剤溶液の調製)
上記モノマーシロップ(A)に、上記モノマーシロップ(A)100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート0.4重量部およびアクリル酸4重量部を加えて、常温(25℃)下で15分間均一混合撹拌し、光重合性粘着剤(4)を調製した。
【0114】
(粘着シートの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラT60、厚さ:75μm)上に、上記光重合性アクリル粘着剤(4)を光重合後の厚さが280μmになるように塗布し、さらに上記粘着剤からなる層の上に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイヤホイルMRN38、厚さ:38μm)を被せ、貼り合せたシートを作製した。次いで、上記シートをメタルハライドランプを用いて光重合反応を行い、粘着シートを作製した。
【0115】
〔実施例5〕
(粘着剤溶液の調製)
上記モノマーシロップ(A)に、上記モノマーシロップ(A)100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート0.15重量部およびアクリル酸4重量部を加えて、常温(25℃)下で15分間均一混合撹拌し、光重合性粘着剤(5)を調製した。
【0116】
(粘着シートの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラT60、厚さ:75μm)上に、上記光重合性アクリル粘着剤(5)を光重合後の厚さが280μmになるように塗布し、さらに上記粘着剤からなる層の上に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイヤホイルMRN38、厚さ:38μm)を被せ、貼り合せたシートを作製した。次いで、上記シートをメタルハライドランプを用いて光重合反応を行い、粘着シートを作製した。
【0117】
〔比較例1〕
(粘着剤溶液の調製)
上記モノマーシロップ(A)に、上記モノマーシロップ(A)100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート0.2重量部およびアクリル酸2重量部を加えて、常温(25℃)下で15分間均一混合撹拌し、光重合性粘着剤(6)を調製した。
【0118】
(粘着シートの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラT60、厚さ:75μm)上に、上記光重合性アクリル粘着剤(6)を光重合後の厚さが280μmになるように塗布し、さらに上記粘着剤からなる層の上に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイヤホイルMRN38、厚さ:38μm)を被せ、貼り合せたシートを作製した。次いで、上記シートをメタルハライドランプを用いて光重合反応を行い、粘着シートを作製した。
【0119】
〔比較例2〕
(粘着剤溶液の調製)
上記モノマーシロップ(A)に、上記モノマーシロップ(A)100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート0.1重量部およびアクリル酸1重量部を加えて、常温(25℃)下で15分間均一混合撹拌し、光重合性粘着剤(7)を調製した。
【0120】
(粘着シートの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラT60、厚さ:75μm)上に、上記光重合性アクリル粘着剤(7)を光重合後の厚さが280μmになるように塗布し、さらに上記粘着剤からなる層の上に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイヤホイルMRN38、厚さ:38μm)を被せ、貼り合せたシートを作製した。次いで、上記シートをメタルハライドランプを用いて光重合反応を行い、粘着シートを作製した。
【0121】
上記の実施例、比較例で得られた粘着シートについて、以下の要領で、特性評価(粘着剤層の厚み、粘着力、ゲル分率)および指紋採取性(指紋採取性、凹凸追従性、耐熱性)について測定、評価し、さらにその結果に基づき鑑識用シートとしての総合判定を行った。なお、上記総合判定の判定基準は以下のとおりである。
・特性評価および指紋採取性すべてをクリアできた場合:○
・特性評価および指紋採取性すべてはクリアできなかった場合:×。
【0122】
<粘着剤層の厚みの測定>
粘着剤層の厚みは、1/1000ダイヤルゲージを用いて測定を行った。
【0123】
<粘着力の測定>
JIS G 4305に規定するSUS304鋼板をJIS R 6253に規定する360番の耐水研磨紙で長さ方向によく磨いたものを試験片とし、試験前に試験片の表面をトルエンで洗い、十分乾燥させた。その後、20mm幅×100mmのサイズに切断した測定サンプルを2kgローラーを用いて、300mm/minの速度で圧着し、圧着30分後、引張り試験機にて、引張速度300mm/minの条件で180°ピーリング法にて測定し、粘着力の値とした。
【0124】
<指紋採取評価A(鮮明性、作業性)>
JIS G 4305に規定するSUS304鋼板をJIS R 6253に規定する360番の耐水研磨紙で長さ方向によく磨いたもの試験片とし、試験前に試験片をトルエンにて洗浄し、洗浄面(指紋採取面)に意図的に指を押し付けて指紋を残した物に、アルミ粉末を刷毛で塗布して指紋を検出させた。指紋を発現させた物から20mm×40mmのサイズに切断した粘着シートサンプルの糊面を貼り付け、背面から指で押さえた後、粘着シートサンプルを剥がし、粘着剤面に転写した指紋跡を目視にて鮮明性を判定した。また、指紋採取する際の作業性(貼りやすさ,剥がしやすさ)についても判定した。なお、それぞれの判定基準は以下のとおりである。
【0125】
(鮮明性)
・鮮明に採取できた場合:○
・ズレにより指紋採取できなかった場合:×
・塗装面(指紋採取面)を破壊し、指紋採取できなかった場合:×。
