説明

長さ方向シース補強体

【課題】細長いボディと、このボディを通っている内腔とを備えている外科アクセスシースを提供する。
【解決手段】このシースは細長いボディに沿って長さ方向に延びている少なくとも1つの長さ方向の半径方向に間隔を隔てられた補強ワイヤを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対するクロスリファレンス]
本願は、2005年6月14日に出願された米国特許出願第11/152,945号の一部継続であり、2004年11月1日に出願された米国暫定出願第60/624,246号の恩典を請求するものである(これらの全体開示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)。米国特許出願第11/152,945号は2004年4月26日に出願された米国特許出願第10/832,867号、2004年1月28日に出願された米国特許出願第10/766,138号および2002年11月15日出願された米国特許出願第10/298,116号の一部継続であり、2004年6月14日に出願された米国暫定出願第60/579,500の恩典を請求するものである(これらの全体開示は出典を明示することにより本願明細書の開示の一部とされる)。
本発明は、外科器具または装置に関し、より詳細には、長さ方向軸線に沿って強化されるか或は補強されていて、延伸または伸びに対して耐性である薄肉管、例えば、シース、シャフト、カニューレなどに関する。
【背景技術】
【0002】
薄肉管は、これらの管を、多くの外科または医療器具、例えば、クランプ、アプライヤー、スコープなどのための非可撓性であり、可撓性であり、および/または予備/再形成されたアクセスシース、カニューレ、操向可能/偏向可能なシースまたはカニューレ、作動シャフト、および小型の管または薄肉管を利用しているか、或はそれに使用される種々の他の概ね円筒形の装置に適用可能であるようにする可撓性および小さい全体サイズを与える。しかしながら、このような可撓性および縮小サイズを与えることにより、これらの管は延伸または不当な伸びを受け易いことがある。例えば、患者に挿入されるアクセスシースは装置を適切に位置決めするために押されたり、引かれたり、或は他の方法で操られたりされることがある。このような操りは管を伸ばしてしまう概ね長さ方向の力をシースまたは管の長さに沿って誘発する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アクセスシースがプラスチックまたはゴム材料で薄肉に構成されると、このシースは使用中に曲ったり捩れたりすることがある。この結果、捻転されたシースの鋭い縁部により内視鏡または他の装置が外科手順を複雑にするので、潜在的な損傷が生じることがある。しかも、曲げられた或は捻転されたシースは、連通することができなく、且つ器具の通過を許容しないことがあるので、役に立たないことがある。更に、アクセスシースは延伸されたり、望ましくなく伸ばされたりされることがあり、それによりシースを損傷したり、シースの有用性および作動性を減じたりしてしまう。このように、身体の空洞または組織を通して案内されるのに十分な強さを与えるのに十分の耐久性であり、同時に、身体の空洞または組織を通る複雑な操りを行うのに十分に可撓性である操向可能なアクセスシースの要望が当業界にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、外科アクセスシートは、細長いボディと、少なくとも1つの長さ方向の半径方向に間隔を隔てられた補強体とを備えている。細長いボディは近位端部および遠位端部を有しており、このボディに内腔が通っている。少なくとも1つの長さ方向の半径方向に間隔を隔てられた補強体は、実質的に細長いボディの全長に沿って且つ内腔に対して概ね平行に延びている。
【0005】
1つの態様では、外科アクセスシートは、第1直径を有する実質的に剛性の部分と、第2直径を有していて、実質的に剛性の部分から延びている実質的に可撓性の部分とを有している管を備えている。第1直径は第2直径より大きく、管はそれを通って延びている一次内腔と、細長いボディの可撓性部分に連結されたプルワイヤとを有している。第1補強ワイヤが一次内腔に対して実質的に平行に長さ方向に延びており、第1補強ワイヤから半径方向に配置された第2補強ワイヤが第1補強ワイヤに対して平行に長さ方向に延びている。第3補強ワイヤが第1および第2補強ワイヤから半径方向に配置されており、この第3補強ワイヤは第1補強ワイヤに対して平行に長さ方向に延びていて、管に隣接している平らな表面を有し且つ前記第1および第2補強ワイヤより大きい表面積を有している。コネクタは管に連結されている遠位部分と、漏斗状部分を有する近位端部とを有している。プルワイヤは遠位端部から前記近位端部までコネクタを通って延びており、アクチュエータがプルワイヤに連結されている。
