説明

長尺コードスイッチ

【課題】所定の長さのコードスイッチを接続して長尺化した長尺コードスイッチにおいて、接続した部分が不感帯とならない長尺コードスイッチを提供する。
【解決手段】中空部91を有する弾性絶縁ゴム92と、芯線93と芯線93の外周に被覆された導電ゴム94とからなり、弾性絶縁ゴム92の内面に保持されると共に間隔を置いて対向配置された複数の電極線95と、から構成されるコードスイッチ90(又は30)同士を接続して長尺化した長尺コードスイッチ10(又は20)であって、コードスイッチ90(又は30)の端部から芯線93を露出させ、露出させた芯線93同士を弾性絶縁ゴム92の外側で接続すると共にコードスイッチ90(又は30)の端面同士を突き合わせて形成された接続部11を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性絶縁ゴムが押圧されると作動するコードスイッチに係り、特に、コードスイッチを接続(ジョイント)して長尺化した長尺コードスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動開閉機能を有するドア、窓、シャッタ等の開閉装置が、ビル、店舗、ガレージ等、多くの建造物や自動車において普及している。これに伴って開閉装置における挟まれ事故の発生が懸念されており、このため事故防止策として、開閉装置の開閉部での挟み込みを検知するコードスイッチを取り付けることが検討されている。また、侵入者検知用として敷地の周囲に設置したり、衝突検知用として搬送用ロボットの周囲に設置することがコードスイッチの用途として検討されている。
【0003】
このようなコードスイッチとして、図9に示すように、中空部91を有する所定の長さの弾性絶縁ゴム92の内面に、芯線93と導電ゴム94からなる電極線95が4本設置された構造のコードスイッチ90が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
このコードスイッチ90は、弾性絶縁ゴム92が外部からの圧力を受けることにより変形し、その変形した部分で弾性絶縁ゴム92内の電極線95同士が接触することにより導通してスイッチとして反応する。
【0005】
このコードスイッチ90では、電極線95を弾性絶縁ゴム92内にスパイラル状に設置すると、全方向からの圧力の検知が可能となり、また曲げ部でも敷設が可能となるなど曲げ性も良くなる。
【0006】
このようなコードスイッチ90の製造方法としては、複数の電極線95間に中空部91を設けた状態で弾性絶縁ゴム92を押出被覆する方法があるが、中空部91を設けた状態を維持しつつ弾性絶縁ゴム92を押出被覆するのは困難であり、寸法精度が良くないという欠点がある。
【0007】
そこで、複数の電極線95間にスペーサを入れ込み、その周囲に弾性絶縁ゴム92を押出、又は型成形で被覆した後、スペーサを引き抜いて中空部91を作製することで、寸法精度の向上を図った製造方法が提案されている。
【0008】
このスペーサを用いた製造方法は、スペーサを用いない製造方法に比べて寸法精度は良くなるが、スペーサを引き抜く工程が必要であるため、長尺のコードスイッチを製造することが難しいという課題がある。
【0009】
例えば、侵入者検知用として敷地の周囲に設置する場合には、コードスイッチの必要長さは数十メートル以上となるが、寸法精度が良く長尺なコードスイッチを製造することは困難である。
【0010】
そこで、所定の長さのコードスイッチを接続して長尺コードスイッチとして用いることが考えられる。
【0011】
従来、コードスイッチを接続する際には、図10に示すように、コードスイッチ90の長手方向に沿って芯線93を露出させ、露出させた芯線93同士を接続することで、コードスイッチ90を接続している。
【0012】
このとき、隣接する芯線93同士が導通しないように、接続箇所101とその周囲の露出された芯線93に絶縁テープ102を巻き付け、さらにその上から接続部103を保護するための弾性体チューブ104を被覆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平10−281906号公報
【特許文献2】国際公開第97/21235号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、コードスイッチ90を接続した部分では、芯線93のみが露出された状態となっているため、この部分はスイッチとして作動せず、不感帯となることが課題であった。
【0015】
