説明

長尺ノズル内面加工装置

【課題】中心軸が鉛直に保持された長尺ノズルの内面加工部を、加工反力によるたわみが小さく、切り屑の影響を受けることなく、精度良く加工することができる長尺ノズル内面加工装置を提供する。
【解決手段】長尺ノズル1の上端に固定された駆動部10と、駆動部から長尺ノズル1の内面内に吊下げられ、内面加工部7より上方に位置決め可能であり、かつ中心軸3に対し線対称の第1中空貫通穴21を有する支持ヘッド20と、駆動部から第1中空貫通穴を通して下方に延び、支持ヘッドにより回転可能に支持され、駆動部により中心軸に沿って上下動可能であり、かつ中心軸を中心に上端部が回転駆動される中空円筒形の主軸30と、支持ヘッドより下方の主軸下端部に設けられた加工工具を駆動部により半径方向に移動可能な切込調整機構40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心軸が鉛直に保持された長尺ノズルの内面加工部を加工する長尺ノズル内面加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばジェットエンジンのタービンとファン又はコンプレッサを連結するロングシャフトは、軸方向に貫通穴を有し、全長が貫通穴の内径の10〜20倍に達する。以下このような部材を「長尺シャフト」又は「長尺ノズル」と呼ぶ。
【0003】
長尺シャフトの内面を加工又は検査する装置として、例えば特許文献1〜3が既に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−241249号、「長尺シャフト内面加工装置とその方法」
【特許文献2】特開2010−188484号、「内面加工装置」
【特許文献3】特開2010−217144号、「内面検査装置とこれを備える内面加工検査装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、本発明が対象とする長尺ノズルの模式図である。この長尺ノズル1は、容器2の上面に設けられ、中心軸3に対し線対称の内面4を有し、中心軸3が鉛直に保持されている。
容器2は、例えば化学プラント用の反応容器、原子炉の圧力容器や反応炉である。
【0006】
長尺ノズル1の内径dは、例えば100〜120mm、長さLは、例えば1200〜2000mmであり、長さLは内径dの10〜20倍に達する。なお外径Dは、例えば140〜160mmである。
【0007】
このような長尺ノズル1は、容器2の上面に予め溶接等で固定された下端ノズル5の上端に溶接により連結される。
この溶接時において、信頼性の高い溶接を行うために、溶接部の内側に裏当て金6が用いられる。裏当て金6は、長尺ノズル1の内面を下端ノズル5の内面と同芯に位置決めする芯出し機能も有する。
【0008】
裏当て金6は、溶接後に切削除去する必要がある。しかし、容器2は大型であり、長尺ノズル1の中心軸3が鉛直に保持されているため、以下の問題点があった。
【0009】
従来の中ぐり盤の場合、加工ヘッドが大きく穴内部に挿入できない。また、ボーリングバーは、長尺ノズルの小径の穴を通して外側で支持されるため、加工反力を受けてたわみやすい。
そのため、従来の中ぐり盤では長尺かつ小径の穴加工は不可能であった。
【0010】
また、特許文献1〜3の専用の内面加工装置の場合、加工ヘッドに設けられたチャックは独立して動けない。そのため、長尺ノズル1の下端部内面が下端ノズル5に対して偏芯している場合、下端ノズル5の内面に合わせて長尺ノズル1の下端部を精度良く加工することができない。
また、裏当て金6の切削除去の際に発生する切り屑が下方に落ちるため、容器2の内側に装置を設けることができない。
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案したものである。すなわち、本発明の目的は、中心軸が鉛直に保持された長尺ノズルの内面加工部を、加工反力によるたわみが小さく、かつ切り屑の影響を受けることなく、精度良く加工することができる長尺ノズル内面加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、中心軸に対し線対称の内面を有し、中心軸が鉛直に保持された長尺ノズルの内面加工部を切削加工する長尺ノズル内面加工装置であって、
長尺ノズルの上端に固定された駆動部と、
駆動部から前記内面内に吊下げられ、内面加工部より上方に位置決め可能であり、かつ中心軸に対し線対称の第1中空貫通穴を有する支持ヘッドと、