【0006】
1つの態様では、外科アクセスシースを製造する方法は、少なくとも1つのワイヤをマンドレルに、マンドレルの長さ方向軸線に対して概ね平行に延びるように結合することと、この少なくとも1つのワイヤおよびマンドレルのまわりにプラスチック材料よりなる同時押出しワイヤを巻きつけることと、プラスチック材料が溶融し、同時押出しワイヤの巻き部に結合して概ね細長いボディを形成するまで、巻き付けられた同時押出しワイヤを加熱することとを備えている。
1つの態様では、外科アクセスシースには、近位端部と、遠位端部とを有する管が設けられており、内腔がこの管を通って延びている。また、シースは、管に沿って且つ内腔に対して概ね平行に延びていて、管より大きいコラム強さを有する補強手段、例えば、1つまたはそれ以上の平らな或は可撓性のワイヤを備えている。
本発明の付随特徴のうちの多くは、下記の詳細な説明を参照することによりよく理解され、且つ同様な参照符号が全体にわたって同様な部分を示す添付図面を関連して考察されるので、より容易に認められであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付図面を参照して本発明を以下に説明する。本発明の種々の態様よれば、使用中、管のいずれの不都合な伸張を妨げるか或は阻止するために、ワイヤを管の長さ方向軸線に沿って導入する。このワイヤは長さ方向の力を阻止するのに十分に強く、且つ管を偏向させるか或は曲げるのに十分に可撓性である。1つの態様では、ワイヤはステンレス鋼またはケブラーで製造されている。ワイヤは管または細長いボディに埋設される。これにより管の全体サイズまたは直径を最小にするか或は維持する。1つの態様では、管のコラム強さを更に強めるために、或は管より大きいコラム強さを有するように、多数のワイヤが管の対向側に或は一般的に管のまわりに使用される。1つの態様では、管を所望の方向に予め曲り易くするような管または管の諸部分の「弱い側/強い側」または「可撓性の側/剛性の側」配置をもたらすように、1つのワイヤまたは複数のワイヤが設けられる。このように、1つのワイヤが管に含まれる他のワイヤほど可撓性ではなくてもよく、或は管の概ね対向した側に対応するワイヤを有することなしに、1つのワイヤが管の一方の側に設けられてもよい。1つの態様では、これらのワイヤは、全体サイズを更に減少させるために、追加の或は向上されたコラム強さを与えるために、および管の一部を1つまたはそれ以上の方向に差し向けたり偏向させたりすべく可撓性を与えるために、概ね平らである。
【0008】
図1ないし図5を参照すると、本発明の種々の態様によるアクセスシースまたは薄肉管の種々の態様が示されている。薄肉管またはアクセスシース8は可撓性であり、補強されている。1つの態様では、シース8はその長さ方向に沿って延びている1つまたはそれ以上のワイヤ、例えば、ワイヤ3、4および/または6により補強された可撓性材を備えている。1つまたはそれ以上のワイヤは管8に埋設されるか或は他の方法で固着されている。これらのワイヤは異なる形状、構成で構成されており、そして種々の合金、布またはそれらの組合せよりなるか、或はそれらで製造されている。例えば、ワイヤのうちの1つまたはすべてが柔軟な可撓性ワイヤ、平らなワイヤ、予備/再形成可能なワイヤまたはそれらの任意の組合せである。柔軟な可撓性ワイヤは可撓性をもたらし、また管の長さ方向に沿ったコラム強さを維持する。平らなワイヤ、例えば、ワイヤ6はシースに沿って長さ方向に延びていて、シースの半径方向部分に沿って広がっている。平らなワイヤはシースの諸部分に沿って延びている増大表面積を有しており、かくしてコラム強さを高めおよび/または維持し、且つ可撓性、すなわち、管を種々の方向に偏向させる能力をもたらす。予備/再形成性ワイヤが、特定の位置または構成に形成されることができるか、或は曲げられることができ、そしてこの構成を維持し、それによりシースのコラム強さを高める。このように、これらの補強管は追加された或は高められた引張り強さを有しており、或は使用中に管またはシースにより受けられることがある伸張または軸方向または引張り力に対して耐性である。