従って、本発明の目的は、所定の長さのコードスイッチを接続して長尺化した長尺コードスイッチにおいて、接続した部分が不感帯とならない長尺コードスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために創案された本発明は、中空部を有する弾性絶縁ゴムと、芯線と前記芯線の外周に被覆された導電ゴムとからなり、前記弾性絶縁ゴムの内面に保持されると共に間隔を置いて対向配置された複数の電極線と、から構成されるコードスイッチ同士を接続して長尺化した長尺コードスイッチであって、前記コードスイッチの端部から前記芯線を露出させ、露出させた前記芯線同士を前記弾性絶縁ゴムの外側で接続すると共に前記コードスイッチの端面同士を突き合わせて形成された接続部を備えた長尺コードスイッチである。
【0017】
前記接続部に、弾性体チューブが被覆されると良い。
【0018】
前記弾性体チューブは、シール材からなる内層と、弾性体からなる外層とからなると良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所定の長さのコードスイッチを接続して長尺化した長尺コードスイッチにおいて、接続した部分が不感帯とならない長尺コードスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る長尺コードスイッチにおける接続部の構造を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る長尺コードスイッチにおける接続部の構造を示す図である。
【図3】コードスイッチの一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る長尺コードスイッチにおけるコードスイッチ同士の接続方法を説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る長尺コードスイッチにおけるコードスイッチ同士の接続方法を説明する図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る長尺コードスイッチにおけるコードスイッチ同士の接続方法を説明する図である。
【図7】絶縁抵抗の測定方法を説明する図である。
【図8】比較例におけるコードスイッチ同士の接続方法を説明する図である。
【図9】コードスイッチの一例を示す図である。
【図10】図9のコードスイッチ同士を接続するための従来方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0022】
図1,2は、本発明の好適な実施の形態に係る長尺コードスイッチにおける接続部の構造を示す図である。
【0023】
図1、2、及び3に示すように、本実施の形態に係る長尺コードスイッチ10,20は、中空部91を有する弾性絶縁ゴム92と、芯線93と芯線93の外周に被覆された導電ゴム94とからなり、弾性絶縁ゴム92の内面に保持されると共に間隔を置いて対向配置された複数の電極線95と、から構成されるコードスイッチ90(又は30)同士を接続して長尺化したものであり、コードスイッチ90(又は30)の端部から芯線93を露出させ、露出させた芯線93同士を弾性絶縁ゴム92の外側で接続すると共にコードスイッチ90(又は30)の端面同士を突き合わせて形成された接続部11を備えたことを特徴とする。
【0024】
長尺コードスイッチ10,20を構成するコードスイッチとしては、図9に示したように、中空部91を有する所定の長さの断面円形の弾性絶縁ゴム92の内面に、芯線93と導電ゴム94からなる断面円形の電極線95がスパイラル状に4本設置された構造のコードスイッチ90や、図3に示すように、中空部91を有する所定の長さの断面四角形の弾性絶縁ゴム92の内面に、芯線93と導電ゴム94からなる断面四角形の電極線95が平行に2本設置された構造のコードスイッチ30を用いることができる。
【0025】
なお、図1はコードスイッチ90を用いた場合の接続部11の構造を示しており、図2はコードスイッチ30を用いた場合の接続部11の構造を示している。
【0026】
弾性絶縁ゴム92の材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴムといったものを挙げることができる。
【0027】
電極線95は、本実施の形態において、芯線93と、芯線93の外周に被覆された導電ゴム94とからなるものとしたが、芯線や導電ゴムのみからなるものとすることも可能である。
【0028】
芯線93は、優れた可撓性及び復元性を得るため、金属素線を複数本撚り合わせた金属撚線からなることが好ましい。芯線93同士を接続する方法としては、例えば、はんだを用いる方法や、加締めによる接続、或いは溶接等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
また、芯線93同士を接続した各接続箇所12は、互いに導通しないように離間して弾性絶縁ゴム92の外面に配置する。このとき、接続箇所12が弾性絶縁ゴム92の外面に180度の間隔を置いて配置されるように芯線93を折り曲げることが好ましい。
【0030】