駆動部から第1中空貫通穴を通して下方に延び、支持ヘッドにより回転可能に支持され、駆動部により中心軸に沿って上下動可能であり、かつ中心軸を中心に上端部が回転駆動される中空円筒形の主軸と、
支持ヘッドより下方の主軸下端部に設けられた加工工具を駆動部により半径方向に移動可能な切込調整機構とを備える、ことを特徴とする長尺ノズル内面加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明の構成によれば、駆動部が長尺ノズルの上端に固定され、この駆動部により主軸と切込調整機構が駆動されるので、支持ヘッドを長尺ノズルの内面に挿入可能な大きさにできる。
また、支持ヘッドが内面加工部より上方に位置決めされ、主軸が支持ヘッドにより回転可能に支持され、加工工具が支持ヘッドより下方の主軸下端部に設けられるので、加工反力を支持ヘッドで支持して主軸のたわみを抑えることができる。
【0014】
また、内面加工部より下方に構成部材がないので、切り屑の影響を受けるおそれがない。
【0015】
従って、本発明により、中心軸が鉛直に保持された長尺ノズルの内面加工部を、加工反力によるたわみが小さく、かつ切り屑の影響を受けることなく、精度良く加工することができる。

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が対象とする長尺ノズルの模式図である。
【図2】本発明による長尺ノズル内面加工装置の全体構成図である。
【図3】図2の要部断面図である。
【図4】図2の駆動部の拡大図である。
【図5】図2の支持ヘッド周辺の拡大図である。
【図6】図5の断面図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図2は、本発明による長尺ノズル内面加工装置の全体構成図であり、図3は、図2の要部断面図である。
【0019】
図1、図2において、長尺ノズル1の中心軸3が鉛直に保持されている。また長尺ノズル1は、中心軸3に対し線対称の内面4を有する。従って内面4の内側は中空貫通穴である。
なお、この例では中空貫通穴の直径は、上端から下端まで一定であるが、本発明はこれに限定されず、部分的にテーパ面があってもよい。
【0020】
本発明の長尺ノズル内面加工装置100は、長尺ノズル1の内面加工部7を加工する装置であり、駆動部10、支持ヘッド20、主軸30及び切込調整機構40を備える。加工は後述する例では切削加工であるが、その他の加工(例えば研削や研磨)であってもよい。
【0021】
駆動部10は、長尺ノズル1の上端に固定される。長尺ノズル1の上端は水平面であるのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、傾斜や段差があってもよい。
【0022】
支持ヘッド20は、駆動部10から連結部材50により長尺ノズル1の内面4内に吊下げられ、内面加工部7より上方に位置決め可能に構成されている。
連結部材50はこの例では支持ヘッド20と駆動部10を連結するパイプである。しかし、連結部材50は中実の円筒部材であってもよい。
連結部材50の長さは、主軸下端部32(図3参照)に設けられた加工工具41が、内面加工部7をカバーする範囲で上下動できるように設定される。
内面加工部7は、裏当て金6とその近傍の長尺ノズル1の内面下端部であり、内面の上下方向120〜150mmの範囲である。
【0023】
支持ヘッド20はこの例では円筒形であり、中心軸3に対し線対称の第1中空貫通穴21(図3参照)を有する。なお、円筒形以外の多角柱であってもよい。
【0024】
主軸30は、駆動部10から支持ヘッド20の第1中空貫通穴21を通して下方に延び、支持ヘッド20により回転可能に支持されている。また、主軸30は中空円筒形であり、駆動部10により中心軸3に沿って上下動可能であり、かつ中心軸3を中心に上端部(主軸上端部33:図3参照)が回転駆動される。
【0025】
切込調整機構40は、支持ヘッド20より下方の主軸下端部32に設けられた加工工具41を、駆動部10により半径方向に移動可能に構成されている。加工工具41は、この例では切削工具(バイト)であるが、本発明はこれに限定されず、その他の加工工具(例えば砥石)であってもよい。
【0026】
図4は、図2の駆動部10の拡大図であり、図5は、図2の支持ヘッド周辺の拡大図である。
【0027】