【0009】
図1を参照すると、1つのワイヤ3、4がマンドレル2に設置され、或はマンドレル2に沿って位置決めされている。これらのワイヤは、1つの態様では、マンドレル2の長さ方向と概ね平行な方向に沿って延びている。これらのワイヤは、1つの態様では、マンドレルの端部の穴または孔に通すことによりマンドレルに固着されている(図2)。1つのワイヤが他のワイヤより可撓性であってもよい。1つのワイヤが他のワイヤより可撓性であるか或は曲げ性である場合、可撓性ワイヤ3は、例えば、管を偏向させるために引張り装置として或はこれと共に使用されることができる。
【0010】
1つの態様では、ワイヤ5がマンドレル2の支持部材のまわりに、かくしてワイヤ3、4のまわりに巻かれている。マンドレルのサイズおよび形状は、一般に、アクセスシースまたは管8の内腔のサイズおよび形状を定め、且つ一般に管の輪郭を定める。マンドレル2は、1つの態様では、ステンレス鋼であり、そして低摩擦の材料または表面、例えば、テフロン(登録商標)または種々の離型剤で製造されるか、或はそれらで被覆されており、それによりマンドレルを管8から容易に取出せる。また、マンドレルは実質的にまっすぐであるか、或はテーパ状である。ワイヤ5は、互いに実質的に直交するアンカーまたは開始点および停止点を使用することにより、かくしてワイヤ5をマンドレル2に沿って斜めの線状に巻くことによりオーバーカウンター式に巻かれている。このように、ワイヤ5はワイヤの巻き戻し傾向が妨げられるように巻かれている。1つの態様では、ワイヤ5の付設前に、マンドレル2は、器具などをワイヤからの干渉なしに内腔にスムーズに挿入し得るためにプラスチックまたはPCV材料の管で被覆されるか、或はそれに挿入されている。
【0011】
ワイヤ5は、1つの態様では、プラスチック被覆ワイヤであり、特に、ワイヤ5の全直径を約0.305cm(0.12インチ)にするように、プラスチック材料で融着されるか、被覆されるか或は他の方法で囲われて0.015cm(0.006インチ)の近似直径を有して同時押出し方法においてプラスチック材料で被覆されているステンレス鋼同時押出しワイヤである。マンドレル2はワイヤ5と共に制御管に挿入されている。1つの態様では、制御管を膨張させることによりマンドレル2の挿入を助けるために、空気が挿入の反対端部に例えば100PSIで供給される。制御管は、1つの態様では、シリコンまたはワイヤ5のプラスチック被膜より高い融点を有する材料で製造されてもよい。この組立体は、ワイヤ5のプラスチック被膜が溶融し、それ自身に付着して概ね連続した管状の構造体または細長いボディまたは管を形成するように加熱される。このように、1つの態様では、ワイヤ5のプラスチック被膜は溶融してワイヤの上、下および間に形成される。また、ワイヤ5のプラスチック被膜は溶融し、そしてワイヤ3、4に付着してこれらのワイヤを連続した管状構造体8に埋め込む。
【0012】
1つの態様では、ワイヤの横断面は、丸くても、正方形でも、平らでもよく、或は巻き部およびワイヤの相互係止を容易にすべく種々の他の形状およびサイズでもよい。ワイヤ3、4および/またはワイヤ5の被膜の設置、構成および/またはサイズまたは厚さは、ワイヤ3、4の埋め込みが構造体に沿った追加の摩擦、突出または妨害を引き起こすような連続した管状構造体8と干渉しないような程度である。同様に、管の全体サイズまたは寸法は維持されるか、或は最小にされる。1つの態様では、ワイヤ5は空隙、空洞を有しているか、或はワイヤ3、4または6に隣接した部分に沿って概ね平坦化されている。制御管およびマンドレル2は、ワイヤ3、4がマンドレル2から離脱された状態で取出される。1つの態様では、プラスチック材料はポリウレタン、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチックまたは硬いおよび/または柔らかいジュロメータを有するプラスチック材料である。また、ワイヤ5は、1つの態様では、交互のジュロメータを有する材料で多糸状にマンドレルに巻かれている。
【0013】