例えば、4本の芯線93を有するコードスイッチ90を用いる場合には、180度の間隔を置いて配置された2つの接続箇所12を1組として各組が互いに図示左右反対方向に配置されるように、芯線93を折り曲げることが好ましい。これにより、接続箇所12とその周囲の露出された芯線93に絶縁テープを巻き付けなくても、隣接する芯線93同士の十分な絶縁を確保することができる。
【0031】
導電ゴム94の材料としては、弾性絶縁ゴム92を構成する材料にカーボンブラック等の導電性充填剤を配合したものを挙げることができる。
【0032】
接続部11には、弾性体チューブ13が被覆されることが好ましい。これにより、接続部11を保護することができる。この弾性体チューブ13は弾性体のため、長尺コードスイッチ10の接続部11における変形を阻害することがない。
【0033】
また、弾性体チューブ13は、シール材からなる内層と、弾性体からなる外層とからなることが好ましい。具体的には、弾性体からなる外層の内面にシール材を塗布してなる2層チューブを用いることが好ましい。これにより、弾性体チューブ13に防水性能も付与することができ、接続部11における防水性を確保することができる。
【0034】
次に、長尺コードスイッチにおけるコードスイッチ同士の接続方法を説明する。ここでは、一例としてコードスイッチ30を用いて長尺コードスイッチ20を作製する場合について説明する。
【0035】
先ず、図4に示すように、コードスイッチ30の端部から芯線93を露出させる。その後、図5に示すように、芯線93を露出させたコードスイッチ30の端部を対向させ、コードスイッチ30の端面同士を近づけて対面させると共に露出させた芯線93を弾性絶縁ゴム92の外側に引き出す。そして、弾性絶縁ゴム92の外側に引き出した対応する芯線93同士をはんだ等により接続する。最後に、図6に示すように、接続部11に弾性体チューブ13を被覆すると、長尺コードスイッチ20が得られる。
【0036】
以上説明したような長尺コードスイッチ10(又は20)によれば、露出させた芯線93同士を弾性絶縁ゴム92の外側で接続すると共にコードスイッチ90(又は30)の端面同士を突き合わせている。これにより、接続部11でもコードスイッチ90(又は30)の断面構造が維持されるので、接続部11が不感帯とならなくなり、接続部11においてもスイッチとして作動する。
【0037】
よって、本発明によれば、所定の長さのコードスイッチを接続して長尺化した長尺コードスイッチにおいて、接続した部分が不感帯とならない長尺コードスイッチを提供することができる。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
図3に示したタイプの2mのコードスイッチ30を10本製造した。このとき、コードスイッチ30の断面寸法は、高さ6mm、幅10mmであり、上下の電極線95の間隔は2mmのものを製造した。また、弾性絶縁ゴム92の材質としてEPゴム、導電ゴム94の材質としてEPゴム、芯線93として素線径0.127mmの素線7本を撚り合わせた錫めっき銅線を用いた。
【0039】
これらコードスイッチ30を図2で説明した方法で接続して20mの長尺コードスイッチ20を作製した。具体的には、コードスイッチ30の端部から弾性絶縁ゴム92と導電ゴム94を長手方向に10mm剥ぎ取ることで、芯線93をコードスイッチ30の端面から10mm露出させ、この芯線93をコードスイッチ30の断面方向(コードスイッチ30(中空部)と180度反対の外周方向)に曲げ、接続したい2つのコードスイッチ30の端面同士を接触させながら、芯線93同士をねじり固定した。このねじり部の弾性絶縁ゴム92の外周に飛び出した部分をはんだ付けすることで接続箇所12とした。このとき、接続したコードスイッチ30の端面同士の距離(芯線93を除いたそれぞれの弾性絶縁ゴム92、導電ゴム94の断面間の距離)は1.5mmであった。
【0040】
その後、接続箇所12の先端部をカットし、弾性絶縁ゴム92から外周に飛び出している接続箇所12の長さを2mmとし、タイコエレクトロニクスアンプ(株)製の2層収縮チューブ(型式:HTAT−12/3−0−STK、長さ:12mm)を被せ、ドライヤーにて収縮させて2層収縮チューブ被覆部を形成した。
【0041】
次に、長尺コードスイッチ20の反応性を評価した。これは、幅10mmの棒を用い、20Nの荷重で長尺コードスイッチ20に荷重を印加したときに、長尺コードスイッチ20の電極線95同士が接触、抵抗値が減少して反応するかを確認する評価方法である。
【0042】
結果を表1に示すが、2層収縮チューブ被覆部の位置を3mmずつ、ずらしながらサンプル数N=5で測定したが、いずれも目標抵抗の100Ω以下で、荷重開放後は、電極線95同士が離れて、抵抗が無限大(10MΩ以上)となり良好であった。
【0043】
【表1】

【0044】