【0126】
(作業性)
・問題なく視認できた場合:○
・指で押し付けるとズレが発生した場合:×
・重くて剥がしにくかった場合:×。
【0127】
<指紋採取評価B(鮮明性、作業性)>
上記指紋採取面として古い塗装面を用いたこと以外は、上記指紋採取評価Aと同様に評価、判定を行った。なお、それぞれの判定基準は上記指紋採取評価Aと同様である。
【0128】
<指紋採取評価C(鮮明性、作業性)>
空き缶の底部を酢酸エチルにて洗浄し、洗浄面に意図的に指を押し付けて指紋を残し、その指紋部に、四三酸化鉄粉末95重量部と非イオン系界面活性剤(花王社製、エマルゲン130K)5重量部を混合したものを蒸留水で3%溶液へと希釈調整した指紋採取用溶液を刷毛にて塗布し、その後、水洗することにより指紋を検出させた。検出した指紋上に水を掛け、濡れた状態の上から20mm×40mmのサイズに切断した粘着シートサンプルの糊面を貼り付け、背面から指で押さえた。その後、粘着シートサンプルを剥がし、粘着剤面に転写した指紋跡を目視にて鮮明性を判定した。また、指紋採取する際の作業性(貼りやすさ,剥がしやすさ)についても判定した。なお、それぞれの判定基準は上記指紋採取評価Aと同様である。
【0129】
<凹凸追従性の評価>
100円玉の裏面を酢酸エチルにて洗浄し、洗浄面に意図的に指を押し付けて指紋を残し、その指紋部に、アルミ粉末を刷毛にて塗布することにより指紋を検出させた。検出した指紋上に30mm×30mmのサイズに切断した粘着シートサンプルの糊面を貼り付け、背面から指で押さえた後、粘着シートを剥がし、粘着面に転写した100円玉の凹部の採取状態を目視にて判定した。
【0130】
<耐熱性評価>
上記指紋採取評価Aにおいて指紋を検出したステンレス板を120℃乾燥機内で1hr以上加熱した物を粘着シートを貼り付けて指紋採取を試みた。なお、夏場の車ボンネットを想定した評価である。
・鮮明に採取できた場合:○
・ズレにより指紋採取できなかった場合:×
・塗装面(指紋採取面)を破壊し、指紋採取できなかった場合:×。
【0131】
<ゲル分率>
ゲル分率は、粘着剤組成物約1gを精秤し、これを酢酸エチル約40gに7日間浸漬し、その後、酢酸エチルに対する不溶解分をすべて回収し、130℃で2時間乾燥し、その重量を求め、得られた数値を以下の式に代入して算出した。
・不溶解分(ゲル分率)=(不溶解分重量/浸漬前の粘着剤組成物の重量)×100(重量%)。
【0132】
以上の結果を表1に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
上記表1の結果から明らかなように、本発明にしたがって作製された粘着シートを用いた場合(実施例1〜5)、いずれの実施例においても、特性評価(粘着剤層の厚み、粘着力)および指紋採取性(指紋採取性、凹凸追従性、耐熱性)を並立させることができた。したがって、本発明の鑑識用粘着シートおよびその製造方法を用いることにより、粘着剤層の厚膜塗工が容易であって、採取対象物の表面が水分で濡れている場合でも使用でき、採取対象物の表面の破損を抑えることができることが明らかとなった。
【0135】
また、本発明の実施例1〜3の粘着シートは、剥離速度が300m/minでの180°ピール粘着力が0.1〜2.0N/25mmの範囲にあり、鑑識用粘着シートとして特に好適な粘着シートであることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の鑑識用粘着シートの一例の使用前の状態を示す断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートにおいて、
前記粘着剤層が、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射して形成され、かつ、
前記粘着剤層のゲル分率が50重量%以上であり、前記粘着剤層のステンレス板に対する粘着力が0.1〜2.0N/20mmであることを特徴とする鑑識用粘着シート。
【請求項2】
前記アクリル系粘着剤組成物の全単量体中、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、d)極性基含有モノマーの含有量が4.5重量部未満である請求項1に記載の鑑識用粘着シート。
【請求項3】
前記粘着剤層の厚みが50〜500μmである請求項1または2に記載の鑑識用粘着シート。
【請求項4】
前記転写の対象が、痕跡に付着した四三酸化鉄の微粉末である請求項1〜3のいずれかに記載の鑑識用粘着シート。
【請求項5】
視覚化された痕跡を粘着剤層の表面に転写して採取する鑑識用粘着シートの製造方法において、
a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、b)多官能(メタ)アクリレート、および、c)光重合開始剤を含有するアクリル系粘着剤組成物からなる層を、基材上に形成する工程、ならびに、
アクリル系粘着剤組成物からなる層を光照射する工程、
を含むことを特徴とする鑑識用粘着シートの製造方法。
【請求項6】
前記アクリル系粘着剤組成物の全単量体中、a)主単量体としてアルキル基の平均炭素数1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、d)極性基含有モノマーの含有量が4.5重量部未満である請求項5に記載の鑑識用粘着シートの製造方法。
【請求項7】
前記粘着剤層の厚みが50〜500μmである請求項5または6に記載の鑑識用粘着シートの製造方法。
【請求項8】
前記転写の対象が、痕跡に付着した四三酸化鉄の微粉末である請求項5〜7のいずれかに記載の鑑識用粘着シートの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−308522(P2008−308522A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155469(P2007−155469)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】