1つの態様では、ワイヤ5をマンドレルのまわりに巻くに先立って、1つのワイヤまたは複数のワイヤ、例えば、ワイヤ3、4又は6が押出し管7とワイヤ5との間に設置される。このように、ワイヤは押出し管と同時押出しワイヤとの間に挟まれる。1つの態様では、管7は同時押出しワイヤを使用して管8と同様に形成される。例えば、第1の同時押出しワイヤがマンドレルに巻かれ、1つまたはそれ以上の補強ワイヤがこの第1の同時押出しワイヤに設置されるか、或はそれに沿って埋め込まれ、そして第2の同時押出しワイヤが補強ワイヤおよび第1の同時押出しワイヤの周りに巻かれる。これらのワイヤのすべては、第1および第2の同時押出しワイヤが溶融し、それにより付着して概ね連続した管状構造体または細長いボディまたは管を形成するように加熱される。
【0014】
1つの態様では、1つのワイヤまたは複数のワイヤ、例えば、ワイヤ3、4又は6が押出し管8に埋め込まれる。この1つのワイヤまたは複数のワイヤはダイの一部に押出し方法で導入される。これらのワイヤは押出し管を作成するために押出し方法に利用される温度および圧力に耐えるように構成されている。その結果、押出し管のコラム強さが増大され、連続した滑らかな薄い管が製造される。1つの態様では、ワイヤの材料、硬さ、ピッチまたは形状は外科用途に応じて変化する。1つの態様では、シースは、使用を容易にするために、例えば、身体空洞への侵入または身体導管を通る侵入を容易にするために、外層で被覆されるか、或はそれを備えている。例えば、シースを溶媒溶液に浸漬してシースに外層を形成する。1つの態様では、ワイヤのうちの1つまたはそれ以上3、4または6を管内、または補強ワイヤのうちの1つまたはそれ以上3、4または6のまわりに巻かれたワイヤ5と同様なワイヤにより形成された第2の細長いボディまたは管の第2または二次内腔の中に別々に設置される。このような二次内腔は、第1または一次内腔と概ね平行であって、第1内腔の直径より小さい直径を有している。
【0015】
1つの態様では、ワイヤ3は管の一方の側にあり、ワイヤ4は管の反対側または隣接側にあり、これら両方により管のコラム強さを強化する。1つの態様では、ワイヤ4またはワイヤ4の一部はワイヤ3より可撓性であり、および/または弱い。例えば、ワイヤ4は可撓性、またはワイヤ3より可撓性の材料で製造されるか、或はそれよりなり、或はワイヤ4の長さまたは諸部分全体にわたって空隙またはディボットを有して弱くなっている。このように、ワイヤ4を有する管の側部はワイヤ3を有する管よりも所望の方向に予め曲げ易くなっている。かくして、ワイヤのうちの少なくとも1と、制御ワイヤまたはプルワイヤのような別体の引張り装置とを使用して、管または管の諸部分は操向されるか或は偏向され得る。引張り装置は、アクセスシース8に作用したときに、例えば、引っ張られたときに、アクセスシース8を偏向させる。このように、1つの態様では、1つまたはそれ以上のプルワイヤが、アクセスシース8に沿って延びている1つまたはそれ以上の補強ワイヤに埋設されている。
【0016】
1つの態様における1つまたはそれ以上の引張り装置および/または1つまたはそれ以上のワイヤはアクセスシース8と結合されるか、或は一体化されているアクチュエータに取付けられている。このアクチュエータは、引張り装置を操ったり、制御したりするために、取っ手、親指作動式ノブ、リングまたは他の種類の装置を有してもよい。例えば、引張り装置に張力を与えるために、プルワイヤに連結されたリングを近位方向に引っ張ってもよい。リングを解放すると、プルワイヤは遠位方向に移動して張力を緩めるか、或は引張り装置を緩め、それによりアクセスシースをまっすぐにするか、或は以前または初めの形状に戻す。1つの態様では、コネクタが、一端で管に連結されており、他端部に漏斗状部分を有している。1つまたはそれ以上の引張り装置、例えば、プルワイヤは、コネクタを通ってこのコネクタに連結されたアクチュエータまで延びている。
【0017】
このように、アクチュエータを操ることによって、使用者は、アクセスシース8を操向して身体内の遠回りの或は曲りくねった導管または空洞の中を進ませて興味ある外科部位または外科個所に近づかせることができる。種々の態様におけるアクチュエータはインラインであったり、ずれていたり、或はアクセスシース8から遠隔であったりするように構成されている。更に、アクセスシースは、これを1つまたはそれ以上の異なる方向に偏向させるために、アクチュエータまたは作動ハンドピースの複数のつまみ輪、軸、ノブまたは他の種類の移動可能な構成部品に取付けられた複数のプルワイヤを備えてもよい。
【0018】