また、接続部11の防水性能評価として、絶縁抵抗試験(印加電圧:直流500V、装置:東亜電波工業(株)製のSM−21E)を行った。具体的には、図7に示すように、長尺コードスイッチ20の2本の芯線93を絶縁抵抗計71の+側に接続、接続部11を塩水(濃度:1%)WSに漬け、絶縁抵抗計71の−側を塩水WSに浸して、1分後の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は4000MΩと良好であった(10MΩ以上で合格)。
【0045】
(実施例2)
図9に示したタイプの5mのコードスイッチ90を10本製造した。このとき、コードスイッチ90の断面寸法はΦ4.5mmの円形であり、隣り合う電極線95の間隔は0.7mmのものを製造した。また、弾性絶縁ゴム92の材質としてEPゴム、導電ゴム94の材質としてEPゴム、芯線93として素線径0.127mmの素線7本を撚り合わせた錫めっき銅線を用いた。
【0046】
これらコードスイッチ90を図1で説明した方法で接続して50mの長尺コードスイッチ10を作製した。具体的には、コードスイッチ90の端部から弾性絶縁ゴム92と導電ゴム94を長手方向に10mm剥ぎ取ることで、芯線93をコードスイッチ90の端面から10mm露出させ、この芯線93をコードスイッチ90の断面方向(コードスイッチ90空間と180度反対の外周方向)に曲げ、接続したい2つのコードスイッチ90の端面同士を接触させながら、芯線93同士をねじり固定した。このねじり部の弾性絶縁ゴム92の外周に飛び出した部分をはんだ付けすることで接続箇所12とした。このとき、接続したコードスイッチ90の端面同士の距離(芯線93を除いたそれぞれの弾性絶縁ゴム92、導電ゴム94の断面間の距離)は1.7mmであった。
【0047】
その後、接続箇所12の先端部をカットし、図1に示したように、接続箇所12を弾性絶縁ゴム92の外周に接するように4本を互い違いの方向に曲げ、弾性絶縁ゴム92から円周方向に飛び出している接続箇所12の長さを1.5mm、弾性絶縁ゴム92の外周と接触している長手方向の長さを2mmとし、タイコエレクトロニクスアンプ(株)製の2層収縮チューブ(型式:HTAT−8/2−0−STK、長さ:15mm)を被せ、ドライヤーにて収縮させて2層収縮チューブ被覆部を形成した。
【0048】
次に、長尺コードスイッチ10の反応性を評価した。これは、幅10mmの棒を用い、20Nの荷重で長尺コードスイッチ10に荷重を印加したときに、長尺コードスイッチ10の電極線95同士が接触、抵抗値が減少して反応するかを確認する評価方法である。
【0049】
結果を表2に示すが、2層収縮チューブ被覆部の位置を3mmずつ、ずらしながらサンプル数N=6で測定したが、いずれも目標抵抗の100Ω以下で、荷重開放後は、電極線95同士が離れて、抵抗が無限大(10MΩ以上)となり良好であった。
【0050】
【表2】

【0051】
また、接続部11の防水性能評価として、絶縁抵抗試験(印加電圧:直流500V、装置:東亜電波工業(株)製のSM−21E)を行った。具体的には、図7に示すように、長尺コードスイッチ10の4本の芯線93を絶縁抵抗計71の+側に接続、接続部11を塩水(濃度:1%)WSに漬け、絶縁抵抗計71の−側を塩水WSに浸して、1分後の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は4000MΩと良好であった(10MΩ以上で合格)。
【0052】
(比較例1)
実施例1と同様のコードスイッチ30を用いて長尺コードスイッチを作製した。このとき、コードスイッチ30を図8に示すような方法で接続した。具体的には、コードスイッチ30の端部から弾性絶縁ゴム92と導電ゴム94を長手方向に10mm剥ぎ取ることで、芯線93をコードスイッチ30の端面から10mm露出させ、この芯線93をコードスイッチ30の長手方向に伸ばしたまま、はんだ付けにてコードスイッチ30の芯線93同士を接続した。このとき、接続したコードスイッチ30の端面同士の距離(芯線93を除いたそれぞれの弾性絶縁ゴム92、導電ゴム94の断面間の距離)は13mmと長くなってしまった。
【0053】
次に、接続箇所101の一方に絶縁テープ102を巻いて短絡を防止した。その上から、タイコエレクトロニクスアンプ(株)製の2層収縮チューブ(型式:HTAT−12/3−0−STK、長さ:20mm)を被せ、ドライヤーにて収縮させて2層収縮チューブ被覆部を形成した。
【0054】
その後、実施例1と同様の方法で長尺コードスイッチの反応性を評価した。結果を表3に示すが、荷重印加時でも抵抗が無限大と反応しない不感帯が生じた。
【0055】
【表3】

【0056】
また、接続部103の防水性能評価として、絶縁抵抗試験(印加電圧:直流500V、装置:東亜電波工業(株)製のSM−21E)を行った。具体的には、図7に示すように、長尺コードスイッチの2本の芯線93を絶縁抵抗計71の+側に接続、接続部103を塩水(濃度:1%)WSに漬け、絶縁抵抗計71の−側を塩水WSに浸して、1分後の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は4000MΩと良好であった(10MΩ以上で合格)。