図5において、支持ヘッド20は、第1中空貫通穴21の内面にすべり軸受21aを有し、主軸30を回転可能に支持する。また、主軸30は、中心軸3に対し線対称の第2中空貫通穴31を有する。
【0028】
図5において、切込調整機構40は、ツール台42とツール駆動ロッド44とを有する。
【0029】
ツール台42は、加工工具41を半径方向外端部(図で右端)に有する。また、ツール台42は、主軸下端部32内に半径方向に移動可能に案内され、中心軸3に対し傾斜した従動傾斜歯43を有する。
【0030】
ツール駆動ロッド44は、第2中空貫通穴31を通して駆動部10まで延びる。また、ツール駆動ロッド44はその下端部に従動傾斜歯43と噛合する駆動傾斜歯45を有する。
さらに、この例において、ツール駆動ロッド44は駆動傾斜歯45の上部に拡径部46を有する。拡径部46は、第2中空貫通穴31の内面で案内され駆動傾斜歯45を上下に円滑に案内するようになっている。
【0031】
上述した切込調整機構40の構成により、駆動部10によりツール駆動ロッド44を上下動することにより、駆動傾斜歯45と従動傾斜歯43との噛み合いにより、加工工具41を半径方向に移動することができる。
【0032】
図4において、駆動部10は、駆動部本体12、移動部本体14、及び送り駆動装置16を備える。
【0033】
駆動部本体12は、長尺ノズル1の上端に固定されている。この固定手段は、主軸30の軸心が長尺ノズル1の中心軸3と一致するように、嵌め合い等で位置決めし、長尺ノズル1の上端にボルト等で固定するのがよい。
駆動部本体12は、この例では上面が開口し、底板12aと側板12bを有する中空円筒部材である。
なお、長尺ノズル1の上端に傾斜や段差がある場合には、主軸30の軸心が長尺ノズル1の中心軸3と一致するように、底板12aの形状を設定する。
【0034】
移動部本体14は、駆動部本体12に案内され中心軸3に沿って上下動可能に構成されている。
移動部本体14は、この例では上面が開口し、底板14aと側板14bを有する中空円筒部材であり、側板14bの外周面が、駆動部本体12の内面に設けられたすべり軸受13により上下動可能に案内されている。
【0035】
送り駆動装置16は、移動部本体14を駆動部本体12に対し上下動する。
送り駆動装置16は、この例では、駆動部本体12の外面に固定された送り用モータ16aと、送り用モータ16aで回転駆動され上方に鉛直に延びる送りネジ16bと、送りネジ16bと噛み合い移動部本体14の上部に固定されたナット部材16cとを有する。
送りネジ16bは例えばボールネジであり、ナット部材16cは例えばボールナットである。
送り駆動装置16のストロークは、主軸下端部32(図3参照)に設けられた加工工具41(図3参照)が、内面加工部7をカバーする範囲で上下動できるように設定される。
【0036】
上述した駆動部10の構成により、送り用モータ16aで送りネジ16bを回転駆動することにより、ナット部材16cを上下動させて、移動部本体14を駆動部本体12に対し上下動することができる。
【0037】
図4において、移動部本体14は、主軸駆動装置34とツール駆動装置48とを有する。
【0038】
主軸駆動装置34は、中心軸3を中心に主軸上端部33を回転駆動する。
主軸駆動装置34は、この例では、移動部本体14の内部に固定された回転駆動用モータ34aと、回転駆動用モータ34aで回転駆動され鉛直軸を中心に回転する駆動歯車34bと、駆動歯車34bと噛み合い主軸上端部33に固定された従動歯車34cとを有する。
また、主軸上端部33は、移動部本体14に設けられた軸受35により、主軸30の軸心を中心に回転可能に支持されている。
【0039】
上述した主軸駆動装置34の構成により、回転駆動用モータ34aで駆動歯車34bを回転駆動することにより、従動歯車34cを回転駆動して、中心軸3を中心に主軸上端部33を回転駆動することができる。
【0040】
ツール駆動装置48は、ツール駆動ロッド44を中心軸3の軸方向に駆動する。
ツール駆動装置48は、この例では、移動部本体14の内部に固定されたツール駆動用モータ48aと、ツール駆動用モータ48aで回転駆動され上方に鉛直に延びる送りネジ48bと、送りネジ48bとツール駆動ロッド44の上部に固定されたナット部材48cとを有する。
送りネジ48bは例えばボールネジであり、ナット部材48cは例えばボールナットである。
【0041】