1つの態様におけるアクセスシース8はこれを通って延びている内腔9を有している。この内腔9は外科手順のための外科部位または目標部位までの接近路を攻勢するように寸法決めされ且つ構成されている。例えば、内腔9は、外科器具、例えば、拡張器、または診断用および治療用要素、例えば、対比剤を外科部位または目標部位まで前進させるために導管を攻勢する。このように、アクセスシースは、外科手順のために或は外科手順と関連して使用される器具、組織または他の品目の挿入および/または抜出しのための内腔を経て身体の外側から興味ある個所までの同感またはチャンネルを構成する。
【0019】
シースに蓄えられてシースに捻転を引き起こすことがある力または応力は、管の複合構成によりアクセスシースに沿って分布されることができ、および/または補強ワイヤ、例えば、ワイヤ3、4、6により更に和らげられる。かくして、アクセスにおける捻転は減少される。1つの態様における補強ワイヤは、薄く、かくしてシースにおける耐久性または強さを減じることなしに管もまた薄くなる。かくして、シースの全直径または外径は小さく、これによっても、内腔のサイズまたは直径を減少させることなしに、シースのための切開個所または挿入個所を減じる。このように、本発明の種々の態様のアクセスシースは、薄肉付き部分と、大きい内腔と、非外傷性端部と、耐捻転性構成とを有しており、また身体の空洞または組織を通って複雑に案内されるのに十分に強く、剛性であり、更に可撓性である。
【0020】
1つの態様では、本発明の種々の態様によるアクセスシースの種々の製造態様は、少なくとも1つの補強ワイヤをマンドレルに取付け、第1の被覆ワイヤをマンドレルのまわりに巻きつけ、そして補強ワイヤ、マンドレルおよび第1ワイヤを加熱することを備えている。1つの態様では、補強ワイヤはマンドレルの長さ方向軸線に沿って延びている平坦化部材であってもよい。1つの態様では、押出し中、1つまたはそれ以上の補強ワイヤを管と共に導入してこのワイヤを管に埋め込む。1つの態様では、1つまたはそれ以上の補強ワイヤが、押出し管と、この管および補強ワイヤのまわりに巻かれた同時押出しワイヤとの間に挟まれる。更に他の態様では、1つまたはそれ以上の補強ワイヤが押出し管に埋め込まれる。1つの態様では、1つまたはそれ以上の補強ワイヤが同時押出しワイヤであり、この補強ワイヤはポリマーまたは金属、例えば、ステンレス鋼の材料よりなり、および/または形成された管のコラム強さより大きいコラム強さを有している。
【0021】
1つの態様では、本発明の種々の態様によるアクセスシースの種々の製造態様は、ポリエチレン管、例えば、ペレタン95AEのような第1管を、この第1管を通って一体化されるか、延びているか、埋め込まれるか、或は通されているケブラーワイヤ、例えば、補強体とともにマンドレルに固着することを備えている。第1管は、所望の強化管、例えば、25mmの9F管のサイズおよび構成を受入れるように寸法決めされ且つ構成されている。第1管は、接着剤を使用して、或はマンドレルにおける孔またはスロットへ通すことによりマンドレルに固着される。0.01ポリウレタン(ペタレン)で被覆された同時押出しワイヤ、例えば、0.006ワイヤを、例えば、旋盤を使用して第1管のまわりに巻きつける。第1管、同時押出しワイヤおよびマンドレルを第2管に挿入する。1つの実施形態では、第2管を拡張することにより構成部品の挿入を助けるために、空気を例えば100PSIで挿入の反対端部に供給する。1つの態様における第2管は、連続した滑らかな管が製造されるようにするために、構成部品および関連材料を互いに極めて近接した状態に維持する制御管として作用する。
【0022】
第1管、同時押出しワイヤ、マンドレルおよび第2管を加熱する。1つの例では、これらの構成部品を176度で約12時間加熱する。第2管は、1つの実施形態では、シリコン、または同時押出しワイヤより高い融点を有する材料で製造されてもよい。次いで、マンドレルおよび第2管を取外す。その結果、かなりのコラム強さおよび可撓性を有する連続した滑らかで小さくて薄い管である強化管が製造される。1つの態様では、構成部品を冷却し、第2管の取外しを助けるために、再び空気を例えば100PSIで一端に供給する。マンドレルは、1つの実施形態では、一端を締め付け、第2点を取外し、マンドレルを巻き方向または巻き戻し方向に捩じり、そして連続した管から摺動させることによって取外される。
【0023】