【0057】
(比較例2)
実施例1と同様のコードスイッチ30を用いて長尺コードスイッチを作製した。このとき、コードスイッチ30を図8に示した方法で接続した。具体的には、コードスイッチ30の端部から弾性絶縁ゴム92と導電ゴム94を長手方向に10mm剥ぎ取ることで、芯線93をコードスイッチ30の端面から10mm露出させ、この芯線93をコードスイッチ30の長手方向に伸ばしたまま、はんだ付けにてコードスイッチ30の芯線93同士を接続した。このとき、接続したコードスイッチ30の端面同士の距離(芯線93を除いたそれぞれの弾性絶縁ゴム92、導電ゴム94の断面間の距離)は12mmと長くなってしまった。
【0058】
次に、接続部103にその上から、タイコエレクトロニクスアンプ(株)製の2層収縮チューブ(型式:HTAT−12/3−0−STK、長さ:20mm)を被せ、ドライヤーにて収縮させて2層収縮チューブ被覆部を形成した。このとき、芯線93同士が2層収縮チューブの収縮に押されて短絡してしまいコードスイッチとして機能しなかった。
【0059】
(比較例3)
実施例2と同様のコードスイッチ90を用いて長尺コードスイッチを作製した。このとき、コードスイッチ90を図10に示した方法で接続した。具体的には、コードスイッチ90の端部から弾性絶縁ゴム92と導電ゴム94を長手方向に10mm剥ぎ取ることで、芯線93をコードスイッチ90の端面から10mm露出させ、この芯線93をコードスイッチ90の長手方向に伸ばしたまま、はんだ付けにてコードスイッチ90の芯線93同士を接続した。このとき、接続したコードスイッチ90の端面同士の距離(芯線93を除いたそれぞれの弾性絶縁ゴム92、導電ゴム94の断面間の距離)は12mmと長くなってしまった。
【0060】
次に、接続箇所101の3箇所に絶縁テープ102を巻いて短絡を防止した。その上から、タイコエレクトロニクスアンプ(株)製の1層収縮チューブ(型式:RMW−10/3−0−STK、長さ:20mm)を被せ、ドライヤーにて収縮させて1層収縮チューブ被覆部を形成した。
【0061】
その後、実施例1と同様の方法で長尺コードスイッチの反応性を評価した。結果を表4に示すが、荷重印加時でも抵抗が無限大と反応しない不感帯が生じた。
【0062】
【表4】

【0063】
また、接続部103の防水性能評価として、絶縁抵抗試験(印加電圧:直流500V、装置:東亜電波工業(株)製のSM−21E)を行った。具体的には、図7に示すように、長尺コードスイッチの4本の芯線93を絶縁抵抗計71の+側に接続、接続部103を塩水(濃度:1%)WSに漬け、絶縁抵抗計71の−側を塩水WSに浸して、1分後の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は1MΩで不合格となった(10MΩ以上で合格)。
【0064】
以上の結果より、本発明によれば、所定の長さのコードスイッチを接続して長尺化した長尺コードスイッチにおいて、接続した部分が不感帯とならない長尺コードスイッチを提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 長尺コードスイッチ
11 接続部
20 長尺コードスイッチ
30 コードスイッチ
90 コードスイッチ
91 中空部
92 弾性絶縁ゴム
93 芯線
94 導電ゴム
95 電極線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する弾性絶縁ゴムと、芯線と前記芯線の外周に被覆された導電ゴムとからなり、前記弾性絶縁ゴムの内面に保持されると共に間隔を置いて対向配置された複数の電極線と、から構成されるコードスイッチ同士を接続して長尺化した長尺コードスイッチであって、
前記コードスイッチの端部から前記芯線を露出させ、露出させた前記芯線同士を前記弾性絶縁ゴムの外側で接続すると共に前記コードスイッチの端面同士を突き合わせて形成された接続部を備えたことを特徴とする長尺コードスイッチ。
【請求項2】
前記接続部に、弾性体チューブが被覆されたことを特徴とする請求項1に記載の長尺コードスイッチ。
【請求項3】
前記弾性体チューブは、シール材からなる内層と、弾性体からなる外層とからなることを特徴とする請求項2に記載の長尺コードスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−204148(P2012−204148A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67821(P2011−67821)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】