上述したツール駆動装置48の構成により、ツール駆動用モータ48aで送りネジ48bを回転駆動することにより、ナット部材48cを上下動させて、ツール駆動ロッド44を中心軸3の軸方向に駆動することができる。
【0042】
図6は図5の断面図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図である。
図5において、支持ヘッド20は、中心軸3の軸方向に間隔を隔てた1対の芯だし装置22を備える。図6において、各芯だし装置22は、周方向に互いに180度ずれた3組のチャック装置24からなる。
【0043】
各チャック装置24は、チャック25とチャック駆動ロッド26とを有する。
チャック25は、支持ヘッド20のヘッド本体27内に半径方向に移動可能に案内され、半径方向内端に中心軸に対し一定の勾配を有する第1テーパ面25aを有する。
チャック駆動ロッド26は、ヘッド本体27を通して駆動部10まで延びる。また、チャック駆動ロッド26は、ロッド下端部26aに、第1テーパ面25aと摺動する第2テーパ面26bを有する。
【0044】
上述した1対の芯だし装置22により、駆動部10によりチャック駆動ロッド26を上下動することにより、第1テーパ面25aと第2テーパ面26bとの摺動により、チャック25を半径方向に移動することができる。
また、1対の芯だし装置22にそれぞれ対応するチャック駆動ロッド26を独立に上下動することにより、長尺ノズル1の内面4がテーパ面であっても内面4に支持ヘッド20を位置決めすることができる。
【0045】
図4において、駆動部10は、各チャック駆動ロッド26を中心軸3の軸方向に独立に駆動するチャック駆動装置28を有する。
チャック駆動装置28は、この例では、駆動部本体12の下部に設けられ中心軸3に直交する水平軸を中心に回転駆動されるチャック駆動軸28aと、チャック駆動軸28aの内方端とチャック駆動ロッド26の上端部との間に設けられ、チャック駆動軸28aの回転をチャック駆動ロッド26の上下動に変換するモーション変換器29とを備える。
モーション変換器29は、例えばチャック装置24と同様のテーパ駆動装置、又は歯車、ネジ等で構成することができる。
【0046】
この例において、各チャック駆動装置28は、例えば手動でチャック駆動軸28aを回転させることにより、各チャック駆動ロッド26を中心軸3の軸方向に独立に駆動することができる。
従って、上述したチャック駆動装置28の構成により、各チャック駆動ロッド26を独立に上下動させて、下端ノズル5の内面に合わせて支持ヘッド20を同芯に位置決めできる。
【0047】
この際、図5に示すように、主軸下端部32の下端に内面計測センサ52を取り付け、主軸30を回転させながら下端ノズル5の内面までの半径方向距離を計測することにより、支持ヘッド20を下端ノズル5の内面と同芯に位置決めすることができる。
内面計測センサ52として、例えばレーザ距離計を用いることができる。この計測の際に、内面計測センサ52と外部とのデータ通信は、容器2の内部からの有線接続又は無線で行うことができる。
なお、内面計測センサ52はこの計測後に主軸下端部32から取り外すのが好ましいが、取り付けたままであってもよい。
【0048】
上述した本発明の構成によれば、駆動部10が長尺ノズル1の上端に固定され、この駆動部10により主軸30と切込調整機構40が駆動されるので、支持ヘッド20を長尺ノズル1の内面に挿入可能な大きさ(例えば直径90〜95mm)にできる。
また、支持ヘッド20が内面加工部7(図2参照)より上方に位置決めされ、主軸30が支持ヘッド20により回転可能に支持され、加工工具41が支持ヘッド20より下方の主軸下端部32に設けられるので、加工時の加工反力を支持ヘッド20で支持して主軸30のたわみを抑えることができる。
また、内面加工部7より下方に構成部材がないので、切り屑の影響を受けるおそれがない。
【0049】
また、支持ヘッド20はそれぞれ独立に作動可能な上下6組のチャック装置24を有するので、下端ノズル5の内面に合わせて支持ヘッド20を同芯に位置決めできる。
【0050】
従って、本発明により、中心軸3が鉛直に保持された長尺ノズル1の内面加工部7を、切り屑の影響を受けることなく、下端ノズル5の内面に合わせて精度良く加工することができる。
【0051】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0052】
1 長尺ノズル、2 容器、3 中心軸、4 内面、