シースまたはシースの諸部分を製造するのに使用されてもよい方法の種々の他の例が命国特許出願第10/766,138号および第10/298,116号に記載されている(これらの開示は、出典を明示することにより本願明細書の開示に一部とされる)。これらの方法またはその一部は変化されてもよいし、或はここに記載の方法と組み合わされてもよく、その逆でもよいことはわかるであろう。例えば、プラスチックリング、金属リング、未補強のプラスチックリングおよび金属補強のプラスチックリングなどのような種々のリング状要素がコイル状ワイヤの代わりに或はそれに加えて利用されてもよい。
【0024】
本発明の1つの態様では、前述のシースの種々の態様は、管が異なる装置、組立体または用途に利用される種々の薄肉管またはカニューレに適用可能である。このように、これらの薄肉管は前述のようにしてシースの長さ方向の軸線に沿って補強されてもよい。本明細書で使用されている語のワイヤは要素またはワイヤの組成または材料の特定の種類を限定したり、特定したりしようとするものではないことはわかるべきである。
【0025】
従って、本発明の種々の態様は長さ方向の補強された外科アクセスシースを提供する。本発明を或る特定の実施形態において説明したが、多くの追加の変更例および変形例が当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲および精神を逸脱することなしに、本発明を、サイズ、形状および材料の種々の変更を含めて、詳細に説明した以外にも実施し得ることは理解されるであろう。かくして、本発明の実施形態は、あらゆる点において例示的であって、制限するものではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は以上の説明ではなく、添付に請求項およびそれらの同等内容により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の種々の態様による管またはシースの態様を示している図である。
【図2】本発明の種々の態様によるマンドレルに結合された強化ワイヤを備えているシースの態様を示している図である。
【図3】本発明の種々の態様によるシースの態様を示している図である。
【図4】本発明の種々の態様による強化ワイヤが平らであるシースの態様を示している図である。
【図5】本発明の種々の態様による第1管と同時押出しワイヤとの間に位置決めされた強化ワイヤを備えているシースの態様を示している図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部および遠位端部を有している細長いボディを備えており、この細長いボディはそれを通っている内腔を有しており、
実質的に前記細長いボディの全長に沿って前記内腔に対して概ね平行に延びている少なくとも1つの長さ方向の半径方向に間隔を隔てられた補強体を備えている外科アクセスシース。
【請求項2】
前記内腔に対して実質的に平行に延びていて、前記内腔の直径より小さい直径を有している第2内腔を有しており、そして第2の細長いボディを通って延びている補強体を有している第2の細長いボディと、
前記補強体に連結されたアクチュエータと、
を更に備えている請求項1に記載のシース。
【請求項3】
引張り装置と、
前記内腔に対して実質的に平行に延びていて、前記内腔の直径より小さい直径を有している第2内腔を有しており、そして前記引張り装置が前記第2内腔を通って延びている第2の細長いボディと、
前記引張り装置の張力を制御するために細長いボディの近位端部から遠位方向に前記引張り装置に連結されたアクチュエータと、
を更に備えている請求項1に記載のシース。
【請求項4】
前記引張り装置はプルワイヤおよび可撓性の平坦化ワイヤのうちの一方である、請求項3に記載のシース。
【請求項5】
前記補強体に連結されたアクチュエータを更に備えており、前記補強体はワイヤである、請求項1に記載のシース。
【請求項6】
前記補強体は平らなワイヤおよび同時押出しワイヤのうちの一方である、請求項1に記載のシース。
【請求項6】
前記細長いボディの非隣接部分に沿った配置された操向可能な領域を更に備えている請求項1に記載のシース。
【請求項7】
前記細長いボディの遠位端部はテーパ状である、請求項1に記載のシース。
【請求項8】
前記ボディは加熱された同時押出しワイヤを備えている、請求項1に記載のシース。
【請求項9】
第2の細長いボディを更に備えており、前記補強体は前記細長いボディと前記第2の細長いボディとの間に配置されており、前記第2の細長いボディはプラスチック材料よりなる、請求項1に記載のシース。
【請求項10】
第1直径を有する実質的に剛性の部分と、第2直径を有していて、前記の実質的に剛性の部分から延びている実質的に可撓性の部分とを有している管と備えており、第1直径は第2直径より大きく、前記管はそれを通って延びている一次内腔と、細長いボディの可撓性部分に連結されたプルワイヤとを有しており、
前記一次内腔に対して実質的に平行に長さ方向に延びている第1補強ワイヤと、
前記第1補強ワイヤから半径方向に配置され、前記第1補強ワイヤに対して平行に長さ方向に延びている第2補強ワイヤと、
前記第1および第2補強ワイヤから半径方向に配置され、前記第1補強ワイヤに対して平行に長さ方向に延びていて、前記管に隣接している平らな表面を有し且つ前記第1および第2補強ワイヤより大きい表面積を有している第3補強ワイヤと、
前記管に連結されている遠位部分と、漏斗状部分を有する近位端部とを有しており、前記遠位端部から前記近位端部までプルワイヤが通っているコネクタと、
前記プルワイヤに連結されたアクチュエータと、
を備えている、外科アクセスシース。
【請求項11】
前記管は、第2直径より大きい第3直径を有して、一次内腔に対して概ねに平行に前記管を通って延びている二次内腔を有しており、前記プルワイヤは二次内腔を通って延びている、請求項10に記載のシース。
【請求項12】
前記管は、第2直径より大きい第3直径を有して、一次内腔に対して概ねに平行に前記管を通って延びている二次内腔を有しており、前記第1および第2補強ワイヤのうちの一方は二次内腔を通って延びている、請求項10に記載のシース。
【請求項13】
第1、第2および第3の補強ワイヤはプルワイヤに連結されている、請求項10に記載のシース。
【請求項14】
第1補強ワイヤおよび第2補強ワイヤは互いに向い合って管内に半径方向に配置されている、請求項10に記載のシース。
【請求項15】
少なくとも1つのワイヤをマンドレルに、マンドレルの長さ方向軸線に対して概ね平行に延びるように結合することと、
前記の少なくとも1つのワイヤおよびマンドレルのまわりにプラスチック材料よりなる同時押出しワイヤを巻きつけることと、
プラスチック材料が溶融し、前記同時押出しワイヤの巻き部に結合して概ね細長いボディを形成するまで、前記の巻きつけられた同時押出しワイヤを加熱することと、
を備えている外科アクセスシースを製造する方法。
【請求項16】
前記同時押出しワイヤは熱可塑性材料および熱硬化性材料のうちの少なくとも1つよりなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記の巻きつけられた同時押出しワイヤの巻き部を収縮管内に固着し、この収縮管をこれが巻き部のすべてを封入するまで加熱すること、
押出し管をマンドレルに結合することと
を更に備えている請求項15に記載の方法。
【請求項18】
シースを溶媒系溶液に浸漬してシースの外層を形成することを更に備えている請求項15に記載の方法。
【請求項19】
近位端部および遠位テーパ状端部を有していて、内腔が中を通っている管と、
前記管に沿って長さ方向に延びていて、前記内腔に対して概ね平行であり、且つ前記管より大きいコラム強さを有している補強手段と、
を備えている外科アクセスシース。
【請求項20】
前記補強手段は、一次内腔に対して平行に且つ実質的に前記管の全長に沿って長さ方向に延びている複数のワイヤよりなり、各ワイヤは内腔のまわりに半径方向に配置されている、請求項19に記載のシース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−518687(P2008−518687A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539345(P2007−539345)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/039885
【国際公開番号】WO2006/050478
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(503000978)アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション (70)
【Fターム(参考)】