5 下端ノズル、6 裏当て金、7 内面加工部、
10 駆動部、12 駆動部本体、12a 底板、12b 側板、
13 すべり軸受、14 移動部本体、14a 底板、14b 側板、
16 送り駆動装置、16a 送り用モータ、
16b 送りネジ、16c ナット部材、
20 支持ヘッド、21 第1中空貫通穴、21a すべり軸受、
22 芯だし装置、24 チャック装置、
25 チャック、25a 第1テーパ面、
26 チャック駆動ロッド、26a ロッド下端部、
26b 第2テーパ面、27 ヘッド本体、
28 チャック駆動装置、28a チャック駆動軸、
29 モーション変換器、30 主軸、
31 第2中空貫通穴、32 主軸下端部、
33 主軸上端部、34 主軸駆動装置、
40 切込調整機構、41 加工工具、
42 ツール台、43 従動傾斜歯、
44 ツール駆動ロッド、45 駆動傾斜歯、
46 拡径部、48 ツール駆動装置、
48a ツール駆動用モータ、48b 送りネジ、
48c ナット部材、50 連結部材、52 内面計測センサ、
100 長尺ノズル内面加工装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に対し線対称の内面を有し、中心軸が鉛直に保持された長尺ノズルの内面加工部を切削加工する長尺ノズル内面加工装置であって、
長尺ノズルの上端に固定された駆動部と、
駆動部から前記内面内に吊下げられ、内面加工部より上方に位置決め可能であり、かつ中心軸に対し線対称の第1中空貫通穴を有する支持ヘッドと、
駆動部から第1中空貫通穴を通して下方に延び、支持ヘッドにより回転可能に支持され、駆動部により中心軸に沿って上下動可能であり、かつ中心軸を中心に上端部が回転駆動される中空円筒形の主軸と、
支持ヘッドより下方の主軸下端部に設けられた加工工具を駆動部により半径方向に移動可能な切込調整機構とを備える、ことを特徴とする長尺ノズル内面加工装置。
【請求項2】
主軸は、中心軸に対し線対称の第2中空貫通穴を有しており、
切込調整機構は、加工工具を半径方向外端部に有し、主軸下端部内に半径方向に移動可能に案内され、中心軸に対し傾斜した従動傾斜歯を有するツール台と、
従動傾斜歯と噛合する駆動傾斜歯を有し、第2中空貫通穴を通して駆動部まで延びるツール駆動ロッドとを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の長尺ノズル内面加工装置。
【請求項3】
駆動部は、長尺ノズルの上端に固定された駆動部本体と、
駆動部本体に案内され中心軸に沿って上下動可能な移動部本体と、
移動部本体を駆動部本体に対し上下動する送り駆動装置とを備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の長尺ノズル内面加工装置。
【請求項4】
移動部本体は、
主軸上端部を中心軸を中心に回転駆動する主軸駆動装置と、
ツール駆動ロッドを中心軸の軸方向に駆動するツール駆動装置とを有する、ことを特徴とする請求項3に記載の長尺ノズル内面加工装置。
【請求項5】
支持ヘッドは、中心軸の軸方向に間隔を隔てた1対の芯だし装置を備え、
各芯だし装置は、周方向に互いに180度ずれた3組のチャック装置を有し、
各チャック装置は、支持ヘッドのヘッド本体内に半径方向に移動可能に案内され、半径方向内端に中心軸に対し一定の勾配を有する第1テーパ面を有するチャックと、
第1テーパ面と摺動する第2テーパ面を有し、ヘッド本体を通して駆動部まで延びるチャック駆動ロッドとを有し、
駆動部は、各チャック駆動ロッドを中心軸の軸方向に独立に駆動するチャック駆動装置を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の長尺ノズル内面加工装置。
【請求項6】
支持ヘッドは、第1中空貫通穴の内面に、主軸を回転可能に支持するすべり軸受を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の長尺ノズル内面加工装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−805(P2013−805A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131075(P2011−131075)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】